特許第6838507号(P6838507)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838507
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】オイルレベルゲージ
(51)【国際特許分類】
   F01M 11/12 20060101AFI20210222BHJP
   F01M 13/00 20060101ALI20210222BHJP
   G01F 23/04 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   F01M11/12 D
   F01M11/12 B
   F01M13/00 A
   G01F23/04 A
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-121403(P2017-121403)
(22)【出願日】2017年6月21日
(65)【公開番号】特開2019-7370(P2019-7370A)
(43)【公開日】2019年1月17日
【審査請求日】2019年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼原 啓介
【審査官】 沼生 泰伸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2018−172988(JP,A)
【文献】 特開2001−255195(JP,A)
【文献】 特開2003−106130(JP,A)
【文献】 実開昭63−130634(JP,U)
【文献】 実開昭59−110315(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 11/12
F01M 13/00
G01F 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
差込口からオイル室内へ挿入されるゲージ本体と、
前記ゲージ本体の延在方向に沿う一端側に一体化され、前記差込口に挿入された状態では前記差込口を封止する封止材と、を有する産業車両のオイルレベルゲージにおいて、
前記封止材は、前記差込口を封止する封止部と、前記封止部よりも前記ゲージ本体の延在方向に沿う一端側に位置し、前記封止部の周長よりも長い周長を有する本体部とを備え、
前記封止材が前記差込口に挿入された状態では、前記封止部が前記差込口の内周面に密接するとともに、前記封止部及び前記本体部の境界となる当接面が前記差込口の周囲に当接し、
前記封止材には、前記本体部の外周面に切り込み形成された第1通路形成部と、該第1通路形成部と一端が繋がり、他端が前記オイル室と連通する第2通路形成部とが設けられ、
前記第1通路形成部は、前記差込口からの前記ゲージ本体の引き抜きに伴う外力が作用しない場合には閉じており、前記外力が作用した場合には開口し、開口した前記第1通路形成部及び前記第2通路形成部を介して大気と前記オイル室とが連通することを特徴とするオイルレベルゲージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業車両のオイルレベルゲージに関する。
【背景技術】
【0002】
フォークリフト等の産業車両において、エンジンやトランスミッションのオイル室の油量を測定するために、オイルレベルゲージが用いられている。オイルレベルゲージは、オイル室に連通するガイドチューブの差込口に差し込まれており、油量測定時に、オイルレベルゲージは差込口から引き抜かれる。
【0003】
また、オイル室の圧力は、産業車両の運転状況により大気圧に対して負圧になることがある。オイル室が負圧になると、大気圧との圧力差によりオイルレベルゲージを引き抜きにくいだけでなく、オイルレベルゲージの引き抜きによって大気とオイル室とが連通した際、圧力差によって、ガイドチューブの差込口周辺に堆積した水や異物がオイル室に侵入する恐れがある。
【0004】
そこで、オイル室の圧力を大気開放するためのオイルレベルゲージとして、例えば、特許文献1が提案されている。
