(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0026】
本開示の任意の実施形態を詳しく説明する前に、本発明はその適用において、以下の説明に述べる又は以下の図面に例示する構成の細部及び構成成分の配置に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。また、本明細書において使用される語句及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなすべきではないことを理解されたい。本明細書における「含む(including)」、「備える(comprising)」又は「有する(having)」、及びこれらの変形の使用は、以下に挙げる品目及びその等価物、並びに付加的な品目を包含するものである。明示される、ないしは別の方法により限定されない限り、「接続された」及び「連結された」、並びにその変形は広義で使用され、直接的及び間接的な接続並びに連結の双方を包含する。更に、「接続された」及び「連結された」は、物理的又は機械的接続又は連結に限定されない。他の実施形態を本開示の範囲から逸脱することなく利用することができ、構造上又は論理上の変更を加えることができることを理解されたい。更に、「前」、「後」、「上」、「下」などの用語は、互いに関係する要素について説明するためにのみ使用され、デバイスの特有の向きについて記述すること、デバイスの必要な若しくは必要とされる向きを指示若しくは示唆すること、又は本明細書に記載する本発明が使用の際にどのように使用され、取り付けられ、表示され、若しくは位置決めさせるかを指定することを一切意味しない。
【0027】
本開示は一般的に、負圧式創傷ドレッシングに関する。これらのドレッシングは、創傷部位での体液の蓄積を管理し、創傷表面と創傷被覆材との間に界面圧を生じさせ、肉芽組織の形成及び成長が刺激されるように使用される。本発明のドレッシングは、液体管理のための2つの別個の機構(例えば、排出ルート)をもたらす。加えて、ドレッシングを構成する材料は、創傷の解剖学的構造への適合を促進し、かつ他の負圧ドレッシング構成と比較してより長い期間にわたって負圧を維持する、表面をもたらす。
【0028】
ここで図面を参照し、
図1は、本開示の創傷ドレッシング100の一実施形態の分解側面図であり、
図2はその平面図である。ドレッシング100は、支持層10と、湿分透過性支持層10の少なくとも一部に接着された吸収性接着性ゲル30と、多孔性層40とを備える。いずれかの実施形態において、ドレッシング100は任意選択的に穿孔層50を備える。創傷ドレッシング100は、円形、楕円形、台形、矩形、及び正方形を含む様々な形状に形成することができ、様々な形状のそれぞれは、丸められた角を含むことができる。
【0029】
支持層10は、第1主面12と、第1主面と反対側の第2主面14と、支持層の縁部を画定する支持層周辺部16と、第1主面12から第2主面14まで延びる開口部18とを有する。支持層10は、皮膚表面の解剖学的輪郭と適合するために十分に柔軟な可撓性材料(例えば、ポリマー弾性フィルム、弾性不織布、又はこれらの組み合わせ)から作製されている。支持層周辺部16は、支持層10の外側縁部を画定する。
【0030】
好適な支持層10は例えば、不織布線維性ウェブ、織布線維性ウェブ、ニット、フィルム、及び他の周知の裏材材料を含む。好ましい裏材材料は、半透明又は透明の高分子弾性フィルムである。裏材は、高水蒸気透過性フィルム裏材であることが最も好ましい。本明細書にその開示が援用される米国特許第3,645,835号は、このようなフィルムの作製方法、及びその水蒸気透過性を試験するための方法について記載する。
【0031】
任意の実施形態において、支持層10は、約15μm〜約250μmの厚さを有する。
【0032】
第1接着剤20が、少なくとも一部(例えば、支持層周辺部16全体に近接して第2主面14に沿って延びる連続的な部分)に接着される(例えば、コーティングされる)。使用中、第1接着剤20は、支持層10と、ドレッシングが適用される皮膚との間にシール(例えば、支持層16全体の周囲の液体シール)を形成する。
【0033】
好ましくは、支持層/第1接着剤成分は、人間の皮膚と同等以上の速度で水蒸気を透過させるべきである。好ましくは、コーティングされていないフィルム(すなわち、第1接着剤がコーティングされていない支持層)は、EN−13726−1:2002、セクション3.3により測定した際に少なくとも10g/10cm
2/24時間の速度で水蒸気を透過させる。より好ましくは、コーティングされていない支持層は、20g/10cm
2/24時間より速い速度で水分を透過させる。任意の実施形態において、支持層の、接着剤がコーティングされた部分は、少なくとも0.8g/10cm
2/24時間、及びより好ましくは1.6g/10cm
2/24時間より速い速度で水蒸気を透過させる。
【0034】
支持層10は好ましくは、解剖学的表面に適合可能である。そのため、支持層は、解剖学的表面に適用されたとき、その表面が動いたときであってもその表面に適合する。好ましい支持層10はまた、動物の解剖学的関節に適合可能である。関節が屈曲してその非屈曲位置に戻されると、支持層は伸張して関節の屈曲に適応するが、関節が屈曲していない状態に戻ったときに関節に適合し続けるのに十分な弾力性を有する。好ましくは、支持層は、最終的に200%を超えて伸長する。より好ましくは、支持層は、最終的に400%を超えて伸長する。
【0035】
本開示の創傷ドレッシングと共に使用するために好ましい支持層のこの特徴の記載は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、発行済みの米国特許第5,088,483号、及び同第5,160,315号に見出すことができる。特に好ましい支持層は、エラストマーポリウレタン、コポリエステル、又はポリエーテルブロックアミドフィルムである。これらのフィルムは、好ましい支持層に見出される、弾力性、高水蒸気透過性、及び透明性という、望ましい特性を併せ持つ。
【0036】
第1接着剤20には任意の感圧接着剤が使用され得るが、好ましい接着剤としては、ソフトシリコーンゲル接着剤、Kraton(登録商標)ベースの接着剤、親水コロイド接着剤、又はその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第RE24,906号に記載されるアクリレートコポリマーなど、適度に皮膚適合性のある感圧接着剤を含む。97:3イソオクチルアクリレート:アクリルアミドコポリマーが特に好ましい。第1接着剤20のための他の有用な接着剤が、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第3,389,827号、同第4,112,213号、同第4,310,509号、及び同第4,323,557号に記載されている。共にその開示全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,310,509号及び同第4,323,557号に記載されるように、粘着剤中に薬剤又は抗菌剤を含めることもまた、想定されている。
