特許第6838531号(P6838531)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838531
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】放射線位相差撮影装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/20 20180101AFI20210222BHJP
   G01N 23/041 20180101ALI20210222BHJP
【FI】
   G01N23/20
   G01N23/041
【請求項の数】8
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-171006(P2017-171006)
(22)【出願日】2017年9月6日
(65)【公開番号】特開2019-45412(P2019-45412A)
(43)【公開日】2019年3月22日
【審査請求日】2020年1月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】土岐 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】木村 健士
(72)【発明者】
【氏名】白井 太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐野 哲
(72)【発明者】
【氏名】堀場 日明
(72)【発明者】
【氏名】森本 直樹
【審査官】 嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2008/102598(WO,A1)
【文献】 特開2007−203074(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/084659(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0039532(US,A1)
【文献】 特開2012−115621(JP,A)
【文献】 特開2012−085995(JP,A)
【文献】 特開2012−110472(JP,A)
【文献】 Optimization of in-line phase contrast particle image velocimetry using a laboratory x-ray source,Journal of Applied Physics,2012年10月 1日,Vol.112 No.7,074701,doi: 10.1063/1.4757407
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G01T 1/00− 1/40
G01T 7/00− 7/12
A61B 6/00− 6/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線源と、前記X線源から照射されたX線に基づく画像信号を検出する画像信号検出器と、を含む画像信号生成系と、
前記X線源と前記画像信号検出器との間に配置され、前記X線源から照射されるX線により自己像を形成するための第1格子と、前記第1格子の自己像と干渉させるための第2格子と、を含む複数の格子と、
前記X線源と前記画像信号検出器との間に配置された被写体により生じるX線の位相ずれに基づく位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、
前記被写体を保持する被写体ステージと、
前記被写体ステージを、前記被写体ステージと前記第1格子との少なくとも一方を退避させた状態で、前記第1格子の前記X線源側と前記第1格子の前記第2格子側とに、前記第1格子を越えてX線の光軸方向へ移動させる移動機構と、を備える、放射線位相差撮影装置。
【請求項2】
前記被写体ステージを前記第1格子を越えて前記光軸方向へ移動させる際に、前記被写体ステージと前記第1格子との少なくとも一方を、前記被写体と前記第1格子とが前記光軸方向に干渉しない非干渉位置まで、前記光軸方向とは異なる方向に退避させるように構成されている、請求項1に記載の放射線位相差撮影装置。
【請求項3】
前記被写体ステージを支持する方向と前記第1格子を支持する方向とが互いに異なるように構成されている、請求項2に記載の放射線位相差撮影装置。
【請求項4】
前記移動機構は、前記被写体ステージを、前記光軸方向とは異なる方向に退避させるとともに、前記被写体ステージを前記第1格子を越えて前記光軸方向に移動させるように構成されている、請求項2または3に記載の放射線位相差撮影装置。
【請求項5】
前記第1格子を、前記光軸方向とは異なる方向に退避させる退避機構をさらに備え、
前記移動機構は、前記退避機構により前記第1格子を前記非干渉位置まで退避させた状態において、前記被写体ステージを前記第1格子を越えて前記光軸方向に移動させるように構成されている、請求項2または3に記載の放射線位相差撮影装置。
【請求項6】
前記被写体の位置を検出する位置検出部をさらに備え、
前記移動機構は、前記位置検出部により検出された前記被写体の位置に基づいて、前記退避機構により退避された前記第1格子の復帰位置以外の位置に前記被写体ステージを移動させるように構成されている、請求項5に記載の放射線位相差撮影装置。
【請求項7】
前記移動機構は、前記被写体ステージを、前記第1格子の前記X線源側の第1範囲と、前記第1格子の前記第2格子側において前記第1格子からの距離が前記第1範囲と略等しい第2範囲とに移動させることが可能に構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射線位相差撮影装置。
【請求項8】
前記X線源と前記第1格子との間に配置され、前記X線源から照射されたX線の可干渉性を高めるための第3格子をさらに備え、
前記移動機構は、前記被写体ステージを、前記第1格子から前記第3格子までに渡る範囲、および、前記第1格子から前記第2格子までに渡る範囲で、前記光軸方向に移動させることが可能に構成されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射線位相差撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線位相差撮影装置に関し、特に、X線の位相ずれに基づく位相コントラスト画像を生成する放射線位相差撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線の位相ずれに基づく位相コントラスト画像を生成する放射線位相差撮影装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、X線を発生するX線源と、X線源から発生したX線を回折する第1格子と、第1格子で回折したX線をさらに回折してモアレパターンを発生させる第2格子と、第2格子で発生させたモアレパターンを検出するX線画像検出器(画像信号検出器)とを備えた、X線撮像装置(放射線位相差撮影装置)が開示されている。上記特許文献1のX線撮像装置は、被写体を、X線源と第1格子との間に配置してX線撮影を行い、被写体により生じるX線の位相ずれに基づく位相コントラスト画像を生成するように構成されている。
【0004】
