【実施例】
【0009】
図1は実施例における画像形成装置の構成を示す概略側断面図である。
図1において、画像形成装置1は、例えば電子写真方式を用いた画像形成ユニットを有するロール紙プリンタであり、略箱型の筐体2を有している。なお、筐体2の図中左側の面を前面、図中右側の面を後面とし、筐体2の後面から前面への方向を前方向、前面から後面への方向を後方向、筐体2の下側から上側への方向を上方向、上側から下側への方向を下方向、筐体2の図中手前側から奥側への方向を左方向、筐体2の図中奥側から手前側への方向を右方向とする。
【0010】
筐体2の上部には、その前側に、円柱状に巻回されたロール紙を収納するロール紙収納部3が設けられている。
さらに、筐体2の上部には、その前側に、ロール紙収納部3を覆うカバー6が取り付けられている。
【0011】
画像形成装置1は、ロール紙収納部3の収納空間と、閉じたカバー6の内側の空間とで形成される円柱状の空間に、円柱状のロール紙を収納するようになっている。
ロール紙収納部3には、収納空間の前端上部に収納部側搬送ローラ9と、カバー側搬送ローラ11とが設けられている。カバー側搬送ローラ11は、カバー6が閉じたときに、収納部側搬送ローラ9と当接し、ロール紙を挟持して搬送することが可能になっている。
【0012】
画像形成装置1の筐体2の内部には、ロール紙収納部3の前端部からロール紙収納部3の下側を沿うようにロール紙収納部3の後端部まで延び、さらに搬送ローラ対22、23、24、25、33を経由してロール紙排出口20まで繋がる搬送路21が設けられている。
【0013】
搬送路21は、ロール紙収納部3に収納されたロール紙をロール紙排出口20まで搬送する経路であり、ロール紙収納部3側が上流側、ロール紙排出口20側が下流側となる。
搬送ローラ対22、23、24、25、33は、ロール紙を挟持して搬送するローラ対であり、搬送路21の上流側から順に、搬送ローラ対22、搬送ローラ対23、搬送ローラ対24、搬送ローラ対25、および搬送ローラ対33が配置されている。
【0014】
搬送ローラ対24と、搬送ローラ対25との間には、ロール紙を切断する筐体側カッタ26が配設されている。
また、搬送ローラ対25と、搬送ローラ対33との間の搬送路21には、画像形成部27a、27b、27cが配設されている。
【0015】
画像形成部27a、27b、27cは、複数色(例えば、3色)の現像剤としてのトナーの画像を形成するものであり、搬送路21の上流側から順に、画像形成部27a、画像形成部27b、および画像形成部27cが並べて配置されている。この画像形成部27a、27b、27cには、それぞれの画像形成部27a、27b、27cから回収した廃トナーを収容する廃トナー収容部28a、28b、28cが取り付けられている。
【0016】
画像形成部27(27a、27b、27c)は、電子写真方式を用いて現像剤像としてのトナー画像を形成するものである。この画像形成部27は、回転可能な像担持体としての感光体ドラム30(30a、30b、30c)と、感光体ドラムの表面を一様に帯電させる帯電手段としての帯電ローラ35(35a、35b、35c)と、帯電された感光体ドラム30の表面に光を選択的に照射して静電潜像を形成する露光手段としての露光装置36(36a、36b、36c)と、感光体ドラムに形成された静電潜像に現像剤としてのトナーを搬送してトナー画像を形成する現像ユニット60とを有するものである。
【0017】
現像ユニット60は、感光体ドラム30に形成された静電潜像に現像剤としてのトナーを搬送する現像手段としての現像ローラ64(64a、64b、64c)と、現像ローラ64(64a、64b、64c)にトナーを供給する現像剤供給手段としての供給ローラ63(63a、63b、63c)とを有している。
なお、現像ユニット60の図中手前側には、
図2において説明するトナーカートリッジ50が配置されている。
【0018】
また、画像形成部27a、27b、27cの下側には、搬送路21に沿って前後方向に延びる環状の転写ベルト29と、転写ローラ31a、31b、31cとが設けられている。
転写ローラ31a、31b、31cは、転写ベルト29を挟んで画像形成部27a、27b、27cの感光体ドラム30a、30b、30cのそれぞれに対向する位置に配置されている。
【0019】
