(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジン、前記エンジンによって駆動される発電機、及び前記エンジンの出力軸の回転動力を前記発電機のロータに伝達する変速機を含む発電装置と、前記発電装置を制御する制御装置と、を備える発電システムであって、
前記制御装置は、
前記発電装置の状態に基づいて、目標エンジン出力と、目標エンジントルクとを決定するエンジン動作点決定部と、
前記エンジンの出力トルクが前記エンジン動作点決定部により決定された前記目標エンジントルクになるように、前記エンジンの燃焼を制御するエンジン燃焼制御部と、
を有し、
前記エンジンとそれに結合する前記変速機の慣性モーメントをIeとし、前記発電機とそれに結合する前記変速機の慣性モーメントをIgとし、前記エンジンの出力軸の回転数に対する前記発電機のロータの回転数の比として定義される前記変速機の速度比をGとし、前記変速機の許容トルクをTgaとするとき、前記エンジン動作点決定部が、前記目標エンジン出力が同一になるという条件において、前記目標エンジントルクTE*と目標エンジン回転数ωE*を[(1+1/G)TE*−(Ie+GIg)dωE*/dt]≦Tgaを満たす値に設定する、発電システム。
エンジン、前記エンジンによって駆動される発電機、及び前記エンジンの出力軸の回転動力を前記発電機のロータに伝達する変速機を含む発電装置と、前記発電装置を制御する制御装置と、を備える発電システムであって、
前記発電装置は、前記エンジンのクランク角を検出するクランク角検出部を有し、
前記制御装置は、
前記発電装置の状態に基づいて決定される暫定エンジントルクと、前記クランク角とに基づいて、エンジントルクを推定するエンジントルク推定部と、
前記エンジントルク推定部が推定した前記エンジントルクと、前記暫定エンジントルクとに基づいて、前記変速機に作用するトルクが前記変速機の許容トルクを超えないような発電機トルクを算出する発電機トルク算出部と、
を有する、発電システム。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記動力分配機構は、減速機として機能し、エンジン側からのトルクと第1発電機側からのトルクを受ける。その結果、動力分配機構には、これら2つのトルクに基づくせん断トルクが作用する。通常、ハイブリッド車両では、動力分配機構のサイズ(剛性)は、エンジンが最大トルクで動作している際に想定される最大のせん断トルクが動力分配機構に作用したとしても強度不足による破壊が生じないサイズに設定される。
【0006】
したがって、動力分配機構が大型化し易くなる。また、動力分配機構として磁気歯車変速機のような許容トルクの小さい変速機を用いにくく、動力分配機構の選択の自由度も低くなる。
【0007】
そこで、本発明の目的は、変速機にかかるトルクを許容トルク以下にでき、変速機のサイズも低減できる発電システムの制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発電システムは、エンジン、前記エンジンによって駆動される発電機、及び前記エンジンの出力軸の回転動力を前記発電機のロータに伝達する変速機を含む発電装置と、前記発電装置を制御する制御装置と、を備える発電システムであって、前記制御装置は、前記発電装置の状態に基づいて、目標エンジン出力と、目標エンジントルクとを決定するエンジン動作点決定部と、前記エンジンの出力トルクが前記エンジン動作点決定部により決定された前記目標エンジントルクになるように、前記エンジンの燃焼を制御するエンジン燃焼制御部と、を有し、前記エンジンとそれに結合する前記変速機の慣性モーメントをIeとし、前記発電機とそれに結合する前記変速機の慣性モーメントをIgとし、前記エンジンの出力軸の回転数に対する前記発電機のロータの回転数の比として定義される前記変速機の速度比をGとし、前記変速機の許容トルクをTgaとするとき、前記エンジン動作点決定部が、前記目標エンジン出力が同一になるという条件において、前記目標エンジントルクT
E*と目標エンジン回転数ω
E*を[(1+1/G)T
E*−(Ie+GIg)dω
E*/dt]≦Tgaを満たす値に設定する。
【0009】
変速機に生じるエンジン側トルクをTgeとし、変速機に生じる発電機側トルクをTggとし、発電機側トルクの向きをエンジン側トルクの向きと逆向きを正と定義するとき、変速機には、せん断トルク(Tge+Tgg)が生じる。このせん断トルクが変速機の許容トルクTgaを超えると変速機が強度不足で破壊する虞があり機構として成立しない。このような背景において、後で説明するように、エンジンのトルクをT
Eとし、エンジンの回転数をω
Eとするとき、(Tge+Tgg)=[(1+1/G)T
E−(Ie+GIg)dω