上記特許文献1のX線撮像装置では、位相コントラスト画像におけるコントラストの大きさは、被写体の第1格子からの距離と負の相関がある。したがって、上記特許文献1のX線撮像装置では、位相コントラスト画像において視認性(視認可能なコントラスト)を確保できる被検体の位置が、X線源と第1格子との間において、第1格子に近い側の範囲に限定されることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2009/104560号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上記特許文献1の放射線位相差撮影装置では、位相コントラスト画像における被写体の拡大縮小率は、被写体のX線源からの距離に依存する。したがって、拡大縮小率を変更するためには、X線源と画像信号検出器との間において被写体の位置をX線の光軸方向に沿って変更する必要がある。しかしながら、上記特許文献1の放射線位相差撮影装置では、被写体がX線源と第1格子との間に配置されるので、被写体の位置を光軸方向に変更させることができる範囲が、第1格子のX線源側に限定される。このため、位相コントラスト画像における視認性を確保することを前提とした場合、位相コントラスト画像における被写体の拡大縮小率の可変範囲が第1格子のX線源側の第1格子に近い側の範囲に限定され易いという問題点があると考えられる。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、位相コントラスト画像において、視認性を確保しつつ、被写体の拡大縮小率の可変範囲を拡張することが可能な放射線位相差撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、この発明の一の局面による放射線位相差撮影装置は、X線源と、X線源から照射されたX線に基づく画像信号を検出する画像信号検出器と、を含む画像信号生成系と、X線源と画像信号検出器との間に配置され、X線源から照射されるX線により自己像を形成するための第1格子と、第1格子の自己像と干渉させるための第2格子と、を含む複数の格子と、X線源と画像信号検出器との間に配置された被写体により生じるX線の位相ずれに基づく位相コントラスト画像を生成する画像処理部と、被写体を保持する被写体ステージと、被写体ステージを、被写体ステージと第1格子との少なくとも一方を退避させた状態で、第1格子のX線源側と第1格子の第2格子側とに、第1格子を越えてX線の光軸方向へ移動させる移動機構と、を備える。
【0009】
この発明の一の局面による放射線位相差撮影装置では、上記構成により、被写体ステージを、第1格子のX線源側と第2格子側とに移動機構により移動させることができる。これにより、第1格子のX線源側のみで被写体ステージの位置を変更する構成と比較して、被写体ステージを光軸方向へ移動させることが可能な範囲を第1格子のX線源側に加えて第2格子側にも拡張することができる。位相コントラスト画像におけるコントラストの大きさは、被写体の第1格子からの距離に依存するので、被写体ステージを、第1格子に対してX線源側と第2格子側との両方に移動できる場合、コントラストが同等のレベルの範囲を、第1格子のX線源側と第2格子側との両方に確保することができる。その結果、位相コントラスト画像において、視認性を確保しつつ、被写体の拡大縮小率の可変範囲を拡張することができる。
【0010】
上記一の局面による放射線位相差撮影装置において、好ましくは、被写体ステージを第1格子を越えてX線の光軸方向へ移動させる際に、被写体ステージと第1格子との少なくとも一方を、被写体と第1格子とが光軸方向に干渉しない非干渉位置まで、光軸方向とは異なる方向に退避させるように構成されている。このように構成すれば、被写体ステージを第1格子を越えてX線の光軸方向へ移動させる際に、被写体と第1格子とが干渉することを抑制することができる。
【0011】
この場合、好ましくは、被写体ステージを支持する方向と第1格子を支持する方向とが互いに異なるように構成されている。ここで、被写体ステージと第1格子とが同じ方向から支持される場合、被写体ステージを支持する構造および第1格子を支持する構造とを互いに直交する方向に移動させなければ、被写体ステージまたは第1格子を非干渉位置まで退避させることができない。これに対して、被写体ステージと第1格子とが異なる方向から支持される場合、被写体ステージを支持する構造および第1格子を支持する構造とが互いに直交する方向に加えて、被写体ステージを支持する構造および第1格子を支持する構造を互いに遠ざかる方向へ移動させることによっても、被写体ステージまたは第1格子を非干渉位置に退避させることができる。したがって、被写体ステージと第1格子とを異なる方向から支持することによって、被写体ステージと第1格子とが同じ方向から支持される場合と比較して、被写体ステージを支持する構造と第1格子を支持する構造とが干渉しないようにするための配置の制限を受けにくくすることができる。また、被写体ステージを支持する構造および第1格子を支持する構造を互いに遠ざかる方向へ移動させる場合、被写体ステージおよび第1格子に対して、それぞれ、支持される方向に退避させることができるので、簡素な装置構成を実現することができる。その結果、被写体ステージと第1格子とを同じ方向から支持する場合と比較して、被写体と第1格子とが干渉することを容易に抑制することができる。
【0012】
上記被写体ステージと第1格子との少なくとも一方を非干渉位置まで退避させる構成において、好ましくは、移動機構は、被写体ステージを、光軸方向とは異なる方向に退避させるとともに、被写体ステージを第1格子を越えて光軸方向に移動させるように構成されている。このように構成すれば、1つの移動機構により、被写体ステージを、非干渉位置まで退避させるとともに、第1格子を越えて光軸方向に移動させることができる。その結果、少ない部品点数で、被写体と第1格子とが干渉することなく、被写体ステージを第1格子を越えてX線の光軸方向へ移動させるための装置構成(移動機構の簡素化)を実現することができる。
【0013】
上記被写体ステージと第1格子との少なくとも一方を非干渉位置まで退避させる構成において、好ましくは、第1格子を、光軸方向とは異なる方向に退避させる退避機構をさらに備え、移動機構は、退避機構により第1格子を非干渉位置まで退避させた状態において、被写体ステージを第1格子を越えて光軸方向に移動させるように構成されている。このように構成すれば、退避機構および移動機構を、それぞれ、非干渉位置まで退避させるための機能、および、第1格子を光軸方向に移動させるための機能に特化した単純な構成にすることができる。その結果、装置構成の複雑化を抑制しつつ、被写体と第1格子とが干渉することなく、被写体ステージを第1格子を越えてX線の光軸方向へ移動させるための装置構成(移動機構の簡素化)を実現することができる。
【0014】
上記退避機構を備える構成において、好ましくは、被写体の位置を検出する位置検出部をさらに備え、移動機構は、位置検出部により検出された被写体の位置に基づいて、退避機構により退避された第1格子の復帰位置以外の位置に被写体ステージを移動させるように構成されている。このように構成すれば、退避機構により退避された第1格子を撮影位置に復帰させる際に、第1格子が被写体と接触することを回避することができる。
【0015】
上記一の局面による放射線位相差撮影装置において、好ましくは、移動機構は、被写体ステージを、第1格子のX線源側の第1範囲と、第1格子の第2格子側において第1格子からの距離が第1範囲と略等しい第2範囲とに移動させることが可能に構成されている。このように構成すれば、第1格子からの距離が略等しいことにより互いに位相コントラスト画像におけるコントラストが略等しくなる位置を、第1範囲と第2範囲のいずれにも含まれるようにすることができる。その結果、コントラストを殆ど変えることなく拡大縮小率を変えた位相コントラスト画像を確実に生成することができる。
【0016】
