特許第6838207号(P6838207)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6838207-ヘアストレートナ 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838207
(24)【登録日】2021年2月15日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】ヘアストレートナ
(51)【国際特許分類】
   A45D 1/00 20060101AFI20210222BHJP
   A45D 1/28 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   A45D1/00 501D
   A45D1/00 Z
   A45D1/00 502B
   A45D1/00 503A
   A45D1/28 C
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2020-540476(P2020-540476)
(86)(22)【出願日】2019年1月29日
(65)【公表番号】特表2021-506531(P2021-506531A)
(43)【公表日】2021年2月22日
(86)【国際出願番号】EP2019052028
(87)【国際公開番号】WO2019154662
(87)【国際公開日】20190815
【審査請求日】2020年7月21日
(31)【優先権主張番号】18156070.7
(32)【優先日】2018年2月9日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】KONINKLIJKE PHILIPS N.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100122769
【弁理士】
【氏名又は名称】笛田 秀仙
(74)【代理人】
【識別番号】100163809
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】パン チューエン ユー サイラス
【審査官】 村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/183021(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 1/00
A45D 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
毛髪に圧力をかける間に毛髪を加熱するための加熱ユニットと、
前記加熱される毛髪の温度を測定し、測定温度を取得するための温度センサと、
を有するヘアストレートナにおいて、
前記測定温度に依存して、前記毛髪に対して前記加熱ユニットによりかけられる圧力を調節するための、圧力調節ユニットを有することを特徴とする、ヘアストレートナ。
【請求項2】
前記加熱ユニットは、加熱板の対を有し、該対の間に毛髪がクランプされ、前記圧力調節ユニットは、前記測定温度に依存して、前記加熱板の間の距離を変化させるよう構成された、請求項1に記載のヘアストレートナ。
【請求項3】
前記圧力調節ユニットは、前記測定温度が第1の閾値温度を超えた場合に、前記加熱板の間の距離を増大させるための、モータにより動作させられる押し具を有する、請求項2に記載のヘアストレートナ。
【請求項4】
前記ヘアストレートナは、各々が前記加熱板のうちのそれぞれ1つを備えた、ヒンジ接合されたアームの対を有し、
前記圧力調節ユニットは、前記測定温度が第2の閾値温度よりも下回った場合に、前記ヒンジ接合されたアームの間の距離を減少させ、それにより前記加熱板の間の距離を低減させるための、モータにより動作させられる引き具を有する、請求項2に記載のヘアストレートナ。
【請求項5】
前記モータにより動作させられる引き具は、第2のアームに結合され、
第1のアームに略平行な第1の引き力を生成するためのばねと、
前記測定温度が第2の閾値温度を下回ったときに、前記加熱板の間の距離を減少させるため、前記第1のアームに略平行な第1の引き力を、前記第1のアームに略垂直な第2の引き力に変換するための、前記第1のアームに結合された力変換具と、
を有する、請求項4に記載のヘアストレートナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘアストレートナに関する。
【背景技術】
【0002】
