(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838173
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】半導体デバイスのショットキーコンタクト構造及びそのようなショットキーコンタクト構造を形成する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/47 20060101AFI20210222BHJP
H01L 29/872 20060101ALI20210222BHJP
H01L 21/285 20060101ALI20210222BHJP
H01L 21/338 20060101ALI20210222BHJP
H01L 29/778 20060101ALI20210222BHJP
H01L 29/812 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
H01L29/48 M
H01L21/285 P
H01L29/80 H
H01L29/80 M
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-569662(P2019-569662)
(86)(22)【出願日】2018年3月6日
(65)【公表番号】特表2020-509615(P2020-509615A)
(43)【公表日】2020年3月26日
(86)【国際出願番号】US2018021040
(87)【国際公開番号】WO2018165088
(87)【国際公開日】20180913
【審査請求日】2019年9月4日
(31)【優先権主張番号】15/452,986
(32)【優先日】2017年3月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503455363
【氏名又は名称】レイセオン カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】タバータバーイーアラヴィ,カマル
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ケジア
(72)【発明者】
【氏名】マクドナルド,クリストファー,ジェイ.
【審査官】
佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−022773(JP,A)
【文献】
特開2002−111061(JP,A)
【文献】
特表2013−520014(JP,A)
【文献】
特表2013−522906(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0267085(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/47
H01L 21/285
H01L 21/338
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 29/872
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショットキーコンタクト構造体であって、
複数のスタックの金属層を有するショットキーコンタクトであり、前記複数のスタックの各々が、
第1の金属の第1層と、
前記第1層上の第2の金属の第2層と、
を有し、前記複数のスタックのうちの最初のスタックの前記第1層の前記第1の金属が、半導体とショットキー接触している、
ショットキーコンタクト、及び
前記ショットキーコンタクト上に配置された前記ショットキーコンタクト用の電極であり、当該電極は第3の金属を有し、該第3の金属は、前記複数のスタックの金属層のうちの最も上のスタックの前記第2層の前記第2の金属と直に接触している、電極、
を有するショットキーコンタクト構造体。
【請求項2】
前記第2の金属は、前記第3の金属と前記第1の金属との間のマイグレーションに対する障壁を提供する、請求項1に記載のショットキーコンタクト構造体。
【請求項3】
前記第1の金属はニッケルであり、前記第2の金属は白金であり、前記第3の金属は金である、請求項1又は2に記載のショットキーコンタクト構造体。
【請求項4】
前記第2層の前記第2の金属が前記第1層の前記第1の金属と直に接触している、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のショットキーコンタクト構造体。
【請求項5】
ショットキーコンタクト構造体であって、
ショットキーコンタクトであり、
半導体とショットキー接触した第1の金属の第1層と、
前記第1層上の第2の金属の第2層と、
前記第2層上の前記第1の金属の第3層と、
前記第3層上の前記第2の金属の第4層と、
前記第4層上の前記第1の金属の第5層と、
前記第5層上の前記第2の金属の第6層と、
を有するショットキーコンタクト、及び
前記ショットキーコンタクト上に配置された当該ショットキーコンタクト構造体の電極であり、当該電極は第3の金属を有し、前記第2の金属が、前記第3の金属と前記第1の金属との間のマイグレーションに対する障壁を提供する、電極、
