(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
n層の前記内部空間に対して、前記検出部及び前記検出ガス供給部が交互に、且つ連続的に取り付けられる場合、一層あたりの漏れ量の規格である規格値の(n−1)倍の値を検出基準値として設定する、請求項8に記載の蓄電モジュールの検査方法。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態が詳細に説明される。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号が用いられ、重複する説明は省略される。図面にはXYZ直交座標系が示される。
【0022】
図1は、蓄電モジュールを備える蓄電装置の一実施形態を示す概略断面図である。同図に示す蓄電装置10は、例えばフォークリフト、ハイブリッド自動車、電気自動車等の各種車両のバッテリとして用いられる。蓄電装置10は、複数(本実施形態では3つ)の蓄電モジュール12を備えるが、単一の蓄電モジュール12を備えてもよい。蓄電モジュール12は例えばバイポーラ電池である。蓄電モジュール12は、例えばニッケル水素二次電池、リチウムイオン二次電池等の二次電池であるが、電気二重層キャパシタであってもよい。以下の説明では、ニッケル水素二次電池を例示する。
【0023】
複数の蓄電モジュール12は、例えば金属板等の導電板14を介して積層され得る。積層方向から見て、蓄電モジュール12及び導電板14は例えば矩形形状を有する。各蓄電モジュール12の詳細については後述する。導電板14は、蓄電モジュール12の積層方向(Z方向)において両端に位置する蓄電モジュール12の外側にもそれぞれ配置される。導電板14は、隣り合う蓄電モジュール12と電気的に接続される。これにより、複数の蓄電モジュール12が積層方向に直列に接続される。積層方向において、一端に位置する導電板14には正極端子24が接続されており、他端に位置する導電板14には負極端子26が接続されている。正極端子24は、接続される導電板14と一体であってもよい。負極端子26は、接続される導電板14と一体であってもよい。正極端子24及び負極端子26は、積層方向に交差する方向(X方向)に延在している。これらの正極端子24及び負極端子26により、蓄電装置10の充放電を実施できる。
【0024】
導電板14は、蓄電モジュール12において発生した熱を放出するための放熱板としても機能し得る。導電板14の内部に設けられた複数の空隙14aを空気等の冷媒が通過することにより、蓄電モジュール12からの熱を効率的に外部に放出できる。各空隙14aは例えば積層方向に交差する方向(Y方向)に延在する。積層方向から見て、導電板14は、蓄電モジュール12よりも小さいが、蓄電モジュール12と同じかそれより大きくてもよい。
【0025】
蓄電装置10は、交互に積層された蓄電モジュール12及び導電板14を積層方向に拘束する拘束部材16を備え得る。拘束部材16は、一対の拘束プレート16A,16Bと、拘束プレート16A,16B同士を連結する連結部材(ボルト18及びナット20)とを備える。各拘束プレート16A,16Bと導電板14との間には、例えば樹脂フィルム等の絶縁フィルム22が配置される。各拘束プレート16A,16Bは、例えば鉄等の金属によって構成されている。積層方向から見て、各拘束プレート16A,16B及び絶縁フィルム22は例えば矩形形状を有する。絶縁フィルム22は導電板14よりも大きくなっており、各拘束プレート16A,16Bは、蓄電モジュール12よりも大きくなっている。積層方向から見て、拘束プレート16Aの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔16A1が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。同様に、積層方向から見て、拘束プレート16Bの縁部には、ボルト18の軸部を挿通させる挿通孔16B1が蓄電モジュール12よりも外側となる位置に設けられている。積層方向から見て各拘束プレート16A,16Bが矩形形状を有している場合、挿通孔16A1及び挿通孔16B1は、拘束プレート16A,16Bの角部に位置する。
【0026】
一方の拘束プレート16Aは、負極端子26に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられ、他方の拘束プレート16Bは、正極端子24に接続された導電板14に絶縁フィルム22を介して突き当てられている。ボルト18は、例えば一方の拘束プレート16A側から他方の拘束プレート16B側に向かって挿通孔16A1に通され、他方の拘束プレート16Bから突出するボルト18の先端には、ナット20が螺合されている。これにより、絶縁フィルム22、導電板14及び蓄電モジュール12が挟持されてユニット化されると共に、積層方向に拘束荷重が付加される。
【0027】
図2は、
図1の蓄電装置を構成する蓄電モジュールを示す概略断面図である。同図に示す蓄電モジュール12は、複数のバイポーラ電極32が積層された積層体30を備える。バイポーラ電極32の積層方向から見て積層体30は例えば矩形形状を有する。隣り合うバイポーラ電極32間にはセパレータ40が配置され得る。バイポーラ電極32は、電極板34と、電極板34の一方面に設けられた正極36と、電極板34の他方面に設けられた負極38とを含む。積層体30において、一のバイポーラ電極32の正極36は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う一方のバイポーラ電極32の負極38と対向し、一のバイポーラ電極32の負極38は、セパレータ40を挟んで積層方向に隣り合う他方のバイポーラ電極32の正極36と対向している。積層方向において、積層体30の一端には、内側面に負極38が配置された電極板34(負極側終端電極)が配置され、他端には、内側面に正極36が配置された電極板34(正極側終端電極)が配置される。負極側終端電極の負極38は、セパレータ40を介して最上層のバイポーラ電極32の正極36と対向している。正極側終端電極の正極36は、セパレータ40を介して最下層のバイポーラ電極32の負極38と対向している。これら終端電極の電極板34はそれぞれ隣り合う導電板14(
図1参照)に接続される。
【0028】
蓄電モジュール12は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する積層体30の側面30aにおいて電極板34の縁部34aを保持する枠体50を備える。枠体50は、積層体30の側面30aを取り囲むように構成されている。側面50sは、バイポーラ電極32の積層方向から見て例えば矩形形状を有している。この場合、側面50sは4つの矩形面から構成される。枠体50は、電極板34の縁部34aを保持する第1樹脂部52と、積層方向から見て第1樹脂部52の周囲に設けられる第2樹脂部54とを備え得る。
【0029】
枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の一方面(正極36が形成される面)から縁部34aにおける電極板34の端面にわたって設けられている。バイポーラ電極32の積層方向から見て、各第1樹脂部52は、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34a全周にわたって設けられている。隣り合う第1樹脂部52同士は、各バイポーラ電極32の電極板34の他方面(負極38が形成される面)の外側に延在する面において溶着している。その結果、第1樹脂部52には、各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aが埋没して保持されている。各バイポーラ電極32の電極板34の縁部34aと同様に、積層体30の両端に配置された電極板34の縁部34aも第1樹脂部52に埋没した状態で保持されている。これにより、積層方向に隣り合う電極板34,34間には、当該電極板34,34と第1樹脂部52とによって気密に仕切られた内部空間Vが形成されている。当該内部空間Vには、例えば水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液からなる電解液(不図示)が収容されている。
