(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に記載する保護組成物には、(連続的)液相に分散された、水溶性コポリマー又はその塩と親水性シラン化合物とが含まれる。洗浄及び保護組成物には、更に界面活性剤が含まれる。
【0011】
組成物は、様々な形態で提供され得、例えば、使用前に(水、有機溶媒を含む溶媒又は水性組成物によって)希釈される濃縮物として、又は、すぐに使える液体組成物、ペースト、発泡体、発泡液、ゲル剤及びゲル化液として提供され得る。
【0012】
主要成分、即ち(エチレン性不飽和酸性モノマーと窒素含有末端基を含有するエチレン性不飽和モノマー、又はこれらの塩との)水溶性コポリマー、親水性シラン化合物、及び、界面活性剤(存在する場合)の濃度は、それぞれ本明細書で固形分の重量に対する重量%で表現される。本明細書において「固形分」とは、液相(例えば水相)が蒸発した後も残る(例えば固体又は液体)成分の総重量のことを言う。固形分を基準とした重量%は、液相(例えば水相)を含まないので、重量%は、希釈係数とは無関係に同一である。更には、固形分を基準とした重量%は、組成物が乾燥した後の基材又は物品上に残る乾燥保護被膜の重量%とも等価である。
【0013】
水性液相は、典型的には少なくとも50、60、70、80又は90重量%又はそれ以上の水を含む。いくつかの実施形態では、水性液相は、好ましくは有機溶媒、特に揮発性有機溶媒を本質的に含まない(すなわち、含有していたとしても水性液相の合計重量に基づいて0.1重量%未満である)。本明細書において「揮発性有機溶媒」とは、250℃以下の標準沸点を有する有機溶媒のことを言う。しかしながら、必要に応じて不揮発性有機溶媒を任意に少量含んでもよい。別の実施形態では、液相は、相当量の溶媒と低濃度の水とを含んでもよい。例えば、液相は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45又は50重量%の水を含んでもよい。
【0014】
洗浄及び保護組成物は、典型的には、少なくとも0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.10、0.20、0.30、0.40又は0.50%の固形分と99.95〜99.5重量%の水性液相とを含むすぐに使える形態で調製されている。組成物には、典型的には、必要な保護性能又は洗浄及び保護性能をもたらす最低量の固形成分が含まれる。いくつかの実施形態では、固形分の総量は、5、4、3、2又は1重量%以下である。また別の実施形態では、組成物は、使用に先立ち更に希釈される濃縮物として提供されてもよい。この実施形態では、固形分の総量は、かなり多い場合があり、例えば、液体濃縮物の少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45若しくは50重量%又はそれより多い。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物には、凝固点を0℃以下に抑える目的で少なくとも1つの(例えば、不凍剤)有機溶媒を含む。有機溶媒には、限定されないが、C
1〜C
6アルカノール、並びに、好ましくはC
1〜C
6ジオール及び/又はC
3〜C
24アルキレングリコールエーテルが含まれる。C
1〜C
6アルカノールには、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール及びヘキサノール、並びに、これらの異性体が含まれる。C
1〜C
6ジオールには、メチレン、エチレン、プロピレン及びブチレングリコールが含まれる。C
3〜C
24アルキレングリコールエーテルには、エチレングリコールモノプロピルエーテルなどのモノ−、ジ−及びトリエチレン(プロピレン)グリコールエーテル並びにジエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ、「Dow」とも称されるDow Chemical Company)、エチレングリコールモノヘキシルエーテル(Hexyl Cellusolve、Dow)、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールt−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル(Dowanol PPh、Dow)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(Eastman DP Solvent、Eastman Chemicals)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(Dowanol DB、Dow)、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル(Dowanol DPnP、Dow)、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル(Dowanol DPnB、Dow)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メトキシトリグリコール、Dow)、トリエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシトリグリコール、Dow)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(ブトキシトリグリコール、Dow)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol TPM、Dow)、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル(Dowanol TPnP、Dow)及びトリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(Dowanol TPnB、Dow)が含まれる。
【0016】
存在する場合、(例えば、アルキレングリコールエーテル等の)有機溶媒は、存在する濃度で水混和性又は水溶性であることが好ましい。(例えば、アルキレングリコールエーテル等の)有機溶媒の種類及び量は、保護性能が実質的に低下しないように選択される。存在する場合、このような溶媒の濃度は、典型的には、97重量%の水を含む参照組成物を基準として、水性組成物の総重量の少なくとも0.25、0.5又は1重量%から5又は10重量%以下の範囲である。当業者は、有機溶媒の濃度をその他の希釈係数に調整することができる。例えば、洗浄及び保護溶液が、半分の液体水相を含むようにより濃縮された場合、有機溶媒の濃度は2倍量になる。
【0017】
水性液体担体は、酸性、塩基性又は中性であってよい。組成物のpHは、例えば、有機酸及び無機酸、又は、炭酸カリウム等の炭酸塩若しくは水酸化ナトリウムを含む当該分野で既知の好適な酸又は塩基を使用して、所望のpHを達成するように変化させることができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、組成物のpHは、5未満、4未満又は3未満である。いくつかの実施形態では、組成物のpHは、少なくとも1、1.5又は2である。一部の実施形態では、例えばこれらには、pH値が、約5〜約7.5に調整された酸感受性基材を含んでもよい。
【0019】
組成物は、pK
aが5未満、好ましくは2.5未満、より好ましくは1未満の酸で所望のpHレベルにまで酸性化することができる。使用可能な酸としては、例えば、シュウ酸、クエン酸、安息香酸、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、ベンゼンスルホン酸、グリコール酸、H
2SO
3、H
3PO
4、CF
3CO
2H、HCl、HBr、HI、HBrO
3、HNO
3、HClO
4、H
2SO
4、CH
3SO
3H、CF
3SO
3H、CF
3CO
2H、及びCH
3SO
3H等の有機酸並びに無機酸が挙げられる。いくつかの実施形態では、酸はCH
3OSO
3H(メタンスルホン酸)のような有機酸である。有機及び無機酸の組み合わせも使用することができる。いくつかの実施形態では、5を超えるpK
aを有するより弱い酸を使用すると、所望の特性(透過性、洗浄性及び/又は耐久性など)を有する均一な組成物が得られないおそれがある。とりわけ、弱酸又は塩基性組成物を含む組成物は、典型的には、ポリマー基材の表面上でビーズ状になる。
【0020】
別の実施形態では、組成物は、8、9又は10を超えるpHを有する。いくつかの実施形態では、組成物は、12又は11以下のpHを有する。
【0021】
組成物には、エチレン性不飽和の酸性モノマー(「酸性モノマー」)と窒素含有末端基を含むエチレン性不飽和モノマー又はその塩(「窒素モノマー」)との水溶性ポリマーが含まれる。典型的な実施形態では、重合される酸性モノマーは、組成物の(例えば水性)液体媒体で陰イオンを形成する。窒素含有末端基を含む重合されるモノマーは、アミド末端基の場合のように中性であってもよい。代替的に、窒素含有末端基を含む重合されるモノマーは、四級化されたアンモニウム末端基の場合のように液体媒体中で陽イオン性であってもよい。
【0022】