上記一の局面による放射線位相差撮影装置において、好ましくは、X線源と第1格子との間に配置され、X線源から照射されたX線の可干渉性を高めるための第3格子をさらに備え、移動機構は、被写体ステージを、第1格子から第3格子までに渡る範囲、および、第1格子から第2格子までに渡る範囲で、光軸方向に移動させることが可能に構成されている。このように構成すれば、第3格子が含まれる構成において、被写体ステージを移動させることが可能な範囲を、第3格子と第2格子との間で最大化することができる。その結果、第3格子が含まれる構成において、位相コントラスト画像における被写体の拡大縮小率の可変幅を最大限拡張することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上記のように、位相コントラスト画像において、視認性を確保しつつ、被写体の拡大縮小率の可変範囲を拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1実施形態による放射線位相差撮影装置の全体構成を示した模式図である。
図2】第1実施形態による放射線位相差撮影装置において、被写体ステージを非干渉位置へ退避させる様子を示した図である。
図3】第1実施形態による放射線位相差撮影装置において、非干渉位置へ退避させた被写体ステージを第1格子を越えて光軸方向に移動させる様子を示した図である。
図4】第1実施形態による放射線位相差撮影装置において、第1格子を越えて光軸方向に移動させた被写体ステージを撮影位置へ復帰させる様子を示した図である。
図5】被写体の位置と位相コントラスト画像の拡大縮小率との関係を説明するための図である。
図6】被写体の位置と位相コントラスト画像におけるコントラストとの関係を説明するための図である。
図7】被写体の位置と位相コントラスト画像におけるコントラストとの関係を説明するための別の図である。
図8】位相コントラスト画像の拡大縮小率と位相コントラスト画像におけるコントラストとの関係を説明するための図である。
図9】本発明の第2実施形態による放射線位相差撮影装置の全体構成を示した模式図である。
図10】第2実施形態による放射線位相差撮影装置において、第1格子を非干渉位置へ退避させる様子を示した図である。
図11】第2実施形態による放射線位相差撮影装置において、第1格子を非干渉位置へ退避させた状態で被写体ステージを第1格子を越えて光軸方向に移動させる様子を示した図である。
図12】第2実施形態による放射線位相差撮影装置において、被写体ステージを第1格子を越えて光軸方向に移動させた状態で第1格子を撮影位置へ復帰させる様子を示した図である。
図13】本発明の第1実施形態の変形例による放射線位相差撮影装置の全体構成を示した模式図である。
図14】本発明の第2実施形態の第1変形例による放射線位相差撮影装置の全体構成を示した模式図である。
図15】本発明の第2実施形態の第2変形例による放射線位相差撮影装置の全体構成を示した模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
【0020】
[第1実施形態]
図1を参照して、本発明の第1実施形態によるX線位相イメージング装置100の構成について説明する。なお、X線位相イメージング装置100は、特許請求の範囲の「放射線位相差撮影装置」の一例である。
【0021】
(X線位相イメージング装置の構成)
X線位相イメージング装置100は、図1に示すように、X線源11と、画像信号検出器12と、を含む画像信号生成系10と、第1格子G1と、第2格子G2と、を含む複数の格子と、制御部21と、被写体ステージ30と、移動機構40と、格子保持部50と、を備えている。
【0022】
X線位相イメージング装置100は、X線源11と、第1格子G1と、第2格子G2と、画像信号検出器12とが、X線の照射軸方向(光軸方向、Z方向)に、この順に並んで配置されている。すなわち、第1格子G1および第2格子G2は、X線源11と画像信号検出器12との間に配置されている。なお、本明細書において、X線の光軸方向と直交する水平方向および鉛直方向を、それぞれ、X方向およびY方向とする。
【0023】
X線源11は、高電圧が印加されることにより、X線を発生させる。X線源11は、発生されたX線を微小焦点で照射するように構成されている。
【0024】
第1格子G1は、通過するX線の位相を変化させる回折格子(位相格子)である。第1格子G1は、Y方向に所定の周期(格子ピッチ)d1で配列されるスリットG1aおよびX線吸収部G1bを有している。各スリットG1aおよびX線吸収部G1bは、X方向に延びるように形成されている。
【0025】
第1格子G1は、X線源11と第2格子G2との間に配置されており、X線源11から照射されたX線により(タルボ効果によって)自己像を形成するために設けられている。なお、タルボ効果は、可干渉性を有するX線が、スリットが形成された格子を通過すると、格子から所定の距離(タルボ距離)離れた位置に、格子の像(自己像)が形成されることを意味する。
【0026】
第2格子G2は、Y方向に所定の周期(格子ピッチ)d2で配列される複数のスリットG2aおよびX線吸収部G2bを有している。各スリットG2aおよびX線吸収部G2bは、X方向に延びるように形成されている。
【0027】
第2格子G2は、第1格子G1と画像信号検出器12との間に配置されており、第1格子G1により形成された自己像と干渉させるために設けられている。第2格子G2は、自己像と第2格子G2とを干渉させるために、第1格子G1からタルボ距離だけ離れた位置に配置されている。
【0028】
画像信号検出器12は、X線源11から照射されたX線を検出するとともに、検出されたX線を電気信号に変換する。画像信号検出器12は、たとえば、FPD(Flat Panel Detector)である。画像信号検出器12は、複数の変換素子(図示せず)と複数の変換素子上に配置された画素電極(図示せず)とにより構成されている。複数の変換素子および画素電極は、所定の周期(画素ピッチ)で、X方向およびY方向に並んで配置されている。画像信号検出器12の検出信号(画像信号)は、制御部21が備える画像処理部21aへと送られる。
【0029】
制御部21は、X線画像を生成可能な画像処理部21aを備えている。また、制御部21は、移動機構40の動作を制御するように構成されている。制御部21は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0030】
画像処理部21aは、画像信号検出器12から送られた検出信号に基づいて、位相コントラスト画像をを生成するように構成されている。画像処理部21aは、たとえば、GPU(Graphics Processing Unit)や画像処理用に構成されたFPGA(Field−Programmable Gate Array)などのプロセッサを含む。位相コントラスト画像は、第1格子G1や第2格子G2を使用して撮影した画像の総称であって、例えば、吸収像、位相微分像、暗視野像の少なくとも1つを含む。吸収像は、被写体TによるX線の吸収度合の差に基づいて画像化したX線画像である。位相微分像は、X線の位相のずれに基づいて画像化したX線画像である。暗視野像は、物体の小角散乱に基づくVisibilityの変化によって得られる、Visibility像のことである。また、暗視野像は、小角散乱像とも呼ばれる。「Visibility」とは、鮮明度のことである。
【0031】
位相コントラスト画像は、第1格子G1または第2格子G2の少なくともいずれかを格子のピッチの方向(Y方向)に並進させた場合のX線の信号強度変化曲線に基づいて生成される。具体的には、位相微分像は、被写体Tを通過したX線が屈折することを利用して、被写体Tを配置しない場合のX線の信号強度変化曲線に対する、被写体Tを配置した場合のX線の信号強度変化曲線の位相のずれの大きさを画像化することにより生成される。吸収像は、被写体Tを配置しない場合の(信号強度変化曲線に含まれる)X線の検出強度に対する、被写体Tを配置した場合の(信号強度変化曲線に含まれる)X線の検出強度の差を画像化することにより生成される。暗視野像は、被写体Tを配置しない場合のX線の信号強度変化曲線の振幅に対する、被写体Tを配置した場合のX線の信号強度変化曲線の振幅の減少量(つぶれ方)の大きさを画像化することにより生成される。