【0030】
枠体50の外壁を構成する第2樹脂部54は、バイポーラ電極32の積層方向において積層体30の全長にわたって延在する筒状部である。第2樹脂部54は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する第1樹脂部52の外側面を覆っている。第2樹脂部54は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する内側面において第1樹脂部52の外側面に溶着されている。
【0031】
電極板34は、例えばニッケルからなる矩形の金属箔である。電極板34の縁部34aは、正極活物質及び負極活物質の塗工されない未塗工領域となっており、当該未塗工領域が枠体50の内壁を構成する第1樹脂部52に埋没して保持される領域となっている。正極36を構成する正極活物質としては、例えば水酸化ニッケルが挙げられる。負極38を構成する負極活物質としては、例えば水素吸蔵合金が挙げられる。電極板34の他方面における負極38の形成領域は、電極板34の一方面における正極36の形成領域に対して一回り大きくなっている。
【0032】
セパレータ40は、例えばシート状に形成されている。セパレータ40を形成する材料としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂からなる多孔質フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、メチルセルロース等からなる織布又は不織布等が例示される。また、セパレータ40は、フッ化ビニリデン樹脂化合物で補強されたものであってもよい。なお、セパレータ40は、シート状に限られず、袋状のものを用いてもよい。
【0033】
枠体50(第1樹脂部52及び第2樹脂部54)は、例えば絶縁性の樹脂を用いた射出成形によって矩形の筒状に形成されている。枠体50を構成する樹脂材料としては、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等が挙げられる。
【0034】
図3は、
図2の蓄電モジュールを示す概略斜視図である。
図4は、
図3の蓄電モジュールの一部を拡大した平面図である。
図3及び
図4に示されるように、蓄電モジュール12の枠体50は、バイポーラ電極32の積層方向に延在する側面50sを有する。側面50sはバイポーラ電極32の積層方向から見て外側に位置する面である。よって、第2樹脂部54が枠体50の側面50sを有することになる。
【0035】
枠体50の側面50sは、本体領域50s1と突出領域50s2とを有している。本体領域50s1と突出領域50s2の形状はそれぞれ例えば矩形である。本体領域50s1には、枠体50内に電解液を注入するための第1注液口50Aa及び第2注液口50Baが設けられている。注液口50Aa,50Baは、電解液の注入後にシール材(不図示)によって封止される。注液口50Aa,50Baの形状は例えば矩形であるが、円形等の他の形状であってもよい。注液口50Aa,50Baはバイポーラ電極32の積層方向が長手方向となるように延在している。注液口50Aa,50Baは、バイポーラ電極32の積層方向から見た側面50sの矩形形状の一辺において、互いに離間した位置に設けられるが、設ける位置は特に限定されない。本体領域50s1は、バイポーラ電極32の積層方向に交差する方向(Y方向)に延在する縁Eを有している。突出領域50s2は、バイポーラ電極32の積層方向において注液口50Aa,50Baから離れるように縁Eから突出している。本実施形態では、一対の突出領域50s2が注液口50Aa,50Baを挟むように配置されている。突出領域50s2は、縁Eに沿って注液口50Aa,50Baの全長を越えて注液口50Aa,50Baの両外側にはみ出る長さで設けられている。
【0036】
図4に示されるように、第1注液口50Aaは、複数の第1樹脂部52の何れかに設けられた第1開口52Aaと、第2樹脂部54に設けられた第2開口54Aaとを有し得る。第1開口52Aaは、蓄電モジュール12の内部空間、及び第2開口54Aaと連通している。第1開口52Aaは、例えば、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間Vと連通している(
図2参照)。第1注液口50Aaは、複数の第1開口52Aaを有している。第2樹脂部54には、複数の第1開口52Aaを覆うように広がる単一の第2開口54Aaが設けられている。一つの第1樹脂部52に対して一つ又は複数の第1開口52Aaが設けられてもよいし、隣り合う第1樹脂部52同士の境界部分に一つ又は複数の第1開口52Aaが設けられてもよい。各第1開口52Aaの形状は例えば矩形であり、第2開口54Aaの形状は例えば矩形である。ただし、各開口の形状は特に限定されない。
【0037】
第2注液口50Baは、複数の第1樹脂部52のうち、第1開口52Aaとは異なる第1樹脂部52に設けられた第3開口52Baと、第2樹脂部54のうち、第2開口54Aaとは異なる箇所に設けられた第4開口54Baとを有し得る。第3開口52Baは、蓄電モジュール12の内部空間、及び第4開口54Baと連通している。第3開口52Baは、例えば、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間Vと連通している(
図2参照)。第2注液口50Baは、複数の第3開口52Baを有している。第2樹脂部54には、複数の第3開口52Baを覆うように広がる単一の第4開口54Baが設けられている。一つの第1樹脂部52に対して一つ又は複数の第3開口52Baが設けられてもよいし、隣り合う第1樹脂部52同士の境界部分に一つ又は複数の第3開口52Baが設けられてもよい。各第3開口52Baの形状は例えば矩形であり、第4開口54Baの形状は例えば矩形である。ただし、各開口の形状は特に限定されない。
【0038】
蓄電モジュール12の内部空間のうち、第1注液口50Aaに連通された部分と、第2注液口50Baに連通された部分との間は、封止されている。蓄電モジュール12の内部には、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間Vが積層方向に複数形成されており、各内部空間Vは(注液口50Aa,50Baが封止された後)、互いに独立して気密性が確保された状態にある(
図2参照)。これらの内部空間Vのうち、第1注液口50Aaに対応する内部空間Vに対しては、それぞれ第1開口52Aaが形成される。これによって、第1注液口50Aaに対応する内部空間Vは、第1開口52Aa及び第2開口54Aaを介して互いに連通された状態となる。一方、内部空間Vのうち、第2注液口50Baに対応する内部空間Vに対しては、それぞれ第3開口52Baが形成される。これによって、第2注液口50Baに対応する内部空間Vは、第3開口52Ba及び第4開口54Baを介して互いに連通された状態となる。第1注液口50Aaと第2注液口50Baとは、互いに連通しておらず、互いに封止された状態にある。従って、第1注液口50Aaに対応する内部空間V(第1注液口50Aaに連通された部分)と、第2注液口50Baに対応する内部空間V(第2注液口50Baに連通された部分)との間は、互いに連通しておらず、互いに封止された状態にある。本実施形態では、積層方向に積層される複数の第1樹脂部52に対して、第1開口52Aaと第3開口52Baが、交互に形成されている。これにより、第1注液口50Aaに対応する内部空間V(第1注液口50Aaに連通された部分)と、第2注液口50Baに対応する内部空間V(第2注液口50Baに連通された部分)とは、積層方向において交互に存在している。
【0039】
次に、
図5及び
図6を参照して、本実施形態に係る蓄電モジュールの検査方法について説明する。
図5は、蓄電モジュールの検査方法の内容を示すフロー図である。
図6は、
図5に示す検査工程の内容を説明するための概念図である。この検査方法では、蓄電モジュール12の気密性が検査される。この検査方法は、蓄電モジュール12を準備する準備工程S10と、蓄電モジュール12の気密性を検査する検査工程S20と、を備える。準備工程S10では、上述の
