(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838412
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/13 20060101AFI20210222BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
B60C11/13 A
B60C11/03 100B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-19451(P2017-19451)
(22)【出願日】2017年2月6日
(65)【公開番号】特開2018-127018(P2018-127018A)
(43)【公開日】2018年8月16日
【審査請求日】2020年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006714
【氏名又は名称】横浜ゴム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001368
【氏名又は名称】清流国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100129252
【弁理士】
【氏名又は名称】昼間 孝良
(74)【代理人】
【識別番号】100155033
【弁理士】
【氏名又は名称】境澤 正夫
(72)【発明者】
【氏名】井上 晴隆
【審査官】
赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2016−147598(JP,A)
【文献】
特開平05−169922(JP,A)
【文献】
特開2013−163446(JP,A)
【文献】
特開2007−069708(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00− 19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝と、該主溝よりもタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に延びる周方向細溝と、該周方向細溝からタイヤ幅方向外側に向かって延びる複数本のラグ溝とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記周方向細溝と前記ラグ溝とが連結された部位にT字状の底上げ部が形成されており、該底上げ部は前記周方向細溝内に前記ラグ溝の溝幅よりも広い周方向延長部分を有すると共に前記ラグ溝内に前記周方向延長部分に連なる幅方向延長部分を有することを特徴とする空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記底上げ部の周方向延長部分のタイヤ周方向の長さaが前記ラグ溝の幅bの110%〜300%であり、前記底上げ部の周方向延長部分の高さdが前記周方向細溝の深さcの20%〜80%であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記底上げ部のタイヤ幅方向の長さeが前記周方向細溝の幅fの110%〜500%であり、前記底上げ部の幅方向延長部分の高さhが前記ラグ溝の深さgの20%〜80%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サマータイヤ又はオールシーズンタイヤとして好適な空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、チェーン装着時のスノー性能を考慮してトレッド部の溝面積を増加させた場合であっても、操縦安定性や耐摩耗性に代表されるタイヤ性能を良好に維持することを可能にした空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、トレッド部にタイヤ周方向に延びる複数本の主溝とタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝を備えており、そのトレッドパターンに基づいて所望のタイヤ性能を適切に発揮するように構成されている。特に、サマータイヤやオールシーズンタイヤにおいては、操縦安定性や耐摩耗性を十分に確保することが求められている。
【0003】
このようなサマータイヤやオールシーズンタイヤにおいて、チェーン装着時のスノー性能を考慮してトレッド部の溝面積を増加させる場合がある。例えば、トレッド部における主溝よりもタイヤ幅方向外側のショルダー領域にタイヤ周方向に延びる周方向細溝を追加し、その周方向細溝に対してラグ溝を連通させた構造が提案されている。このようなトレッドパターンでは、ショルダー領域の溝面積とエッジ成分が多くなるためチェーン装着時のスノー性能を高めることができる。
【0004】
しかしながら、上述のようにチェーン装着時のスノー性能を考慮してトレッド部の溝面積を増加させた場合、トレッド部に区画された陸部の剛性が低下するため、操縦安定性や耐摩耗性が悪化することになる。これに対して、ラグ溝の長手方向の一部に底上げ部を設けることにより陸部の剛性を確保することが提案されているが(例えば、特許文献1〜3参照)、その補強効果は必ずしも十分ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4665626号公報