【0032】
被写体ステージ30は、被写体Tを保持することが可能な載置面30aを有する。被写体ステージ30は、たとえば、図示しないチャック機構やハンド機構等の被写体ステージ30の保持機構を有していてもよい。また、被写体ステージ30は、移動機構40により光軸方向と直交する鉛直方向の下側(Y1方向)から支持されるように構成されている。
【0033】
移動機構40は、被写体ステージ30を光軸方向(Z方向)へ移動させることが可能に構成されている。移動機構40は、可動ベース部41と、直動機構42と、駆動部43と、を備えている。
【0034】
可動ベース部41は、被写体ステージ30の下方に配置され、被写体ステージ30を支持するように構成されている。すなわち、可動ベース部41は、被写体ステージ30とともに光軸方向へ移動するように構成されている。なお、可動ベース部41は、光軸方向において、X線源11と第2格子G2との間で移動可能に構成されている。
【0035】
直動機構42は、可動ベース部41を被写体ステージとともに光軸方向に移動させるための直動機構である。直動機構42は、軸部42aと、移動部42bと、動力入力部42cと、を含む。
【0036】
直動機構42は、ボールネジ機構である。すなわち、軸部42aは、光軸方向に延びるボールネジ軸であり、移動部42bを光軸方向に移動させる。移動部42bは、軸部42aに螺合するボールナットであり、可動ベース部41に固定される。動力入力部42cは、駆動部43から入力された動力を軸部42aに伝達して軸部42aを回転させる。
【0037】
駆動部43は、直接、又は図示しない駆動伝達部を介して、動力入力部42cへ動力を入力するように構成されている。駆動部43は、たとえば、サーボモータやステッピングモータなどのモータである。駆動部43の動作は、制御部21により制御される。
【0038】
格子保持部50は、第1格子G1を保持する格子保持部51と、第2格子G2を保持する格子保持部52とを備えている。第1格子G1および第2格子G2は、それぞれ、格子保持部51および格子保持部52により光軸方向と直交する鉛直方向の上側(Y2方向)から支持されるように構成されている。すなわち、第1実施形態では、被写体ステージ30を支持する方向(Y1方向)と第1格子G1を支持する方向(Y2方向)とが互いに異なるように構成されている。
【0039】
以上の構成により、X線位相イメージング装置100では、移動機構40により、被写体Tを保持する被写体ステージ30を、(X線の照射範囲90内の)の撮影位置P1において、X線源11と第1格子G1との間の範囲RM1で、光軸方向に移動させることが可能である。
【0040】
(被写体ステージを第1格子を越えて光軸方向へ移動させるための構成)
ここで、第1実施形態では、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向へ移動することが可能に構成されている。なお、被写体ステージ30をX線源と第1格子G1との間で光軸方向に移動させた場合、被写体Tおよび被写体ステージ30が、X線源11または第1格子と干渉するのを回避する必要がある。
【0041】
そこで、図1を参照して、被写体ステージ30を干渉させることなく第1格子G1を越えて光軸方向(Z方向)へ移動させるための構成について説明する。
【0042】
図1に示すように、移動機構40は、直動機構44と、駆動部45と、をさらに備えている。
【0043】
直動機構44は、被写体ステージ30を光軸方向と直交する鉛直方向(Y方向)に移動させるための直動機構(昇降機構)である。直動機構44は、軸部44aと、移動部44bと、動力入力部44cと、を含む。
【0044】
直動機構44は、直動機構42と同様に、ボールネジ機構である。すなわち、軸部44aは、鉛直方向に延びるボールネジ軸であり、移動部44bを鉛直方向に移動させる。移動部44bは、軸部44aに螺合するボールナットであり、被写体ステージ30に固定される。動力入力部44cは、可動ベース部41に固定されており、駆動部45から入力された動力を軸部44aに伝達して軸部44aを回転させる。
【0045】
駆動部45は、直接、又は図示しない駆動伝達部を介して、動力入力部44cへ動力を入力するように構成されている。駆動部45は、たとえば、サーボモータやステッピングモータなどのモータである。駆動部45の動作は、制御部21により制御される。
【0046】
以上の構成により、X線位相イメージング装置100では、移動機構40により、被写体ステージ30を、光軸方向と直交する鉛直方向(Y方向)に移動させることが可能である。さらに、移動機構40は、被写体ステージ30を、撮影位置P1から、光軸方向から見て、被写体Tおよび被写体ステージ30が第1格子G1と重複(オーバラップ)しない位置までY1方向に移動させることが可能に構成されている。すなわち、第1実施形態では、X線位相イメージング装置100は、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向(Z方向)へ移動させる際に、被写体ステージ30を、被写体Tと第1格子G1とが光軸方向に干渉しない非干渉位置P2まで、光軸方向とは異なる方向(Y1方向)に退避させるように構成されている。
【0047】
(被写体ステージの第1格子を越えた光軸方向への移動)
次に、図2図4を参照して、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向へ移動させる動作について説明する。なお、被写体Tの現在の位置が、図1のように、撮影位置P1にあるものとする。また、被写体Tの現在の位置が、図1のように、Z方向において、X線源11と第1格子G1との間にあるものとする。
【0048】
まず、図2に示すように、制御部21が移動機構40を制御して、撮影位置P1にある被写体Tおよび被写体ステージ30を非干渉位置P2まで退避させる。具体的には、制御部21は、駆動部45を駆動させて、直動機構44により、被写体Tが保持された被写体ステージ30をY1方向に(被写体Tが非干渉位置P2まで退避するのに必要な)所定の距離(P1−P2分)だけ移動させる。
【0049】
次に、図3に示すように、制御部21が移動機構40を制御して、被写体Tが非干渉位置P2にある状態で被写体Tおよび被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向に移動させる。具体的には、制御部21は、駆動部43を駆動させて、直動機構42により、被写体Tが保持された被写体ステージ30をZ2方向に(被写体Tが光軸方向において第1格子G1を越えるのに必要な)所定の距離だけ移動させる。
【0050】
そして、図4に示すように、制御部21が移動機構40を制御して、第1格子G1と第2格子G2との間かつ非干渉位置P2にある被写体Tを撮影位置P1に復帰させる。具体的には、制御部21は、駆動部45を駆動させて、直動機構44により、被写体Tが保持された被写体ステージ30をY2方向に(被写体Tが撮影位置P1まで復帰するのに必要な)所定の距離(P2−P1分)だけ移動させる。
【0051】
以上のように、第1実施形態では、移動機構40が、被写体ステージ30を、光軸方向(Z方向)とは異なる方向(Y1方向)の非干渉位置P2に退避させるとともに、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向(Z方向)に移動させるように構成されている。