図3及び
図4で説明したような、枠体50に第1注液口50Aa及び第2注液口50Baが形成された状態の蓄電モジュール12が準備される。
【0040】
検査工程S20では、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baに対する流体の流入による蓄電モジュール12の厚みの変化に基づいて、蓄電モジュール12の気密性の検査が行われる。また、検査工程S20では、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baに対して流体を流入させて、厚みを増加させた蓄電モジュール12と、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baの何れか一方から流体を流出させて厚みを減少させた蓄電モジュール12と、の厚みの差を測定することによって、蓄電モジュール12の気密性の検査が行われる。すなわち、検査工程S20では、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baの何れか一方のみから流体を封入させた状態の蓄電モジュール12の厚みに基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査する。
【0041】
なお、検査工程S20の手順を説明するために、
図6のような模式図を示す。
図6では、四つの積層ユニット60A,60B,60C,60Dが示されている。積層ユニット60A,60B,60C,60Dは、それぞれ一つの内部空間Vを有する単位ユニットである。第1注液口50Aa及び第2注液口50Baが封止された後、積層ユニット60A,60B,60C,60Dは、他の積層ユニットの内部空間Vとは連通することなく分断され、気密性が独立して確保された状態となる。第1注液口50Aaを封止する前においては、積層ユニット60A及び積層ユニット60Cに対して第1開口52Aaが形成される。すなわち、積層ユニット60A及び積層ユニット60Cは、第1注液口50Aaと連通される。第2注液口50Baを封止する前においては、積層ユニット60B及び積層ユニット60Dに対して第3開口52Baが形成される。すなわち、積層ユニット60B及び積層ユニット60Dは、第2注液口50Baと連通される。なお、
図6では、積層ユニット60A,60B,60C,60Dのうち、ガス(流体)が封入されて厚みが増加したものには、ハッチングが付されている。
【0042】
検査工程S20の初期段階においては、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baは大気解放されており、各積層ユニット60A,60B,60C,60Dにはガスが封入されていない状態である(
図6(a)参照)。この状態では、蓄電モジュール12の全体の厚みは、厚みt0となる。
【0043】
検査工程S20では、まず、両方の注液口50Aa,50Baからガスが封入される(ステップS1)。これによって、積層ユニット60A,60B,60C,60Dの全てにガスが封入することにより、それぞれの厚みが増加する(
図6(b)参照)。このときの蓄電モジュール12の厚みを測定する(ステップS2)。このときの蓄電モジュール12は、厚みt1(厚みt1>厚みt0)となる。
【0044】
次に、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baの一方を大気開放する(ステップS3)。これによって、大気開放された注液口に対応する積層ユニットから、封入されたガスが流出する。従って、積層ユニットの厚みが薄くなる。
図6(c)では、第1注液口50Aaを大気開放することで、積層ユニット60A,60Cの厚みが薄くなり、積層ユニット60B,60Dの厚みは厚いままの状態で維持される。
【0045】
次に、一部の積層ユニットにのみガスが封入された状態の蓄電モジュール12の厚みを測定する(ステップS4)。このときの蓄電モジュール12の厚みは、厚みt2(厚みt1>厚みt2>厚みt0)となる。蓄電モジュール12の気密性に問題がない場合、「厚みt1−厚みt2」は、大気解放した方の注液口に対応する積層ユニットに封入されていたガスが抜けた分の厚みとなる。また、当該値は、検査前に予め準備しておくことができる。従って、実際に測定した厚みt2が予め準備していた値よりも小さい場合、すなわち、実際に測定した「厚みt1−厚みt2」の値が準備していた値より大きい場合、大気解放した注液口に対応する積層ユニット以外からガスが漏れていることを知ることができる。
【0046】
例えば、大気開放されていない方の注液口に対応する積層ユニットと外部との間の気密性に問題がある場合、当該積層ユニット内の気体が外部へ漏れるため、実際に測定した「厚みt1−厚みt2」の値は、準備していた値よりも大きくなる(あるいは、厚みt2が準備していた値よりも小さくなる)。または、第1注液口50Aaに対応する積層ユニットと第2注液口50Baに対応する積層ユニットとの間の気密性に問題がある場合、大気開放されていない方の当該積層ユニット内の気体が、大気開放された方の積層ユニットを介して外部へ漏れるため、実際に測定した「厚みt1−厚みt2」の値は、準備していた値よりも大きくなる(あるいは、厚みt2が準備していた値よりも小さくなる)。
【0047】
次に、ステップS3で大気解放した方の注液口にガスを封入する(ステップS5)。これにより、全ての積層ユニットに再びガスが封入した状態となる。当該状態の蓄電モジュール12の厚みを測定する(ステップS6)。そして、ステップS3で大気解放しなかった方の他方の注液口を大気解放する(ステップS7)。次に、他方の注液口に対応する積層ユニットが薄くなった状態の積層ユニットの厚みを測定する(ステップS8)。なお、ステップS7及びステップS8は、大気解放する開口部が異なる点以外は、ステップS3及びステップS4と同様の処理がなされる。ステップS8の処理が終了したら、検査工程S20が終了し、
図5に示す検査が終了する。このとき、蓄電モジュール12の気密性に問題がある場合は、当該蓄電モジュール12を製造ラインから外してよい。一方、気密性に問題がない蓄電モジュール12については、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baから電解液が封入され、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baが封止される。
【0048】
次に、本実施形態に係る蓄電モジュール12の検査方法の作用・効果について説明する。
【0049】
本実施形態に係る蓄電モジュール12の検査方法において、蓄電モジュール12の準備工程S10にて準備される蓄電モジュール12では、枠体50に対し、当該枠体50内に電解液を注入するための第1注液口50Aa及び第2注液口50Baが少なくとも設けられる。また、第1注液口50Aaは、複数の第1樹脂部52のうちの何れかに設けられた第1開口52Aaと、第2樹脂部54に設けられた第2開口54Aaと、を有している。第1開口52Aaは、蓄電モジュール12の内部空間V、及び第2開口54Aaと連通している。このような構成により、蓄電モジュール12の内部空間の一部は、第1注液口50Aaと連通した状態となる。一方、第2注液口50Baは、複数の第1樹脂部52のうち、第1開口52Aaとは異なる第1樹脂部52に設けられた第3開口52Baと、第2樹脂部54のうち、第2開口54Aaとは異なる箇所に設けられた第4開口54Baと、を有している。第3開口52Baは、蓄電モジュール12の内部空間V、及び第4開口54Baと連通している。このような構成により、蓄電モジュール12の内部空間のうち、第1注液口50Aaと連通していない他の部分は、第2注液口50Baと連通した状態となる。このような第1注液口50Aa及び第2注液口50Baが設けられた蓄電モジュール12の内部空間のうち、第1注液口50Aaに連通された部分と、第2注液口50Baに連通された部分との間は封止されている。