(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の電波情報は、前記複数の音響システムの何れかが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報と、前記複数の音響システム以外の電波発生源が使用する電波の周波数帯域を示す電波情報とを含む
請求項3の管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る通信システム100の構成図である。
図1に例示される通り、第1実施形態の通信システム100は、複数(M個)の音響システム10_1〜10_Mと管理装置20とを具備する。管理装置20は、インターネット等の通信網30を介してM個の音響システム10_1〜10_Mの各々と通信可能なサーバシステム(例えばウェブサーバ)であり、M個の音響システム10_1〜10_Mの各々の動作を管理する。各音響システム10_m(m=1〜M)は、例えば、演奏会または講演会等の各種のイベントが開催されるホール等の空間に設置される。M個の音響システム10_1〜10_Mは相異なる場所に設置される。
【0008】
M個の音響システム10_1〜10_Mの各々は、情報処理装置12と複数(N個)の収音装置14_1〜14_Nと複数(N個)の受信装置16_1〜16_Nと再生装置18とを具備するNチャンネルのワイヤレスマイクロホンシステムである。N個の収音装置14_1〜14_NとN個の受信装置16_1〜16_Nとは相互に1対1で対応する。なお、実際には収音装置14_n(n=1〜N)または受信装置16_nの総数Nは音響システム10毎に相違し得るが、以下の説明では、M個の音響システム10_1〜10_Mについて総数Nが共通する場合を便宜的に想定する。
【0009】
M個の音響システム10_1〜10_Mの各々における情報処理装置12は、通信網30を介して管理装置20と通信可能である。また、任意の1個の音響システム10_mにおいて、N個の受信装置16_1〜16_Nは、例えばLAN(Local Area Network)等の通信網を介して情報処理装置12と通信可能である。なお、M個の音響システム10_1〜10_Mは相互に同様の構成であるから、以下の説明では、任意の1個の音響システム10_mの構成を代表的に説明する。
【0010】
音響システム10_mの任意の1個の収音装置14_nは、音声または楽音等の各種の音の波形を表す音響信号X_nを無線により送信する携帯型のワイヤレスマイクロホンである。具体的には、
図2に例示される通り、収音により音響信号X_nを生成する収音部142と、収音部142が生成した音響信号X_nを無線で送信する送信部144とを具備する収音装置14_nが利用される。収音装置14_nの具体的な形態は任意であるが、例えば、収音部142と送信部144とが別体で構成されて有線または無線で相互に接続されたボディパック型、または、収音部142と送信部144とを単体の筐体に収容したハンドヘルド型が好適である。また、
図3に例示される通り、電気弦楽器等の電気楽器146が生成した音響信号X_nを無線で送信する送信部144を具備する収音装置14_nを利用することもできる。各収音装置14_nが音響信号X_nの送信に使用する電波の周波数帯域(以下「使用帯域」という)B_nは、例えば利用者からの指示に応じて変更される。
【0011】
音響システム10_mの任意の1個の受信装置16_nは、当該受信装置16_nに対応する収音装置14_nが送信した音響信号X_nを受信する。
図4は、受信装置16_nの構成図である。
図4に例示される通り、第1実施形態の受信装置16_nは、受信部162と制御部164と復調部166とを具備する。受信部162は、例えば周囲の電波を受信するアンテナを含んで構成され、電波強度を表す受信信号を生成する。制御部164は、使用帯域B_nを復調部166に指示する。受信装置16_nの制御部164は、当該受信装置16_nに対応する収音装置14_nと共通の使用帯域B_nを復調部166に指示する。復調部166は、受信部162が生成した受信信号のうち制御部164から指示された使用帯域B_n内の信号成分を抽出および復調することで音響信号X_nを生成する。各受信装置16_nの復調部166が生成した音響信号X_nは再生装置18に供給される。
【0012】