を有し、
前記第2層の前記第2の金属が、前記第1層の前記第1の金属と直に接触し、
前記第3層の前記第1の金属が、前記第4層の前記第2の金属と直に接触し、
前記第4層の前記第2の金属が、前記第3層の前記第1の金属と直に接触し、
前記第5層の前記第1の金属が、前記第4層の前記第2の金属と直に接触し、
前記第6層の前記第2の金属が、前記第5層の前記第1の金属と直に接触し、
前記電極の前記第3の金属が、前記第6層の前記第2の金属と直に接触し、
前記第1の金属はニッケルであり、前記第2の金属は白金であり、前記第3の金属は金である、
ショットキーコンタクト構造体。
【請求項6】
ショットキーコンタクト半導体デバイスを形成する方法であって、
第1の金属源と、第2の金属源と、第3の金属源と、半導体と、を内部に有する蒸着チャンバを用意し、前記半導体は前記半導体の表面の上にマスクを有し、前記マスクは、前記半導体の前記表面の一部を露出させる窓を有し、
前記第1の金属源から第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記マスク上及び前記半導体の前記表面の露出部分上に堆積させることで、前記第1の金属の部分と前記半導体の前記露出部分との間にショットキーコンタクトを形成して、第1の金属層を形成し、
前記第2の金属源から第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成し、
第1の金属源から前記第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記堆積された第2の金属の上に堆積させることで、前記第2の金属層の上に第3の金属層を形成し、
前記第2の金属源から前記第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を前記第3の金属層の前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、前記第3の金属層の上に第4の金属層を形成し、
前記第3の金属源からの第3の金属を前記第4の金属層の前記第2の金属上に蒸着する、
ことを有する方法。
【請求項7】
当該方法は更に、前記第3の金属源からの第3の金属を前記蒸着することに先立って、
前記第1の金属源から前記第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記第4の金属層の前記堆積された第2の金属の上に堆積させることで、前記第4の金属層の上に第5の金属層を形成し、
前記第2の金属源から前記第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を前記第5の金属層の前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、前記第5の金属層の上に第6の金属層を形成する、
ことを含み、
前記第3の金属源からの第3の金属を前記蒸着することは、前記第3の金属源からの第3の金属を前記第6の金属層の前記第2の金属上に蒸着することを含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1の金属はニッケルであり、前記第2の金属は白金であり、前記第3の金属は金である、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
ソースと、
ドレインと、
前記ソースと前記ドレインとの間のキャリアの流れを制御するために前記ソースと前記ドレインとの間に配置されたゲート電極構造であり、当該ゲート電極構造は、
複数のスタックの金属層を有するショットキーコンタクトであり、前記複数のスタックの各々が、
第1の金属の第1層と、
前記第1層上の第2の金属の第2層と、
を有し、前記複数のスタックのうちの最初のスタックの前記第1層の前記第1の金属が、半導体とショットキー接触している、
ショットキーコンタクト、及び
前記ショットキーコンタクト上に配置された前記ショットキーコンタクト用の電極であり、当該電極は第3の金属を有し、該第3の金属は、前記複数のスタックの金属層のうちの最も上のスタックの前記第2層の前記第2の金属と直に接触している、電極、
を有する、ゲート電極構造と、
を有する電界効果トランジスタ。
【請求項10】
前記第2の金属は、前記第3の金属と前記第1の金属との間のマイグレーションに対する障壁を提供する、請求項9に記載の電界効果トランジスタ。
【請求項11】
前記第1の金属はニッケルであり、前記第2の金属は白金であり、前記第3の金属は金である、請求項9又は10に記載の電界効果トランジスタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、ショットキーコンタクト構造に関し、より具体的には、半導体デバイスのショットキーコンタクト構造に関する。
【背景技術】
【0002】