図8に示すように、特許文献1のオイルレベルゲージは、先端にオイルを付着させて油面レベルを測定するゲージ本体90と、ゴム状弾性材料製の把手部91とで構成されている。把手部91には、オイルパン(オイル室)と大気とを連通するためのブリーザ溝Bが形成されている。また、ブリーザ溝Bの途中には把手部91に一体の膜部92が形成されている。膜部92は所定の圧力差により変形することで、オイルパン内の圧力を大気開放し、負圧を解消する。一方、所定の圧力差が生じていない状態では、膜部92は、ブリーザ溝Bに侵入した水や異物がオイルパンへ侵入するのを抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−031812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1の構成では、オイルパン内が負圧となり所定の圧力差が生じると膜部92が変形し、水や異物がオイルパン内へ侵入してしまう。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、オイル室の負圧に起因するオイル室への水や異物の侵入を抑制できるオイルレベルゲージを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題点を解決するためのオイルレベルゲージは、差込口からオイル室内へ挿入されるゲージ本体と、前記ゲージ本体と一体であり、前記差込口に挿入された状態では前記差込口を封止する封止材と、を有する産業車両のオイルレベルゲージにおいて、前記封止材には、該封止材の外周面に切り込み形成された第1通路形成部と、該第1通路形成部と一端が繋がり、他端が前記オイル室と連通する第2通路形成部とが設けられ、前記第1通路形成部は、前記差込口からの前記ゲージ本体の引き抜きに伴う外力が作用しない場合には閉じており、前記外力が作用した場合には開口し、開口した前記第1通路形成部及び前記第2通路形成部を介して大気と前記オイル室とが連通することを要旨とする。
【0008】
この構成によれば、オイルレベルゲージを引き抜かない状態では、第1通路形成部は閉じているため、オイル室が負圧であっても、第1通路形成部及び第2通路形成部を介して水や異物がオイル室に侵入することが抑制される。一方で、オイルレベルゲージを引き抜くときは、引き抜きに伴う外力がオイルレベルゲージに作用し、封止材にも外力が作用する。すると、第1通路形成部が開口し、第1通路形成部が第2通路形成部と連通することで、大気とオイル室とが連通する。オイル室が負圧であれば大気との圧力差によって、オイル室は大気開放され、オイル室の負圧を解消できる。
【0009】
また、オイルレベルゲージについて、前記封止材は、前記差込口の周囲に当接する当接面を備え、前記第1通路形成部は、前記封止材の前記当接面よりも高い位置にある。
この構成によれば、封止材の当接面が、差込口の周囲に当接することで、ゲージ本体は、オイル室内の油量を測定できる所定の位置に配設される。この構成において、差込口の周囲は水や異物が堆積しやすい堆積面となる。しかし、第1通路形成部が封止材の当接面よりも高い位置にあることにより、第1通路形成部を堆積面から距離を取った位置に配設することができ、第1通路形成部への異物の侵入を抑制しやすく、第1通路形成部及び第2通路形成部を介したオイル室への異物の侵入をより抑制できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、オイル室の負圧に起因するオイル室への水や異物の侵入を抑制できるオイルレベルゲージを提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】フォークリフトの側面図。
図2】エンジンにおけるオイルレベルゲージの設置状態を示す模式図。
図3】(a)は第1の実施形態のオイルレベルゲージにおいて第1通路形成部が閉じた状態の正面図、(b)は第1通路形成部が閉じた状態の図3(a)の3B−3B線端面図。
図4】(a)は第1の実施形態のオイルレベルゲージにおいて第1通路形成部が開いた状態の正面図、(b)は第1通路形成部が開いた状態の図4(a)の4B−4B線端面図。
図5】第2の実施形態のオイルレベルゲージを示す端面図。
図6】(a)は別例の第1通路形成部を示す正面図、(b)は別例の第1通路形成部を示す図6(a)の6B−6B線端面図。
図7】(a)は別例の第1通路形成部を示す正面図、(b)は別例の第1通路形成部を示す図7(a)の7B−7B線端面図。
図8】従来技術におけるオイルレベルゲージの要部断面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
以下、産業車両のオイルレベルゲージを具現化した第1の実施形態を図1図4にしたがって説明する。
【0013】
図1に示すように、産業車両としてのフォークリフト1は、車体2の進行方向に対してほぼ中央に運転席3を備えている。フォーク4は運転席3から見て車体を前進させる方向に存在する。
【0014】
フォークリフト1は、エンシンフード5の下にエンジン6、トルクコンバータ7、PTO(パワーテークオフ)ユニット8及びトランスミッション9を備える。
図2に示すように、エンジン6は、エンジン6の作動に必要なオイルを溜めておくオイル室16を備える。なお、図示しないが、トランスミッション9もオイル室16を備える。
【0015】