再生装置18は、相異なる受信装置16_nから供給されるN個のチャンネルの音響信号X_1〜X_Nに応じた音を再生する。第1実施形態の再生装置18は、音響処理装置182と放音装置184とを含んで構成される。音響処理装置182は、N個のチャンネルの音響信号X_1〜X_Nを加算するミキサである。音響処理装置182が各音響信号X_nの音量または周波数特性を調整する構成、または、音響処理装置182が各音響信号X_nに各種の音響効果を付与する構成も採用され得る。放音装置184(例えばスピーカ)は、音響処理装置182による処理後の音響信号に応じた音波を放射する。
【0013】
音響システム10_mの情報処理装置12は、当該音響システム10_m内で使用されるN個の使用帯域B_1〜B_Nを設定する。具体的には、情報処理装置12は、相互に重複しない(さらに詳細には、各使用帯域B_nの電波が相互に干渉しない)ようにN個の使用帯域B_1〜B_Nを設定する。
【0014】
図5は、情報処理装置12および管理装置20の構成図である。
図5に例示される通り、第1実施形態の情報処理装置12は、制御装置122と記憶装置124と表示装置126と通信装置128とを具備するコンピュータシステムで実現される。例えばパーソナルコンピュータ等の情報機器が情報処理装置12として利用され得る。
【0015】
制御装置122は、例えばCPU(Central Processing Unit)を含む処理回路であり、情報処理装置12の全体を統括的に制御する。記憶装置124は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成され、制御装置122が実行するプログラムと制御装置122が使用する各種のデータとを記憶する。なお、同種または異種の複数の記録媒体で記憶装置124を実現することも可能である。表示装置126(例えば液晶表示パネル)は、制御装置122による制御のもとで各種の画像を表示する。
【0016】
通信装置128は、通信網30を介して管理装置20と通信する。通信装置128と通信網30との間の通信は、有線通信または無線通信の何れでもよい。
図5に例示される通り、音響システム10_mの通信装置128は、管理装置20から周波数情報F_mを受信する。周波数情報F_mは、音響システム10_mが使用可能な周波数帯域を示す情報である。具体的には、M個の音響システム10_1〜10_Mに割当可能な周波数帯域の全体を所定幅毎に区画した複数の周波数帯域(以下「単位帯域」という)のうち2以上の単位帯域の組合せが周波数情報F_mにより指定される。
【0017】
他方、管理装置20は、周波数情報F_mを音響システム10_mに送信するためのコンピュータシステムであり、制御装置22と記憶装置24と通信装置26とを具備する。制御装置22は、例えばCPUを含む処理回路であり、管理装置20の全体を統括的に制御する。通信装置26は、通信網30を介してM個の音響システム10_1〜10_Mの各々(具体的には情報処理装置12)と通信する。記憶装置24は、例えば磁気記録媒体または半導体記録媒体等の公知の記録媒体で構成され、制御装置22が実行するプログラムと制御装置22が使用する各種のデータとを記憶する。
【0018】
第1実施形態の記憶装置24は、N個の使用帯域B_1〜B_Nが既に設定された音響システム10_mについて電波情報W_mと位置情報L_mとを記憶する。電波情報W_mは、音響システム10_mの情報処理装置12が実際に設定したN個の使用帯域B_1〜B_Nを指定する情報である。例えば、各受信装置16_nの識別情報と当該受信装置16_nの使用帯域B_nとをN個の受信装置16_1〜16_Nの各々について対応させたデータテーブルが電波情報W_mとして好適である。ただし、各受信装置16_nの識別情報は省略され得る。
【0019】
他方、位置情報L_mは、音響システム10_mが設置された場所を示す情報である。例えば、GPS(Global Positioning System)を利用して測位された地点(経度および緯度)を示す情報、または、情報処理装置12に利用者が入力した住所または施設名等の情報が、位置情報L_mの好適例である。例えば、情報処理装置12のIPアドレスから特定される位置を示す情報、または、WiFi(登録商標)等の近距離無線通信を利用して特定される位置を、位置情報L_mとして利用することも可能である。以上の説明から理解される通り、位置情報L_mは、地理的な唯1個の地点まで厳密に特定可能である必要はなく、音響システム10_mが設置される場所のように概略的な範囲(具体的には音響システム10_mで使用される電波が到達する範囲)を特定可能な情報であれば充分である。