技術的に知られているように、例えば電界効果トランジスタ(FET)などの数多くの半導体デバイスが、ショットキーコンタクト構造を含んでいる。例えば、多くのFETは、例えばIII族窒化物半導体などの半導体内のチャネル領域を介したソースとドレインとの間のキャリアの流れを制御するためのゲートを含んでいる。1つのタイプのFET(
図1)は、ゲートコンタクトと電極とを有する窒化ガリウム(GaN)FETであって、ゲートコンタクトが、AlGaN半導体層とショットキーコンタクトしたニッケル(Ni)の底部メタルと、例えば白金(Pt)などのバリア層を備えた例えば金(Au)などの低抵抗メタルとを有するものであり、該バリア層は、AuとNiとの間でのメタルマイグレーションに対する保護である。Ni/Pt/Auショットキーゲートを有するGaN FETの高温動作中に、金がゲートメタル構造のエッジからAlGaN中に移動/拡散してゲートリークを発生させ得る。従来の試みは、Ni/Ptに代えての酸化ニッケルの使用、ポスト堆積アニールプロセス、又はNi及びPtの層を4000Å厚に至るものとすることを含んでいた。しかしながら、これらのアプローチはいずれも、フォトリソグラフィリフトオフ技術を用いたGaN FETの高歩留まり製造に適合しない。
【発明の概要】
【0003】
本開示によれば、ショットキーコンタクト構造が提供され、当該ショットキーコンタクト構造は、複数のスタックの層を有するショットキーコンタクトを有し、前記複数のスタックの各々がNiの下部層とPtの上部層とを有し、前記複数のスタックの層のうちの下側のスタックの層が半導体層とショットキー接触している。
【0004】
一実施形態において、当該ショットキーコンタクト構造は、ショットキーコンタクト上の電極を含む。
【0005】
一実施形態において、前記複数のスタックの層は、半導体層へのショットキーコンタクト内の材料のマイグレーションに対する障壁を提供する。
【0006】
一実施形態において、ショットキーコンタクト構造が提供される。当該ショットキーコンタクト構造は、ショットキーコンタクトを含み、該ショットキーコンタクトは、半導体とショットキー接触した第1の金属の第1層と、該第1層上の第2の金属の第2層と、該第2層上の前記第1の金属の第3層と、該第3層上の前記第2の金属の第4層とを有する。
【0007】
一実施形態において、当該ショットキーコンタクト構造は、第4層上の第1の金属の第5層と、該第5層上の前記第2の金属の第6層とを含む。
【0008】
一実施形態において、第1の金属はニッケルであり、第2の金属は白金であり、第3の金属は金である。
【0009】
一実施形態において、第2層の第2の金属が第1層の第1の金属と直に接触している。
【0010】
一実施形態において、第3層の第1の金属が第4層の第2の金属と直に接触している。
【0011】
一実施形態において、第5層の第1の金属が第4層の第2の金属と直に接触している。
【0012】
一実施形態において、第5層の第1の金属が第6層の第2の金属と直に接触している。
【0013】
一実施形態において、NiがPtと直に接触している。
【0014】
一実施形態において、電極は、前記複数のスタックのうちの上側のスタックのPt上の金の層を有する。
【0015】
一実施形態において、金の層は、前記複数のスタックのうちの上側のスタックのPtと直に接触している。
【0016】
一実施形態において、電界効果トランジスタが提供され、当該電界効果トランジスタは、ソース、ドレイン、及び、ソースとドレインとの間のキャリアの流れを制御するためにソースとドレインとの間に配置されたゲート電極構造とを有する。ゲート電極構造は、複数のスタックの層を有するゲートコンタクトを有し、前記複数のスタックの各々がNiの下部層とPtの上部層とを有し、前記複数のスタックの層のうちの下側のスタックの層が半導体層とショットキー接触している。
【0017】
一実施形態において、当該電界効果トランジスタは、ゲートコンタクト上の電極を含む。
【0018】
一実施形態において、ショットキーコンタクト構造を形成する方法が提供され、当該方法は、第1の金属源と、第2の金属源と、半導体と、を内部に有する蒸着チャンバを用意し、前記半導体は前記半導体の表面の上にマスクを有し、該マスクは、前記半導体の前記表面の一部を露出させる窓を有し、第1の金属源から第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記マスク上及び前記半導体の前記表面の露出部分上に堆積させることで、第1の金属の部分と前記半導体の露出部分との間にショットキーコンタクトを形成して、第1の金属層を形成し、第2の金属源から第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、第1の金属層の上に第2の金属層を形成し、第1の金属源から第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記堆積された第2の金属の上に堆積させることで、第2の金属層の上に第3の金属層を形成し、第2の金属源から第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を第3の金属層の前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、第3の金属層の上に第4の金属層を形成することを有する。