フォークリフト1の稼働によって、オイル室16内の温度変化が生じ、オイル室16の圧力と大気圧との間に圧力差が生じる。オイル室16が正圧の場合、オイル室16に設けられたブリーザ(図示せず)により、オイル室16が一定圧以上にならないよう制御される。その一方で、オイル室16が負圧の場合、ブリーザは負圧に対して制御しない。このため、オイル室16は負圧になることがある。
【0016】
フォークリフト1は、オイル室16のオイルの油面レベルを測定するオイルレベルゲージ17を備える。
オイルレベルゲージ17はエンジン6のシリンダブロックに設けられたガイドチューブ18及びトランスミッション9のケースに設けられたガイドチューブ18に挿入されている。ガイドチューブ18は、上端に開口する差込口22を備える。ガイドチューブ18における差込口22より下側の部分はオイル室16にかけて延在する。ガイドチューブ18は筒状である。オイルレベルゲージ17は、油面から油中に向かう方向へ後述のゲージ本体19が差し込まれるようにガイドチューブ18へ挿入されている。また、ガイドチューブ18は、差込口22の周囲に係止面18aを備える。係止面18aは、ガイドチューブ18の上端面18bよりも凹んだ位置にある。
【0017】
図3(a)及び図3(b)に示すように、オイルレベルゲージ17は、ゲージ本体19と、封止材20によって構成される。
ゲージ本体19は金属製又は樹脂製の細長板状である。ゲージ本体19は、ガイドチューブ18の差込口22からガイドチューブ18の筒内へ挿入されている。ゲージ本体19は、延在方向の一端部にハンドル21を備える。ガイドチューブ18にゲージ本体19が挿入された状態では、ハンドル21はガイドチューブ18から突出している。ハンドル21は指を掛けることができる掛部21aを有する。ハンドル21はゲージ本体19を構成する金属板を曲げることで形成されていてもよいし、樹脂等で製作された別部品との組み合わせによって備えていてもよい。また、ゲージ本体19は、延在方向の他端部に、油面レベルを測定するための測定部(図示せず)を備える。
【0018】
封止材20は円柱状であり、弾性体としてのゴムによって形成されている。封止材20は、ゲージ本体19の延在方向の一端側に一体化されている。ハンドル21は、封止材20から突出している。封止材20は、ゲージ本体19の延在方向に沿う一端側(ハンドル21側)の本体部20aと、延在方向に沿う他端側の封止部20bとを備える。なお、封止材20の中心軸線の延びる方向は、ゲージ本体19の延在方向と同じであり、封止材20の中心軸線L1の延びる方向を軸方向とする。
【0019】
封止材20の本体部20aの周長は、封止部20bの周長よりも長い。封止材20は、軸方向における本体部20aと封止部20bとの境界に当接面20dを有する。
封止部20bは軸方向に沿って凹凸状である。封止部20bは、該封止部20bの周方向に延びる凸部20bAと、凸部20bAよりも小径の凹部20bBとを交互に備える。凸部20bAの外径は、差込口22の内径よりやや長く、凸部20bAの外周面は、差込口22の内周面に密接する。
【0020】
オイルレベルゲージ17を差込口22に差し込むと、当接面20dが係止面18aに当接し、それ以上奥まで差し込めなくなる。オイルレベルゲージ17は、差し込みができなくなった位置が油面レベルを測定する位置として設計される。
【0021】
ゲージ本体19がガイドチューブ18の差込口22に差し込まれた状態では、封止部20bの凸部20bAの外周面が差込口22の内周面23に密接し、差込口22を封止する。
【0022】
また、封止材20は、第1通路形成部30と第2通路形成部31とを備える。第1通路形成部30は、本体部20aの外周面に切り込み形成されている。第1通路形成部30はゲージ本体19に作用する力によって開閉する弁の役割を有する。第1通路形成部30は、封止材20に作用するオイルレベルゲージ17の引き抜きに伴う外力によって変形する形状である。第1通路形成部30は線状の切り込みで形成されるため、引き抜きに伴う外力が働いていない場合は弾性体の弾性力によって閉じている。
【0023】
第1通路形成部30の切れ目は、本体部20aの周方向へ直線状に延びる。第1通路形成部30の切り込み方向は、本体部20aの径方向である。なお、本体部20aの径方向は、本体部20aの外周面と、封止材20の中心軸線L1とを結ぶ直線の延びる方向である。第1通路形成部30において、切り込み方向の一端は本体部20aの外周面に位置し、切り込み方向の他端は封止材20の中心軸線L1よりも外周面寄りに位置する。
【0024】