【0052】
したがって、X線位相イメージング装置100では、被写体Tを保持する被写体ステージ30を、移動機構40により、X線源11と第1格子G1との間の範囲RM1に加えて、第1格子G1と第2格子G2との間の範囲RM2(図4参照)で、光軸方向に移動させることが可能である。なお、X線源11と第1格子G1との距離と、第1格子G1と第2格子G2との距離とは、第1格子G1の格子ピッチd1と第2格子G2の格子ピッチd2とに依存するので、範囲RM1および範囲RM2の大きさは、図中に描いているように、略等しい距離になるとは限らない。
【0053】
(被写体の位置と位相コントラスト画像の拡大縮小率との関係)
次に、図5および図8を参照して、X線源11と画像信号検出器12との間における被写体Tの位置と、位相コントラスト画像の拡大縮小率との関係について説明する。
【0054】
図5(a)に示すように、被写体TをX線源から距離L1の位置に配置させた場合、画像信号検出器12により検出される被写体TのY方向の大きさはH1となる。これに対して、図5(b)に示すように、被写体TをX線源11から(距離L1よりも小さい)距離L2の位置に配置させた場合、画像信号検出器12に検出される被写体Tの(Y方向の)大きさは(H1よりも大きい)H2となる。
【0055】
すなわち、被写体TをX線源11側(Z1側)に近づけることにより、位相コントラスト画像における被写体Tを拡大させることができる。また、被写体Tを画像信号検出器12側(Z2側)に近づけることにより、位相コントラスト画像における被写体Tを縮小させることができる。なお、図5では、被写体Tを第1格子G1と第2格子G2との間に配置させた例を示していないが、被写体Tの拡大および縮小に関する性質は、X線源11と第1格子G1との間に配置させた場合と同様である。したがって、図8(a)に示すように、X線位相イメージング装置100では、位相コントラスト画像における拡大率は、光軸方向におけるX線源11から被写体Tまでの距離と負の相関がある。
【0056】
(被写体の位置と位相コントラスト画像におけるコントラストとの関係)
次に、図6図8を参照して、X線源11と画像信号検出器12との間における被写体Tの位置と、位相コントラスト画像におけるコントラストとの関係について説明する。
【0057】
図6(a)および図6(b)では、被写体Tを、X線源11と第1格子G1との間に配置させた場合を示している。図7(a)および図7(b)では、被写体Tを、第1格子G1と第2格子G2との間に配置させた場合を示している。また、図6(a)、図6(b)、図7(a)および図7(b)では、被写体Tを配置した場合のX線を実線で、被写体Tを配置しない場合のX線を鎖線で示している。また、図6(a)、図6(b)、図7(a)および図7(b)では、被写体Tの同位置に照射されたX線(実線)が、所定の角度で屈折される場合を示している。
【0058】
図6(a)に示すように、被写体Tを第1格子G1からX線源11側(Z1側)に距離GL1の位置に配置した場合、被写体Tを配置した場合と、被写体Tを配置しない場合との間で、第1格子G1を通過したX線が到達する位置がずれ量D1だけずれる。また、図6(b)に示すように、第1格子G1からX線源11側(Z1側)に(距離GL1よりも大きい)距離GL2の位置に配置した場合、被写体Tを配置した場合と、被写体Tを配置しない場合との間で、第1格子G1を通過したX線が到達する位置が(ずれ量D1よりも小さい)ずれ量D2だけずれる。
【0059】
図7(a)に示すように、被写体Tを第1格子G1から第2格子G2側(Z2側)に距離GL1の位置に配置した場合、被写体Tを配置した場合と、被写体Tを配置しない場合との間で、第1格子G1を通過したX線が到達する位置がずれ量D1だけずれる。また、図7(b)に示すように、第1格子G1から第2格子G2側(Z2側)に距離GL2の位置に配置した場合、被写体Tを配置した場合と、被写体Tを配置しない場合との間で、第1格子G1を通過したX線が到達する位置がずれ量D2だけずれる。
【0060】
すなわち、被写体TをX線源11側と第2格子G2側とのいずれに配置した場合でも、被写体Tを第1格子G1に近付ける(被写体Tと第1格子G1との距離を小さくする)ことにより、被写体TによるX線の位相のずれが大きくなる。また、被写体Tを第1格子G1から遠ざける(被写体Tと第1格子G1との距離を大きくする)ことにより、被写体TによるX線の位相のずれが小さくなる。したがって、図8(b)に示すように、X線の位相のずれの大きさ(位相コントラスト画像におけるコントラスト)は、被写体Tの第1格子G1からの距離と負の相関がある。
【0061】
(位相コントラスト画像の拡大縮小率と位相コントラスト画像におけるコントラストとの関係)
なお、図8(b)に示すように、位相コントラスト画像におけるコントラストは、第1格子G1のX線源11側と第2格子G2側とで、第1格子G1からの距離と同じ比率で負の相関がある。具体的には、第1格子G1のX線源11側において、第1格子G1からの距離GLの位置に被写体Tを配置した場合のコントラストは、第1格子G1の第2格子G2側において、第1格子G1からの距離GLの位置に被写体Tを配置した場合のコントラストと略等しい。
【0062】
ここで、X線位相イメージング装置100では、上記したように、被写体Tを、撮影位置P1において、X線源11と第1格子G1との間の範囲RM1、および、第1格子G1と第2格子G2との間の範囲RM2で、光軸方向に移動させることが可能である。したがって、第1実施形態では、範囲RM1、範囲RM2の範囲内において、被写体ステージ30を、第1格子G1のX線源11側の第1範囲R1と、第1格子G1の第2格子G2側において第1格子G1からの距離GLが第1範囲R1と等しい第2範囲R2とに移動させることが可能である。
【0063】
これにより、第1格子G1からの距離GLが等しいことにより互いに位相コントラスト画像におけるコントラストが略等しくなる位置が、第1格子G1のX線源11側と第2格子G2側とのいずれにも含まれる。すなわち、X線位相イメージング装置100では、範囲RM1、範囲RM2の範囲内で、それぞれ、第1格子G1からの距離GLが等しくなる2箇所において、被写体Tの撮影を行うことが可能である。その結果、X線位相イメージング装置100では、略等しいコントラストで、2種類の拡大率のX線画像を撮影することが可能である。また、X線位相イメージング装置100では、図8に示すように、距離GLに対応するコントラストの変動幅の範囲内でありながら、2×GL分の範囲で拡大率を変更することが可能である。なお、第1範囲R1および第2範囲R2の幅は、被写体Tのコントラストに依存した第1格子G1からの距離GLにより決定される。また、第1範囲R1および第2範囲R2の幅は、それぞれ、範囲RM1および範囲RM2を超えることはない。
【0064】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0065】