【0019】
一実施形態において、蒸着チャンバは第3の金属源を備えており、当該方法は、第3の金属源からの第3の金属を第4の金属層の第2の金属上に蒸着することを含む。
【0020】
一実施形態において、当該方法は、第1の金属源から第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を第4の金属層の前記堆積された第2の金属の上に堆積させることで、第4の金属層の上に第5の金属層を形成し、第2の金属源から第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を第5の金属層の前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、第5の金属層の上に第6の金属層を形成することを含む。
【0021】
一実施形態において、蒸着チャンバは第3の金属源を備えており、当該方法は、第3の金属源からの第3の金属を第6の金属層の第2の金属上に蒸着することを含む。
【0022】
このような構成により、半導体層へのAuマイグレーションに対する効果的なバリアを生み出し、それにより、ゲートリーク電流を抑制する改善された側壁カバレッジが得られる。比較的薄い(4000オングストローム未満)交互バリア層は、単一の厚いNi及びPtの層(数千オングストローム超)の使用よりも効果的である。何故なら、NiとPtとを交互に配置することによって個々の層のグレイン構造が中断され、それにより、半導体層への金のマイグレーションが抑制され、FETリークが低減されるからである。
【0023】
本開示の1つ以上の実施形態の細部が、添付の図面及び以下の記載にて説明される。本開示のその他の特徴、目的及び利点が、これらの記載及び図面並びに請求項から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】従来技術に従ったFETの概略断面図である。
【
図3A】
図2のFETの製造に使用される電子ビーム蒸着装置の単純化した概略図である。
【
図3B】
図3Aの電子ビーム蒸着装置で使用されるソースハースの概略図であり、直線3B−3Bに沿ったハースの断面が
図3Aに示されている。
【
図4A】
図4A−4Bは、本開示に従ったFETの製造の様々な段階におけるFETの概略断面図である。
【
図4B】
図4A−4Bは、本開示に従ったFETの製造の様々な段階におけるFETの概略断面図である。
【
図5A】
図5A−5Dが一緒にされて、本開示に従ったFETを製造するのに使用されるプロセスのフロー図である。
【
図5B】
図5A−5Dが一緒にされて、本開示に従ったFETを製造するのに使用されるプロセスのフロー図である。
【
図5C】
図5A−5Dが一緒にされて、本開示に従ったFETを製造するのに使用されるプロセスのフロー図である。
【
図5D】
図5A−5Dが一緒にされて、本開示に従ったFETを製造するのに使用されるプロセスのフロー図である。
【
図6】従来技術に従ったFETと、
図2に従ったFETと、本開示の他の一実施形態に従ったゲート電極構造を有するFETとについて、正規化したゲートリーク電流を示すチャートである。
【0025】
様々な図中の似通った参照符号は同様の要素を指し示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2を参照するに、基板構造11を有した、ここでは例えばFET10である半導体デバイスが示されており、基板構造は、ここでは例えばシリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、又はシリコン・オン・インシュレータ(SOI)、GaAs、及びInPである基板12を含んでいる。基板12の上部上に、図示のように、ここではGaNであるIII族−N半導体層14の層と、ここでは窒化アルミニウムガリウム(Al
xGa
1−xN、ただし、xは0<x≦1)である第2のIII族−N半導体層16と、AlGaN層16の上のここでは例えばSiN
xである誘電体層17とがある。理解されるべきことには、層14はここではGaNバッファ構造であり、これはまた、図示していない核形成層及び歪み緩和層を含み、典型的に、窒化アルミニウム(AlN)及び窒化アルミニウムガリウム(Al
xGa
1−xN、ただし、xは0<x≦1)である。
【0027】
FET10は、ここではゲート電極構造18であるショットキーコンタクト構造を含んでおり、該ショットキーコンタクト構造は、半導体層16とオーミック接触したソースと、半導体とオーミック接触したドレインとの間に配置された、ソースとドレインとの間のキャリアの流れを制御するための、ここではゲートコンタクト20であるショットキーコンタクトと、電極22とを有している。より具体的には、ゲートコンタクト20は、半導体層16とショットキー接触した第1の金属の第1層24と、第1層24と直に接触した第2の金属の第2層26と、第2層26と直に接触した第1の金属の第3層28と、第3層28と直に接触した第2の金属の第4層30と、第4層30と直に接触した第1の金属の第5層32と、第5層32と直に接触した第2の金属の第6層34とを含んでいる。ゲートコンタクト20上に配置された、ゲート電極構造18の電極22は、第3の金属を含んでおり、層26、30、及び34の第2の金属が、半導体層16へのゲートコンタクト20の第3の金属のマイグレーションに対するバリア(障壁)を提供する。ここでは、第1の金属はニッケルであり、第2の金属は白金であり、第3の金属は金である。