E/dt]が成立する。したがって、本発明によれば、目標エンジントルクT
E*及び目標エンジン回転数ω
E*が[(1+1/G)T
E*−(Ie+GIg)dω
E*/dt]≦Tgaを満たすように設定されるので、変速機に許容トルクを超えるせん断トルクがかかることがなく、変速機が破壊することを抑制できる。また、従来、[(1+1/G)T
E−(Ie+GIg)dω
E/dt>Tga]が生じる可能性があるために使用できなかった小型の変速機(剛性が小さい変速機)も使用できることになる。よって、変速機のサイズを低減できる。
【0010】
また、本発明において、前記エンジン動作点決定部は、エンジントルクを一方のパラメータとし、エンジン回転数を他方のパラメータとする2次元平面において、前記目標エンジン出力が一定になる等出力線と、前記エンジンの最適燃費線とが交差する点に基づいて、暫定的なエンジントルクTe及び暫定的なエンジン回転数ωeを決定する暫定トルク決定部と、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]≦Tgaが成立したとき、前記目標エンジントルクT
E*を前記暫定的なエンジントルクTeに設定すると共に、目標エンジン回転数ω
E*を前記暫定的なエンジン回転数ωeに設定する一方、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]>Tgaが成立したときには、前記目標エンジントルクT
E*及び前記目標エンジン回転数ω
E*を、前記目標エンジン出力が同一になるという条件において、[(1+1/G)Te'−(Ie+GIg)dωe'/dt]≦Tgaを満たす新たなエンジントルクTe'及び新たなエンジン回転数ωe'に設定する目標トルク設定部と、を有してもよい。
【0011】
上記構成によれば、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]>Tgaが成立した場合のみ、目標エンジントルクT
E*及び目標回転数ω
E*が、[(1+1/G)Te'−(Ie+GIg)dωe'/dt]≦Tgaは満たすが最適燃費は実現しないTe'及びω'に設定される。したがって、燃費の増加をできるだけ抑制しつつ、せん断トルクを許容範囲に収めることができる。
【0012】
また、本発明において、前記発電機のトルクを制御する発電機制御部を備え、前記発電機制御部は、前記目標エンジントルクと前記速度比に基づいて目標発電機トルクを決定し、前記発電機のトルクが、前記目標発電機トルクに一致するように前記発電機を制御してもよい。
【0013】
上記構成によれば、エンジン側でのトルク制御に加えて、発電機側でもトルク制御が実行されるので、トルク制御の精度が高くなる。
【0014】
また、本発明に係る発電システムは、エンジン、前記エンジンによって駆動される発電機、及び前記エンジンの出力軸の回転動力を前記発電機のロータに伝達する変速機を含む発電装置と、前記発電装置を制御する制御装置と、を備える発電システムであって、前記発電装置は、前記エンジンのクランク角を検出するクランク角検出部を有し、前記制御装置は、前記発電装置の状態に基づいて決定される暫定エンジントルクと、前記クランク角とに基づいて、エンジントルクを推定するエンジントルク推定部と、前記エンジントルク推定部が推定した前記エンジントルクと、前記暫定エンジントルクとに基づいて、前記変速機に作用するトルクが前記変速機の許容トルクを超えないような発電機トルクを算出する発電機トルク算出部と、を有する。
【0015】
本発明によれば、発電機のトルクを、発電機トルク算出部が算出した発電機トルクに制御することで、変速機がその許容トルクを超えることを防止でき、変速機に加わるトルクが許容トルクを超える可能性があるために使用できなかった小型の変速機も使用できる。
【0016】
また、本発明において、前記発電機のロータ回転数を検出するロータ回転数検出部と、エンジン回転数を検出するエンジン回転数検出部と、を備え、前記発電機トルク算出部は、前記エンジン及びそれに結合する前記変速機の慣性モーメントと、前記エンジン回転数と、前記エンジントルクとに基づいて、前記変速機のエンジン側トルクTgeを算出するエンジン側トルク算出部と、前記暫定エンジントルクに基づいて前記変速機の暫定的な発電機側トルクTgg’を決定する暫定発電機側トルク設定部と、前記変速機の許容トルクをTg
aとしたとき、(Tge−Tgg’)≦Tgaが成立した場合に、発電機側トルクTggを、前記暫定的な発電機側トルクTgg’に設定する一方、(Tge−Tgg’)>Tgaが成立した場合に、前記発電機側トルクTggを、Tgg’’≧(Tge−Tga)を満たす新たな発電機側トルクTgg’’に設定する発電機側トルク設定部と、を有してもよい。
【0017】
