(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、液体窒素等の噴射後に気化膨張する液化流体を用いる場合には、液化流体の膨張力によって対象物を破壊する。このため、対象物が例えば鉄筋や配管等の液化流体が内部に入り込まない内包物を含むコンクリート構造体である場合には、内包物を損傷することなく液化流体が浸み込むコンクリート部分のみを容易に加工や除去することができる。このため、液体窒素等の気化性の液化流体の噴射によって、内包物を損傷することなくコンクリート構造体の穿孔等を行うことが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1では、直管状のノズルユニットから液体窒素を噴射している。このため、コンクリート構造体の穿孔を進め、ノズルユニットをコンクリート構造体の内部にまで進入させると、ノズルユニットを傾動させることができず、液体窒素をノズルユニットの正面にしか噴射することができない。このため、孔を拡径することが難しく、ノズルユニットの径相当の孔しか形成することができない。さらに、穿孔途中で内包物に当たると、内包物を避けてノズルユニットを進行させることができない。つまり、特許文献1に開示されたノズルユニットは、鉄筋等の内包物を含むポーラス状の構造体の加工に適した形状となっていない。
【0006】
本開示は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、噴射後に気化する液化流体を噴射するノズルユニットにおいて、鉄筋や配管等の内包物を含むポーラス状の構造体の加工を容易に実施可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のノズルユニットは、噴射後に気化する液化流体を噴射するノズルユニットであって、基部と、噴射開口を有すると共に上記基部に対して屈曲あるいは湾曲して接続される先端部とを有し、上記先端部及び上記基部を含む部位に上記液化流体を案内する流路が形成された管体部を備える。
【0008】
上記一態様のノズルユニットにおいて、上記基部は、直管状に形成されており、上記先端部は、上記基部の軸芯に対して傾斜した方向に上記液化流体を噴射するよう構成されていてもよい。
【0009】
上記一態様のノズルユニットにおいて、上記先端部の噴射開口が、上記基部と反対側に向けて開口されていてもよい。
【0010】
上記一態様のノズルユニットにおいて、上記管体部に固定されると共に上記流路を径方向外側から囲う断熱部をさらに備えていてもよい。
【0011】
上記一態様のノズルユニットにおいて、上記断熱部が、上記管体部を径方向外側から被覆しかつ上記管体部の延伸方向に対して分割可能とされていてもよい。
【0012】
上記一態様のノズルユニットにおいて、上記管体部に取り付けられていると共に上記管体部から径方向外側に突出する把持部をさらに備えていてもよい。
【0013】
上記一態様のノズルユニットにおいて、上記把持部が、上記基部に対して、上記流路の延伸方向に離間して複数設けられていてもよい。
【0014】
上記一態様のノズルユニットにおいて、複数の上記把持部は、上記管体部を中心として異なる方向に向けて突出していてもよい。
【0015】
上記一態様のノズルユニットにおいて、上記把持部が、上記管体部の延伸方向に対して移動可能に取り付けられていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、管体部が、基部に対して屈曲あるいは湾曲して接続された先端部を備え、先端部が噴射開口を有している。このため、基部を回転させることによって、噴射開口を基部側から見て周方向に移動させることができ、管体部を傾斜させることなく孔の内壁面を削ることができ、孔を容易に拡径することができる。また、孔を拡径させることによって管体部を傾動させることができるため、管体部の先端部が内包物に当たっても管体部を傾動等することで、容易に内包物を回避することができる。したがって、本開示によれば、噴射後に気化する液化流体を噴射するノズルユニットにおいて、鉄筋や配管等の内包物を含むポーラス状の構造体の加工を容易に実施することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本開示に係るノズルユニットの一実施形態について説明する。
