特許第6838794号(P6838794)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838794
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】冷却器を有するファンケーシング組立体
(51)【国際特許分類】
   F02C 7/18 20060101AFI20210222BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20210222BHJP
   F01D 25/12 20060101ALI20210222BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20210222BHJP
   F02C 7/20 20060101ALI20210222BHJP
   F02K 3/06 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   F02C7/18 Z
   F02C7/00 E
   F02C7/00 F
   F02C7/00 C
   F01D25/12 E
   F01D25/00 L
   F02C7/20 Z
   F02K3/06
【請求項の数】8
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2019-512882(P2019-512882)
(86)(22)【出願日】2017年8月28日
(65)【公表番号】特表2019-534967(P2019-534967A)
(43)【公表日】2019年12月5日
(86)【国際出願番号】US2017048791
(87)【国際公開番号】WO2018048649
(87)【国際公開日】20180315
【審査請求日】2019年4月24日
(31)【優先権主張番号】201641030682
(32)【優先日】2016年9月8日
(33)【優先権主張国】IN
(73)【特許権者】
【識別番号】309012096
【氏名又は名称】ユニゾン・インダストリーズ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 研二
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】タジリ,ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ケンワージー,マイケル・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,イェンヂゥー
(72)【発明者】
【氏名】ジョナラガダ,ダッツ・ジーブイ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー,エリザベス
【審査官】 中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−090226(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0185731(US,A1)
【文献】 特開2013−130292(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02C 7/18
F02C 7/00
F02C 7/20
F01D 25/00
F01D 25/12
F02K 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸(12)を画定する周壁(43)と前記長手方向軸(12)に沿って延びる流路(14)とを有する環状ファンケーシング(42)と、
前記周壁(43)に対面する第1の面(52)と、第2の端部(58)から離間する第1の端部(56)と、対向する前後方縁部(60、62)と、を有するファンケーシング冷却器(50)と、
前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状ファンケーシング(42)に取り付けるように構成された接続組立体(70)であって、前記接続組立体(70)は、熱的状態の変化に応答して前記ファンケーシング冷却器(50)を前記流路(14)内に受動的に配置するように構成された少なくとも1つの感熱コネクタ(72)を含む、接続組立体(70)と、
を含み、
前記感熱コネクタ(72)は、前記環状ファンケーシング(42)および前記ファンケーシング冷却器(50)に取り付けられたブラケット(74)を含み、
前記ブラケット(74)は、前記熱的状態の変化に応答する一組の金属層(78)から形成された本体(76)を含む、ファンケーシング組立体(38)。
【請求項2】
前記一組の層(78)は、アルミニウム炭化ケイ素を含む、請求項1に記載のファンケーシング組立体(38)。
【請求項3】
前記ブラケット(74)は、上側プレート(82)および下側プレート(80)を有する、請求項1に記載のファンケーシング組立体(38)。
【請求項4】
前記下側プレート(80)は、前記熱的状態の前記変化に応答して、前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状ファンケーシング(42)から垂直に離れるように移行させるように構成される、請求項3に記載のファンケーシング組立体(38)。
【請求項5】
前記上側プレート(82)は、前記熱的状態の前記変化に応答して、前記ファンケーシング冷却器(50)の迎角(α)方向を増加させるように構成される、請求項4に記載のファンケーシング組立体(38)。
【請求項6】
前記下側プレート(80)および前記上側プレート(82)は、熱伝導層(100)および熱作動層(102)を含む、請求項4に記載のファンケーシング組立体(38)。
【請求項7】
前記ブラケット(74)は、前記上側プレート(82)と前記下側プレート(80)とを連結する中間部(84)をさらに含む、請求項3に記載のファンケーシング組立体(38)。
【請求項8】