上記構成によれば、(Tge−Tgg')>Tgaが成立した場合のみ、発電機側トルクTggを、Tgg''≧(Tge−Tga)は満たすが最適燃費は実現しないTgg''に設定する。したがって、燃費の増加をできるだけ抑制しつつ、せん断トルクを許容範囲に収めることができる。
【0018】
また、本発明において、前記エンジン側トルクに脈動成分が含まれ、前記発電機側トルクに前記脈動成分が含まれてもよい。
【0019】
エンジンが燃焼する際、燃焼タイミングに相関がある脈動トルクがエンジンで生成され、その脈動トルクがNVの発生の一因になることがある。上記構成によれば、発電機側トルクの脈動成分でエンジン側トルクの脈動成分を相殺できるので、変速機に加わるせん断トルクに脈動成分が含まれることがなく、NVの発生を抑制できる。
【0020】
また、本発明において、前記エンジントルク推定部は、前記クランク角と、クランク角とエンジントルクを対応づけたマップと、に基づいて前記エンジントルクを推定してもよい。
【0021】
上記構成によれば、簡易な制御でエンジントルクを推定できる。
【0022】
また、本発明において、前記エンジンの燃焼室の筒内圧力を検出する筒内圧力検出部を備え、前記エンジントルク推定部は、前記クランク角と、前記筒内圧力とに基づいて前記エンジントルクを推定してもよい。
【0023】
上記構成によれば、マップを用いた場合との比較で、より正確なエンジントルクを推定できる。
【0024】
また、本発明において、前記エンジンの燃焼室に噴射された燃料噴射量を特定可能な燃料特定部と、前記燃焼室内の燃料に点火する点火装置と、前記点火装置の点火タイミングを特定可能な点火タイミング特定部と、を備え、前記エンジントルク推定部は、前記クランク角と、前記燃料噴射量と、前記点火タイミングとに基づいて前記エンジントルクを推定してもよい。
【0025】
上記構成によれば、マップを用いた場合との比較で、より正確なエンジントルクを推定できる。
【0026】
また、本発明において、前記変速機は、磁気歯車変速機であってもよい。
【0027】
上記構成によれば、物理的な接触部分が存在しない。したがって、歯面同士が直接接触する歯車を用いた変速機で生じる問題、例えば、歯車の摩耗、歯車の接触による振動や異音の発生、歯車の噛合に基づく粉塵・埃の発生等が生じることがない。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る発電システムによれば、変速機にかかるトルクを許容トルク以下にでき、変速機のサイズも低減できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る実施の形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて新たな実施形態を構築することは当初から想定されている。また、以下で説明する各物理量の単位としては、MKS単位系の単位が統一して採用されてもよく、それ以外の単位系が統一して採用されてもよい。
【0031】
図1は、本発明の第1実施形態に係る発電システム1のブロック図である。なお、第1実施形態では、発電システム1が、ハイブリッド車(以下、単に車両という)に搭載される例について説明するが、発電システムは、ハイブリッド車以外の乗物に搭載されてもよく、又は乗物に無関係な設備、機械に搭載されてもよい。
図1に示すように、発電システム1は、発電装置10、及び制御装置60を備える。
【0032】
発電装置10は、エンジン20と、変速機の一例としての磁気歯車変速機40と、発電機50とを含む。磁気歯車変速機40は、ケース(図示せず)に固定されることで回転が止められたリング磁気歯車(図示せず)と、リング磁気歯車の内側(径方向内側)に配置された入力側磁気歯車としてのサン磁気歯車41と、リング磁気歯車の周方向に沿って互いに間隔をおいて(等間隔で)並べられ、リング磁気歯車とサン磁気歯車41との間に配置された出力側磁気歯車としての複数の遊星磁気歯車42と、各遊星磁気歯車42を回転自在に支持するキャリアとして機能する出力軸43と、を含む。リング磁気歯車とサン磁気歯車41の中心軸は一致している。各遊星磁気歯車42の中心軸は、リング磁気歯車及びサン磁気歯車41の中心軸に対して平行になっている。磁気歯車変速機40は、物理的な接触(機械的な接触)を用いずにエンジン20の回転動力を発電機50に伝達する。磁気歯車変速機40は、エンジン20の出力トルクを変動させ、変動させたトルクを発電機50のロータ51に伝達する。
【0033】
制御装置60は、発電装置10を制御する。制御装置60は、エンジン20を制御するエンジン制御部70と、発電機50を制御する発電機制御部80とを含む。制御装置60は、磁気歯車変速機40に加わるせん断トルクが磁気歯車変速機40の許容トルク以下になるように、発電装置10を制御する。