国際特許出願公開WO20140128は、グリップ領域と加熱可能な動作領域とを有する、2本の脚を有するヘアストレートナ(hair straightener)を開示している。該ヘアストレートナが使用されていることを検出し、この情報を対応する制御/調節装置に伝達する検出装置が備えられ、該制御/調節装置は、対応する信号の受信時に動作領域を加熱するために加熱装置を作動させるように設計されている。該検出装置は、2本の脚が閉じたことを記録するための圧力スイッチであっても良い。
【0003】
米国特許出願公開US201208047は、櫛状のヘアストレートナツールを開示している。該ヘアストレートナツールは、1つの毛髪受容部によって互いにそれぞれ間隔をあけて配置された櫛歯の列を有する。各櫛歯は、移動可能に取り付けられた少なくとも1つの第1の成形部品と関連している。該部品は、毛髪受容部を取り囲む追加の櫛歯に対して相対的に移動可能に支持されている。矯正ツールは、更に、この毛髪受容体を取り囲む追加の櫛歯と関連する第2の成形部品を取り囲む。このことは、毛髪受容部の成形部分の間の毛髪整形間隙の実装に役立つ。これら2つの成形部品のうち1つのみが加熱されてれば十分なものと見做される。このツールは、個々の第1の成形部品に作用するばね力が、ストレートニングのプロセスのために毛髪に作用する力を決定することを既に示している先行技術の装置に基づいている。次いで、第2の成形部品は、アバットメントを表す。欧州特許EP1721539は、セットスクリューによってばね力を調整し、それによってヘアストレートニングのプロセスのために毛髪に作用する力を決定することが可能であることを示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
典型的なヘアストレートナは、温度センサを使用して加熱板温度の変化を検出し、ヒータの温度を上昇させることにより毛髪を加熱することによる熱損失を補償するか、又は加熱板温度が高すぎる場合には、温度が再び目標範囲内に下がるまでヒータへの電源をオフにする。このような制御には幾つかの欠点がある。1つめの欠点は、加熱板の温度が髪の毛の温度を反映していないことである。接触圧力やストローク速度によって、毛髪温度が大きく影響を受け得る。2つめの欠点は、加熱板の温度が変化してから、センサがその変化に反応し始めるまでの時間的な遅れである。典型的な遅延は、少なくとも5秒である。3つめの欠点は、ヒータが反応を開始するときと、加熱板温度が変化し始めるときとの間の時間遅延である。例えば、温度センサが、加熱板温度が低すぎることを感知すると、ヒータに電源を入れるための信号を送信する。ヒータの電源が入ってから、加熱板の温度が上がり始めるまでに数秒かかる。そして、加熱板が目標温度に達するまでには、更に数秒かかる。ストレートニングストロークは、所望の方法で髪の温度に影響を与えられず、加熱板の温度が変化し始める前に終了し得る。
【0005】
本発明の目的は、特に、改良されたヘアストレートナを提供することである。本発明は、独立請求項により定義される。有利な実施例は、従属請求項により定義される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、毛髪に圧力をかける間に毛髪を加熱するための加熱ユニットと、前記加熱される毛髪の温度を測定し、測定温度を取得するための温度センサと、を有するヘアストレートナにおいて、前記測定温度に依存して、前記毛髪に対して前記加熱ユニットによりかけられる圧力を調節するための、圧力調節ユニットを有することを特徴とする、ヘアストレートナを提供する。前記加熱ユニットは、加熱板の対を有しても良く、該対の間に毛髪がクランプされ、前記圧力調節ユニットは、前記測定温度に依存して、前記加熱板の間の距離を変化させるためのツールを有しても良い。前記圧力調節ユニットは、前記測定温度が第1の閾値温度を超えた場合に、前記加熱板の間の距離を増大させるための、モータにより動作させられる押し具を有しても良い。前記ヘアストレートナは、各々が前記加熱板のうちのそれぞれ1つを備えた、ヒンジ接合されたアームの対を有しても良い。前記圧力調節ユニットは、前記測定温度が第2の閾値温度よりも下回った場合に、前記ヒンジ接合されたアームの間の距離を減少させ、それにより前記加熱板の間の距離を低減させるための、モータにより動作させられる引き具を有しても良い。前記モータにより動作させられる引き具は、第2のアームに結合されても良く、第1のアームに略平行な第1の引き力を生成するためのばねと、前記測定温度が第2の閾値温度を下回ったときに、前記加熱板の間の距離を減少させるため、前記第1のアームに略平行な第1の引き力を、前記第1のアームに略垂直な第2の引き力に変換するための、前記第1のアームに結合された力変換具と、を有しても良い。
【0007】
有利にも、圧力調整機構の使用は、加熱ユニットがゆっくりと温度を変化させるのを待つ必要なく、加熱ユニットから毛髪への熱伝達に瞬時に影響を与えることができる。