前記ブラケット(74)は、少なくとも部分的に前記ファンケーシング冷却器(50)に沿って前方から後方に延び、第1の後方点(110)および第2の前方点(112)で前記ファンケーシング冷却器(50)に取り付けられる、請求項3に記載のファンケーシング組立体(38)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はタービンエンジンに関し、より具体的にはファンケーシング組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機で使用される現代のエンジンはかなりの量の熱を発生し、その熱は何らかの方法でエンジンから逃がさなければならない。熱交換器は、そのようなエンジンから熱を逃がす方法を提供する。例えば、熱交換器はエンジンの一部の周りにリング状に配置することができる。
【0003】
オイルは、エンジンベアリング、発電機などのエンジン部品から熱を放散するために使用することができる。熱は、典型的には、空冷式オイル冷却器、より具体的には表面空冷式オイル冷却器システムによってオイルから空気に伝達され、オイル温度を約100°Fから300°Fの所望の範囲に維持する。多くの場合、環境は−65°F程度に低くなり得る。
【0004】
表面空冷式オイル冷却器などの熱交換器は、タービンジェットエンジンファンケース内に配置することができ、バイパス空気を使用して強制対流によって潤滑オイルエネルギを除去する。冷却器は、強制対流を達成するための複数のフィンを含み得る。空気流速度に対するフィンの幾何学的形状および高さは、エネルギ伝達のための重要なパラメータであり、最大エンジン負荷に対してサイズ設定されている。ピーク時以外の要求条件では、冷却器は熱的にオーバーサイズになり、空力抗力を最小限に抑えるように最適化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許第3023724号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本開示は、長手方向軸を画定する周壁と長手方向軸に沿って延びる流路とを有する環状ファンケーシングを含むファンケーシング組立体に関する。ファンケーシング冷却器は、周壁に対面する第1の面を含み、第2の端部から離間する第1の端部を有し、対向する前後方縁部と備える。接続組立体は、ファンケーシング冷却器を環状ファンケーシングに取り付ける。接続組立体は、熱的状態の変化に応答してファンケーシング冷却器を流路内に受動的に配置するように構成された少なくとも1つの感熱コネクタを含む。
【0007】
他の態様では、本開示は、ファンケーシング冷却器を環状ケーシングに取り付けるための接続組立体に関する。接続組立体は、熱的状態の変化に応答して形状を変えるように構成された少なくとも1つの感熱コネクタを含む。
【0008】
さらに別の態様では、本開示は、航空機エンジンのファンケーシング組立体によって画定された環状通路内でファンケーシング冷却器を移動させる方法に関し、第1の基準温度に達するとファンケーシング冷却器を環状通路内に受動的に配置するステップを含む。受動的に配置するステップは、ファンケーシング冷却器に動作可能に結合され、熱的状態の変化に応答して形状を変化する感熱コネクタを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態による環状ファンケーシングに沿った代表的なフィン付き冷却器を有するタービンエンジン組立体の概略部分切欠図である。
図2】本発明の一実施形態による図1の区分されたフィン付き冷却器の斜視図である。
図3A】本発明の一実施形態による、第1の位置にある感熱コネクタを有する図1の冷却器の概略側面図である。
図3B】本発明の一実施形態による、第2の位置にある図3Aの冷却器の概略側面図である。
図4A】本発明の一実施形態による、半径方向に延びる感熱コネクタを有する第1の位置にある図1の冷却器の概略側面図である。
図4B】本発明の一実施形態による、第2の位置にある図4Aの冷却器の側面図である。
図4C】円周方向に配置された2つの感熱コネクタを示す図4Bの冷却器の斜視図である。
図5A】本発明の一実施形態による、第1の位置で接線方向に延びる感熱コネクタを有する図1の冷却器の側面図である。
図5B】本発明の一実施形態による、第2の位置にある図5Aの冷却器の側面図である。
図5C】第2の位置にある感熱コネクタの形状をより良く示す図5Bの冷却器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に開示される実施形態は、表面空冷式オイル冷却器などのファンケーシング冷却器に関し、より詳細には航空機エンジンなどのエンジン内の受動的に配置可能な表面冷却器に関する。例示的な表面冷却器は、効率的な冷却を提供するために使用することができる。さらに、本明細書で使用される「表面冷却器」という用語は、「熱交換器」という用語と互換的に使用することができる。本明細書で使用される表面冷却器は、それだけに限らないが、ターボジェット、ターボファン、ターボ推進エンジン、航空機エンジン、ガスタービン、蒸気タービン、風力タービン、および水力タービンなどの様々なタイプの用途に適用可能である。
【0011】
現在の表面冷却器は静的構造であり、典型的には強制対流によって表面冷却器から熱を伝達するために空気流路内に延びる。表面冷却器は、空気流と対面するように空気流路内に延びる一組のフィンを含み得る。空気流速度に対するフィンの幾何学的形状は、エネルギ伝達を決定し最大化するために重要である。フィンは、ピーク要求条件の最大エンジン負荷状態に対してサイズ設定されている。オフピーク時には、表面冷却器とフィンはオーバーサイズになり、不必要な空力抗力が発生し、エンジンの燃料消費率が増加する。したがって、ピーク要求時の間に表面冷却器によるエネルギの十分な伝達を維持しながら、燃料消費率を改善するために、冷却性能と抗力との適応的バランスをとる必要がある。
【0012】
本開示の態様は、抗力を低減しながら燃料消費率を改善する一方で、エンジン冷却を最適化するように設計を改良したものである。表面冷却器は航空機エンジンのオイル冷却システムで使用するように構成することができるので、図1は、使用され得る本発明の実施形態が述べられる環境の簡単な説明を提供する。より具体的には、図1は、長手方向軸12を有する例示的なタービンエンジン組立体10を示す。流路14は、長手方向軸12に沿って画定することができる。タービンエンジン16、ファン組立体18、およびナセル20は、タービンエンジン組立体10に含めることができる。タービンエンジン16は、圧縮機24、燃焼部26、タービン28、および排気管30を有するエンジンコア22を含み得る。内側カウル32は、エンジンコア22を半径方向に囲む。
【0013】
