(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記超音波トランスデューサ素子を制御して超音波パルスを送出し、前記スイッチ装置を制御し、前記インバータを制御するコントローラと、受信される反射超音波パルスを処理する信号プロセッサとをさらに備える、請求項1に記載のプローブ。
前記信号プロセッサは、連続する第1及び第2のサイクルに対して、前記受信される反射超音波パルスを結合するように構成される、請求項2、3又は4に記載のプローブ。
前記スイッチ装置は、第1の増幅器出力部と第1の時間利得補償回路入力部の間との第1のスイッチ、第1の増幅器出力部と第2の時間利得補償回路入力部との間の第2のスイッチ、第2の増幅器出力部と第1の時間利得補償回路入力部との間の第3のスイッチ、及び第2の増幅器出力部と第2の時間利得補償回路入力部との間の第4のスイッチを備える四つのスイッチを有する、請求項1乃至9の何れか一項に記載のプローブ。
前記超音波トランスデューサ素子を制御して超音波パルスを送出し、前記受信される反射超音波パルスを処理するステップをさらに有し、前記制御するステップは、2つのサイクル、すなわち、
前記中間2端子出力と前記デジタル信号とがそれぞれ反転されない第1のサイクルと、
前記中間2端子出力と前記デジタル信号とがそれぞれ反転される第2のサイクルと
を実行する、請求項11に記載の方法。
プログラムが請求項2乃至10の何れか一項に記載の超音波プローブのコントローラ及び信号プロセッサ上で実行されるとき、請求項11乃至14の何れか一項に記載の方法を実施するように構成されるコンピュータプログラムコードを有する、コンピュータプログラム。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波システムは大型で高価だが、最近ではより安価なハンドヘルド超音波システムも利用可能になった。低価格、重量、使いやすさの向上により、このタイプのシステムはより多くのユーザ、例えば第三世界の国の助産師に利用可能である。さらに、ハイエンドの超音波システムにより、心臓弁などの高速で移動する器官部分を高速で撮像できるように、より高いフレームレートでの3D撮像がますます可能になっている。
【0003】
超音波トランスデューサプローブは、超音波システムの重要なコンポーネントである。実際には、プローブのスペックによって画質とフレームレートが決まる。通常のプローブの価格は高く、アナログエコー信号をプローブヘッドから超音波システムに転送するための最大128本の同軸ワイヤを含む複合ケーブルが主流である。したがって、プローブのコストを削減することが非常に望ましい。さらに、操作性とウェアラブル超音波を高めるためのワイヤレスプローブと、高フレームレート3Dイメージングをサポートするプローブの実現に関心がある。
【0004】
これらすべての態様は、プローブ内データ圧縮と組み合わせて生の超音波エコー信号のプローブ内デジタル化を実行することで対処できる。プローブ内デジタル化の主な課題の1つは、消費電力を十分に低く抑えることである。安全規制のため、超音波プローブの許容される加熱は制限されている。さらに、USBが提供するインターフェイスの電力容量が制限され、バッテリー給電プローブ/システムのエネルギー容量が制限されているため、許容される電力消費に厳しい制限がある。
【0005】
文献US 2005/203391 A1は、連続波超音波イメージングに関するものである。特に、送信器とチャネル数の削減は、ステアリングされる連続波ドップラー超音波イメージングに提供される。
【0006】
同様に、公開される特許出願US 2005/203392 A1は、超音波画像システムのチャネルを最小化するための回路及び関連する方法を開示している。特に、この文献は、複数の要素からの信号を同じパスに結合するための回路、コントローラ、及び方法を提供する。
【0007】
通常の超音波システムのフロントエンドの消費電力は、特に高調波イメージングの信号歪みに対する厳しい要件により高くなる。信号の歪みは、組織の高調波を妨害し、高調波の画質を低下させる高調波信号成分を導入する。特に、これは深部組織をイメージングする場合に当てはまる。順方向の圧力波の減衰は、これらの大きな組織の深さでも比較的弱い高調波信号が生成されることを意味する。生成される高調波信号も、周波数に依存する組織の減衰により、反射される基本成分よりも減衰する。このような場合、受信される高調波信号は、反射される基本信号よりも最大で40dB(例)弱い場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、電子歪みの結果として、低コストの電子機器で高調波超音波信号を処理することは困難である。したがって、特に深部組織イメージングに望ましい高調波イメージングを可能にするために、低コストの超音波エコー信号のプローブ内デジタル化を可能にするプローブ設計及び処理方法が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様による例によれば、
