(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(簡単な要約)
臨床診断プラットフォームは、種々の分析試験プロセスを統合し、誤差、コスト、および試験時間を削減することができる。
【0006】
ある実施形態では、システムは、カートリッジ筐体および中空移送モジュールを含む。カートリッジ筐体はさらに、少なくとも1つの試料入口と、複数の貯蔵チャンバと、複数の反応チャンバと、流体ネットワークとを含む。流体ネットワークは、少なくとも1つの試料入口、複数の貯蔵チャンバの一部、および複数の反応チャンバの一部をカートリッジ筐体の内側表面上に位置する第1の複数のポートに接続するように設計される。中空移送モジュールは、移送モジュール内の中心チャンバに通じる、移送モジュールの外側表面に沿った第2の複数のポートを含む。移送モジュールは、カートリッジ筐体内で側方に移動するように設計される。移送モジュールの側方移動は、第1の複数のポートの少なくとも一部と第2の複数のポートの少なくとも一部を整列させる。
【0007】
ある実施形態では、移送モジュールは、中心チャンバを封入する内側筐体と、内側筐体の周囲に形成される外被とを含む。外被は、外被の外側表面に沿ってパターン化されたリッジを含む。パターン化されたリッジは、移送モジュールが、パターン化されたリッジと接触する封入体内に置かれると、外被の外側表面に沿って、複数の弁領域を生成するように設計される。外被はさらに、外被および内側筐体を通して、中心チャンバ内に延在する、複数のポートを含む。複数のポートは、パターン化されたリッジによって生成される、複数の弁領域のうちの1つ以上内に位置する。中心チャンバ内に延在する対応するポートを伴う、複数の弁領域のうちの1つは、加圧が、複数のポートのうちの1つ以上を介して、中心チャンバの内外いずれかに流体の流動を発生させるように、複数の弁領域内の他の領域と別個に加圧されるように設計される。
【0008】
例示的方法が、説明される。本方法は、移送モジュールを側方に平行移動させ、中心チャンバを有する移送モジュールの第1のポートを第1のチャンバのポートに整列させることを含む。本方法はさらに、試料を第1の圧力差を介して、第1のチャンバから中心チャンバ内に引き込むことを含む。試料が中心チャンバ内に来ると、本方法は、移送モジュールを側方に平行移動させ、移送モジュールの第2のポートを第2のチャンバのポートに整列させ、第2の圧力差を介して、試料を中心チャンバから第2のチャンバ内に引き込むことを含む。
【0009】
別の例示的方法も、説明される。本方法は、筐体内の移送モジュールを側方に平行移動させ、移送モジュールの外側表面上の構造と、第1のチャンバと関連付けられた第1のポートおよび第2のチャンバと関連付けられた第2のポートを整列させることを含む。本方法はさらに、少なくとも、第1のポートおよび第2のポートを覆って整列された構造を介して、試料を第1のチャンバから第2のチャンバに引き込むことを含む。本方法は、移送モジュールの壁を通したポートを介して、試料を移送モジュール内に位置する第2のチャンバから第3のチャンバに引き込むことが続く。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
システムであって、前記システムは、
カートリッジ筐体であって、前記カートリッジ筐体は、
少なくとも1つの試料入口と、
複数の貯蔵チャンバと、
複数の反応チャンバと、
前記少なくとも1つの試料入口、前記複数の貯蔵チャンバの少なくとも一部、および前記複数の反応チャンバの少なくとも一部を前記カートリッジ筐体の内側表面上に位置する第1の複数のポートに接続する流体ネットワークと
を備える、カートリッジ筐体と、
前記カートリッジ筐体内に配置された中空移送モジュールであって、前記中空移送モジュールは、前記移送モジュールの中心チャンバにつながる、前記移送モジュールの外側表面に沿った第2の複数のポートを備え、前記移送モジュールは、前記カートリッジ筐体の長さに沿って側方に移動するように構成され、前記移送モジュールの側方移動は、前記第1の複数のポートの少なくとも一部と前記第2の複数のポートの少なくとも一部を整列させる、中空移送モジュールと
を備える、システム。
(項目2)
前記カートリッジ筐体はさらに、複数の処理チャンバを備え、前記流体ネットワークはまた、前記複数の処理チャンバの少なくとも一部を前記第1の複数のポートに接続する、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記複数の処理チャンバは、前記カートリッジ筐体の側面表面に沿って位置する、項目2に記載のシステム。
(項目4)
前記カートリッジ筐体と前記中空移送モジュールとの間の界面によって形成された一式の弁チャネルをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目5)
前記中空移送モジュールの外側表面は、リッジを備える、項目1に記載のシステム。
(項目6)
前記リッジは、トロイド形状を有する、項目5に記載のシステム。
(項目7)
前記リッジは、前記第1の複数のポートのうちの少なくとも2つと整列し、流体が、前記第1の複数のポートのうちの前記少なくとも2つ間を流動することを可能にするように構成されている、前記移送モジュールの外側表面上の面積を画定する、項目5に記載のシステム。
(項目8)
前記リッジは、前記移送モジュールを介して、前記流体ネットワークに連結された複数の弁領域を画定する、項目5に記載のシステム。
(項目9)
前記弁領域は、前記試料入口、前記複数の貯蔵チャンバ、前記複数の反応チャンバ、および前記中心チャンバの中に液体試料の移送経路を画定するように構成されている、項目8に記載のシステム。
(項目10)
前記複数の貯蔵チャンバのうちの少なくとも1つは、前記貯蔵チャンバを通気させるように構成された開口部を含む、項目1に記載のシステム。
(項目11)
前記カートリッジ筐体の側面表面に沿って位置する複数の予混合チャンバをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目12)
前記複数の貯蔵チャンバ、前記複数の反応チャンバ、および前記複数の予混合チャンバのうちの少なくとも1つ内に密閉された1つ以上の試薬をさらに備える、項目11に記載のシステム。
(項目13)
前記1つ以上の試薬は、凍結乾燥される、項目12に記載のシステム。
(項目14)
前記複数の貯蔵チャンバは、前記カートリッジ筐体の上部表面に沿って位置する、項目1に記載のシステム。
(項目15)
前記複数の反応チャンバは、前記カートリッジ筐体の側面表面に沿って位置する、項目1に記載のシステム。
(項目16)
前記カートリッジ筐体はさらに、前記複数の反応チャンバの下方に位置する1つ以上の光学アクセス窓を備える、項目15に記載のシステム。
(項目17)
前記複数の貯蔵チャンバを密閉する第1のフィルムと、前記複数の反応チャンバを密閉する複数のフィルムとをさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目18)
前記複数の貯蔵チャンバを密閉する前記第1のフィルムは、熱的に制御された表面と接触している、項目17に記載のシステム。
(項目19)
前記複数の反応チャンバを密閉する前記複数のフィルムは、熱的に制御された表面と接触している、項目17に記載のシステム。
(項目20)
前記熱的に制御された表面の温度は、熱電システムによって影響される、項目19に記載のシステム。
(項目21)
前記熱的に制御された表面の温度は、抵抗加熱システムによって影響される、項目19に記載のシステム。
(項目22)
前記熱的に制御された表面の温度は、空気の加熱または冷却のいずれかによって影響される、項目19に記載のシステム。
(項目23)
前記少なくとも1つの試料入口は、スワブを介して、試料を受容するように定寸されている、項目1に記載のシステム。
(項目24)
前記少なくとも1つの試料入口は、固体および液体試料を受容するように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目25)
前記カートリッジ筐体はさらに、少なくとも1つの空気入口ポートを備える、項目1に記載のシステム。
(項目26)
前記少なくとも1つの空気入口ポートは、外部加圧源に接続するように構成されている、項目25に記載のシステム。
(項目27)
前記少なくとも1つの空気入口ポートに連結されたフィルタをさらに備える、項目25に記載のシステム。
(項目28)
前記少なくとも1つの空気入口ポートに連結され、液体が前記少なくとも1つの空気入口ポートを通して逃散する前に、前記液体を保持するように構成されている、バッファチャンバをさらに備える、項目25に記載のシステム。
(項目29)
前記中空移送モジュールは、線形アクチュエータを介して、側方に移動するように構成されている、項目1に記載のシステム。
(項目30)
前記線形アクチュエータは、離散ステップ間で前記移送モジュールを移動させるように構成されている、項目29に記載のシステム。
(項目31)
前記カートリッジ筐体はさらに、前記システムを分析器内の中心に設置するための手段を備える、項目1に記載のシステム。
(項目32)
前記第2の複数のポートのうちの少なくとも1つは、実質的に、前記中心チャンバ内の最下点に位置する、項目1に記載のシステム。
(項目33)
前記中心チャンバの壁は、前記第2の複数のポートのうちの前記少なくとも1つを通して、前記中心チャンバ内の液体を適正に排出するように傾斜されている、項目32に記載のシステム。
(項目34)
前記カートリッジ筐体はさらに、前記流体ネットワークに連結されたフィルタを備える、項目1に記載のシステム。
(項目35)
前記フィルタは、ケイ酸マトリクスである、項目34に記載のシステム。
(項目36)
前記フィルタは、複数のシリカビーズを備える、項目34に記載のシステム。
(項目37)
前記中心チャンバ内に配置された撹拌棒をさらに備える、項目1に記載のシステム。
(項目38)
前記カートリッジ筐体はさらに、複数の液体感知面積を備える、項目1に記載のシステム。
(項目39)
液体の存在は、光学センサを使用して、前記液体感知面積において検出される、項目38に記載のシステム。
(項目40)
前記カートリッジ筐体はさらに、前記流体ネットワークに連結された複数のフリットを備える、項目1に記載のシステム。
(項目41)
液体試料を貯蔵および移送するように構成された移送モジュールであって、前記移送モジュールは、
中心チャンバを封入する内側筐体と、
前記内側筐体の周囲に形成された外被であって、前記外被は、
前記外被の外側表面に沿うパターン化されたリッジであって、前記パターン化されたリッジは、前記移送モジュールが前記パターン化されたリッジと接触する封入体内に配置されると、前記外被の外側表面に沿って複数の弁領域を画定するように構成されている、パターン化されたリッジと、
前記外被および前記内側筐体を通して、前記中心チャンバ内に延在する複数のポートと
を備える、外被と
を備え、
前記複数の弁領域のうちの1つは、前記複数の弁領域内の他の領域と別個に加圧されるように構成されている、移送モジュール。
(項目42)