明瞭にするために、ナセル20の一部は切り取られている。ナセル20は、内側カウル32を含むタービンエンジン16を囲む。このようにして、ナセル20は、内側カウル32を半径方向に囲む外側カウル34を形成する。外側カウル34は、内側カウル32から離間して内側カウル32と外側カウル34との間に環状通路36を形成する。環状通路36は、ノズルおよび概して前後方向のバイパス空気流路を特徴付け、形成し、あるいは画定する。環状前方ケーシング40と周壁43を有する後方ケーシング42とを有する環状ファンケーシング組立体38は、ナセル20によって形成された外側カウル34の一部を形成することができ、または(図示していない)支柱を介してナセル20の一部から吊り下げることができる。
【0014】
動作中、空気は流路14に沿ってファン組立体18を通って流れ、空気流の第1の部分44と空気流の第2の部分46とに分離する。空気流の第1の部分44は圧縮機24を通って流れ、空気流はさらに圧縮されて燃焼部26に送られる。燃焼部26からの高温の燃焼生成物(図示せず)は、タービン28を駆動してエンジン推力を発生させるために利用される。環状通路36は、ファン組立体18からエンジンコア22の周りに排出される空気流のうちの空気流の第2の部分46を迂回するために利用される。
【0015】
タービンエンジン組立体10は独自の熱管理の課題をもたらす可能性があり、熱放散を助けるためにファンケーシング冷却器50のような熱交換器システムまたは表面空冷式オイル冷却器をタービンエンジン組立体10に取り付けることができる。冷却器50は、周壁43に対面する第1の面52(図2)と、環状通路36に対面する第2の面54とを含む。冷却器50は、さらに、第2の端部58から離間する第1の端部56と、対向する前方縁部60および後方縁部62とを含む。例示的な実施形態では、冷却器50は、外側カウル34の内部を形成するファンケーシング組立体38に動作可能に結合することができる。冷却器50は、空冷式オイル冷却器を含む任意の適切な冷却器または熱交換器とすることができる。冷却器50は後方ケーシング42の近くに図示されているが、冷却器50はファンケーシング組立体38に沿ったどこにでも配置できることを理解されたい。さらに、冷却器50は、外側カウル34の内側または内側カウル32の外側に沿った任意の場所に配置されて、環状通路36を通過する空気流の第2の部分48に対面できることが考えられる。したがって、冷却器50は、カウル32、34によって画定された環状通路36に沿った任意の位置でエンジン組立体10に結合することができる。
【0016】
図2は、冷却器50の例示の一的実施形態を示す図である。冷却器50は、接続組立体70を含む。接続組立体70は、冷却器50を環状ファンケーシング組立体38(図1)に取り付けるように構成される。接続組立体70は、少なくとも1つの感熱コネクタ72を含む。感熱コネクタ72は、例えば、環状ファンケーシング組立体38を冷却器50に結合するブラケット74を含み得る。ブラケット74は1つの例示的な感熱コネクタ72であり、本発明は図示のようなブラケット74に限定されるべきではなく、冷却器50をファンケーシング組立体38に結合する任意の感熱コネクタ72に適用可能であることを理解されたい。
【0017】
ブラケット74は本体76を含み得る。本体76は、金属層78のような1つまたは複数組の層を含み得る。金属層78は別々の要素であることが図示されているが、金属層78は一体であり得ることを理解されたい。非限定的な例では、金属層78は、ニッケルチタン(Ni−Ti)形状記憶箔を含むか、またはアルミニウムもしくはアルミニウム炭化ケイ素(AlSiC)の層、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。非限定的な例では、金属層78は、超音波付加製造法(UAM)または付加金属堆積などの付加製造法によって形成して、層を互いに接合させることができる。金属層78を形成するためのモノリシック積層複合金属シートを製造するために、層を積層するために任意の十分な金属接合プロセスを使用することができる。
【0018】
ブラケット74は、非限定的な例として、下側プレート80と上側プレート82とを含むように示されている。一組のファスナ83は、非限定的な例として、本体76の端部56、58または下側プレート80の端部において、冷却器50を後方ケーシング組立体38(図1)に取り付けることができる。中間部84は、上側プレート82を下側プレート80に連結することができる。下側および上側プレート80、82は、中間部84と一体的に形成することができ、または中間部84で互いに連結することができる。下側および上側プレート80、82は、ブラケット74のものと同様に、Ni−Ti、AlSiC、または任意の他の形状記憶箔もしくは金属などの1つまたは複数の金属層78も含み得る。
【0019】
プレート80、82は、プレート80、82を形成するための複数の層状材料を有する複合金属シートを含む、プレート80、82を形成するために組み合わされた複数の別々のシートを有し得る。カスタム金属材料テープも利用することができる。プレート80、82は、プレート80、82が温度の上昇または下降などの熱的状態の変化に基づいて少なくとも部分的に変形することができるように、少なくとも部分的に感熱材料で作ることができる。一例では、プレートはバイメタルまたは形状記憶合金プレートであり得る。そのような例の下では、バイメタル(または形状記憶合金)プレートの熱活性化は、適切な熱膨張係数材料の選択、および、直接接合されたアルミニウム合金およびアルミニウム金属マトリックス複合材料(MMC)、アルミニウム炭化ケイ素シート(AlSiC)のサイジングによって調整することができる。例えば、下側プレート80は、変形および再形成が可能な熱伝導性の可鍛性層100と、温度変化に対して変形する可鍛性層100の長さに沿って延びる熱的に作動可能なMMC層102とを含む。上側プレート82は、第2のプレート82の一部に対して延びる不連続MMC層102を有する可鍛性層100を含み得る。第2のプレートを形成する際に、第2のプレート82の幾何学的変化を特に決定するために、不連続MMC層102を第2のプレート82の頂部または底部に積層することができる。個別のMMC層102を用いると、第2のプレート82は、MMC層102のない領域で第2のプレート82の形状を維持しながら、温度変化に基づいて局所的に形状を変えることができる。
【0020】