水溶性コポリマーは、対応するモノマーから既知の重合技術によって、任意に付加的な中和工程を経て、調製されてもよい。このようなコポリマーもまた、市販されている。
【0023】
エチレン性不飽和酸性モノマーは、典型的にはモノエチレン性不飽和を有するC
3〜C
8カルボン酸、スルホン酸、硫酸、ホスホン酸又はリン酸、これらの無水物及び水溶性のこれらの塩である。エチレン性不飽和酸性モノマーは、最も典型的にはアクリル酸又はメタクリル酸であり、即ち換言すれば(メタ)アクリル酸である。
【0024】
いくつかの実施形態では、コポリマーは、典型的には窒素モノマーと酸性モノマーとの重量比が、50:50〜95:5の範囲である。いくつかの実施形態では、窒素モノマーと酸性モノマーとの重量比は、少なくとも60:40又は65:35である。いくつかの実施形態では、窒素モノマーと酸性モノマーとの重量比は、90:10又は85:15又は80:20又は75:25以下である。
【0025】
別の実施形態では、コポリマーは、典型的には窒素モノマーと酸性モノマーとの重量比が、50:50〜5:95の範囲である。いくつかの実施形態では、窒素モノマーと酸性モノマーとの重量比は、少なくとも10:90又は20:80である。いくつかの実施形態では、窒素モノマーと酸性モノマーとの重量比は、45:65又は40:60以下である。
【0026】
いくつかの実施形態では、窒素含有末端基を含むエチレン性不飽和モノマーは、下記式で表されるアクリルアミドモノマーである。
【0027】
【化3】
式中R
4は、水素又はメチルであり、
R
1及びR
2は、独立して、水素、C
1〜C
3アルキル、又はR
3SO
3Hから選択され、ここでR
3は、炭素原子の数が2〜6個のアルキレン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン又はヘキシレン)である。いくつかの実施形態では、R
1とR
2はともに水素である。いくつかの実施形態では、R
1は水素であり、R
2は、R
3SO
3Hである。
【0028】
いくつかの実施形態では、コポリマーは、以下の構造で表し得る。
【0029】
【化4】
式中R
4は、水素又はメチルであり、R
1及びR
2は、独立して、水素、C
1〜C
3アルキル、−CH
2OH又はR
3SO
3Hから選択され、ここでR
3は、前述のようにアルキレンであり、M
+は、ナトリウムなどの(例えばアルカリ金属)陽イオンである。
【0030】
この構造から明らかなように、陽イオン(M
+)は概ね、アクリル酸に由来する1つ又は複数の重合されたユニットと関連づけられる。したがって、陽イオンは、アクリルアミドに由来する重合されるユニットと会合していない。重合されたアクリルアミドユニットは、典型的には電荷を帯びておらず、陽イオンとは会合していない。しかしながら、別の実施形態では、アミド基は陽イオン性であり得る。
【0031】
いくつかの実施形態では、窒素含有末端基を含むエチレン性不飽和モノマーは、下記式で表される四級アンモニウムを含む。
【0032】
【化5】
式中R
4は、水素又はメチルであり、
Lは、二価の原子又は二価の連結基であり、
R
5、R
6及びR
7は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択され、
X
−は、ハライド(例えば、塩化物イオン)などの陰イオンである。
【0033】
1つの実施形態では、二価連結基Lは、式NH(CH
2)
nを有し、ここでnは、1〜4の範囲であり、いくつかの実施形態では、3である。このようなモノマーは、四級アンモニウムアクリルアミドと称されることがある。別の実施形態では、Lは酸素である。四級アンモニウム基を含むコポリマーは、例えば米国特許6,569,261号及び同6,703,358号に説明されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0034】
いくつかの実施形態では、コポリマーは、以下の構造で表され得る。
【0035】
【化6】
式中R
4は、水素又はメチルであり、
Lは、二価の原子又は二価の連結基であり、
R
5、R
6及びR
7は、独立して、C
1〜C
4アルキルから選択され、
X
−は、ハライド(例えば、塩化物イオン)などの対イオンであり、
M
+は陽イオンである。
【0036】
上記構造には描かれていないが、コポリマーは、任意に、水溶性コポリマーによってもたらされるメリットを損ねないその他の重合されるユニットを含んでいてもよい。
【0037】
市販されているアクリル酸及びアクリルアミドのコポリマー並びにその塩の例としては、Polysciences,Inc.(ワーリントン、ペンシルベニア州)又はその他サプライヤーから以下の商品名で入手できるものが含まれる。即ち、POLY(ACRYLAMIDE/ACRYLIC ACID)90:10、Na SALT MW 200,000、POLY(ACRYLAMIDE/ACRYLIC ACID)70:30、Na SALT MW 200,000、POLY(ACRYLAMIDE/ACRYLIC ACID)60:40、Na SALT MW>10,000,000、及び、POLY(ACRYLAMIDE/ACRYLIC ACID)30:70、Na SALT MW 200,000である。追加的な例では、2−プロペン酸、2−メチル−2−[(1−オキソ−2−プロペニル)アミノ]−1−プロパンスルホン酸モノナトリウム塩と2−プロパノールとのテロマーのナトリウム塩(CAS No.130800−24−7、商品名AQUATREAT AR−546で入手可能)、アクリル酸ナトリウムと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウムとのコポリマー(C.A.S.No.37350−42−8、AQUATREAT AR−546として入手可能)が含まれる。AQUATREATは、ともにAlco Chemical(チャタヌーガ、テネシー州)から入手可能である。別の例では、BASF Corporation(フローハムパーク、ニュージャージー州)から商品名「LUREDUR」で入手可能なアクリル酸とアクリルアミドとのコポリマー(「LUREDUR AM NA」など)が含まれる。その他の市販されているポリマーには、商品名「MIRAPOL SURF S」及び「MIRAPOL SURF S−210」としてRhodiaが製造販売しているものがある。
【0038】
いくつかの実施形態では、水溶性コポリマーは、米国特許出願公開2012/0029141で説明するように、低陽イオン性(例えば、ナトリウム塩)の化学種を有し得る。これは、組成物をプロトン性陽イオン交換樹脂(即ち、陽イオンがプロトンで交換されている)に接触させることで実現され得る。例示的な陽イオン交換樹脂としては、Dow Chemical Co.のAMBERLITE IR−120 PLUS(H)が含まれる。イオン交換ステップは、(例えば、イオン交換カラムを用いて)バッチ式又は連続プロセスで実施され得る。このような実施形態では、水溶性ポリマーは、即ち界面活性剤の添加前に、重量で100ppm未満の陽イオン(H
+及びH
3O
+以外)濃度レベルを有する。いくつかの実施形態では、水溶性ポリマーは、即ち界面活性剤の添加前に、組成物の総重量に対して、90、80、70又は60ppm未満の陽イオン濃度を有する。これは、組成物が(例えば、シリカ)ナノ粒子を含む場合に好まれ得る。典型的な実施形態では、水溶性ポリマーは陽イオン交換に曝されていない。したがって、陽イオン濃度は、典型的には、界面活性剤の添加前に、水性参照組成物に対して90又は100ppmを超えている。
【0039】
いくつかの実施形態では、コポリマー及びその塩の重量平均分子量(Mw)は、少なくとも25,000、50,000又は100,000g/モルである。いくつかの実施形態では、コポリマー及びその塩の分子量(Mw)は、少なくとも125,000、150,000、200,000又は250,000g/モルである。いくつかの実施形態では、コポリマー及びその塩の分子量は、1,000,000、750,000又は500,000g/モル以下である。
【0040】
洗浄及び保護組成物は、典型的にはエチレン性不飽和酸性モノマー及び窒素含有末端基を含むエチレン性不飽和モノマーとの水溶性コポリマー又はその塩を、前述の水溶性コポリマー、親水性シラン、界面活性剤及びアルカリ金属ケイ酸塩(存在する場合)の総量を基準とした固形分で、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10重量%の量を含む。いくつかの実施形態では、水溶性コポリマーの量は、固形分で少なくとも15、20又は25重量%である。いくつかの実施形態では、水溶性コポリマーの量は、固形分で50、45、40又は35重量%以下である。組成物が主に保護を目的とし、界面活性剤を殆ど又は全く含まない場合、水溶性コポリマーの量は、典型的にはより多くなる。例えば、水溶性コポリマーの量は、典型的には水溶性コポリマー、親水性シラン、界面活性剤及びアルカリ金属ケイ酸塩(存在する場合)の総量に占める固形分で少なくとも25、30、35、40、45又は50重量%であり、固形分で60、65、70、75重量%以上にまでなってもよい。
【0041】
組成物は、更に任意にその他の水溶性ポリマーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、組成物はアクリル酸ホモポリマーを更に含む。