前記複数の弁領域のうちの1つが加圧されると、前記複数のポートのうちの1つ以上を介して、前記中心チャンバの内外いずれかに流体の流動が生じる、項目41に記載の移送モジュール。
(項目43)
前記パターン化されたリッジはさらに、前記移送モジュールを実質的に囲繞する筐体の少なくとも2つのポートと整列する、前記外被の外側表面上の面積を画定し、流体が前記少なくとも2つのポート間を流動することを可能にするように構成されている、項目41に記載の移送モジュール。
(項目44)
前記内側筐体および前記外被は、単一射出成形ユニットとして形成されている、項目41に記載の移送モジュール。
(項目45)
前記複数のポートは、前記移送モジュールの側面に沿って、かつ前記移送モジュールの上部に沿って配列されている、項目41に記載の移送モジュール。
(項目46)
複数の前記パターン化されたリッジは、トロイド形状を有する、項目41に記載の移送モジュール。
(項目47)
前記複数のポートのうちの少なくとも1つは、実質的に、前記中心チャンバ内の最下点に位置する、項目41に記載の移送モジュール。
(項目48)
前記中心チャンバの壁は、前記複数のポートのうちの前記少なくとも1つを通して、前記中心チャンバ内の液体を適正に排出するように傾斜されている、項目47に記載の移送モジュール。
(項目49)
前記中心チャンバ内に配置された撹拌棒をさらに備える、項目41に記載の移送モジュール。
(項目50)
前記中心チャンバの一端を密閉するように構成され、前記中心チャンバ内に傾斜構造を有する蓋をさらに備える、項目41に記載の移送モジュール。
(項目51)
前記傾斜構造は、前記中心チャンバ内の液体を前記複数のポートのうちの1つ以上に指向させるように構成された複数のチャネルを備える、項目50に記載の移送モジュール。
(項目52)
方法であって、前記方法は、
移送モジュールを側方に平行移動させ、中心チャンバを有する前記移送モジュールの第1のポートを第1のチャンバのポートに整列させることと、
第1の圧力差を介して、試料を前記第1のチャンバから前記中心チャンバ内に引き込むことと、
前記移送モジュールを側方に平行移動させ、前記移送モジュールの第2のポートを第2のチャンバのポートに整列させることと、
第2の圧力差を介して、前記試料を前記中心チャンバから前記第2のチャンバ内に引き込むことと
を含む、方法。
(項目53)
前記第1のチャンバ内に導入された前記試料と前記第1のチャンバ内に配置されたバッファを混合することをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記第1のチャンバから前記中心チャンバ内に引き込まれた前記試料と前記中心チャンバ内に既に存在する液体を混合することをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目55)
前記試料を担持するスワブを介して、前記試料を前記第1のチャンバに導入することをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目56)
前記第2のチャンバ内の試料を処理することと、
第3の圧力差を介して、前記試料を前記第2のチャンバから前記中心チャンバ内に引き込むことと、
前記移送モジュールを側方に平行移動させ、前記移送モジュールの第2のポートを第3のチャンバのポートに整列させることと、
第4の圧力差を介して、前記試料を前記中心チャンバから前記第3のチャンバ内に引き込むことと、
前記第3のチャンバ内にある間、前記試料の1つ以上の品質を測定することと
をさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目57)
測定することは、蛍光信号を光学的に測定することを含む、項目56に記載の方法。
(項目58)
測定することは、吸収率を光学的に測定することを含む、項目56に記載の方法。
(項目59)
前記試料を前記第2のチャンバ内に引き込んだ後、または前記試料を前記第3のチャンバ内に引き込んだ後のいずれかにおいて、前記試料を加熱することをさらに含む、項目56に記載の方法。
(項目60)
前記移送モジュールを側方に平行移動させることを繰り返し、前記移送モジュールの第1のポートと1つ以上のチャンバの種々のポートを整列させることをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目61)
1つ以上の圧力差を介して、1つ以上の液体を前記1つ以上のチャンバから前記中心チャンバ内に引き込むことをさらに含む、項目60に記載の方法。
(項目62)
前記移送モジュールを側方に平行移動させることを繰り返し、前記移送モジュールの第2のポートと1つ以上のチャンバの種々のポートを整列させることをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目63)
1つ以上の圧力差を介して、1つ以上の液体を前記1つ以上のチャンバから前記中心チャンバ内に引き込むことをさらに含む、項目62に記載の方法。
(項目64)
1つ以上の圧力差を介して、1つ以上の液体を前記中心チャンバから前記1つ以上のチャンバ内に引き込むことをさらに含む、項目62に記載の方法。
(項目65)
前記第2のチャンバ内に前記試料を処理することと、
第3の圧力差を介して、前記試料を前記第2のチャンバから前記中心チャンバ内に引き込むことと、
前記移送モジュールを側方に平行移動させ、前記移送モジュールの第2のポートを第3のチャンバのポートに整列させることと、
第4の圧力差を介して、前記試料を前記中心チャンバから前記第3のチャンバ内に引き込むことと、
前記第3のチャンバ内に前記試料を処理することと、
前記移送モジュールを側方に平行移動させ、前記移送モジュールの第2のポートを第4のチャンバのポートに整列させることと、
第5の圧力差を介して、前記試料を前記中心チャンバから前記第4のチャンバ内に引き込むことと、
前記第4のチャンバ内にある間、前記試料の1つ以上の品質を測定することと
をさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目66)
前記試料を前記第2のチャンバ内に引き込むことは、フィルタを通して、前記試料を流動させることを含む、項目52に記載の方法。
(項目67)
前記試料を前記第2のチャンバ内に引き込むことは、流体スプリッタを通して、前記試料を1つ以上のサブチャンバ内に流動させることを含む、項目52に記載の方法。
(項目68)
前記中心チャンバ内において前記試料を磁気撹拌棒で混合することをさらに含む、項目52に記載の方法。
(項目69)
方法であって、前記方法は、
筐体内で移送モジュールを側方に平行移動させ、前記移送モジュールの外側表面上の構造を第1のチャンバと関連付けられた第1のポートおよび第2のチャンバと関連付けられた第2のポートと整列させることと、
少なくとも、前記第1のポートおよび前記第2のポートを覆って整列された前記構造を介して、試料を前記第1のチャンバから前記第2のチャンバに引き込むことと、
前記移送モジュールの壁を通したポートを介して、前記試料を前記第2のチャンバから前記移送モジュール内に位置する第3のチャンバに引き込むことと
を含む、方法。
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を形成する、付随の図面は、本発明の実施形態を図示し、説明とともに、さらに、本発明の原理を説明し、当業者が、本発明を作製および使用することを可能にする役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態が、付随の図面を参照して、説明される。
【0013】
(詳細な説明)
具体的構成および配列が論じられるが、これは、例証的目的のためだけに行なわれることを理解されたい。当業者は、他の構成および配列も、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、使用されることができることを認識するであろう。本発明はまた、種々の他の用途において採用されることができることも、当業者に明白となるであろう。
【0014】
本明細書では、「一実施形態」、「ある実施形態」、「ある例示的実施形態」等の言及は、説明される実施形態が、特定の特徴、構造、または特性を含んでもよいが、全ての実施形態が必ずしも、特定の特徴、構造、または特性を含まなくてもよいことを示すことに留意されたい。また、そのような語句は、必ずしも同じ実施形態を指しているとは限らない。さらに、特定の特徴、構造、または特性は、実施形態に関連して説明されるが、明示的に説明されるか否かにかかわらず、他の実施形態に関連して、そのような特徴、構造、または特性に影響を及ぼすことは、当業者の知識の範囲内であることが提示される。
【0015】
本明細書に説明される実施形態は、種々の分子、免疫アッセイ、または生化学試験等を行なうための試験カートリッジシステムに関する。ある実施形態では、試験カートリッジは、そのような試験を行なうために必要な構成の全てを単一の使い捨てパッケージに統合する。試験カートリッジは、試験カートリッジ内で生じる反応に関連するデータを提供する、外部測定システムによって分析されるように構成されてもよい。
【0016】
一実施例では、単一試験カートリッジは、多重化免疫アッセイを所与の試料を用いて行なうように使用されてもよい。試験カートリッジは、免疫アッセイを行なうためにカートリッジ内に統合された密閉されたチャンバ内に保持される、必要バッファ、試薬、および標識の全てを含有する。
【0017】
別の実施例では、単一試験カートリッジは、PCRを行なうために使用されてもよい。DNAおよび/またはRNAは、試験カートリッジ内に組み込まれた膜を介して、試料(溶解物)の残部から精製されてもよい。試料は、膜を通して抽出されてもよい一方、別個に貯蔵された溶出液体は、DNAおよび/またはRNAを除去し、別のチャンバに運び、温度循環プロセスを開始してもよい。
【0018】
前述のもの等の任意の試験は、いくつかの形態の液体移送が生じることを要求する。ある実施形態では、試験カートリッジは、カートリッジ筐体の側面に沿って、ポートを整列させるための複数のポートを含む、可動中空移送モジュールを含む。液体は、圧力差をシステムに印加することによって、中空移送モジュールの内外いずれかに、カートリッジ筐体の他の種々のチャンバ間で移送されてもよい。一実施例では、外部アクチュエータが、圧力差を印加するために利用される。
【0019】
分子診断器具類の主要な制限の1つは、交互汚染、同伴飛沫汚染等の汚染と関連付けられた問題である。本明細書に説明される実施形態は、設計によって、実質的に、器具への試料の汚染を排除する。
【0020】
一実施形態では、試験カートリッジは、製造プロセスの際に密閉された内蔵液体をもたらす。試薬または試料は、環境または器具の任意の部品と接触しない。試験カートリッジの本特徴はまた、多くの検査室および病院にとって、その使用後、製品を安全に廃棄するためにも重要である。
【0021】
試験カートリッジシステムの構成要素に関するさらなる詳細は、図を参照して本明細書に説明される。各物理的構成要素の例証は、限定を意味するものではなく、当業者は、説明本明細書の説明を前提として、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、構成要素のいずれかを再配列または別様に改変する方法を認識するであろうことを理解されたい。