【0034】
詳しくは、エンジントルクをT
E、エンジン回転数をω
E、発電機50のトルクをT
G、発電機50のロータ51の回転数をω
G、エンジン20とそれに結合する磁気歯車変速機40の慣性モーメントをIe、発電機50とそれに結合する磁気歯車変速機40の慣性モーメントをIgとし、磁気歯車変速機40の速度比(エンジン20の出力軸の回転数に対する発電機50のロータ51の回転数の比)をGとしたとき、磁気歯車変速機40のエンジン側に加わるエンジン側トルクTgeは、次の式(1)で表され、磁気歯車変速機40の発電機側に加わる発電機側トルクTgg(発電機側トルクの向きはエンジン側トルクの向きと逆向きを正と定義する)は、次の式(2)で表される。また、磁気歯車変速機40に作用するせん断トルクは(Tge+Tgg)で表される。
【0035】
したがって、せん断トルクが磁気歯車変速機40の許容トルクTga以下になる必要があるので、式(3)が成立し、上記(1)式〜(3)式から、下記の(4)式が成立し、更に、速度比Gに関する下記の(5)式及び(6)式も成立する。したがって、(5)式及び(6)式を用いて、(4)式からT
G及びω
Gを消去すると(7)式が成立する。よって、[(1+1/G)T
E−(Ie+GIg)dω
E/dt]が許容トルクTga以下であれば、磁気歯車変速機40に許容トルクを超えるせん断トルクが作用することがなく、磁気歯車変速機40の脱調が抑制される。制御装置60は、磁気歯車変速機40の許容トルクをTgaとしたとき、下記の(7)式が成立するように発電装置10を制御する。
【数1】
【0036】
エンジン制御部70は、エンジン動作点決定部71と、エンジン燃焼制御部77とを有し、エンジン動作点決定部71は、暫定トルク決定部72と、目標トルク設定部73とを含む。暫定トルク決定部72は、車両のアクセル開度センサ11からのアクセル開度を表す信号と、車速センサ12からの車速を表す信号とに基づいて、目標エンジン出力を算出する。アクセル開度センサ11及び車速センサ12としては、公知のセンサを採用でき、車速センサ12は、例えば、ホール素子やコイルを含んで車軸等に取り付けられ、車軸の回転数に比例する数のパルス信号を出力する。暫定トルク決定部72は、マップに基づいて目標エンジン出力を算出する。係るマップは、エンジン出力及び車速と、目標エンジン出力とを関連づける。例えば、制御装置60には記憶部が内蔵され、マップは、記憶部に予め記憶される。しかし、記憶部は、制御装置外に配置され、当該マップが、制御装置外の記憶部に記憶されてもよい。
【0037】
記憶部には、更に、エンジントルクを一方のパラメータとし、エンジン回転数を他方のパラメータとする2次元平面において、目標エンジン出力が一定になる等出力線と、エンジンの最適燃費線との関係を表すマップが記憶されている。
図2に、そのようなマップの一例を示す。
図2を参照して、暫定トルク決定部72は、算出した目標エンジン出力の等出力線と最適燃費線との交点から、暫定エンジントルクTeと暫定エンジン回転数ωeとを決定する。
【0038】
再度、
図1を参照して、目標トルク設定部73は、暫定トルク決定部72が決定したTe及びωeが[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]≦Tgaを満たすか否かを判定する。ここで、dωe/dtは、例えば、0.5秒以下の僅かな所定時間を隔てた2点間の暫定エンジン回転数ωeの差分を当該所定時間で割ることで算出され、Teはその2点のうちで大きい方の値が採用される。なお、係る判定は上記僅かな時間毎に実行される。
【0039】
そして、各所定時間で、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]≦Tgaが満足される場合には、目標エンジントルクT
E*を、暫定的に決定したTeに設定すると共に、目標エンジン回転数ω
E*を、暫定的に決定したωeに設定する。
【0040】
一方、いずれかの所定時間で、Teが[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]>Tgaを満たす場合には、その所定時間においては、目標エンジントルクT
E*及び目標エンジン回転数ω
E*を、[(1+1/G)Te'−(Ie+GIg)dωe'/dt]≦Tgaを満たすTe'及びωe'に設定する。すなわち、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]>Tgaである場合には、最適燃費の条件を犠牲にしてまでも、目標エンジントルクT
E*を、磁気歯車変速機40に作用するせん断トルクが許容トルク以下になるように設定する。
【0041】