従って、第1注液口50Aaから流体を流入及び流出させた場合は、気密性に問題が無ければ、蓄電モジュール12のうち、第1注液口50Aaに対応する部分の厚みのみが所定量だけ変化する。同様に、第2注液口50Baから流体を流入及び流出させた場合は、気密性に問題が無ければ、蓄電モジュール12のうち、第2注液口50Baに対応する部分の厚みのみが所定量だけ変化する。このような状態の蓄電モジュール12を準備し、当該準備された蓄電モジュール12の気密性を検査する検査工程S20が実行される。検査工程S20では、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baに対する流体の流入による蓄電モジュール12の厚みの変化に基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査する。前述のように、気密性に問題がない場合は、第1注液口50Aaに対する流体の流入により、蓄電モジュール12のうち第1注液口50Aaに対応する部分の厚みのみが所定量だけ変化し、第2注液口50Baに対する流体の流入により、蓄電モジュール12のうち第2注液口50Baに対応する部分の厚みのみが所定量だけ変化する関係が成り立つ。すなわち、当該関係が成り立っていない場合は、蓄電モジュール12の気密性に問題があることを把握することができる。このように、複雑な装置や検査方法を用いなくとも、蓄電モジュール12の厚みの変化に基づいて簡単に気密性の検査を行うことができる。以上により、蓄電モジュール12の気密性を簡単に検査できる。
【0050】
検査工程S20では、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baに対して流体を流入させて蓄電モジュール12の厚みを増加させ、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baの何れか一方から流体を流出させて蓄電モジュール12の厚みを減少させた後、当該蓄電モジュール12の厚みに基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査する。蓄電モジュール12の気密性に問題が無い場合は、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baに対して流体を流入させた後、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baの何れか一方から流体を流出させると、当該流出させた方の注液口に対応する部分の厚みの減少分のみが、蓄電モジュール12の厚みの減少分となる関係が成り立つ。すなわち、当該関係が成り立っていない場合は、蓄電モジュール12の気密性に問題があることを把握することができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明されたが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0052】
例えば、蓄電装置の構成は上記
図1及び
図2に示された構成に限定されない。すなわち、本発明の製造構造を実施できる構成を有する限り、適宜構成を変更してもよい。
【0053】
例えば、上述の工程に、次のような検査工程を追加してもよい。例えば、検査工程S20では、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baに対して流体を流入させることで蓄電モジュール12の厚みを増加させ、当該蓄電モジュール12の厚みを測定することによって、蓄電モジュール12の気密性を検査してよい。蓄電モジュール12から外部に流体が漏れた場合は、第1注液口50Aa及び第2注液口50Baに対して流体を流入させたときに、蓄電モジュール12が所定量まで増加しない。従って、蓄電モジュール12の厚みを測定することで、蓄電モジュールの気密性に問題があることを把握することができる。
【0054】
また、注液口は上述の実施形態に示すように二つに限定されず、三つ以上設けてもよい。
【0055】
また、検査方法は上述の実施形態に限定されず、以下のような検査方法を採用してもよい。
【0056】
まず、
図7〜
図10を参照して変形例に係る蓄電モジュールの構成について説明する。
図7は、
図2の蓄電モジュールを示す概略斜視図である。
図8は、
図7の蓄電モジュールの一部(1つの開口50aの周辺領域)を拡大した平面図である。
図7及び
図8に示されるように、蓄電モジュール12の枠体50は、積層方向D1に延在する側面50sを有する。側面50sは積層方向D1から見て外側に位置する面である。よって、第2樹脂部54が枠体50の側面50sを有することになる。
【0057】
枠体50の側面50sは、本体領域50s1と突出領域50s2とを有している。本体領域50s1と突出領域50s2の形状はそれぞれ例えば矩形である。本体領域50s1には、開口50aが設けられている。開口50aは、各内部空間Vに電解液を注入するための注液口として機能すると共に、電解液が注入された後は、各内部空間V内の圧力を調整するための圧力調整弁160(詳しくは後述)の接続口として機能する。本実施形態では、枠体50は複数(ここでは4つ)の開口50a(開口50a1〜50a4)を有している。具体的には、枠体50の長手方向(X方向)に対向する各側面50sに、2つずつの開口50aが設けられている。
【0058】
本体領域50s1は、バイポーラ電極32の積層方向D1に交差する方向(Y方向)に延在する縁Eを有している。突出領域50s2は、バイポーラ電極32の積層方向D1において開口50aから離れるように縁Eから突出している。本実施形態では、一対の突出領域50s2が開口50aを挟むように配置されている。突出領域50s2は、縁Eに沿って開口50aの全長を越えて開口50aの両外側にはみ出る長さで設けられている。
【0059】
図8に示されるように、1つの開口50aは、第1樹脂部52に設けられた第1開口52aと、第2樹脂部54に設けられた第2開口54aとを有し得る。各第1開口52aは、隣り合うバイポーラ電極32間の内部空間V及び第2開口54aと連通している。第1樹脂部52には複数の第1開口52aが設けられており、第2樹脂部54には、複数の第1開口52aを覆うように広がる単一の第2開口54aが設けられている。第1開口52aは各第1樹脂部52に設けられてもよいし、隣り合う第1樹脂部52間に設けられてもよい。各第1開口52a及び第2開口54aの形状は例えば矩形である。
【0060】
本実施形態では、蓄電モジュール12には、56個の内部空間Vが形成されており、1つの開口50aは、14個の内部空間Vと連通している。すなわち、各内部空間Vは、4つの開口50a1〜50a4のうちのいずれか1つと連通している。
図8に示されるように、1つの開口50a(ここでは一例として開口50a1)において、14個の第1開口52aが、枠体50の短手方向(Y方向)の2列に分かれて配置されている。各列においては、7つの第1開口52aが積層方向D1に沿って配置されている。14個の第1開口52aは、開口50aの開口方向(X方向)から見て、第2開口54aの中心P1に対して、点対称に配置されている。
【0061】
例えば、各開口50aにおける複数の第1開口52aの配置(すなわち、各開口50aに連通する内部空間Vの組を異ならせる配置構成)は、以下のようにして決定されてもよい。以下の説明では、便宜上、56個の内部空間Vを識別するために、積層体30の他端(
図2の図示下側)から一端(
図2の図示上側)へと向かう順に、内部空間V1〜V56と表記する。
【0062】
例えば、開口50a1において、第1列(
図8の図示左側の列。以下同じ。)に配置される7つの第1開口52aは、積層体30の他端側から8段飛ばしに、内部空間V1,V9,V17,V25,V33,V41,V49と連通するように設けられ、第2列(
図8の図示右側の列。以下同じ。)に配置される7つの第1開口52aは、積層体30の一端側から8段飛ばしに、内部空間V56,V48,V40,V32,V24,V16,V8と連通するように設けられる。ここで、第1開口52aは、当該第1開口52aと連通する内部空間Vに対応する高さ位置(積層方向D1における位置)に設けられるので、上記配置によれば、上述した点対称の配置が実現される。