【0019】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態のノズルユニットを備える液体窒素噴射システム1の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、液体窒素噴射システム1は、貯蔵タンク2と、液体窒素昇圧装置3と、チラー4と、フレキシブルホース5と、ノズルユニット6とを備えている。
【0020】
貯蔵タンク2は、液体窒素Xを貯蔵する圧力タンクであり、液体窒素昇圧装置3とチラー4とに接続されている。なお、液体窒素噴射システム1は、貯蔵タンク2を備えずに外部から液体窒素Xの供給を受ける構成でもよい。
【0021】
液体窒素昇圧装置3は、貯蔵タンク2から供給された液体窒素Xを一定の噴射圧にまで昇圧する。例えば、液体窒素昇圧装置3は、液体窒素Xを圧送するためのブーストポンプ、ブーストポンプから送られてくる液体窒素Xを1次昇圧するプレポンプ、1次昇圧された液体窒素Xを噴射圧まで2次昇圧するインテンシファイアポンプ等を備えている。液体窒素昇圧装置3は、チラー4と接続されている。
【0022】
チラー4は、液体窒素昇圧装置3で昇圧されることによって昇温した液体窒素Xを、貯蔵タンク2から供給される液体窒素Xと熱交換することによって、昇圧された液体窒素Xを噴射温度まで冷却する熱交換器である。チラー4には、フレキシブルホース5の一端が接続されている。
【0023】
例えば、液体窒素昇圧装置3及びチラー4は、ユニット化されており、1つの移動台車上に配置されている。移動台車にユニット化された液体窒素昇圧装置3及びチラー4と、必要に応じて貯蔵タンク2とが配置されることによって、液体窒素噴射システム1を容易に移動させることが可能となる。なお、液体窒素昇圧装置3とチラー4とは必ずしもユニット化されている必要はない。例えば液体窒素昇圧装置3とチラー4と離間して配置し、チラー4をノズルユニット6の近くに配置するようにしても良い。これによって、チラー4で冷却された液体窒素Xがノズルユニット6に到達するまでに昇温することを抑制し、ノズルユニット6から噴射される液体窒素Xのジェット力を高めることが可能となる。
【0024】
フレキシブルホース5は、一端がチラー4に接続され、他端がノズルユニット6に接続された可撓性を有するホースである。フレキシブルホース5は、チラー4からノズルユニット6まで昇圧された液体窒素Xを案内する。フレキシブルホース5は、耐圧性かつ断熱性を有しており、圧力及び温度の低下を最小限に抑えつつ、チラー4から供給される液体窒素Xをノズルユニット6に案内する。
【0025】
図2は、ノズルユニット6の概略構成を示す拡大斜視図である。
図2に示すように、ノズルユニット6は、接続部6aと、管体部6bとを備えている。接続部6aには、フレキシブルホース5が接続される。接続部6aの内部には、不図示の流路が形成されている。
【0026】
管体部6bは、内部に流路Rが形成された筒状の胴部6cと、胴部6cの先端部に固定されたオリフィス部6dとを備えている。胴部6cは、例えば断熱加工された長尺な配管状の部位であり、長手方向に沿って形成された流路Rを通じて接続部6aからオリフィス部6dまで液体窒素Xを案内する。胴部6cは、液体窒素Xを対象物に噴射する場合に作業者によって把持される。オリフィス部6dは、胴部6cの先端に固定されており、前方に向けて液体窒素Xを噴射するための噴射開口6d1を備えている。噴射開口6d1が胴部6cの流路Rと接続されており、流路Rを流れる液体窒素Xが噴射開口6d1から管体部6bの外部に向けて噴射される。
【0027】
管体部6bは、直管状の基部61と、オリフィス部6dを含む先端部62とを有している。基部61は、胴部6cの根元側(接続部6a側)の部位であり、直線状の軸芯Lに沿って直線状に延伸している。先端部62は、オリフィス部6dを有することより噴射開口6d1を含み、液体窒素Xを噴射する。先端部62は、
図2に示すように、噴射開口6d1が基部61と反対側に向かって開口され、液体窒素Xの噴射方向が基部61の軸芯Lに対して傾斜するように、基部61に対して湾曲して接続されている。より詳細には、先端部62の基部61側の部位が一定の曲率半径で湾曲され、先端部62の噴射開口6d1側の部位が直線状とされ、先端部62の噴射開口6d1側の軸芯L1が基部61の軸芯Lに対して90°より小さい(本実施形態では約45°)角度αを成すように、先端部62の基部61側の部位と噴射開口6d1側の部位とが一体的に接続されている。
【0028】
本実施形態のノズルユニット6は、噴射開口6d1を有する先端部62が湾曲して基部61に接続されると共に基部61及び先端部62に液体窒素Xを案内する流路Rを有する管体部6bを備えている。また、管体部6bは、直管状に形状設定された基部61と、基部61の軸芯Lに対して傾斜した方向に液体窒素Xを噴射する先端部62とを有している。
