特許第6838246号(P6838246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6838246アレイ基板、表示基板の製造方法及びディスプレイパネル
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838246
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】アレイ基板、表示基板の製造方法及びディスプレイパネル
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20210222BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20210222BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20210222BHJP
   H01L 29/417 20060101ALI20210222BHJP
   H01L 21/288 20060101ALI20210222BHJP
   C01B 32/194 20170101ALI20210222BHJP
   C01B 32/198 20170101ALI20210222BHJP
   C01B 32/196 20170101ALI20210222BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20210222BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H01L29/78 616V
   H01L29/78 616L
   H01L29/78 616U
   H01L21/28 301
   H01L29/50 M
   H01L21/288 M
   C01B32/194
   C01B32/198
   C01B32/196
   G09F9/30 338
   G09F9/30 348A
   G09F9/00 338
【請求項の数】19
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2019-554676(P2019-554676)
(86)(22)【出願日】2017年5月10日
(65)【公表番号】特表2020-516081(P2020-516081A)
(43)【公表日】2020年5月28日
(86)【国際出願番号】CN2017083688
(87)【国際公開番号】WO2018192020
(87)【国際公開日】20181025
【審査請求日】2019年10月3日
(31)【優先権主張番号】201710263476.8
(32)【優先日】2017年4月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】515203228
【氏名又は名称】ティーシーエル チャイナスター オプトエレクトロニクス テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】TCL China Star Optoelectronics Technology Co.,Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】于 ▲暁▼平
【審査官】 岩本 勉
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第105304495(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0294516(US,A1)
【文献】 特開2013−084845(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104409515(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第104966722(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0141236(US,A1)
【文献】 特開2014−207439(JP,A)
【文献】 特開2015−160794(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0249034(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0157069(US,A1)
【文献】 特開2008−166764(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第105336861(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2017/0104169(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0197101(US,A1)