【0042】
本明細書に記載の組成物には、親水性シランが含まれる。好適な親水性シランは、好ましくは水溶性であり、例えば、個別分子、オリゴマー(典型的には繰り返し単位が100未満で、しばしば2,3の繰り返し単位のみ)(例えば、単分散オリゴマー及び多分散オリゴマー)並びにこれらの組み合わせを含み、好ましくは5000g/モル以下(まで)、3000g/モル以下、1500g/モル以下、1000g/モル以下又は500g/モル以下にもなる数平均分子量を有する。
【0043】
親水性シランは、双性イオン性シラン、非双性イオン性シラン(例えば、陽イオン性シラン、陰イオン性シラン及び非イオン性シラン)、官能基を含むシラン(例えば、シリコン分子に直接結合した官能基、シラン化合物上の別の分子に結合した官能基及びこれらの組み合わせ)並びにこれらの組み合わせを含む、様々な異なるクラスの親水性シランのいずれか1つであり得る。有用な官能基には、例えば、アルコキシシラン基、シロキシ基(例えば、シラノール)、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボン酸基、グルコンアミド基、糖類、ポリビニルアルコール基、四級アンモニウム基、ハロゲン(例えば、塩素及び臭素)、硫黄基(例えば、メルカプタン及びキサンタン)、色賦与剤(例えば、紫外剤(例えば、ジアゾ基)及び過酸化基)、クリック応答性基、生物活性基(例えば、ビオチン)及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0044】
官能基を含む親水性シランの好適なクラスの例としては、スルホネート官能性双性イオン性シラン、スルホネート官能性非双性イオン性シラン(例えば、スルホン化陰イオン性シラン、スルホン化非イオン性シラン、及びスルホン化陽イオン性シラン)、ヒドロキシルスルホネートシラン、ホスホネートシラン(例えば、3−(トリヒドロキシシリル)プロピルメチルホスホネートモノナトリウム塩)、カルボキシレートシラン、グルコンアミドシラン、ポリヒドロキシアルキルシラン、ポリヒドロキシアリールシラン、ヒドロキシルポリエチレンオキシドシラン、ポリエチレンオキシドシラン、及び、これらの組み合わせが含まれる。
【0045】
有用なスルホネート官能性双性イオン性シランの1つのクラスは、下記式(I)の構造を有する。
(R
1O)
p−Si(R
2)
q−W−N
+(R
3)(R
4)−(CH
2)
m−SO
3− (I)
式中、
各R
1は、独立して、水素、メチル基又はエチル基であり、
各R
2は、独立して、メチル基又はエチル基であり、
各R
3及びR
4は、独立して、飽和又は不飽和の、直鎖、分枝鎖又は環式有機基であり、これらは互いに、任意選択で基Wの原子とともに結合して、環を形成していてもよく、
Wは有機連結基であり、
pは1〜3の整数であり、
mは1〜4の整数であり、
qは0又は1であり、
p+q=3である。
【0046】
式(II)の有機連結基Wは、飽和及び不飽和で、直鎖、分岐状及び環状有機基であり得、例えば、アルキレン類、カルボニル基、ウレタン基、ウレア基、複素原子(例えば、酸素、窒素、硫黄及びこれらの組み合わせ)で置換された有機連結基並びにこれらの組み合わせを含むアルキレン類を含み得る。好適なアルキレンの例としては、シクロアルキレン類、アルキル置換シクロアルキレン類、ヒドロキシ置換アルキレン類、ヒドロキシ置換モノオキサアルキレン類、モノオキサ骨格置換を有する二価炭化水素類、モノチア骨格置換を有する二価炭化水素類、モノオキソ−チア骨格置換を有する二価炭化水素類、ジオキソ−チア骨格置換を有する二価炭化水素類、アリーレン類、アリールアルキレン類、アルキルアリーレン類及び置換アルキルアリーレン類が挙げられる。
【0047】
好適な双性イオン性官能基−W−N
+(R
3)(R
4)−(CH
2)
m−SO
3−の例としては、スルホアルキルイミダゾリウム塩、スルホアリールイミダゾリウム塩、スルホアルキルピリジニウム塩、スルホアルキルアンモニウム塩(例えば、スルホベタイン)及びスルホアルキルピペリジニウム塩が含まれる。好適な式(I)の双性イオン性シランについては、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)、並びに国際公開第2007/146680号及び同第2009/119690号にも記述されている。
【0048】
スルホネート官能性双性イオン性シランの別の有用なクラスには、下記式(II)の構造を有するスルホネート官能性双性イオン性シランが含まれる。
(R
1O)
p−Si(R
2)
q−CH
2CH
2CH
2−N
+(CH
3)
2−(CH
2)
m−SO
3− (II)
式中、
各R
1は、独立して、水素、メチル基、又はエチル基であり、
各R
2は、独立して、メチル基又はエチル基であり、
pは1〜3の整数であり、
mは1〜4の整数であり、
qは0又は1であり、
p+q=3である。
【0049】
式(II)のスルホネート官能性双性イオン性シランの好適な例は、米国特許第5,936,703号(Miyazakiら)に記述されており、例えば、(CH
3O)
3Si−CH
2CH
2CH
2−N
+(CH
3)
2−CH
2CH
2CH
2−SO
3−、(CH
3CH
2O)
2Si(CH
3)−CH
2CH
2CH
2−N
+(CH
3)
2−CH
2CH
2CH
2−SO
3−及び(OH)
3SiCH
2CH
2CH
2N
+(CH
3)
2CH
2CH
2CH
2SO
3−が含まれる。
【0050】
その他の好適な双性イオン性シランには、例えば、(OH)
3SiCH
2CH
2CH
2N
+(CH
3)
2CH
2CH
2CH
2CH
2SO
3−、(OH)
3SiCH
2CH
2CH
2[C
5H
5N
+]CH
2CH
2CH
2SO
3−、(OH)
3SiCH
2CH
2CH
2N
+(CH
3)
2CH
2CH
2(OH)CH
2SO
3−、(CH
3O)
3SiCH
2CH
2CH
2N
+(CH
3CH
2)
2CH
2CH
2CH
2SO
3−、(CH
3O)
3SiCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2N
+(CH
3CH
2)
2CH
2CH
2CH
2SO
3−、(CH
3CH
2O)
3SiCH
2CH
2CH
2NHCH(O)NHCH
2CH
2N
+CH
2CH
2CH
2SO
3−、及び、(CH
3CH
2O)
3SiCH
2CH
2CH
2NHC(O)OCH
2CH
2OCH
2CH
2N
+(CH
3)
2CH
2CH
2CH
2SO
3−が含まれる。
【0051】
スルホネート官能性非双性イオン性シランの別の有用なクラスは、下記式(III)の構造を有する。
[(MO)(Q
n)Si(XCH
2SO
3−)
3−n]Y
2/nr+r (III)
式中、
各Qは、ヒドロキシル、1〜4個の炭素原子を含有するアルキル基、及び1〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基から独立に選択され、
Mは、水素、アルカリ金属、並びに150未満の平均分子量及び11超のpKaを有する強有機塩基の有機陽イオンから選択され、
Xは、有機連結基であり、
Yは、水素、アルカリ土類金属、200未満の平均分子量及び11未満のpKaを有するプロトン化弱塩基の有機陽イオン、アルカリ金属並びに150未満の平均分子量及び11超のpKaを有する強有機塩基の有機陽イオンから選択され、但し、Yが水素、アルカリ土類金属又はプロトン化弱塩基の有機陽イオンであるとき、Mは、水素であり、
rは、Yの価数に等しく、
nは、1又は2である。
【0052】
式(III)の好ましい非双性イオン性シランには、Qが1〜4個の炭素原子を含有するアルコキシ基であるアルコキシシラン化合物が含まれる。
【0053】
式(III)のシランには、無水酸形態の化合物の重量に対して、好ましくは少なくとも30重量%、少なくとも40重量%又は約45重量%から約55重量%にもなる酸素と、15重量%以下のシリコンとが含まれる。
【0054】
式(III)の有用な有機連結基Xには、例えば、アルキレン類、シクロアルキレン類、アルキル置換シクロアルキレン類、ヒドロキシ置換アルキレン類、ヒドロキシ置換モノオキサアルキレン類、モノオキサ骨格置換を有する二価炭化水素類、モノチア骨格置換を有する二価炭化水素類、モノオキソ−チア骨格置換を有する二価炭化水素類、ジオキソ−チア骨格置換を有する二価炭化水素類、アリーレン類、アリールアルキレン類、アルキルアリーレン類、及び置換アルキルアリーレン類が挙げられる。
【0055】
有用なYの例としては、4−アミノピリジン、2−メトキシエチルアミン、ベンジルアミン、2,4−ジメチルイミダゾール及び3−[2−エトキシ(2−エトキシエトキシ)]プロピルアミン、
+N(CH
3)
4、及び
+N(CH
2CH
3)
4が含まれる。
【0056】
式(I)の好適なスルホネート官能性非双性イオン性シランには、例えば、(HO)
3Si−CH
2CH
2CH
2−O−CH
2−CH(OH)−CH
2SO
3−H
+、(HO)
3Si−CH
2CH(OH)−CH
2SO
3−H
+、(HO)
3Si−CH
2CH
2CH
2SO
3−H
+、(HO)
3Si−C
6H
4−CH
2CH
2SO
3−H
+、(HO)
2Si−[CH