【0063】
開口50a2〜50a4についても、例えば、開口50a1を基準として、連通される内部空間Vのセットを1段ずつずらすことにより、開口50a1と同様に点対称の配置を実現できる。具体的には、開口50a2においては、第1列に配置される7つの第1開口52aは、内部空間V2,V10,V18,V26,V34,V42,V50と連通するように設けられ、第2列に配置される7つの第1開口52aは、内部空間V55,V47,V39,V31,V23,V15,V7と連通するように設けられればよい。開口50a3においては、第1列に配置される7つの第1開口52aは、内部空間V3,V11,V19,V27,V35,V43,V51と連通するように設けられ、第2列に配置される7つの第1開口52aは、内部空間V54,V46,V38,V30,V22,V14,V6と連通するように設けられればよい。開口50a4においては、第1列に配置される7つの第1開口52aは、内部空間V4,V12,V20,V28,V36,V44,V52と連通するように設けられ、第2列に配置される7つの第1開口52aは、内部空間V53,V45,V37,V29,V21,V13,V5と連通するように設けられればよい。
【0064】
以上のような第1開口52aの配置(すなわち、第1開口52aと内部空間Vとの対応付け)によれば、全ての内部空間Vが互いに異なる第1開口52aに連通する構成を実現できると共に、全ての開口50a1〜50a4について上述したような点対称の配置を実現できる。
【0065】
図9は、枠体50の開口50aに接続される圧力調整弁160の分解斜視図である。また、
図10は、圧力調整弁160の構成を示す概略断面図である。具体的には、
図10は、開口50a1の第1列に配置される7つの第1開口52a(内部空間V1,V9,V17,V25,V33,V41,V49と連通する第1開口52a)の断面を含む断面図である。
図9及び
図10に示されるように、圧力調整弁160は、第1ベース部材70と、第2ベース部材80と、弁体90(弾性部材)と、カバー部材150(押圧部材)とを有している。
【0066】
第1ベース部材70は、略直方体状の外形を有しており、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。第1ベース部材70は、開口50aに接続される。具体的には、第1ベース部材70の開口50aに対向する側面71(第1側面)を含む部分72は、第2開口54aに対応する形状を有している。第1ベース部材70は、当該部分72が第2開口54aに挿入された状態で、側面71と第1樹脂部52の側面52sとの接触部分の一部または全部が溶着されることにより、開口50aに対して固定される。側面71と側面52sとの溶着は、例えば熱板溶着、レーザ透過溶着、及び超音波溶着等により行われる。
【0067】
図10に示されるように、第1ベース部材70には、側面71から側面73にかけて貫通する複数(ここでは14個)の第1連通孔74が設けられている。各第1連通孔74は、対応する1つの第1開口52aを介して、1つの内部空間Vと連通している。第1連通孔74は、第1連通孔74の側面71側部分である第1連通部75と、第1連通孔74の側面73側部分である第2連通部76とからなる。
【0068】
第1連通部75は、断面矩形状に形成されている。第1連通部75によって、略直方体状の空間S1が形成されている。第1連通部75の開口50a側の開口端75aは、開口50aと第1ベース部材70との接続方向D2(X方向)から見て、矩形状の第1開口52aを含む大きさに形成されている。一方、第1連通部75の第2連通部76に接続する側の開口端75bは、断面円形状に形成されている。開口端75bの内径は、開口端75aの積層方向D1の幅d1と同一である。
【0069】
第2連通部76は、断面円形状に形成されている。第2連通部76は、第1連通部75の開口端75bから、第2連通部76の側面73側の開口端76aにかけて貫通している。開口端76aは円形状に形成されている。開口端76aの内径d3は、開口端75bの内径(すなわち、開口端75aの積層方向D1の幅d1)よりも大きくされている(d3>d1)。すなわち、第2連通部76によって、開口端75bから開口端76aに向かうにつれて内径が大きくなるテーパ状の空間S2が形成されている。このような第2連通部76は、例えば射出成形等により形成され得る。
【0070】
また、本実施形態では、
図10に示されるように、第1列の7つの第1開口52aに接続される第2連通部76は、開口端75bの中心位置よりも開口端76aの中心位置が上方に位置するように延びている。一方、第2列の7つの第1開口52aに接続される第2連通部76は、開口端75bの中心位置よりも開口端76aの中心位置が下方に位置するように延びている。その結果、複数の開口端76aが側面73の中央位置に寄せられている。
【0071】
第2ベース部材80は、略直方体状の外形を有しており、一方側の側面81において第1ベース部材70の側面73に接合される。側面81と側面73とは、例えば熱板溶着により溶着され得る。なお、本実施形態では、接続方向D2から見て、第2ベース部材80は、第1ベース部材よりも僅かに大きく形成されているが、第2ベース部材80は、第1ベース部材と同じ大きさに形成されてもよいし、第1ベース部材よりも小さく形成されてもよい。
【0072】
図10に示されるように、第2ベース部材80には、側面81から側面82にかけて貫通する複数(ここでは14個)の第2連通孔83が設けられている。第2連通孔83は、断面円形状に形成されている。各第2連通孔83は、対応する1つの第1連通孔74を介して、1つの内部空間Vと連通している。第2連通孔83の第1ベース部材70側の開口端83aの内径は、第1連通孔74の開口端76aの内径d3と一致している。第1ベース部材70と第2ベース部材80とは、接続方向D2から見て互いに対応する開口端76a及び開口端83aが重なるように接合されている。第2連通孔83の弁体90側の開口端83bの内径d4は、開口端83aの内径(すなわち、開口端76aの内径d3)よりも小さくされている(d4<d3)。すなわち、第2連通孔83によって、開口端83aから開口端83bに向かうにつれて内径が小さくなるテーパ状の空間S3が形成されている。このような第2連通孔83は、例えば射出成形等により形成され得る。なお、開口端83aの内径と開口端76aの内径d3とは、一致していなくてもよい。例えば、開口端83aの内径を内径d3よりも小さくした場合には、接合時の位置ずれを許容できる効果を奏し得る。
【0073】
弁体90は、例えばゴム等の弾性部材によって形成されている。弁体90は、例えば直方体状をなしている。弁体90は、第2ベース部材80に設けられた複数の開口端83bを塞ぐように配置されている。
【0074】
カバー部材150は、矩形板状の底壁部101と、底壁部101の縁部に立設された側壁部102と、を有する箱状部材である。カバー部材150は、例えばポリプロピレン(PP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、又は変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)等によって形成されている。底壁部101の内側には、弁体90を位置決めするために凹状に窪んだ溝部103が設けられている。カバー部材150は、溝部103に弁体90を収容すると共に、弁体90を第2ベース部材80の側面82に対して押圧するための押圧部材として機能する。具体的には、
図10に示されるように、カバー部材150の溝部103に弁体90が位置決めされて収容された状態で、側壁部102の端部102aが第2ベース部材80の側面82に対して固定される。端部102aと側面82とを固定する方法は特に限定されないが、例えばレーザ溶着、熱板溶着、及びボルト等の締結部材を用いた締結等を用い得る。例えば、レーザ溶着を用いる場合には、カバー部材150をレーザ透過性樹脂で形成すると共に第2ベース部材80をレーザ吸収性樹脂で形成し、レーザをカバー部材150側から照射することにより、第2ベース部材80におけるカバー部材150との境界部分を溶融して接合することができる。