【文献】 特開2013−006732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/786
C01B 32/194
C01B 32/196
C01B 32/198
G09F 9/00
G09F 9/30
H01L 21/28
H01L 21/288
H01L 21/336
H01L 29/417
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板であって、
ガラス基板と、
前記ガラス基板上に形成されるゲート電極の電極層と、
前記ガラス基板と前記ゲート電極の電極層上に被覆される絶縁層と、
前記絶縁層上に被覆される半導体層と、
前記半導体層上に形成され、第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層を含むn型ドープグラフェン層であって、前記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層が間隔をあけて設置され、且つ前記ゲート電極の電極層の垂直上方の両端に位置し、前記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層がそれぞれ前記ゲート電極の電極層と部分的に重なるn型ドープグラフェン層と、
前記n型ドープグラフェン層上に形成されるソース電極及びドレイン電極の電極層と、を含み、
前記n型ドープグラフェン層のn型ドープグラフェンは、窒素ドープグラフェン及びリンドープグラフェンのうちの少なくとも1種であるアレイ基板。
【請求項2】
前記窒素ドープグラフェンは、尿素と酸化グラフェン分散液を反応させて製造されてなる請求項1に記載のアレイ基板。
【請求項3】
前記n型ドープグラフェン層は、ナノスケールパターンを有する請求項2に記載のアレイ基板。
【請求項4】
前記n型ドープグラフェン層の前記ナノスケールパターンは、ナノインプリント技術によって形成される請求項3に記載のアレイ基板。
【請求項5】
前記ナノインプリント技術は、サーマルインプリントリソグラフィ技術である請求項4に記載のアレイ基板。
【請求項6】
表示基板の製造方法であって、
1つのベース基板上に第1電極層、絶縁層及び半導体層を順に形成するステップと、
前記半導体層上にナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層を形成するステップと、を含む表示基板の製造方法。
【請求項7】
前記n型ドープグラフェン層は、窒素ドープグラフェン層である請求項6に記載の表示基板の製造方法。
【請求項8】
前記半導体層上にナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層を形成する前、
素ドープグラフェンを提供するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の表示基板の製造方法。
【請求項9】
前記窒素ドープグラフェンを提供することは、
酸化グラフェン分散液に尿素を加え、混合液を形成するステップと、
前記混合液を第1温度に加熱して且つ保温することにより、窒素ドープグラフェン粗製品を得るステップと、
前記窒素ドープグラフェン粗製品を精製処理し、前記窒素ドープグラフェンを得るステップと、を含む請求項8に記載の表示基板の製造方法。
【請求項10】
前記半導体層上にナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層を形成することは、
前記半導体層上にn型ドープグラフェン層及び補助層を順に形成するステップと、
前記補助層にナノスケールパターン化処理を行うことにより、前記補助層にナノスケールパターンを形成するステップと、
前記n型ドープグラフェン層を処理することにより、ナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層を形成するステップと、
前記補助層を除去するステップと、を含むことを特徴とする請求項6に記載の表示基板の製造方法。
【請求項11】
前記補助層にナノスケールパターン化処理を行うことにより、前記補助層にナノスケールパターンを形成することは、
ナノインプリント技術によって前記補助層にナノスケールパターン化処理を行うことにより、前記補助層にナノスケールパターンを形成するステップを含む請求項10に記載の表示基板の製造方法。
【請求項12】
前記n型ドープグラフェン層を処理することにより、ナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層を形成することは、
プラズマ表面処理技術によって、前記n型ドープグラフェン層を処理し、ナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項10に記載の表示基板の製造方法。
【請求項13】
ディスプレイパネルであって、
表示基板を含み、
前記表示基板は、
ガラス基板と、
前記ガラス基板上に形成されるゲート電極の電極層と、