【特許文献2】特開2016−37277号公報
【特許文献3】特開2016−55816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、チェーン装着時のスノー性能を考慮してトレッド部の溝面積を増加させた場合であっても、操縦安定性や耐摩耗性に代表されるタイヤ性能を良好に維持することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に、タイヤ周方向に延びる主溝と、該主溝よりもタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に延びる周方向細溝と、該周方向細溝からタイヤ幅方向外側に向かって延びる複数本のラグ溝とを備えた空気入りタイヤにおいて、
前記周方向細溝と前記ラグ溝とが連結された部位にT字状の底上げ部が形成されており、該底上げ部は前記周方向細溝内に前記ラグ溝の溝幅よりも広い周方向延長部分を有すると共に前記ラグ溝内に前記周方向延長部分に連なる幅方向延長部分を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、トレッド部における主溝よりもタイヤ幅方向外側の領域にタイヤ周方向に延びる周方向細溝を追加し、その周方向細溝に対してラグ溝を連通させた構造を採用することにより、当該領域の溝面積とエッジ成分を確保し、チェーン装着時のスノー性能を高めることが可能になる。その一方で、周方向細溝とラグ溝とが連結された部位にはT字状の底上げ部が形成されており、その底上げ部が周方向細溝内にラグ溝の溝幅よりも広い周方向延長部分を有すると共にラグ溝内に周方向延長部分に連なる幅方向延長部分を有しているので、これら周方向細溝及びラグ溝に隣接する陸部の剛性を十分に確保し、操縦安定性や耐摩耗性に代表されるタイヤ性能を良好に維持することができる。
【0009】
本発明において、底上げ部の周方向延長部分のタイヤ周方向の長さaはラグ溝の幅bの110%〜300%であり、底上げ部の周方向延長部分の高さdは周方向細溝の深さcの20%〜80%であることが好ましい。また、底上げ部のタイヤ幅方向の長さeは周方向細溝の幅fの110%〜500%であり、底上げ部の幅方向延長部分の高さhはラグ溝の深さgの20%〜80%であることが好ましい。このような関係を満足することにより、摩耗時において溝面積が極端に減少することを回避しながら、陸部の剛性を十分に確保し、所望のタイヤ性能を発揮することができる。
【0010】
本発明において、主溝とは、溝幅が3.0mm〜25.0mmの範囲にあり、溝深さが4.0mm〜20.0mmの範囲にあり、ウエアインジケータ−を有する溝である。また、周方向細溝とは、溝幅が0.5mm〜2.9mmの範囲にあり、溝深さが1.0mm〜15.0mmの範囲にある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す子午線断面図である。
【
図2】本発明の実施形態からなる空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図である。
【
図3】本発明の空気入りタイヤのトレッド部に形成された周方向細溝及びラグ溝の輪郭を示す斜視図である。
【
図4】本発明の空気入りタイヤのトレッド部に形成された周方向細溝及びラグ溝の輪郭を示す平面図である。
【
図5】本発明の空気入りタイヤのトレッド部に形成された周方向細溝及びラグ溝の輪郭をタイヤ幅方向の外側から見た状態を示す側面図である。
【
図6】本発明の空気入りタイヤのトレッド部に形成された周方向細溝及びラグ溝の輪郭をタイヤ周方向の一方側から見た状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1〜
図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す、
図3〜
図6はそのトレッド部に形成された周方向細溝及びラグ溝の輪郭を示すものである。
【0013】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2,2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3,3とを備えている。
【0014】
一対のビード部3,3間には2層のカーカス層4が装架されている。このカーカス層4は、タイヤ径方向に延びる複数本の補強コードを含み、各ビード部3に配置されたビードコア5の廻りにタイヤ内側から外側へ折り返されている。カーカス層4の補強コードとしては、ナイロンやポリエステル等の有機繊維コードが好ましく使用される。ビードコア5の外周上には断面三角形状のゴム組成物からなるビードフィラー6が配置されている。
【0015】
一方、トレッド部1におけるカーカス層4の外周側には複数層のベルト層7が埋設されている。これらベルト層7はタイヤ周方向に対して傾斜する複数本の補強コードを含み、かつ層間で補強コードが互いに交差するように配置されている。ベルト層7において、補強コードのタイヤ周方向に対する傾斜角度は例えば10°〜40°の範囲に設定されている。ベルト層7の補強コードとしては、スチールコードが好ましく使用される。ベルト層7の外周側には、高速耐久性の向上を目的として、補強コードをタイヤ周方向に対して例えば5°以下の角度で配列してなる少なくとも1層のベルトカバー層8が配置されている。ベルトカバー層8の補強コードとしては、ナイロンやアラミド等の有機繊維コードが好ましく使用される。