【0037】
上記の第1接着剤20のための好ましい感圧接着剤は、好ましくは人間の皮膚と同等以上の速度で水蒸気を透過させる。このような特性は、好適な接着剤の選択により、又は不織布(例えば、メルトブローン)接着剤の使用により達成することができるが(これら全てが参照によりその全体が本明細書に組み込まれるに開示される、米国特許第6,171,985号、同第6,368,687号、及びPCT出願公開第WO99/27975号に記載するとおり)、本開示の創傷ドレッシングにおいては、支持層上に第1接着剤をパターンコーティング(図示せず)することなど、高い相対速度の水蒸気透過性を達成する他の方法が使用されてもよいように考えられ得る。更に、この接着剤は、37℃の等張性生理食塩水中に24時間浸漬した場合に吸収性が低い(すなわち、乾燥重量の25%未満、好ましくは乾燥重量の10%未満)。
【0038】
吸収性接着剤ゲル30は、支持層10の第2主面14の少なくとも一部に接着されている。吸収性接着剤ゲル30は、接着剤ゲル周辺部の外側縁部を画定する吸収性接着剤ゲル周辺部36を含む。吸収性接着剤ゲル周辺部36は、支持層周辺部16から間隔があいている。したがって、使用中、支持層10の第1接着剤20が処理表面(図示せず)に適用されるとき、支持層10は、吸収性接着剤ゲル周辺部36と100%重なりあう。本明細書において使用するとき、第1部分(例えば、支持層)は、これが第2部分の一部か、又はその反対側を第2部分により被覆されたある第3部分の一部を被覆する場合に、第2部分(例えば、吸収性接着剤ゲル)と「重なりあう」、又は「重なる」と言うことができる。換言すれば、ある部分は、第3部分によって分離されていても、別の部分と「重なりあう」、又は別の部分と「重なる」ことができる。
【0039】
任意選択的に、吸収性接着剤ゲルは第2開口部38を含む。存在する場合、第2開口部38は、好ましくは吸収性接着剤ゲル周辺部から間隔があいている。支持層10の第1開口部18の少なくとも一部は、それ自体と多孔性層との間に吸収性接着剤ゲル30を有さない(例えば、
図3Aの創傷ドレッシング102に示されるように、第1開口部は、第1開口部と多孔性層との間の吸収性接着剤ゲルが存在しない部分に位置する、又は
図3Bに示されるように、第1開口部は、吸収性接着剤ゲルの第2開口部38の少なくとも一部と重なりあう)。任意の実施形態において、第1及び第2開口部は、同一の広がりを持つことができる。この構成は、液体が、(皮膚)治療表面から多孔性層40を通り、第1開口部18を介して支持層10から出るのを容易にする。吸収性接着剤ゲル30は比較的薄くしてもよい。任意の実施形態において、吸収性接着剤ゲルは約0.2mm〜約4.0mmの厚さを有する。いずれかの実施形態において、吸収性接着剤ゲルは約0.4mm〜約3mmの厚さを有する。
【0040】
吸収性接着剤ゲル30は、血液と同様のイオン強度を有する水性液体を吸収し、保持することができる。したがって、この特性は、生理食塩水の吸収性を定量化することによって容易に試験することができる。任意の実施形態において、吸収性接着剤ゲルは、等張性食塩水溶液と24時間、37℃で接触したときに、その乾燥重量の少なくとも0.4倍、好ましくはその乾燥重量の少なくとも1.0倍、より好ましくはその乾燥重量の1.5倍以上、更により好ましくは4倍以上を吸収することができる。ゲルはまた、40mmHg圧力で外圧を加えたときに、吸収量(すなわち、残留吸収能力)の50%超を保持するという点で、高い湿分保持率を有する。
【0041】
任意の実施形態において、吸収性接着剤ゲル30は、ポリグリセロール−3、架橋ポリビニルピロリドン、及び/又はヒドロキシプロピルグアーを含む、ヒドロゲルを含み得る。好適な吸収性接着ヒドロゲル、及び当該吸収性接着ヒドロゲルの作製方法の非限定的な例は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願第2009/0187130号に記載されている。任意選択的に、吸収性接着剤ゲルは、例えば抗菌性ビグアニド(例えば、グルコン酸クロルヘキシジン)などの抗微生物剤を含み得る。
【0042】
好適なヒドロゲル組成物には、例えば、ペクチン、ゼラチン、又はカルボキシメチルセルロース(CMC)(Aqualon Corp.,Wilmington,Del.)のような天然ヒドロゲル、架橋カルボキシメチルセルロースX4ink CMC)(例えば、Ac−Di−Sol;FMC Corp.、Philadelphia、PA)などの半合成ヒドロゲル、架橋ポリアクリル酸(PAA)(例えば、CARBOPOL(商標)No.974P;B.F.Goodrich、Brecksville、Ohio)などの合成ヒドロゲル、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
【0043】
ほとんどの実施形態において、ヒドロゲル接着剤は、米国特許出願公開第2004/0247655号に更に記載するように、膨潤性架橋ポリ(N−ビニルラクタム)、膨潤剤、及び凝集性の感圧接着組成物を形成するのに十分な量で存在する変性ポリマーを含む。架橋膨潤性ポリ(N−ビニルラクタム)と混合される膨潤剤の量は、組成物の約50〜約90重量%の範囲であり得る。結果的に、組成物に添加される任意の生体適合性、及び/又は治療用、及び/又はイオン導電材料を除き、膨潤性ポリ(N−ビニルラクタム)の重量%は約10〜約50重量%であり得る。ポリ(N−ビニルラクタム)がポリ(N−ビニルピロリドン)である場合、ポリ(N−ビニルピロリドン)の重量%は約15〜約45%の範囲であり得る。特定の実施形態において、ポリ(N−ビニルピロリドン)は約18%〜約35%の範囲であり得る。
【0044】
ほとんどの実施形態において、本発明のヒドロゲル接着剤組成物は、典型的にはラクタムが個体状であるときに放線架橋される、膨潤性ポリ(N−ビニルラクタム)を含む。他の実施形態において、ポリ(N−ビニル)ラクタムは、N−ビニルラクタムモノマー、任意選択的に他のモノマー、及び米国特許第4,931,282号に記載されるように架橋化合物を含む前駆体のバルクか、又は溶液でのフリーラジカル重合によって架橋される。本開示の吸収性接着剤において有用なポリ(N−ビニルラクタム)は、米国特許第4,931,282号、同第5,225,473号、及び同第5,389,376号に記載される個体形状などの、架橋しやすい任意の形態で提供され得る。典型的には、ポリ(N−ビニルラクタム)は、N−ビニル−2−ピロリドンのホモポリマーである。
【0045】
電離放射線に暴露した後、ポリ(N−ビニルラクタム)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,409,966号に記載されるように、少なくとも約15、典型的には少なくとも約30、多くの場合では少なくとも約40の膨潤能力を有し得る。任意の固体の形態のポリ(N−ビニルラクタム)は、高エネルギー源からの電離放射線に供されたとき、使用のために架橋されてもよい。