搬送路21における、転写ベルト29の下流側に、定着器32が設けられ、さらに定着器32の下流側でロール紙排出口20の近傍に搬送ローラ対33が設けられている。
図2は実施例における画像形成ユニットの外観斜視図である。
図2において、画像形成ユニット100は、画像形成部27と、ステージ40と、トナーカートリッジ50とを有している。
【0020】
本実施例の画像形成部27は、例えばイエロー色のトナー画像を形成する画像形成部27a、マゼンタ色のトナー画像を形成する画像形成部27b、およびシアン色のトナー画像を形成する画像形成部27cが順に媒体搬送方向に沿って並べて配置されている。なお、画像形成部27aから画像形成部27cが配列される順序は前述した順序に限られるものではなく、任意の順序とすることができる。
【0021】
装着部としてのステージ40は、媒体搬送方向と直交する方向における画像形成部27の一端部側(
図1に示す画像形成装置1の右側)に設けられたものである。このステージ40は、トナーカートリッジ50を着脱可能にしている。
【0022】
現像剤収容体としてのトナーカートリッジ50は、内部に各色のトナーを収容するものであり、ステージ40に対して着脱可能に構成されたものである。画像形成部27a、27b、27c内のトナーが不足した場合、ステージ40に装着されていたトナーカートリッジ50を取り外し、各色のトナーが収容されたトナーカートリッジ50をステージ40に対して図中矢印Aが示す方向に挿入して装着することにより、各色のトナーを画像形成部27a、27b、27cにそれぞれ供給することができるようになっている。
【0023】
図3は実施例における現像部の概略断面図、
図4は実施例における現像部の説明図である。なお、
図3は
図1におけるAA矢視の概略断面図である。
図3および
図4において、現像装置としての現像ユニット60は、現像室61と、トナー供給ダクト62と、トナー供給口67とにより構成されている。また、現像ユニット60は、供給ローラ63と、現像ローラ64と、攪拌供給部材65と、攪拌部材66とを有している。
【0024】
供給口としてのトナー供給口67は、トナーカートリッジ50の底部に接続された開口部であり、トナーカートリッジ50からトナーが供給され、そのトナーが通過するものである。
【0025】
現像室61は、内部にトナーを収容するトナー収容空間を有し、トナー供給口67から供給されたトナーを収容するものである。現像室61は、収容したトナーを現像部としての現像ローラ64に供給する回転可能な供給ローラ63と、供給ローラ63によって供給されたトナーを感光体ドラム30に形成された静電潜像に搬送する現像ローラ64とを有している。
【0026】
現像剤通路としてのトナー供給ダクト62は、トナー供給口67と現像室61とを結ぶものである。トナー供給ダクト62は、トナー供給口67と現像室61との間に延伸するように配設され、略円筒形状に形成されたトナー通路である。トナー供給ダクト62の一端部に形成されたトナー供給口67はトナーカートリッジ50に接続され、他端部が現像室61に接続されている。したがって、トナーカートリッジ50に収容されたトナーは、トナー供給口67からトナー供給ダクト62へと供給される。また、トナーカートリッジ50から供給されたトナーは、トナー供給ダクト62を経由して現像室61へと移動する。
【0027】
攪拌供給部材65は、少なくともトナー供給ダクト62の内部に回転可能に設けられたものであり、本実施例の攪拌供給部材65は、トナー供給ダクト62および現像室61の内部に回転可能に設けられている。
攪拌供給部材65は、トナー供給口67と現像室61とを結ぶ方向に延伸する回転軸651と、少なくともひとつの辺部が形成された板状の攪拌パドル652とを有している。
【0028】
回転軸651は、現像ユニット60の本体に回転可能に支持され、トナー供給ダクト62の延伸方向と直交する面におけるトナー供給ダクト62の略中心に配置され、また現像室61に配置された供給ローラ63の回転軸と略平行に配置されている。
回転軸651は、少なくともトナー供給ダクト62の内部に回転可能に設けられたものであり、本実施例の回転軸651は、トナー供給ダクト62および現像室61の内部に回転可能に設けられている。
【0029】