超音波付加製造法(UAM)または他の代替金属接合/堆積プロセスを使用して、異種材料を積層してモノリシック積層複合金属シートを製造し、プレート80、82を形成することができる。異種材料は、第1および第2の材料からなる可鍛性層100およびMMC層102を含み得る。第1および第2の材料は、可鍛性層100としての高強度アルミニウム合金およびMMC層102としてのAlSiCを含み得るが、これらに限定されない。任意の適切な材料を利用することができ、そのような材料選択は温度依存内部差ひずみを生み出す。上記の材料の例では、バイメタル層は、アルミニウム合金の層とAlSiCの層とから形成されている。AlSiC内の炭化ケイ素(SiC)の体積分率は、熱膨張係数(CTE)を調整するために変えることができる。SiCの割合に応じて、AlSiCのCTEは7から20ppm/Cで変動し得るが、追加の割合および材料は5から35ppm/Cで考えられる。そのような設計は、局所的条件、より具体的には温度の変化に対してプレート80、82の作動または変形を引き起こす可能性がある。さらに、二元および三元Ni−Ti形状記憶箔を追加の熱作動材料として、またはMMC箔と共に組み込むことができる。これらの合金は、特定の調整可能な温度で活性化し形状を変えるように設計される。このような形状は、例えば、プレート80、82全体にわたるSiCの局所的な割合の調整、または他の形状記憶合金材料に基づいて特に作成することができる。さらに、他の金属合金およびスマート金属材料テープを利用することができる。
【0021】
使用される合金およびスマート金属は、UAMプロセスまたは付加電鋳を使用するなどして付加的に製造することができ、冷却器50の最大冷却のための低質量ならびに最適化を提供する。さらに、その場での機械加工、層状超音波溶接、および二次レーザー溶接の組み合わせを使用して、複雑な3D印刷された運動学的特徴の追加が可能である。
【0022】
1つまたは複数のパッド86を、中間部84から離間して、下側プレート80と上側プレート82との間に配置することができる。パッド86は、熱伝導性エラストマー材料で作ることができ、または編み金属、例えば、「ゴム製」メッシュで作ることができる。パッド86は、プレート80、82の屈曲、膨張、または収縮を可能にしながら、同時に熱伝達を可能にする。変化する熱負荷条件に対するブラケットの熱応答を改善するために、高温熱伝導性エラストマーまたは編み金網パッド86を追加することによって過渡遅れを改善することができる。これらのパッド86は、それらが非ピーク負荷状態の間に圧縮されると振動減衰材料として作用する。
【0023】
冷却器50は、内部がチャネル化されたマニホールド88をさらに含み得る。マニホールド88は、下側プレート80の反対側で上側プレート82から離間しているように示されている。追加のパッド86をマニホールド88と上側プレート82との間に配置して、マニホールド88を上側プレート82から離間させることができる。マニホールド88には、マニホールド88を通る油または他の流体の流れを可能にする複数のチャネル90を含めることができる。環状通路36(図1)内などに、上側プレート82とは反対方向に延びる複数のフィン92をマニホールド88上に含めることができる。フィン92は、隣接するフィン92間に溝94を画定し、ある量の空気または流体がフィン92間を通過することを可能にする。一組の取り付けレール96が、マニホールド88を支持するために上側プレート82の端部に配置される。マニホールド88の端部における振動力を減衰させるために、追加の熱伝導性コンプライアントインターフェースパッド86をレール96とマニホールド88との間に配置することができる。
【0024】
ここで図3Aおよび図3Bを参照すると、典型的な冷却器50の側面図がそれぞれ第1および第2の位置に示されている。図3Aを参照すると、冷却器50は、ブラケット74を冷却器50に取り付けるための2つの取り付け点を含み得る。第1の後方点110および第2の前方点112は、ブラケット74と冷却器50との間のインターフェース114を画定することができる。インターフェース114は、ヒンジ116を含み得る。ヒンジ116は、例えば、ブラケット74とマニホールド88との間のインターフェース114の枢動を提供することができる。
【0025】
図3Aおよび図3Bは、図2に示すものに代わるファスナ83を含み得る。より具体的には、ファスナ83は、固定ファスナ118および可動ファスナ120を含み得る。固定ファスナ118は、ブラケット74をファンケーシング組立体38(図1)に固定することができ、一方、可動ファスナ120は、ファンケーシング組立体38に対するブラケット74の移動を可能にすることができる。そのような移動は、例えば、1つまたは複数のベアリング122を利用したスライド移動であり得る。可動ファスナ120のスライド移動は、第1の位置と第2の位置との間の冷却器50の作動を可能にする。
【0026】
図3Aに示す第1の位置では、空気流46の一部としての冷却空気流124は、対流を通る冷却空気流124による除去のためにチャネル90を通過しフィン92に熱を伝達するオイルなどの流体の流れを冷却するために、フィン92内を通過し得る。第1の位置では、フィン92は軸方向に配置される。このような構成では、冷却空気流124は、最初に前方の組のフィン92を通過し、次に任意の後方フィン92を通過する冷却空気流124と干渉する。このように、後方フィン92の冷却効果が低下する。
【0027】
図3Bを参照すると、冷却器50は第2の位置に移行している。第2の位置では、下側プレート80および上側プレート82は、熱的状態に基づいて移行および回転している。より具体的には、閾値温度が満たされて、温度の上昇に応答して感熱コネクタ72が冷却器50を受動的に流路内に配置させる。例えば、ピークエンジン運転中に、潤滑油は加熱され、冷却のために冷却器50へ進む。上昇したオイルの温度はブラケット74を通過して温度の上昇を引き起こし、MMC積層層102を変形させる。
【0028】