【0022】
第1の試験カートリッジ実施形態
図1−4は、ある実施形態による、種々の図および試験カートリッジシステムの構成要素を図示する。
図1は、カートリッジ筐体102と、移送モジュール104とを含む、試験カートリッジシステム100を図示する。他の構成要素も同様に、分析器モジュールあるいはポンプまたはヒータ等の種々の能動的構成要素等、試験カートリッジシステム100内への含有のためにも検討され得る。
【0023】
移送モジュール104は、内側筐体110と、外被108と、蓋106とを含む。外被108は、ある実施形態によると、内側筐体110の周囲に嵌合するように設計される。一実施例では、内側筐体110は、金属またはプラスチック等の硬質材料から作製される一方、外被108は、ゴムまたは軟質プラスチック等の柔軟材料から作製される。別の実施例では、外被108および内側筐体110は両方とも、同一の材料または異なる材料であり得る、軟質柔軟材料から作製される。別の実施例では、外被108および内側筐体110は両方とも、重ね射出プロセスを介して作製される。蓋106は、移送モジュール104の端部を密閉し、漏出を防止するように設計される。移送モジュール104の構成要素に関するさらなる詳細は、
図3および4を参照して後述される。
【0024】
移送モジュール104は、チャンバ格納部部分120を介して、カートリッジ筐体102内に挿入されるように設計される。一実施形態では、移送モジュール104は、外部アクチュエータ(図示せず)に接続するように構成される。外部アクチュエータは、カートリッジ筐体102内で移送モジュール104を側方に移動させ、移送モジュール104上のポートをカートリッジ筐体102上のポートに整列させてもよい。別の実施形態では、移送モジュール104は、ユーザによって、外部スライダの動作を介して、カートリッジ筐体102内を移動するように構成される。
【0025】
カートリッジ筐体102は、種々の流体チャネルと、チャンバと、リザーバとを含む。例えば、カートリッジ筐体102は、アッセイまたはPCRプロトコルの際に使用されるべき種々のバッファまたは他の試薬を含有し得る、複数の貯蔵チャンバ116を含んでもよい。貯蔵チャンバ116は、エンドユーザが、試験カートリッジシステム100を分析器内に設置する前に、貯蔵チャンバ116を充填する必要がないように、種々の液体で予充填されてもよい。カートリッジ筐体102はさらに、カートリッジ筐体102の側面に沿って流体チャネルに接続された1つ以上の処理チャンバ124A−Cを含んでもよい。処理チャンバ124A−Cは、種々の処理および/または廃棄物用途のために使用されてもよい。一実施例では、チャンバ124Aは、廃棄物チャンバであって、チャンバ124Bは、PCRプロトコルのための溶出チャンバであって、チャンバ124Cは、スワブ溶出チャンバである。ある実施形態では、カートリッジ筐体102は、試験カートリッジシステム100のより容易な取扱を提供するためのグリップ構造117を含む。
【0026】
試料は、ある実施形態によると、試料ポート114を介して、カートリッジ筐体102内に導入される。一実施例では、試料ポート114は、一般的医療スワブの長さを完全に受容するように定寸される。したがって、ユーザは、区切れ点までまたは完全にのいずれかにおいて、スワブを試料ポート114内に設置し、続いて、ポートをポート蓋112で密閉してもよい。別の実施例では、試料ポート114は、固体、半固体、または液体試料を受容する。ある実施形態では、カートリッジ筐体102は、試料を導入するための2つ以上の入口を含む。
【0027】
カートリッジ筐体102は、フィルタ、ゲル、膜等、試験を行なうための1つ以上の有用構造を組み込んでもよい。例えば、カートリッジ筐体102は、空洞122内に格納された膜を含んでもよい。一実施形態では、膜は、カートリッジ筐体102の外側に沿って、流体チャネルと連結される。別の実施形態では、膜は、処理チャンバ124A−Cのうちの任意の1つ内に配置されてもよい。
【0028】
カートリッジ筐体102の周囲の種々のチャンバおよびチャネルは、カバー118、126、および128の使用を介して密閉されてもよい。カバーは、流体をカートリッジ筐体102内に密閉可能なフィルムであってもよい。別の実施例では、カバーは、プラスチックシートまたは密閉する任意の他の手段であってもよい。ある実施例では、カバーのうちの1つ以上は、透明である。
【0029】
統合された試験カートリッジシステム100は、ユーザが、試料を、例えば、試料ポート114内に設置し、次いで、試験カートリッジシステム100を分析器内に設置することを可能にする。実施形態では、例えば、再懸濁液溶解、精製、混合、加熱、結合、標識化、および/または検出を含む、行なわれるべき反応ステップは全て、エンドユーザの介入のいかなる必要性も伴わずに、分析器との相互作用を介して、試験カートリッジシステム100内で行なわれることができる。加えて、液体の全ては、試験カートリッジシステム100内で密閉されたままであるため、試験完了後、試験カートリッジシステム100は、分析器から除去され、分析器の汚染を伴わずに、安全に廃棄され得る。
【0030】
図2A−Dは、実施形態による、カートリッジ筐体102の種々の図を図示する。各図の説明は、カートリッジ筐体102上に存在し得る、特徴を説明するために記載されるが、特徴の設置または寸法特性に関する限定となるべきではない。
【0031】
図2Aは、カートリッジ筐体102の側面図の実施例を提供する。したがって、図は、カートリッジ筐体102内に延在する、流体ネットワークおよび一連のポートによって接続される、複数のチャンバを図示する。これらの群はそれぞれ、以下により詳細に論じられる。
【0032】
複数の処理チャンバは、廃棄物チャンバ218と、溶出チャンバ220と、スワブ溶出チャンバ206とを含んでもよい。本明細書の説明を前提として、当業者によって想定されるであろう他のタイプのチャンバもまた、含まれてもよい。さらに、各チャンバの目的は、本明細書に規定された名称と異なってもよい。
【0033】
複数の反応チャンバ216もまた、示される。そのようなチャンバは、例えば、遠心分離チューブと同様に成形されてもよい。一実施形態では、液体は、反応チャンバ216内に引き込まれ、各反応チャンバ内に予装填された試薬と混合してもよい。例えば、各反応チャンバは、異なるDNAプローブまたはリアルタイムPCRマスタ混合物で装填されてもよく、液体は、各反応チャンバ内に引き込まれ、各チャンバ内に固有の混合物を生成してもよい。試薬は、装填される前に凍結乾燥されてもよく、または反応チャンバ216内に凍結乾燥されてもよい。別の実施形態では、反応チャンバ216はまた、試料検出のために使用される。したがって、一実施形態では、反応チャンバ216はまた、検出チャンバと見なされてもよい。検出は、外部光学源と、試験カートリッジシステム100が設置される、分析器に連結された光検出器を使用して、生じてもよい。したがって、反応チャンバ216の任意の壁またはカバーは、光学検出を可能にするために透明であってもよい。一実施例では、光検出器は、1つ以上の波長において、反応チャンバ内の液体を通しての吸収率を測定する。別の実施例では、光検出器は反応チャンバ内の蛍光化合物から発生される蛍光信号を測定する。ある実施形態では、蛍光測定は、反応チャンバ216の真下から行なわれる。反応チャンバ216は、他の検出手段、例えば、電気化学、電気機械的、表面プラズモン共鳴等のために適合されてもよい。
【0034】
一式のより小型のチャネル拡張部214が、ある実施形態によると、反応チャンバ216の上流に観察される。チャネル拡張部214は、液体感知面積として作用してもよい。したがって、チャネル拡張部214は、外部光学プローブと併用され、流体がチャネル拡張部214内に存在するかどうか判定してもよい。本判定は、試験カートリッジシステム100の他の機能を起動させるために使用されてもよい。別の実施形態では、チャネル拡張部214は、パターン化された抵抗センサ等の統合されたセンサを含み、流体の存在または流速を示してもよい。
【0035】
種々の流体チャネルは、チャンバのそれぞれまたはカートリッジ筐体102内の他の要素に接続する。各チャネルはまた、移送モジュール104上のポートまたは弁領域と接合するであろう、ポートで終端するように設計される。ある実施形態では、カートリッジ筐体102は、液体ポート210列および通気/吸引ポート212列等の2つの主要ポート列を含む。液体ポート210は、流体が、
図2Aに描写されるチャンバのいずれかに流動するか、またはフィルタ222を通して流動することを可能にする。液体ポート210は、液体がカートリッジ筐体102から移送モジュール104内に引き込まれるための入口ポート、または液体が移送モジュール104からカートリッジ筐体102の流体ネットワークに放出されるための出口ポートのいずれとして作用してもよい。通気/吸引ポート212は、液体がその対応するチャンバ内に引き込まれ得るように、特定の流体チャネルを大気に開放するために使用されてもよい。例えば、真空圧力が、通気/吸引ポート212列の左端に図示されるポートに印加されてもよく、これは、液体が、液体ポート210列の左から2番目のポートを介して、廃棄物チャンバ218内に流入することを可能にするであろう。別の実施例では、通気/吸引ポート212列の左から2番目のポートから印加される真空圧力は、液体を左から3番目の液体ポートから溶出チャンバ220内に引き込むであろう。別の実施形態では、通気/吸引ポート212が、大気に開放されてもよい。
【0036】
他の処理ポート204は、カートリッジ筐体102の別の区画に通じることが観察され得る。処理ポート204は、内側処理チャンバ内外に通じてもよい。例えば、内側処理チャンバは、試料内の任意の細胞を溶解するためのビーズ撹拌器チャンバであってもよい。別の実施例では、試料含有固体、半固体、または液体材料は、第2の試料入口を介して、直接、内側処理チャンバ内に配置されてもよい。材料は、内側処理チャンバによって、均質化または溶解されてもよく、得られた液体試料は、内側処理チャンバの内側ポート(図示せず)を介して、内側処理チャンバから移送モジュール104に引き込まれてもよい。
【0037】
ポートは、カートリッジ筐体102の厚さを通して延在する、小孔であってもよい。ある実施形態では、液体ポート210はそれぞれ、種々の液体ポート210間で側方に移動され得る、移送モジュール104上に位置する別のポートに整列するように設計される。ある実施形態では、通気/吸引ポート212はそれぞれ、ポートが、大気に通気されるか、または加圧されるかのいずれを可能にする、移送モジュール104の周囲の領域に整列するように設計される。種々のポートは、疎水性材料を含んでもよく、または任意の印加される圧力の不在下、ポートを通した漏出を防止するような特異的幾何学形状を有してもよい。
【0038】