【0046】
変性ポリマーはヒドロゲル接着剤組成物内に存在し、凝集性を維持及び/又は増加させながら接着性を低減させる。膨潤剤と共に添加されたとき、変性ポリマーは膨潤剤内で可溶化するか懸濁する。典型的に、変性ポリマーは、変性ポリマーと膨潤剤とが1:9の割合となるように膨潤剤と組み合わされたときに粘稠な溶液又は粘稠なゲルを形成する。
【0047】
膨潤剤の選択は典型的に、接着の減少を成し遂げる一方で接着剤組成物の凝集を維持又は改善する、好適な変性ポリマーを決定する。ある膨潤剤内で不十分に可溶化している変性ポリマーは、本発明で使用される別の膨潤剤内で大きく膨張し得る。いくつかの実施形態において、好適な変性膨潤性ポリマーの例としては、多糖類、多糖類誘導体、アクリレート、アクリレート誘導体、セルロース、セルロース誘導体、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0048】
特定の実施形態において、本発明において使用するための変性膨潤性ポリマーとは、ヒドロキシプロピルグアー、グアーガム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、トリアルキルアンモニウム置換エポキシドと反応したヒドロキシエチルセルロースのポリマー性第四級アンモニウム塩、ヒドロキシエチルセルロース及び塩化ジアリルジメチルのコポリマー、並びにこれらの誘導体及び組み合わせである。
【0049】
変性ポリマーの量は、組成物の約50重量%までの範囲であり得る。その結果、組成物に添加されるべき任意の生体適合性材料及び/又は治療用材料及び/又はイオン伝導性の材料を除いて、変性ポリマーの重量%は約0.1〜約40重量%であり得る。変性ポリマーがヒドロキシプロピルグアーであるとき、ヒドロキシプロピルグアーの重量%は約1〜約20%の範囲であり得る。
【0050】
ヒドロゲル接着剤組成物はまた、架橋ポリ(N−ビニルラクタム)ポリマー及び変性ポリマーの両方を膨潤させ得、かつ人間の皮膚と生体適合性である、膨潤材をも含む。ポリ(N−ビニルラクタム)を膨潤させるのに有用な膨潤剤の非限定的な例は、一価アルコール(例えば、エタノール及びイソプロパノール)、多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール(200〜600の分子量)、及びグリセリン)、エーテルアルコール(例えば、グリコールエーテル)、皮膚の炎症又は毒性の反応を生じさせない他のポリオール膨潤剤、及び水が挙げられる。
【0051】
ヒドロゲル接着剤組成物の所望の最終用途によって、不揮発性及び/又は揮発性膨潤材が使用されてもよい。ある好適な膨潤剤は、グリセリン又はポリエチレングリコールと水との混合物など、揮発性膨潤剤及び不揮発性膨潤剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、不揮発性膨潤剤は、例えばグリセリン又はポリエチレングリコールなど、それら自体で使用されてもよい。同様に、水などの揮発性膨潤剤が、それら自体で本発明の組成物内で使用されてもよい。本発明に関して、「本質的に不揮発性」とは、本発明で使用されるとき、膨潤剤が接着性ポリマー、例えば放射ポリ(N−ビニルラクタム)を、例えば、プロセスへの曝露又は保存状態後に蒸発する不揮発性膨潤剤の所与の容量が10%未満であるように、十分に凝集性及び感圧接着性にするということを意味する。
【0052】
膨潤剤は、ヒドロゲル接着剤組成物の約50〜約90重量%、及び好ましくは約60〜約80重量%の範囲の量で添加することができる。いくつかの実施形態では、グリセリン及びポリエチレングリコールは、本質的に不揮発性膨潤剤であるように選択される。グリセリン及びポリエチレングリコールの両方は、膨潤剤の100重量%まで含むことができる。
【0053】
吸収性接着剤ゲル30は、任意選択的に、抗菌剤、経皮薬剤送達用薬剤、患者の体内のホルモン又は他の物質をモニタリングする化学指標などを含むいくつかの物質を含有するのに有用である。
【0054】
吸収性接着剤ゲルは、皮膚に抗菌剤を供給し、経皮装置の感染の可能性を低減する、又は皮膚の感染若しくは創傷を治療することができる。大部分の実施形態では、抗菌剤は全組成物の10重量%までの水準で添加される。
【0055】
抗菌剤を含む、多くの生物活性物質がある。抗菌剤の例としては、パラクロロメタキシレノール;トリクロサン;クロルヘキシジン及びグルクロン酸クロルヘキシジンなどのその塩、ポリヘキサメチレンビグアニド及びポリヘキサメチレンビグアニジンクロライドなどのその塩、ヨウ素、イドゴホア、脂肪酸モノエステル;ポリ−n−ビニルピロリドン−ヨードフォア;酸化銀、銀及びその塩、過酸化物(例えば、過酸化水素)、抗生物質(例えば、ネオマイシン、バシトラシン、及びポリミキシンB)が挙げられる。他の好適な抗菌剤は、米国特許出願公開第2004/0247655号に列挙されている。
【0056】
本開示のヒドロゲル接着剤を調製する方法は、架橋ポリ(N−ビニルラクタム)を膨潤材及び変性ポリマーと、並びに他の添加物と、周囲温度以上で幾分揮発性であり得る溶媒内で混合することを含む。典型的に、膨潤剤、変性ポリマー、及び他の添加剤、例えば抗菌剤は、本質的に未照射の形態である。好適な揮発性溶媒の例には、水、エタノール、メタノール、及びイソプロパノールが挙げられる。得られる懸濁液の量が次いで、基材、例えば剥離ライナー又は裏材材料の表面の上に成形され、次いで保存される。揮発性溶媒を、加熱によって、例えばマイクロ波エネルギー、赤外線エネルギーの適用によって、又は対流の空気流等によって、基材上に凝集性の感圧性接着剤組成物を形成するために蒸発させる。しばしば、蒸発工程には約65℃まで加熱された乾燥炉を使用することがある。製品の剥離ライナーを組成物の露出面上に任意選択的に積層し、それを汚染から保護することができる。
【0057】
任意の実施形態において、吸収性接着剤ゲル30は、ポリイソブチレン、ポリイソプレンベースのポリマー、可溶性吸収剤、不溶性吸収剤、及び粘着付与剤を含む親水コロイドを含むことができる。好適な親水コロイド組成物は、例えば、20〜40重量%のポリイソブチレン(BASFのOPPANOL)、15〜40重量%のポリイスプレンベースポリマー、15〜45重量%のカルボキシメチルセルロース(CMC)(Aqualon Corp.、Wilmington、DE)及び架橋カルボキシメチルセルロースX4ink CMC)(例えば、Ac−Di−Sol;FMC Corp.、Philadelphia、PA)などの可溶性及び不溶性吸収剤、及び15重量%未満のWINGTACK95(Sartomer Co.,Exton,PA)などの増粘剤を含む。
【0058】
いくつかの実施形態において、親水コロイドは、可溶性及び/又は不溶性の吸収剤が内部で分散された架橋疎水性シリコーンゲルを含む。吸収剤含有量は15〜45重量%とするべきである。
【0059】