図2に示す例では、暫定トルクTeが[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]≦Tgaを満足しないため、目標エンジントルクT
E*及び目標エンジン回転数ω
E*が、等出力線において太線で示すR1領域に位置するように、目標エンジントルクT
E*を、最適燃費を満たす値よりも小さい値に設定する。
図2から明らかなように、目標エンジントルクT
E*を、最適燃費を満たす値よりも小さな値に設定すると、目標エンジン回転数ω
E*は、最適燃費を満たす値よりも大きな値となる。
【0042】
Te'の具体的な決定方法の一例としては、例えば、α≧0を満たす定数トルクを採用し、[(1+1/G)Te'−(Ie+GIg)dωe'/dt]=(Tga−α)によりTe'及びωe'を決定する。ここで、dωe'/dtは、例えば次のように算出する。すなわち、目標トルク設定部73は、エンジン20の出力回転軸に取り付けられたエンジン回転数センサ25(
図1参照)からの信号に基づいて、トルクのエンジン回転数ω
Eを特定し、目標エンジントルクT
E*をR1領域内のトルクとしたときに、目標エンジン出力が同一になるという条件から、目標エンジン回転数ω
E*を設定する。その結果、僅かな時間(この僅かな時間は、上記所定時間と同じに設定されてもよく、上記所定時間と異なる時間に設定されてもよい)におけるそれら2つの間のエンジン回転数の差Δω
Eを算出でき、dωe'/dtを[Δω
E/上記僅かな時間]を計算することで算出できる。エンジン回転数検出部25は、例えば、クランクプーリー、フライホイール、カムシャフト等の回転数を検出する。エンジン回転数検出部25としては、如何なる公知のセンサも採用でき、例えば、磁力を用いた電磁式センサや、光学式センサを使用できる。なお、下記で説明するクランク角検出センサ14からの信号によりエンジン回転数を特定してもよい。
【0043】
エンジン動作点決定部71は、決定した目標エンジントルクT
E*を表す信号と、特定した目標エンジン回転数ω
E*を表す信号とをエンジン燃焼制御部77に出力する。また、エンジン動作点決定部71は、決定した目標エンジントルクT
E*を表す信号を、後で説明する目標発電機トルク決定部81に出力する。エンジン燃焼制御部77は、目標エンジントルクT
E*を表す信号と、目標エンジン回転数ω
E*を表す信号と、クランク角検出センサ14からのクランク角θeを表す信号とに基づいて、エンジン回転数ω
Eが目標エンジン回転数ω
E*になり、エンジントルクT
Eが目標エンジントルクT
E*になるように、エンジン20の空燃比や、燃料噴射量や、燃料噴射タイミングや、点火タイミング等を制御する。なお、クランク角検出センサ14としては、公知の如何なるセンサも使用でき、例えば、フォトトランジスターを用いてクランク角を検出する光学式センサや、電磁ピックアップと突起によって電磁力を用いてクランク角を検出する磁気式センサを採用できる。
【0044】
発電機制御部80は、目標発電機トルク決定部81と、制御信号出力部82とを含む。目標発電機トルク決定部81は、例えば、エンジン制御部70が決定した目標エンジントルクT
E*と、磁気歯車変速機40の速度比Gから、目標発電機トルクを、T
E*/Gと算出する。本実施例では、変速機が、磁気歯車変速機40であるので、変速機の機械損失を考慮する必要がないが、変速機が、接触歯車を含む変速機である場合には、目標発電機トルクを、変速機の機械損失を考慮して試験的に決定すると好ましい。なお、この場合でも、目標発電機トルクは、目標エンジントルクT
E*のみから決定される。
【0045】
制御信号出力部82は、発電機のロータ51の回転角検出センサ15からのロータ51の回転角ω
Gを表す信号に基づいて発電機50のコイルに流す負荷電流を制御することで、発電機50のトルク制御を実行する。例えば、発電機50が、三相交流発電機である場合、制御信号出力部82が、発電機50のインバータに含まれる複数のスイッチング素子のオンオフ制御等を実行することで、発電機50のトルク制御を実行する。なお、回転角検出センサ15としては、公知の如何なるセンサも使用でき、例えば、磁力を用いた電磁式センサや、光学式センサを使用できる。発電機50に作用する発電機トルクT
Gと、発電機50が生成する電力とがつり合うと、発電機50のロータ51が等速で回転する。
【0046】
上記第1実施形態によれば、エンジン動作点決定部71が、目標エンジン出力が同一になるという条件において、目標エンジントルクT
E*及び目標エンジン回転数ω
E*を、[(1+1/G)T
E*−(Ie+GIg)dω
E*/dt]≦Tgaを満たす値に設定する。したがって、エンジン等速回転時において、磁気歯車変速機40に許容トルクを超えるせん断トルクがかかることがなく、磁気歯車変速機40が脱調することを抑制でき、[(1+1/G)T