フィルタ222は、図示されるように、流体ネットワーク内に統合されてもよい。したがって、液体は、圧力差のため、フィルタ222を通して通過する。フィルタ222は、例えば、核酸配列を捕捉するために使用される、ケイ酸マトリクスを含んでもよい。別の実施例では、フィルタ222は、全血試料から血漿を抽出するための膜であってもよい。逆浸透フィルタ等、他のフィルタタイプも同様に、想定され得る。別の実施例では、フィルタ222は、例えば、タンパク質精製プロトコルを行なうための親和性クロマトグラフィカラムに好適な材料を含んでもよい。
【0039】
図2Bは、カートリッジ筐体102の別の例示的実施形態を図示する。本実施形態は、廃棄物チャンバ218と、溶出チャンバ220と、スワブ溶出チャンバ206とを含む、
図2Aに図示される例示的カートリッジ筐体と同一の特徴の多くを含む。しかしながら、液体ポート210に接続された流体ネットワークは、ここでは、反応チャンバ224と、チャンバ225と、複数の検出チャンバ226a−eとを含む。一実施例では、単一流体経路が、反応チャンバ224、チャンバ225、および検出チャンバ226a−eのそれぞれにともに接続する。別の実施例では、流体経路は、廃棄物チャンバ218で終端する。一連のチャネル拡張部214も同様に、図示され、
図2Aに前述の実施形態におけるものと同一の目的を果たしてもよい。本実施形態に説明されるチャンバの配列は、免疫アッセイまたは他のタイプの結合親和性アッセイのために有用であり得る。
【0040】
反応チャンバ224は、検出チャンバ226a−eに通過する前に、試料と混合されるべき試薬を含有してもよい。試薬は、最初に、凍結乾燥され、設置されてもよく、または反応チャンバ224内に凍結乾燥され、液体試料との接触に応じて、再水和されてもよい。チャンバ225は、新しい一式の凍結乾燥された試薬を含有してもよく、PCRプロトコルの際、核酸配列のさらなる増幅を行なうために利用されてもよい。別の実施例では、チャンバ225は、試料と混合されるべきさらなる試薬を含有してもよい。代替として、チャンバ225は、検出チャンバ226a−eに通過する前に、試料からある化合物を分離するためのフィルタまたは捕捉プローブを含有してもよい。
【0041】
検出チャンバ226a−eは、
図2Aに前述のように、反応チャンバ216と同様に、光学照合を可能にするように構成される。一実施例では、各検出チャンバ226a−eは、種々の結合親和性アッセイを行なうための固定化されたプローブを含有する。検出チャンバ226a−eの少なくとも1つの壁は、蛍光測定のために、可視光に透明であるように作製される。ある実施例では、蛍光測定は、検出チャンバ226a−eの真下から行なわれる。
【0042】
図2Cは、ある実施形態による、カートリッジ筐体102の上面図を図示する。複数の貯蔵チャンバ230A−Eが、観察され、
図1に前述のような貯蔵チャンバ116に類似してもよい。試料入口窓232もまた、ある実施形態によると、カートリッジ筐体102の上部に配置される。試料入口窓232は、試料を内側処理チャンバ内に設置するために使用されてもよい。例えば、固体試料は、試験が開始し得る前に、均質化される必要があり得る。これらの固体試料は、試料入口窓232内に設置され、直接、内側処理チャンバ内に流入してもよい。
【0043】
入口ポート228列は、ある実施形態によると、各ポートが、一意の貯蔵チャンバ内にあるように提供される。種々の貯蔵チャンバ230A−E内に貯蔵された溶液は、試験手技の間の適切な時間に、対応する入口ポートを通して、移送モジュール104内に引き込まれてもよい。したがって、移送モジュール104はまた、入口ポート228のそれぞれと整列し得る、移送モジュール104の上部に位置する、別のポートを有する。ある実施例では、移送モジュール104の側方移動は、入口ポート228のどのポートが、移送モジュール104の上部ポートに整列されるかを変更させる。別の実施例では、入口ポート228は、移送モジュール104に到達する前に、直接、カートリッジ筐体102内の流体ネットワークに通じてもよい。
【0044】
貯蔵チャンバ230A−Eのうちの少なくとも1つは、試料ポート114を介して、カートリッジ筐体102内に設置された試料を受容するように構成されてもよい。例えば、貯蔵チャンバ230Bは、試料用綿スワブを受容するように定寸されてもよい。別の実施例では、貯蔵チャンバ230Bは、試料が導入されると、試料を懸濁させるための溶液を含有する。
【0045】
図2Dは、カートリッジ筐体102の別の側面(側面
図2Aに図示される側面と反対)の図を図示する。加えて、カートリッジ筐体102は、ある実施形態によると、加圧ポート236と、通気ポート234とを含む。加圧ポート236は、外部圧力源、例えば、真空ポンプ、注射器ポンプ、圧力ポンプ等に接続されてもよい。一実施例では、外部圧力源は、その中に試験カートリッジシステム100が設置される、分析器と統合される。加圧ポート236を介して、システムに印加される圧力差は、カートリッジ筐体102および移送モジュール104内の種々の領域全体を通して、液体を移送するために使用されてもよい。通気ポート234は、ある実施形態によると、大気に開放されるように構成されてもよい。したがって、通気/吸引ポート212は、同様に、通気ポート234に連結される、移送モジュール104の周囲の領域に通じてもよい。別の実施例では、加圧源は、加圧ポート236に接続され、液体を通気/吸引ポート212を通して引き込む。任意の数のポートが、カートリッジ筐体102および移送モジュール104内ならびにその周囲の種々の領域を加圧するために含まれてもよい。
【0046】
一実施形態では、カートリッジ筐体102は、試験カートリッジシステム100を自動化された分析器内に中心付けるように構成される、構造を提供する。例えば、複数のオリフィス235a−bが、カートリッジ筐体102上に存在し、分析器上の対応するピンと連結し、外部精密位置決めシステムに対して試験カートリッジシステム100を中心付けるのを補助してもよい。長円の突出部も同様に、中心試験カートリッジシステム100を自動化された分析器内に中心付けるために使用されてもよい。
図2Dにおけるカートリッジ筐体102の下側には、光学アクセス面積240が、ある実施形態によると、反応チャンバ216の下方に配置される。光学アクセス面積240は、実質的に、光学検出プロセスの際に使用される全波長に透明であるように構成される。一実施例では、各個々の反応チャンバは、その独自の光学アクセス面積を有する。別の実施例では、単一光学アクセス面積が、複数の反応チャンバ216にわたって伸展する。
【0047】
フィルムまたは複数のフィルムが、一連の反応チャンバ216を覆って設置されてもよい。フィルムは、依然として、適正な密閉を提供する一方、また、外部源を介して、反応チャンバ216内の内容物のより容易な加熱および/または冷却を可能にするために十分に薄くてもよい。例えば、フィルムは、熱電デバイス、抵抗ヒータ、および強制空気のうちの任意の1つまたはそれらの組み合わせによって熱的に制御される、表面と接触してもよい。
【0048】
図3A−Dは、ある実施形態による、移送モジュール104の内側筐体110の周囲および内側の両方の種々の図を図示する。
図3Aは、ある実施形態による、内側筐体110の斜視図を描写する。内側筐体110は、剛性材料であり得る、ケース302から形成される。例えば、ケース302は、硬質プラスチックまたは金属材料であってもよい。別の実施例では、ケース302は、可撓性プラスチック材料であってもよい。
【0049】
内側筐体110は、ケース302の厚さを通して延在する、1つ以上のポートを含む。ポートは、一次入口ポート306と、移送圧力ポート308とを含んでもよい。ある実施形態では、一次入口ポート306は、
図2Cに描写されるように、入口ポート228の種々の1つと整列する。
【0050】
ある実施形態では、トラック304は、弁外被108を内側筐体110の周囲の定位置に保持するために使用される。弁外被108は、
図4A−Cにおいて、別個に説明される。ケース302はまた、移送モジュール104をアクチュエータに接続するための連結領域310を含んでもよい。アクチュエータは、電動式であって、移送モジュール104に力を印加し、移動を生じさせてもよい。別の実施形態では、連結領域310は、ユーザが、力を構造に印加し、その結果、移送モジュール104を移動させることを可能にする、任意の様式の構造に接続されてもよい。
【0051】
図3Bは、内側筐体110の側面図を図示する。示される図は、
図3Aの外方に向いた側面である。類似トラック304は、内側筐体110の本側面上にも同様に図示される。別の実施形態では、内側筐体110のみ、単一トラック構造を含む。また、図示されるのは、一次出口ポート312である。ある実施形態では、一次出口ポート312は、
図2Aに描写されるように、液体ポート210の種々の1つと整列する。内側筐体110は、ケース302の表面の周囲に任意の数のポートを含んでもよく、ここに示される例証はポートのその設置および数における限定であることを意図するものではないことを理解されたい。
【0052】
図3Cは、ある実施形態による、内側筐体110の内部の断面図を図示する。ケース302は、移送チャンバ316を封入する。また、含まれるのは、流体または任意の他の試料タイプを移送チャンバ316内に密閉するためのチャンバカバー318である。
【0053】
一次出口ポート312は、移送チャンバ316内の最下点またはその近傍に図示される。設置は、移送チャンバ316内の任意の液体が、一次出口ポート312を通して適正に排出することを可能にする。さらに、適正な排出を促進するために、移送チャンバ316の内側壁は、ある実施形態によると、下向きに傾斜される。一実施例では、移送チャンバ316の1つ以上の壁が、傾斜される。一実施例では、楔320が、移送チャンバ316内に配置され、傾斜された表面を提供する。
【0054】
ある実施形態では、移送チャンバ316は、撹拌要素324を含有する。例えば、撹拌要素324は、磁気撹拌棒であってもよい。撹拌要素324は、移送チャンバ316の内容物を効果的に混合するために使用されてもよい。一実施例では、撹拌要素324は、外部磁場を介して励起される。ある実施形態では、カートリッジ筐体102は、移送モジュール104の移動経路に沿って配置される、1つ以上の磁石を含む。磁石の存在は、磁力を撹拌要素324に誘発し、それを移送チャンバ316内を移動させ得る。別の実施例では、撹拌要素324は、撹拌要素324を移動させるように構成されるアクチュエータに物理的に連結される。
【0055】
図3Dは、ある実施形態による、蓋106の斜視図を図示する。蓋106は、チャンバカバー318ならびにチャンバカバー318に連結された楔320の両方を含んでもよい。楔320とチャンバカバー318の統合は、より容易な製造プロセスを可能にする。
【0056】