2CH
2SO
3H
+]
2、(HO)−Si(CH
3)
2−CH
2CH
2SO
3−H
+、(NaO)(HO)
2Si−CH
2CH
2CH
2−O−CH
2−CH(OH)−CH
2SO
3−Na
+、及び(HO)
3Si−CH
2CH
2SO
3−K
+及び米国特許第4,152,165号(Langagerら)及び同第4,338,377号(Beckら)に記載された、これらの式(I)のスルホネート官能性非双性イオン性シランが含まれる。
【0057】
洗浄及び保護組成物は、典型的には前述の水溶性コポリマー、親水性シラン、界面活性剤及びアルカリ金属ケイ酸塩(存在する場合)の総量に占める固形分で少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10重量%の量の親水性シランを含む。いくつかの実施形態では、親水性シランの量は、50、45又は40重量%以下である。いくつかの実施形態では、親水性シランの量は、35、30、25又は20重量%以下である。組成物が主に保護を目的とし、界面活性剤を殆ど又は全く含まない場合、親水性シランの量は、典型的にはより多くなる。例えば、親水性シランの量は、典型的には水溶性コポリマー、親水性シラン、界面活性剤及びアルカリ金属ケイ酸塩(存在する場合)の総量を基準とした固形分で、少なくとも15、20又は25重量%であり、固形分で、35、40、45%重量%以上にまでなってもよい。
【0058】
前述の水溶性ポリマーと親水性シランとの重量比は、概ね1:25から25:1又は20:1又は15:1の範囲になり得る。いくつかの実施形態では、上述の水溶性コポリマーの量を最大化し、親水性シランの量を最小化することが好ましい。この実施形態では、親水性シランと水溶性コポリマーとの重量比は、典型的には少なくとも1:1である。いくつかの実施形態では、親水性シランと水溶性コポリマーとの重量比は、少なくとも1:1.5又は1:2であり、1:4又は1:5までなってもよい。
【0059】
典型的な実施形態では、組成物は、基材、すなわちガラスなどのシリカ表面への親水性シランの結合を改善する目的で、アルカリ金属ケイ酸塩、ポリアルコキシシラン又はこれらの組み合わせを更に含む。好適な水溶性アルカリ金属ケイ酸塩の例としては、ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、アルキルポリケイ酸及びこれらの組み合わせが挙げられる。ポリアルコキシシランの例としては、ポリ(ジエトキシシロキサン)、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラエチルオルトケイ酸(TEOS)及びテトラアルコキシシランのオリゴマー)並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
アルカリ金属ケイ酸塩及び/又はポリアルコシキシランと親水性シランとの重量比は、概ね少なくとも1:3、1:4又は1:5であり、5:1、10:1、15:1、20:1又は25:1までなり得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、アルカリ金属ケイ酸塩及び/又はポリアルコキシシランが、水溶性コポリマー、親水性シラン、界面活性剤及びアルカリ金属ケイ酸塩の総量を基準とした固形分で、少なくとも0.5、1、1.5又は2重量%の量存在する。アルカリ金属ケイ酸塩及び/又はポリアルコキシシランの量は、典型的には固形分で、5、4.5、4、3.5又は3重量%以下である。組成物が主に保護を目的とし、界面活性剤を殆ど又は全く含まない場合、アルカリ金属ケイ酸塩及び/又はポリアルコキシシランの量は、固形分で6、7、8、9又は10重量%まで高くすることができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、保護組成物は界面活性剤を殆ど又は全く含まない。しかしながら、洗浄及び保護組成物は、界面活性剤を含む。本明細書で使用するとき、用語「界面活性剤」は、同じ分子上に親水性(極性)部分と疎水性(非極性)部分とを有し、組成物の表面張力を低下させ得る分子のことを言う。好適な界面活性剤としては、例えば、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性及び両イオン性界面活性剤並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0063】
いくつかの実施形態では、この組成物を、コポリマー及び親水性シランと組み合わせて、液体の状態で貯蔵した場合に、例えば、ゲル化せず、不透明度が増さず、沈殿又は凝集粒子を形成せず、著しく劣化しない等、安定(120°Fで90日間)であることが好ましく、界面活性剤の種類と量は、そのように選択される。
【0064】
典型的には、本明細書に記載の水性の洗浄及び保護組成物は、所望の洗浄性能をもたらす最低量の界面活性剤を含む。界面活性剤の種類と量が適切に選択された場合、界面活性剤は、良好な保護性能に加えて良好な洗浄性(外観上残渣がない)をもたらす。いくつかの好ましい実施形態では、乾燥被膜組成物の除去率は、石鹸かす保護試験の1、2、3、4又は5サイクル後に、20%以下であり、いくつかの実施形態では、15%、10%若しくは5%以下又は0%である。いくつかの好ましい実施形態では、乾燥被膜組成物の除去率は、6サイクル後に30%以下であり、いくつかの実施形態では、25%、20%、15%又は10%以下である。いくつかの好ましい実施形態では、乾燥被膜組成物の除去率は、7サイクル後で40%以下であり、いくつかの実施形態では、35%、30%、25%、20%又は15%以下である。いくつかの好ましい実施形態では、乾燥被膜組成物の除去率は、8サイクル後に、50%以下であり、いくつかの実施形態では、40%、35%、30%、25%、20%又は15%以下である。いくつかの好ましい実施形態では、9、10、11、12、13又は14サイクル後に、少なくとも50%の乾燥被膜組成物が保持されている(すなわち、50%未満が除去されている)。
【0065】
界面活性剤は、その頭部における形式上の荷電基の存在により分類することができる。イオン性界面活性剤の頭部は、実効電荷を保有する。非イオン性界面活性剤は、その頭部に荷電基をもたない。
【0066】
界面活性剤は、様々な方法で特徴付けることができる。当該技術分野において既知であるように、一般的な特徴付けの方法の1つは、親水性−親油性バランス(HLB)である。化合物のHLB決定に関しては様々な方法が記述されているが、別に特記のない限り、本明細書で使用されるとき、HLBはグリフィン法(Griffin WC:「Calculation of HLB Values of Non−Ionic Surfactants,」Journal of the Society of Cosmetic Chemists 5(1954):259を参照)により得られた値を指す。この計算は、ソフトウェアプログラム「Molecular Modeling Pro Plus」(Norgwyn Montgomery Software,Inc.、North Wales,PA)を利用して実施された。
【0067】
グリフィン法によれば、
HLB=20
*Mh/M
であり、式中、Mhは分子の親水性部分の分子量、Mは全分子の分子量である。この計算は0〜20の尺度で数値結果を提供し、「0」は親油性が非常に高いことを示す。
【0068】
単一分子のHLBを計算するのに、グリフィン法が通常使用される。しかしながら、様々な(例えば市販の)非イオン性界面活性剤は、分子の混合物を含む。界面活性剤が分子の混合物を含む場合、HLBは、個々の分子のHLBの合計に、各分子の重量分率を乗じることにより計算できる。
【0069】
本明細書に記載の組成物の界面活性剤は、概ね親油性より親水性であり、即ち、10を超えるHLBを有する。好ましい実施形態では、HLBは、少なくとも11又は12であり、約19又は18以下である。いくつかの好ましい実施形態では、組成物は、HLBが17、16又は15未満である界面活性剤を含む。
【0070】
界面活性剤の分子量は、典型的には少なくとも150g/モルであり、概ね500g/モル又は600g/モル以下である。いくつかの実施形態において、この界面活性剤の分子量は、少なくとも200g/モル、250g/モル又は300g/モルである。
【0071】
いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも1つの非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤は、イオンを有さず、したがって電荷をもたない。非イオン性界面活性剤は、典型的には一方の端では分子の(例えば、酸素に富んだ)極性部分を有し、他方の端で大きな有機分子(例えば、6〜30個の炭素原子を含有するアルキル基又はアルケニル基)を有することにより極性を獲得する。酸素成分は、通常、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの短いポリマーに由来する。
【0072】