【0010】
超音波トランスデューサ素子のアレイと、
【0011】
各トランスデューサ素子に関連付けられるそれぞれの信号処理回路と
を有し、各信号処理回路は、
【0012】
前記トランスデューサ素子から信号を受信するための増幅器と、
【0013】
時間利得補償回路と、
【0014】
時間利得補償回路の出力部に接続されるアナログ・デジタル変換回路と
を有し、
【0015】
各信号処理回路は、
【0016】
増幅器出力部から直接又は反転して中間2端子出力を生成するための増幅器の出力部におけるスイッチ装置
を有し、
【0017】
中間2端子出力は時間利得補償回路の入力部及びアナログ・デジタル変換器の出力部におけるインバータに提供され、インバータはスイッチ装置と同期して制御される、
超音波プローブが提供される。
【0018】
この超音波プローブでは、増幅と時間利得補正の後、トランスデューサ素子信号のローカルデジタル化が行われる。
【0019】
受信アナログフロントエンドの少なくとも均等な高調波歪みを補正できる信号反転システムが使用される。これは高調波イメージングに特に重要である。このようにして、アナログフロントエンドの信号歪みの条件を緩和し、低消費電力化を実現できる。時間利得補正の前にアナログ反転があり、アナログ・デジタル変換後(つまり、後続のビームフォーミングの前)にデジタル反転がある。
【0020】
この装置は、好ましくは、超音波トランスデューサ素子を制御して超音波パルスを送出し、スイッチ装置を制御し、インバータを制御するコントローラと、受信した反射超音波パルスを処理する信号プロセッサとを備える。
【0021】
これは超音波画像システムを定義する。
【0022】
コントローラは、それから好ましくは、2つのサイクル、すなわち、
【0023】
スイッチ装置とインバータがそれぞれ反転を行わない第一のサイクルと、
【0024】
スイッチ装置とインバータがそれぞれ反転を提供する第二のサイクルと
を実施するように構成される。
【0025】
反転操作を同期することにより(時間利得補正の前、及びアナログ・デジタル変換後)、所望される高調波信号に全体的な影響はないが、2つの反転ステージ間の電子歪みは、信号の反転バージョンと非反転バージョンを組み合わせることによりキャンセルできる。
【0026】
コントローラは、例えば、超音波パルス送出間の第1のサイクルと第2のサイクルを切り替えるように構成される。たとえば、サイクルの反転設定は、エコー信号を聴いている(たとえば、50乃至100μsのデータストリームをキャプチャする)間、保持される。一例として、超音波パルスは2.5MHzの中心周波数で放射されてもよい。
【0027】
したがって、連続する超音波パルスは、逆の反転設定で処理される。代わりに、各反転操作の間にパルスのシーケンスが存在する場合がある。
【0028】
信号プロセッサは、好ましくは、連続する第1及び第2のサイクルについて受信した反射超音波パルスを組み合わせるように構成される。このように、逆位相成分を追加することにより、確定的な電子歪みをキャンセルできる。
【0029】
コントローラは、例えば、連続するパルス送出(すなわち、パルス送信)に逆極性を適用するように構成される。これは、パルス反転スキームを定義する。この利点は、奇数と偶数の両方の高調波歪み成分を補正できることである。パルス反転のないシステムでは、高調波のみが補正される。
【0030】
信号プロセッサは、好ましくは、送出される超音波パルスの基本周波数の高調波を処理するように構成される。本発明は、高調波イメージングシステムにとって特に興味深い。
【0031】
インバータは、アナログ・デジタル変換器の出力の最上位ビット用のビットインバータを備えてもよい。これにより、最上位ビット値を使用するデジタルワードの負(反転)値の表現に基づく単純な反転システムが提供される。
【0032】
いくつかの例では、アンプは差動出力部を備えている。それから、スイッチ装置は出力を選択的に反転する。代わりに、基準(アンプの第2の出力部と見なすこともできる)及び単一の出力部があり、スイッチ装置によって反転される。
【0033】