【0029】
本実施形態のノズルユニット6を備える液体窒素噴射システム1では、液体窒素Xが貯蔵タンク2から液体窒素昇圧装置3に供給される。液体窒素Xは液体窒素昇圧装置3によって噴射圧にまで昇圧された後、チラー4に供給される。液体窒素昇圧装置3からチラー4に供給された液体窒素Xは、別経路にてチラー4に貯蔵タンク2から供給された液体窒素Xと熱交換されることによって冷却される。チラー4で冷却された液体窒素Xは、フレキシブルホース5を介してノズルユニット6に供給される。ノズルユニット6に供給された液体窒素Xは、管体部6bの内部の流路Rを流れ、噴射開口6d1から外部に向けて噴射される。
【0030】
本実施形態のノズルユニット6によれば、管体部6bが、基部61に対して湾曲して接続された先端部62を備え、先端部62が噴射開口6d1を有している。このため、例えば軸芯Lを中心として基部61を回転させることによって、噴射開口6d1を基部61側から見て周方向に移動させることができ、管体部6bを傾斜させることなく孔の内壁面を削ることができ、孔を容易に拡径することができる。また、孔を拡径させることによって管体部6bを傾動させることができるため、管体部6bの先端部が鉄筋や配管等の内包物に当たっても管体部6bを傾動等することで、容易に内包物を回避することができる。したがって、本実施形態のノズルユニット6によれば、噴射後に気化する液体窒素Xを噴射するノズルユニットにおいて、鉄筋や配管等の内包物を含むポーラス状の構造体(例えばコンクリート構造体)の加工を容易に実施することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態のノズルユニット6においては、管体部6bは、直管状に形状設定された基部61と、基部61の軸芯Lに対して傾斜した方向に液体窒素Xを噴射する先端部62とを有している。このため、軸芯Lを中心として直管状の基部61を回転させることによって容易に液体窒素Xの噴射方向を周方向に変更することができ、必要最小限の動作で液体窒素Xの噴射方向の変更を行うことが可能となる。
【0032】
また、本実施形態のノズルユニット6においては、先端部62の噴射開口6d1が基部61と反対側に向けて開口されている。例えば、噴射開口6d1を軸芯Lに対して傾斜させかつ基部61側に向けることも可能であるが、噴射開口6d1を基部61と反対側に向けて開口することで、ノズルユニット6の前方のコンクリート等を容易に破壊することができるため、コンクリート構造体の穿孔等に適したものとなる。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本開示の第2実施形態について説明する。なお、本第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0034】
図3は、本実施形態のノズルユニット6Aの概略構成を示す拡大斜視図である。この図に示すように、本実施形態のノズルユニット6Aは、上記第1実施形態のノズルユニット6の構成に加えて、把持部6eを備えている。
【0035】
把持部6eは、管体部6bに取り付けられており、管体部6bから管体部6bの径方向外側に突出している。
図3に示すように、把持部6eは、管体部6bの基部61(直線状の部位)に対して取り付けられている。複数(本実施形態においては2つ)の把持部6eが、基部61の延伸方向(基部61内の流路Rの延伸方向)に離間して設けられている。
【0036】
図4は、把持部6eの概略構成を示す拡大斜視図である。
図4に示すように、把持部6eは、本体部6e1と、ロック部6e2とを備えている。本体部6e1は、
図4に示すように、略C型状の部位であり、各々の端部に対して同心状の貫通孔6e3が形成されている。貫通孔6e3は、管体部6bの基部61の外径よりも僅かに大きな直径されており、基部61が挿通されている。また、本体部6e1の各々の端部には、ロック部6e2が螺合されるネジ穴が形成されている。これらのネジ穴は、各々が貫通孔6e3に貫通孔6e3の径方向外側から接続されている。これによって、ネジ穴に螺合されたロック部6e2の先端部が貫通孔6e3に挿通された管体部6bに当接可能とされている。
【0037】
ロック部6e2は、本体部6e1に設けられた上述のネジ穴に螺合されたネジ部であり、軸芯に沿って回転させることによって、軸芯に沿う方向(管体部6bの基部61の径方向)に移動される。ロック部6e2は、締め付ける方向(管体部6bの基部61の径方向内側に移動する方向)に回転されることによって、ロック部6e2の先端部が管体部6bの基部61に当接し、摩擦力によって本体部6e1の基部61に対する移動を規制する。