水性液を吸収できることに加えて、本開示の吸収性接着剤ゲル30は、支持層10に接着されるときに湿分透過性である。したがって、任意の実施形態において、吸収性接着剤ゲル30が接着した支持層10は、EN−13726−1:2002セクション3.3で測定した際に1g/10cm
2/24時間以上の水蒸気透過率(MVTR)を有する。好ましくは、この水蒸気透過速度は、3g/10cm
2/24時間を超える。有利なことに、創傷ドレッシング100が水蒸気透過性支持層及び水蒸気透過性吸収性接着剤ゲルを有するので、水分は、1)第1開口部を通じてドレッシングから(液状で)出るドレッシングの経路、及び2)吸収性接着剤ゲルを通じて、そのままの状態の支持層から(蒸気の状態で)出る経路、という2つの手段により、創傷部位から離れてドレッシング100から出るように運ばれ得る。ゲル及び支持層を通じた高い湿分水蒸気透過速度は、創傷の真空治療を使用するときに創傷滲出物の回収に必要なキャニスターの大きさを低減するため、重要である。高MVTRゲル及び支持体は、SNaP(登録商標)Wound Care System(Spiracur,Inc.;Sunnyvale,CA)に使用されるような、一定の力のばねを使用して真空源が機械的に形成される際の実施形態において、特に有用である。高MVTRゲル/支持システムは、流体が蒸発によって除去され、キャニスター又はカートリッジを満たさないために、機械的真空システムの有効寿命を延ばす。
【0060】
任意の実施形態において、吸収性接着剤ゲルは、本開示の創傷ドレッシングを治療部位に適用する前に、40重量%未満の水を含む。任意の実施形態において、本開示の創傷ドレッシングを治療部位に適用する前に、吸収性接着剤ゲルは25重量%未満の水を含む。好ましくは、本開示の創傷ドレッシングを治療部位に適用する前に、吸収性接着剤ゲルは10重量%未満の水を含む。40重量%未満の水、25重量%未満の水、又は10重量%未満を含む吸収性接着剤ゲルを使用することによって、使用前の貯蔵中にゲル内に水を保持するために元来必要とされる特殊なパッケージの必要性が低減される。
【0061】
吸収性接着剤ゲルの弾性(例えば、貯蔵弾性率(G’)によって示される)は、吸収性接着剤ゲルの厚さの範囲において創傷ドレッシングが適合性でありながら、高い一体性を保ち、伸張させたときに容易に破断しないように、選択される。任意の実施形態において、本開示の創傷ドレッシングを治療部位に適用する前に、吸収性接着剤ゲルは、24℃、1rad/秒の剪断速度において、約5,000パスカル〜約50,000パスカルの貯蔵剪断弾性率を有する。好ましくは、10,000パスカル〜約30,000パスカルである。
【0062】
加えて、損失弾性率(G”)は、吸収性接着剤ゲル30の粘性応答を示す。いくつかの実施形態において、本開示の創傷ドレッシングを治療部位に適用する前に、吸収性接着剤ゲルは、24℃、1rad/秒の剪断速度において、約2,000パスカル〜約20,000パスカルの損失剪断弾性率を有する。好ましくは、約3,000パスカル〜約15,000パスカルである。有利なことに、24℃、1rad/秒の剪断速度において、約2,000パスカル〜約20,000パスカルの損失剪断弾性率G”を有する吸収性接着剤ゲルは、皮膚上に適切な真空シールを形成するために十分に柔軟であるが、容易に流れてその一体性を簡単に損なうほど柔軟ではない。
【0063】
図面を参照すると、本開示による創傷ドレッシング100は多孔性層40を備える。多孔性層40は、第1面42、第2面44、及び多孔性層の外側縁部を画定し、更に多孔性領域を画定する多孔性層周辺部46を有する。多孔性層40の第1面42は、吸収性接着剤ゲル30に接着される。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも50%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも50%超が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも60%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも70%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも75%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも80%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも85%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも90%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の少なくとも95%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。任意の実施形態において、多孔性層周辺部の100%が吸収性接着剤ゲルと重なりあう。好ましくは、ゲルは、多孔性層周辺部を超えて(すなわち、支持層周辺部に向かって)、少なくとも3mm、及びより好ましくは少なくとも5mm、延びている。
【0064】
皮膚に適切な真空シールをもたらすことに加えて、吸収性接着剤ゲルはまた、流体のリザーバとしても機能し、多孔性層から水分を吸い上げ、多孔性層に液体がない状態の維持を促進する。多孔性層内の液体がより少なくなると、真空下でのドレッシングの圧力降下はより低くなる。この圧力降下は、多孔性層が液体で飽和しているときに非常に顕著である。
【0065】
多孔性層40は、流体(例えば、切開創傷などの創傷部位から漏れる血液又は他の流体)が多孔性層を通じて支持層10の第1開口部18へと通るのを容易にするように構成されている。任意の実施形態において、多孔性層40は、連続気泡発泡体、織布(例えば、ガーゼ)、又は不織布を含むことができる。多層多孔性ポリマーフィルムもまた、許容可能である。
【0066】
任意の実施形態において、多孔性層40は材料の層の組み合わせであり得る。例えば、フォームに積層された(ないしは別の方法で取り付けられた)不織布を、多孔性層とみなすことができる。好ましい実施形態において、独立気泡発泡体に後に積層される、多孔性フィルム(マクロ孔質、又はミクロ孔質)を片面又は両面に積層した不織布は良好な多孔性層として機能することができるが、これは多層により流体が多孔性層を容易に通過するため、及び真空下での崩壊により耐性があるためである。
【0067】
任意の実施形態において、多孔性層40は任意選択的に1つ以上の解放領域43を含む。任意の実施形態において、多孔性層40は任意選択的に複数の解放領域43を含む。開放領域43は、多孔性層40の孔よりも実質的に大きな貫通孔である。任意の実施形態において、開放領域43の合計は、多孔性層領域の5%以上、50%以下の面積を有する。任意の実施形態において、開放領域43の合計は、多孔性層領域の5%以上、20%以下の面積を有する。有利なことに、開放領域43は、ドレッシングを取り外すことなく、創傷部位の可視化を促進するように機能する。