【0075】
ここで、弁体90の通常時(非圧縮時)の厚さ(X方向の幅)は、溝部103の底面103aから側壁部102の端部102aまでの高さd5よりも大きい。すなわち、高さd5によって、弁体90の圧縮率が規定されている。弁体90の圧縮率は、例えば第2連通孔83内の圧力(すなわち、当該第2連通孔83に連通された内部空間V内の圧力)が予め定められた設定値以上となった場合に、弁体90による当該第2連通孔83の開口端83bの閉塞が解除されるように予め調整される。
【0076】
第2ベース部材80の側面82側には、各開口端83bに対応する溝部84が設けられている。各溝部84は、積層方向D1に直交する方向(X方向及びY方向)に延在するスリット状に形成されている。各溝部84は、積層方向D1及び接続方向D2に直交する方向(Y方向)において、対応する開口端83bよりも外側の位置に設けられている。また、第2ベース部材80には、流通空間S4と外部とを連通させる排気口85が設けられている。本実施形態では、排気口85の外側開口端は、第2ベース部材80の接続方向D2に直交する方向(本実施形態では一例としてY方向)を向く側面86に設けられている。
【0077】
第2ベース部材80には、側面82に対向する方向(X方向)から見て、複数(ここでは7つ)の溝部84と接続され、内部空間Vから放出されたガスを流通させる流通空間S4が画成されている。流通空間S4は、略直方体状に形成されている。流通空間S4は、側面82に対向する方向から見て、積層方向D1に沿って配列された7つの溝部84の外側端部を接続するように、積層方向D1に延在している。複数の溝部84及び流通空間S4は、例えば射出成形等によって形成されている。また、第2ベース部材80には、流通空間S4と外部とを連通させる排気口85が設けられている。本実施形態では、排気口85の外側開口端は、第2ベース部材80の接続方向D2に直交する方向(本実施形態では一例としてY方向)を向く側面86に設けられている。この構成によれば、内部空間Vの圧力の上昇に応じて一の溝部84へと排出されたガスは、複数の溝部84に共通に設けられた流通空間S4に流入し、排気口85から外部に排出される。したがって、内部空間Vで発生したガスを簡易な構成によって適切に外部に排出することができる。
【0078】
次に、
図11〜
図13を参照して、変形例に係る蓄電モジュール12の検査方法について説明する。
図11は、蓄電モジュールの検査方法の内容を示すフロー図である。
図12は、
図11に示す検査工程の内容を説明するための概念図である。
図13は、圧力測定部の取付態様の一例を示す断面図である。この検査方法は、蓄電モジュール12を準備する準備工程S110と、蓄電モジュール12の気密性を検査する検査工程S150と、を備える。検査工程S150は、圧力測定部100及び流体供給部130を準備する測定準備工程S120と、内部空間に対して流体供給部130から流体を供給する流体供給工程S130と、圧力測定部100の測定結果に基づいて気密性を判定する判定工程S140と、を備えている(
図11参照)。
【0079】
準備工程S110では、上述の
図7で説明したような、枠体50に開口50a1〜50a4が形成された状態の蓄電モジュール12に対して、第1ベース部材70を取り付けたものが準備される。
【0080】
測定準備工程S120では、蓄電モジュール12の各内部空間Vに対して、圧力測定部100及び流体供給部130が取り付けられる。圧力測定部100は、取付対象に係る内部空間Vの圧力を測定する。圧力測定部100は、内部空間Vと連通する配管120と、配管120を介して内部空間Vの圧力を測定する圧力計110と、を備える。具体的には、第1ベース部材70の開口端76aに配管120を取り付け、当該配管120の内部を測定可能な圧力計110を取り付ける(
図13参照)。流体供給部130は、例えば、第1ベース部材70の開口端76aに配管を取り付け、当該配管にポンプ等の流体供給機構を設けることで構成してよい。
【0081】
圧力測定部100及び流体供給部130は、蓄電モジュール12の複数の内部空間Vに対して設けられる。ここでは、説明のために、
図12のような模式図を用いる。
図12では、八つの積層ユニット60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60Hが示されている。積層ユニット60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60Hは、それぞれ一つの内部空間VA,VB,VC,VD,VE,VF,VG,VHを有する単位ユニットである。開口50a1〜50a4が封止された後、積層ユニット60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60Hは、他の積層ユニットの内部空間Vとは連通することなく分断され、気密性が独立して確保された状態となる。なお、内部空間VA,VB,VC,VD,VE,VF,VG,VHは、前述の内部空間V1〜V56のうち、積層方向に連続した複数の内部空間Vの何れかに対応するものである。
【0082】
本実施形態では、複数の内部空間VA,VB,VC,VD,VE,VF,VG,VHに対して、圧力測定部100及び流体供給部130が交互に取り付けられている。具体的には、内部空間VA,VC,VE,VGに対して圧力測定部100A,100C,100E,100Gが取り付けられている。内部空間VA,VC,VE,VGと積層方向における一方(
図12では下方)で隣り合う内部空間VB,VD,VF,VHに対して流体供給部130B,130D,130F,130Hが取り付けられている。このような取付態様においては、内部空間VAを請求項における「第1の内部空間」とした場合、内部空間VAと積層方向における一方で隣り合う内部空間VBが請求項における「第2の内部空間」に対応し、内部空間VBと積層方向における一方で隣り合う内部空間VCが請求項における「第3の内部空間」に対応し、内部空間VCと積層方向における一方で隣り合う内部空間VDが請求項における「第4の内部空間」に対応する。また、圧力測定部100Aが請求項における「第1の圧力測定部」に対応し、圧力測定部100Cが請求項における「第2の圧力測定部」に対応し、流体供給部130Bが請求項における「第1の流体供給部」に対応し、流体供給部130Dが請求項における「第2の流体供給部」に対応する。なお、内部空間VC,VE,VGのいずれも請求項における「第1の内部空間」とみなしてよい。また、図における上方を積層方向における一方とみなしてよい。その場合は、請求項における各構成要素の対応関係は、適宜変更される。
【0083】
流体供給工程S130では、流体供給部130B,130D,130F,130Hが内部空間VB,VD,VF,VHへ流体を供給する。このとき、流体供給部130B,130D,130F,130Hは、それぞれ圧力PB,PD,PF,PHで流体を供給する。圧力PB,PD,PF,PHは、同一圧力であってもよく、互いに異なる圧力であってもよい。流体供給工程S130が完了したら、圧力測定部100A,100,100E,100Gで測定された内部空間VA,VC,VE,VGの圧力を取得する。内部空間VA,VC,VE,VGの圧力は、圧力計110A,110C,110E,110Gの計測結果から取得することができる。
【0084】
判定工程S140では、圧力測定部100A,100,100E,100Gで測定された内部空間VA,VC,VE,VGの圧力に基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査する。例えば、流体供給部130Bが内部空間VBに流体を供給したときに、内部空間VCの圧力が変化した場合は、内部空間VBと内部空間VCとの間の気密性に問題があると判定し、内部空間VCの圧力に変化がない場合は、内部空間VBと内部空間VCとの間の気密性が確保されていると判定することができる。他の内部空間Vについても同趣旨の判定を行うことができる。
【0085】