【0016】
なお、上述したタイヤ内部構造は空気入りタイヤにおける代表的な例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
【0017】
図2に示すように、トレッド部1には、タイヤ周方向に延びる3本の主溝11,12,13が形成されている。これら主溝11〜13によりトレッド部1には4列の陸部20,30,40,50が区分されている。トレッド部1において、陸部20は一方のショルダー領域に位置し、陸部30,40はセンター領域に位置し、陸部50は他方のショルダー領域に位置している。
【0018】
一方のショルダー領域に位置する陸部20には、タイヤ周方向に延びる周方向細溝21と、該周方向細溝21からタイヤ幅方向外側に向かって延びる複数本のラグ溝22とが形成されている。また、陸部20における周方向細溝21よりもタイヤ幅方向外側の部位にはタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプ23が形成されており、これらサイプ23とラグ溝22とがタイヤ周方向に沿って交互に配置されている。更に、陸部20において周方向細溝21と主溝11とで挟まれた部位には、一端が主溝11に連通し、他端が閉止した複数本の補助溝24が形成されている。
【0019】
センター領域に位置する一方の陸部30には、タイヤ周方向に延びる周方向細溝31と、一端が主溝11又は12に連通し、他端が閉止した複数本の補助溝34が形成されている。また、センター領域に位置する他方の陸部40には、屈曲しながら陸部40を横断する複数本の補助溝44が形成されている。
【0020】
他方のショルダー領域に位置する陸部50には、主溝13に対して非連通であってタイヤ幅方向に延びる複数本のラグ溝52が形成されている。また、陸部50にはタイヤ幅方向に延びる複数本のサイプ53が形成されており、これらサイプ53とラグ溝52とがタイヤ周方向に沿って交互に配置されている。更に、陸部50には、一端が主溝13に連通し、他端が閉止した複数本の補助溝54が形成されている。
【0021】
上述のように、トレッド部1に、タイヤ周方向に延びる主溝11と、該主溝11よりもタイヤ幅方向外側でタイヤ周方向に延びる周方向細溝21と、該周方向細溝21からタイヤ幅方向外側に向かって延びる複数本のラグ溝22とを備えた空気入りタイヤにおいて、周方向細溝21とラグ溝23とが連結された部位にはT字状の底上げ部25が形成されている。
図3〜
図6に示すように、底上げ部25は、周方向細溝21内にラグ溝22の溝幅よりも広い周方向延長部分25Aを有すると共に、ラグ溝22内に周方向延長部分25Aに連なる幅方向延長部分25Bを有している。
【0022】
このようにトレッド部1における主溝11よりもタイヤ幅方向外側のショルダー領域にタイヤ周方向に延びる周方向細溝21を設け、その周方向細溝21に対して複数本のラグ溝22を連通させた構造を採用することにより、トレッド部1のショルダー領域の溝面積とエッジ成分を確保し、チェーン装着時のスノー性能を高めることができる。その一方で、周方向細溝21とラグ溝22とが連結された部位にはT字状の底上げ部25が形成されており、その底上げ部25が周方向細溝21内にラグ溝22の溝幅よりも広い周方向延長部分25Aを有すると共にラグ溝22内に周方向延長部分25Aに連なる幅方向延長部分25Bを有しているので、これら周方向細溝21及びラグ溝22に隣接する陸部20の剛性を十分に確保することができる。つまり、周方向細溝21とラグ溝22とが連結された部位に配置されたT字状の底上げ部25が周方向細溝21の幅方向の変形とラグ溝22の幅方向の変形を一体的に抑制することにより、陸部20の剛性を効果的に増大させることができる。これにより、操縦安定性や耐摩耗性に代表されるタイヤ性能を良好に維持することができる。
【0023】
上記空気入りタイヤにおいて、底上げ部25の周方向延長部分25Aのタイヤ周方向の長さaはラグ溝22の幅bの110%〜300%であり、底上げ部25の周方向延長部分25Aの高さdは周方向細溝21の深さcの20%〜80%であると良い。このような関係を満足することにより、摩耗時において溝面積が極端に減少することを回避しながら、陸部20の剛性を十分に確保し、所望のタイヤ性能を発揮することができる。
【0024】
ここで、周方向延長部分25Aのタイヤ周方向の長さaがラグ溝22の幅bの110%よりも小さいと陸部20の剛性を増大させる効果が低下し、逆にラグ溝22の幅bの300%よりも大きいとウエット性能を低下させる要因となる。また、周方向延長部分25Aの高さdが周方向細溝21の深さcの20%よりも小さいと陸部20の剛性を増大させる効果が低下し、逆に周方向細溝21の深さcの80%よりも大きいとウエット性能を低下させる要因となる。なお、周方向延長部分25Aのタイヤ周方向の長さaは周方向延長部分25Aの頂面の長さである。
【0025】
また、上記空気入りタイヤにおいて、底上げ部25のタイヤ幅方向の長さeは周方向細溝21の幅fの110%〜500%であり、底上げ部25の幅方向延長部分25Bの高さhはラグ溝22の深さgの20%〜80%であると良い。このような関係を満足することにより、摩耗時において溝面積が極端に減少することを回避しながら、陸部20の剛性を十分に確保し、所望のタイヤ性能を発揮することができる。