攪拌面部としての攪拌パドル652は、回転軸651に取り付けられた板状部材(本実施例では、矩形状の板状部材)である。攪拌パドル652は、ひとつの辺部が回転軸651の延伸方向に取り付けられ、回転軸651とともに回転して面部でトナー供給ダクト62および現像室61の内部のトナーを攪拌し、そのトナーに流動性を付与するものである。
【0030】
なお、攪拌パドル652は、ひとつの辺部が形成されていれば矩形状に限られることなく、半円形状、三角形状、五角形状以上の多角形状等であっても良い。
このように、攪拌供給部材65は、回転することにより、トナー供給ダクト62および現像室61の内部のトナーを攪拌し、そのトナーに流動性を付与する。また、攪拌供給部材65は、回転してトナーを攪拌することにより、トナー供給ダクト62および現像室61の内部のトナーの密度を所定の密度になるようにする。
【0031】
現像室61内のトナーが消費されると、現像室61内のトナーの密度が低くなり、攪拌供給部材65が回転してトナーを攪拌することにより、トナーカートリッジ50からトナー供給口67を介して供給されたトナーは密度が低くなった現像室61へと移動する。
なお、本実施例では、攪拌パドル652を回転軸651の全部に設けた例で説明するが、攪拌パドル652は、少なくとも、回転軸651の一部であるトナー供給ダクト62内に設けられていれば良い。
【0032】
攪拌部材66は、現像室61の内部の供給ローラ63と攪拌供給部材65との間であって、現像ユニット60の本体に供給ローラ63および攪拌供給部材65と略平行して回転可能に支持されたものである。攪拌部材66の回転軸は、供給ローラ63および攪拌供給部材65の回転軸と略平行に配置されている。攪拌部材66は、回転軸の端部以外の供給ローラ63に対応する部分がクランク状に形成され、回転することにより、現像室61の内部のトナーをクランク部で攪拌する。
【0033】
図5は実施例における攪拌供給部材の斜視図、
図6は実施例におけるトナー供給ダクトおよび攪拌供給部材の説明図である。なお、
図6(a)はトナー供給ダクトおよび攪拌供給部材の延伸方向と直交する面で切断された断面を表し、
図6(b)(c)はトナー供給ダクトおよび攪拌供給部材の延伸方向の面で切断された断面を表している。
【0034】
図5に示すように、本実施例の攪拌供給部材65は、回転軸651の延伸方向に複数の列を形成するように複数の攪拌パドル652(652a〜652j)が取り付けられて配置されている。例えば、攪拌パドル652は、第1の攪拌パドル列(652a、652c、652e、652g、652i)と、第2の攪拌パドル列(652b、652d、652f、652h、652j)とが回転軸651を挟むように回転軸651に取り付けられている。
【0035】
即ち、第1の攪拌パドル列(652a、652c、652e、652g、652i)と、第2の攪拌パドル列(652b、652d、652f、652h、652j)とが回転軸651の回転方向において角度180度を成すように配置されている。
【0036】
また、回転軸651の延伸方向であって、同一の攪拌パドル列において隣り合う攪拌パドル652の間、例えば第1の攪拌パドル列(652a、652c、652e、652g、652i)および第2の攪拌パドル列(652b、652d、652f、652h、652j)のそれぞれの列において隣り合う攪拌パドルの間には、所定の間隔が保持されている。
【0037】
このように、隣り合う攪拌パドルの間に所定の間隔を設けるのは、トナーの攪拌効果を高めるためである。
図6(a)に示すように、攪拌供給部材65の回転軸651は、トナー供給ダクト62の断面における略中心に配置され、
図5に示す第1の攪拌パドル列(652a、652c、652e、652g、652i)および第2の攪拌パドル列(652b、652d、652f、652h、652j)は、トナー供給ダクト62内を回転することができるようになっている。
【0038】
また、
図6(b)に示すように、本実施例では、トナー供給ダクト62の内側の半径はR、ひとつの攪拌パドル(例えば、攪拌パドル652a)の回転軸方向の幅はW、幅と直交する方向の高さはHとしている。なお、攪拌パドルの先端とトナー供給ダクト62との間には、所定の間隙d(内側半径R−高さH)が保持されている。
【0039】