【0028】
従って、ゲート電極構造18は、複数のスタックからなる層(ここでは、第1のスタックが層24、26を有し、第2のスタックが層28、30を有し、第3のスタックが層32、34を有する)を有するゲートコンタクト20を含んでおり、これらスタックの各スタックが、Niの下部層(第1のスタックが下部層24を有し、第2のスタックが下部層28を有し、第3のスタックが下部層32を有する)と、Ptの上部層(第1のスタックが上部層26を有し、第2のスタックが上部層30を有し、第3のスタックが上部層34を有する)とを有している。これらスタックのうちの第1のスタックの下部層24は、半導体層16とショットキー接触している。ゲート電極構造18は、ゲートコンタクト20上に電極22を含んでいる。これら複数のスタックからなる層(ここでは、第1のスタックが層24、26を有し、第2のスタックが層28、30を有し、第3のスタックが層32、34を有する)が、コンタクト22内の材料(ここでは金)の半導体層16へのマイグレーションに対するバリアを提供する。
【0029】
ここで
図3A及び3Bを参照するに、電子ビーム(Eビーム)蒸着装置34が、エンクロージャ又はチャンバ36を含むように示されており、チャンバ36はその中に、電子ビーム源38と、源38によって生成された電子ビーム41をチャンバ36内の所定のターゲット空間領域42上に向けるように構成された磁界源40とを有している。チャンバ36は、ここでは3つの金属源44a、44b、及び44cを有する回転可能なるつぼ又はハース43を含んでいる。ここでは、金属源44aはNiであり、金属源44bはPtであり、金属源44cはAuである。ハース43は、3つの金属源44a、44b、及び44cのうちの選択された1つを所定のターゲット空間領域42に位置付けて、導かれた電子ビームを3つの金属源44a、44b、及び44cのうちの選択された1つがインターセプトするように、従来からの電動位置決め装置(図示せず)によって回転軸46の周りで回転するように適応される。それにより、3つの金属源44a、44b、及び44cのうち位置付けられた1つが電子ビーム41によって加熱され、そして、3つの金属源44a、44b、及び44cのうち位置付けられた1つの一部が蒸発させられて、図示のように、矢印47で指し示される方向にウエハドーム48へと向かう。ウエハドーム48は、ソース及びドレインの上と誘電体層17の一部の上とにフォトレジストマスク50を有する基板構造11(
図2)を支持しており、誘電体層17は、
図4Aに示すように、AlGaN層16の表面の一部53を露出させる開口を有しており、また、マスク50は、
図4Aに示すように、AlGaN層16の表面の一部53を露出させる窓51を有している。
【0030】
ここで
図5A−5Dを参照するに、
図2のFET10を製造するのに使用されるプロセスは、チャンバ36を有する電子ビーム(Eビーム)蒸着装置34(
図3A、3B)を用意することで開始し、チャンバ36は、その中に、第1の金属源44a、第2の金属源44b、第3の金属源44c、及び半導体11を有し、半導体11は、ソース及びドレインを含んだ半導体11の表面の上にマスク50を有する。図示のように、マスク50はその中に、半導体11の表面の一部53を露出させる窓51を有する。
【0031】
第1の金属源44aが電子ビーム41の経路内に位置付けられ、より具体的には、第1の金属源44aを空間領域42内に位置付けるように、ハース43が軸46の周りで回転される(
図3A)。
【0032】
ここではNiである第1の金属の一部が、第1の金属源44aから蒸発され、マスク50上及び半導体11(より具体的には、AlGaN層16)の表面の露出部分53上に堆積されることで、第1の金属Niの部分とAlGaN層16の露出部分53との間にショットキー接触を形成して、
図4Bに示すように、マスク50及び層16の露出部分の上に第1の金属層60aを形成する。
【0033】
この蒸着プロセスが、第1の金属層60aが所定の厚さ(ここでは、例えば、10オングストロームから500オングストロームの範囲内)になるまでインサイチュで続けられ、それにより層24(
図2)が完成される。空間領域42から第1の金属源44aを除き去るようにハース43が軸46の周りで回転され(
図3A)、そして、第2の金属源44bが電子ビーム41の経路内に位置付けられ、より具体的には、第2の金属源44bを空間領域42内に位置付けるように、ハース43が軸46の周りで回転される(
図3A)。
【0034】
ここではPtである第2の金属の一部が、第2の金属源44bから蒸発され、第1の層60a上に堆積されて、