E−(Ie+GIg)dω
E/dt]>Tgaが生じる可能性があるために使用できなかった小型の変速機も使用できる。
【0047】
また、エンジン動作点決定部71が、エンジントルクを一方のパラメータとし、エンジン回転数を他方のパラメータとする2次元平面において、当該目標エンジン出力が一定になる等出力線と、エンジンの最適燃費線とが交差する点に基づいて、暫定的なエンジントルクTe及び暫定的なエンジン回転数ωeを決定する。そして、暫定トルク決定部72が、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]≦Tgaが成立したとき、目標エンジントルクT
E*を暫定的なエンジントルクTeに設定すると共に、目標エンジン回転数ω
E*を暫定的なエンジン回転数ωeに設定する一方、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]>Tgaが成立したときには、目標エンジントルクT
E*及び前記目標エンジン回転数ω
E*を、目標エンジン出力が同一になるという条件において[(1+1/G)Te'−(Ie+GIg)dωe'/dt]≦Tgaを満たす新たなエンジントルクTe'及び新たなエンジン回転数ωe'に設定する。したがって、[(1+1/G)Te−(Ie+GIg)dωe/dt]>Tgaが成立した場合のみ、目標エンジントルクT
E*及び目標エンジン回転数ω
E*が、[(1+1/G)Te'−(Ie+GIg)dωe'/dt]≦Tgaは満たすが最適燃費は実現しないTe'及びωe'に設定されるので、燃費の増加をできるだけ抑制しつつ、せん断トルクを許容範囲に収めることができる。
【0048】
また、発電機制御部80が、目標エンジントルクT
E*と、磁気歯車変速機40の速度比Gに基づき、目標発電機トルクを、T
E*/Gと決定し、発電機50のトルクが当該目標発電機トルクT
E*/Gになるように発電機50を制御する。よって、エンジン側でのトルク制御に加えて、発電機側でもトルク制御が実行されるので、トルク制御の精度が高くなる。
【0049】
更には、[(1+1/G)T
E−(Ie+GIg)dω
E/dt]>Tgaが生じる可能性があるために使用できなかった小型の変速機も使用でき、磁気歯車変速機40等の小さい変速機の適用範囲を広げることができる。また、許容トルクが小さい磁気歯車変速機40を使用でき、歯面同士が直接接触する変速機で生じる問題、例えば、歯車の摩耗、歯車の接触による振動や異音の発生、歯車の噛合に基づく粉塵・埃の発生等を抑制できる。
【0050】
なお、目標エンジン出力を、アクセル開度と車速から特定する場合について説明したが、目標エンジン出力は、エンジンの空燃比や、燃料噴射量や、燃料噴射タイミング、点火タイミング等に基づいて決定されてもよい。目標エンジン出力は、発電装置の状態に基づいて求められればよい。
【0051】
また、変速機が、サン磁気歯車41、リング磁気歯車、及び遊星磁気歯車42を有する遊星歯車機構の磁気歯車変速機である場合について説明した。しかし、磁気歯車変速機は、遊星歯車機構の磁気歯車変速機でなくてもよく、例えば、互いの中心軸が同一直線上に存在するように離間配置された2つの磁気歯車しか有さない構成でもよく、それ以外の如何なる構成でもよい。また、変速機は、機械的に接触する歯車を有する如何なる変速機であってもよい。変速機として、接触歯車を含む遊星歯車機構を用いた場合には、例えば、エンジンの出力軸を、太陽歯車に接続し、内歯車を、発電装置のロータに接続する。また、遊星キャリアを、固定し、内歯車を、太陽歯車と逆方向に回転させる。この場合、エンジンの回転速度が、磁気歯車変速機構で減速され、ロータの回転速度が減速された回転速度に一致する。
【0052】
また、エンジン制御部70が、磁気歯車変速機40に作用するせん断トルクが、磁気歯車変速機40の許容トルクTgaを超えない制御を実行し、発電機制御部80も、上記せん断トルクが許容トルクTgaを超えない制御を実行する場合について説明した。しかし、発電機制御部80が存在しなくてもよく、発電機50によるトルク制御が実行されなくてもよい。
【0053】
図3は、本発明の第2実施形態に係る発電システム101のブロック図である。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同一の構成に同一の参照番号を付して説明を省略し、第1実施形態と同一の作用効果、変形例についても説明を省略する。第2実施形態では、トルク制御を主に発電機制御部180で実行する点と、燃焼室内での燃料の燃焼によって生じる脈動トルクを考慮する点とが、第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる構成、作用効果、及び変形例について説明する。
