特許第6838514号(P6838514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838514
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】気体圧縮機
(51)【国際特許分類】
   F04B 41/02 20060101AFI20210222BHJP
   F04B 39/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   F04B41/02 A
   F04B39/00 101S
【請求項の数】10
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-145493(P2017-145493)
(22)【出願日】2017年7月27日
(65)【公開番号】特開2019-27316(P2019-27316A)
(43)【公開日】2019年2月21日
【審査請求日】2020年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】圷 康輔
(72)【発明者】
【氏名】横田 伴義
(72)【発明者】
【氏名】野田 貴史
(72)【発明者】
【氏名】保科 壮希
(72)【発明者】
【氏名】小堀 賢志
【審査官】 松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−185678(JP,A)
【文献】 特開2010−059974(JP,A)
【文献】 韓国公開特許第2003−0026669(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B25/00−37/20
F04B39/00−39/16
F04B41/00−41/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地用の脚部と、圧縮気体を生成する圧縮部と、前記圧縮部が生成した圧縮気体を貯留する複数の貯留部と、を備えた気体圧縮機であって、
前記複数の貯留部は、それぞれ円筒部を有し、前記円筒部の中心線が互いに平行となるよう配置され、
前記複数の貯留部の間に吸音材が配置され
前記吸音材は、前記接地用の脚部を接地させた状態で、前記複数の貯留部の下面に対向し、かつ、前記複数の貯留部の前記中心線方向における中央部を跨る範囲に配置されている、気体圧縮機。
【請求項2】
前記吸音材は、前記複数の貯留部に密着した状態で固定されている、請求項1記載の気体圧縮機。
【請求項3】
前記圧縮部は、シリンダと、クランクケースとを有し、
前記吸音材は、前記接地用の脚部を接地させた状態で、前記クランクケースの下面に対向して配置されている、請求項1または2記載の気体圧縮機。
【請求項4】
前記複数の貯留部と、前記圧縮部とを接続する第1接続部材が設けられている、請求項1乃至3の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項5】
前記複数の貯留部を接続する第2接続部材が、前記中心線方向に間隔をおいて複数設けられ、
前記吸音材は、前記中心線方向で前記複数の第2接続部材の間に配置されている、請求項1乃至4の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項6】
前記複数の第2接続部材は、前記吸音材を支持する、請求項5記載の気体圧縮機。
【請求項7】
前記吸音材を前記複数の第2接続部材に対して位置決めする保持部材が設けられている、請求項5または6記載の気体圧縮機。
【請求項8】
前記吸音材は、発泡ポリウレタン製である、請求項1乃至の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項9】
前記吸音材は、ゴム製である、請求項1乃至の何れか1項記載の気体圧縮機。
【請求項10】