【0020】
以上の説明から理解される通り、記憶装置24に記憶された電波情報W_mと位置情報L_mとの対応を参照することで、音響システム10_mが設置された場所において実際に使用されているN個の使用帯域B_1〜B_Nを特定することが可能である。
【0021】
図6は、通信システム100の動作のフローチャートである。任意の1個の音響システム10_m1(m1=1〜M)における情報処理装置12(制御装置122)の動作と管理装置20(制御装置22)の動作とが便宜的に併記されている。制御装置122は、記憶装置124に記憶されたプログラムを実行することで
図6の左側に例示された処理を実行し、制御装置22は、記憶装置24に記憶されたプログラムを実行することで
図6の右側に例示された処理を実行する。なお、制御装置122および制御装置22の各々の機能を複数の装置に分散した構成、または、制御装置122および制御装置22の各々の機能の一部を専用の電子回路が実現する構成も採用され得る。
【0022】
図6の左側に例示された処理は、音響システム10_m1の使用を開始した直後に実行され、音響システム10_m1についてN個の使用帯域B_1〜B_Nを設定するための処理である。なお、以下の説明では、音響システム10_m1の近傍に設置された音響システム10_m2(m2=1〜M,m2≠m1)についてN個の使用帯域B_1〜B_Nが設定済である場合を想定する。音響システム10_m1(第1音響システム10の例示)と音響システム10_m2(第2音響システム10の例示)とは相互に近接するから、音響システム10_m1と音響システム10_m2との間で使用帯域B_nが相互に重複する場合には両者間で電波の干渉が発生し得る。
【0023】
音響システム10_m1における情報処理装置12の制御装置122は、周波数情報F_m1の要求を意味する情報要求Raを通信装置128から管理装置20に送信する(Sa1)。情報要求Raは、音響システム10_m1の位置情報L_m1を包含する。すなわち、情報処理装置12の制御装置122および通信装置128は、音響システム10_m1の位置情報L_m1を管理装置20に送信する要素として機能する。
【0024】
管理装置20の制御装置22は、音響システム10_m1の情報処理装置12が送信した情報要求Raを通信装置26により受信する(Sb1)。すなわち、管理装置20の制御装置22および通信装置26は、音響システム10_m1の場所を示す位置情報L_m1を音響システム10_m1から受信する要素(情報受信部)として機能する。
【0025】
制御装置22は、使用帯域B_nが既に設定された音響システム10_mについて記憶装置24に記憶された電波情報W_mおよび位置情報L_mと、音響システム10_m1から受信した情報要求Ra内の位置情報L_m1とに応じて、音響システム10_m1が使用可能な周波数帯域を示す周波数情報F_m1を生成する(Sb2,Sb3)。第1実施形態の制御装置22は、音響システム10_m1に近い場所の電波情報W_mを参照して周波数情報F_m1を設定する。
【0026】
具体的には、制御装置22は、情報要求Ra内の位置情報L_m1が示す位置に近い位置を示す位置情報L_mを記憶装置24から検索し、当該位置情報L_mに対応する電波情報W_mを特定する(Sb2)。すなわち、音響システム10_m1の付近にある音響システム10_m(すなわち、使用帯域B_nが重複する場合に音響システム10_m1との間で電波の干渉が発生し得る音響システム10_m)の電波情報W_mが特定される。前述の通り、音響システム10_m1の付近の音響システム10_m2について使用帯域B_nが設定済である場合を想定すると、制御装置22は、音響システム10_m2について設定されたN個の使用帯域B_1〜B_Nを示す電波情報W_m2をステップSb2で特定する。
【0027】