【0038】
把持部6eは、ロック部6e2を緩ませることによって、管体部6bの基部61の延伸方向(長手方向)に沿って移動可能とされている。また、把持部6eは、ロック部6e2を締めることによって、管体部6bに対して固定される。
【0039】
なお、
図3に示すように、管体部6bの先端側に配置された把持部6eと、接続部6a側に配置された把持部6eとを、管体部6bを中心として異なる方向に向けて突出するように固定することが好ましい。これによって、例えば、管体部6bの先端側に配置された把持部6eを作業者の左手側、接続部6a側に配置された把持部6eを右手側に突出させることができる。
【0040】
本実施形態のノズルユニット6Aにおいては、管体部6bに取り付けられていると共に管体部6bから径方向外側に突出する把持部6eを備えている。このため、作業者が把持部6eを持ってノズルユニット6Aの操作を行うことができ、ノズルユニット6Aの取扱性を向上させることができる。
【0041】
また、本実施形態のノズルユニット6Aにおいては、複数の把持部6eが、管体部6bの基部61に対して、流路Rの延伸方向に離間して設けられている。このため、作業者が両手で安定してノズルユニット6Aを掴むことができ、作業性を向上させることができる。
【0042】
また、本実施形態のノズルユニット6Aにおいては、2つの把持部6eが、管体部6bを中心として異なる方向に向けて突出している。このため、例えば作業者が両側から左右両手でノズルユニット6Aを把持することができ、より作業性を向上させることができる。
【0043】
また、本実施形態のノズルユニット6Aにおいては、把持部6eが管体部6bの延伸方向に対して移動可能に取り付けられている。このため、作業位置や作業者の体格に応じて把持部6eの位置を調整することができ、より作業性を向上させることができる。
【0044】
なお、
図5及び
図6に示すように、把持部6eに換えて、本体部6f2が回動可能な把持部6fを備えていてもよい。
図5及び
図6に示す把持部6fは、支持部6f1と、本体部6f2と、ロック部6f3とを備えている。
【0045】
支持部6f1は、管体部6bの基部61の外径よりも僅かに大きな直径とされた貫通孔6f4を有しており、貫通孔6f4に基部61が挿通されている。支持部6f1は、
図5及び
図6に示すように、本体部6f2を回動可能に支持している。また、支持部6f1には、ロック部6f3が螺合されるネジ穴が形成されている。これらのネジ穴は、貫通孔6f4に貫通孔6f4の径方向外側から接続されている。これによって、ネジ穴に螺合されたロック部6f3の先端部が貫通孔6f4に挿通された管体部6bに当接可能とされている。
【0046】
本体部6f2は、略三角形状の環状部位であり、頂点部の1つが支持部6f1に対して回転可能に接続されている。本実施形態において本体部6f2は、管体部6bの基部61の軸芯L(
図2参照)に対して直交する回転軸芯を中心として回動可能とされている。
【0047】
ロック部6f3は、支持部6f1に設けられた上述のネジ穴に螺合されたネジ部であり、軸芯に沿って回転させることによって、軸芯に沿う方向(管体部6bの基部61の径方向)に移動される。ロック部6f3は、締め付ける方向(管体部6bの基部61の径方向内側に移動する方向)に回転されることによって、ロック部6f3の先端部が管体部6bの基部61に当接し、摩擦力によって本体部6f2の基部61に対する移動を規制する。
【0048】
把持部6fは、ロック部6f3を緩ませることによって、管体部6bの基部61の延伸方向(長手方向)に沿って移動可能とされている。また、把持部6fは、ロック部6f3を締めることによって、管体部6bに対して固定される。
【0049】
把持部6fによれば、本体部6f2が支持部6f1に対して回転可能とされているため、作業者が本体部6f2の支持部6f1に対する回転角度を任意に調節することができ、取扱性が向上される。
【0050】
さらに、
図7に示すように、把持部6eに換えて、棒状の本体部6g1と、ロック部6g2とを備える把持部6gを備えていてもよい。本体部6g1の一方の端部に対して同心状の貫通孔6g3が形成されている。貫通孔6g3は、管体部6bの基部61の外径よりも僅かに大きな直径とされており、基部61が挿通されている。また、本体部6g1の端部には、ロック部6g2が螺合されるネジ穴が形成されている。これらのネジ穴は、貫通孔6g3に貫通孔6g3の径方向外側から接続されている。これによって、ネジ穴に螺合されたロック部6g2の先端部が貫通孔6g3に挿通された管体部6bに当接可能とされている。