前記ガラス基板と前記ゲート電極の電極層上に被覆される絶縁層と、
前記絶縁層上に被覆される半導体層と、
前記半導体層上に形成され、第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層を含むn型ドープグラフェン層であって、前記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層が間隔をあけて設置され、且つ前記ゲート電極の電極層の垂直上方の両端に位置し、前記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層がそれぞれ前記ゲート電極の電極層と部分的に重なるn型ドープグラフェン層と、
前記n型ドープグラフェン層上に形成されるソース電極及びドレイン電極の電極層と、を含むディスプレイパネル。
【請求項14】
前記n型ドープグラフェン層は、リンドープグラフェン層である請求項13に記載のディスプレイパネル。
【請求項15】
前記n型ドープグラフェン層は、窒素ドープグラフェン層である請求項13に記載のディスプレイパネル。
【請求項16】
前記窒素ドープグラフェン層の窒素ドープグラフェンは、尿素と酸化グラフェン分散液を反応させて製造されてなる請求項15に記載のディスプレイパネル。
【請求項17】
前記n型ドープグラフェン層は、ナノスケールパターンを有する請求項16に記載のディスプレイパネル。
【請求項18】
前記n型ドープグラフェン層の前記ナノスケールパターンは、ナノインプリント技術によって形成される請求項17に記載のディスプレイパネル。
【請求項19】
前記ナノインプリント技術は、サーマルインプリントリソグラフィ技術である請求項18に記載のディスプレイパネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面表示の技術分野に関し、特にアレイ基板、表示基板の製造方法及びディスプレイパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、省電力、無輻射などの多くの利点を有するため、光学、半導体、モーター、化学工業及び材料など、様々な産業で幅広く使用されている。
【0003】
金属と半導体が接触する際、半導体側のドープ濃度が非常に高いと、バリア領域の幅が小さくなり、キャリアがトンネル効果によってバリアを透過し、かなり大きなトンネル電流を発生し、オーミックコンタクトを形成し得る。液晶表示基板において、半導体と金属電極の間のオーミックコンタクト抵抗の大きさが半導体デバイスの特性に影響する可能性がある。
【0004】
従来、オーミックコンタクト層とする材料は、通常、n型ドープシリコンであるが、本願の発明者は、長期にわたって研究開発を重ねた結果、n型ドープシリコンのオーミックコンタクト層が大きな漏れ電流、低スイッチング比などの欠点を有し、半導体と金属電極をよく導通させることができないことを見出した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が主に解決しようとする技術的課題は、半導体層と金属電極層をよく導通させることができ、半導体デバイスの特性を大幅に向上させることができるアレイ基板、表示基板の製造方法及びディスプレイパネルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記技術的課題を解決するために、本発明に採用される1つの技術的手段は、アレイ基板を提供することであり、上記アレイ基板は、ガラス基板と、上記ガラス基板上に形成されるゲート電極の電極層と、上記ガラス基板と上記ゲート電極の電極層上に被覆される絶縁層と、上記絶縁層上に被覆される半導体層と、上記半導体層上に形成され、第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層を含むn型ドープグラフェン層であって、上記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層が間隔をあけて設置され、且つ上記ゲート電極の電極層の垂直上方の両端に位置し、上記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層がそれぞれ上記ゲート電極の電極層と部分的に重なるn型ドープグラフェン層と、上記n型ドープグラフェン層上に形成されるソース電極及びドレイン電極の電極層と、を含み、そのうち、上記n型ドープグラフェンは、窒素ドープグラフェン及びリンドープグラフェンのうちの少なくとも1種である。
【0007】
上記技術的課題を解決するために、本発明に使用される別の1つの技術的手段は、表示基板の製造方法を提供することであり、上記方法は、1つのベース基板上に第1電極層、絶縁層及び半導体層を順に形成するステップと、上記半導体層上にナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層を形成するステップと、を含む。
【0008】