そして、制御装置22は、ステップSb2で特定した電波情報W_m1が示す各使用帯域B_nとは重複しない2個以上の単位帯域を指定する周波数情報F_mを生成する(Sb3)。すなわち、音響システム10_m1の付近にある他の音響システム10_m2の使用帯域B_n以外の2個以上の単位帯域を示す周波数情報F_mが生成される。以上の説明から理解される通り、記憶装置24に記憶されたプログラムの実行により、制御装置22は、音響システム10_m1が使用可能な周波数帯域を示す周波数情報F_m1を、他の音響システム10_m2の電波情報W_m2を参照して生成する要素(情報生成部)として機能する。
【0028】
制御装置22は、以上の手順で生成した周波数情報F_m1を要求元の音響システム10_m1に送信する(Sb4)。すなわち、制御装置22と通信装置26とは、周波数情報F_m1を音響システム10_m1に送信する要素(情報送信部)として機能する。音響システム10_m1における情報処理装置12の制御装置122は、管理装置20から送信された周波数情報F_m1を通信装置128により受信する(Sa2)。
【0029】
制御装置122は、管理装置20から受信した周波数情報F_m1を利用して、音響システム10_m1が使用するN個の使用帯域B_1〜B_Nを設定する(Sa3)。具体的には、制御装置122は、周波数情報F_m1が指定する複数の単位帯域のうちの任意のN個を使用帯域B_1〜B_Nとして選択する。以上の説明から理解される通り、記憶装置124に記憶されたプログラムの実行により、制御装置122は、音響システム10_m1で使用されるN個の使用帯域B_1〜B_Nを設定する要素(周波数設定部)として機能する。
【0030】
制御装置122は、周波数情報F_mに応じて設定した各使用帯域B_nを音響システム10_m1に適用する(Sa4)。具体的には、制御装置122は、各使用帯域B_nを受信装置16_nに指示する。受信装置16_nの制御部164は、情報処理装置12から指示された使用帯域B_nを復調部166に指示する。また、制御装置122は、N個の使用帯域B_1〜B_Nを表示装置126に表示することで利用者に提示する。利用者は、表示装置126に表示された各使用帯域B_nを収音装置14_nに指示する。収音装置14_nの送信部144は、使用帯域B_nの電波を利用して音響信号X_nを受信装置16_nに送信する。以上の処理の結果、音響システム10_m1の近傍の音響システム10_m2の使用帯域B_nとは重複しないN個の使用帯域B_1〜B_Nの電波が当該音響システム10_m1内で使用される。したがって、音響システム10_m1と音響システム10_m2との間で電波の干渉が発生する可能性は低減される。
【0031】
以上の手順でN個の使用帯域B_1〜B_Nが音響システム10_m1に適用されると、制御装置122は、音響システム10_m1で実際に使用される使用帯域B_1〜B_Nの登録を要求するための登録要求Rbを通信装置128から管理装置20に送信する(Sa5)。登録要求Rbは、音響システム10_m1の位置を示す位置情報L_m1と、音響システム10_m1で使用されるN個の使用帯域B_1〜B_Nを示す電波情報W_m1とを包含する。以上の説明から理解される通り、制御装置122と通信装置128とは、位置情報L_m1と電波情報W_m1とを管理装置20に送信する要素(情報送信部)として機能する。
【0032】
管理装置20の制御装置22は、音響システム10_m1の情報処理装置12が送信した登録要求Rbを通信装置26により受信する(Sb5)。制御装置22は、登録要求Rbに含まれる位置情報L_m1と電波情報W_m1とを相互に対応させて記憶装置24に登録する(Sb6)。すなわち、N個の使用帯域B_1〜B_Nが設定された音響システム10_mについて、位置情報L_mと電波情報W_mとが記憶装置24に登録される。位置情報L_m1および電波情報W_m1が登録されると、以降に音響システム10_m1の近傍で使用が開始される他の音響システム10_mについては、音響システム10_m1の各使用帯域B_nとは重複しないN個の使用帯域B_1〜B_Nが設定される。
【0033】
以上に説明した通り、第1実施形態では、音響システム10_m1が使用可能な周波数帯域を示す周波数情報F_m1が、他の音響システム10_m2で使用される周波数帯域を示す電波情報W_m2を参照して生成されて音響システム10_m1に送信される。具体的には、音響システム10_m2の電波情報W_m2が示す周波数帯域とは重複しない周波数帯域を示す周波数情報F_m1が音響システム10_m1について生成される。したがって、音響システム10_m1で使用される電波が音響システム10_m2の電波と干渉する可能性を低減することが可能である。第1実施形態では特に、音響システム10_m1に近い音響システム10_m2の電波情報W_m2が音響システム10_m1の周波数情報F_m1の生成のために参照されるから、音響システム10_m1との間で電波の干渉が特に発生し易い音響システム10_m2について電波の干渉を抑制できるという利点がある。