より具体的には、第2の位置では、プレート80、82は、熱的状態にさらされた後に、弧状または曲線状の形状または輪郭を有するなど、形状または輪郭が変化している。第1の位置(図3A)と第2の位置(図3B)との間の差は、下側プレート80についての最大撓みδおよび上側プレート82についての迎角αによって表すことができる。最大撓みδは、下側プレート80の最大半径方向移行としての半径方向高さ130を定義することができる。半径方向高さ130および最大の撓みδは、環状通路36(図1)を通過する空気流46内に冷却器50およびフィン92をさらに移行させることができ、環状通路36で冷却器50は空気流46の大部分にさらされ得る。可動ファスナ120は、下側プレート80の、それが取り付けられるファンケーシング組立体38の表面に対する移行を可能にし得る。温度作動材料またはMMC102の不連続層は、変曲点132を有する曲率を形成する。このような曲率は、上側プレート82を迎角αに向けることができる。1つの非限定的な例では、迎角αは、0度から10度の間であってもよく、典型的な取り付けブラケットの場合は5度であり得る。迎角αは、配置されたフィン92を冷却空気流124のより大きな面積および体積に対面するように異なる半径方向長さに向けるために上側プレート82に対して角度のある向きを提供することができる。したがって、冷却器50の冷却効果は増大する。
【0029】
冷却器50が第2の位置にある間、冷却器50によって生じる空力抗力は、第1の位置(図3A)において冷却器50によって生じる空力抗力と比較して増大することを理解されたい。熱的温度閾値のような熱的状態がもはや満たされなくなった後、図3Bに示すように第2の位置にある冷却器50は、図3Aに示すように第1の位置にある冷却器50に戻る。したがって、熱的状態は、燃料効率を最大にするために必要な冷却が少ないときに抗力を最小にしながら、冷却器50による冷却の必要性のバランスをとるために使用することができる。したがって、感熱コネクタ72は、冷却の必要性と最小限の空力抗力とのバランスをとるために、熱的状態に基づいて受動的に移行および回転することができる。プレート80、82は、例えば、非限定的な例では、華氏190度未満などのより低い要求条件の間に初期位置に留まりながら、オイル冷却のために華氏200度を超えるようなより高いまたは最高の要求温度などの特定の温度において冷却器50を移行および回転させるように調整することができる。
【0030】
感熱コネクタ72の熱的状態および移行は、単純な可変または一様断面カンチレバープレート方程式および有限要素解析シミュレーションを使用しておおよそ決定することができる。バイメタルプレート用の閉形式の熱ひずみ解法は、最初は熱作動の撓みを近似するために使用されていた。非限定的な一例では、曲率半径は、式(1)のような可変断面カンチレバービーム方程式によって表すことができる。
【0031】
【数1】
【0032】
また、回転角は、式(2)によって表すことができる。
【0033】
【数2】
ここで、ρは曲率半径、tは作動プレート80、82の全厚、mは第2の材料に対する第1の材料の厚さ比、nは2つの材料間の弾性率比、αは第2の熱膨張係数、αは第1の熱膨張係数、Tは高温、Tは低温、θは回転角、Lは作動部品の長さである。したがって、曲率半径ρおよび回転角θを決定する際に、プレート80、82についての回転角θの決定に基づいて、式(2)を使用して最大撓みδおよび迎角αを決定することができる。加えて、一例では、回転角θ、ならびに最大撓みδおよび迎角αは、AlSiC層内のSiCの量に基づいて調整することができる。
【0034】
図4Aおよび図4Bを参照すると、別の例示的な非湾曲パネル冷却器150がそれぞれ第1の位置および第2の位置に示されている。図4Aおよび図4Bの冷却器150は、図3Aおよび図3Bの冷却器50と実質的に同様であり得る。したがって、類似の要素を識別するために100の値だけ増加した類似の数字が使用される。
【0035】
図4Aを参照すると、ブラケット174は、下側プレート180および上側プレート182を含み得る。マニホールド188は、マニホールド188と一体の一対のインターフェース214を含み得る。インターフェース214は、パネル冷却器150をブラケット174に結合するための領域を提供することができる。さらに、インターフェース214は、ブラケット174の作動中に冷却器150の回転的および移行的な変形を容易にするために可撓性材料で作ることができる。1つの非限定的な例では、上側プレート182は、溶接などによってインターフェース214に結合することができる。マニホールド188は、一組のフィン192の間に配置された溝234をさらに含み得る。一例では、溝234は、長手方向軸またはエンジン中心線に対して冷却器150の長さにわたって円周方向に延び得る。マニホールド188自体は、それが変形してその初期形状を取り戻すことができるように、局所的に可撓性の材料または曲げ形状から作ることができる。溝234は、マニホールド188のさらなる屈曲を可能にし得る。
【0036】
非限定的な例として第1のより高い温度閾値を含む熱的状態が導入されると、冷却器150は、図4Aに示される第1の位置から図4Bに示される第2の位置へ移行する。図4Bを参照すると、マニホールド188は、第1の位置から変形し、フィン192が冷却空気流224の大部分に対面するようにセグメント化された外形を含む。溝234は、溝234がない場合よりも大きなマニホールド188の屈曲を可能にする。このように、最大撓みδおよび迎角αをより小さくすることができ、一方、マニホールド188の屈曲は、フィン192の冷却空気流224内へのより大きな延長を可能にする。マニホールド188の屈曲は、空気流224の大部分に対面するように冷却器150の変形を増大させることができ、これは冷却器150を移行させて空気流224の同じ対面を達成するためにブラケット174によるより大きな移行を必要とするのとは対照的である。例えば、移行されたブラケット174の結果として生じる空気流224内の単に角度を付けられた配置とは対照的に、マニホールド188の屈曲または曲げは、空気流224に面するようにフィン192を角度付けすることができる。したがって、マニホールド188は空気流224に対面する冷却器150の領域または角度の付いた向きを増大させることができるので、ブラケット174は、熱的状態の変化に対してより敏感になるように適合することができる。したがって、冷却器150は、より離散的な温度変化などの熱的状態に対してより敏感であり得る。下側および上側プレート180、182の小さな変化は、ブラケット174によるより少ない移行で、より大量の冷却空気流224に対面するように、マニホールド188の複数のセグメント化によって増幅することができる。
【0037】