【0068】
好ましくは、開放領域は、真空を適用するときに、接着剤ゲルが開放領域の側部と適合し、皮膚又は穿孔層と接触する程度に十分に大きくあるべきである。任意の実施形態において、孔の形状は、例えば、楕円形、円形、正方形、矩形、又は菱形であり、孔の面積は少なくとも0.4cm
2であり、及び好ましくは、面積は0.75cm
2を超え、及び最も好ましくは、面積は1.5cm
2を超える。開放領域が大きすぎると、創傷に負圧を適用するため、かつ創傷から流体を排出するための、多孔性層の利用可能な面積が低減するため、個別の孔の面積は13cm
2を超えるべきではない。
【0069】
開放領域43は任意の形状をとることができる。
図1及び
図2の創傷ドレッシング100の図示の実施形態は、複数の楕円形の開放領域を含む。開放領域43のために好適である形状の非限定的な例としては、円形、三角形、正方形、矩形、及び多角形を含む。
【0070】
任意の実施形態において、本開示の創傷ドレッシング100は任意選択的に穿孔層50を含む。穿孔層50は基材51(例えば、ポリマーフィルム基材、フォーム、不織布、織布、又は上記材料のいずれか2つ以上の組み合わせ)を含み、第1表面52、第2表面53、穿孔層周辺部56、及び基材51を通り抜けて延びる複数の穿孔54を備えている。穿孔54は、滲出物が創傷から基材51を通じて多孔性層40に入るための液体経路をもたらす。穿孔層50の第1表面51は、穿孔層50にコーティングされ得る第2接着剤56を介して、多孔性層40の第2面44に接着されている。第2接着剤は、穿孔層50を多孔性層40に接着させるための任意の好適な接着剤であり得る。任意選択的に、穿孔層50は上部にコーティングされた第3接着剤58を含み得る。第3接着剤58によって、創傷ドレッシング100を治療部位(皮膚)に更に確実に取り付けることができる。任意の実施形態において、第3接着剤58は疎水性柔軟シリコーン接着剤を含み得る。第2接着剤56及び第3接着剤58は、基材を穿孔する前に穿孔層50の上にコーティングされてもよく、よって、第2及び第3接着剤もまた、穿孔を含む。あるいは、又は加えて、第2接着剤56及び第3接着剤58は、基材51にパターンコーティングされてもよい。有利なことに、穿孔層50の穿孔54は、多孔性層40への湿分透過のための経路をもたらすのみではなく、穿孔層50を様々な創傷部位の解剖学的表面に高度に適合可能なものとする。穿孔層は、多孔性層の周辺部、又は開口領域と同一の広がりを持つ必要はない。
【0071】
好ましくは、第3接着剤58は柔軟なシリコーン接着剤であり、50マイクロメートルより大きい厚さ、より好ましくは、75マイクロメートルより大きい厚さである。第3接着剤58は、創傷ドレッシングの組織への更なる固定をもたらし、多孔性層付近において皮膚と接着剤との境界面に、より良い真空シール特性をもたらす。好ましくは、柔軟なシリコーン接着剤層によるこの多孔性層の鋼鉄への接着は、吸収性接着剤ゲル及び/又は支持体にコーティングされた接着剤層の鋼鉄への接着よりも弱い。加えて、第3接着剤層は、24時間、37℃で、等張性生理食塩水中において低い吸収性を有する。(すなわち、25%未満の乾燥重量、及び好ましくは10%未満の乾燥重量)
【0072】
本開示の創傷ドレッシングの任意の実施形態において、ドレッシングは、真空ポート(
図1〜3に図示せず)を更に備える。
図4に示されるように、真空ポートは、創傷ドレッシングを負圧源に動作可能に連結するのを可能にする構造である。真空ポートは、支持層に密封して取り付けることができる(例えば、感圧接着剤、二次移送接着剤/フィルムドレッシング、又はヒートシールを介して)、当該技術分野において既知の任意の好適な真空ポートであり得る。
【0073】
図1及び
図2に例示される実施形態は、吸収性接着剤ゲル周辺部36が多孔性層周辺部46と完全に重なりあう創傷ドレッシング100を示すが、特定の実施形態において、上記のように、吸収性接着剤ゲル周辺部36は多孔性層周辺部46と100%で重なりあわないことが想到される。
図3は、吸収性接着剤ゲル30の吸収性接着剤ゲル周辺部36が多孔性層40の多孔性層周辺部46に完全に重ならない創傷ドレッシング101の一実施形態を示している。この実施形態において、支持層10の支持層周辺部16は、吸収性接着剤ゲル周辺部36及び多孔性層周辺部46の両方と完全に重なりあう。
図3Aには、支持層10の第1開口部18、及び吸収性接着剤ゲル30の第2開口部38もまた、示されている。
【0074】
使用中、創傷ドレッシングは、皮膚に面する支持層の接着剤面(すなわち、第2主要面)が治療部位に向いて、適用される。
図4は、治療部位にて、皮膚5の表面に適用される創傷ドレッシング103の一実施形態の側面図(一部断面図)を示している。創傷ドレッシング103は、
図1の創傷ドレッシング100と同一であるが、第1開口部(図示せず)を備える支持層10、第2開口部38を備える吸収性接着剤ゲル30、複数の開放領域43を備える多孔性層40、及び穿孔層50を備えることに加えて、創傷ドレッシング103は真空ポート70を更に備える。真空ポート70は、チューブ82を介して負圧源80(例えば、真空ポンプ(図示せず))に動作可能に連結されている。第2主面14上の第1接着剤(図示せず)は、皮膚5上に液密シールを形成する。
【0075】
任意の実施形態において、本開示による真空ポートを含む創傷ドレッシングは、真空源に動作可能に接続することができる。真空源は、例えば、機械的ポンプであってもよい。任意の実施形態において、真空源は、機械的に動力を与えられた、携帯可能な真空ポンプであり得る。任意の実施形態において、機械的に動力を与えられた真空源は、1つ以上の定荷重ばねを備える。
代表的な実施形態
【0076】
実施形態Aは、
第1主面、第2主面、支持層周辺部、及び第1開口部を有する、湿分透過性支持層であって、
第2主面は支持層周辺部付近でその上に第1接着剤を有する、湿分透過性支持層と、
支持層の第2主面の少なくとも一部に接着した吸収性接着剤ゲルであって、接着剤ゲル周辺部を備える、吸収性接着剤ゲルと、
第1面、第2面、及び多孔性層周辺部を有する多孔性層と、を備え、
多孔性層の第1面は吸収性接着剤ゲルに接着しており、
多孔性層は流体が第2開口部へと通過するのを容易にするように構成されており、
接着剤ゲル周辺部の100%が支持層と重なりあい、
多孔性層周辺部の少なくとも50%は吸収性接着剤ゲルと重なりあっている、創傷ドレッシングである。
【0077】
実施形態Bは、吸収性接着剤ゲルは第2開口部を更に含む、実施形態Aに記載の創傷ドレッシングである。
【0078】
実施形態Cは、第1開口部の少なくとも一部が、第2開口部の少なくとも一部と重なりあう、実施形態Bに記載の創傷ドレッシングである。
【0079】
実施形態Dは、吸収性接着剤ゲルが約0.2mm〜約4.0mmの厚さを有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0080】
実施形態Eは、吸収性接着剤ゲルが約0.5mm〜約4.0mmの厚さを有する、実施形態Dに記載の創傷ドレッシングである。