また、同じ攪拌パドル列内で隣り合う攪拌パドルの間隔(例えば、攪拌パドル652aと攪拌パドル652cの間隔)は攪拌パドルの幅(回転軸651の延伸方向の幅)と同じWとなっている。さらに、同じ攪拌パドル列内で隣り合う攪拌パドルの間(例えば、攪拌パドル652aと攪拌パドル652cの間)の反対側に、他の攪拌パドル列の幅Wの攪拌パドル(例えば、攪拌パドル652b)が配置されている。
【0040】
また、
図6(c)に示すように、同じ攪拌パドル列内で隣り合う攪拌パドルの間隔(例えば、攪拌パドル652aと攪拌パドル652cの間隔)W´は、攪拌パドルの幅(回転軸651の延伸方向の幅)Wと異なる(例えば小さくなる)ようにしても良い。さらに、同じ攪拌パドル列内で隣り合う攪拌パドルの間(例えば、攪拌パドル652aと攪拌パドル652cの間)の反対側に、他の攪拌パドル列の幅W´の攪拌パドル(例えば、攪拌パドル652b)が配置されるようにしても良い。
【0041】
本実施例では、第1の攪拌パドル列の攪拌パドル(652a、652c、652e、652g、652i)と、第2の攪拌パドル列の攪拌パドル(652b、652d、652f、652h、652j)とが回転軸651を挟んで反対側に回転軸651の延伸方向に交互に配列されている。即ち、第1の攪拌パドル列(652a、652c、652e、652g、652i)および第2の攪拌パドル列(652b、652d、652f、652h、652j)のそれぞれの攪拌パドルは、回転方向において180度の位相をずらして配置されている。
【0042】
このように、それぞれの攪拌パドル列に配列された攪拌パドルは、回転軸651の回転方向において所定の位相角(180度)を保持して配置されている。
上述した構成の作用について説明する。
【0043】
まず、画像形成装置の印刷動作を
図1に基づいて簡単に説明する。
ユーザによってロール紙の先端部がロール紙収納部3の前方に引き出された状態でロール紙がロール紙収納部3にセットされる。その後、カバー6が閉じられると、ロール紙は、収納部側搬送ローラ9と、カバー側搬送ローラ11との間に挟持される。
【0044】
画像形成装置1は、収納部側搬送ローラ9と、カバー側搬送ローラ11との間でロール紙を挟持した状態で収納部側搬送ローラ9を回転させるとともに、各搬送ローラ対22、23、24、25、33の一方の搬送ローラを回転させ、ロール紙を搬送路21に沿って転写ベルト29へ搬送する。
【0045】
転写ベルト29へ搬送されたロール紙は、転写ベルト29によって搬送され、画像形成部27a、27b、27cの感光体ドラム30a、30b、30cと、転写ローラ31a、31b、31cとの間を順に通過する。
【0046】
このとき、現像ユニット60の供給ローラ63(63a、63b、63c)が回転することにより、現像ローラ64(64a、64b、64c)にトナーを供給する。トナーが供給された現像ローラ64(64a、64b、64c)により、感光体ドラム30a、30b、30cにトナーが搬送され、感光体ドラム30a、30b、30cの表面にトナー画像が形成される。さらに、感光体ドラム30a、30b、30cの表面に形成されたトナー画像がロール紙の印刷面に転写される。
【0047】
トナー画像が転写されたロール紙は、定着器32へ搬送され、定着器によってトナー画像が定着された後、搬送ローラ対33によってロール紙排出口20から排出される。
なお、ロール紙は、筐体側カッタ26によって所定の長さで切断されるようになっている。したがって、ロール紙排出口20からは、所定の長さに切断された状態の印刷済みのロール紙が排出されるようになっている。
【0048】
次に、トナーカートリッジのトナーを現像室へ供給する現像部の動作を
図7の実施例におけるトナー補給動作の説明図に基づいて説明する。
図1に示す画像形成装置1が印刷動作を開始すると、現像ユニット60の供給ローラ63(63a、63b、63c)が回転することにより、現像ローラ64(64a、64b、64c)にトナーが供給され、トナーが供給された現像ローラ64(64a、64b、64c)により、感光体ドラム30a、30b、30cにトナーが搬送され、感光体ドラム30a、30b、30cの表面にトナー画像が形成される。
【0049】
印刷動作が開始され、現像ユニット60の供給ローラ63および現像ローラ64が回転すると、