【0054】
図3に示すように、発電システム101は、発電装置110と、発電機制御部180とを含み、発電機制御部180は、エンジントルク推定部181と、発電機トルク算出部182とを有する。エンジントルク推定部181は、エンジン制御部70(図示せず)から暫定エンジントルクを表す信号を受ける。暫定エンジントルクは、エンジン制御部70が第1実施形態で決定した目標エンジントルクに一致する。
【0055】
エンジントルク推定部181は、図示しないエンジン動作点決定部71からの一定の暫定エンジントルクを表す信号と、クランク角検出センサ14からのクランク角θeを表す信号と、マップと、によってエンジントルクを推定する。上記マップは予め試験的に作成される。実際のエンジントルクには、クランク角θeに依存する脈動成分が含まれる。上記マップは、上記暫定エンジントルク及びクランク角θeと、想定される脈動成分を含んだエンジントルクと、を一対一に関連づける。上記マップは、例えば発電機制御部180に内蔵された記憶部160に予め記憶される。
【0056】
発電機トルク算出部182は、エンジントルク推定部181が推定したエンジントルクと、暫定エンジントルクとから目標発電機トルクを決定する。発電機トルク算出部182は、エンジン側トルク算出部183、暫定発電機側トルク決定部184、及び発電機側トルク設定部185を含む。エンジン側トルク算出部183は、エンジン及びそれに結合する変速機の慣性モーメントIe(仕様毎に既知)と、エンジン回転数ω
Eと、エンジントルク推定部181が推定した推定エンジントルクとに基づいて、上記(1)式を用いて磁気歯車変速機40のエンジン側トルクTgeを算出する。係る算出は、エンジントルクT
Eを、上記推定トルクに設定して実行する。発電装置110には、エンジン回転数検出部125が含まれる。エンジン側トルク算出部183は、エンジン回転数検出部125からの信号に基づいてエンジン回転数ω
Eを特定する。なお、エンジン回転数検出部125は、例えば、クランクプーリー、フライホイール、カムシャフト等の回転数を検出する。エンジン回転数検出部125としては、如何なる公知のセンサも採用でき、例えば、磁力を用いた電磁式センサや、光学式センサを使用できる。
【0057】
暫定発電機側トルク決定部184は、上記暫定エンジントルクに基づいて磁気歯車変速機40の暫定的な発電機側トルクTgg'を決定する。より詳しくは、暫定発電機側トルク決定部184は、一定のエンジントルクと、磁気歯車変速機40の速度比Gとに基づいて、暫定的な発電機側トルクを決定する。
【0058】
次に、
図4,
図5を用いて、発電機側トルク設定部185が目標の発電機側トルクTggを決定する手順について説明する。
図4は、発電機側トルクTggを、暫定的な発電機側トルクTgg'に設定した場合でも、磁気歯車変速機40に作用するせん断トルクが許容トルク内に収まる場合について説明する図である。詳しくは、
図4(a)は、発電機側トルクTggを、−a/Gに設定した例を説明する図であり、
図4(b)は、発電機側トルクTggを、Tgeに含まれる脈動成分を−a/Gに加えたトルクに設定した例を説明する図である。
【0059】
図4(a)に示す例では、エンジントルクに脈動成分が含まれることに起因して、エンジン側トルクTgeが、目標エンジントルクaを中心として脈動する。これに対し、暫定的な発電機側トルクTgg'が、一定の(−a/G)として決定される。
【0060】
図4(a)に示す例では、磁気歯車変速機40の許容トルクTgaが、(Tge−Tgg')よりも大きい。よって、目標発電機側トルクTggを、暫定的な発電機側トルクTgg'に設定できる。また、
図4(a)に示す例では、Tgeが脈動成分を有するのに対し、Tggが一定となる。したがって、磁気歯車変速機40に作用するせん断トルク(Tge−Tgg)に脈動成分が含まれる。
【0061】
一方、
図4(b)に示す例では、暫定的な発電機側トルクTgg'として、一定の(−a/G)に、エンジン側トルクTgeの脈動成分を加えたトルクが採用される。すなわち、Tgg'として、[−a/G+(Tge−a)] が採用される。
【0062】
図4(b)に示す場合でも、許容トルクTgaが、(Tge−Tgg')よりも大きい。したがって、目標の発電機側トルクTggを、暫定的な発電機側トルクTgg'に設定できる。一方、
図4(b)に示す場合では、
図4(a)に示す場合とは異なり、暫定的な発電機側トルクTgg'にエンジン側トルクTgeの脈動成分が含まれる。よって、磁気歯車変速機40に作用するせん断トルク(Tge−Tgg)は、脈動成分が相殺されて一定になる。その結果、せん断トルク(Tge−Tgg)が、脈動成分を有さないので、NVを抑制できる。
【0063】