上記技術的課題を解決するために、本発明に使用されるさらに別の1つの技術的手段は、ディスプレイパネルを提供することであり、上記ディスプレイパネルは、表示基板を含み、上記表示基板は、ガラス基板と、上記ガラス基板上に形成されるゲート電極の電極層と、上記ガラス基板と上記ゲート電極の電極層上に被覆される絶縁層と、上記絶縁層上に被覆される半導体層と、上記半導体層上に形成され、第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層を含むn型ドープグラフェン層であって、上記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層が間隔をあけて設置され、且つ上記ゲート電極の電極層の垂直上方の両端に位置し、上記第1n型ドープグラフェン層と第2n型ドープグラフェン層がそれぞれ上記ゲート電極の電極層と部分的に重なるn型ドープグラフェン層と、上記n型ドープグラフェン層上に形成されるソース電極及びドレイン電極の電極層と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。従来技術の場合と異なり、本発明のアレイ基板では、n型ドープグラフェン層が半導体層とソース電極及びドレイン電極の電極層との間に設置され、その優れた導電性及び非常に高い電子移動度のため、形成されるオーミックコンタクト抵抗が小さく、且つ漏れ電流が小さく、スイッチング比が高いという利点を有し、半導体層と金属電極層をよく導通させることができ、半導体デバイスの特性を大幅に向上させる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明のアレイ基板の一実施形態の構造模式図である。
図2図2は、本発明の表示基板の製造方法の一実施形態の模式的なフローチャートである。
図3図3は、本発明の表示基板の製造方法の一実施形態のプロセス模式図である。
図4図4は、本発明の表示基板の製造方法の一実施形態のプロセス模式図である。
図5図5は、本発明の窒素ドープグラフェンの製造方法の一実施形態の模式的なフローチャートである。
図6図6は、本発明のナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層の製造方法の一実施形態の模式的なフローチャートである。
図7図7は、本発明のナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層の製造方法の一実施形態のプロセス模式図である。
図8図8は、本発明のナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層の製造方法の一実施形態のプロセス模式図である。
図9図9は、本発明のナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層の製造方法の一実施形態のプロセス模式図である。
図10図10は、本発明のナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層の製造方法の一実施形態のプロセス模式図である。
図11図11は、本発明のナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層の製造方法の一実施形態のプロセス模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照すると、図1は、本発明のアレイ基板の一実施形態の構造模式図であり、該アレイ基板は、ガラス基板101と、ガラス基板101上に形成されるゲート電極の電極層102と、ガラス基板101とゲート電極の電極層102上に被覆される絶縁層103と、絶縁層103上に被覆される半導体層104と、半導体層104上に形成され、それは、第1n型ドープグラフェン層1051と第2n型ドープグラフェン層1052を含み、第1n型ドープグラフェン層1051と第2n型ドープグラフェン層1052が間隔をあけて設置され、且つゲート電極の電極層102の垂直上方の両端に位置し、第1n型ドープグラフェン層1051と第2n型ドープグラフェン層1052がそれぞれゲート電極の電極層102と部分的に重なるn型ドープグラフェン層105と、n型ドープグラフェン層105上に形成されるソース電極及びドレイン電極の電極層106と、を含む。
【0012】
そのうち、ガラス基板101は、透明ガラスであってもよく、いくつかの応用では、シリカ基板、又はポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride、PV)、可溶性ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoro ethylene、PFA)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)基板などを使用してもよい。
【0013】
ゲート電極の電極層102は、具体的には、単一金属層又は複合金属層、例えばCr、Mo、Mo/Al、MoTi、Cu等であってもよい。
【0014】