図7(a)に示すように、供給ローラ63とともに、攪拌供給部材65および攪拌部材66が同じ方向に回転する。なお、攪拌供給部材65および攪拌部材66の回転方向は、供給ローラ63の回転方向の逆方向である。また、攪拌供給部材65および攪拌部材66の回転方向、並びに供給ローラ63の回転方向は、前述の回転方向に限られるものではなく、任意の回転方向とすることができる。
【0050】
また、
図7(b)に示すように、トナーカートリッジ50に収容されたトナーは、トナー供給口67を通過してトナー供給ダクト62内に落下する。落下したトナーは、回転する攪拌供給部材65に設けられた攪拌パドル652aが回転する領域653a内に滞留するとともに、回転する攪拌パドル652aにより攪拌される。
【0051】
攪拌パドル652aは、領域653a内に滞留するトナーを押し広げるように攪拌する。また、攪拌パドル652aは、回転方向におけるおもての面部で領域653a内のトナーを攪拌するため、面部の裏面側に空間を形成することができ、よりトナーの攪拌効果を高めることができる。
このとき、トナーは、攪拌パドル652aで攪拌されることにより流動性が付与され、攪拌されながらトナー供給ダクト62内のトナーの密度が低い領域、即ちトナーが少ない領域へ移動し、広がる。
【0052】
図7(c)に示すように、回転する攪拌パドル652aにより攪拌された領域653a内のトナーは、攪拌供給部材65に設けられた攪拌パドル652bが回転する領域653b内に移動、即ちトナーの密度が高い領域653aからトナーの密度が低い領域653bへ移動する。
【0053】
このとき、攪拌パドル652aと攪拌パドル652bは回転軸651の取り付け位置の位相が180度ずれている(攪拌パドル652aと攪拌パドル652bは回転軸651を挟んで反対側に取り付けられている)ため、攪拌パドル652aによって攪拌された領域653a内のトナーは隣の攪拌パドル652bの回転動作に影響されることなく、領域653aの隣の領域653bへ容易に移動することができる。
【0054】
トナーの密度が高い領域653a内のトナーがトナーの密度が低い領域653bへ移動すると、領域653a内のトナーの密度は低くなるが、トナーカートリッジ50から落下した新しいトナーで領域653a内が満たされ、領域653a内のトナーの密度は徐々に高くなる。
【0055】
さらに、
図7(d)に示すように、回転する攪拌パドル652bにより攪拌された領域653b内のトナーは、攪拌パドル652bで攪拌されることにより流動性が付与され、攪拌供給部材65に設けられた攪拌パドル652cが回転する領域653c内に移動、即ちトナーの密度が高い領域653bからトナーの密度が低い領域653cへ移動する。
【0056】
攪拌パドル652bは、領域653b内に滞留するトナーを押し広げるように攪拌する。また、攪拌パドル652bは、回転方向におけるおもての面部で領域653b内のトナーを攪拌するため、面部の裏面側に空間を形成することができ、よりトナーの攪拌効果を高めることができる。
【0057】
このとき、攪拌パドル652bと攪拌パドル652cは回転軸651の取り付け位置の位相が180度ずれているため、攪拌パドル652bによって攪拌された領域653b内のトナーは隣の攪拌パドル652cの回転動作に影響されることなく、領域653bの隣の領域653cへ容易に移動することができる。
【0058】
同様に、
図7(e)に示すように、回転する攪拌パドル652cにより攪拌された領域653c内のトナーは、攪拌パドル652cで攪拌されることにより流動性が付与され、攪拌供給部材65に設けられた攪拌パドル652dが回転する領域653d内に移動、即ちトナーの密度が高い領域653cからトナーの密度が低い領域653dへ移動する。
【0059】
攪拌パドル652cは、領域653c内に滞留するトナーを押し広げるように攪拌する。また、攪拌パドル652cは、回転方向におけるおもての面部で領域653c内のトナーを攪拌するため、面部の裏面側に空間を形成することができ、よりトナーの攪拌効果を高めることができる。
【0060】
このとき、攪拌パドル652cと攪拌パドル652dは回転軸651の取り付け位置の位相が180度ずれているため、攪拌パドル652cによって攪拌された領域653c内のトナーは隣の攪拌パドル652dの回転動作に影響されることなく、領域653cの隣の領域653dへ容易に移動することができる。
【0061】
さらに、