有用な非イオン性界面活性剤の例には、ポリオキシエチレングリコールエーテル(例えば、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、ペンタエチレンモノドデシルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンヘキサデシルエーテル)、ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル(例えば、ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル及びポリオキシエチレングリコールノニルフェノールエーテル)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル、グルコシドアルキルエーテル(例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、及びオクチルグルコシド)、グリセロールアルキルエステル、ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、モノデカノイルスクロース、コカミド、ドデシルジメチルアミンオキシド、アルコキシ化アルコール非イオン性界面活性剤(例えば、エトキシ化アルコール、プロポキシ化アルコール、及び、エトキシ化プロポキシル化アルコール)が含まれる。有用な非イオン性界面活性剤には、Shell Chemical LP(Houston、Texas)からは商品名NEODOL 23−3及びNEODOL 23−5で、Air Product(Allentown、PA)からは商品名TOMADOL 91−6及び900で、Rhone−Poulencからは商品名IGEPAL CO−630で入手可能なアルコキシ化アルコール、Lonza Group Ltd.(Basel、Switzerland)から商品名BARLOX LFで入手可能なロウラミンンオキシド、アルキルフェノールエトキシレート、及び、GAF Corp.(Frankfort、Germany)から商品名EMULPHOR EL−719で入手可能なエトキシ化ベジタブルオイルが含まれる。
【0073】
いくつかの実施形態では、組成物はアルキルポリサッカライド非イオン性界面活性剤を含む。アルキルポリサッカライドは、概ね、6〜30個の炭素原子を含有する疎水基と、例えば、ポリグリコシド等の、1.3〜10個のサッカライド単位を含有する親水基である、ポリサッカライドを有する。アルキルポリグリコシドは、式R
2O(C
nH
2nO)
t(グリコシル)
xを有していてもよく、式中、R
2は、アルキル基、アルキルフェニル基、ヒドロキシアルキル基、ヒドロキシアルキルフェニル基及びこれらの混合物からなる群から選択され、ここでアルキル基は、10〜18個の炭素原子を含有し、nは、2又は3であり、tは0〜10であり、xは1.3〜8である。いくつかの実施形態では、R
2は、炭素原子の数が6〜18個、より好ましくは10〜16個のアルキル基である。グリコシルは好ましくはグルコース由来であり得る。いくつかの実施形態では、ヒドロゲル洗浄剤濃縮液は、国際公開第2007/143344号で述べられているように、アルキルポリグリコシドとアルキルピロリドンとの組み合わせを含んでいてもよく、上記国際公開の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。市販のアルキルポリサッカライド界面活性剤としては、商品名「GLUCOPON 425N」界面活性剤として入手可能なアルキルポリグリコシドとココグルコシドとの混合物等、BASF Corporationから市販されている「GLUCOPON」シリーズ非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0074】
いくつかの実施形態では、組成物は、陰イオン性界面活性剤を更に含む。理論に縛られることを意図するものではないが、陰イオン性界面活性剤は、水溶性コポリマー及びシリカナノ粒子の混合物を安定化することができると推定されている。
【0075】
陰イオン性界面活性剤は、正に荷電した対イオンと組み合わされたサルフェート、スルホネート、ホスフェート及びカルボキシレートなどの陰イオン性(即ち、負に荷電した)官能基をその頭部に含む。
【0076】
有用な陰イオン性界面活性剤には、ある分子構造を有する界面活性剤が含まれる。その分子構造には、(1)少なくとも1つの疎水性部位(例えば、鎖上に6〜20個の炭素原子を有するアルキル基、アルキルアリール基、アルケニル基及びこれらの組み合わせ)、(2)少なくとも1つの陰イオン性基(例えば、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ポリオキシエチレン硫酸、ポリオキシエチレンスルホン酸、ポリオキシエチレンリン酸及びこれらの組み合わせ)、(3)(2)のような陰イオン性基の塩(例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、第3アミノ塩及びこれらの組み合わせ)、並びに、これらの組み合わせが含まれる。
【0077】
有用な陰イオン性界面活性剤には、例えば、脂肪酸塩(例えば、ステアリン酸ナトリウム、ドデカン酸ナトリウム)、カルボン酸塩(例えば、アルキルカルボキシレート類(カルボン酸塩)及びポリアルコキシカルボキシレート類、アルコールエトキシレートカルボキシレート類、及びノニルフェノールエトキシレートカルボキシレート類)、スルホン酸塩(例えば、アルキルスルホン酸塩(α−オレフィンスルホン酸)、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、アルキルアリールスルホン酸塩(例えば、アルキルアリールスルホン酸ナトリウム)及びスルホン化脂肪酸エステル)、硫酸塩(例えば、硫酸化アルコール(例えば、脂肪族アルコール硫酸塩、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)、硫酸化アルコールエトキシレートの塩、硫酸化アルキルフェノールの塩、アルキル硫酸の塩(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム)、スルホコハク酸塩及びアルキルエーテル硫酸塩)、脂肪族石鹸、フッ素系界面活性剤、陰イオン性シリコーン界面活性剤並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0078】
好適な市販の陰イオン性界面活性剤には、Henkel Inc.(ウィルミントン、デラウェア州)から商品名TEXAPON L−100で、及びStepan Chemical Co.(ノースフィールド、イリノイ州)から商品名STEPANOL WA−EXTRAで入手可能なラウリル硫酸ナトリウム界面活性剤、Stepan Chemical Co.から商品名POLYSTEP B−12で入手可能なラウリルエーテル硫酸ナトリウム界面活性剤、Henkel Inc.から商品名STANDAPOL Aで入手可能なアンモニウムラウリル硫酸界面活性剤、Rhone−Poulenc,Inc.(クランベリー、ニュージャージー州)から商品名SIPONATE DS−10で入手可能なドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム界面活性剤、The Dow Chemical Company(ミッドランド、ミシガン州)から商品名DOWFAX C10Lで入手可能なデシル(スルホフェノキシ)ベンゼンスルホン酸二ナトリウム塩が含まれる。
【0079】
陰イオン性界面活性剤は、典型的にはナトリウム塩の形態であるが、その他のアルカリ金属又はアルカリ土類金属塩(例えばマグネシウム塩)の形態や、アンモニウム又はモノ−、ジ−、トリ−又はテトラアルキルアンモニウム塩の形態で存在してもよく、スルホン酸塩の場合、陰イオン性界面活性剤は、対応する酸(例えばドデシルベンゼンスルホン酸)の形態でも存在してよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、陰イオン性界面活性剤は、一般式R
1OSO
3−X
+を有し、式中、R
1は、C
8〜C
20のアルキル又はアルケニル基であり、Xは、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属である。一般的に使用される脂肪族硫酸塩の1つは、以下に表されるものである。
【0082】
低濃度の界面活性剤と高濃度の水性液相とを組み合わせることで、洗浄後、基材又は物品に残る(界面活性剤)残渣を少量にすることができる。
【0083】
いくつかの実施形態では、洗浄組成物は、典型的には、(例えば、非イオン性及び/又は陰イオン性)界面活性剤を、水溶性コポリマー、親水性シラン、界面活性剤及びアルカリ金属ケイ酸塩(存在する場合)の総量を基準とした固形分で、少なくとも20、25、30又は35重量%の量を含む。いくつかの実施形態では、(例えば、非イオン性及び/又は陰イオン性)の濃度は、75、70又は60重量%以下である。組成物が主に保護を目的とする場合、界面活性剤は低濃度又は存在しない。この実施形態では、(例えば、非イオン性及び/又は陰イオン性)界面活性剤の量は、固形分で、15、10又は5重量%未満になり得る。
【0084】
いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤との重量比は、概ね1:10から10:1の範囲になり得る。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤と陰イオン性界面活性剤との重量比は、少なくとも1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1である。