図4Cを参照すると、図4Aおよび図4Bの冷却器150の斜視図は、エンジンの中心線または長手方向軸12(図1)に対して実質的に円周方向の配置で軸方向に延びるプレート180、182を有する複数のブラケット174を示している。各冷却器150は、冷却器150を2つ以上の位置の間で受動的に移行させるために、複数のブラケット174、感熱コネクタ172、またはプレート180、182を有し得ることを理解されたい。プレート180、182またはブラケット174は、ファンケーシング組立体38(図1)に取り付けるためにファスナをブラケット174に結合するための複数の穴236を含み得る。穴236に使用されるファスナは、第1の位置と第2の位置との間のブラケット174の移行に適応するために可変長を含み得ると考えられる。さらに、複数のブラケット174、感熱コネクタ172、またはプレート180、182は、局所的条件に基づいて冷却器150を局所的にまたは別々に移行させることができることを理解されたい。例えば、冷却器150は、より高温の熱的状態に近い冷却空気流224にさらに移行することができる。別の例では、冷却器150が支柱(図示せず)に隣接して配置される場合、冷却器150は、空力抗力をさらに最小化するために、隣接する支柱によって生成される局所的空気流に基づいて移行するか、特に移行するように設計されて、局所的な空気流パターンを利用しながら対流熱伝達を最適化し得る。
【0038】
ここで図5A図5Cを参照すると、別の例示的な冷却器250が示されている。図5A図5Cの冷却器250は、図4A図4Cの冷却器150と実質的に同様であり得る。したがって、類似の要素は100の値だけ増加した類似の数字で識別される。
【0039】
第1の位置にある冷却器250を示す図5Aを参照すると、ブラケット274として示される感熱コネクタ272は、長手方向軸12(図1)に対して軸方向に、接線方向または円周方向に延び得る。各ブラケット274は、下側プレート280および上側プレート282を含み得る。ブラケット274は、前方ブラケット274aおよび後方ブラケット274bとして配置することができる。
【0040】
図5Bを参照すると、冷却器250は第2の位置に移行し、フィン292を冷却空気流324の大部分に対面する位置に移動させる。前方ブラケット274aは、最小に湾曲して最前方のフィン292をある角度に配置することができる一方、後方ブラケット274bは、より大きな最大撓みδおよびより大きい迎角αで移行して、最後方のフィン292をより大きな体積の冷却空気流324にさらすことができる。より多くの数のフィン292または複数列のフィン292がある場合、冷却器250のより広い領域およびより多くの数のフィン292を得て冷却空気流324に対面させるために、ブラケット274は、冷却器250が後方に延びるにつれてさらに延びるように適合させることができる。
【0041】
図5Cを参照すると、斜視図は、第2の位置にある冷却器250を示している。図5Cは、図5Bの冷却器250をより良く示し、後方ブラケット274bは前方ブラケット274aよりもさらに移行している。下側および上側プレート280、282は等しく移行することが示されているが、個々のプレート280、282は、温度の範囲など熱的状態のある範囲にわたって冷却器250を特に移行させるために別々に移行することができることを理解されたい。温度範囲にわたって、冷却器250は、空力抗力を最小限に抑えながら冷却の必要性のバランスをよりとるために、熱的状態の変化に対してより敏感になるように調整することができる。
【0042】
4組のフィンが図3A図3Bに示され、2組のフィンが図4A図5Cに示されているが、任意の数のフィンまたはフィンの組を冷却器に含めることができることを理解されたい。この説明の範囲は、フィンの数、種類、または構成、あるいはフィンの他の特徴によって制限されるべきではない。
【0043】
航空機エンジンのバイパスファンダクト内でファンケーシング冷却器を移動させる方法は、第1の基準温度に達したときにファンケーシング冷却器を環状通路内に受動的に配置することを含み得る。一例では、第1の基準温度は、航空機の離陸中の加速中または最大推力のような、ピークまたは増加するエンジン要求条件の結果として生じる高められた温度であり得る。そのようなピークまたは増加する条件は、オイル熱交換器システムからの熱伝達に対するより大きな必要性を生み出し得る。配置することは、熱的状態の変化に応答して形状を変えるためにファンケーシング冷却器に動作可能に結合された感熱コネクタを含む。ファンケーシング冷却器は、例えば図2の冷却器50のような、本明細書に記載されるようなファンケーシング冷却器のいずれかを含み得る。ファンケーシング冷却器は、環状通路内に受動的に配置することができる。受動的に配置することは、エンジンによる意図的な機械的または電子的な開始なしに、しかし冷却器を通過するオイルの温度変化のような感熱コネクタへの局所的な熱的状態の変化によって冷却器を環状に配置することを含み得る。加えて、冷却器を受動的に配置することは、例えば図3Aから図3B図4Aから図4B、および図5Aから図5Bに示される第1の位置と第2の位置との間を移行することなど、冷却器を環状通路に移行させることを含み得る。さらに、環状ケーシング冷却器を受動的に配置することは、一例では、図3Bの迎角αの値を大きくすることのように、冷却器の向き付けを大きくすることを含み得る。迎角を増加させると、フィンにおける対流熱伝達を増加させるために環状通路を通過するより大きな体積の空気に対面するように冷却器またはフィンを受動的に配置する。
【0044】
本方法は、第2の基準温度に達したときにファンケーシング冷却器を環状通路から受動的に後退させることをさらに含み得る。第2の基準温度は、例えば、第1の基準温度に対して低下した温度であり得る。低下した温度は、ピーク要求未満におけるエンジン温度、またはエンジンの巡航状態などの増加した要求状態を含み得る。
【0045】
上記の開示は、タービンエンジンから移送された多量の流体を対流冷却するための表面冷却器または熱交換器のための改良された設計を提供する。冷却器は、冷却器での対流を改善するために冷却器を受動的に配置し、移行させ、または作動させるためのブラケットを含む。冷却器は、熱に敏感で受動的に作動して、ピークエンジン状態の間に強制空冷式熱交換器をエンジンの空気流路内に展開し最適に配置する。さらに、そのような展開、受動的配置、移行、または作動は、空力抗力を最小限に抑えてエンジン効率を改善するために、求められる要求の減少に基づいて冷却器を空気流路外に移動させることによって対流冷却を減らすことができる。このように、冷却器は、要求に基づいて冷却器における冷却を増大させるため、または抗力を最小にするために冷却器を選択的に配置するための要求ベースの受動システムであることを理解されたい。したがって、冷却器は、冷却器における冷却の必要性とエンジン効率とを受動的にバランスさせる。