図5は、発電機側トルクTggを、暫定的な発電機側トルクTgg'に設定した場合、一部のクランク角領域(エンジン20の動作周期のうちの一部期間)で磁気歯車変速機40に作用するせん断トルクが許容トルクを超える場合について説明する図である。詳しくは、
図5は、bをエンジン動作点決定部71が決定した一定の暫定エンジントルクとした場合に、発電機側トルクTggを、暫定的な発電機側トルクTgg'である-b/Gに設定すると、Tgeの脈動の半周期に対応する時期においては、せん断トルク(Tge−Tgg')が許容トルクTgaを超える場合について説明する図である。
【0064】
図5(a)に示す例では、せん断トルク(Tge−Tgg')が許容トルクTgaを超える半周期のタイミング(t1<t<t2, t3<t<t4)において、(Tge−Tgg')において許容トルクTgaを超えたトルク分を暫定的な発電機側トルクTgg'に加えたトルクを、発電機側トルクTggとして採用する。
【0065】
すなわち、暫定的な発電機側トルクをTgg'とするとき、(Tge−Tgg')≦Tgaを満たす(t2≦t≦t3)のタイミングでは、発電機側トルクTggを、Tgg'=-b/Gに設定する。
【0066】
また、(Tge−Tgg')>Tgaを満たす(t1<t<t2, t3<t<t4)のタイミングでは、発電機側トルクTggを、(Tge−Tgg')において許容トルクTgaを超えたトルク分を暫定的な発電機側トルクTgg'に加えた[Tgg'+(Tga-b)]=[-b/G+(Tga-b)]に設定する。
【0067】
このようにして、磁気歯車変速機に作用するせん断トルクが許容トルクを超えないようにしている。なお、
図5(a)に示す例では、(Tge−Tgg')>Tgaを満たす(t1<t<t2, t3<t<t4)のタイミングで、せん断トルク(Tge−Tgg)が、許容トルクTgaに一致する。しかし、(Tge−Tgg')>Tgaを満たすタイミングで、せん断トルク(Tge−Tgg)が、許容トルクTgaよりも小さくなるようにTggを決定してもよい。
【0068】
図5(b)に示す例では、磁気歯車変速機40に作用するせん断トルクが許容トルクを超えない(t2≦t≦t3)のタイミングでも、発電機側トルクTggを、暫定的な発電機側トルクTgg'に脈動成分を加えたトルクに設定する。このようにして、せん断トルク(Tge−Tgg)に脈動成分が含まれないようにしている。なお、
図5(b)に示す例では、せん断トルク(Tge−Tgg)が許容トルクに一致するようにTggを決定している。しかし、せん断トルク(Tge−Tgg)が、脈動成分を含まず、かつ許容トルクより小さくなるようにTggを決定してもよい。
図5(b)に示す例では、
図5(a)に示す例との比較において、エンジン動作の周期の全てでせん断トルク(Tge−Tgg)に脈動成分が含まれない。よって、
図5(a)に示す例との比較においてNVが生じにくくなって好ましい。
【0069】
発電機側トルク設定部185が目標の発電機側トルクTggを決定すると、発電機トルク算出部182は、上記(2)式に基づいて、Tggと、ロータ51の回転数ω
Gとに基づいて目標の発電機トルクT
G*を算出する。そして、発電機50のトルクT
Gが目標の発電機トルクT
G*に一致するように発電機50のコイルに供給する電力を制御する。
【0070】
なお、第2実施形態では、エンジントルク推定部181が、クランク角θeと、クランク角とエンジントルクを対応づけたマップと、に基づいて脈動成分を含むエンジントルクTeを推定する場合について説明した。
【0071】
しかし、発電システムが、エンジンの燃焼室の筒内圧力を検出する筒内圧力検出部を更に備え、エンジントルク推定部が、クランク角と、筒内圧力とに基づいてエンジントルクを推定してもよい。
【0072】
エンジンの筒内圧力で燃焼室での燃焼の度合を実測できる。よって、筒内圧力とクランク角から、ピストンがいずれの位置にあって、どのように動いているかを特定できる。ピストンの位置から燃焼室の容量が算出できるので、筒内圧力からピストンを押圧する力が特定できる。したがって、ピストンの位置と、ピストンを押圧する力が既知であるので、クランクシャフトに作用するトルクを算出でき、エンジントルクを算出できる。
【0073】
又は、発電装置が、エンジンの燃焼室に噴射された燃料噴射量を特定可能な燃料特定部と、燃焼室内の燃料に点火する点火装置と、点火装置の点火タイミングを特定可能な点火タイミング特定部と、を備え、エンジントルク推定部が、クランク角と、燃料噴射量と、点火タイミングとに基づいてエンジントルクを推定してもよい。燃料噴射量と点火信号とから筒内圧力を特定できる。したがって、この変形例の構成でも、エンジントルクを算出できる。上記2つの変形例によれば、エンジントルクが実際に算出される。よって、マップを用いた第2実施形態との比較で、エンジントルクをより正確に推定できる。