以上のように、検査工程S150では、流体供給部130B,130D,130F,130Hから内部空間VB,VD,VF,VHへ流体を供給したときの圧力測定部100A,100C,100E,100Gで測定された内部空間VA,VC,VE,VGの圧力に基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査する。
【0086】
なお、各流体供給部130による流体供給及び圧力測定部100による圧力測定の順序は特に限定されない。例えば、全ての流体供給部130から同時に流体を供給し、全ての圧力測定部100で同時に圧力を測定してよい。あるいは、圧力測定部100を一つまたは数個ずつ測定してもよい。このとき、測定対象に係る圧力測定部100に対応する流体供給部130のみから流体を供給してよい。例えば、圧力測定部100Aで圧力を測定するときは、流体供給部130Bのみから流体を供給してよい。圧力測定部100Cで圧力を測定するときは、流体供給部130B,130Dの一方、又は両方のみから流体を供給してよい。なお、内部空間の圧力を個別で測定する場合は、測定対象以外の内部空間Vには圧力測定部100及び流体供給部130を設けず、測定対象に係る内部空間Vに対し、測定の時のみ圧力測定部100及び流体供給部130を設けてよい。
【0087】
次に、本実施形態に係る蓄電モジュール12の作用・効果について説明する。なお、ここでは、内部空間VAを請求項における「第1の内部空間」として説明する。ただし、他の内部空間Vを「第1の内部空間」とみなしてもよく、その場合も同趣旨の作用・効果が成り立つ。
【0088】
この蓄電モジュールの検査方法では、内部空間VAに対して圧力測定部100Aが取り付けられている。また、内部空間VAと積層方向における一方で隣り合う内部空間VBに対して流体供給部130Bが取り付けられている。ここで、内部空間VAと内部空間VBとの間の気密性が確保されている場合は、内部空間VBに流体が供給されても内部空間VAの圧力は変化しない。一方、内部空間VAと内部空間VBとの間の気密性が確保されていない場合は、内部空間VBに流体が供給されることで内部空間VAの圧力も変化する。従って、流体供給部130Bから内部空間VBへ流体を供給したときの圧力測定部100Aで測定された内部空間VAの圧力に基づいて検査を行うことで、内部空間VAと内部空間VBとの間の気密性を容易に検査することができる。以上により、蓄電モジュール12の気密性を簡単に検査できる。
【0089】
複数の内部空間Vのうち、内部空間VBと積層方向における一方で隣り合う内部空間VCに対して圧力測定部100Cが取り付けられ、複数の内部空間Vのうち、内部空間VCと積層方向における一方で隣り合う内部空間VDに対して流体を供給する流体供給部130Dが取り付けられる。流体供給部130Bから内部空間VBへ流体を供給し、且つ流体供給部130Dから内部空間VDへ流体を供給したときの圧力測定部100Aで測定された内部空間VAの圧力、及び圧力測定部100Cで測定された内部空間VCの圧力に基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査してよい。このように、複数の内部空間Vに対して、圧力測定部100と流体供給部130とを交互に設けた場合、内部空間VCは、流体が供給される内部空間VB及び内部空間VDで、積層方向における両側から挟まれた状態となる。従って、流体供給部130B及び流体供給部130Dから同時に流体を供給し、圧力測定部100Cで内部空間VCの圧力を測定することで、内部空間VBと内部空間VCとの間の気密性、及び内部空間VCと内部空間VDとの間の気密性を同時に検査することができる。
【0090】
流体供給部130Bが内部空間VBへ流体を供給する圧力PBと、流体供給部130Dが内部空間VDへ流体を供給する圧力とは、互いに異なっていてよい。この場合、内部空間VBと内部空間VCとの間の気密性が確保されていない場合と、内部空間VCと内部空間VDとの間の気密性が確保されていない場合と、両側の気密性が確保されていない場合と、で内部空間VCの圧力の変化態様が互いに異なる。従って、圧力測定部100Cの測定結果により、どの部分の気密性が確保されていないかを容易に把握することができる。
【0091】
なお、
図11に示す圧力測定部100及び流体供給部130の取り付け順序等は一例に過ぎず、順序を適宜変更してもよい。また、取り付け順序を変更して、同一の内部空間に対して、複数回の測定を行ってもよい。
【0092】
次に、
図14〜
図16を参照して、他の変形例に係る蓄電モジュール12の検査方法について説明する。
図14は、蓄電モジュールの検査方法の内容を示すフロー図である。
図15は、
図14に示す検査工程の内容を説明するための概念図である。
図16は、検出基準値について説明を行うための図である。この検査方法は、蓄電モジュール12を準備する準備工程S210と、蓄電モジュール12の気密性を検査する検査工程S250と、を備える。検査工程S250は、検出部200及び検出ガス供給部230を準備する測定準備工程S220と、内部空間Vに対して検出ガス供給部230から検出ガスを供給する検出ガス供給工程S230と、検出部200の検出結果に基づいて気密性を判定する判定工程S240と、を備えている(
図14参照)。
【0093】
準備工程S210では、上述の
図3や
図7などで説明したような、開口を有する蓄電モジュール12が準備される。また、そのような蓄電モジュール12の開口に対して、第1ベース部材70のような部材を取り付けたものが準備される。
【0094】
測定準備工程S220では、蓄電モジュール12の各内部空間Vに対して、検出部200及び検出ガス供給部230が取り付けられる。検出部200は、取付対象に係る内部空間V内に存在する検出ガスを検出する。検出部200は、内部空間Vと連通する配管220と、配管220を介して内部空間V内の検出ガスを検出する検出器210と、を備える。検出器210は、所定時間内に検出することのできた検出ガスの量を測定することができる(例えば、検出値の単位はPa・m
3/secなど)。検出ガス供給部230は、取付対象に係る内部空間V内へ検出ガスを供給する。検出ガス供給部230は、内部空間Vと連通する配管240と、配管240を介して内部空間Vと接続された検出ガス源250と、を備える。検出ガス源250は、ガスボンベなどによって構成されてよい。検出ガスとしては、ヘリウム、水素などを採用してよい。
【0095】
検出部200及び検出ガス供給部230は、蓄電モジュール12の複数の内部空間Vに対して設けられる。ここでは、説明のために、
図15のような模式図を用いる。
図15では、八つの積層ユニット60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60Hが示されている。積層ユニット60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60Hは、それぞれ一つの内部空間VA,VB,VC,VD,VE,VF,VG,VHを有する単位ユニットである。例えば、開口50a1〜50a4が封止された後、積層ユニット60A,60B,60C,60D,60E,60F,60G,60Hは、他の積層ユニットの内部空間Vとは連通することなく分断され、気密性が独立して確保された状態となる。また、それぞれの内部空間Vは真空引きされることで真空状態とされる。なお、内部空間VA,VB,VC,VD,VE,VF,VG,VHは、前述の内部空間V1〜V56のうち、積層方向に連続した複数の内部空間Vの何れかに対応するものである。
【0096】
本実施形態では、複数の内部空間VA,VB,VC,VD,VE,VF,VG,VHに対して、検出部200及び検出ガス供給部230が交互に、かつ連続的に取り付けられている。具体的には、内部空間VA,VC,VE,VGに対して検出部200の配管220A,220C,220E,220Gが取り付けられている。内部空間VA,VC,VE,VGと積層方向における一方(
図15では下方)で隣り合う内部空間VB,VD,VF,VHに対して検出ガス供給部230の配管240B,240D,240F,240Hが取り付けられている。なお、検出部200の複数の配管220は途中で合流し、一つの検出器210に接続されている。また、検出ガス供給部230の複数の配管240は途中で合流し、一つの検出ガス源250に接続されている。ただし、検出器210や検出ガス源250は複数存在していてもよい。