【0085】
組成物は、任意にシリコーン及び3M Company(セントポール、ミネソタ州)から商品名FLUORADで入手可能なフッ素系界面活性剤を使用することができる。
【0086】
更には、組成物は、任意に、陽イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含んでいてもよい。
【0087】
有用な陽イオン性界面活性剤の例には、ドデシルアンモニウムクロリド、ドデシルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルピリジニウムクロリド、ドデシルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、陽イオン性第四級アミン類及びこれらの組み合わせが含まれる。
【0088】
有用な両性界面活性剤には、例えば、両性ベタイン(例えば、ココアミドプロピルベタイン)、両性サルタイン(ココアミドプロピルヒドロキシサルタイン及びココアミドプロピルジメチルサルタイン)、両性イミダゾリン類、並びに、これらの組み合わせが含まれる。有用なココアミドプロピルジメチルサルタインは、Lonza Group Ltd.(バーゼル、スイス)から商品名LONZAINE CSで市販されている。有用なココナッツベースのアルカノールアミド界面活性剤は、Mona Chemicalsから商品名MONAMID 150−ADDで市販されている。市販されているその他有用な両性界面活性剤には、例えば、(一例としてWitco Corp.から商品名REWOTERIC AMVで入手可能な)カプリロイルグリシネート及び(一例としてLonza Group Ltd.から商品名AMPHOTERGE KJ−2で入手可能な)カプリロアンホジプロピオン酸塩が含まれる。
【0089】
しかしながら、典型的な実施形態では、組成物は、シリコーン及び/又はフッ素系界面活性剤を含まず、陽イオン性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤も含まない。
【0090】
組成物には、任意に、あやまって混入した微生物の繁殖と腐敗を防止するために有効な量の保存料を含んでいてもよい。例示的な保存料としては、特に限定されないが、有機硫黄化合物、ハロゲン化化合物、環状有機窒素化合物、低分子量アルデヒド、フェニル及びフェノキシ化合物(例えば、メチル−p−ヒドロベンゾエート、プロピル−p−ヒドロベンゾエート及び2−フェノキシエタノール)、パラベン、有機酸及びその誘導体、ヨードフォール、四級アンモニウム化合物(例えば、Stepan Inc.(ノースフィールド、イリノイ州)から商品名BTC 818で入手可能なジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、及びGelest Inc.(モリスビル、ペンシルベニア州)から入手可能な3−(トリヒドロキシシリル)プロピルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド)等の四級アンモニウム塩)、尿素誘導体、イソチアゾリン、アルキル置換アミノ酸、ホルムアルデヒド、Dow Chemical Companyが商品名DOWICIL 75で販売している1−(3−クロロアリル)−3,5,7−アゾニアアダマンタンクロリド等のホルムアルデヒドドナー、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、1−(ヒドロキシメチル)−5,5−ジメチルヒダントイン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート、Lonzaが商品名PANTOGARD PLUS LIQUIDで販売している前述の3つの組み合わせ、商品名SURCIDE−Pで販売されているヘキサヒドロ−1,3,5−トリ(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン又はこれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0091】
いくつかの実施形態では、組成物には、Lonza Inc.(アレンデール、ニュージャージー州)から商品名「Proxel−GXL」で水性ジプロピレングリコール溶液として入手できる1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)、The Dow Chemical Co.(ミッドランド、ミシガン州)から商品名Neolone M−10で水溶液として入手できる2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び/若しくは2−メチル−3(2H)イソチアゾリノン、又は、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン単体若しくはこれと2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンとの組み合わせ(The Dow Chemical Co.(ミッドランド、ミシガン州)から商品名「Kathon CG/ICP II」で入手できる)、又は、これらの組合せが含まれる。
【0092】
保存料は、典型的には組成物の総量に基づいて、固形分で約0.001重量%〜約2重量%の量で存在している。保存料が四級アンモニウム化合物である場合のようないくつかの実施形態では、保存料は、固形分で5,6,7,8,9又は10重量%にまでなってもよい。
【0093】
いくつかの実施形態において、組成物は少なくとも1つのキレート剤を含む。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、エタノールジグリシン二酸、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミン−N,N’−二コハク酸(EDDS)、エチレングリコール四酢酸(EGTA)、及びクエン酸ナトリウムのような金属塩、ゼオライト化合物、並びに、これらの組み合わせなどの様々なキレート剤が知られている。キレート剤は、典型的には組成物の総量に基づいて、固形分で約0.001重量%〜約2重量%の量で存在している。
【0094】
典型的な実施形態では、組成物は、シリカナノ粒子なしに比較的長く持続する保護性能をもたらし得る。しかしながら、別の実施形態では、組成物は、シリカナノ粒子を含み得る。
【0095】
いくつかの実施形態では、シリカナノ粒子は、「球状」であり、これは、表面に少量のフラットスポット及び/又はくぼみがあってもよいが、球状の外観を有することを意味する。
【0096】
ヘイズを最小化させるために、(例えば、球状の)シリカナノ粒子は、好ましくは60ナノメートル(nm)以下の体積平均粒径(即ち、D
50)を有する。好ましくは(例えば、球状の)シリカ粒子は、0.5〜60nmの範囲、より好ましくは1〜20nmの範囲、更により好ましくは2〜10nmの範囲の体積平均粒径を有する。シリカナノ粒子は、60nmを超える体積平均粒径に相応する粒径分布を有していてもよい。例えば、粒径分布は、単峰性又は多峰性であってもよい。
【0097】
水性媒体(ゾル)中の球状シリカ粒子は、当該技術分野では周知のものであり、市販されている。例えば、E.I.du Pont de Nemours and Co.(ウィルミントン、デラウェア州)から商品名LUDOXで、Nyacol Co.(アッシュランド、マサチューセッツ州)からNYACOLで、又は、Nalco Chemical Co.(ナパビル、イリノイ州)からNALCOで、水又は水性アルコール溶液のシリカゾルとして市販されている。5nmの体積平均粒径、pH10.5で、15重量%の名目上の固形分を有する有用なシリカゾルの1つが、Nalco Chemical Co.からNALCO 2326として入手可能である。その他の有益な市販シリカゾルには、NALCO 1115及びNALCO 1130として、Remet Corp.(ユーティカ、ニューヨーク州)からREMASOL SP30として、そしてE.I.du Pont de Nemours and Co.からLUDOX SMとして入手可能なものを含む。
【0098】
非水性球状シリカゾルは球状シリカゾル分散体であり、この場合液相は有機溶媒である。通常、シリカゾルは、その液相が液相の残りの成分と相溶性であるよう選択される。ナトリウムで安定化した球状シリカ粒子は、通常、酸性化前に希釈すると、被覆不良や不均一な被膜を生じる場合があることから、エタノールなどの有機溶媒により希釈する前にまず酸性化する必要がある。アンモニウムで安定化させたシリカナノ粒子では、一般に希釈及び酸性化をいずれの順序で行ってもよい。
【0099】
しかしながら、乾燥被膜の透明性が重要でない用途に対しては、シリカナノ粒子は非球状であってもよく、及び/又は、100、200若しくは300nmにまで及ぶより大きな粒径であってもよい。この実施形態では、シリカナノ粒子の供給源として天然及び合成粘土を利用することができる。
【0100】