【0081】
実施形態Fは、吸収性接着剤ゲルが約0.5mm〜約3.0mmの厚さを有する、実施形態Eに記載の創傷ドレッシングである。
【0082】
実施形態Gは、吸収性接着剤ゲルが約40重量%以下の水を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0083】
実施形態Hは、吸収性接着剤ゲルが約25重量%以下の水を含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0084】
実施形態Iは、吸収性接着剤ゲルが約10重量%以下の水を含む、実施形態G又は実施形態Hに記載の創傷ドレッシングである。
【0085】
実施形態Jは、
多孔性層は多孔性層周辺部により画定される多孔性層領域を有し、
多孔性層は少なくとも1つの開放領域を含み、
開放領域の合計は、多孔性層領域の5%以上、かつ50%以下である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0086】
実施形態Kは、
多孔性層は多孔性層周辺部により画定される多孔性層領域を有し、
多孔性層は複数の開放領域を含み、各開放領域は多孔性層領域の5%以上、かつ50%以下である、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0087】
実施形態Lは、開放領域の合計が多孔性層領域の5%以上、かつ20%以下である、実施形態J又は実施形態Kに記載の創傷ドレッシングである。
【0088】
実施形態Mは、ドレッシングが、多孔性層の第2面に接着された穿孔層を更に備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0089】
実施形態Nは、穿孔層が穿孔ポリマー基材を含む、実施形態Mに記載の創傷ドレッシング。
【0090】
実施形態Oは、穿孔層は、多孔性層の第2面に面する第1主面と、第1主面と反対側の第2主面とを有し、第2主面はシリコーン接着剤を含む、実施形態M又は実施形態Nに記載の創傷ドレッシングである。
【0091】
実施形態Pは、シリコーン接着剤が50マイクロメートル以上の厚さを有する、実施形態Oに記載の創傷ドレッシングである。
【0092】
実施形態Qは、シリコーン接着剤が75マイクロメートル以上の厚さを有する、実施形態Oに記載の創傷ドレッシングである。
【0093】
実施形態Rは、支持層に接着した吸収性接着剤ゲルの鋼鉄に対する接着が、多孔性層に接着されたシリコーン接着剤の鋼鉄に対する接着よりも強い、実施形態O〜Qのいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0094】
実施形態Sは、支持層に接着した吸収性接着剤ゲルの鋼鉄に対する接着が、支持層に接着された第1接着剤の鋼鉄に対する接着よりも強い、実施形態O〜Rのいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0095】
実施形態Tは、支持層がポリマー弾性フィルム、弾性不織布、又はその組み合わせを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0096】
実施形態Uは、支持層が約15μm〜約250μmの厚さである、実施形態Tに記載の創傷ドレッシングである。
【0097】
実施形態Vは、支持層が、EN−13726−1:2002セクション3.3によって測定したときに10g/10cm
2/24時間以上の水蒸気透過速度を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0098】
実施形態Wは、吸収性接着剤ゲルが接着された支持層が、EN−13726−1:2002セクション3.3によって測定したときに1g/10cm
2/24時間以上の水蒸気透過速度を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0099】
実施形態Xは、吸収性接着剤ゲルは、24℃、1rad/秒の剪断において、約5,000パスカル〜約50,000パスカルの剪断弾性率を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0100】
実施形態Yは、吸収性接着剤ゲルは、24℃、1rad/秒の剪断において、約2,000パスカル〜約20,000パスカルの損失剪断弾性率を有する、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0101】
実施形態Zは、吸収性接着剤ゲルが抗菌剤を更に含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0102】
実施形態AAは、多孔性吸収性層は、連続気泡発泡体、織布若しくは不織布、多孔性フィルムの複数の層、又は上記材料の2つ以上の組み合わせを含む、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0103】
実施形態ABは、吸収性接着剤ゲルが、37℃で24時間にわたり、等張性生理食塩水と接触させられた際にその乾燥重量の1.5倍以上を吸収することができる、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0104】
実施形態ACは、真空ポートを更に備える、先行する実施形態のいずれか1つに記載の創傷ドレッシングである。
【0105】
実施形態ADは、機械的に動力を与えられた真空源を更に備える、実施形態ABに記載の創傷ドレッシングである。
【0106】
実施形態AEは、機械的に動力を与えられた真空源は1つ以上の定荷重ばねを備える、実施形態ACに記載の創傷ドレッシングである。
【実施例】
【0107】
本発明の目的及び利点を以下の実施例によって更に示すが、これらの実施例に示す特定の材料及び量並びに他の条件及び詳細は、本発明を不当に限定すると解釈されるべきでない。特に指示がない限り、全ての部分及び割合は重量に基づき、全ての水は蒸留水であり、全ての分子量は重量平均分子量である。
【0108】
鋼鉄への接着試験。
鋼鉄への接着試験は、光沢のあるアニール仕上げの304AISIステンレススチールプレートを使用して行われた。プレートの寸法は51mm×127mm×1.6mmであった。試験表面は、各試験の前に、イソプロパノールを満たした使い捨ての実験用拭き取り布を使用して1回、及びn−ヘプタンを満たした使い捨て実験用拭き取り布で3回清浄化した。表面は、サンプルを試験表面上に配置する前に乾燥させた。試験試料の丈は1インチ幅であった。接着力を測定する前に、同じサンプルの接着面を鋼鉄プレートに手で押し付け、サンプルの非接着面は各方向に一度ローラを転がして、接着面をプレートに対して押し付けた。ローラは、全直径が3.75インチ(95mm)、面幅が1.75インチ(44mm)であり、75〜85デュロメータの硬さのゴムが厚さ約0.25インチ(6mm)で被覆され、4.5ポンド、すなわち2043グラムの有効ローリング重量を有した。ロール速度はおよそ50mm/秒であった。サンプルは、305mm/分の速度で180°剥離を使用して、ロールした直後に試験された。試験は、25℃及び50%の相対湿度での室内にて行われた。