【0008】
本発明のこれらの態様及び他の態様は、以下に記載される実施例を参照して説明され、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明によるヘアストレートナの実施例を示す。
図2】本発明によるヘアストレートナの他の実施例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ヘアストレートナは、ストレートニング効果を達成するために毛髪にエネルギーを伝達するため、加熱板と髪の間の物理的な接触に依存する。通常、加熱板と毛髪との間の圧力が高いほど、より良いストレートニング効果が得られる。しかしながら、圧力が高すぎると、加熱板と毛髪との摩擦が大きくなり、ストレートニングストロークの速度が低下し、加熱板から毛髪への熱伝達は、圧力が高くなることと接触時間が長くなることの両方により、著しく増大する。
【0011】
加熱板が押された後の毛髪の温度を検出し、その温度が期待以上に高く毛髪に永続的なダメージを与える可能性があるか、又は期待以上に低くストレートニングの結果に影響を与える可能性があるかを決定するため、赤外線センサが用いられても良い。ユーザが選択した各温度設定において、期待される毛髪温度の結果があるべきである。赤外線温度センサから収集されたデータと各温度設定の期待値を比較することにより、内部プロセッサは、熱伝達が正常であるか、高すぎるか、又は低すぎるかを知ることができる。毛髪温度を直接測定するために赤外線センサを使用すると、加熱板温度と毛髪温度の間の近似値を大幅に減らすことができ、また、ヘアストレートナで使用される典型的なNTC温度センサに比べてはるかに速い。
【0012】
加熱板と毛髪間の熱伝達を変化させる最も直接的な方法の一つは、接触圧力を変化させることである。接触圧力は通常、ユーザが完全に制御することができる。しかしながら、ストレートニングストローク中にその圧力を増大させるか、又はその圧力を減少させるための機構が追加されても良い。実際の毛髪温度が高すぎると測定された場合、該機構は、熱損傷を防ぐために毛髪への熱入力を減少させるために、ユーザによって現在適用されている接触圧力を減少させるべきである。同様に、実際の毛髪温度が低すぎると測定された場合、該機構は、ストレートニング結果を改善するために毛髪への熱入力を増加させるために、ユーザによって現在加えられている接触圧力を増加させるべきである。
【0013】
圧力調整機構は漸進的に作動することができ、つまり、毛髪温度が少しだけ範囲外にある場合には、圧力調整を小さくしても良い。対して、毛髪温度が期待される温度範囲から非常に遠い場合には、圧力調整機構は、接触圧力を最大又は最小に増加又は減少させるために最大パワーをオンにしても良い。
【0014】
本発明の一実施例は、ヘアストレートナに由来する実際の毛髪温度を感知する少なくとも1つの赤外線センサを備えたヘアストレートナを提供する。ストレートニングストロークの間、毛髪は、ユーザによって及ぼされる一定の圧力で加熱板の間に押し付けられる。出口の毛髪の温度がある値を超えると、内蔵された圧力調整機構は、今度は熱板からの毛髪への熱伝達を減少させ、斯くして熱損傷を防ぐか又は減らすために、かけられる圧力を低下させる。同様に、毛髪の温度がある値未満である場合、圧力調整機構は、かけられる圧力を増大させ、その結果、加熱板から毛髪への熱伝達を増加させ、それによりストレートニング効果を向上させる。
【0015】
本発明の一実施例は、2つのアームと、少なくとも1つの赤外線温度センサと、毛髪に圧力を加えるための2つの加熱板と、ヒンジと、毛髪への又は毛髪からの接触圧力を追加又は減少させるための機構と、を備えたヘアストレートナを提供する。赤外線センサは、上側加熱板と下側加熱板との間で毛髪が出る方向に面し、ストレートナの側面に取り付けることができる。接触圧力調整機構は、角度位置エンコーダ付きステッピングモータで駆動するギア式の設計として、ばね付勢されたヒンジに取り付けることができる。通常の使用時には、モータには通電されないので、ギアが常に噛み合っている場合でも、両アームは機構から何ら支障を受けることなく自由に開閉することができる。ユーザが2つのアームに一定の圧力をかけているときのストロークでは、出口の毛髪の温度が期待される値と比較してかなり低いときには、図に示すように、モータが時計回りに一定の角度回転し、上のアームは次いでその現在の位置から押し下げられ、ユーザによって加えられている一定の圧力に増加し、こうして加熱板と髪の間の総接触圧力を増加させる。この機構は、毛髪の接触圧力が減少する必要があるときには、反対に動作することができ、モータが、この結果を達成するために、特定の角度だけ反時計回りに回ることができる。この圧力調整機構は、すべてストレートナ本体のハウジング内に収容されることができる。