【0034】
第1実施形態では、音響システム10_mが設置される場所を示す位置情報L_mと、音響システム10_mが使用する周波数帯域を示す電波情報W_mとが管理装置20に送信されるから、音響システム10_mの位置に応じたN個の使用帯域B_1〜B_Nの設定を管理装置20で統一的に管理できるという利点がある。
【0035】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下に例示する各構成において作用または機能が第1実施形態と同様である要素については、第1実施形態の説明で使用した符号を流用して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0036】
図7は、第2実施形態における通信システム100の構成図である。
図7に例示される通り、任意の1個の音響システム10_mの近傍には、電波を放射する電子機器等の外部機器(以下「電波発生源」という)40が設置され得る。電波発生源40が放射する電波の周波数帯域と音響システム10_mが使用する電波の周波数帯域とが相互に重複すると、両者間の電波の干渉が発生し得る。以上の事情を考慮して、第2実施形態では、音響システム10_mの近傍にある電波発生源40が使用する周波数帯域と重複しないように、当該音響システム10_mの使用帯域B_nを設定する。
【0037】
第1実施形態では、使用帯域B_nが設定された音響システム10_mについて管理装置20の記憶装置24に電波情報W_mと位置情報L_mとを登録した。第2実施形態では、
図7に例示される通り、各音響システム10_mの電波情報W_mおよび位置情報L_mに加えて、M個の音響システム10_1〜10_M以外の電波発生源40が使用する電波の周波数帯域を示す電波情報Wxを、当該電波発生源40の位置を示す位置情報Lxとともに記憶装置24に記憶する。すなわち、第2実施形態の記憶装置24には、任意の1個の音響システム10_mが使用する電波の周波数帯域(使用帯域B_n)を示す電波情報W_mと、電波発生源40が使用する電波の周波数帯域を示す電波情報Wxとを含む複数の電波情報W(Wx,W_m)が記憶される。
【0038】
M個の音響システム10_1〜10_Mのうち電波発生源40からの電波を有意な強度で受信できる程度に当該電波発生源40に近接する音響システム10_mが、電波発生源40の電波情報Wxを生成して管理装置20に送信する。具体的には、音響システム10_mのN個の受信装置16_1〜16_Nの何れかが、電波発生源40からの電波を含む外部電波を受信部162により受信する。外部電波の受信は、N個の収音装置14_1〜14_Nが電波の送信を停止した状態で実行される。そして、受信装置16の制御部164は、受信部162による受信信号について高速フーリエ変換等の周波数解析を実行することで、電波発生源40から放射される電波の周波数特性を特定する。音響システム10_mの情報処理装置12は、電波発生源40から放射される電波の周波数帯域を示す電波情報Wxと、当該電波発生源40の位置を示す位置情報Lxとを含む登録要求Rbを生成し、通信装置128から管理装置20に送信する。なお、音響システム10_mの位置を電波発生源40の位置として近似的に利用することも可能である。管理装置20の制御装置22は、通信装置26が音響システム10_mから受信した登録要求Rb内の電波情報Wxと位置情報Lxとを記憶装置24に登録する。
【0039】
任意の1個の音響システム10_m1から情報要求Raを受信すると(Sb1)、管理装置20の制御装置22は、音響システム10_m1に近い位置の位置情報L(音響システム10_mの位置情報L_mまたは電波発生源40の位置情報Lx)に対応する電波情報Wを特定する(Sb2)。また、制御装置22は、第1実施形態と同様に、ステップSb2で特定した電波情報Wが示す周波数帯域とは重複しない周波数帯域を示す周波数情報F_mを生成(Sb3)および送信(Sb4)する。
【0040】