絶縁層103は、具体的には、SiNxであってもよく、いくつかの応用場面ではSiOx等であってもよく、勿論、ほかの応用場面では、ほかの絶縁物質から製造されてもよい。
【0015】
半導体層104は、具体的には、アモルファスシリコン材質であってもよく、いくつかの応用場面では、インジウム酸化物、亜鉛酸化物、錫酸化物、ガリウム酸化物等のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0016】
グラフェンは、新規なナノカーボン材料であり、非常に高い強度と熱伝導率、及び優れた導電性と電子移動度を有する。しかし、そのゼロバンドギャップの特徴は、その電子デバイス分野への応用に支障をもたらし、例えば漏れ電流が大きく、スイッチング比が低いなどである。グラフェンに制御可能なドープとバンド制御を行うこと、例えばグラフェンへのn型ドープによって、真性グラフェンを変性することにより、ドープ後のグラフェンにさらに優れた特性を付与することができ、第1電極層と半導体層の接触抵抗低減の点から、真性グラフェンよりも良好な性能を有する。具体的には、n型ドープグラフェン層105は、窒素ドープ又はリンドープによって実現でき、具体的には、化学気相蒸着法、溶液反応法のうちの少なくとも1種によって製造できる。該n型ドープグラフェン層105はさらに、所定の処理技術によってパターン化処理を行い、それに特定のパターンを持たせることができる。例えば、一般的なインプリント技術によってパターン化を行うこと、又はナノインプリント技術によってナノスケールパターンを得ることなどであり、ここでは限定しない。
【0017】
ソース電極及びドレイン電極の電極層106は、n型ドープグラフェン層105と同様に、2つの部分に分けられて間隔をあけて設置され、且つゲート電極の電極層102の垂直上方の両端に位置し、第1部分と第2部分は、それぞれゲート電極の電極層101と部分的に重なる。
【0018】
本発明のアレイ基板は、ガラス基板101と、ガラス基板101上に形成されるゲート電極の電極層102と、ガラス基板101とゲート電極の電極層102上に被覆される絶縁層103と、絶縁層103上に被覆される半導体層104と、半導体層104上に形成され、第1n型ドープグラフェン層1051と第2n型ドープグラフェン層1052を含むn型ドープグラフェン層105であって、第1n型ドープグラフェン層1051と第2n型ドープグラフェン層1052が間隔をあけて設置され、且つゲート電極の電極層102の垂直上方の両端に位置し、第1n型ドープグラフェン層1051と第2n型ドープグラフェン層1052がそれぞれゲート電極の電極層102と部分的に重なるn型ドープグラフェン層105と、n型ドープグラフェン層105上に形成されるソース電極及びドレイン電極の電極層106と、を含む。n型ドープ後のグラフェンは、より優れた導電性及び非常に高い電子移動度を有し、形成されるオーミックコンタクト抵抗が小さく、漏れ電流が小さく、スイッチング比が高く、半導体層104とソース電極及びドレイン電極の電極層106をよく導通させることができ、半導体デバイスの特性を大幅に向上させることができる。
【0019】
図2図4を参照すると、本発明の表示基板の製造方法の一実施形態は、ステップS101〜S102を含む。
S101: ベース基板201上に第1電極層202、絶縁層203及び半導体層204を順に形成する。 そのうち、ベース基板201は、透明材質であってもよく、具体的には、酸素バリア防水透明有機材質又はガラスであってもよい。一般的には、ガラス基板、シリカ基板があり、いくつかの応用では、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride、PV)、可溶性ポリテトラフルオロエチレン(Polytetrafluoro ethylene、PFA)、ポリエチレンテレフタレート(Polyethylene terephthalate、PET)基板などを使用してもよい。
【0020】
第1電極層202は、具体的には、ベース基板201上に金属スパッタリング堆積法によって金属層を形成し、さらにフォトレジストコーティング、露光、現像、エッチング及びフォトレジスト剥離などのプロセスを行うことにより、所定パターンを有する第1電極層202を形成してもよい。
【0021】
絶縁層203は、具体的には、第1電極層202上にさらに化学気相堆積及びフォトレジストエッチングプロセスによって形成されてもよい。
【0022】
半導体層204の形成方法は、第1電極層202と同様であるため、ここで重複説明を省略する。
【0023】
容易に理解できるよう、ほかの応用場面では、第1電極層202、絶縁層203及び半導体層204は、ほかの形成方法を採用してもよく、例えばスプレーコート等であってもよいが、ここでは限定しない。
【0024】
S102: 半導体層204上にナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層205を形成する。
【0025】