図3Aに戻ると、内側筐体110の周囲に配置される種々のポートは、カートリッジ筐体102の種々のチャンバと移送チャンバ316との間で液体を移送するために利用されてもよい。ある例示的プロセスでは、移送モジュール104は、側方に移動され、一次入口ポート306とカートリッジ筐体102の複数の入口ポート228のうちの1つを整列させる。整列されると、真空圧力が、移送圧力ポート308を介して印加されてもよく、これは、液体をカートリッジ筐体102の貯蔵チャンバから移送モジュール104の移送チャンバ316内に引き込むであろう。移送モジュール104のさらなる側方移動は、一次入口ポート306とカートリッジ筐体102の複数の入口ポート228の異なる1つを整列させる。第2の印加される真空圧力は、液体をカートリッジ筐体102の別の貯蔵チャンバから移送チャンバ316内に引き込む。移送チャンバ316内の2つの液体はさらに、所望に応じて、撹拌要素324を用いて混合されてもよい。移送モジュール104の第3の側方移動は、一次出口ポート312とカートリッジ筐体102の液体ポート210のうちの1つを整列させる。移送圧力ポート308に印加される正圧は、液体を移送チャンバ316から、一次出口ポート312を通して、整列された液体出口ポートを介して、カートリッジ筐体102の流体ネットワーク内に放出させる。より多くの液体引き込みおよび放出手技が、行なわれてもよく、液体はまた、一次出口ポート312を介して、移送チャンバ316内に引き込まれてもよいことを理解されたい。
【0057】
特定の流体チャネルに沿った流体流動を制御し、かつ移送モジュール104の外側の周囲のどの領域が加圧されるかを制御するために、弁システムが、内側筐体110の周囲に実装される。
図4A−Cは、内側筐体110の周囲に配置される、弁外被108の種々の図を図示する。
【0058】
図4Aは、ある実施形態による、弁外被108の斜視図を図示する。弁外被108は、内側筐体110の周囲に嵌合する、柔軟なケーシング402を含む。柔軟なケーシング402は、ゴム等の可撓性材料であってもよい。ある実施形態では、柔軟なケーシング402の外側表面は、柔軟なケーシング402の厚さを通して延在し、内側筐体110上のポートと整列する、ポートを含む。例えば、第1のポート410は、一次出口ポート312と整列してもよい一方、第2のポート412は、一次入口ポート306と整列してもよい。
【0059】
柔軟なケーシング402の外側表面はまた、ある実施形態によると、種々のパターン化されたリッジおよび形状を含んでもよい。例えば、弁外被108の側面に沿ったトロイドリッジ404が、複数の通気/吸引ポート212の種々の1つと整列されてもよい。付加的トロイド構造414が、弁外被108の上部に沿って観察される。固体トロイド構造414は、複数の入口ポート228の種々の1つを覆って整列し、各ポートが、望ましくなく加圧されないように防止してもよい。固体トロイド構造414は、貯蔵チャンバ230a−e内の長期液体貯蔵のために好ましい。中空トロイド形状は、移送モジュール104がカートリッジ筐体102内で移動するにつれて、摩擦を低減させるという利点を提供する。
【0060】
他のパターン化されたリッジも同様に、存在してもよい。例えば、扇形リッジ406が、弁外被108の長さに沿って延在し、第1のポート410と整列されない、複数の液体ポート210のいずれかを密閉してもよい。別の実施例では、直線リッジ408は、カートリッジ筐体102の内側表面にかかる均質圧力を確実にする。
【0061】
種々のリッジパターンは、カートリッジ筐体102の内側壁に圧接するように設計される。これは、相互から密閉される、移送モジュール104の外側表面の周囲の複数の領域を生成する。したがってある領域における、印加される圧力差は、他の領域内の圧力に影響を及ぼさないであろう。本例示的設計は、
図4Bにより明確に観察され得る。
【0062】
図4Bは、ある実施形態による、移送チャンバ102内の移送モジュール104の断面を図示する。移送モジュール104の内側筐体302および弁外被108ならびに弁外被108からの突出部416が、示される。突出部416は、
図4Aを参照して前述のように、リッジおよびトロイド形状に類似してもよい。突出部416は、ある実施形態によると、カートリッジ筐体102の内側壁に圧接し、領域418A−C等、複数の弁領域を生成得る。例えば、領域418Bは、突出部416のため、領域418Aおよび418Cから分離され、したがって、領域418Aおよび418Cと別個に加圧され得る。
【0063】
一実施例では、領域418Bは、カートリッジ筐体102の側面上の加圧ポート236(
図2D)と関連付けられる。加圧ポート236(
図2D)を介して印加される圧力差もまた、突出部416によって分離される周囲領域を加圧せずに、領域418Bを加圧するであろう。
【0064】
断面図はまた、移送モジュール104の第1のポート410が、どのようにカートリッジ筐体102の液体ポート210のうちの1つと整列し得るかを図示する。突出部416は、ポート410を囲繞し、流体の漏出またはポート領域の望ましくない加圧を防止してもよい。
【0065】
図4Cは、ある実施形態による、弁外被108の側面図を図示する。描写される側面図は、
図4Aの外方を向いた側面である。弁外被108はさらに、ある実施形態によると、内側筐体110の移送圧力ポート308と整列され得る、圧力ポート420を含む。圧力ポート420は、直線リッジ428および蛇行リッジ422等の種々のリッジによって画定される、加圧領域424内に配置される。リッジのパターンおよび/または形状は、示されるものに限定されない。別の領域426も、ある実施形態によると、蛇行リッジ422の他の側面上に存在する。
図4Cを参照して説明される領域は、
図4Bを参照して前述の領域に類似すると見なされ得る。
【0066】
加圧領域424は、ある実施形態によると、カートリッジ筐体102のポートと関連付けられる。例えば、移送モジュール104が、カートリッジ筐体102内に位置するとき、加圧ポート236は、加圧領域424内に位置し得る。一実施例では、加圧ポートは、蛇行リッジ422の中央の水平部部分の下方に位置する。移送モジュール104が、カートリッジ筐体102内を平行移動するにつれて、加圧領域424は、一実施例によると、加圧ポート236と関連付けられたままである。別の実施例では、移送モジュール104の平行移動は、蛇行リッジ422と関連付けられた蛇行形状のため、通気ポート234を加圧領域424内に、および加圧ポート236を領域426内に整列させ得る。加圧領域424内に整列されたポートを介して印加された圧力差もまた、圧力ポート420を介して移送チャンバ316内に同一の圧力差を印加するであろう。別の実施例では、移送モジュール104の平行移動は、加圧ポート236と弁外被108の外側表面の周囲の種々の領域を整列させる。
【0067】
領域426もまた、ある実施形態によると、カートリッジ筐体102のポートと関連付けられる。例えば、通気ポート234は、蛇行リッジ422の中央の水平部部分の直上等、領域426内に位置してもよい。本実施例では、領域426は、大気圧に開放される。代替として、加圧ポート236は、領域426内、例えば、蛇行リッジ422の屈曲間に位置してもよい。真空圧力は、加圧ポート236に印加されてもよく、これは、同様に、領域426を加圧する。
【0068】
領域426は、ある実施形態によると、弁外被108の他の側面(
図4Aに描写される側面)に巻着してもよい。したがって、トロイドリッジ404ならびにトロイド構造414を囲繞する領域は全て、領域426と同一の領域と見なされ得る。例示的実施形態では、移送モジュール104が、離散ステップ間において、カートリッジ筐体102内を移動するにつれて、トロイドリッジ404は、ある実施形態によると、通気/吸引ポート212のうちの1つを残して全部を被覆する。トロイドリッジ404によって被覆されない1つの通気/吸引ポートは、次いで、大気圧または領域426に印加された圧力差のいずれかに曝される。
【0069】
第2の試験カートリッジ実施形態
図5−8は、別の実施形態による、試験カートリッジシステムの種々の図および構成要素を図示する。
図5A−5Bは、カートリッジ筐体502と、移送モジュール504とを含む、試験カートリッジシステム500の分解表現の図を図示する。移送モジュール504は、実質的に、第1の試験カートリッジ実施形態の移送モジュール104とシステム内に同一の機能を有する。移送モジュール504、104は両方とも、いくつかの実施形態によると、システム内で側方に移動し、移送モジュールの外部上のポートと筐体502、102の側面上のポートを整列させる。さらに、移送モジュール504は、外被508によって囲繞され、蓋506によって冠着された内部チャンバを有する、内側筐体510を伴う、移送モジュール104と類似構造を有する。移送モジュール504のさらなる詳細は、
図7A−Dを参照して後述される。
【0070】
筐体502は、いくつかの実施形態によると、筐体102と同一の特徴の多くを含む。例えば、筐体502は、複数の処理チャンバ524a−bと、移送モジュール504を受容するためのチャンバ格納部部分520と、ポート蓋512を伴う試料ポート514とを含む。一実施例では、チャンバ524aは、廃棄物チャンバであって、チャンバ524bは、スワブ受けチャンバである。試料ポート514は、一実施形態によると、医療用スワブの長さを受容するように定寸され得る、チャンバ524bに通じる。筐体502はまた、ある実施形態によると、筐体502の周囲の種々のチャンバおよびチャネルを密閉するための種々のカバー518、526、527、および528を含む。一実施例では、カバー526および518はそれぞれ、実質的に、筐体502と同一の材料から作製される。ある実施形態では、カバー526、528、および518の任意の1つは、実質的に、透明である。カバー527は、高熱伝導性、例えば、アルミニウム箔を伴う材料であって、筐体502内の試料へのより効率的熱伝達を可能にしてもよい。開口部513が、熱が、カバー527から、開口部513を介して、筐体502の内側処理チャンバに、より効率的に伝導され得るように、カバー526内に切り込まれてもよい。内側処理チャンバはまた、カバー532を伴う、その独自の入口を有してもよい。ある実施形態では、筐体502は、筐体502内に設置されるべき種々のタイプフィルタを受容するための上部開口部522を含む。一実施例では、膜またはシリカビーズ等の固相抽出材料が、上部開口部522を回して、筐体502のチャンバ内に設置されてもよい。複数の開口部が、いくつかの実施形態によると、カバー526および527の両方に観察される。カバー526の開口部は、筐体502の種々の小チャンバを覆って整列し、例えば、小チャンバ内に設置されるべき乾燥試薬のためのより多くの空間を可能にしてもよい。別の実施例では、カバー527の開口部は、筐体502のチャネルの感知面積に光学アクセスを提供してもよい。
【0071】
筐体502はまた、ある実施形態によると、内側処理チャンバ内への開口部515を含む。固体、半固体、または液体試料等の任意のタイプの試料が、開口部515を介して、内側処理チャンバ内に設置されてもよい。開口部515は、内側処理チャンバ内に設置された試料からのいかなる漏出も防止するために、カバー532によって冠着されてもよい。内側処理チャンバは、例えば、細胞を溶解するため、または試料を均質化するためのビーズ撹拌器チャンバであってもよい。筐体502は、種々のサイズのビーズ撹拌器モジュールを組み込むように定寸されてもよい。ある実施形態では、筐体502内のビーズ撹拌器モジュールは、10〜5000マイクロリットルの範囲の液体体積を受け入れる。別の実施形態では、ビーズ撹拌器モジュールの受入体積は、100〜1000マイクロリットルの範囲である。
