(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
文書や画像を印刷可能な複合機(Multifunctional Peripheral, MFP)等の画像形成装置が存在する。近年、ほとんどの企業では、オフィスに複数の画像形成装置を設置している。
従来から、これらの画像形成装置を管理する画像形成システムが存在する。画像形成装置は、この画像形成システム上で、様々な事業所及び人々によって使用される。
従来の画像形成システムにおいては、同じシステムを使用する企業等を区別して管理するために、企業等がシステム内のグループとして分類される。この上で、画像形成システムの各ユーザーは、それぞれの所属したグループにのみアクセス権が与えられる。
【0003】
特許文献1を参照すると、顧客サイトに設置された一以上の画像形成装置に対してリモート保守等を行うためのライセンスに関する情報を記憶したライセンス管理DBと、ライセンスを得るための契約を結ぶ組織を表すグループ及びグループの種別を表すグループ種別の情報を記憶したグループ管理DBと、グループ管理DBからグループを抽出するグループ認識部と、抽出されたグループのグループ種別を判定し、判定されたグループ種別に基づいて、ライセンスを付与するライセンス管理部とを備えたライセンス管理サーバーが開示されている(以下、従来技術という。)。
このように、従来技術では、グループをツリー構造で階層化して管理している。
【0004】
ここで、複数の画像形成装置の管理を委任している企業等について、グループを設定したいことがある。このため、従来技術では、国等を統括する管理者の所属するグループの下位に、管理を委任している企業等のグループ(以下、「委任グループ」という。)を、通常のグループと変わらない属性で設定可能である。すなわち、従来技術では、「委任グループ」と通常の下位グループとを区別していない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施の形態>
〔画像形成システムXのシステム構成〕
まず、
図1を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXのシステム構成について説明する。
本実施形態の画像形成システムXは、サーバー1、画像形成装置2、及び端末3を含む。
【0012】
サーバー1は、画像形成装置2を保守管理する、PC(Personal Computer)や汎用機等の情報処理装置である。サーバー1は、各画像形成装置2を遠隔管理し、主に課金、保守、サービス対応を行う。サーバー1は、いわゆる「クラウド」上のサーバーであってもよい。
なお、本実施形態において、サーバー1は、顧客に対する通知を行う電子メールや各種メッセンジャー(以下、単に「メール」という。)の送信や受信を行うサービス(service、daemon)を実行可能であってもよい。
また、サーバー1は、画像処理、OCR(Optical Character Recognition)処理、分類処理、及び、電子メールや共有フォルダー(文書ボックス、保存フォルダー)や業務若しくは事務用のDMS(Document Management System)等への送信処理を実行可能であってもよい。
【0013】
画像形成装置2は、MFP、ネットワークスキャナー、ドキュメントスキャナー、ネットワークFAX、プリンター等の情報処理装置である。また、画像形成装置2は、文書の複写(コピー)、印刷、スキャン、ファクシミリ送信等をすることも可能である。
【0014】
端末3は、画像形成装置2の管理に関するユーザーが使用する端末である。このユーザーは、顧客、サービスパーソン、サポート要員、管理者等であってもよい。
具体的には、端末3は、PC、携帯電話、スマートフォン、タブレット、PDA(Personal Data Assistant)、業務用サポート端末、専用端末等である。また、端末3は、各種汎用のOS(Operating System)等が動作している。また、端末3は、各種アプリケーションソフトウェア(Application Software、アプリケーション、以下、単に「アプリ」という。)をインストール(install)することが可能である。
【0015】
ネットワーク5は、LAN(Local Area Network)、又は、インターネット、携帯電話網等のWAN(Wide Area Network)である。また、ネットワーク5は、音声電話回線や専用線等であってもよい。加えて、ネットワーク5は、別のネットワークを介して、WANに接続されるような構成であってもよい。また、ネットワーク5は、VPN(Virtual Private Network)を形成していてもよい。
【0016】
(サーバー1の制御構成)
次に、
図2を参照して、サーバー1の制御構成について説明する。
サーバー1は、制御部10、ネットワーク送受信部15、及び記憶部19等を含む。各部は、制御部10に接続され、制御部10によって動作制御される。
【0017】
制御部10は、GPP(General Purpose Processor)、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等の情報処理部である。