第1実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100は、被写体Tを保持する被写体ステージ30を移動させる移動機構40を備える。移動機構40は、被写体ステージ30を、第1格子G1のX線源11側(Z1側)と第1格子G1の第2格子G2側(Z2側)とに移動させることができる。これにより、第1格子G1のX線源11側のみで被写体ステージ30の位置を変更する構成と比較して、被写体ステージ30を光軸方向(Z軸方向)へ移動させることが可能な範囲を第1格子G1のX線源11側に加えて第2格子G2側にも拡張することができる。位相コントラスト画像におけるコントラストの大きさは、被写体Tの第1格子G1からの距離に依存するので、被写体ステージ30を、第1格子G1に対してX線源11側と第2格子G2側との両方に移動できる場合、コントラストが同等のレベルの範囲を、第1格子G1のX線源11側と第2格子G2側との両方に確保することができる。その結果、位相コントラスト画像において、視認性を確保しつつ、被写体Tの拡大縮小率の可変範囲を拡張することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100において、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向(Z方向)へ移動させる際に、被写体ステージ30を、被写体Tと第1格子G1とが光軸方向に干渉しない非干渉位置P2まで、光軸方向とは異なる方向(Y1方向)に退避させるように構成する。これにより、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向へ移動させる際に、被写体Tと第1格子G1とが干渉することを抑制することができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100において、被写体ステージ30を支持する方向(Y1方向)と第1格子G1を支持する方向(Y2方向)とが互いに異なるように構成する。これにより、被写体ステージ30と第1格子G1とを異なる方向から支持することによって、被写体ステージ30と第1格子G1とが同じ方向から支持される場合と比較して、被写体ステージ30を支持する構造(移動機構40)と第1格子G1を支持する構造(格子保持部51)とが干渉しないようにするための配置の制限を受けにくい。また、被写体ステージ30を支持する構造および第1格子G1を支持する構造を互いに遠ざかる方向へ移動させることにより、被写体ステージ30に対して、支持される方向に退避させることができるので、簡素な装置構成を実現することができる。その結果、被写体ステージ30と第1格子G1とを同じ方向から支持する場合と比較して、被写体Tと第1格子G1とが干渉することを容易に抑制することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100において、移動機構40が、被写体ステージ30を、光軸方向(Z方向)とは異なる方向(Y1方向)に退避させるとともに、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向に移動させるように構成する。これにより、1つの移動機構40により、被写体ステージ30を、非干渉位置P2まで退避させるとともに、第1格子G1を越えて光軸方向に移動させることができる。その結果、少ない部品点数で、被写体Tと第1格子G1とが干渉することなく、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向へ移動させるための装置構成(移動機構40の簡素化)を実現することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置100において、移動機構40が、被写体ステージ30を、第1格子G1のX線源11側の第1範囲R1と、第1格子G1の第2格子G2側において第1格子G1からの距離GLが第1範囲R1と等しい第2範囲R2とに移動させることが可能に構成する。これにより、第1格子G1からの距離GLが等しいことにより互いに位相コントラスト画像におけるコントラストが等しくなる位置を、第1範囲R1と第2範囲R2のいずれにも含まれるようにすることができる。その結果、コントラストを変えることなく拡大縮小率を変えた位相コントラスト画像を確実に生成することができる。
【0070】
[第2実施形態]
次に、図9図12を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、被写体ステージ30に対して光軸方向(Z方向)への移動と非干渉位置P2への退避との両方を行った移動機構40を備える上記第1実施形態のX線位相イメージング装置100とは異なり、非干渉位置P3への退避を行う機構を被写体ステージ30の移動機構240とは別個に設けた例について説明する。なお、図中において、上記第1実施形態と同様の構成には、同一の符号を付している。
【0071】
(X線位相イメージング装置の構成)
本発明の第2実施形態によるX線位相イメージング装置200は、図9に示すように、移動機構240と、退避機構60と、制御部221と、位置検出部23と、を備えている。なお、X線位相イメージング装置200は、特許請求の範囲の「放射線位相差撮影装置」の一例である。
【0072】
移動機構240は、第1実施形態のX線位相イメージング装置100の移動機構40と同様に、被写体ステージ30を光軸方向(Z方向)へ移動させることが可能に構成されている。一方、移動機構240は、第1実施形態のX線位相イメージング装置100の移動機構40とは異なり、被写体ステージ30を非干渉位置P3へ退避させるための構成が設けられていない。すなわち、移動機構240は、第1実施形態のX線位相イメージング装置100の移動機構40から直動機構42および駆動部43が省かれた構成となっている。
【0073】
退避機構60は、第1格子G1を非干渉位置P3へ退避させるための構成である。すなわち、退避機構60は、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向へ移動させるために設けられている。退避機構60は、吊り下げ部61と、直動機構62と、駆動部63と、を備えている。
【0074】
吊り下げ部61は、直動機構62に固定されるとともに、第1格子G1および第2格子G2をY2方向側から吊り下げるように構成されている。
【0075】
直動機構62は、第1格子G1および第2格子G2を光軸方向と直交する鉛直方向(Y方向)に移動させるための直動機構(昇降機構)である。直動機構62は、軸部62aと、移動部62bと、動力入力部62cと、を含む。
【0076】
直動機構62は、第1実施形態のX線位相イメージング装置100における直動機構42および直動機構44と同様に、ボールネジ機構である。すなわち、軸部62aは、鉛直方向に延びるボールネジ軸であり、移動部62bを鉛直方向に移動させる。移動部62bは、軸部62aに螺合するボールナットであり、吊り下げ部61に固定される。動力入力部62cは、駆動部45から入力された動力を軸部62aに伝達して軸部62aを回転させる。
【0077】
駆動部63は、直接、又は図示しない駆動伝達部を介して、動力入力部62cへ動力を入力するように構成されている。駆動部63は、たとえば、サーボモータやステッピングモータなどのモータである。駆動部63の動作は、制御部221により制御される。
【0078】
制御部221は、移動機構240および退避機構60の動作を制御するように構成されている。また、制御部221は、位置検出部23から送られた信号に基づいて、退避機構60の動作を停止させる制御を行うように構成されている。
【0079】
位置検出部23は、光軸方向における被写体Tの位置を検出するように構成されている。位置検出部23は、第1格子G1が非干渉位置P3から撮影位置P1に復帰する際に、復帰しようとする位置に被写体Tが配置されている場合、制御部221に退避機構60の動作を停止させるための信号を出力するように構成されている。これにより、移動機構240は、退避機構60により退避された第1格子G1の復帰位置以外の位置に被写体ステージ30を移動させることが可能である。位置検出部23は、たとえば、赤外線センサなどの光学センサ、イメージセンサ(カメラ)などを含む。
【0080】