【0016】
図1は、本発明によるヘアストレートナHSの一実施例を示す。ヘアストレートナHSは、ヒンジHを介して結合された2つのアームA1、A2を有し、各アームA1、A2は、それぞれの加熱板HP1、HP2を備えており、これらは合わせて加熱ユニットHUを形成している。温度センサTSは、測定温度を得るために加熱された毛髪の温度を測定する。圧力調整ユニットPAUは、測定温度に依存して、加熱板HP1、HP2が加熱板HP1、HP2の間の毛髪に押し付けられる圧力を調整するために備えられる。
【0017】
図1の実施例では、圧力調整ユニットPAUは、第2のアームA2に取り付けられたサーボモータ(図示せず)によって作動するホイールWを有する。ホイールWは、測定温度が第1の閾値温度を超えたときに、加熱板(HP1、HP2)の間の距離を増加させるための押し具を形成するカムCを備えている。ばねSは、ホイールWの第1のアームA1とカムCとの間に取り付けられており、ホイールWとばねSとは、測定温度が第2の閾値温度を下回ったときに加熱板の間の距離を減少させるための引き具をともに形成している。
【0018】
測定された毛髪温度が低すぎる場合には、温度センサTSによってサーボモータが制御され、ホイールWを時計回りに回転させる。これにより、第1のアームA1がばねSによって下方に引っ張られ、加熱板H1、H2によって加熱板H1、H2間の毛髪にかけられる圧力が増大する。
【0019】
測定された毛髪温度が高すぎる場合には、温度センサTSによりサーボモータが制御され、ホイールWを反時計回りに回転させる。これにより、ホイールWに取り付けられたカムCによって第1のアームA1が押し上げられることになり、加熱板H1、H2によって加熱板H1、H2間の毛髪にかけられる圧力が低下する。
【0020】
図2は、本発明によるヘアストレートナHSの別の実施例を示す図である。図2図1と異なる点は、圧力調整ユニットPAUが、一対の三角形で形成された力変換ツールTからなり、一方の三角形(図2の左の三角形)がばねSに接続され、他方の三角形(図2の右の三角形)が第1のアームA1に接続されている点である。測定された毛髪温度が低すぎ、ホイールWが時計回りに回転させられる場合、ばねSは左の三角形を右に引っ張り、三角形の斜辺が右の三角形に対して引っ張られている左の三角形の水平方向の力を垂直方向の力に変換するので、左の三角形は第1のアームA1を下方に引っ張る。力変換ツールTは、一対の三角形の代わりに、第1の方向の力を第1の方向に実質的に垂直な第2の方向の力に変換するために、一致する斜辺を有する一対の他の形状を有しても良い。
【0021】
上述の実施例は本発明を限定するものではなく説明するものであって、当業者は添付する請求項の範囲から逸脱することなく多くの代替実施例を設計することが可能であろうことは留意されるべきである。加熱ユニットは、加熱された加熱板によって、又は光又は超音波を毛髪に当てることによって、毛髪を加熱しても良い。圧力調整ユニットは、代替的に、加熱板の間にピストンを使用しても良く、加熱板の間の距離を増加させる必要がある場合には、空気が供給され、加熱板の間の距離を減少させる必要がある場合には、空気がそこから引き出される。圧力調整ユニットは、2つのアームが一点で枢動しているので、2つのアーム間の角度を交互に変化させることができる。加熱板が緊密に押し合わされているときには、熱伝達が高いので、圧力調整ユニットは、加熱板間の距離を変更することなく、加熱板と毛髪との間の圧力又は力を交互に変更することができる。また、加熱板が軽く触れ合っているときは、熱伝導は低いが、いずれの場合も距離はゼロである。本発明のヘアストレートナは、ユーザによって押し合わされる2つの加熱板を有していても良いし、又は米国特許出願公開US201080047に記載されているような櫛状の装置であっても良い。請求項において、括弧に挟まれたいずれの参照記号も、請求の範囲を限定することを意図したものではない。「有する(comprising)」なる語は、請求項に記載されたもの以外の要素又は態様の存在を除外するものではない。要素に先行する冠詞「1つの(a又はan)」なる語は、複数の斯かる要素の存在を除外するものではない。本発明は、幾つかの別個の要素を有するハードウェアによって、及び/又は適切にプログラムされたコンピュータによって実装されても良い。幾つかの手段を列記した装置請求項において、これら手段の幾つかは同一のハードウェアのアイテムによって実施化されても良い。特定の手段が相互に異なる従属請求項に列挙されているという単なる事実は、これら手段の組み合わせが有利に利用されることができないことを示すものではない。
図1
図2