図7(f)に示すように、回転する攪拌パドル652dにより攪拌された領域653d内のトナーは、攪拌パドル652dで攪拌されることにより流動性が付与され、トナーの密度が高い領域653dからトナーの密度が低い現像室61へ移動する。
【0062】
攪拌パドル652dは、領域653d内に滞留するトナーを押し広げるように攪拌する。また、攪拌パドル652dは、回転方向におけるおもての面部で領域653d内のトナーを攪拌するため、面部の裏面側に空間を形成することができ、よりトナーの攪拌効果を高めることができる。
【0063】
このように、
図7(a)〜(f)に示す動作が繰り返されることにより、トナー供給ダクト62内がトナーで満たされ、トナー供給ダクト62内がトナーで満杯になると、トナー供給ダクト62内のトナーが現像室61へ移動する。
【0064】
現像室61へ移動したトナーは、回転する攪拌部材66によって供給ローラ63周辺のトナーを保持しつつ、現像室61内のトナーの圧力が均等になるように攪拌され、供給ローラ63の長手方向(回転軸方向)に広がる。
また、回転する攪拌供給部材65の攪拌パドルによって現像室61内のトナーの圧力が均等になるように攪拌され、現像室61内のトナーに流動性が付与される。
【0065】
このように、現像室61において回転する攪拌部材66および攪拌供給部材65を設けたことにより、現像室61内のトナーの圧力を均等にするとともに、トナーに流動性を付与し、また、現像室61内のトナーを供給ローラ63の長手方向(回転軸方向)に広げることができ、トナー画像の品質を向上させることができる。
【0066】
現像室61内がトナーで満たされ、所定のトナーの密度に達すると、現像室61およびトナー供給ダクト62の内部のトナーの拡散および移動がなくなり、トナーカートリッジ50からのトナーの落下が停止する。
なお、攪拌パドル652(652a〜652d)は、少なくとも、回転軸651の一部であるトナー供給ダクト62内に設けられていれば、トナー供給ダクト62内がトナーで満杯になると、トナー供給ダクト62内のトナーを現像室61へ移動させることができる。
【0067】
図8は実施例における現像室内のトナー量を示すグラフであり、横軸は印字枚数(枚)、縦軸は現像室内トナー量(g)を表している。
図7(a)〜(f)に示す動作を繰り返して行うと、
図8に示すように、現像室61内のトナー量702は所定量701に収束する。このとき、現像室61内のトナーの密度は所定の密度となって均一に保たれる。
【0068】
この状態から現像室61内のトナーが消費されると、現像室61内のトナーの密度は所定の密度より低くなり、現像ユニット60の現像室61およびトナー供給ダクト62の内部のトナーの移動が再開される。
即ち、現像室61内のトナーが消費されると、トナー供給ダクト62の内部のトナーが現像室61へ移動し、現像室61へ移動したトナーに相当する量のトナーがトナーカートリッジ50から落下し、トナー供給ダクト62に補充される。
【0069】
このように、本実施例では、現像室61内のトナーの密度を所定の密度に保つことができ、トナーの濃度を均一にすることができるため、画像品質の低下を抑制することができる。
【0070】
一方、トナー供給ダクト62内に、トナーを搬送するトナー搬送部材(例えば、螺旋状のトナー搬送スパイラル等)を設け、そのトナー搬送部材で積極的にトナー供給ダクト62の内部のトナーを現像室61内へ搬送するようにした場合、トナー搬送部材がトナーを現像室61内に送り続けるため、現像室61内のトナーの密度が高くなり、トナーの濃度が均一でなくなり、画像品質の低下が発生してしまう。
【0071】
このように、本実施例では、現像ユニット60のトナー供給口67と現像室61との間を結ぶトナー供給ダクト62内に、回転可能な攪拌供給部材65を設けたことにより、現像室61内のトナーの濃度を均一にすることができ、画像品質の低下を抑制することができる。
【0072】
次に、本実施例の変形例を説明する。
図9および
図10は変形例における攪拌供給部材の説明図であり、
図9(a)および
図10(a)は攪拌供給部材の正面図、
図9(b)および
図10(a)は攪拌供給部材の側面図である。
【0073】
図9に示すように、回転軸651の軸方向に延伸する1枚の攪拌パドル6521を回転軸651に取り付けるようにしても良い。
また、