【0072】
図6Aおよび6Bは、いくつかの実施形態による、筐体502の側面図をより詳細に図示する。
図6Aは、筐体502の側面上の種々の貯蔵チャンバを図示する。筐体502は、ある実施形態によると、7つの貯蔵リザーバ630a−gを含む。他の数の貯蔵リザーバもまた、可能性として考えられる。また、種々の貯蔵リザーバ630a−gの図示される形状およびサイズは、限定を意図するものではなく、事実上、任意の形状およびサイズを含むように改変され得ることを理解されたい。種々の貯蔵リザーバ630a−gはそれぞれ、リザーバ内への2つの開口部を含んでもよい。第1の開口部は、リザーバ内外いずれかに流体を移送するために、流体チャネルに連結され得る一方、第2の開口部は、大気圧へのリザーバの通気を可能にし得る。リザーバを通気する能力は、流体がそこから引き込まれるとき、より効率的にリザーバを空にすることを可能にし得る。さらに、空気が、通気開口部から逃散する能力を有する場合に、流体がその中に移動されるとき、空気が、リザーバ内に捕捉され得ない。
【0073】
また、図示されるのは、2つのチャンバ、すなわち、第1のバッファチャンバ642および第2のバッファチャンバ643である。各バッファチャンバは、ある実施形態によると、液体が、試験カートリッジシステムの流体基礎構造から流出しないように防止するために役立つように使用されてもよい。例えば、第1のバッファチャンバ642は、システムを通気させるために使用されるチャネルから偶発的に流れ出たいかなる「溢流」液体も保持するように設計されてもよい。通気チャネルはまた、液体感知面積を含んでもよい。液体が液体感知面積を横断する場合、センサが、通気ポートから逃散し得る前に、液体を停止させるために、流体を流動させるいかなる印加される力も遮断するように設計されてもよい。同様に、第2のバッファチャンバ643は、システムに圧力を印加するために使用されるチャネルから偶発的に流れ出たいかなる「溢流」液体も保持するように設計されてもよい。いくつかの実施形態では、印加される圧力は、試験カートリッジシステム500の種々のチャネルおよびチャンバを通して液体を吸引するための真空圧力である。圧力チャネルはまた、通気チャネルにおいて前述されたセンサと同様の方法で作用するように設計される、関連付けられたセンサを伴う、液体感知面積を含んでもよい。加えて、第1のバッファチャンバ642および第2のバッファチャンバ643と関連付けられた各ポートは、いくつかの実施形態によると、フィルタ641aおよび641bを含んでもよい。フィルタ641aおよび641bは、システムを通気および/または加圧するためにポートを使用するとき、システムの残部への汚染を防止するためのエアロゾルフィルタであってもよい。
【0074】
ある実施形態では、筐体502は、筐体502をより大きな分析器システム内に支持するために、締付点635aおよび635bを含む。試験カートリッジは、システムを加熱および/または冷却し、あるチャンバを光学的に測定し、真空またはポンプ源を提供し、移送モジュール504の移動を作動させるための構成要素を含む、分析器内に設置されてもよい。試験カートリッジシステム500の筐体502は、筐体502が、分析器の種々の動作が行なわれている間、移動しないように、締付点635aおよび635bを介して、分析器内の定位置に保持されてもよい。
【0075】
廃棄物通路641もまた、流体および任意の他の廃棄物試料を、例えば、チャンバ524a等の廃棄物チャンバに誘導するために、筐体502内に含まれてもよい。廃棄物チャンバ内への入口は、流体が、チャンバ内に流動することのみ可能にし、チャンバから流動させないように設計されてもよい。
【0076】
図6Bは、筐体502の反対側面の別の例示的実施形態を図示する。例示器流体配列が、移送モジュール504のポートとの流体連結のために整列された複数のポート610とともに提示される。また、図示されるのは、圧力ポート636および通気ポート634である。圧力ポート636は、ある実施形態によると、システム全体を通して、正圧または負圧差のいずれかを印加するために、外部圧力源に接続されてもよい。通気ポート634は、大気に開放されるか、または別の圧力源に接続するかのいずれかであってもよい。例えば、正圧差が、一方のポートに印加される一方、負圧差が、他方のポートに印加され、システムの連結されたチャネルを通して、より高速の液体移動となるよう付勢してもよい。
【0077】
筐体502はまた、
図2Aに関して前述の反応チャンバ216と同様に動作し得る、反応チャンバ616を含む。ある実施形態では、反応チャンバ616に通じる種々のチャネルは、予混合チャンバ631を含む。予混合チャンバ631は、乾燥または凍結乾燥された試薬等の乾燥した化学物質を含んでもよい。別の実施例では、予混合チャンバ631は、乾燥した化学的性質のビーズまたは生物学的試料を含む。そのような生物学または化学化合物は、使用前に、長期間、予混合チャンバ631内に貯蔵されてもよい。予混合チャンバ631の寸法は、一実施形態によると、具体的には、乾燥した化学的性質のビーズのサイズ、通常、約数ミリメートルの直径に適合するように設計されてもよい。一実施例では、反応チャンバ616に向かって引き込まれる流体は、予混合チャンバ631内に貯蔵された試料と混合する。種々のチャネルはまた、ある実施形態によると、センサ領域614を含む。センサ領域614は、対応するチャネル内の液体の存在および/または流速を判定するために使用されてもよい。外部光学プローブが、センサ領域614と併用され、判定を行なってもよい。別の実施例では、抵抗センサ等の統合されたセンサが、液体の存在または流速を示してもよい。制御システムは、センサ領域614から出力されたデータを使用して、試験カートリッジシステム500の種々の機能を起動させる、またはセンサ領域614を有する個別のチャネル内の液体の流速を制御してもよい。
【0078】
また、筐体502の側面上に図示されるのは、複数のフリット633である。各フリット633は、種々の粒子サイズを濾過または捕捉するように設計された種々の材料を含んでもよい。一実施例では、フリット633は、0.1ミクロン〜500ミクロンの範囲であり得る、選択可能な細孔サイズを伴う薄型メッシュを有する、プラスチック材料である。一実施形態では、フリット633は、約20ミクロンの細孔サイズを有する。
【0079】
図6Bにおけるカートリッジ筐体502の下側には、光学アクセス面積640が、ある実施形態によると、反応チャンバ616の下方に配置される。光学アクセス面積640は実質的に、光学検出プロセスの際に使用される全波長に透明であるように設計される。一実施例では、各個々の反応チャンバは、その独自の光学アクセス面積を有する。別の実施例では、単一光学アクセス面積が、複数の反応チャンバ616にわたって伸展する。一実施例では、光検出器は、1つ以上の波長において、反応チャンバ616内の液体を通しての吸収率を測定する。別の実施例では、光検出器は、反応チャンバ616内の蛍光化合物から発生される蛍光信号を測定する。蛍光測定は、反応チャンバ616の真下から、または反応チャンバ616の側面から行なわれてもよい。反応チャンバ216は、例えば、電気化学、電気機械的、表面プラズモン共鳴等、他の検出手段のために適合されてもよい。
【0080】
図7A−7Fは、いくつかの実施形態による、移送モジュール504内およびその周囲の種々の図を提供する。移送モジュール504の一般的特徴の多くは、実質的に、第1の試験カートリッジ実施形態の移送チャンバ104に類似する。例えば、移送モジュールは両方とも、より硬質な内側筐体の周囲に巻着された柔軟材料を含み、中心チャンバに向かって内向きに通じる外側上のポートを有する。しかしながら、移送モジュール504上のある特徴の配列および設計は、
図7A−7Fに関して本明細書に提供されるように、さらなる議論を正当化する。
【0081】
移送モジュール504の異なる側面からの2つの等角概略図が、いくつかの実施形態による、
図7Aおよび7Bに図示される。移送モジュール504は、内側筐体510の周囲に巻着された外被508を含む。移送モジュール504はまた、2つのポート712aおよび712bを含む。ある実施形態では、ポート712aおよび712bはそれぞれ、移送モジュール504の下側部部分に配置される。一実施例では、ポート712aおよび712bは、実質的に、相互に向かい合う。移送モジュール504はまた、移送モジュール504の上部部分に沿って、第3のポート706を含んでもよい。ある実施形態では、ポート712a、712b、および706は、移送モジュール504の内側の中心チャンバに通じる。ポート712a、712b、および706のいずれかは、流体移送のために、筐体502の種々のポートに連結するために使用されてもよい。別の実施例では、ポート712a、712b、および706のいずれかは、圧力差を試験カートリッジシステム500内の流体に印加するための加圧源に連結されてもよい。一実施形態では、ポート712aおよび712bは、ポート706が、移送モジュール504の中心チャンバを加圧または減圧するために使用されている間のみ、流体を移送するために使用される。
【0082】
移送モジュール504はまた、ある実施形態による、種々のパターン化されたリッジおよび形状を含む。移送モジュール104上の外被108のパターン化された構造と同様に、移送モジュール504上のパターン化された領域は、筐体502の種々のポートに整列し、移送モジュール504の周囲に種々の加圧または弁領域を画定してもよい。例えば、トロイド構造704は、筐体502上のポートを覆って整列し、そのポートを密閉してもよい。トロイド構造714の集合もまた、ある実施形態によると、提供される。トロイド構造714の集合は、移送モジュール504の位置に基づいて、同時に、筐体502の種々のポートを覆って整列するように配列されてもよい。一実施形態では、トロイド構造714の集合からのトロイド構造は、筐体502の少なくとも2つのポート間の流体ブリッジとして作用する。ある実施例では、流体は、同一のトロイド構造を覆って整列される2つのポートを通して流動させることによって、あるチャネルから別のチャネルに流動してもよい。このように、流体を移送モジュール504の中心チャンバを通して通過させる必要なく、流体を筐体502の異なるチャネルを通して移動させることが可能である。流体はまた、ある実施形態によると、依然として、ポート712a、712b、および706のいずれかを介して、移送モジュール504の中心チャンバ内外を流動してもよい。
【0083】
移送モジュール504の外被508はまた、種々のリッジ707および709を含んでもよい。ある実施形態では、リッジ707は、ポート610からの単一ポートのみ、ポート712aと整列されている間、筐体502の種々のポート610を覆って密閉するために使用される。リッジ709は、例えば、領域711および713等の複数の領域間を区別するために使用されてもよい。一実施形態では、領域711および713は、別個に加圧され得る面積を表す。例えば、領域711は、筐体502内の移送モジュール504の位置のため、圧力ポート636を介して加圧されてもよい。加圧領域711は、対応して、ポート706を介して、移送モジュール504の中心チャンバを加圧し、液体を移送モジュール504の中心チャンバ内に引き込む、または液体をそこから放出してもよい。