情報要求Raを送信した音響システム10_m1が電波発生源40の近くに位置する場合、ステップSb2では、電波発生源40の電波情報Wxが特定される。したがって、制御装置22は、ステップSb3において、電波発生源40が放射する電波の周波数帯域以外の2個以上の単位帯域を示す周波数情報F_m1を生成する。
【0041】
第2実施形態においても第1実施形態と同様の効果が実現される。また、第2実施形態では、電波発生源40が放射する電波の周波数帯域を示す電波情報Wxが管理装置20に登録され、音響システム10_m1が使用可能な周波数帯域を示す周波数情報F_m1の生成のために参照される。したがって、電波発生源40からの電波が音響システム10_m1の電波と干渉する可能性を低減できるという利点がある。なお、以上の説明では、各音響システム10_mの電波情報W_mと音響システム10_m以外の電波発生源40の電波情報Wxとの双方が管理装置20に登録される構成を例示したが、電波発生源40の電波情報Wxのみを管理装置20に登録することも可能である。すなわち、音響システム10_mの電波情報W_mの登録は省略され得る。
【0042】
<第3実施形態>
例えば自動車等の電波発生源40は移動する可能性がある。第2実施形態に例示した通り、M個の音響システム10_1〜10_Mの各々は、自身の近傍に存在する電波発生源40の電波情報Wxと位置情報Lxとを登録要求Rbとして管理装置20に通知する。以上の構成において、例えばM個の音響システム10_1〜10_Mが分布する範囲内で電波発生源40が経時的に移動すると、電波発生源40の移動中の複数の時点の各々において、当該時点における電波発生源40の位置を示す位置情報Lxと電波状態を示す電波情報Wxとが各音響システム10_mから管理装置20に通知される。すなわち、管理装置20では、電波発生源40の移動に対応した複数の位置情報Lxの時系列を取得することが可能である。そこで、第3実施形態の管理装置20の制御装置22は、複数の位置情報Lxの時系列を参照することで、電波発生源40が移動してきた経路(以下「移動経路」という)を特定する。
【0043】
図8には、電波発生源40の移動に並行して各音響システム10_mから管理装置20に送信される位置情報Lxの時系列が例示されている。
図8の位置λ_m-2は、音響システム10_m-2の近傍に電波発生源40が存在する状態で当該音響システム10_m-2から管理装置20に送信された位置情報Lxが示す位置である。同様に、位置λ_m-1は、音響システム10_m-1の近傍に電波発生源40が存在する状態で当該音響システム10_m-1から送信された位置情報Lxが示す位置である。位置λ_mは、音響システム10_mの近傍に電波発生源40が位置する状態で当該音響システム10_mから送信された位置情報Lxが示す位置である。管理装置20の制御装置22は、電波発生源40の過去の位置の遷移(λ_m-2→λ_m-1→λ_m)から電波発生源40の移動経路Λを特定する。
【0044】
図8から理解される通り、電波発生源40が移動経路Λに沿った移動を継続すると、音響システム10_m+1の近傍を通過することが予測される。管理装置20の制御装置22は、電波発生源40が接近する可能性が高い音響システム10_m+1を移動経路Λから特定し、音響システム10_m+1については、電波発生源40の電波情報Wxが示す周波数帯域以外の2個以上の単位帯域を示す周波数情報F_m+1を生成する(Sb3)。すなわち、電波発生源40が放射する電波の周波数帯域は、音響システム10_m+1のN個の使用帯域B_1〜B_Nの候補から除外される。
【0045】
第3実施形態においても第1実施形態および第2実施形態と同様の効果が実現される。また、第3実施形態では、電波発生源40が電波を放射しながら移動する場合でも、各音響システム10_mが使用する電波と電波発生源40からの電波とが干渉する可能性を低減できるという利点がある。
【0046】
<変形例>
以上に例示した各態様は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2個以上の態様は、相互に矛盾しない範囲で適宜に併合され得る。
【0047】