図10に示すように、回転軸651の軸方向に延伸する2枚の攪拌パドル6522aおよび攪拌パドル6522bを回転軸651に取り付けるようにしても良い。このとき、攪拌パドル6522aと、攪拌パドル6522bとは回転軸651を挟んで反対側に配置される。
【0074】
回転軸651に軸方向に延伸する1枚の攪拌パドル6521または2枚の攪拌パドル6522aおよび攪拌パドル6522bを取り付けた場合も、現像室61内のトナーの濃度を均一にすることができ、画像品質の低下を抑制することができる。
図12および
図13は変形例における攪拌パドルの説明図である。なお、
図11は実施例における攪拌パドルの説明図である。
【0075】
本実施例では、
図11に示すように、攪拌パドル652aおよび攪拌パドル652b(例えば、
図6(b)に示す攪拌パドル652aおよび攪拌パドル652b)をそれぞれ1枚として回転軸651の取り付け部に取り付けたものとして説明した。
【0076】
この場合、
図11(a)に示すように、攪拌パドル652aは1枚であるため、回転方向における攪拌パドル652aと攪拌パドル652aとが成す角度α1は360度である。また、
図11(b)に示すように、攪拌パドル652aと隣接する攪拌パドル652bとが回転方向において成す角度β1(位相角)は180度、即ち角度α1の2分の1の角度である。
【0077】
変形例として、
図12に示すように、攪拌パドル(例えば、
図6(b)に示す攪拌パドル652aおよび攪拌パドル652b)をそれぞれ2枚として回転軸651の取り付け部に取り付けたものとしても良い。
このように、回転軸651の延伸方向における攪拌パドルの各取り付け部に、一または複数の攪拌パドルを取り付けるようにしても良い。
【0078】
この場合、
図12(a)に示すように、攪拌パドル6523aは2枚であるため、回転方向における2枚の攪拌パドル6523aが成す角度α2は180度である。また、
図12(b)に示すように、攪拌パドル6523aと隣接する攪拌パドル6523bとが回転方向において成す角度β2(位相角)は90度、即ち角度α2の2分の1の角度である。
【0079】
同様に、変形例として、
図13に示すように、攪拌パドル(例えば、
図6(b)に示す攪拌パドル652aおよび攪拌パドル652b)をそれぞれ3枚として回転軸651の取り付け部に取り付けたものとしても良い。
【0080】
この場合、
図13(a)に示すように、攪拌パドル6524aは3枚であるため、回転方向における2枚の攪拌パドル6524aが成す角度α3は120度である。また、
図13(b)に示すように、攪拌パドル6524aと隣接する攪拌パドル6524bとが回転方向において成す角度β3(位相角)は60度、即ち角度α3の2分の1の角度である。
【0081】
このように、回転軸651の延伸方向において隣り合う第1の攪拌パドルと第2の攪拌パドルとは、回転方向における攪拌パドルの取り付け周期の半分の周期だけ位相をずらして回転軸651に取り付けられている。
なお、
図12および
図13では、隣接する2つの攪拌パドルの関係を説明したが、他の隣接する攪拌パドルも同様に回転軸651に取り付けられている。
【0082】
このように、それぞれの攪拌パドル列を形成する攪拌パドルは、回転軸651の回転方向において所定の位相角が保持されて配置され、その位相角は、回転軸651の回転方向において攪拌パドルの間に形成される角度の2分の1としている。
上述した変形例の場合でも、現像室61内のトナーの濃度を均一にすることができ、画像品質の低下を抑制することができる。
【0083】
以上説明したように、本実施例では、現像ユニットのトナー供給口と現像室との間を結ぶトナー供給ダクト内に、回転可能な攪拌供給部材を設けたことにより、現像室61内のトナーの濃度を均一にすることができ、画像品質の低下を抑制することができるという効果が得られる。
また、現像室内のトナー残量検知機構やトナー定量供給機構等を設ける必要がなくなり、現像ユニットの小型化や低コスト化を図ることができるという効果が得られる。
【0084】
なお、本実施例では、画像形成装置をプリンタとして説明したが、それに限られることなく、現像ユニットを有する複写機、ファクシミリ装置、複合機(MFP)等としても良い。
また、画像形成装置をロール紙に画像を形成するカラープリンタとして説明したが、切断された定型用紙に画像を形成するプリンタとしても良く、またモノクロプリンタとしても良い。