【0097】
検出ガス供給工程S230では、検出ガス供給部230が内部空間VB,VD,VF,VHへ検出ガスを供給する。検出ガス供給工程S230が完了したら、検出部200での検出結果を取得する。内部空間VA,VC,VE,VGの検出ガスの漏れの有無は、検出器210の検出結果から取得することができる。
【0098】
判定工程S140では、検出部200による内部空間VA,VC,VE,VGの検出ガスの検出結果に基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査する。例えば、検出ガス供給部230が内部空間VBに検出ガスを供給したときに、内部空間VBと内部空間VAとの間、または内部空間VBと内部空間VCとの間の何れかの気密性に問題がある場合、内部空間VA及び内部空間VCの何れかに検出ガスが漏れる。この場合、検出基準値以上の量の検出ガスが配管220Aまたは配管220Cを介して検出器210にて検出される。従って、検出器210が、検出基準値以上の検出ガスを検出した場合、複数の層のうち、いずれかの層における内部空間Vと内部空間Vとの間の気密性に問題があると判定することができる。一方、検出器210で検出される検出ガスが検出基準値より小さい場合は、いずれの層においても、内部空間Vと内部空間Vとの間の気密性が確保出来ていると判定することができる。
【0099】
ここで、検出基準値について説明する。検出基準値は、検出器210で検出された検出ガスの量と比較することで、漏れの発生の有無を判定するための閾値である。検出ガスの検出基準値は、漏れを検出できる限りどのように設定されてもよい。ただし、n層の内部空間Vに対して、検出部200及び検出ガス供給部230が交互に、且つ連続的に取り付けられる場合、一層あたりの漏れ量の規格である規格値(以下、クライテリアと称する)の(n−1)倍の値を検出基準値として設定してよい。一層の内部空間Vについての気密性を検査する場合、すなわち、一層の内部空間Vに検出ガスを供給し、当該内部空間Vと隣り合う内部空間Vの検出ガスを検出する場合、クライテリアとして予め規格化された値が検出基準値として採用される。なお、内部空間Vがn層存在している場合、隣り合う内部空間V同士の境界部(すなわち漏れが発生しうる部分)は(n−1)個存在する。従って、クライテリアの値に掛け合わされる倍数は、漏れが発生しうる部分の個数である(n−1)となる。
【0100】
クライテリアについて、
図16を参照して更に詳細に説明する。
図16に示すグラフのうち、漏れ量「A1」がクライテリアであるものとする。一層の内部空間Vに対して気密性の検査を行った場合、気密性に問題が無くても僅かな量だけ検出ガスの漏れは生じる。また、その時の漏れ量は、蓄電モジュール12毎に、またその蓄電モジュール12の内部空間V毎に異なる。従って、十分な数の内部空間Vに対して検査(一層のみの検査)を行い、検出器210で検出される検出ガスの漏れ量と、当該漏れ量が発生する頻度との関係をプロットすると、
図16のようなグラフが描かれる。
図16に示すように、発生頻度は、ある漏れ量にてピークを有する山を描く。当該ピークに係る漏れ量よりも漏れ量が多くなるに従って、徐々に発生頻度は少なくなり、クライテリア付近では発生頻度は更に低くなる。
【0101】
ここで、n層の内部空間Vをまとめて検査する時に、クライテリアの値をそのまま検出基準値として採用する場合について考慮する。この場合、各層において、一つの層としては問題無い範囲の漏れ量であったとしても、全ての層の漏れ量を合計すると、合計値がクライテリアの値を超えてしまう可能性がある。この場合は、実際には気密性に問題が無いにも関わらず、「気密性に問題あり」と判定されてしまう。例えば、n層のうち、一つの層のみクライテリアの値に近い漏れ量が発生した場合、n層の漏れ量の合計値は、容易にクライテリアの値を超えてしまう。従って、検出基準値をクライテリアの(n−1)倍の値とすることで、上述のような誤判定を抑制できる。当該検出基準値を採用すると、例えばn層全ての漏れ量がクライテリアに近い値となった場合でも、誤判定を抑制できる。なお、内部空間Vの気密性に問題がある場合、検出器210で検出される漏れ量(
図16において「A2」で示される)は、クライテリア付近の値ではなく、クライテリアの値よりもかなり大きな値となる。蓄電モジュール12に通常設けられる内部空間Vの層数の範囲内であれば、検出基準値をクライテリアの(n−1)倍の値にしたとしても、一層でも気密性に問題があれば、検出器210が検出する漏れ量は、十分に検出基準値よりも大きな値となる可能性が高い。よって、検出基準値を大きくしても、気密性に問題がある場合に、「問題が無い」と判定されるような誤判定を抑制できる。
【0102】
以上のように、検査工程S250では、検出ガス供給部230から内部空間VB,VD,VF,VHへ流体を供給したときの検出部200で検出される内部空間VA,VC,VE,VGでの検出ガスの検出結果に基づいて、蓄電モジュール12の気密性を検査する。
【0103】
なお、
図15に示す例では、複数の内部空間Vに対して一つの検出器210が設けられている。従って、検出器210は、検出ガスがどの内部空間Vから流れて来たものであるかを特定することはできない。ただし、一箇所でも漏れが発生する箇所がある場合は、蓄電モジュール12自体がNG品となるため、漏れの箇所を特定できなくとも、問題は生じない。なお、複数の検出器210を用いることで、漏れの箇所を特定できるように構成してもよい。また、
図15に示す例では、複数の内部空間Vに対して一つの検出ガス源250が設けられていたが、複数の検出ガス源250を設けてもよい。この場合、各内部空間Vに対して検出ガス源250から検出ガスを供給するタイミングをずらしてもよい。このような方法によっても、漏れの箇所を特定することが可能となる。
【0104】
次に、変形例に係る蓄電モジュール12の作用・効果について説明する。なお、ここでは、内部空間VAを請求項における「第1の内部空間」として説明する。ただし、他の内部空間Vを「第1の内部空間」とみなしてもよく、その場合も同趣旨の作用・効果が成り立つ。
【0105】
この蓄電モジュール12の検査方法では、内部空間VAに対して検出ガスを検出する検出部200が取り付けられている。また、内部空間VAと積層方向における一方で隣り合う内部空間VBに対して検出ガスを供給する検出ガス供給部230が取り付けられている。ここで、内部空間VAと内部空間VBとの間の気密性が確保されている場合は、内部空間VBに検出ガスが供給されても内部空間VAでは検出部200で検出ガスは検出基準値以上には検出されない。一方、内部空間VAと内部空間VBとの間の気密性が確保されていない場合は、内部空間VBに検出ガスが供給されることで内部空間VAで検出部200によって検出基準値以上の検出ガスが検出される。従って、検出ガス供給部230から内部空間VBへ検出ガスを供給したときの検出部200による検出結果に基づいて検査を行うことで、内部空間VAと内部空間VBとの間の気密性を容易に検査することができる。以上により、蓄電モジュール12の気密性を簡単に検査できる。
【0106】
複数の内部空間Vに対して、検出部200及び検出ガス供給部230が交互に、且つ連続的に取り付けられてよい。このように、複数の内部空間Vに対して、検出部200及び検出ガス供給部230を交互に、且つ連続的に設けた場合、検出部200が取り付けられる一の内部空間Vは、検出ガスが供給される内部空間Vで、積層方向における両側から挟まれた状態となる。従って、両側の検出ガス供給部230から同時に検出ガスを供給することで、検出部200が取り付けられる一の内部空間Vと、両側の内部空間Vとの間の気密性を同時に検査することができる。
【0107】
n層の内部空間Vに対して、検出部200及び検出ガス供給部230が交互に、且つ連続的に取り付けられる場合、一層あたりの漏れ量の規格である規格値の(n−1)倍の値を検出基準値として設定してよい。この場合、n層の内部空間Vに対して検出部200及び検出ガス供給部230による気密性の検査を同時に行った場合に、層数に従った適切な検出基準値にて気密性の検査を行うことができる。