第1通路形成部30は、封止材20の軸方向において当接面20dよりも一端寄りにある。したがって、封止材20が差込口22に差し込まれ、当接面20dが係止面18aに当接した状態では、第1通路形成部30は係止面18aよりも高い位置にある。なお、第1通路形成部30は、係止面18aから60mm以上の高さであることが好ましい。係止面18aは水や異物が堆積しやすい堆積面でもある。第1通路形成部30が係止面18aから60mm以上の高さに設置されることで、係止面18aに堆積した水や異物の吸い込みを抑制しやすくなる。
【0025】
第2通路形成部31は、本体部20aと封止部20bに亘って設けられ、封止材20の軸方向に沿って設けられている。第2通路形成部31は、封止材20にドリル等の穴加工を施して形成される。第2通路形成部31の一端は、第1通路形成部30の切り込み方向他端と繋がっている。第2通路形成部31の他端は、封止部20bの先端に開口している。第2通路形成部31の直径は外力の作用に伴って封止材20が変形したとしても通気ができる大きさである。第2通路形成部31の直径は、5mm程度が好ましい。第1通路形成部30が開口した状態で第2通路形成部31と連通した状態では、開口した第1通路形成部30と第2通路形成部31とで通気経路33(図4(b)参照)が形成される。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず、オイルレベルゲージ17を引き抜かない場合について説明する。
図3(a)及び図3(b)に示すように、第1通路形成部30は閉じているため、大気とオイル室16とが連通しない。そのため、オイル室16が負圧であっても、閉じた状態にある第1通路形成部30によって水や異物は堰き止められる。また、オイル室16が負圧である場合、第1通路形成部30を閉じる方向に、大気圧とオイル室16内部との圧力差によって生じる力が第1通路形成部30の切り込みを塞ぐよう作用する。そのため、第1通路形成部30は閉じている。
【0027】
次に、オイルレベルゲージ17を引き抜く場合について説明する。オイルレベルゲージ17の引き抜きによって外力Fがはたらくと、図4(a)及び図4(b)に示すように、外力Fによって封止材20が軸方向に変形する。図4(a)に示すように、第1通路形成部30は横長楕円形状に変形して開口する。図4(b)に示すように、開口した第1通路形成部30は第2通路形成部31と連通するため、大気とオイル室16とが連通した通気経路33が形成される。通気経路33によって、オイル室16は大気開放されるため、オイル室16の負圧が解消される。
【0028】
また、オイルレベルゲージ17の引き抜きに伴う外力Fが作用しなくなると、封止材20は弾性力により、元の形状に戻り、第1通路形成部30は閉じられる。そのため、大気とオイル室とが再び連通しない状態となる。よって、封止材20が引き抜かれず、差込口22を封止している状態では再びオイル室16が負圧になっても、水や異物の侵入を抑制できる。
【0029】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)オイルレベルゲージ17は、第1通路形成部30と、第1通路形成部30の一端と繋がっている第2通路形成部31を封止材20に備える。封止材20にオイルレベルゲージ17の引き抜きによる外力Fが作用していない場合、第1通路形成部30は閉じ、オイル室16が負圧であった場合でも、オイル室16への水や異物の吸い込みを抑制できる。一方、オイルレベルゲージ17の引き抜きに伴う外力Fが作用するときは、第1通路形成部30が外力Fによって変形し、第2通路形成部31と連通することで通気経路33を形成し、オイル室16の負圧を解消することができる。その結果、オイルレベルゲージ17が引き抜きやすくなる。また、オイルレベルゲージ17の封止材20全体を差込口22から引き抜かなくても、封止材20を変形させるだけの外力Fが作用すれば通気経路33が形成されるため、任意でオイル室16の負圧を開放できる。
【0030】
(2)オイルレベルゲージ17をガイドチューブ18に設置した状態では、第1通路形成部30は、ガイドチューブ18の係止面18aよりも高い位置に設置されるように封止材20に形成されている。これにより、第1通路形成部30が開口したとき、係止面18aに堆積した水や異物がオイル室16への吸い込まれることを抑制できる。
【0031】
(3)第1通路形成部30は、封止材20の周方向へ直線状に延びるように形成されている。これにより、オイルレベルゲージ17を引き抜いたときに、封止材20の軸方向に作用する外力Fに対して、第1通路形成部30が開かれやすい。
【0032】
(4)第1通路形成部30は、線状の切り込みである。これにより、封止材20に外力Fが作用しない状態では、第1通路形成部30が隙間なく閉じやすい。
(5)第2通路形成部31は、蛇行せずに直線状に延びている。これにより、封止材20の製作時に第2通路形成部31を形成しやすいだけでなく、引き抜きに伴う外力Fによる第2通路形成部31の変形を最小限に抑えることができる。
【0033】