以上の構成により、X線位相イメージング装置200では、第1格子G1を、退避機構60により、光軸方向と直交する鉛直方向(Y方向)に移動させることが可能である。さらに、退避機構60は、第1格子G1を、光軸方向から見て、第1格子G1が被写体Tおよび被写体ステージ30と重複(オーバラップ)しない位置までY2方向に移動させることが可能に構成されている。すなわち、第2実施形態では、X線位相イメージング装置200は、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向(Z方向)へ移動させる際に、第1格子G1を、被写体Tと第1格子G1とが光軸方向に干渉しない非干渉位置P3まで、光軸方向とは異なる方向(Y2方向)に退避させるように構成されている。
【0081】
(被写体ステージの第1格子を越えた光軸方向への移動)
次に、図10図12を参照して、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向へ移動させる動作について説明する。なお、被写体Tの現在の位置が、図9のように、撮影位置P1にあるものとする。また、被写体Tの現在の位置が、図9のように、Z方向において、X線源11と第1格子G1との間にあるものとする。
【0082】
まず、図10に示すように、制御部221が退避機構60を制御して、撮影位置P1にある第1格子G1を非干渉位置P3まで退避させる。具体的には、制御部221は、駆動部63を駆動させて、直動機構62により、格子保持部51に保持された第1格子G1をY2方向に(第1格子G1が非干渉位置P3まで退避するのに必要な)所定の距離(P1−P3分)だけ移動させる。
【0083】
次に、図11に示すように、制御部221が移動機構240を制御して、第1格子G1が非干渉位置P3にある状態で被写体Tおよび被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向に移動させる。具体的には、制御部221は、駆動部43を駆動させて、直動機構42により、被写体Tが保持された被写体ステージ30をZ2方向に(被写体Tが光軸方向において第1格子G1を越えるのに必要な)所定の距離だけ移動させる。
【0084】
そして、図12に示すように、制御部221が退避機構60を制御して、光軸方向において被写体ステージ30よりも画像信号検出器12側(Z2側)かつ非干渉位置P3にある第1格子G1を撮影位置P1に復帰させる。具体的には、制御部221は、駆動部63を駆動させて、直動機構62により、格子保持部51に保持された第1格子G1をY1方向に(第1格子G1が撮影位置P1まで復帰するのに必要な)所定の距離(P3−P1分)だけ移動させる。
【0085】
以上のように、第2実施形態では、退避機構60により第1格子G1を非干渉位置P3まで退避させた状態において、移動機構40が、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向に移動させるように構成されている。
【0086】
なお、第2実施形態のその他の構成については、上記第1実施形態と同様である。
【0087】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0088】
第2実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置200は、被写体Tを保持する被写体ステージ30を移動させる移動機構240を備える。移動機構240は、被写体ステージ30を、第1格子G1のX線源11側(Z1側)と第1格子G1の第2格子G2側(Z2側)とに移動させることができる。これにより、第1実施形態のX線位相イメージング装置100と同様に、位相コントラスト画像において、視認性を確保しつつ、被写体Tの拡大縮小率の可変範囲を拡張することができる。
【0089】
また、第2実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置200において、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向(Z方向)へ移動させる際に、第1格子G1を、被写体Tと第1格子G1とが光軸方向に干渉しない非干渉位置P3まで、光軸方向とは異なる方向(Y2方向)に退避させるように構成する。これにより、第1実施形態のX線位相イメージング装置100と同様に、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向へ移動させる際に、被写体Tと第1格子G1とが干渉することを抑制することができる。
【0090】
また、第2実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置200は、第1格子G1を、光軸方向(Z方向)とは異なる方向(Y2方向)に退避させる退避機構60を備える。移動機構240を、退避機構60により第1格子G1を非干渉位置まで退避させた状態において、被写体ステージ30を第1格子G1を越えて光軸方向に移動させるように構成する。これにより、退避機構60および移動機構240を、それぞれ、非干渉位置P3まで退避させるための機能、および、第1格子G1を光軸方向に移動させるための機能に特化した単純な構成にすることができる。その結果、装置構成の複雑化を抑制しつつ、被写体Tと第1格子G1とが干渉することなく、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向へ移動させるための装置構成(移動機構の簡素化)を実現することができる。
【0091】
また、第2実施形態では、上記のように、X線位相イメージング装置200は、被写体Tの位置を検出する位置検出部23をさらに備える。移動機構240を、位置検出部23により検出された被写体Tの位置に基づいて、退避機構60により退避された第1格子G1の復帰位置以外の位置に被写体ステージ30を移動させるように構成する。これにより、退避機構60により退避された第1格子G1を撮影位置P1に復帰させる際に、第1格子G1が被写体Tおよび被写体ステージ30と接触することを回避することができる。
【0092】
なお、第2実施形態のその他の効果については、上記第1実施形態と同様である。
【0093】
[変形例]
今回開示された実施形態は、全ての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更(変形例)が含まれる。
【0094】
たとえば、上記第1実施形態では、被写体ステージ30を、被写体Tと第1格子G1とが光軸方向に干渉しない非干渉位置P2まで、Y1方向に退避させるように構成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被写体ステージを、Y2方向に退避させるようにしてもよいし、X方向に退避させるように構成してもよい。
【0095】
また、上記第2実施形態では、第1格子G1を、被写体Tと第1格子G1とが光軸方向に干渉しない非干渉位置P3まで、Y2方向に退避させるように構成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被写体ステージを、Y1方向に退避させるようにしてもよいし、X方向に退避させるように構成してもよい。
【0096】
また、上記第1実施形態では、被写体ステージ30を支持する方向と、被写体ステージ30を退避させる方向とを、いずれも同じ方向(Y1方向)としたが、本発明はこれに限られない。本発明では、被写体ステージを支持する方向と、被写体ステージを退避させる方向とを、互いに異なる方向となるように構成してもよい。
【0097】
また、上記第2実施形態では、第1格子G1を支持する方向と、第1格子G1を退避させる方向とを、いずれも同じ方向(Y2方向)としたが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1格子を支持する方向と、第1格子を退避させる方向とを、互いに異なる方向となるように構成してもよい。