制御部10は、記憶部19のROMやHDDに記憶されている制御プログラムを読み出して、この制御プログラムをRAMに展開させて実行することで、後述する機能ブロックの各部として動作させられる。
【0018】
ネットワーク送受信部15は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網等の外部ネットワークに接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部である。
ネットワーク送受信部15は、データ通信用の回線ではデータを送受信し、音声電話回線では音声信号を送受信する。
【0019】
記憶部19は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリーやHDD(Hard Disk Drive)等の一時的でない記録媒体である。
記憶部19のROMやHDDにはサーバー1の動作制御を行うための制御プログラムが記憶されている。これに加えて、記憶部19は、ユーザーのアカウント設定200も記憶している。また、記憶部19には、ユーザー毎の保存フォルダーの領域が含まれていてもよい。
【0020】
なお、サーバー1において、制御部10は、GPU内蔵CPU、チップ・オン・モジュールパッケージ、SOC(System On a Chip)等のように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部10は、RAMやROMやフラッシュメモリー等を内蔵していてもよい。
【0021】
〔サーバー1の機能構成〕
ここで、
図3を参照し、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXのサーバー1の機能構成について説明する。
サーバー1の制御部10は、階層分類部100、グループ種別設定部110、及び閲覧管理部120を備えている。
記憶部19は、アカウント設定200、及び保守管理情報220を格納している。
【0022】
階層分類部100は、画像形成装置2の管理に関するユーザーをまとめたグループをツリー構造で分類する。
【0023】
グループ種別設定部110は、階層分類部100にて分類されたグループの種別を、通常グループ及び委任グループに設定する。
【0024】
閲覧管理部120は、端末3等からユーザーがログインした際に、グループ種別設定部110により委任グループに設定されたグループについては、上位グループに所属するユーザーであっても閲覧させない「排他的管理」の閲覧管理を行う。閲覧管理部120は、例えば、WWWサーバーのCGI(Common Gateway Interface)やASPを用いて、動的にページを作成して送信する。
また、閲覧管理部120は、排他的管理に加えて、選択されたグループと直接関係する情報を閲覧させる「選択グループのみ」の閲覧管理、及びアクセス可能なグループを全て閲覧させる「アクセス可能グループ」の閲覧管理を選択させてもよい。
【0025】
アカウント設定200は、端末3のユーザーのユーザーID(Identification)、パスワード、ライセンス、権限及び許可の情報等が格納されたデータベースである。加えて、アカウント設定200は、保守管理される画像形成装置2の情報、及び、ユーザーと画像形成装置2との対応づけに関する情報等も含まれている。加えて、アカウント設定200は、各ユーザーの所属するグループの情報を、ツリー構造を含めて格納する。
【0026】
図4は、このアカウント設定200のグループのツリー構造の一例を示す。
この例では、各グループが、その配下の画像形成装置2を管理している。この上で、各グループが階層的な構造に設定されている。また、各グループは、通常グループと委任グループとに設定される。
この例では、「WORLD」のグループを最上位のグループとして、その下位に、「AMERICA」、「ASIA」、「EUROPE」の各グループが設定されている。また、「ASIA」グループの下位には、「China」、「Japan」、及び「Philippines」が設定されている。同様に、「EUROPE」グループの下位には、「France」及び「Italy」グループが設定されている。また、この例では、四角内をグレーで示す「Japan」と「EUROPE」のグループが、委任グループに設定されている。
【0027】
保守管理情報220は、画像形成装置2の保守管理用の情報である。この保守管理用の情報は、ログ、診断データ、出力枚数等のカウント、課金、画像形成装置2の設置場所(顧客環境)や顧客の連絡先等の情報を含んでいてもよい。さらに、保守管理情報220は、顧客からの故障やメンテナンスの具体的内容についての情報が含まれていてもよい。
【0028】
ここで、サーバー1の制御部10は、記憶部19に記憶された制御プログラムを実行することで、階層分類部100、グループ種別設定部110、及び閲覧管理部120として機能させられる。
また、上述のサーバー1の各部は、本発明の画像形成方法を実行するハードウェア資源となる。