前記保持部材は、アルミニウム製である、請求項7記載の気体圧縮機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮気体を生成する圧縮部と、圧縮部が生成した圧縮気体を貯留する複数の貯留部と、を備えた気体圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮気体を生成する圧縮部と、圧縮部が生成した圧縮気体を貯留する複数の貯留部と、を備えた気体圧縮機は、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された気体圧縮機は、モータ、ファン、圧縮部、カバー及び複数の貯留部を有する。圧縮部は、複数の貯留部の上に搭載されている。圧縮部は、モータを動力源としており、圧縮部は、クランクケース、第1シリンダ及び第2シリンダを有する。クランクケース内に第1コネクティングロッド及び第2コネクティングロッドが設けられている。第1コネクティングロッド及び第2コネクティングロッドは、モータの回転軸に連結されている。第1シリンダ内に第1ピストンが配置され、第2シリンダ内に第2ピストンが配置されている。第1コネクティングロッドは第1ピストンに結合され、第2コネクティングロッドは第2ピストンに結合されている。ファンは、モータの回転軸に連結されている。カバーは、モータ、ファン及び圧縮部を覆うように設けられている。複数の貯留部は、カバーの外に設けられており、複数の貯留部は互に平行に配置されている。
【0003】
モータの回転運動は、第1ピストン及び第2ピストンの往復運動に変換され、第1シリンダで空気が圧縮され、第1シリンダ内で生成された圧縮空気は、第1パイプを介して第2シリンダに送られる。第2シリンダで空気がさらに圧縮され、第2シリンダから吐出される圧縮空気は、第2パイプを介して第1貯留部に送られる。第1貯留部と第2貯留部とはつながっている。また、ファンはモータの動力で回転し、カバー内の冷却対象部に冷却風を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−102477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された気体圧縮機は、圧縮部の振動が複数の貯留部に伝達されると、その振動が複数の貯留部の間を流れる空気に伝播され、騒音を招く可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、複数の貯留部の間で発生する騒音を低減することの可能な気体圧縮機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の気体圧縮機は、接地用の脚部と、圧縮気体を生成する圧縮部と、前記圧縮部が生成した圧縮気体を貯留する複数の貯留部と、を備えた気体圧縮機であって、前記複数の貯留部は、それぞれ円筒部を有し、前記円筒部の中心線が互いに平行となるよう配置され、前記複数の貯留部の間に吸音材が配置され、前記吸音材は、前記接地用の脚部を接地させた状態で、前記複数の貯留部の下面に対向し、かつ、前記複数の貯留部の前記中心線方向における中央部を跨る範囲に配置されている。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態の気体圧縮機によれば、複数の貯留部の間で発生する騒音を低減可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態としての空気圧縮機を示す平面図である。
図2図1に示す空気圧縮機の一部を切り欠いた正面図である。
図3図1に示す空気圧縮機の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態である空気圧縮機について、図面を参照して説明する。図1図2及び図3に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付してある。
【0011】
空気圧縮機10は、電動モータ11、圧縮部12、冷却ファン13、制御部14、第1タンク15及び第2タンク16を有する。第1タンク15及び第2タンク16は共に金属製である。第1タンク15は円筒部17を有し、第2タンク16は円筒部18を有する。円筒部17の外径と円筒部18の外径とは同一である。また、第1タンク15の円筒部17の中心線A1方向における全長と、第2タンク16の円筒部18の中心線A2方向における全長とは同一である。
【0012】