シリカナノ粒子は、任意に表面処理を含み得る。しかしながら、好ましい実施形態では、シリカナノ粒子は表面処理をされていない。
【0101】
(例えば、球状の)シリカナノ粒子と水溶性コポリマー又はその塩との重量比は、少なくとも50:50、60:40又は70:30であってもよく、概ね97:3又は95:5以下であってよい。いくつかの実施形態では、(例えば、球状の)シリカナノ粒子と水溶性コポリマーとの重量比は、75:25、80:20又は85:15〜95:5である。
【0102】
当業者は、シリカナノ粒子が存在する場合、主要構成成分の濃度は、比例して低下することを理解する。当業者は、成分の濃度を容易に計算することができる。例えば、組成物が固形分の15重量%のナノ粒子を含む場合、その他の成分の濃度は、上述した量の85重量%〜5重量%である。
【0103】
組成物には、任意に、水不溶性研磨剤粒子、充填剤、研磨剤、増粘剤、原材料(例えば、トリポリリン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム及びこれらの組み合わせ)、セケストレート(sequestrates)、漂白剤(例えば、塩素、酸素系(即ち、非塩素系漂白剤)及びこれらの組み合わせ)、pH調整剤、酸化防止剤、保存料、香料、着色剤(例えば、染料)並びにこれらの組み合わせが含まれる。
【0104】
好適な水不溶性研磨剤粒子の例としては、シリカ、パーライト、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、軽石及びこれらの組み合わせが含まれる。水不溶性研磨剤粒子は、固形分で少なくとも0.1、0.5又は1重量%の量で存在していてもよく、典型的には、固形分で10、9、8、7、6又は5重量%以下の量で存在する。
【0105】
組成物には、任意に、例えば、有機天然増粘剤(アガーアガー、カラギーナン、トラガカント、アラビアゴム、アルギン酸塩、ペクチン、ポリオース、グアー、グー、ローカストビーンガム、デンプン、デキストリン、ゼラチン、カゼイン)、有機的に変性された天然物質(カルボキシメチルセルロース及びその他のセルロースエーテル、ヒドロキシエチル及びプロピルセルロース等、ガムエーテル)、その他の水溶性ポリマー(ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸化合物、ビニルポリマー、ポリエーテル、ポリイミン、ポリアミド)を含む粘度調整剤が含まれ得る。しかしながら、典型的な実施形態では、上述の水溶性ポリマーが唯一の水溶性ポリマーであり、組成物は、有機天然増粘剤などのその他の粘度調製剤を含まない。
【0106】
組成物はまた、洗浄組成物に典型的な様々なアジュバントを含み得る。このようなアジュバントの例としては、1以上の香料、保存料、染料、腐食防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。アジュバントは、概ね組成物の固形分の2重量%、1.5重量%、1重量%又は0.5重量%未満の量で存在する。
【0107】
本開示による組成物は、任意の好適な混合技術により製造してよい。有用な技術の1つには、水溶性コポリマーの水溶液、又はその塩を、水性若しくは溶媒が担う球状シリカ粒子及び水性界面活性剤の分散体と組み合わせること、並びに、その後、最終的に望ましいレベルまでpHを調整することを含む。
【0108】
本開示に係る組成物は、洗浄及び/又は基材上に保護被膜を与える上で有用である。典型的な用途では、組成物は、基材の洗浄目的で使用され、同時に保護被膜をもたらす。しかしながら、組成物はまた、このような目的の1つにしか用いないこともある。
【0109】
図1を参照すると、物品100は基材120を含み、基材120はその上に配置された層110を有する。層110は、本開示に係る組成物を基材の表面に適用し、基材の表面から少なくとも部分的に水性液相を除去することにより形成される。
【0110】
好適な基材には、米国特許第6,955,834号に記載されているような様々な硬質表面が含まれ、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。硬質表面としては、例えば、ガラス(例えば窓(建築及び自動車の窓を含む)、セラミックス(例えばセラミックスタイル)、セメント及び石などのシリカ表面、光学素子(例えば、レンズ及び鏡)、塗装表面及び/又はクリアコート表面(例えば、自動車又は貨物自動車の車体又は密閉板、ボート表面、オートバイの部品、けん引トラック、雪上車、水上バイク、オフロード車及びトラクタートレーラー)、電化製品、感圧接着剤で裏打ちされたプラスチック製保護被膜、金属(例えば、建築用柱、衛生器具)、ガラス繊維、熱硬化性ポリマー、シート形成化合物、熱可塑性材料(例えば、ポリカーボネート、アクリル系、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、フェノール樹脂、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリスチレン及びスチレン−アクリロニトリルコポリマー)、並びに、これらの組み合わせが挙げられる。追加の例示的な基材には、国際公開第2011/163175号に記載されているようなバスタブ、トイレ、シンク、蛇口、鏡、窓及びホワイトボードが含まれ、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
本組成物は、窓に一般的に使用されるソーダ石灰ガラスのスズ側及び非スズ側の両方に特に好適であることが判明した。
【0112】
一部の実施形態では、本開示による組成物は、基材上にコーティングし、少なくとも部分的に乾燥させると、石鹸かす及び硬水ミネラル沈着などの汚れ及びその他の汚染物質の堆積を軽減する傾向により、洗浄性の改善をもたらす。「洗浄性がある」とは、本明細書に記載の組成物が、乾燥後に、流水又は水噴霧との接触によってその上を覆った汚染物質を容易に取り除くことで容易に洗浄されるような被膜を与え、これにより被膜から汚染物質のかなりの部分が除去されることを意味する。水膜(water sheeting)効果は、汚れ、歯磨き粉、ローションやリップスティックを含む化粧品、石鹸かす並びに雨水及びすすぎ水中のミネラルによる染みを、実質的にシートからはじくとともに基材表面から流れ落とし、水が乾燥した後に堆積する汚染物質の量及び局在濃度を有意に軽減させる。
【0113】
一部の実施形態では、組成物は、引っかき傷、摩耗及び溶媒などが原因となって生じる損傷から基材を保護するのを助ける、磨耗耐性層を提供する。
【0114】
(洗浄がない場合で)保護が望まれる場合、組成物は、ブラシ、バー、ロール、ワイプ、カーテン、輪転グラビア、スプレー又はディップコーティング技術などの従来のコーティング技術を用いて物品の表面に適用され得る。1つの方法では、任意の好適な方法を用いて組成物を適用し、溶媒の一部を蒸発させた後、過剰な組成物を流水により洗い流すが、基材はそれでも組成物によって完全に又は実質的に濡れている。
【0115】
いくつかの実施形態では、組成物は、保護と洗浄の両方に使用される。この実施形態では、方法には、概ね、組成物を基材の表面に適用することと、その基材の表面から水性液相の少なくとも一部を除去することとが含まれる。
【0116】
不要な構成要素を基材の表面から除去する方法には、典型的には基材表面及び不要な構成要素に組成物を適用して、組成物と当該表面に機械的作用を加え、当該表面を乾燥することが含まれる。機械的作用とは、例えば、ワイピング及び擦ることを含む任意の好適な機械的作用であってよい。乾燥は、例えば、表面を空気乾燥すること、表面を拭いて乾燥すること、表面を強制空気(例えば、100°F〜160°Fの範囲の冷風又は熱風)に接触させること、及びこれらの組み合わせを含む任意の好適なプロセスを通して実施することができる。
【0117】
得られた表面には、不要な構成要素はない又は実質的になく、未処理表面に比べて親水性が向上し、未処理表面に比べて洗浄がし易くなる。
【0118】
当該方法は、洗浄方法などの様々な不要な構成要素のいずれかを除去する方法であり得る。当該方法は、シリカ表面から様々な汚染物質を除去するために使用され得る。シリカ表面には、例えば、汚れ、石鹸かす、オイル(例えば、スキンオイル及びモーターオイル)、ワックス、食物の残渣(例えば、バター、ラード、マーガリン、肉のタンパク質、野菜のタンパク質、炭酸カルシウム及び酸化カルシウム)、グリース、インク(例えば、油性マーカーペンのインク、ボールペンのインク、フェルトペンのインク)、昆虫の残渣、アルカリ土類金属の炭酸塩、接着剤、すす、粘土、顔料及びこれらの組み合わせ、様々な表面凹凸及び欠陥(例えば、穴、切り傷、線、引っかき傷、及びこれらの組み合わせ)、並びに、これらの組み合わせが含まれる。
【0119】
当該方法は、また様々な特定の用途に対しても有用である。当該用途には、例えば、マーカーで書かれたマーカー跡をボードから除去すること、ガラス(例えば、窓、フロントガラス、メガネレンズ、レンズ(例えば、カメラレンズ、光学レンズ)及び流し台上面)から環境汚染物質(例えば、オイル及び汚れ)を除去することが含まれる。除去することができるマーカー跡には、油性マーカーペン、非油性マーカーペン及びこれらの組み合わせによって作られたマーカー跡が含まれる。洗浄し得るライティングボードには、例えばドライ・イレース・ボードやホワイトボードが含まれる。ドライ・イレース・ボードやホワイトボードは、例えば国際公開第2011/163175号をはじめとした多くの文献に記載されている。