n型ドープグラフェン層205は、形成されたn型ドープグラフェンフィルムを半導体層204上に転写して形成されてもよく、コーティングの方式によってn型ドープグラフェン分散液を半導体層204にコーティングして形成されてもよい。
【0026】
そのうち、n型ドープグラフェンは、窒素ドープグラフェンであってもよく、リンドープグラフェンなどであってもよく、ここでは限定しない。
【0027】
n型ドープグラフェン層のナノスケールパターンの形成は、フォトレジストエッチング、ソフトリソグラフィ、グラフェンエッジプリント、ナノインプリント技術などの方法のうちの少なくとも1種を採用してもよい。
【0028】
さらに、半導体層204上にナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層205を形成した後、該ナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層205上に第2電極層(すなわちソース電極及びドレイン電極層)、保護層及びITO電極層を形成すると、完全な薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、TFT)基板が得られるが、勿論、TFT基板上にカラーフォトレジスト層をさらに形成し、カラーフィルタオンアレイ(Color Filter on Array、COA)構造を得るようにしてもよい。
【0029】
さらに、ポリイミド(Polyimide、PI)コーティング、液晶滴下(One Drop Filling、ODF)などのプロセスを行い続け、表示デバイスを製造し、且つ外部電圧を印加することで液晶を駆動して傾斜させて液晶表示の機能を実現する。
【0030】
本実施形態では、n型ドープグラフェンで真性グラフェン又はアモルファスシリコンを置換する。n型ドープグラフェンは、優れた導電性及び電子移動度を有し、形成されるオーミックコンタクト抵抗が低く、半導体とソース電極及びドレイン電極とをよく導通させることができ、半導体デバイスの特性を大幅に向上させることができる。且つ、ナノスケールパターンが形成されることで、基板の製造がさらに精細になり、その後のパネル表示の解像度向上のために技術上の基礎を提供し、さらに表示品質を向上させる。
【0031】
そのうち、一実施形態では、n型ドープグラフェン層は、窒素ドープグラフェン層であり、ステップS102の前、さらにS201を含む。
S201: 窒素ドープグラフェンを供給する。
【0032】
具体的には、窒素ドープグラフェンは、化学気相蒸着法、溶液反応法などの方法によって製造できる。
【0033】
図5を参照すると、図5は、本発明の窒素ドープグラフェンの製造方法の一実施形態の模式的なフローチャートである。本実施形態では、溶液反応法によって窒素ドープグラフェン層を製造し、この場合、ステップS201は、サブステップS2011、サブステップS2012及びサブステップS2013を含む。
【0034】
サブステップS2011: 酸化グラフェン分散液に尿素を加え、混合液を形成する。
そのうち、酸化グラフェン分散液は、酸化グラフェンと所定量の溶剤を用いて調製したものであってもよく、該溶剤は、具体的には、エタノール、アセトンなどの一般的な有機溶剤又は水などであってもよい。酸化グラフェン分散液の濃度は、0.1〜5mg/mLであってもよく、具体的には、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、1.5mg/mL、2mg/mL、2.5mg/mL、3mg/mL、3.5mg/mL、4mg/mL、4.5mg/mL、5mg/mLなどであってもよい。本実施形態では、使用される酸化グラフェン分散液は、具体的には、濃度が0.5mg/mLであり、体積が30mLである。
【0035】
尿素は、具体的には、尿素純物質を使用してもよく、所定の濃度の尿素溶液を使用してもよい。そのうち、酸化グラフェンと尿素純物質との質量比は、1:5〜1:50であり、具体的には、1:5、1:10、1:15、1:20、1:25、1:30、1:35、1:40、1:45、1:50などであってもよい。本実施形態では、尿素純物質を使用し、具体的には、450mgである。
【0036】
1つの応用場面では、形成された上記混合液を撹拌し、具体的には、マグネチックスターラーを用いて、30分間撹拌することができる。
【0037】
サブステップS2012: 上記混合液を第1温度に加熱して且つ保温することにより、窒素ドープグラフェン粗製品を得る。
酸化グラフェンと尿素の混合液を加熱し、加熱の温度範囲が120〜250℃であり、具体的には、120℃、140℃、160℃、180℃、200℃、225℃、250℃などであってもよく、且つ、2〜3時間反応させ、本実施形態では、具体的には、水熱反応釜を用いて160℃に加熱し、且つ該温度で3時間反応させ、窒素ドープグラフェン固体を析出し、窒素ドープグラフェン粗製品を形成する。
【0038】
サブステップS2013: 窒素ドープグラフェン粗製品を精製処理し、窒素ドープグラフェンを得る。
【0039】