【0109】
流体管理試験
【0110】
切開創傷を模倣するように、試験装置が構成された。装置の概略平面図が
図5に示されている。装置は、3つの離隔したポートを通じて液体が送達される、スリットを含む。スリットは、およそ150mm長さの切開型創傷部位の、皮膚開口部を模倣するように意図された。離隔したポートを通じて供給される液体は、切開型創傷からの血液及び/又は漿液の流れ若しくは漏れを模倣することが意図された。
【0111】
テーブル上部90のスリット92内に、等間隔の3つの液体送達ポート94を備える、平坦な上面90、
図5)を有するアルミニウムテーブル(12mm厚さのプレート)。スリット92は1mmの幅、1.6mmの深さ、152mmの長さであり、液体送達ポートの孔94のうちの2つが、スリットの各端部から19mm内側に間隔を有し、残りの送達ポート孔94はスリットの中央に設けた。3つの真空測定ポート96を、スリットから約2mmのところに位置させた。1つの真空測定ポートをスリットの一方の端部付近に位置させ、他の2つは、スリットの両側に、各スリット端部から約50mm離れていた。全てのポートはテーブルを完全に通り抜けて延びており、ポートはテーブルの底部にネジ留めされた。適切なチューブとの容易な接続のために、ホースバーブ器具はテーブル底部にて、送達ポート及び真空測定ポートの両方に接続された。
【0112】
使用中、流体は、シリンジポンプ(Model NE−1600;New Era Pump Systems,Inc.;Farmingdale,NY)内に配置された3つのシリンジを介して、アルミニウムテーブルの底部の各送達ポートに送達された。Omega Engineering(Stamford,Connecticut)の圧力変換器を使用して、真空が測定された。この装置を用いて実施例の試験を行うとき、ATMOS WOUND RX041真空ユニット(Allentown、PA)を用いて実施例に記載される試料の上部に密封されたポートを通して、真空を適用した。この試験装置による全ての実験は、周囲温度(およそ24℃)及び周囲湿度(35〜65相対湿度)で行われた。測定される真空は、大気圧との圧力の差であった。例えば、120mmHgの読み取り値は、システム又はドレッシング内の圧力が大気圧よりも120mmHg低かったことを意味する。
【0113】
実施例1にしたがって作製された創傷ドレッシングの接着面は、創傷ドレッシングの吸収性フォーム層が、スリット、液体送達ポート、及び真空測定ポートと重なりあうように、試験装置の表面に対して押し付けられた。
【0114】
実施例1.
【0115】
接着剤でコーティングした支持層(例えば、3M Transparent Tegaderm(商標)Film Roll 16004;3M Company(St.Paul,MN)から得られる)を、およそ10.16cm×27.94cmの矩形に切断した。ドレッシングの一方の縁部からおよそ2.5インチ(6.35cm)のところで、接着剤/フィルム支持体を通って1.27cm直径の孔が空けられ、
図1に示すように接着剤フィルム支持体の幅に対してほぼ真ん中に置いた。接着剤を保護する剥離ライナーを次に取り除いた。
【0116】
本明細書に参照によってその全体が組み込まれる米国特許出願公開第2009/0187130号の実施例E3に記載される方法を使用して、大きな吸収性接着剤ゲルを作製した。吸収性接着剤ゲルを57mm×229mmの矩形に切断した。吸収性接着剤ゲルの縁部付近に38mmの直径の孔を空けた。吸収性接着剤ゲルを次に、接着剤/フィルムの後部の孔と、吸収性接着剤ゲルの孔との中心がほぼ合うようにして、通気性支持層の接着剤面に積層した。
【0117】
3.3mm厚さの吸収性ポリウレタンフォーム(90642 3M TEGADERM Silicone Foam Borderドレッシングにおいて使用;3M Company,St.Paul,MNから入手可能なフォーム)を、多孔性接着剤の層(およそ25%の開放率)を使用して、3M Company(St.Paul,MN)から入手可能な3M TEGADERM+Pad製品ラインにて使用される吸収性不織布層に積層した。角が丸められた8インチ(20.3cm)×2インチ(5.1cm)の矩形をこのフォーム/不織布積層体から切り取り、多孔性層を形成した。多孔性層の一端からおよそ12.5mmのところから開始して、5つの楕円形(16mm×25mm)の開放領域を矩形に空けた。次に、穿孔した(1.5mmの穿孔による約15%の開放率)接着剤/ポリウレタンフィルム/接着剤を多孔性層のフォーム面に積層した。多孔性層の不織布面を次に、吸収性接着剤ゲルの上で中央に合わせて、積層した。
【0118】
次に、真空ポート及びチューブ(Smith&Nephew,Andover,MAから得られたPICO Single Use Negative Pressure装置のドレッシングから取り外された)を、構成されたサンプルの支持層の開口部に接着剤で取り付け、ポートにて漏れがないシールを確保した。
【0119】
ドレッシングを(上記の)流体管理試験装置上に配置し、接着剤面をアルミニウムプレートに取り付け、多孔性層を全てのポート及びスリット全体の上に延ばした。装置は真空システムに接続された。次に、ドレッシングに大気圧から120mmHgの真空を引いた。次いで、142mmol/リットルのナトリウムイオン(塩化ナトリウムから)及び2.5mmol/リットルのカルシウムイオン(塩化カルシウムから)を含有する水溶液を、1ml/時間の総流量でドレッシングに供給した。表1のデータは、3つの同一のドレッシングにおいて経時的に測定された真空レベルを示す。データは、吸収性接着剤ゲルの存在が、ドレッシングが真空下に置かれ、続いて最大約21.5時間にわたって維持される際に、圧力の降下を最小化するのに役立つことを示している。
【0120】
本明細書に記載する、吸収性接着剤ゲルを含むドレッシングにおける大気圧を下回る平均圧力。試験は、本明細書において記載される創傷ドレッシング真空試験にて説明される条件下で行われた。
【表1】
【0121】
比較例1
【0122】
比較例1は、実施例1と同じ方法で構成及び試験されたが、吸収性接着剤ゲルが使用されなかった。表2のデータは、ドレッシングにおいて経時的に測定された、大気圧を下回る平均圧力レベルを示している。
【0123】
本明細書に記載するように吸収性接着剤ゲルを含まないドレッシングにおける、大気圧を下回る平均圧力。試験は、本明細書に記載される創傷ドレッシング真空試験において説明される条件下にて行われた。
【表2】
【0124】
表1及び表2におけるデータは、吸収性接着剤ゲルが多孔性層からの液体の除去を促進し、よってドレッシング内の圧力降下を最小化する一方で多孔性層を通って創傷から液体が流れるのを可能にすることを示している。
【0125】
実施例2.