【0084】
また、移送モジュール504上に図示されるのは、ある実施形態による、移送モジュール504をアクチュエータに連結するための連結領域702である。アクチュエータは、実質的に、前述の第1の試験カートリッジ実施形態と同様に、移送モジュール504を筐体502内で側方に平行移動させるように設計されてもよい。
【0085】
図7Cは、ある実施形態による、移送モジュール504の長さに沿った移送モジュール504の断面図を図示する。移送モジュール504は、中心チャンバ716を含む。蓋506は、中心チャンバ716の端部を密閉するために使用される。一実施形態では、蓋506は、可撤性であるように設計される。蓋506は、一実施形態によると、中心チャンバ716内に延在し、中心チャンバ716内の任意の液体を排出するのに役立つ傾斜された表面を提供する。孔708は、液体を中心チャンバ716へ/から筐体502の他の面積へ/から移送するために、実質的に、中心チャンバ716内の蓋506の中央に配置される。移送チャネル710は、液体をポート712aおよび712bの一方または両方に向かってもたらしてもよい。
【0086】
図7Dは、ある実施形態による、パネル718および傾斜構造720を含む、蓋506の図を提供する。パネル718は、中心チャンバ716の端部を密閉するために使用されてもよい一方、傾斜構造720は、傾斜された表面を提供し、例えば、ポート712aまたは712bのいずれかに向かっての中心チャンバ716内の液体試料の移動を促進する。孔708もまた、ある実施形態によると、傾斜構造720の最下点に図示され、中心チャンバ716を真空にすると、液体の全てを適正に排出する。
【0087】
図7Eは、ある実施形態による、孔708および移送チャネル710を示す、蓋506の下方からの別の図を図示する。一実施例は、液体と移送モジュール504の側面上のポート712aおよび712bを整列させるための側面チャネル715を含む。図示されるチャネル構成は、流体を中心チャンバ716内外に指向させるための一実施例にすぎず、限定として見なされるべきではない。
【0088】
図7Fは、ある実施形態による、移送モジュール504の幅に沿った移送モジュール504の断面図を図示する。外被508は、内側筐体510の周囲に巻着するように観察される。外被508は、ある実施形態によると、種々の突出部724を含む。突出部724は、外被508上に種々のパターン化された構造を表してもよい。一実施例では、突出部724は、筐体502の内側壁に圧接し、種々の領域722a、722b、および722cを生成する。各領域は、筐体502内の移送モジュール504の位置に基づいて、別個に加圧されてもよい。ポート712aおよび712bは、ある実施形態による、それぞれ、筐体502のポート610のうちの1つおよび圧力ポート636と関連付けられたポートと整列されるように図示される。移送モジュール504が、筐体502内を側方に移動するにつれて、ポート712aおよび/または712bは、筐体502の異なるポート610と整列してもよい。また、中心チャンバ716内に図示されるのは、ある実施形態による、傾斜構造720および側面チャネル715である。例示的実施形態では、側面チャネル715は、U−形状において、ポート712aおよび712bのそれぞれに接続する。
【0089】
図8Aおよび8Bは、いくつかの実施形態による、分析のために試験カートリッジシステム内に設置されたスワブを図示する。
図8Aは、カートリッジ筐体のチャンバ524b内に設置されたスワブ802を図示する。チャンバは、ポート蓋512を用いて密閉される。一実施例では、スワブ802は、長さ約80mmを有する。チャンバ524bは、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、任意の長さのスワブを受容するように定寸されてもよいことを理解されたい。
【0090】
図8Bは、より長いスワブ806が、チャンバ524b内に設置され、延在蓋804を用いて密閉される、別の実施形態を図示する。延在蓋804は、チャンバ524bより長く、チャンバ開口部から突出するスワブを覆って密閉するために使用されてもよい。一実施例では、より長いスワブ806は、長さ約100mmである。より長いスワブ806は、チャンバ524b内で湾曲および/または屈曲されてもよい。
【0091】
例示的動作方法
カートリッジ筐体の実施形態およびその対応する移送チャンバの両方の種々のチャンバ間で流体移送を行なうための例示的方法が、以下に説明される。
【0092】
図9は、試験カートリッジシステム100の第1の実施形態を通して液体を移送するための例示的方法900の流れ図を表示する。方法900は、試験カートリッジシステム100を用いて行なわれ得る、一例示的動作シーケンスを説明し、限定として見なされるべきではないことを理解されたい。さらに、方法900はまた、試験カートリッジシステム500の第2の実施形態を使用して行なわれてもよい。
【0093】
ブロック902では、移送モジュール104は、ある実施形態によると、カートリッジ筐体102内で側方に移動され、移送モジュール104の入口ポートを第1のチャンバの出口ポートに整列させる。移送モジュール104の入口ポートは、例えば、一次入口ポート306であってもよい。第1のチャンバの出口ポートは、例えば、入口ポート228列の任意の1つであってもよい。
【0094】
ブロック904では、試料は、ある実施形態によると、印加された第1の圧力差を介して、第1のチャンバから移送チャンバ316内に引き込まれる。ある実施形態では、印加された圧力差は、移送圧力ポート308に印加される。印加された圧力差は、試料を移送チャンバ316内に引き込むために、真空圧力であってもよい。試料は、綿スワブまたは液体から第1のチャンバに導入されてもよい。第1のチャンバは、例えば、内側処理チャンバまたは試料ポート114と関連付けられた処理チャンバであってもよい。加えて、試料は、液体、半固体、固体等の任意の混合物であってもよい。
【0095】
ブロック906では、移送モジュール104は、ある実施形態によると、再び、カートリッジ筐体102内で側方に移動され、移送チャンバ316の出口ポートと第2のチャンバの入口ポートを整列させる。移送チャンバ316の出口ポートは、例えば、一次出口ポート312であってもよい。第2のチャンバの入口ポートは、例えば、液体ポート210列の任意の1つであってもよい。したがって、第2のチャンバの入口ポートは、廃棄物チャンバ218、反応チャンバ216、スワブ溶出チャンバ206等のカートリッジ筐体102の任意のチャンバに通じてもよい。
【0096】
ブロック908では、試料は、ある実施形態によると、印加された第2の圧力差を介して、移送チャンバ316から第2のチャンバに引き込まれる。第2の圧力差は、移送圧力ポート308に印加された正圧であってもよい。代替として、第2の圧力差は、液体を対応する通気/吸引ポート212と関連付けられたチャンバ内に引き込むために、通気/吸引ポート212に印加された真空圧力であってもよい。
【0097】
より多くの液体引き込み手技が、本明細書の説明を前提として、当業者によって理解されるであろうように、行なわれ得ることを理解されたい。例えば、ブロック904後、移送チャンバは、カートリッジ筐体102の上部に沿って、その入口ポートを第2の出口ポートに整列させ、別の貯蔵チャンバ内に貯蔵された別の液体を引き込んでもよい。本手技は、特定の分子試験のために必要なプロトコルに応じて、所望の回数だけ繰り返されてもよい。
【0098】
別の実施形態では、ブロック908後、さらなるステップが、試料を移送チャンバに引き戻し、液体を第3のチャンバ内に放出するために行なわれてもよい。例えば、第2のチャンバは、スワブ溶出チャンバ206であってもよい一方、第3のチャンバは、検出チャンバ216のうちの1つであってもよい。任意の数のチャンバが、所望の回数だけ引き込まれた、または抽出された液体を有してもよい。したがって、システムは、種々のチャンバ間で多数の液体移送パターンを可能にする。
【0099】
図10は、試験カートリッジシステム500の第2の実施形態を通して液体を移送するための例示的方法1000の流れ図を表す。方法1000は、試験カートリッジシステム500を用いて行なわれ得る、一例示的動作シーケンスを説明し、限定として見なされるべきではないことを理解されたい。
【0100】
ブロック1002では、移送モジュール504は、ある実施形態によると、カートリッジ筐体502内で側方に移動され、移送モジュール504の外側表面上の構造を、少なくとも、第1のチャンバと関連付けられた第1のポートおよび第2のチャンバと関連付けられた第2のポートに整列させる。第1のチャンバは、例えば、入力リザーバ622であってもよい一方、第2のチャンバは、貯蔵リザーバ630a−gのいずれかであってもよい。移送モジュール504の外側表面上の構造は、ある実施形態によると、第1および第2のポートの両方の周囲に嵌合するトロイド形状を有してもよい。
【0101】
ブロック1004では、試料は、ある実施形態によると、少なくとも、移送モジュール504の外側表面上の構造を介して、第1のチャンバから第2のチャンバに引き込まれる。このように、試料は、例えば、移送モジュール504の中心チャンバを通して通過せずに、第1と第2のチャンバとの間を移動してもよい。
【0102】
ブロック1006では、試料は、ある実施形態によると、第2のチャンバから第3のチャンバに引き込まれる。第3のチャンバは、移送モジュール504の中心チャンバ716であってもよく、液体は、移送モジュール504の壁を通したポートを介して、中心チャンバ716に流入してもよい。ポートは、例えば、
図7Aおよび7Bに図示される流体ポート706、712a、または712bのいずれかであってもよい。第3のチャンバは、試料を混合または濾過するための構成要素を含んでもよい。他の実施形態では、移送モジュール504は、側方に移動し、移送モジュール504のポートを筐体502の別のポートに整列させ、その中心チャンバ内の試料を整列されたポートを通して放出させてもよい。より多くの液体引き込み手技が、本明細書の説明を前提として、当業者によって理解されるであろうように、行なわれ得ることを理解されたい。
【0103】
(実施例)
ここで、試験カートリッジシステム100を使用して行なわれるべき2つの例示的プロトコルについて、論じられる。第1の例示的プロトコルは、リアルタイムPCR検出を対象とする一方、第2の例示的プロトコルは、免疫アッセイを対象とする。本明細書に列挙されるステップは、システムを使用し、各試験を行なうための可能性として考えられる実施例を提供することを理解されたい。
【0104】
PCRプロトコル
例示的PCRプロトコルは、カートリッジ筐体102の周囲の多数の処理チャンバならびに反応チャンバを利用する。一実施例では、PCRプロトコルは、
図2Aに図示されるカートリッジ筐体実施形態を使用する。プロトコルはまた、
図6A−6Bに図示されるカートリッジ筐体実施形態を使用して行なわれてもよいことを理解されたい。本実施例では、5つの貯蔵チャンバが使用され、それぞれ、事前に装填された溶液を含有する。貯蔵チャンバは、以下のように標識される。