なお、上述の機能構成の一部又は任意の組み合わせをICやプログラマブルロジックやFPGA(Field-Programmable Gate Array)等でハードウェア的に構成してもよい。
【0029】
〔サーバー1によるグループ閲覧管理処理〕
次に、
図5〜
図9を参照して、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXのサーバー1によるグループ閲覧管理処理の説明を行う。
本実施形態のグループ閲覧管理処理では、画像形成装置の管理に関するユーザーをまとめたグループをツリー構造で分類する。そして、分類されたグループの種別を、通常グループ及び委任グループに設定する。委任グループに設定されたグループについては、上位グループに所属するユーザーであっても閲覧させない排他的管理を行う。また、それ以外の閲覧管理も選択可能とする。
本実施形態のグループ閲覧管理処理は、主にサーバー1の制御部10が、記憶部19に記憶されたプログラムを、各部と協働し、ハードウェア資源を用いて実行する。
以下で、
図5のフローチャートを参照して、本実施形態のグループ閲覧管理処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0030】
(ステップS101)
まず、階層分類部100が、階層分類処理を行う。
階層分類部100は、画像形成装置2の管理に関するユーザーをまとめたグループをツリー構造で分類する。
本実施形態の画像形成システムXは、システムを使用している異なる企業を代表する多くのグループを含んでいる。
階層分類部100は、画像形成システムXの管理者等の管理端末(図示せず)からのアクセスがあった場合、画像形成装置2の管理に関するユーザーを階層に分類し、アカウント設定に設定する。
【0031】
(ステップS102)
次に、グループ種別設定部110が、グループ種別設定処理を行う。
グループ種別設定部110は、階層分類部100にて分類されたグループの種別を、通常グループ及び委任グループに設定する。
本実施形態の画像形成システムXで登録されたユーザーは、通常、複数のグループを管理する。
このため、グループ種別設定部110は、上述のように、「通常グループ」及び「委任グループ」の二種類のグループに設定することが可能である。
ここで、本実施形態の委任グループは、管理者又はマネージャーが、各グループを管理するために割り当てられ又は委任されたグループである。本実施形態においては、委任グループは、上位階層のグループになる。
他方では、通常グループは、その上部の委任グループの管理に従うグループである。管理者又はマネージャーは、通常グループを管理するためには、特に割り当てられない。その代わりに、通常グループは、その上部の委任グループの管理に依存する。
【0032】
(ステップS103)
次に、閲覧管理部120が、閲覧管理処理を行う。
閲覧管理部120は、ユーザーが端末3を介してログインした際に、アカウント設定200及び保守管理情報220を読み出して、ログインしたユーザーの所属グループに対応したウェブページを送信する。
ここで、ユーザーは、グループウィンドウ内の「インクルード」オプションにより、グループのツリー構造における閲覧範囲の方式を変更することが可能である。
この閲覧範囲の方式は、下記の三つが設定されている:
・選択グループのみ(Exclusive to this group)
・排他的管理(Exclusively managed)
・アクセス可能グループ(All accessible)
【0033】
図6により、「選択グループのみ」の閲覧範囲について説明する。
この閲覧範囲では、閲覧管理部120は、選択されたグループと直接関係する情報を閲覧させる。すなわち、通常グループ又は委任グループの差異なく、選択したグループを閲覧させる。
図6(a)の画面例501に示すように、「ASIA」グループが選択された際には、「ASIA」グループの情報だけが表示される。具体的には、
図6(b)に示すように、「ASIA」グループの配下の画像形成装置2が閲覧可能となる。
同様に、「WORLD」グループが選択されれば、「WORLD」グループの情報だけが表示される。この場合も、「WORLD」グループの配下の画像形成装置2を閲覧可能となる。「AMERICA」「EUROPE」「China」「Japan」「Philippines」「France」「Italy」グループについても、同様に、そのグループのみの情報を閲覧することが可能である。
【0034】
図7により、「排他的管理」の閲覧範囲について説明する。
この閲覧範囲では、閲覧管理部120は、選択されたグループ及び下位の通常グループの情報を示す。この際、委任グループ、及び委任グループの下位のグループは、情報を閲覧させないよう、排他的に閲覧させる。
図7(a)の画面例502では、「ASIA」グループが選択された際に、「ASIA」「China」「Philippines」の情報が表示される。これは、上述のように、「Japan」が委任グループに設定されているためである。具体的には、
図6(b)に示すように、「ASIA」「China」「Philippines」グループの配下の画像形成装置2が閲覧可能となる。