図4Bに示すように、第1の金属層60aの上に第2の金属層60bを形成し、それにより、層26(
図2)が完成される。
【0035】
この蒸着プロセスが、第2の金属層60bが所定の厚さ(ここでは、例えば、10オングストロームから1000オングストロームの範囲内)になるまで続けられ、それにより層26(
図2)が完成される。
【0036】
このプロセスが同様にして続けられ、10オングストロームから500オングストロームの範囲内の厚さのNiである層60c及び60eと、10オングストロームから1000オングストロームの範囲内の厚さのPtである層60d及び60fとを有した、層60c−60fが形成される。それにより、層28、30、32及び34(
図2)が完成される。
【0037】
層60fを形成した後、空間領域42から第2の金属源44bを除き去るようにハース43が軸46の周りで回転され(
図3A)、そして、第3の金属源44cが電子ビーム41の経路内に位置付けられ、より具体的には、第3の金属源44cを空間領域42内に位置付けるように、ハース43が軸46の周りで回転される(
図3A)。
【0038】
ここではAuである第3の金属の一部が、第3の金属源44cから蒸発され、層60f上に堆積されて、
図4Bに示すように、第6の金属層60fの上に第7の金属層60gを形成し、それにより、層22(
図2)が完成される。
【0039】
この蒸着プロセスは、第7の金属層60gが所定の厚さ(ここでは、例えば、3000オングストロームから1μmの範囲内)になるまで続けられる。
【0040】
次いで、7つの層60a−60gを備えた半導体11が、蒸着装置34(
図3A)から取り出され、そして、半導体11の表面の先の露出部分はその上に7つの層を有するままにして、マスク50をその上の7つの層60a−60gの部分とともにリフトオフすることで、
図2に示したFET10が得られる。
【0041】
次に
図6を参照するに、(A)各スタックが、それぞれ下部Ni層24、28、32及びそれぞれ上部Pt層26、30、34と、頂部電極22とを有した、3つのスタックを有する“3スタック”デバイスである
図2に従ったFET10のゲートリーク電流(74で示している)と、(B)ここでは、半導体層とショットキー接触した第1の金属Niの第1層と、第1層と直に接触した、ここではPtである第2の金属の第2層と、第2層(Pt)と直に接触した第1の金属(Ni)の第3層と、第3層(Ni)と直に接触した第2の金属(Pt)の第4層と、ここではAuである電極を有する“2スタック”ゲート電極構造を有した、本開示の他の一実施形態に従ったゲート電極構造を有するFETのリーク電流(72で示している)と、を示すチャートであり、(A)及び(B)はどちらも、従来技術に従ったFETのリーク電流(70で示している)により正規化されている。“2スタック”デバイスは、各スタックがNiの下部層とPtの上部層とを持つ2つのスタックを有する。従来技術デバイス(70)におけるNi、“2スタック”デバイス(72)におけるNi、及び“3スタック”デバイス(74)におけるNiの厚さは全て同じ厚さである。さらに、従来技術デバイス(70)におけるPt、“2スタック”デバイス(72)におけるPt、及び“3スタック”デバイス(74)におけるPtの厚さは、Niの厚さとは異なり得るが、全て同じ厚さである。
【0042】
言及しておくことには、従来技術に従ったFETの正規化されたゲートリーク電流(70で示している)が1.0の中央値及び0.65−1.4の範囲を持つのに対し、
図2に従ったFET10の正規化されたゲートリーク電流(74で示している)は、0.4の中央値で0.3−0.5の範囲にあり、すなわち、従来技術FETのリーク電流よりも60%低い。72で示しているFETの正規化されたゲートリーク電流は、0.65の中央値で0.5−0.8の範囲にあり、すなわち、従来技術FETのリーク電流よりも35%低い。
【0043】
もはや理解されるはずのことには、本開示に従ったショットキーコンタクト構造体は、ショットキーコンタクトであり、半導体とショットキー接触した第1の金属の第1層と、前記第1層上の第2の金属の第2層と、前記第2層上の前記第1の金属の第3層と、前記第3層上の前記第2の金属の第4層と、を有するショットキーコンタクト、及び前記ショットキーコンタクト上に配置された当該ショットキーコンタクト構造の電極であり、当該電極は第3の金属を有し、前記第2の金属が、前記第3の金属と前記第1の金属との間のマイグレーションに対する障壁を提供する、電極、を含む。当該ショットキーコンタクト構造体は、以下の特徴のうちの1つ以上を、独立に、又は他の特徴と組み合わせて含み得る:前記第4層上の前記第1の金属の第5層、及び前記第5層上の前記第2の金属の第6層;前記第1の金属はニッケルであり、前記第2の金属は白金であり、前記第3の金属は金である;前記第1の金属はニッケルであり、前記第2の金属は白金であり、前記第3の金属は金である;前記第2層の前記第2の金属が前記第1層の前記第1の金属と直に接触している;前記第3層の前記第1の金属が前記第4層の前記第2の金属と直に接触している;前記第2層の前記第2の金属が前記第1層の前記第1の金属と直に接触している;前記第5層の前記第1の金属が前記第4層の前記第2の金属と直に接触トしている;又は、前記第5層の前記第1の金属が前記第6層の前記第2の金属と直に接触している。