【0105】
R1は、洗浄−2バッファを含有する。
【0108】
R4は、洗浄−3バッファを含有する。
【0109】
R5は、洗浄−1バッファを含有する。
【0110】
例示的PCR手技は、前述の例示的試験カートリッジシステム100を使用して本明細書に説明されるワークフローを使用して実施されてもよい。類似ステップも同様に、試験カートリッジシステム500上に図示される種々のチャンバおよびチャネルを使用して行なわれてもよい。試料は、スワブ受け114内のスワブを介して、試験カートリッジシステム100内に導入される。代替として、試料は、第2の入口を介して、直接、内側処理チャンバ内に導入され、統合されたビーズ撹拌器システムによって、溶解されてもよい。
【0111】
試料が試験カートリッジシステム100内に導入されると、試験カートリッジ全体が、分析器内に設置される。分析器は、移送モジュール104を移動させるためのアクチュエータと、PCR反応を行なうための1つ以上の加熱要素と、光学測定構成要素とを提供する。分析器はさらに、カートリッジ筐体102の周囲の圧力ポートに連結し、必要圧力差を印加してもよい。
【0112】
移送モジュール104は、溶解バッファをR2から移送チャンバ内に引き込むように整列される。移送モジュール104は、溶解バッファをスワブ溶出チャンバ206に移動させるために整列され、そこで、スワブからの試料は、溶解バッファ内に再懸濁される。試料は、溶解バッファとともに、次いで、処理ポート204を介して、内側処理チャンバ内に移動され、試料内の細胞に溶解を行い、DNAおよび/またはRNAを遊離させてもよい。溶解手技後、試料は、以降「溶解物」と称される。
【0113】
溶解物は、移送チャンバに印加された真空圧力を介して、内側処理チャンバから移送チャンバ内に引き戻される。次いで、移送モジュール104は、側方に移動され、その出力ポートを廃棄物チャンバと関連付けられたポートに整列させる。しかしながら、フィルタは、DNA配列を捕捉するために、廃棄物チャンバの上流に配置される。したがって、正圧を移送チャンバに印加後、溶解物は、廃棄物チャンバへの途中、フィルタを通して通過する。DNAは、フィルタ内に留まるであろう一方、任意の望ましくない物質の塊は、廃棄物チャンバへと通過するであろう。フィルタは、例えば、核酸配列を捕捉するためのケイ酸マトリクスまたは複数のシリカビーズであってもよい。
【0114】
移送モジュール104は、移動され、R5と整列し、洗浄−1バッファを移送チャンバ内に引き込む。続いて、洗浄−1バッファが、フィルタを通して通過され、フィルタ内の任意の望ましくない材料をさらに除去する。バッファは、廃棄物チャンバへと通過する。第2の洗浄ステップが、次いで、洗浄−2バッファを用いて行なわれる。移送モジュール104は、R1と整列し、洗浄−2バッファを引き込み、再び、移動し、フィルタを含有する流体チャネルと整列する。洗浄−2は、フィルタを通して、廃棄物チャンバへと通過する。
【0115】
本段階では、DNAがそこに戻され得る前に、移送チャンバを清浄することが要求され得る。したがって、移送モジュール104は、R4と整列され、洗浄−3バッファが、移送チャンバ内に引き込まれる。洗浄バッファは、移送チャンバ内で混合されてもよい。加えて、洗浄−3バッファが、例えば、内側処理チャンバに移送されてもよい。
【0116】
移送モジュール104は、側方に移動され、その上部入口ポートをR3の出口ポートに整列させる。真空圧力が、溶出バッファを移送チャンバ内に引き込むために印加される。その後、移送モジュール104は、側方に移動され、その出口ポートをカートリッジ筐体102上の溶出チャンバ220と関連付けられたポートに整列させる。溶出バッファは、移送チャンバに印加された正圧を介して、または溶出チャンバ220に接続された通気/吸引ポートからの真空圧力を介して、溶出チャンバ220内に移動される。
【0117】
DNAは、ここで、フィルタから除去され、移送チャンバに戻される準備ができる。カートリッジ筐体102の溶出チャンバ220からの溶出バッファは、真空圧力を使用して、フィルタを通して、DNA溶液を受容するための正しいポートに整列される、移送チャンバ内に引き戻される。移送モジュール104は、ここで、連続して、種々の反応チャンバのポート間を移動し、印加された正圧を介して、液体を各チャンバ内に移送してもよい。
【0118】
各反応チャンバは、DNAを用いてPCRを行なうために必要な試薬を含有してもよい。ある実施形態では、試薬は、PCRを行なうために必要な任意の試薬を含有する、事前に装填され、凍結乾燥されたペレットである。試薬は、DNA溶液が各チャンバ内にもたらされると、急速に、再水和するであろう。
【0119】
DNA溶液が、最終的に、反応チャンバのうちの1つ以上内に移送されると、プロセスの残りは、分析器によって行なわれてもよい。すなわち、DNAの活性化、変性、アニール、および伸長のうちの少なくとも1つを行なうために、加熱および冷却ステップの循環が、行なわれてもよい。循環が完了すると、分析器の光学測定システムは、各反応チャンバからデータを収集し、試験結果をエンドユーザに提供することができる。
【0120】
免疫アッセイ
例示的免疫アッセイは、カートリッジ筐体102の周囲の貯蔵チャンバならびに種々の処理チャンバのうちの少なくとも3つを利用する。一実施例では、免疫アッセイは、
図2Bに図示されるカートリッジ筐体実施形態を使用する。PCRプロトコルと同様に、貯蔵チャンバは、アッセイを行なうための事前に装填された溶液を含有する。加えて、特異的捕捉抗体が、検出チャンバ226内に固定化され、結合部位を着目抗原に提供してもよい。蛍光標識された抗体もまた、凍結乾燥された状態で反応チャンバ224内に事前装填されてもよい。本実施例では、貯蔵チャンバは、以下のように標識される。
【0124】
免疫アッセイは、明確にするために、例示的試験カートリッジシステム100を参照して、本明細書に説明されるワークフローを使用して実施されてもよい。試料は、直接、内側処理チャンバに通じる入口を通して、カートリッジ筐体102内に導入されてもよい。導入されると、試験カートリッジシステム100は、分析器内に設置される。プロトコルの残りは、自動的に、分析器システムによって行なわれてもよい。移送モジュール104は、内側処理チャンバと側方に整列され、試料は、印加された真空圧力を介して、移送チャンバ内に引き込まれる。
【0125】
試料が、移送チャンバの内側に来ると、移送モジュール104は、再び、側方に移動し、その出力ポートを溶出チャンバに通じるポートに整列させる。溶出チャンバからの試料は、次いで、全血から血漿を得るために、膜を通して通過させることによって、移送チャンバに移動される。血漿試料(着目抗原を含有する)が、移送チャンバ内に戻ると、移送モジュール104は、R2と整列し、アッセイバッファを移送チャンバ内に引き戻してもよい。アッセイバッファおよびプラズマ試料は、移送チャンバ内で混合される。
【0126】
プラズマ試料およびアッセイバッファが混合されると、移送モジュール104は、再び、側方に移動し、その出力ポートを、凍結乾燥され、蛍光標識された抗体を伴う、反応チャンバ224に通じるポートに整列させる。試料+アッセイバッファ混合物は、蛍光標識された抗体を反応チャンバ224内で再水和するように作用する。再水和された蛍光抗体、試料プラズマ、およびアッセイバッファは全て、ともに組み合わせられ、混合される。本段階では、着目抗原が、混合物内に存在する場合、蛍光標識された抗体は、それに結合しているであろう。ある実施形態では、加熱および/または混合が、反応を向上させるために行なわれてもよい。
【0127】
得られた混合物は、反応チャンバ224から、検出チャンバ226のそれぞれに移送される。再び、混合物は、各検出チャンバ226内でゆっくりと混合または加熱され、固定化された捕捉抗体と混合物内の抗原との間の相互作用を確実にしてもよい。
【0128】
混合が完了すると、移送モジュール104は、R1と整列し、洗浄−1バッファを移送チャンバ内に引き込む。洗浄−1バッファは、最初に、反応チャンバ内に、続いて、混合物を含有する各検出チャンバ内に移送されてもよい。洗浄−1バッファは、いかなる非結合材料も取り除く。洗浄−1バッファは、検出チャンバを通して持続し、廃棄物チャンバ内に通過する。
【0129】
第2の洗浄ステップが、行なわれてもよい。移送モジュール104は、R3と整列し、洗浄−2バッファを移送チャンバ内に引き込む。洗浄−2バッファは、最初に、反応チャンバ内に、続いて、混合物を含有する各検出チャンバ内に移送されてもよい。洗浄−2バッファは、いかなる非結合材料も取り除く。洗浄−2バッファは、検出チャンバを通して持続し、廃棄物チャンバ内に通過する。本段階では、固定化された抗体へのいかなる結合材料も、結合された蛍光標識された抗体を伴う、着目抗原であるはずである。
【0130】
分析器の光学測定システムは、ここで、受信した蛍光信号に基づいて、抗原の量を定量化するように、各検出チャンバのために使用されることができる。収集されたデータは、例えば、エンドユーザのために、定量結果を得るように較正器を用いて以前に行なわれた標準曲線に対してプロットされてもよい。
【0131】
前述のいずれかのプロトコルの終了時、試験カートリッジシステム100全体が、分析器から除去され、安全に廃棄され得ることを理解されたい。別の実施形態では、検出チャンバのうちの1つ以上内の得られた溶液は、さらなる分析のために抽出されてもよい。システムは、内蔵式であるため、多数の試験カートリッジが、実験間における相互汚染または付着物を懸念せずに、同一の分析器と併用され得る。
【0132】
概要および要約の項を除く、発明を実施するための形態項は、請求項を解釈するために使用されることを目的としていると理解されたい。概要および要約の項は、発明者によって検討されるような本発明の例示的実施形態の全てではないが1つ以上を説明し得、したがって、決して本発明および添付の請求項を限定することを目的としていない。
【0133】
本発明の実施形態は、特定機能の実装およびそれらの関係を図示する機能的構成要素を用いて、上記で説明されている。これらの機能的構成要素の境界は、説明の便宜上、本明細書では恣意的に画定されている。特定機能およびそれらの関係が適切に果たされる限り、代替的な境界を画定することができる。
【0134】
具体的実施形態の先述の説明は、本発明の一般概念から逸脱することなく、必要以上の検査を伴わずに、当技術分野内の知識を適用することによって、他者がそのような具体的実施形態を容易に修正し、および/または種々の用途のために適合させることができるという、本発明の一般的性質を十分に明らかにするであろう。したがって、そのような適合および修正は、本明細書で提示される教示および指導に基づいて、開示された実施形態の同等物の意味および範囲内であることを目的としている。本明細書の用語または表現が、教示および指導を踏まえて当業者によって解釈されるものであるように、本明細書の表現または用語は、限定ではなく説明の目的のためであることを理解されたい。
【0135】
本発明の幅および範囲は、上記の例示的実施形態のうちのいずれによっても限定されるべきではないが、以下の請求項およびそれらの同等物のみに従って定義されるべきである。