スイッチ装置は、例えば、第1の増幅器出力部と第1の時間利得補償回路入力部の間との第1のスイッチ、第1の増幅器出力部と第2の時間利得補償回路入力部との間の第2のスイッチ、第2の増幅器出力部と第1の時間利得補償回路入力部との間の第3のスイッチ、及び第2の増幅器出力部と第2の時間利得補償回路入力部との間の第4のスイッチを備える四つのスイッチを有する。
【0034】
本発明の別の態様による例は、超音波信号を処理する方法であって、
【0035】
超音波トランスデューサ素子のアレイから、及び各トランスデューサ素子で信号を受信するステップと、
【0036】
それぞれの信号を増幅するステップと、
【0037】
増幅される信号から、直接又は反転で選択的に中間2端子出力を生成するステップと、
【0038】
中間2端子出力に対して時間利得補正を実行するステップと、
【0039】
アナログ・デジタル変換を実行するステップと、
【0040】
中間信号を生成するために使用される反転と同期して、デジタル信号の反転を選択的に実行するステップと
を有する、方法を提供する。
【0041】
この方法により、時間利得補正とアナログ・デジタル変換プロセスから生じる電子歪みをキャンセルできる。
【0042】
この方法は、超音波トランスデューサ素子を制御して超音波パルスを送出するステップと、受信した反射超音波パルスを処理するステップとをさらに有し、制御は2つのサイクル
、すなわち、
【0043】
スイッチ装置とインバータがそれぞれ反転を行わない第一のサイクルと、
【0044】
スイッチ装置とインバータがそれぞれ反転を提供する第二のサイクルと
を実行する。
【0045】
その場合、第1のサイクルと第2のサイクルの切り替えは、超音波パルスの送出間で行われる。この方法は、連続するパルス送出に逆極性を適用するステップ、及び連続する第1及び第2のサイクルに対して受信した反射超音波パルスを結合するステップを含み得る。これにより、奇数及び偶数の高調波歪みを補正できる。
【0046】
本発明は、少なくとも部分的にコンピュータソフトウェアで実施することができる。
【0047】
本発明の例は、添付図面を参照して詳細に説明される。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、各増幅素子出力の局所増幅、時間利得補償及びデジタル化が行われる超音波プローブを提供する。時間利得補償及びデジタル化ユニットは反転装置で囲まれ、同期反転機能により確定的な歪みをキャンセルできる。
【0050】
図1は、プローブ内デジタル化を提供するための基本的な装置を示している。
【0051】
プローブは、数百又は数千のトランスデューサ素子10のアレイを備え、そのうち3つが示されている。各トランスデューサ素子10は、低雑音増幅器(LNA)12、時間利得補償(TGC)回路14、及びアナログ・デジタル変換器(ADC)16を含む信号処理回路を有する。TGC回路14は、部分的にLNA12に実装され得る。.その場合、通常、最初にLNA利得ステップが増加する。 LNA利得が最大レベルになると、第二のステージのTGC設定が変更される。時間利得補正は、組織の減衰を考慮して診断用超音波イメージングに適用される設定である。深さとともに受信信号強度を増加させることにより、Bモード画像強度の均一性のアーティファクトが減少する。
【0052】
このシステムでは、個々の要素の超音波エコー信号を変換するために、数百から数千のアナログ・デジタル変換器(ADC)を実装する必要がある。
【0053】
ADCのデジタル出力信号(Data_out)は、遅延及び合計動作を実行するビーム形成回路18に適用される。構造的又は破壊的な干渉により、特定の方向からのエネルギーは増幅され、他の方向からのエネルギーは減衰する。
【0054】
アナログエレクトロニクスで発生するエラーは、ビーム形成される出力信号の品質に影響する。無相関誤差(ADCのLNAノイズ及びランダム線形誤差など)は、確率的に合計するため、影響が比較的小さく、それゆえにトランスデューサ素子の量が増えるにつれて、その寄与は減少する。相関誤差(信号の歪み及び系統的なADC誤差など)は、誤差が確定的に合計されるため、より大きな影響を与え、それゆえにその寄与はトランスデューサ素子の数にスケーリングされない。
【0055】
これは、100チャネルアレイの場合、個々のLNAのノイズレベルが(ピーク)入力信号に対して−50dBである一方、信号歪みの条件は−60dB(例)になる可能性があることを意味する。
【0056】