【0046】
本発明は、連続的な共形の幾何学的変化および作動を、熱交換器または冷却器の取り付けブラケットの積層複合金属構造に直接に独自に組み込む。超音波接合中の温度のような安定した基準温度からの正または負の差のある冷却器温度を使用してブラケットの形状を連続的に変えることができる。安定した基準温度より上または下の温度は、冷却器の曲率を正または負に変える。温度に依存する形状変化は、積層形状と、アルミニウムMMC、AlSiCを有するアルミニウム合金による接合とによって制御され調整される。アルミニウムおよびAlSiCは密度比に対する高い強度と高い熱伝導性のために選択される。超音波付加製造は、高強度アルミニウム合金板とMMC AlSiCとの間にバイメタル効果を生み出すために異種材料を積層するのに使用される。SiCのAlSiC体積分率の組成は、ブラケットの熱膨張係数を調整することができる。一例では、SiCの割合に応じて、熱膨張係数は20から7ppm/Cまで変化し得る。作動設計を取り付けブラケットに統合することで、ほとんどのバイパス空気熱交換器での使用が可能になる。
【0047】
以上、冷却器を冷却空気流の内外に受動的に配置するための取り付けブラケットを有する空冷オイル冷却器を含む熱交換器装置について説明した。本開示は限られた数の実施形態に関して記載されているが、本開示の利益を享受する当業者は、本明細書に記載される開示の範囲から逸脱しない他の実施形態が考え出され得ることを認識する。本開示を例示的な実施形態を参照して説明したが、本開示の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、その要素を等価物で置き換えることができることが当業者には理解されよう。さらに、本開示の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況または材料を本開示の教示に適合させるために多くの修正を加えることができる。例えば、本明細書に記載の冷却器は、限定はしないがマルチスプール設計(追加の圧縮機およびタービンセクション)、ギア付きターボファン型アーキテクチャ、ダクトなしファンを含むエンジン、単軸エンジン設計(単一の圧縮機およびタービンセクション)などの本明細書に記載の例示的なエンジンに加えて、多くの異なる種類の航空機エンジンアーキテクチャで使用するように構成することができる。さらに、本明細書に開示されるバイパス弁は、他の種類の空冷式オイル冷却器と同様にうまく機能し、それ自体は表面冷却器に限定されることを意図せず、プレートおよびフィン、チューブフィンタイプなどの他の冷却器タイプで使用するように構成することができ、同様に利益が得られるであろう。さらになお、弁の内部通路の幾何学的形状ならびに入口ポートおよび出口ポートの向きに応じて、弁を通る流れは面内(すなわち横断)または面外(すなわち軸方向)であり得ることが理解されよう。したがって、本開示は、本開示を実施するために考えられる最良の形態として開示された特定の実施形態に限定されないことが意図されている。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の精神の範囲内に入るようなすべてのそのような修正形態および変更形態を網羅することを意図していることを理解されたい。
【0048】
まだ説明していない範囲で、様々な実施形態の異なる特徴および構造は、必要に応じて互いに組み合わせて使用することができる。1つの特徴がすべての実施形態において示されていないということは、そうであることができないと解釈されることを意味するのではなく、説明を簡潔にするためになされる。したがって、異なる実施形態の様々な特徴は、新しい実施形態が明示的に説明されているかどうかにかかわらず、新しい実施形態を形成するために必要に応じて混合および適合させることができる。本明細書に記載されている特徴のすべての組み合わせまたは順列は、本開示によって網羅されている。
【0049】
本明細書は、最良の形態を含む本発明を開示するために、また任意の装置またはシステムを製造および使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含めて本発明を当業者が実施することを可能にするために例を使用する。本発明の特許性のある範囲は特許請求の範囲によって定義され、当業者が思い付く他の例を含み得る。そのような他の例は、それらが請求項の文字通りの言語と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが請求項の文字通りの言語とは非実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、特許請求の範囲内にあると意図される。
【0050】
最後に、代表的な実施態様を以下に示す。
[実施態様1]
周壁(43)に対面する第1の面(52)と、第2の端部(58)から離間する第1の端部(56)と、環状ファンケーシング(42)の周壁(43)に取り付けられて前記ファンケーシングの長手方向軸(12)に沿って流路(14)を画定する対向する前後方縁部(60、62)と、を有するファンケーシング冷却器(50)と、
前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状ファンケーシング(42)に取り付けるように構成された接続組立体(70)であって、前記接続組立体(70)は、熱的状態の変化に応答して前記ファンケーシング冷却器(50)を前記流路(14)内に受動的に配置するように構成された少なくとも1つの感熱コネクタ(72)を含む、接続組立体(70)と、
を含む、ファンケーシング組立体(38)。
[実施態様2]
前記感熱コネクタ(72)は、前記環状ファンケーシング(42)および前記ファンケーシング冷却器(50)に取り付けられたブラケット(74)を含む、
実施態様1に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様3]
前記ブラケット(74)は、前記熱的状態の前記変化に応答する一組の金属層(78)から形成された本体(76)を含む、
実施態様2に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様4]
前記一組の層は、アルミニウム炭化ケイ素を含む、