(6)封止材20はゴム等の弾性体で製作されている。これにより、第1通路形成部30の機能である、引き抜きに伴う外力Fによって開き、外力Fが作用していない時は閉じるという変形特性を簡単な構造で製作できる。
【0034】
(第2の実施形態)
次に、産業車両のオイルレベルゲージを具現化した第2の実施形態を図5にしたがって説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態の第2通路形成部を変更したのみの構成であるため、同様の部分についてはその詳細な説明を省略する。
【0035】
図5に示すように、第2通路形成部40は、封止材20の軸方向に沿って封止部20bの外周面に凹設された通気溝41と、通気溝41の延在方向一端と第1通路形成部30の切り込み方向他端とを繋ぐ連通路42と、から構成されている。連通路42は、第1通路形成部30の切り込み方向他端と通気溝41の一端とを繋ぐように封止材20の軸方向に沿って中心軸線L1側から外周面に向かって延在している。連通路42の直径は、オイルレベルゲージ17の引き抜きによる外力の作用に伴って封止材20が変形したとしても、通気ができる大きさである。
【0036】
第2の実施形態では、オイルレベルゲージ17を引き抜く外力によって、第1通路形成部30が開口することは第1の実施形態と同様である。開口した第1通路形成部30は連通路42と繋がり、連通路42と繋がっている通気溝41によって通気経路が形成される。オイル室16は通気経路によって大気開放されるため、第1の実施形態と同様、オイル室16の負圧を解消することができる。
【0037】
なお、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
○ 実施形態では、オイルレベルゲージ17は、エンジン6のシリンダブロック及びトランスミッション9のケースに取り付けられたガイドチューブ18に差し込まれるとしたが、これに限らない。例えば、オイルレベルゲージ17は、ガイドチューブ18ではなく、エンジン6のシリンダブロック及びトランスミッション9のケースに形成された差込口22に直接差し込まれていてもよい。
【0038】
○ オイルレベルゲージ17は実施形態として挙げたエンジン6及びトランスミッション9の油面レベル測定用に限らず、パワーステアリング油、ブレーキ油等のリザーバタンクでの油面レベル測定用に使用してもよい。
【0039】
図6(a)及び図6(b)に示すように、第1通路形成部30は、引き抜きに伴う外力が作用していないとき、切り込み方向一端が封止部20bの外周面で開口していても、切り込み方向他端が閉じている形状であってもよい。
【0040】
図7(a)及び図7(b)に示すように、第1通路形成部30は、封止材20の外周面における切り込みの形状が楕円形状であってもよい。これにより、第1通路形成部30の切り込み方向一端側での応力集中を緩和できるため、切り込み端部における亀裂の進展を抑制しオイルレベルゲージ17の寿命を延ばすことができる。
【0041】
○ 封止材20の形状は、円筒形状に限らず、例えば三角筒形状や四角筒形状でもよい。これにより、オイルレベルゲージ17を差込口22に差し込む軸まわりの向きを揃えることができ、第1通路形成部30の向きを設計時に望んだ方向にすることができる。
【0042】
図3(a)、図3(b)、図4(a)、図4(b)において、第2通路形成部31は封止材20の軸方向に沿って直線状に延びるが、第1通路形成部30が開口したときに通気経路33を形成できれば、第2通路形成部31の形状は変更してもよく、例えば、第2通路形成部31は、封止材20の軸方向に沿って曲がっていてもよい。
【0043】
○ 第1の実施形態では、第1通路形成部30は、オイルレベルゲージ17を引き抜くときに作用する外力Fで開口する形状としたが、第1通路形成部30は、引き抜きに伴うせん断力やねじりによる力によって開口する形状としてもよい。
【0044】
○ 本発明を利用する産業車両としては、フォークリフトに限らず、例えば無人搬送車やフォークローダ等の特殊自動車等に利用されてもよい。
以下の技術的思想(発明)は前記実施形態から把握できる。
【0045】
(1)請求項1又は請求項2に記載のオイルレベルゲージの構成を備えた液面レベル測定器具。
(2)前記第1通路形成部は直線状に延びるオイルレベルゲージ。
【0046】
(3)前記第2通路形成部は直線状に延びるオイルレベルゲージ。
【符号の説明】
【0047】
1…産業車両としてのフォークリフト、16…オイル室、17…オイルレベルゲージ、19…ゲージ本体、20…封止材、20d…当接面、22…差込口、30…第1通路形成部、31,40…第2通路形成部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8