【0126】
実施例1のドレッシングにおいて使用される吸収性接着剤ゲルのレオロジー特性は、TA Instruments’ ARES rheometer(Texas Instruments,New Castle,DE)を使用して、乾燥温度及び時間の関数として測定した。吸収性接着剤ゲルのサンプルは48.9℃で乾燥した。剪断測定は、24℃、及び0.1〜500rad/秒の範囲の周波数で行われた。接着剤ゲルのサンプルは、1.6mmの厚さの、25mm直径の円であった。動的剪断粘度の結果が表3に示される。貯蔵剪断弾性率(G’)及び損失剪断弾性率(G”)の測定結果が表4に示されている。
【0127】
異なる剪断速度における乾燥時間による粘稠度(ポイズ)の変化。
【表3】
【0128】
乾燥時間及び剪断速度の関数としての、剪断弾性率(G’)及び損失剪断弾性率(G”)の変化。全ての測定値はパスカルで示されている。
【表4】
【0129】
実施例3
【0130】
試験サンプルを実施例1と同じように調製及び試験したが、1)真空ポートに含まれる液体バリアを除去し、2)真空源はSNaP(登録商標)125mmHgカートリッジとし、3)多孔性層に開放領域を空けず、かつ4)支持体は、25マイクロメートル厚さのアクリレート接着剤が積層された、23マイクロメートル厚さのウレタンフィルムであった。フィルムに積層する前に、アクリレート接着剤から2つの5cm×5cm切り取り部を取り除き、吸収性接着剤ゲルがそれら領域でウレタンフィルムと直接接触するようにし、ドレッシングの高MVTR領域を形成した。ウレタンフィルムは、Lubrizol Co;Wickliffe,OH)のEstane(登録商標)58237ポリマーを使用して作製した。24時間、試験した後(すなわち、24cm
3の溶液をドレッシングに供給)、真空カートリッジは体積が8cm
3しか変化しなかった。ドレッシングにおける平均圧力は、24時間後、大気圧よりも120mmHg低かった。この実施例は、カートリッジサイズを低減し、かつ機械的真空源又は動力を与えられた真空源の真空能力を向上させるために、高MVTR吸収性ゲル及び支持体を使用することの利点を例示している。
【0131】
実施例4
【0132】
Estane58237の23マイクロメートル厚さのフィルムを、非連続的な(10%の合計開放面積を備える、およそ1mm直径の孔のパターン)アクリレート接着剤層(記載される米国特許第RE24,906号;イソオクチルアクリレート、アクリルアミド(97:3)のコポリマー、コーティング重量750mg/200cm
2)に積層した。このフィルム接着剤サンプルを、25℃及び50%の相対湿度で平衡化した。このサンプルの鋼鉄に対する接着の値は、4N/25mmで測定された。
【0133】
実施例5
【0134】
Estane58237の23マイクロメートル厚さのフィルムを、1.75mm厚さの吸収性接着剤(米国特許第2009/0187130号の実施例E3に記載するとおり)の連続的な層に積層した。このフィルム接着剤サンプルを、25℃及び50%の相対湿度で平衡化した。このサンプルの鋼鉄に対する接着の値は、5.8N/25mmで測定された。
【0135】
実施例6
【0136】
30マイクロメートル厚さのウレタンフィルム(BayerのTexin1209)を、コーティング重量が550mg/200cm
2である連続的なアクリレート接着剤上に押し出した。シリコーンゲル接着剤を次いで、ウレタンフィルム/接着剤積層体上に0.1mm厚さでコーティングして硬化し(国際公開第2010/056543号に記載されるように)、保護ライナーをこのシリコーン接着剤上に配置した。この多層積層体を次に機械的に穿孔した(1.5mm直径の孔;20%の開放率)。次にこの積層体のアクリレート面を、90642 3M(商標)Tegaderm(商標)Foam Silicone Borderドレッシングから切り取ったポリウレタンフォームに積層した。次にこのフォーム積層体のシリコーン面のスチールへの接着を、25℃及び50%相対湿度で試験した。このサンプルの鋼鉄に対する接着の値は、2N/25mmで測定された。
【0137】
本明細書において引用した全ての特許、特許出願及び公報、並びに電子的に入手可能な資料の全開示が、参照によって組み込まれる。本出願の開示と、参照によって本明細書に組み込まれる文書の開示との間に矛盾が存在する場合には、本出願の開示が優先するものとする。上記の詳細な説明及び実施例は、理解しやすいように示したものにすぎない。それによって不要な限定がなされるものと解釈するべきではない。本発明は図示及び記載された細部そのものに限定されず、当業者に明白な変形は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれる。
【0138】
全ての見出しは読者の便宜のためのものであり、明記しない限り、見出しに続く文の意味を限定するために使用されるものではない。
【0139】
本明細書に例示的に記載する本発明は、本明細書に具体的に開示しない何らかの要素がなくても好適に実行することができる。したがって、例えば、本明細書ではいずれの場合も、「備える、含む(comprising)」、「から本質的になる(consisting essentially of)」、及び「からなる(consisting of)」という用語のいずれをも、他の2つの用語のいずれかに置き換えることができる。用いた用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用したものであり、そのような用語及び表現を使用する際、図示及び記載する特徴又はその一部分の何らかの均等物を除外する意図はなく、クレームされる本発明の範囲内で様々な修正形態が可能であることが理解される。したがって、本発明は好ましい実施形態及び任意選択の特徴によって具体的に開示したが、本明細書に開示する概念の修正形態及び変形形態を、当業者であれば用いることができ、そのような修正形態及び変形形態は、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内であるとみなされることを理解されたい。