複数、つまり、2個の第1接続部材19及び複数、具体的には第2接続部材20,21が設けられている。2個の第1接続部材19及び第2接続部材20,21は、それぞれ第1タンク15と第2タンク16に固定されている。2個の第1接続部材19及び第2接続部材20,21は、共に金属製であり、第1タンク15及び第2タンク16に溶接して固定されている。2個の第1接続部材19は電動モータ11及び圧縮部12を固定する役割をもつ。2個の第1接続部材19は、空気圧縮機10の平面視で、空気圧縮機10の中央付近で中心線A1,A2方向に間隔をおいて固定されている。第2接続部材20,21は、中心線A1,A2方向で、2個の第1接続部材19の間隔よりも広い間隔をおいて設けられている。第1タンク15及び第2タンク16は、2個の第1接続部材19及び第2接続部材20,21により接続された状態で、図1のように空気圧縮機10を平面視すると、中心線A1と中心線A2とが互に平行である。図3のように、第1タンク15と第2タンク16との間に隙間22が形成されている。
【0013】
複数、具体的には2個のブラケット23が第1タンク15に取り付けられている。2個のブラケット23は、中心線A1方向に間隔をおいて配置されている。2個のブラケット23に脚部24がそれぞれ取り付けられている。複数、具体的には2個のブラケット25が第2タンク16に取り付けられている。2個のブラケット25は、中心線A2方向に間隔をおいて配置されている。2個のブラケット25に脚部26がそれぞれ取り付けられている。脚部24の先端27、脚部26の先端28は、床29に接地する。2個の脚部24は第1タンク15を支持し、2個の脚部26は第2タンク16を支持する。
【0014】
2個の第1接続部材19材及び第2接続部材20,21は、脚部24の先端27及び脚部26の先端28が床29に接地した状態で、空気圧縮機10の高さ方向で異なる位置に配置されている。また、2本の中心線A1,A2は、空気圧縮機10の高さ方向で、2個の第1接続部材19と、第2接続部材20,21との間に位置する。空気圧縮機10の平面視または正面視で、第2接続部材20,21は、中心線A1,A2方向で、脚部24,26と、脚部24,26との間に配置されている。空気圧縮機10の側面視で、第2接続部材20,21は、中心線A1,A2に対して直角な方向で、脚部24と脚部26との間に配置されている。空気圧縮機10の高さ方向は、鉛直方向、つまり、重力の作用方向である。
【0015】
電動モータ11及び圧縮部12は、第1接続部材19により支持されている。脚部24,26が床29に接地した状態において、第1タンク15及び第2タンク16は、空気圧縮機10の高さ方向で電動モータ11及び圧縮部12の下方に位置する。
【0016】
電動モータ11は、ステータ30及びロータ31を有する。ロータ31は回転軸32に取り付けられている。圧縮部12は、第1圧縮部33、第2圧縮部34及びクランクケース35を有する。空気圧縮機10の平面視及び空気圧縮機10の正面視で、第1圧縮部33、第2圧縮部34及びクランクケース35は、中心線A1,A2方向に並べて配置されている。クランクケース35は、中心線A1,A2方向で第1圧縮部33と第2圧縮部34との間に配置されている。第1圧縮部33及び第2圧縮部34は、クランクケース35に対して締結要素でそれぞれ固定されている。クランクケース35は、緩衝部材であるマウント36により支持され、マウント36は締結要素37により第1接続部材19に固定されている。
【0017】
クランクケース35内に軸受38が設けられ、軸受38は回転軸32を回転可能に支持する。回転軸32の回転中心となる中心線B1は、空気圧縮機10の平面視で中心線A1,A2に対して直角である。クランクケース35内に第1コンロッド及び第2コンロッドが設けられ、第1コンロッド及び第2コンロッドは、回転軸32に連結されている。
【0018】
第1圧縮部33は、第1シリンダ39及び第1ヘッドカバー40を有し、第1シリンダ39内に第1ピストンが設けられている。第1ピストンは第1コンロッドに接続されている。第1シリンダ39及び第1ヘッドカバー40により第1圧縮室が形成されている。第2圧縮部34は、第2シリンダ41及び第2ヘッドカバー42を有し、第2シリンダ41内に第2ピストンが設けられている。第2ピストンは第2コンロッドに接続されている。第2シリンダ41及び第2ヘッドカバー42により第2圧縮室が形成されている。
【0019】