実施態様3に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様5]
前記ファンケーシング冷却器(50)は、セグメント化された本体(76)を含み、前記接続組立体(70)は、前記セグメント化された本体(76)に取り付けられる、
実施態様2に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様6]
前記ブラケット(74)は、上側プレート(82)および下側プレート(80)を有する、
実施態様2に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様7]
前記下側プレート(80)は、前記熱的状態の前記変化に応答して、前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状ファンケーシング(42)から垂直に離れるように移行させるように構成される、
実施態様6に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様8]
前記上側プレート(82)は、前記熱的状態の前記変化に応答して、前記ファンケーシング冷却器(50)の迎角(α)方向を増加させるように構成される、
実施態様7に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様9]
前記下側プレート(80)および前記上側プレート(82)は、熱伝導層(100)および熱作動層(102)を含む、
実施態様7に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様10]
前記ブラケット(74)は、前記上側プレート(82)と前記下側プレート(80)とを連結する中間部(84)をさらに含む、
実施態様6に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様11]
前記ブラケット(74)は、少なくとも部分的に前記ファンケーシング冷却器(50)に沿って前方から後方に延び、第1の後方点(110)および第2の前方点(112)で前記ファンケーシング冷却器(50)に取り付けられる、
実施態様6に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様12]
前記ファンケーシング冷却器(50)は、前記ブラケット(74)とのインターフェースに位置するヒンジを含む、
実施態様2に記載のファンケーシング組立体(38)。
[実施態様13]
熱的状態の変化に応答して形状を変化させるように構成された少なくとも1つの感熱コネクタ(72)を含む、
ファンケーシング冷却器(50)を環状ファンケーシング(42)に取り付けるための接続組立体(70)。
[実施態様14]
前記少なくとも1つの感熱コネクタ(72)は、前記熱的状態の前記変化に応答する一組の金属層(78)から形成された本体(76)を有するブラケット(74)を含む、
実施態様13に記載の接続組立体(70)。
[実施態様15]
前記ブラケット(74)は、不連続のアルミニウム炭化ケイ素層を有する上側プレート(82)を含む、
実施態様14に記載の接続組立体(70)。
[実施態様16]
前記ブラケット(74)は、アルミニウム炭化ケイ素層を有する下側プレート(80)をさらに含む、
実施態様15に記載の接続組立体(70)。
[実施態様17]
航空機エンジンのファンケーシング組立体(38)によって画定された環状通路(36)内でファンケーシング冷却器(50)を移動させる方法であって、
第1の基準温度に達すると前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状通路(36)内に受動的に配置するステップと、
前記ファンケーシング冷却器(50)に動作可能に結合された感熱コネクタ(72)を作動させて、熱的状態の変化に応答して形状を変化させるステップと、
を含む、方法。
[実施態様18]
第2の基準温度に達すると前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状通路(36)から受動的に後退させるステップをさらに含む、
実施態様17に記載の方法。
[実施態様19]
前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状通路(36)内に受動的に配置するステップは、前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状通路(36)内に移行させるステップを含む、
実施態様17に記載の方法。
[実施態様20]
前記ファンケーシング冷却器(50)を前記環状通路(36)内に受動的に配置するステップは、前記ファンケーシング冷却器(50)の迎角(α)方向を増加させるステップを含む、
実施態様17に記載の方法。
【符号の説明】
【0051】
10 タービンエンジン組立体
12 長手方向軸
14 流路
16 タービンエンジン
18 ファン組立体
20 ナセル
22 エンジンコア
24 圧縮機
26 燃焼部
28 タービン
30 排気管
32 内側カウル
34 外側カウル
36 環状通路
38 環状ファンケーシング組立体
40 前方ケーシング
42 後方ケーシング
43 周壁
44 空気流の第1の部分
46 空気流の第2の部分
50 ファンケーシング冷却器
52 第1の面
54 第2の面
56 第1の端部
58 第2の端部
60 前方縁部
62 後方縁部
70 接続組立体
72 感熱コネクタ
74 ブラケット
76 本体
78 金属層
80 下側プレート
82 上側プレート
83 ファスナ
84 中間部
86 パッド
88 マニホールド
90 チャネル
92 フィン
94 溝
96 取り付けレール
100 可鍛性層
102 MMC層
110 第1の後方点
112 第2の前方点
114 インターフェース
116 ヒンジ
118 固定ファスナ
120 可動ファスナ
122 ベアリング
124 冷却空気流
150 冷却器
172 感熱コネクタ
174 ブラケット
180 下側プレート
182 上側プレート
188 マニホールド
192 フィン
214 インターフェース
224 冷却空気流
234 溝
236 穴
250 冷却器
272 感熱コネクタ
274 ブラケット
280 下側プレート
282 上側プレート
292 フィン
324 冷却空気流
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C