そのうち、精製処理とは、具体的には、窒素ドープグラフェン粗製品を冷却させ、自然冷却の方式を用いてもよく、又は氷水に入れて補助的に冷却させてもよく、冷却後、遠心処理し、具体的には、遠心機にセットして遠心処理することにより、反応させて生成された窒素ドープグラフェンに沈降を発生させ、窒素ドープグラフェン固体と反応物を分離するという目的を達成することができる。一般的に使用される遠心機は、低速遠心機、高速遠心機、超高速遠心機などであってもよく、必要に応じて選択する。遠心処理完了後、沈降を発生させた窒素ドープグラフェン固体と液体を分離するが、具体的には、濾過の方式で分離し、次に洗浄して乾燥させ、窒素ドープグラフェン黒色固体を得てもよい。なお、得たサンプルの純度を確保するために、遠心精製処理を複数回行い、比較的純粋な窒素ドープグラフェンを得ることができる。
【0040】
本実施形態では、酸化グラフェンと尿素を原料とし、水加熱法によって窒素ドープグラフェンを製造するが、これは低温プロセスに属し、反応条件が温和で、操作がシンプルで、毒性がなく、環境汚染が小さく、反応時間が短く、反応効率が高く、さらにコストを削減することができる。
【0041】
図6図11を参照すると、本発明のナノスケールパターンを有する窒素ドープグラフェン層の製造方法の一実施例では、ステップS102は、サブステップS1021、サブステップS1022、サブステップS1023及びサブステップS1024を含む。
【0042】
サブステップS1021: 半導体層301上にn型ドープグラフェン層302及び補助層303を順に形成する。
そのうち、補助層303の材質は、具体的には、ポリメタクリル酸メチル(polymethyl methacrylate、PMMA)、ポリスチレン(Polystyrene、PS)、ポリカーボネート(Polycarbonate、PC)、ポリ塩化ビニル(Polyvinyl chloride、PVC)などのうちの少なくとも1種であってもよい。1つの応用場面では、補助層303は、ナノインプリントによって形成されてもよい。
【0043】
本実施形態では、PMMAを例とすると、補助層303の具体的な形成方法は、ベース基板201上にピンコート法で液体PMMAをコーティングし、均一にコーティングして硬化させると、PMMA層を形成できることである。勿論、ほかのコーティング方式を採用してもよく、例えば、スプレーコート法、ディップコート法、電気泳動コート法及びブラッシング法などであり、ここでは限定しない。
【0044】
サブステップS1022: 補助層303にナノスケールパターン化処理を行うことにより、該補助層303にナノスケールパターンを形成する。
補助層303にナノスケールパターン化処理を行う際に、具体的には、リソグラフィ、電子線直接描画、X線露光、極端紫外線光源露光、真空紫外線エッチング技術、ソフトリソグラフィ及びナノインプリント技術などを採用できる。1つの応用場面では、ナノインプリント技術を採用して補助層303にナノスケールパターン化処理を行うことにより、補助層303にナノスケールパターンを形成する。ナノインプリント技術を採用することで、必要に応じてPMMA層上に解像度がナノスケールの三次元人工構造を形成し、さらにそのナノスケールパターン化処理を実現することができる。ナノインプリント技術は、光学露光における回折現象や電子ビーム露光における散乱現象がなく、超高解像度を有するが、光学露光のように並列処理を行って、何百ものデバイスを同時に製造することができることにより、高生産量という利点を有し、また、ナノインプリント技術は、光学露光機のような複雑な光学系、又は電子ビーム露光機のような複雑な電磁集束システムを必要としないため、コストが低く、且つマスク上のパターンをほぼ差別なくウェハーに転写でき、ハイフィデリティを有する。
【0045】
そのうち、ナノインプリント技術は、サーマルインプリントリソグラフィ技術、紫外線硬化ナノインプリント技術、マイクロコンタクトナノインプリント技術、ソフトインプリント技術などを含む。本実施形態では、具体的には、サーマルインプリントリソグラフィ技術を採用して補助層303にナノスケールパターン化処理を行う。
【0046】
そのうち、ナノスケールパターン化処理を行う時に使用されるインプリント金型304の材質は、精度が高く、硬度が高く、化学的性質が安定しているSiC、Si3N4、SiOなどであってもよく、電子ビームエッチング技術又は反応イオンエッチング技術によって処理することでインプリント金型304に所望のナノスケールパターンを形成することができる。
【0047】
PMMAを例にすると、補助層303にサーマルインプリントリソグラフィを行ってナノスケールパターンを形成する処理は、具体的には、PMMA層をそのガラス転移温度以上に加熱することであり、加熱方式は、具体的には、加熱板による加熱、超音波加熱などを採用してもよい。そのうち、超音波加熱を用いると、加熱過程を数秒に短縮させることができ、電力消費量低減、生産性向上及びコスト低減に有利である。加熱完了後、インプリント金型304に加圧し、且つ加熱温度と圧力を所定時間保持することにより、液体のPMMAをインプリント金型304のナノスケールパターン隙間に充填し、次に温度をガラス転移温度以下に下げて離型するが、この時のPMMA層はナノスケールパターン化処理を完成したものである。