上記で示したように、最も厳しい歪み要件は、特に信号がすでに比較的弱い大きな深度で撮像するとき、高調波撮像モードに有効である。この場合、TGC及びADCの信号振幅が最大レベル(最大振幅)になるようにプログラムされているが、LNA信号振幅は制限される。信号の振幅が大きくなると信号の歪みが大きくなるため、TGCとADCが歪みを支配している可能性がある。したがって、TGC回路及びADC(のアナログ部分)の歪みの補償が望まれる。
【0057】
図2は、本発明の一例による、単一のトランスデューサ素子用の信号処理回路を示している。
【0058】
信号処理回路はここでも、増幅器12、時間利得補償回路14、及びアナログ・デジタル変換回路16を含む。
【0059】
さらに、増幅器12の出力部には、増幅器出力から直接又は反転して中間2端子(すなわち、差動又は準差動)出力22を生成するためのスイッチ装置20がある。したがって、スイッチ装置はアナログチョッピング機能を実行する。インバータ24は、デジタル信号反転のためにアナログ・デジタル変換器16の出力部に設けられ、スイッチ装置20と同期して制御される。反転プロセスの制御信号は、cntrl_invとして示される。
【0060】
図2の例では、増幅器には差動出力、つまり非反転出力と反転出力がある。スイッチ装置20は、これらを中間2端子出力22に直接ルーティングするか、又は反転させる。
【0061】
したがって、信号処理回路を通過する信号は、ADCのデジタル出力を含むデュアル極性(つまりAC)信号である。出力のデジタルワードは、最上位ビットなどの符号ビットを含むビットシーケンスとしてエンコードされる。そのような符号化方式では、インバータは単に符号ビットを1と0との間で選択的に交換するためのものである。しかしながら、他の符号化方式を使用することもできる。
【0062】
超音波システムの使用時には、コントローラが超音波トランスデューサ素子を制御して超音波パルスを送出する。これらは、3乃至5MHzの範囲など、トランスデューサ素子の共振周波数に調整されるMHz範囲の周波数を持っている場合がある。一例として、中心周波数は2.5MHz(すなわち、0.4μsの周期)である。このようなパルスの反射エコー信号は、通常、数百サイクル(たとえば、50乃至100μs)の間、聴かれる。
【0063】
受信される反射エコー信号は、複数の反射信号の重ね合わせ信号を構成している。
【0064】
この100μsの時間ウィンドウの間、反転設定「cntrl_inv」は静的なままである。データワードのストリームはADCによって生成され、これらは反転設定に応じて反転されるか、又は反転されない。信号がクリティカルでない場合、反転設定の切り替えはエコーパルスの受信の間で行われる。
【0065】
反転設定により、2つのサイクルが発生する。スイッチ装置とインバータがそれぞれ反転しない第一のサイクルと、スイッチ装置とインバータがそれぞれ反転する第二のサイクルである。第一のサイクルでは、cntrl_invがハイ(=1)の場合、LNAの出力信号はTGC回路に反転せずに適用され、ADCのデジタル出力ワードは反転しない。 cntrl_invがロー(=0)の場合、LNAの出力信号はTGC回路の前で反転し、ADCの後のデジタルドメインでここでも反転する。
【0066】
ADCサンプリング周期は、たとえば40MHzであり、バイナリ形式でコード化される信号範囲[-127、+127]を提供する。
【0067】
増幅器は、固定利得又は時間変化する利得を持つ場合がある。利得が固定されている場合、出力信号はパルス送信イベントの直後に大きくなるが、信号強度は時間とともに指数関数的に減少する。
【0068】
LNAはチャネルのTGC回路の一部である場合があり(図示せず)、この場合、LNAの出力信号は、送信イベントが発生した後しばらく(10μAなど)一定(及び大きい)である。これを実現するために、LNA利得はこの時間フレームの間、指数関数的に増加するように制御される。その後、LNA利得は最大レベルになり、一定のままになる。その時間以降、LNA出力での信号強度はここでも指数関数的な減衰を示す。
【0069】
図3は、上記の2つのサイクルを示している。上の部分はcntrl_inv = 1の非反転の第一のサイクルを示し、下の部分はcntrl_inv = 0の反転の第二のサイクルを示している。
【0070】
スイッチ装置20は、4つのスイッチ、すなわち、第1の増幅器出力と第1の時間利得補償回路入力との間の第1のスイッチ20a、第1の増幅器出力と第2の時間利得補償回路入力との間の第2のスイッチ20b、第2の増幅器出力と第1の時間利得補償回路入力との間の第3のスイッチ20c、及び第2の増幅器出力と第2の時間利得補償回路入力との間の第4のスイッチ20dを有する。