第1配管43が設けられ、第1配管43は第1圧縮部33と第2圧縮部34とを接続する。第2配管44が設けられ、第2配管44は第2圧縮部34と第1タンク15とを接続する。第3配管45が設けられ、第3配管45は第1タンク15と第2タンク16とを接続する。このため、第1タンク15内の空気圧と、第2タンク16内の空気圧とは同じである。第1タンク15及び第2タンク16内の空気圧を検出して信号を出力する圧力センサ46が設けられている。
【0020】
第1タンク15に、排出管47を介して接続管48が接続され、排出管47と接続管48との間に減圧弁49が設けられている。減圧弁49は空気の圧力を減圧する。減圧弁49はノブ50を有し、ユーザがノブ50を操作すると、減圧弁49から接続管48に送られる空気の圧力、つまり、設定圧力を調整できる。また、接続管48内の空気圧をそれぞれ表示する圧力計51が設けられている。接続管48にそれぞれカプラ52が取り付けられている。カプラ52に対して、エアホースを取り付け及び取り外しが可能である。エアホースは、空気圧で作動する作業機に接続される。
【0021】
排出管47、接続管48、減圧弁49及びカプラ52は、空気圧縮機10の平面視で第1タンク15の配置領域内に配置されている。排出管47接続管48、減圧弁49及びカプラ52は、空気圧縮機10の正面視で、第1タンク15の上に配置されている。ドレーン配管53が設けられ、ドレーン配管53はバルブ57を介して第4配管54に接続され、第4配管54は第2タンク16内に配置されている。図3のように、ドレーン配管53の長手方向の一部は、第1タンク15と第2タンク16との間に配置されている。ドレーン配管53は、クランプ55により支持され、クランプ55は締結要素56により第2接続部材20に固定されている。バルブ57を開くと、第2タンク16内の圧縮空気と、第1タンク15から第3配管45を介して第2タンク16内に送られる圧縮空気とを、ドレーン配管53から外部に排出できる。
【0022】
電動モータ11及び圧縮部12を覆うカバー58が設けられている。カバー58は合成樹脂製または金属製である。冷却ファン13はカバー58により覆われた空間、つまり、カバー58の内部59に配置され、冷却ファン13は回転軸32に取り付けられている。電動モータ11は、回転軸32の中心線B1方向で、冷却ファン13とクランクケース35との間に配置されている。
【0023】
制御部14は内部59に配置されている。制御部14は、空気圧縮機10の高さ方向で冷却ファン13の下方に設けられている。電源コード60が制御部14に接続され、電源コード60は交流電源に接続される。制御部14は、演算部、記憶部、コンバータ回路、スイッチング回路等を有する。圧力センサ46の信号は、制御部14に入力される。コンバータ回路は、交流を直流に変換する。スイッチング回路は、ステータ30に電力を供する回路をオンオフする。
【0024】
カバー58に操作部61が設けられている。操作部61は、ユーザが操作する電源スイッチ及び表示部を有する。表示部は、液晶ディスプレイ、ランプを含む。制御部14は、操作部61との間で信号の授受を行う。また、回転センサが設けられている。回転センサは回転軸32の回転数を検出する回転数センサ、回転軸32の回転方向の位相を検出する位相センサなどである。回転センサの信号は、制御部14に入力される。
【0025】
ユーザが電源スイッチをオンすると、制御部14は回転センサの信号に基づき、電動モータ11に印加する電圧を制御する。電動モータ11の回転軸32が回転すると、第1ピストン及び第2ピストンが作動する。第1圧縮部33は、第1圧縮室で圧縮空気を生成し、第1圧縮室で生成された圧縮空気は、第1配管43を介して第2圧縮部34に送られる。第2圧縮部34の第2圧縮室で空気をさらに圧縮し、第2圧縮室から排出された圧縮空気は、第2配管44を介して第1タンク15及び第2タンク16に送られる。
【0026】
第1タンク15及び第2タンク16内の空気圧は、作業機の用途に応じて、例えば、4.2Mpa以下に設定される。第1タンク15及び第2タンク16内の圧縮空気は、排出管47から接続管48に送られる際、減圧弁49で減圧される。カプラ52にエアホースが接続されていると、接続管48から吐出された圧縮空気は、エアホースを介して作業機に送られる。
【0027】