【0051】
ロック部6g2は、本体部6g1に設けられた上述のネジ穴に螺合されたネジ部であり、軸芯に沿って回転させることによって、軸芯に沿う方向(管体部6bの基部61の径方向)に移動される。ロック部6g2は、締め付ける方向(管体部6bの基部61の径方向内側に移動する方向)に回転されることによって、ロック部6g2の先端部が管体部6bの基部61に当接し、摩擦力によって本体部6g1の基部61に対する移動を規制する。
【0052】
把持部6gは、ロック部6g2を緩ませることによって、管体部6bの基部61の延伸方向(長手方向)に沿って移動可能とされている。また、把持部6gは、ロック部6g2を締めることによって、管体部6bに対して固定される。
【0053】
(第3実施形態)
次に、本開示の第3実施形態について説明する。なお、本第3実施形態において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0054】
図8は、本実施形態のノズルユニット6Bの概略構成を示す拡大斜視図である。
図8に示すように、本実施形態のノズルユニット6Bは、上記第1実施形態のノズルユニット6の構成に加えて、断熱部6hを備えている。
【0055】
断熱部6hは、管体部6bの基部61の周囲を覆うように管体部6bに固定されている。つまり、本実施形態のノズルユニット6Bは、管体部6bに固定されると共に流路Rを径方向外側から被覆する断熱部6hを有している。断熱部6hは、管体部6bの流路Rを流れる液体窒素の冷熱が作業者に到達することを防ぐものであり、例えば発泡プラスチック材料によって形成されている。
【0056】
図9は、本実施形態のノズルユニット6Bが備える断熱部6hの概略構成を示す部分拡大斜視図である。
図9に示すように、断熱部6hは、管体部6bの延伸方向に連続して複数配列された複数の断熱ブロック6iによって構成されている。各々の断熱ブロック6iは、管体部6bが挿通される中央開口を有する環状形状とされており、外周面から中央開口に至るスリット6jを有している。スリット6jは、断熱ブロック6iを管体部6bに対して着脱する場合に管体部6bが通過される部位である。スリット6jは、断熱ブロック6iを弾性変形させることによって広げることが可能であり、広げられた状態で管体部6bを通過可能とする。
【0057】
本実施形態のノズルユニット6Bによれば、断熱ブロック6iを着脱することによって、断熱部6hが管体部6bを覆う範囲を変更することができる。つまり、本実施形態のノズルユニット6Bによれば、断熱部6hが管体部6bの延伸方向に対して分割可能とされている。このため、例えば、ノズルユニット6Bによってコンクリート構造体を穿孔する場合に、コンクリート構造体と断熱ブロック6iとが干渉しないように、断熱部6hの形状を変更することが可能となる。
【0058】
以上、図面を参照しながら本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本開示の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0059】
例えば、上記実施形態においては、鉄筋や配管を含むコンクリート構造体の加工(はつりや穿孔)にノズルユニット6等を用いる構成について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、ライニング処理されたコンクリート構造体や配管のライニング材を母材から剥離する場合にノズルユニット6等を用いることも可能である。この場合には、ライニング材の一部にノズルユニット6等から液体窒素を噴射して孔を形成し、この孔からライニング材と母材との間にノズルユニット6等によって液体窒素を噴射する。ここで、噴射された液体窒素が気化膨張し、この膨張力によってライニング材と母材とを剥離することができる。
【0060】
また、上記実施形態においては、液化流体として液体窒素を用いる構成について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、液化流体として、液体二酸化炭素や液体ヘリウムを用いてもよい。
【0061】
また、上記実施形態においては、管体部6bの先端部62が基部61に対して湾曲して接続された構成について説明した。しかしながら、本開示はこれに限定されるものではなく、管体部6bにおいて、先端部62が基部61に対して屈曲して接続されていてもよい。