図3には、ルーティング機能を実行するために閉じられるスイッチのみが示されているが、すべてが
図2に示されている。
【0071】
1つのアプローチでは、すべてのチャネルがcntrl_inv = 0で駆動され、それからすべてのチャネルがcntrl_inv = 1で駆動される。 2つの時点で同じチャネル信号がそれ自体に追加される。これには、有効なフレームレートが半分になるように分析を実行するために2サイクルが必要である(ただし、以下でさらに説明するように、パルス反転方式では2サイクルが必要である)。
【0072】
別のアプローチでは、チャネルの半分(第一のサブグループ)はcntrl_inv = 1によって駆動され、チャネルの残りの半分はcntrl_inv = 0(第二のサブグループ2)によって駆動される。オプションで、2つのサブグループの要素は、ビーム形成角度によって変更できる。
【0073】
この場合、cntrl_inv = 0の1つのチャネル信号が、cntrl_inv = 1の別の隣接チャネルに追加される。これにより、フレームレートを保持できるが、画像の解像度は半分になる。この場合、これはキャンセル機能に悪影響を与えるため、これらのペアの要素からの信号が逆相にならないようにする必要がある。
【0074】
これらのアプローチは、TGC回路とADCの構造的な偶数次高調波歪みをキャンセルする。
【0075】
図4は、2サイクルの間、システムで発生する信号を示している。左の列は、第一のタイプのサイクル中の非反転信号用で、右の列は、第二のタイプのサイクル中の反転信号用である。
【0076】
一番上の行は、増幅器12によって受信される波形を示している。信号は、反射基本波40と、2倍の周波数を有する受信される第二高調波42とを含む。図を単純にするために、高次高調波(>=3)は表示されない。
【0077】
図4は、単一の反射パルスのみを示している。これは、複数の重畳反射パルスが受信されるという点で単純化されている。
図4は、歪みキャンセルの性質を説明するために使用した簡略図である。信号40の周期は、Txパルス周期(例えば0.4μs)と同じである。
【0078】
第2の行は、スイッチング装置20の後、時間利得補償ユニット14によって受信される波形を示す。信号は、上の行と比較してすべて増幅され、右の列ですべて反転される。
【0079】
第3行は、アナログ・デジタル変換器14のデジタル出力のアナログ表示である。TGC回路及びADCに由来する追加の偶数の電子歪み信号成分44が存在する。
【0080】
第4行は、インバータ24の後の出力データData_outのアナログ表示である。信号は左の列では変化しないが、右の列ではすべて反転する。
【0081】
右側の列では、歪み成分44の偶数次高調波が1回反転しているが、関心信号42は2回反転している。
【0082】
2つのData_out信号は図示のように結合され、その結果、歪み要素44がキャンセルされる。
【0083】
この結合は、たとえば、(上記のとおり)2つの連続した時間で2つの信号間で行われる。基本信号は高度に相関しており、ADC及びTGCユニットの歪みを支配していると想定されている。
【0084】
このアプローチにより、高調波歪みさえもキャンセルされる。
【0085】
変更により、パルス反転方式を使用して、奇数及び偶数の高調波歪みをキャンセルできる。奇数高調波歪みは、たとえば、スルーレートの制限又は体系的なADCの直線性エラーにより発生する可能性がある。送信パルス反転は、超音波高調波イメージングでよく知られている手法である。信号処理回路の反転方式は、送信パルス反転方式と同期している。その結果、TGC回路とADCは両方の送信イベント中に同一の基本信号を認識し、デジタル領域で出力信号を結合した後、すべての歪みがキャンセルされる。
【0086】
図5は、
図4と同じ表記法を使用してシステム内の信号を示している。
【0087】
一番上の行は、増幅器12によって受信される波形を示している。信号は、反射基本波40と、2倍の周波数を有する受信第二高調波42とを含む。図を単純にするために、高次の高調波は表示されない。基本波40は2列目で反転されており、これは送信パルス反転方式の結果である。
【0088】
偶数次高調波は、基本波の極性に依存しない極性を持っているため、信号42は両方の列で同じ極性を持っている。
【0089】
第2の行は、スイッチング装置20の後、時間利得補償ユニット14によって受信される波形を示す。信号は、上の行と比較してすべて増幅され、それらはすべて右の列で反転される。
【0090】