制御部14は、電源スイッチのオン・オフ信号、圧力センサから入力される信号、回転センサの信号、記憶部に記憶されているデータに基づいて、電動モータ11回転及び停止を制御し、電動モータ11の回転数及びトルクを制御する。
【0028】
また、冷却ファン13が回転軸32と共に回転すると、カバー58の外部の空気がカバー58の内部59に進入する。カバー58の内部59で空気の流れが形成され、電動モータ11、圧縮部12及び制御部14を冷却する。カバー58の内部59の空気は、カバー58に設けた通気口を通り外部に排出される。カバー58の内部59を流れる空気の一部は、隙間22を通って第1タンク15及び第2タンク16の下方へ排出される。
【0029】
ここで、電動モータ11が回転して圧縮部12で圧縮空気を生成する際、電動モータ11の回転軸32の回転による振動、第1ピストン及び第2ピストンの作動による振動が発生する。これらの振動は、2個の第1接続部材19を介して第1タンク15及び第2タンク16に伝達される。
【0030】
2個の第1接続部材19は、電動モータ11及び圧縮部12を固定する役割を担うために、空気圧縮機10の平面視で、空気圧縮機10の中央付近に中心線A1,A2方向に間隔をおいて固定されている。第1タンク15及び第2タンク16の外周面のうち、2個の第1接続部材19に近い箇所、つまり、図3の側面視において、第1タンク15及び第2タンク16の外周面の上部において、互に2個の第1接続部材19で強固に接続され、かつ、ユニットとしての剛性が高められている。これに対して、第2接続部材20,21は、中心線A1,A2方向で、2個の第1接続部材19の間隔よりも広い間隔をおいて設けられている。このため、第1タンク15及び第2タンク16の外周面のうち、第2接続部材20、21に近い箇所、つまり、図3の側面視において第1タンク15及び第2タンク16の下部の剛性は、第1タンク15及び第2タンク16の上部の剛性よりも低い。
【0031】
第1タンク15及び第2タンク16に伝達された振動は、第1タンク15及び第2タンク16の強度的に弱い部分、特に第1タンク15及び第2タンク16の第2接続部材20、21に近い箇所、具体的には第2接続部材20、21の間を振動させ、振動が空気に伝播されることで、放射音を発生させる。発生した放射音は、互の放射面、つまり、第1タンク15及び第2タンク16の外表面で反射されることで増幅され、放射音が隙間22から漏れ出ることで騒音となる。
【0032】
第1タンク15の第2接続部材20、21の間から放射音が発生すると、第2タンク16の外表面のうち、第2接続部材20と第2接続部材21との間が放射面となる。第2タンク16の第2接続部材20、21の間から放射音が発生すると、第1タンク15の外表面のうち、第2接続部材20と第2接続部材21との間が放射面となる。
【0033】
空気圧縮機10は、騒音を抑制する騒音抑制機構62を有する。騒音抑制機構62は、隙間22に設けられている。騒音抑制機構62は、空気圧縮機10の高さ方向で、中心線A1,A2と、第1タンク15の下端部63及び第2タンク16の下端部64との間に配置されている。騒音抑制機構62は、吸音材65及び保持部材66を有する。吸音材65は、発泡ポリウレタン製のスポンジまたは多孔質体であり、弾性変形可能である。保持部材66は、金属、例えば、アルミニウム製のプレートである。吸音材65は保持部材66により支持されている。
【0034】
保持部材66は、中心線A1,A2方向に沿って配置されており、中心線A1,A2方向における保持部材66の第1端部は、締結要素56を用いて第2接続部材20に固定され、保持部材66の第2端部は締結要素67を用いて第2接続部材21に固定されている。締結要素56は、クランプ55を固定する機能を兼備している。保持部材66は、空気圧縮機10の高さ方向で吸音材65の下に配置されている。保持部材66は、吸音材65を第2接続部材20,21に対して、中心線A1,A1方向に位置決めし、かつ、中心線A1,A1に対して直角な方向に方向に位置決めし、かつ、空気圧縮機10の高さ方向に位置決めする。
【0035】
吸音材65は、第1タンク15及び第2タンク16と、保持部材66との間に挟まれており、吸音材65は、第1タンク15及び第2タンク16の外表面に接触、より具体的には、押し付けられて弾性変形している。吸音材65のうち、第1タンク15及び第2タンク16の外表面に押し付けられる箇所は、第1タンク15の外表面の形状、第2タンク16の外表面の形状に近似するように、円弧形状とすることも可能である。吸音材65は、中心線A1,A2方向で、第2接続部材20と第2接続部材21との間に設けられている。なお、吸音材65は、接着剤を用いて保持部材66に固定されていてもよい。