同様に、「WORLD」グループが選択されれば、「WORLD」「AMERICA」「ASIA」「China」「Philippines」グループの情報が表示される。この例では、上述のように、「Japan」「EUROPE」が委任グループである。このため、「Japan」グループと、「EUROPE」グループ、及びこの下位の「France」「Italy」グループは、閲覧できない。
【0035】
図8により、「アクセス可能グループ」の閲覧範囲について説明する。
この閲覧範囲では、閲覧管理部120は、選択されたグループの情報及びその下位グループを、通常グループ又は委任グループに関わらず示す。
図8(a)の画面例503では、「ASIA」グループが選択された際に、「ASIA」「China」「Japan」「Philippines」の情報が表示される。すなわち、
図8(b)に示すように、「ASIA」「China」「Japan」「Philippines」グループの配下の画像形成装置2が閲覧可能となる。
同様に、「WORLD」グループが選択されれば、「WORLDグループ」及び各下位グループの情報を表示し、配下の画像形成装置2が閲覧可能となる。
【0036】
図9(a)の画面例504、
図9(b)の画面例505は、グループのツリー構造で管理された情報の具体例を示す。
本実施形態において、閲覧管理部120は、以下の情報について閲覧範囲を変更する。
・配下の画像形成装置2
・ゲートウェイ
・ダッシュボード
・タスク状態
・管理しているユーザー
・管理している端末3
これらは、画面例504及び画面例505において、点線で囲まれた箇所を押下することで、ユーザーが表示の指示をすることが可能である。
【0037】
上述のように、ユーザーが見たい情報のウェブページを閲覧している際に、容易に管理したい情報に基づいたグループのツリー構造の閲覧範囲を変更することが可能である。
以上により、本発明の実施の形態に係るグループ閲覧管理処理を終了する。
【0038】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来技術では、委任グループの画像形成装置であることに気づかず、間違って設定等をしてしまうことがあった。
これに対して、本発明の実施の形態に係る画像形成システムXは、サーバー1、画像形成装置2、及び端末3を含む、画像形成装置を管理する画像形成システムである。サーバー1は、画像形成装置2の管理に関するユーザーをまとめたグループをツリー構造で分類する階層分類部100と、階層分類部100にて分類されたグループの種別を、通常グループ及び委任グループに設定するグループ種別設定部110と、端末3からユーザーがログインした際に、グループ種別設定部110により委任グループに設定されたグループについては、上位グループに所属するユーザーであっても閲覧させない排他的管理を行う閲覧管理部120とを備えることを特徴とする。
このように構成することで、「排他的管理」の閲覧管理により、委任グループが閲覧されないようにすることができる。よって、下位にある委任グループについて、管理者が間違って設定等をしてしまうような事態を防ぐ手助けとなる。
また、画像形成システムを使用する販売会社及びディーラー等の上位グループでは、下位の多数のグループを管理しなければならなかった。この際、管理するために、一つずつグループを閲覧してチェックするのは難しかった。このような場合において、委任グループのチェックをしなくてもよくなるため、販売会社及びディーラー等のユーザーの負担を減らすことができる。
【0039】
また、本発明の実施の形態に係るサーバー1は、閲覧管理部120は、排他的管理に加えて、選択されたグループと直接関係する情報を閲覧させる選択グループのみの閲覧管理、及びアクセス可能なグループを全て閲覧させるアクセス可能グループの閲覧管理を選択させてもよいことを特徴とする。
このように構成することで、管理者等が、委任グループであっても設定の変更等をしたい場合に、対応可能となる。このため、管理者等の使い勝手をよくすることができる。
また、販売会社及びディーラーについても、閲覧するグループの範囲を変更可能とすることで、オペレーション及びモニタリングをより容易にすることができる。
【0040】
〔他の実施の形態〕
なお、上述の実施の形態においては、CGIやASPを用いて閲覧管理を行ったウェブページを端末3へ送信する例について記載した。
しかしながら、Java(登録商標)Script、SSI(Server Side Includes)、サーブレット、PHP等の各種動的ページの生成手段を用いて、ウェブページを生成して、ユーザーに提供することも可能である。
また、上述の実施の形態では、クラウド上のサーバー1にてウェブページを提供する例について記載したものの、ウェブサーバーを内蔵した画像形成装置やイントラネット上のサーバーで提供することも可能である。
【0041】
また、本発明は、画像形成装置以外の情報処理装置にも適用できる。つまり、ネットワークスキャナー、スキャナーをUSB等で別途接続したサーバー等を用いる構成であってもよい。
【0042】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。