第3行は、アナログ・デジタル変換器14のデジタル出力のアナログ表現である。TGC回路及びADCに由来する追加の電子歪み要素44がここでも存在する。
【0091】
第4行は、インバータ24の後の出力データData_outのアナログ表示である。信号は左の列では変化しないが、右の列ではすべて反転する。
【0092】
右側の列では、歪み44がここでも1回反転しているが、関心信号42は2回反転している。
【0093】
2つのData_out信号は図示のように組み合わされ、その結果は歪み要素44のキャンセルであるが、この場合の基本波でもある。
【0094】
基本波信号は高度に相関しており、ADC及びTGC回路の歪みを支配しているという同じ仮定が適用される。
【0095】
図2の回路全体が単一のASICになるように、同じASICにLNA、TGC、及びADCを統合することが可能である。
【0096】
図6に示す代替案は、LNAを第1のASIC60に(オプションでトランスデューサ素子と一緒に)統合し、TGC回路とADCを第2のASIC62に統合することである。この場合、LNAはシングルエンド出力を有し、第一及び第二のASICの間の信号接続の数を制限する。したがって、基準Vrefは、スイッチ装置20への第2の入力として機能する。
【0097】
このようにして、信号は(たとえば、図に示すようにACカップリングを使用することによって)第二のASIC 62の入力で準差動信号に変換できる。2チップソリューションは、両方の目的で異なる最適化されたASICテクノロジーを自由に選択できるという利点がある。
【0098】
それから、
図7を参照して、例示的な超音波診断撮像システムの一般的な動作を説明する。これは、本発明の方法及びシステムを適用できる一般的なタイプのデバイスを示す。
【0099】
システムは、超音波を送信し、エコー情報を受信するためのCMUTトランスデューサアレイ105を有するアレイトランスデューサプローブを含む。代わりに、トランスデューサアレイ105は、PZT又はPVDFなどの材料で形成される圧電トランスデューサを備えてもよい。アレイはcMUT要素で構成することもできる。トランスデューサアレイ105は、2D平面で、又は3Dイメージングのための3次元でスキャンすることができるトランスデューサ110の2次元アレイである。別の例では、トランスデューサアレイは1Dアレイであってもよい。
【0100】
図示の例では、トランスデューサアレイ105は、CMUTアレイセル又は圧電素子による信号の受信を制御するプローブ内のマイクロビームフォーマ112に結合されている。マイクロビームフォーマは、米国特許第5,997,479号(Savordら。)、6,013,032号(Savord)、及び6,623,432号(Powersら)に記載されるトランスデューサのサブアレイ(又は「グループ」又は「パッチ」)によって受信される信号の少なくとも部分的なビームフォーミングが可能である。
【0101】
マイクロビームフォーマは完全にオプションであることは注意される。たとえば、マイクロビームフォーマは1Dアレイで常に使用されるとは限らない。また、非常に高いフレームレートを受信するために平面波イメージングを実行する場合、マイクロビームフォーマはさまざまなステアリング/フォーカシング方向で遡及的なビームフォーミングを妨げるため、魅力的ではない。
【0102】
マイクロビームフォーマ112は、プローブケーブルによって送信/受信(T / R)スイッチ116に結合され、送信/受信(T / R)スイッチ116は、マイクロビームフォーマが使用されず、トランスデューサアレイ105がメインシステムのビームフォーマによって直接操作されるとき、送信と受信とを切り替え、高エネルギー送信信号からメインビームフォーマ120を保護する。トランスデューサアレイ105からの超音波ビームの送信は、T / Rスイッチ116及び主送信ビームフォーマ(図示せず)によってマイクロビームフォーマに結合され、ユーザインターフェース又はコントロールパネル138のユーザ操作から入力を受け取る、トランスデューサコントローラ118によって方向付けられる。
【0103】
トランスデューサコントローラ118によって制御される機能の1つは、ビームがステアリングされて集束される方向である。ビームは、トランスデューサアレイ105(に直交して)から真っ直ぐ前にステアリングされ、又はより広い視野のために異なる角度でステアリングされることができる。トランスデューサコントローラ118は、CMUTアレイのDCバイアス制御145を制御するために結合され得る。 DCバイアス制御145は、CMUTセルに印加されるDCバイアス電圧を設定する。
【0104】