【0044】
もはや理解されるはずのことには、本開示に従ったショットキーコンタクト半導体デバイスを形成する方法は、第1の金属源と、第2の金属源と、半導体と、を内部に有する蒸着チャンバを用意し、前記半導体は前記半導体の表面の上にマスクを有し、前記マスクは、前記半導体の前記表面の一部を露出させる窓を有し、前記第1の金属源から第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記マスク上及び前記半導体の前記表面の露出部分上に堆積させることで、前記第1の金属の部分と前記半導体の前記露出部分との間にショットキーコンタクトを形成して、第1の金属層を形成し、前記第2の金属源から第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、前記第1の金属層の上に第2の金属層を形成し、第1の金属源から前記第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記堆積された第2の金属の上に堆積させることで、前記第2の金属層の上に第3の金属層を形成し、前記第2の金属源から前記第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を前記第3の金属層の前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、前記第3の金属層の上に第4の金属層を形成することを含む。当該方法は、以下の特徴のうちの1つ以上を、独立に、又は他の特徴と組み合わせて含み得る:前記蒸着チャンバは第3の金属源を備えており、当該方法は、前記第3の金属源からの第3の金属を前記第4の金属層の前記第2の金属上に蒸着することを含む;前記第1の金属源から前記第1の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第1の金属を前記第4の金属層の前記堆積された第2の金属の上に堆積させることで、前記第4の金属層の上に第5の金属層を形成し、前記第2の金属源から前記第2の金属の一部を蒸発させ、且つ蒸発した第2の金属を前記第5の金属層の前記堆積された第1の金属の上に堆積させることで、前記第5の金属層の上に第6の金属層を形成する;前記蒸着チャンバは第3の金属源を備えており、当該方法は、前記第3の金属源からの第3の金属を前記第6の金属層の前記第2の金属上に蒸着することを含む;又は、前記第1の金属はニッケルであり、前記第2の金属は白金であり、前記第3の金属は金である。
【0045】
もはや理解されるはずのことには、本開示に従ったショットキーコンタクト構造体は、半導体とショットキー接触したショットキーコンタクトを含み、該ショットキーコンタクトは複数のスタックを含み、該複数のスタックの各々がNiの下部層とPtの上部層とを有する。
【0046】
もはや理解されるはずのことには、本開示に従ったショットキーコンタクト構造体は、複数のスタックの層を有するショットキーコンタクトを含み、前記複数のスタックの各々がNiの下部層とPtの上部層とを有し、前記複数のスタックの層のうちの下側のスタックの層が半導体層とショットキー接触している。当該ショットキーコンタクト構造体は、以下の特徴のうちの1つ以上を、独立に、又は他の特徴と組み合わせて含み得る:前記ショットキーコンタクト上の電極を;前記複数のスタックの層は、前記半導体層への前記ショットキーコンタクト内の材料のマイグレーションに対する障壁を提供する;前記Niが前記Ptと直に接触している;前記電極は、前記複数のスタックのうちの上側のスタックの前記Pt上の金の層を有する;又は、前記金の層は、前記複数のスタックのうちの上側のスタックの前記Ptと直に接触している。
【0047】
もはや理解されるはずのことには、本開示に従った電界効果トランジスタは、ソースと、ドレインと、前記ソースと前記ドレインとの間のキャリアの流れを制御するために前記ソースと前記ドレインとの間に配置されたゲート電極構造とを含み、該ゲート電極構造は、複数のスタックの層を有するゲートコンタクトを有し、前記複数のスタックの各々がNiの下部層とPtの上部層とを有し、前記複数のスタックの層のうちの下側のスタックの層が半導体層とショットキー接触している。当該電界効果トランジスタはまた、前記ゲートコンタクト上の電極を含み得る。
【0048】
本開示の多数の実施形態を説明してきた。そうとはいえ、理解されるように、本開示の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更が為され得る。例えば、半導体デバイスをFETとして上述したが、ショットキーコンタクト構造は、例えばダイオード及び光検出器などの他のデバイスとともに使用されてもよい。また、ショットキーコンタクトは、他のIII族−N半導体材料から作製されてもよい。従って、その他の実施形態も以下の請求項の範囲内にある。