【0048】
1つの応用場面では、気泡による転写パターンの品質への影響を軽減させるために、プロセスの全過程が1Pa未満の真空環境で行われる。そのうち、真空環境によって、補助層303中のガスをスムーズに排出し、インプリント時の気泡によるパターンの品質への影響を軽減させ、さらに形成されたナノスケールパターンの品質を向上させることができる。
【0049】
1つの応用場面では、ガス補助ナノインプリント技術を採用してもよく、具体的には、インプリント前、金型304と補助層303を有するベース基板とを位置合わせした後に真空室内にセットして固定し、次に真空室内に不活性ガスを注入して加圧する。ガスによる加圧の方式を採用することで、圧力が均一であり、且つ圧力の大きさが吸気量に応じて制御可能であり、さらに機械的加圧中にウエハチャックが多自由度でアダプティブに校正する必要があるという難題を回避し、製造プロセスを簡素化させることができる。
【0050】
サブステップS1023: n型ドープグラフェン層302を処理することにより、ナノスケールパターンを有するn型ドープグラフェン層3021を形成する。
1つの応用場面では、n型ドープグラフェン層302を処理することは、具体的には、プラズマ表面処理技術、リソグラフィ、レーザエッチングなどを採用でき、本実施形態では、具体的には、プラズマ表面処理技術を採用し、n型ドープグラフェン層302にナノスケールパターンを有する補助層3031と同じパターンを形成させる。
【0051】
サブステップS1024: 該ナノスケールパターンを有する補助層3031を除去する。
【0052】
本実施形態では、n型ドープグラフェン層302にナノスケール電極パターンを形成した後、該ナノスケールパターンを有する補助層3031を除去することができる。
【0053】
上記ナノスケールパターンを有する補助層3031を除去することは、具体的には、それを溶解できる有機溶剤に浸漬させることで行うことができる。同様にPMMAを例にすると、例えばアセトン、ジメチルホルムアミド(Dimethylformaid、DMF)、ジクロロメタン、クロロベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、クロロホルムなどのうちの少なくとも1種を使用してもよく、アルカリ性溶液、たとえばNaOH溶液を使用してもよい。勿論、さらに加熱と超音波の方法を補助として用い、PMMA層の除去を加速してもよい。
【0054】
本実施形態によれば、サーマルインプリントリソグラフィ技術は、プロセスがシンプルで、精度が高く、高品質、低コストのナノスケールパターンを形成でき、且つナノスケールパターンが形成されることで、基板の製造がさらに精細になり、その後のパネル表示の解像度向上のために技術上の基礎を提供し、さらに表示品質を向上させる。
【0055】
そのうち、本発明の表示基板の一実施形態では、該表示基板は、上記表示基板の製造方法のうちのいずれかによって製造され、具体的な方法は、上記各実施形態のとおりであるため、ここで重複説明を省略する。そのうち、本実施形態の表示基板は、具体的には、薄膜トランジスタアレイ基板、カラーフィルタオンアレイ基板などであってもよい。本実施形態における表示基板は、n型ドープグラフェン層をオーミックコンタクト層として用い、オーミックコンタクト抵抗が低く、半導体とソース電極及びドレイン電極とをよく導通させることができ、表示装置の特性を向上させることができる。
【0056】
ここで、本発明のディスプレイパネルの一実施形態では、該ディスプレイパネルは、上記表示基板の一実施形態における基板を含む。ここで、本発明のディスプレイパネルは、テレビ、コンピュータ、タブレットPC、携帯電話、MP3、MP4などの電子デバイスに使用されるディスプレイパネルを含む。本実施形態における表示装置は、特性に優れ、表示品質が非常に高い。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したものに過ぎず、それにより本発明の特許範囲を限定するものではなく、本発明の明細書及び図面の内容を利用して作られる等価構造又は等価プロセス変換、又はほかの関連の技術分野への直接又は間接適用は、すべて本発明の特許保護範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0058】
101 ガラス基板
102 電極層
103 絶縁層
104 半導体層
105 n型ドープグラフェン層
106 電極層
201 ベース基板
202 第1電極層
203 絶縁層
204 半導体層
205 n型ドープグラフェン層
301 半導体層
302 n型ドープグラフェン層
303 補助層
304 金型
1051 第1n型ドープグラフェン層
1052 第2n型ドープグラフェン層
3021 n型ドープグラフェン層
3031 補助層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11