受信チャネルでは、部分的にビーム形成される信号がマイクロビームフォーマ112によって生成され、メイン受信ビームフォーマ120に結合され、トランスデューサの個々のパッチからの部分的にビーム形成される信号が完全にビーム形成される信号に結合される。例えば、メインビームフォーマ120は128個のチャネルを有することができ、各チャネルは、数十又は数百のCMUTトランスデューサセル又は圧電素子のパッチから部分的にビーム形成される信号を受信する。このようにして、トランスデューサアレイ105の数千のトランスデューサによって受信される信号は、単一のビーム形成信号に効率的に寄与することができる。
【0105】
ビーム形成される受信信号は、単一の信号プロセッサ122に結合される。信号プロセッサ122は、バンドパスフィルタリング、デシメーション、I及びQ成分分離、組織及びマイクロバブルから返される非線形(基本周波数の高調波)エコー信号の識別を可能にするために線形及び非線形信号を分離するように作用する高調波信号分離などの様々な方法で受信エコー信号を処理できる。信号プロセッサは、スペックル低減、信号合成、ノイズ除去などの追加の信号強調も実行できる。信号プロセッサのバンドパスフィルターは、トラッキングフィルターにすることができ、その通過帯域は、エコー信号が増加する深度から受信されるとき、高い周波数帯域から低い周波数帯域にスライドし、それによって、これらの周波数が解剖学的情報を欠いているより深い深度からのより高い周波数でのノイズが除去される。
【0106】
送信用と受信用のビームフォーマは通常、異なるハードウェアで実装され、異なる機能を持つことができる。当然のことながら、受信ビームフォーマは、送信ビームフォーマの特性を考慮して設計されている。
図7では、簡単にするために、受信ビームフォーマ112、120のみが示されている。完全なシステムには、送信マイクロビームフォーマとメイン送信ビームフォーマを備えた送信チェーンもある。
【0107】
マイクロビームフォーマ112の機能は、アナログ信号経路の数を減らすために、信号の初期の組み合わせを提供することである。これは通常、アナログドメインで実行される。
【0108】
最終ビーム形成は、メインビームフォーマ120で行われ、通常はデジタル化の後に行われる。
【0109】
送信及び受信チャネルは、固定周波数帯域を有する同じトランスデューサアレイ105を使用する。ただし、送信パルスが占有する帯域幅は、使用されている送信ビーム形成に依存して変わり得る。受信チャネルは、(古典的なアプローチである)トランスデューサの帯域幅全体をキャプチャすることができ、又はバンドパス処理を使用することにより、有用な情報(たとえば、メインハーモニクスの高調波)を含む帯域幅のみを抽出できる。
【0110】
処理される信号は、Bモード(すなわち、輝度モード、又は2Dイメージングモード)プロセッサ126及びドップラープロセッサ128に結合される。Bモードプロセッサ126は、体内の器官及び血管の組織などの体内の構造のイメージングのための受信超音波信号の振幅の検出を使用する。米国特許第6,283,919号(Roundhillら)及び米国特許第6,458,083号(Jagoら)に記載されるように、体の構造のBモード画像は、高調波画像モード又は基本波画像モードの何れか、又はその両方の組み合わせで形成され得る。ドップラープロセッサ128は、画像フィールド内の血球の流れなどの物質の動きを検出するために、組織の動きと血流から時間的に異なる信号を処理する。ドップラープロセッサ128は、通常、体内の選択されるタイプの材料から返されるエコーを通過及び/又は拒絶するように設定され得るパラメータを備えた壁フィルタを含む。
【0111】
Bモード及びドップラープロセッサによって生成される構造及び動き信号は、スキャン変換器132及びマルチプレーナリフォーマッタ144に結合される。スキャン変換器132は、エコー信号を、それらが所望の画像フォーマットで受信される空間関係に構成する。たとえば、スキャン変換器は、エコー信号を、2次元(2D)のセクター形状フォーマット、又はピラミッド形の3次元(3D)画像に構成することができる。スキャン変換器は、ドップラー推定速度で画像フィールド内の点の動きに対応する色でBモード構造画像をオーバーレイして、画像フィールド内の組織と血流の動きを表すカラードップラー画像を生成できる。マルチプレーナリフォーマッタは、米国特許第6,443,896号(Detmer)に記載されているように、体の体積領域の共通面の点から受信されるエコーを、その面の超音波画像に変換する。米国特許第6,530,885号(Entrekin ら)に記載されているように、ボリュームレンダラ142は、3Dデータセットのエコー信号を、所与の基準点から見た投影3D画像に変換する。