(1)前述の各形態では、情報処理装置12から各受信装置16_nに使用帯域B_nを指示する構成を例示したが、表示装置126に表示された各使用帯域B_nを確認した利用者が、受信装置16_nに対して手動で使用帯域B_nを指示することも可能である。また、前述の各形態では、収音装置14_nの使用帯域B_nを利用者が手動で設定する構成を例示したが、情報処理装置12から各収音装置14_nに対して使用帯域B_nを指示することも可能である。例えば、使用帯域B_nの指示が情報処理装置12から受信装置16_nを介して無線で収音装置14_nに指示される。
【0048】
(2)前述の各形態では、受信装置16_nとは別個に情報処理装置12を設置した構成を例示したが、情報処理装置12の機能を1個の受信装置16_nに搭載した構成も採用され得る。すなわち、情報処理装置12が単体の装置として設置されるか、受信装置16_nと一体の装置として実現されるかは、本発明において不問である。
【0049】
(3)前述の各形態では、位置情報L_mと電波情報W_mとを含む登録要求Rbを情報処理装置12から管理装置20に送信したが(Sa5)、登録要求Rbの内容は以上の例示に限定されない。例えば、音響システム10_mが使用される時間を示す時間情報T_mを、位置情報L_mおよび電波情報W_mとともに登録要求Rbに含めることも可能である。時間情報T_mは、例えば音響システム10_mが使用される予定の期間(以下「使用期間」という)を示す情報であり、例えば情報処理装置12に対する利用者からの指示(具体的には使用期間の指定)に応じて生成される。管理装置20の制御装置22は、音響システム10_mから登録要求Rbとして受信した位置情報L_mと電波情報W_mと時間情報T_mとを相互に対応させて記憶装置24に登録する(Sb6)。そして、制御装置22は、時間情報T_mが示す使用期間が満了すると、音響システム10_mの位置情報L_mと電波情報W_mと時間情報T_mとを記憶装置24から削除する。したがって、音響システム10_mがそれまで使用していたN個の使用帯域B_1〜B_Nは、当該音響システム10_mの近傍の場所でも使用できる状態となる。
【0050】
(4)前述の各形態で例示した通り、管理装置20は、制御装置22とプログラムとの協働で実現される。本発明の第1態様に係るプログラムは、音響信号を無線により受信する1以上の受信装置を含む複数の音響システムと通信可能なコンピュータに、前記複数の音響システムのうちの第1音響システムが使用可能な電波の周波数帯域を示す周波数情報を、前記複数の音響システムのうち前記第1音響システム以外の第2音響システムが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報を参照して生成する情報生成処理(例えばステップSb3)と、前記情報生成処理で生成した周波数情報を前記第1音響システムに送信する情報送信処理(例えばステップSb4)とを実行させる。
【0051】
同様に、前述の各形態で例示した情報処理装置12は、制御装置122とプログラムとの協働で実現される。本発明の第2態様に係るプログラムは、音響信号を無線により受信する1以上の受信装置を含む複数の音響システムに使用されるコンピュータに、前記音響システムで使用される電波の周波数帯域を設定する周波数設定処理(例えばステップSa3)と、前記音響システムが設置される場所を示す位置情報と、前記音響システムが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報とを、複数の音響システムと通信可能な管理装置に対して送信する情報送信処理(例えばステップSa5)とを実行させる。
【0052】
以上に例示した各態様のプログラムは、コンピュータが読取可能な記録媒体に格納された形態で提供されてコンピュータにインストールされ得る。記録媒体は、例えば非一過性(non-transitory)の記録媒体であり、CD-ROM等の光学式記録媒体(光ディスク)が好例であるが、半導体記録媒体または磁気記録媒体等の公知の任意の形式の記録媒体を包含し得る。なお、非一過性の記録媒体とは、一過性の伝搬信号(transitory, propagating signal)を除く任意の記録媒体を含み、揮発性の記録媒体を除外するものではない。また、通信網を介した配信の形態でプログラムをコンピュータに提供することも可能である。
【0053】
(5)以上に例示した形態から、例えば以下の態様が把握される。
<態様1>