【0036】
カバー58の内部59の空気が隙間22に進入すると、その空気は吸音材65を構成する材料の隙間、孔等を通過することで、空気の振動が抑制される。したがって、隙間22を空気が通過する際、第1タンク15及び第2タンク16の振動に伴う騒音を低減可能である。吸音材65は、例えば、1khz〜4khzの範囲の振動音を抑制可能である。
【0037】
(変形例)
本実施形態に係る空気圧縮機10は、吸音材65として、合成ゴムまたは合成樹脂を用いる。合成ゴムは軟質ゴムを含み、合成樹脂はウレタン樹脂を含む。電動モータ11が回転して圧縮部12で圧縮空気を生成する際、電動モータ11の回転軸32の回転による振動、第1ピストン及び第2ピストンの作動による振動が発生する。これらの振動は、第1接続部材19を介して第1タンク15及び第2タンク16に伝達される。
【0038】
吸音材65は、第1タンク15及び第2タンク16と、保持部材66との間に挟まれており、吸音材65は、第1タンク15及び第2タンク16の外表面に接触、より具体的には、押し付けられて弾性変形している。吸音材65のうち、第1タンク15及び第2タンク16の外表面に押し付けられる箇所は、第1タンク15の外表面の形状、第2タンク16の外表面の形状に近似するように、円弧形状とすることも可能である。吸音材65は、中心線A1,A2方向で、第2接続部材20と第2接続部材21との間に設けられている。なお、吸音材65は、接着剤を用いて保持部材66に固定されていてもよい。
【0039】
第1タンク15及び第2タンク16に伝達された振動は、吸音材65により減衰され、カバー58の内部59を流れる空気の一部が隙間22を通る際に、空気に伝達される第1タンク15及び第2タンク16の振動を低減可能である。したがって、隙間22を空気が通過する際、第1タンク15及び第2タンク16の振動に伴う騒音を低減可能である。吸音材65は、例えば、1khz〜4khzの範囲の振動音を抑制可能である。
【0040】
実施形態に記載した事項の意味を説明する。第1タンク15及び第2タンク16は、複数の貯留部の一例であり、空気圧縮機10は、気体圧縮機の一例である。圧縮空気は、圧縮気体の一例である。気体圧縮機は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0041】
例えば、吸音材は、多孔質材料として、発泡ポリウレタンや発泡スチロール樹脂の他、ロックウール、グラスウール、ポリエステル系を用いることが可能である。吸音材は、ゴム質材料として、ニトリルゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、フッ素ゴム等のエラストマー樹脂を用いることが可能である。吸音材は、合成樹脂として、4フッ化エチレン樹脂等を用いることが可能である。吸音材は、繊維材料として、フェルトなどの不織布や羊毛や化学繊維などによる織布を用いることが可能である。吸音材は、コルク等の多孔質材料を用いることも可能である。
【0042】
圧縮部で圧縮する気体は、空気、不活性ガスを含む。不活性ガスは、窒素ガス、希ガスを含む。希ガスは、アルゴンガス、ヘリウムガスを含む。圧縮部は、単数または複数の何れでもよい。また、圧縮部で圧縮された気体を蓄える貯留部は、3個以上設けられていてもよい。複数の第2接続部材は、3個以上設けられていてもよい。脚部が接触する接触対象は、床の他、地面、作業台でもよい。
【0043】
さらに、気体圧縮機は、圧縮部で動作部材としてのピストンが往復動作して気体を圧縮するものの他、作動部材が回転し、かつ、往復動作しないロータリ形の気体圧縮機を含む。圧縮部を駆動する動力源としてのモータは、電動モータの他、エンジン、油圧モータ、空気圧モータを含む。ゴム製は、合成ゴム、ゴム質材料を含む。
【符号の説明】
【0044】
10…空気圧縮機、12…圧縮部、15…第1タンク、16…第2タンク、17,18…円筒部、19…第1接続部材、20,21…第2接続部材、22…隙間、24,26…脚部、65…吸音材、A1,A2…中心線。
図1
図2
図3