【0112】
2D又は3D画像は、表示装置140に表示するためのさらなる強調、バッファリング、及び一時記憶のために、スキャン変換器132、マルチプラナーリフォーマッタ144、及びボリュームレンダラ142から画像プロセッサ130に結合される。イメージングのための使用に加えて、ドップラープロセッサ128によって生成される血流値とBモードプロセッサ26によって生成される組織構造情報は、定量化プロセッサ134に結合される。定量化プロセッサ134は、器官のサイズ及び在胎齢などの構造的測定値だけでなく、血流の体積レートなどの異なる流量条件の測定値を生成する。定量化プロセッサ134は、測定が行われる画像の解剖学的構造のポイントなど、ユーザ制御パネル138から入力を受け取ることができる。定量化プロセッサ134からの出力データは、ディスプレイ140上の画像を用いる測定グラフィックス及び値を再現するため、及び表示装置140からの音声出力のために、グラフィックスプロセッサ136に結合される。グラフィックスプロセッサ136は、超音波画像での表示のためにグラフィックオーバーレイも生成する。これらのグラフィックオーバーレイには、患者名、画像の日付と時刻、イメージングパラメータなどの標準的な識別情報を含めることができる。これらの目的のために、グラフィックプロセッサは、患者名などの入力をユーザインターフェース138から受け取る。ユーザインターフェース138はまた、送信コントローラ118に結合され、トランスデューサアレイ105からの超音波信号の生成、したがってトランスデューサアレイ105及び超音波システムによって生成される画像を制御する。コントローラ118の送信制御機能は、実行される機能の1つに過ぎない。また、コントローラ118は、(ユーザによって与えられる)動作モード、及び対応する必要な送信器構成及び受信機アナログ・デジタル変換器の帯域通過構成も考慮する。コントローラ118は、固定状態を用いる状態機械とすることができる。
【0113】
また、ユーザインターフェース138は、MPR画像の画像フィールドにおいて定量化される測定を実行するために使用され得る複数のマルチプレーナリフォーマット(MPR)画像の平面の選択及び制御のためにマルチプレーナリフォーマッタ144に結合される。
【0114】
プロセッサ装置は、上記の方法の任意の部分を実行し、それによりコントローラ機能を実装するように構成させることができる。プロセッサ装置は、例えば、コントローラ118などの前述のプロセッサの1つ以上に含まれてもよく、信号処理は既存の信号プロセッサ122で実行されてもよい。定量化プロセッサ134及びグラフィックプロセッサ136が利用されてもよい。代わりに、本発明の方法で使用されるコントローラを実装するためのプロセッサ装置は、追加のモジュールであってもよい。
【0115】
図8は、超音波信号の処理方法であって、
【0116】
ステップ200における、超音波トランスデューサ素子のアレイから、及び各トランスデューサ素子で信号を受信するステップと、
【0117】
ステップ202における、それぞれの信号を増幅するステップと、
【0118】
ステップ204における、増幅される信号から中間2端子出力を、選択的に直接又は反転して生成するステップと、
【0119】
ステップ206における、中間2端子出力に対して時間利得補償を実行するステップと、
【0120】
ステップ208における、アナログ・デジタル変換を実行するステップと、
【0121】
ステップ210における、中間信号を生成するために使用される反転と同期してデジタル信号の反転を選択的に実行するステップと
を有する、方法を示している。
【0122】
逆の反転設定を備える信号は、ステップ212で結合される。
【0123】
本発明を実施する現在の好ましいモードを含む特定の例に関して本発明を説明したが、当業者は、他の技術的に同等なものによる特定の要素の置換を含む上記の実施形態の多数の変形及び置換があることを理解するであろう。添付の特許請求の範囲に記載される本発明の範囲から逸脱することなく。請求項において、「含む」という語は他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は複数を除外しない。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。請求項中の参照符号は、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。