【0026】
ここで、底上げ部25のタイヤ幅方向の長さeが周方向細溝21の幅fの110%よりも小さいと陸部20の剛性を増大させる効果が低下し、逆に周方向細溝21の幅fの500%よりも大きいとウエット性能を低下させる要因となる。また、幅方向延長部分25Bの高さhがラグ溝22の深さgの20%よりも小さいと陸部20の剛性を増大させる効果が低下し、逆にラグ溝22の深さgの80%よりも大きいとウエット性能を低下させる要因となる。なお、底上げ部25のタイヤ幅方向の長さeは底上げ部25の頂面の長さである。
【実施例】
【0027】
タイヤサイズ185/65R15で、
図2に示すトレッドパターンを有する空気入りタイヤにおいて、周方向細溝での底上げ部の有無、ラグ溝での底上げ部の有無、ラグ溝の幅bに対する底上げ部の周方向延長部分のタイヤ周方向の長さaの比率(a/b×100%)、周方向細溝の深さcに対する底上げ部の周方向延長部分の高さdの比率(d/c×100%)、周方向細溝の幅fに対する底上げ部のタイヤ幅方向の長さeの比率(e/f×100%)、ラグ溝の深さgに対する底上げ部の幅方向延長部分の高さhの比率(h/g×100%)を表1のように設定した従来例、比較例1〜2及び実施例1〜6のタイヤを製作した。
【0028】
比較例1のタイヤは、周方向細溝とラグ溝とが連結された部位において周方向細溝内に底上げ部を局所的に設けたものである。比較例2のタイヤは、周方向細溝とラグ溝とが連結された部位においてラグ溝内に底上げ部を局所的に設けたものである。実施例1〜6のタイヤは、周方向細溝とラグ溝とが連結された部位において周方向細溝及びラグ溝に跨るT字状の底上げ部を局所的に設けたものである。
【0029】
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、スノー性能、ウエット路面での制動性能(0%摩耗時、50%摩耗時)、ドライ路面での操縦安定性、耐摩耗性を評価し、その結果を表1に併せて示した。
【0030】
スノー性能:
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて前輪駆動車に装着し、空気圧を220kPa(前輪)/210kPa(後輪)とし、前輪のタイヤにチェーンを装着し、テストドライバーによる雪上での走行試験を実施し、スノー性能について官能評価を行った。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどスノー性能が優れていることを意味する。
【0031】
ウエット路面での制動性能:
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて前輪駆動車に装着し、空気圧を220kPa(前輪)/210kPa(後輪)とし、水深1mmのテストコースにおいて100km/hの走行状態からブレーキを掛けて制動距離を測定した。評価結果は、測定値の逆数を用い、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどウエット路面での制動性能が優れていることを意味する。このような評価はタイヤが0%摩耗状態(新品時)及び50%摩耗状態であるときにそれぞれ実施した。
【0032】
ドライ路面での操縦安定性:
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて前輪駆動車に装着し、空気圧を220kPa(前輪)/210kPa(後輪)とし、テストドライバーによるドライ路面からなるテストコースでの走行試験を実施し、操縦安定性について官能評価を行った。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほどドライ路面での操縦安定性が優れていることを意味する。
【0033】
耐摩耗性:
各試験タイヤをリムサイズ15×6Jのホイールに組み付けて前輪駆動車に装着し、空気圧を220kPa(前輪)/210kPa(後輪)とし、テストドライバーによるドライ路面からなるテストコースでの走行試験を実施し、ショルダー陸部の摩耗量と走行距離を測定し、摩耗量1mm当たりの走行距離を求めた。評価結果は、従来例を100とする指数にて示した。この指数値が大きいほど耐摩耗性が優れていることを意味する。
【0034】
【表1】
【0035】
この表1から判るように、実施例1〜6のタイヤは、従来例との対比において、チェーン装着時のスノー性能を改善したトレッドパターンを採用するにあたって、操縦安定性や耐摩耗性を改善することができた。これに対して、比較例1のタイヤでは、底上げ部が周方向細溝内だけに配置されているため操縦安定性や耐摩耗性の改善効果が不十分であった。また、比較例2のタイヤでは、底上げ部がラグ溝内だけに配置されているため操縦安定性や耐摩耗性の改善効果が不十分であった。
【符号の説明】
【0036】
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
11,12,13 主溝
20,30,40,50 陸部
21,31 周方向細溝
22,52 ラグ溝
23,53 サイプ
24,34,44,54 補助溝
25 底上げ部
25A 周方向延長部分
25B 幅方向延長部分