【0098】
また、上記第1実施形態では、移動機構40により、被写体ステージ30を退避させるように構成させ、上記第2実施形態では、退避機構60により、第1格子G1を退避させるように構成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、上記第1実施形態の移動機構により被写体ステージを退避させる構成と、上記第2実施形態の退避機構により第1格子を退避させる構成との両方を設けてもよい。
【0099】
また、上記第1および上記第2実施形態では、直動機構42、44および62をボールネジ機構として構成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、直動機構は、所定の方向に直動させるための機構であれば、たとえば、ベルトプーリ機構やラックピニオン機構などとして構成してもよい。
【0100】
また、上記第1および上記第2実施形態では、被写体ステージ30を、第1格子G1のX線源11側(Z1側)の第1範囲R1と、第1格子G1の第2格子G2側(Z2側)において第1格子G1からの距離GLが第1範囲R1と略等しい第2範囲R2とに移動させることが可能に構成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、被写体ステージ30を移動させる範囲を、第1格子G1のX線源11側(Z1側)と、第1格子G1の第2格子G2側(Z2側)とにおいて、互いに異なるように構成してもよい。
【0101】
また、上記第1および上記第2実施形態では、複数の格子として、第1格子G1と第2格子G2とを含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1格子および第2格子に加えて、X線源と第1格子との間に、X線源から照射されたX線を微小焦点化することが可能な格子(マルチスリット)である第3格子をさらに備えるようにしてもよい。たとえば、上記第1実施形態の構成および上記第1実施形の構成が第3格子をさらに備える場合は、それぞれ、図13に示す第1実施形態の変形例のX線位相イメージング装置300、および、図14に示す第2実施形態の第1変形例のX線位相イメージング装置400のような構成となる。なお、X線位相イメージング装置300およびX線位相イメージング装置400は、特許請求の範囲の「放射線位相差撮影装置」の一例である。
【0102】
X線位相イメージング装置300は、X線位相イメージング装置100の構成に加えて、第3格子G3と、格子保持部350と、をさらに備える。格子保持部350は、格子保持部51および格子保持部52に加えて第3格子G3を保持する格子保持部53を含む。なお、第3格子G3は、X線源11の近傍に配置される。したがって、X線位相イメージング装置300では、X線源11と第1格子G1との間において、被写体ステージ30を、第1格子G1と第3格子G3との間の範囲RM3において、光軸方向に移動させることが可能に構成される。
【0103】
X線位相イメージング装置400は、X線位相イメージング装置200の構成に加えて、第3格子G3と、格子保持部53を含む格子保持部350と、をさらに備える。また、X線位相イメージング装置400は、X線位相イメージング装置200とは異なり、第1格子G1および第2格子G2に加えて第3格子G3も吊り下げることが可能な吊り下げ部461を含む退避機構460を備える。なお、第2実施形態の第1変形例のX線位相イメージング装置400では、第1実施形態の変形例のX線位相イメージング装置300と同様に、X線源11と第1格子G1との間において、被写体ステージ30を、第1格子G1と第3格子G3との間の範囲RM3において、光軸方向に移動させることが可能に構成される。
【0104】
また、上記第2実施形態では、退避機構60により、第1格子G1および第2格子G2をY2方向へ移動させるように構成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、図15に示す第2実施形態の第2変形例のX線位相イメージング装置500のように、第1格子G1のみをY2方向へ移動させるにしてもよい。なお、X線位相イメージング装置500は、特許請求の範囲の「放射線位相差撮影装置」の一例である。
【0105】
X線位相イメージング装置500は、格子保持部51および格子保持部52を吊り下げる吊り下げ部61を含む退避機構60を備えたX線位相イメージング装置200とは異なり、吊り下げ部561を含む退避機構560を備えている。吊り下げ部561は、第1格子G1を保持する格子保持部51と、第2格子G2を保持する格子保持部52のうち、格子保持部51のみを吊り下げるように構成されている。
【0106】
また、上記第2実施形態では、被写体ステージ30を第1格子G1を越えてX線の光軸方向(Z方向)へ移動させる際に、第1格子G1を、非干渉位置P3まで退避させるように構成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、退避機構により格子を退避させた状態で、X線の強度に基づく吸収画像を生成するように構成する装置構成としても併用することができる。
【0107】
また、上記第1および上記第2実施形態では、タルボ効果による自己像を形成するために、第1格子G1を位相格子とした例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、自己像は縞模様であればよいので、位相格子の代わりに吸収格子を用いてもよい。吸収格子を用いると、距離などの光学条件により単純に縞模様が発生する領域(非干渉計)と、タルボ効果による自己像が生じる領域(干渉計)とが生じる。
【0108】
また、上記第1および上記第2実施形態では、第1格子G1を、Y方向に所定の周期(格子ピッチ)d1で配列されるスリットG1aおよびX線吸収部G1bを有するとともに、各スリットG1aおよびX線吸収部G1bを、X方向に延びるように形成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1格子G1を、X方向に所定の周期(格子ピッチ)で配列されるスリットおよびX線吸収部を有するとともに、各スリットおよびX線吸収部を、Y方向に延びるように形成させてもよい。
【0109】
また、上記第1および上記第2実施形態では、第2格子G2を、Y方向に所定の周期(格子ピッチ)d2で配列されるスリットG2aおよびX線吸収部G2bを有するとともに、各スリットG2aおよびX線吸収部G2bを、X方向に延びるように形成させた例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2格子G2を、X方向に所定の周期(格子ピッチ)で配列されるスリットおよびX線吸収部を有するとともに、各スリットおよびX線吸収部を、Y方向に延びるように形成させてもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 画像信号生成系
11 X線源
12 画像信号検出器
21a 画像処理部
23 位置検出部
30 被写体ステージ
40、240 移動機構
60、460、560 退避機構
100、200、300、400、500 X線位相イメージング装置(放射線位相差撮影装置)
G1 第1格子
G2 第2格子
G3 第3格子
GL (第1格子からの)距離
T 被写体
P2 非干渉位置
R1 第1範囲
R2 第2範囲
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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図15