本発明の好適な態様(態様1)に係る管理装置は、音響信号を無線により受信する1以上の受信装置を含む複数の音響システムと通信可能な管理装置であって、前記複数の音響システムのうちの第1音響システムが使用可能な電波の周波数帯域を示す周波数情報を、前記複数の音響システムのうち前記第1音響システム以外の第2音響システムが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報を参照して生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した周波数情報を前記第1音響システムに送信する情報送信部とを具備する。以上の態様では、第1音響システムが使用可能な電波の周波数帯域を示す周波数情報が、第1音響システム以外の第2音響システムの電波情報に応じて生成されて第1音響システムに送信される。したがって、第1音響システムで使用される電波が第2音響システムの電波と干渉する可能性を低減することが可能である。
<態様2>
態様1の好適例(態様2)において、前記情報生成部は、前記第2音響システムの電波情報が示す周波数帯域とは重複しない周波数帯域を示す周波数情報を前記第1音響システムについて生成する。以上の態様では、第2音響システムの電波情報が示す周波数帯域とは重複しない周波数帯域を示す周波数情報が第1音響システムについて生成されるから、第1音響システムで使用される電波が第2音響システムの電波と干渉する可能性を低減できるという効果は格別に顕著である。
<態様3>
態様1または態様2の好適例(態様3)に係る管理装置は、前記第1音響システムが設置される場所を示す位置情報を当該第1音響システムから受信する情報受信部を具備し、前記情報生成部は、相異なる場所で使用される電波の周波数帯域を示す複数の電波情報のうち、前記情報受信部が受信した位置情報が示す場所に近い前記第2音響システムの電波情報を参照して、前記第1音響システムの周波数情報を生成する。以上の態様では、第1音響システムから位置情報を受信し、当該位置情報が示す場所に近い第2音響システムの電波情報を参照して第1音響システムの周波数情報が生成される。したがって、電波の干渉が特に問題となり易い関係にある第1音響システムと第2音響システムとの間で電波の干渉を有効に抑制できるという利点がある。
<態様4>
態様3の好適例(態様4)において、前記複数の電波情報は、前記複数の音響システムの何れかが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報と、前記複数の音響システム以外の電波発生源が使用する電波の周波数帯域を示す電波情報とを含む。以上の態様では、複数の音響システム以外の電波発生源が使用する電波の周波数帯域を示す電波情報が第1音響システムの周波数情報の生成のために使用される。したがって、音響システム以外の電波発生源からの電波が第1音響システムの電波と干渉する可能性を低減することが可能である。
<態様5>
本発明の好適な態様(態様5)に係る情報処理装置は、音響信号を無線により受信する1以上の受信装置を含む複数の音響システムに使用される情報処理装置であって、前記音響システムで使用される電波の周波数帯域を設定する周波数設定部と、前記音響システムが設置される場所を示す位置情報と、前記音響システムが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報とを、複数の音響システムと通信可能な管理装置に対して送信する情報送信部とを具備する。以上の態様では、音響システムが設置される場所を示す位置情報と、音響システムが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報とが管理装置に送信される。したがって、音響システムの位置に応じた周波数帯域の設定を管理装置で統一的に管理できるという利点がある。
<態様6>
本発明の好適な態様(態様6)に係る通信システムは、音響信号を無線により受信する1以上の受信装置を含む複数の音響システムと、前記複数の音響システムと通信可能な管理装置とを具備し、前記管理装置は、前記複数の音響システムのうちの第1音響システムが使用可能な電波の周波数帯域を示す周波数情報を、前記複数の音響システムのうち前記第1音響システム以外の第2音響システムが使用する電波の周波数帯域を示す電波情報を参照して生成する情報生成部と、前記情報生成部が生成した周波数情報を前記第1音響システムに送信する情報送信部とを含む。