【0120】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は、表面を保護し、洗浄するためにも使用され得る。これは、とりわけ石鹸かすが付着する表面に有用である。例えば、本明細書の組成物は、例えば、表面を洗浄する(例えば、石鹸かすを除去することで)ため、擦ることで表面に適用され得るが、乾燥すると、組成物は、汚染物質(例えば、石鹸かす)が付着しない保護層も形成する。繰り返し使用すると、表面は洗浄しやすくなり、及び/又は、洗浄頻度が少なくて済む。
【0121】
典型的な実施形態では、組成物は、洗浄組成物としての消費者向け「スプレー&ワイプ」用途に好適である。このような用途では、消費者は概ねポンプを使用して有効量の組成物を適用し、そのすぐ後で、クロス、タオル又はスポンジ、通常は使い捨てペーパータオルやスポンジで処理した領域を拭き取る。このような適用材料は好ましくは耐酸性であり、そのままの状態で親水性又は疎水性であってよい。
【0122】
しかしながら、いくつかの用途では、特に望ましくない染みの沈着が強固な場合、染みの沈着が効果的に弱くなり、その後拭き取り、洗い流し、又は他の方法で除去することができるまで、洗浄組成物を染みがついた領域に放置してもよい。とりわけ望ましくない染みが強固に堆積している場合、複数回適用してもよい。場合により、組成物を一定時間表面に残した後、表面から洗い流したり、拭き取ったりすることができる。
【0123】
本明細書に記載の組成物は、担体基材を用いた硬質表面に適用することもできる。有用な担体基材の一例には、ウェットワイプがある。ワイプは、織布でも不織布でもよい。布地基材には、不織布袋又は織布袋、単独気泡型スポンジ及び連続気泡型スポンジをともに含み、セルロースやその他のポリマー材料で作られたスポンジを含み、研磨又は非研磨洗浄パッドの形態のスポンジも含む。このような布地は、当該分野で市販されて既知であり、しばしばワイプとも称される。このような基材は、樹脂接着されているか、水流交絡されているか、熱接着されているか、メルトブローンされているか、ニードルパンチされている又はこれらの組み合わせであり得る。本発明の組成物を用いた有用な担体基材には、水溶性ポリマーなどの膜形成性基材を含むワイプであり得る。このような自己支持型膜基材は、布地基材の層の間に挟まれて熱接着されて有用な基材を形成し得る。
【0124】
本発明の液体組成物は、担体基材、即ちワイプに有利に吸収され、飽和ワイプを形成する。ワイプは、その後個別に袋包装され、必要なときに開封されるか、必要なときに使用するため、複数のワイプをコンテナ内においておくことができる。容器は、閉じられると、組成物から成分が蒸発しないように、十分に密閉される。ワイプは、使用時にコンテナから取り出され、処理が必要な領域をワイプする。汚れの処理が困難な場合、ワイプは、処理が必要な領域を再度拭いても、複数の飽和ワイプを使用してもよい。
【0125】
本開示に係る組成物は、被覆表面の光の干渉による着色及び/又はにごった外見を防止するため、50〜5000ナノメートル(nm)、より好ましくは500nm未満の範囲の均一な厚みで、基材に適用されるが、他の厚さを用いることもできる。
【0126】
最適な平均乾燥被膜厚さは、コーティングされる具体的な組成物によって異なるが、(例えば原子間力顕微鏡及び/又は表面形状測定によって推定される)組成物の平均乾燥厚さは、一般的に5〜1000nm、好ましくは50〜500nmであるが、上記範囲外の厚さにすることができる。この範囲を上回ると、典型的には乾燥被膜厚さの変動によって光学的干渉効果がもたらされ、乾燥した被膜には眼に見える、暗色の基材で特に目立つ干渉縞(虹効果)が生じる。この範囲を下回ると、環境的摩耗に曝される多くの基材に充分な耐久性を与える上で、乾燥被膜の厚さが不適切なことがある。
【0127】
基材の表面をコーティングした後、得られた物品は常温で乾燥され得る。代替的に、本明細書に記載の組成物は、100°F〜150、200、又は250°Fの範囲のより高い温度で乾燥され得る。
【0128】
本開示の目的及び利点は、以下の非限定的な実施例によって更に例示されるが、これらの実施例で引用される特定の材料及びそれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0129】
特に指示のない限り、実施例及び本明細書の残りの部分における全ての部、割合、比率などは、重量による。
【0130】
材料
双性イオン性シランは、国際出願PCT/WO2014/036448(A1)号で親水性シラン溶液1について記述されたような手順を用いて調製され、48重量%のシラン水溶液が得られた。
【0131】
ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)でおよそ15%の有効量を有する中程度の分子量の液体陰イオン性ポリマーである、LUREDUR AM NAは、BASF Corporation(フローハムパーク、ニュージャージー州)から入手した。
【0132】
ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)90:10ナトリウム塩(MW=200,000g/モル、10%カルボキシル)であるPAA 90/10は、Polysciences Inc.(ワーリントン、ペンシルベニア州)から入手し、水で希釈して10重量%の水溶液にした。
【0133】
ポリ(アクリルアミド/アクリル酸)30:70ナトリウム塩(MW=200,000g/モル、70%カルボキシル)であるPAA 30/70は、Polysciences Inc.(ワーリントン、ペンシルベニア州)から入手し、水で希釈して10重量%の水溶液にした。
【0134】
アクリル酸系コポリマー(およそ20%の有効量)であるMIRAPOL SURF S−210は、Rhodia,Inc.(クランベリー、ニュージャージー州)から入手した。
【0135】
LSS−75、即ちケイ酸リチウム水溶液(22%の有効量)は、日産化学(ヒューストン、テキサス)から入手した。
【0136】
C8からC16の天然脂肪族アルコールをベースとしたアルキルポリグルコシド(50%の有効量、概算分子量=488)(およそ0.012%のグルタルアルデヒドで保存されている)の水溶液であるGlucopon 425Nは、BASF Corporation(フローハムパーク、ニュージャージー州)から入手した。
【0137】
ラウリル硫酸ナトリウム水溶液(29%の有効量、概算分子量=288)であるSTEPANOLWA−EXTRAは、Stepan Company(ノースフィールド、イリノイ州)から入手した。
【0138】
C9〜11のエトキシ化アルコール(100%有効量)であるTomadol 91−6は、Air Products and Chemicals,Inc.(アーレンタウン、ペンシルベニア州)から入手した。
【0139】
化学的に純粋なグリセリンであるCP Glycerinは、Sigma−Aldrich Corp.(セントルイス、ミズーリ州)から入手可能である。
【0140】
IPA、100%イソプロピルアルコール、Sigma−Aldrich Corp.(セントルイス、ミズーリ州)から入手可能である。
【0141】
青リンゴの香りであるGreen Apple SZ43942は、J&E Sozio(ピスカタウェイ タウンシップ、ニュージャージー州)から入手した。
【0142】
ブルー染料であるLiquitint Blue HPは、Milliken Chemical(スパータンバーグ、サウスカロライナ州)から入手した。
【0143】
1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(BIT)(20%の有効量)のジプロピレングリコール水溶液であるProxel−GXL preservativeは、Lonza Inc.(アレンデール、ニュージャージー州)から入手した。
【0144】
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−3(2H)イソチアゾリノン(水中で9.5%の有効量)からなる殺生物剤溶液であるNeolone M−10 preservativeは、The Dow Chemical Co.(ミッドランド、ミシガン州)から入手した。
【0145】
5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン及び2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン(安定剤として3〜5%のマグネシウム塩を有し、水中で1.5%の総有効量)からなる殺生物剤溶液であるKathon CG/ICP II preservativeは、The Dow Chemical Co.(ミッドランド、ミシガン州)から入手した。
【0146】
テスト方法
石鹸かす試験法
A.石鹸かす調製用材料
アイボリー固形石鹸(Procter and Gamble Co.、シンシナティ、オハイオ州)
人工皮脂(Scientific Services S/D Inc.、スパロウブッシュ、ニューヨーク州)
Color Me Happyハーバルエッセンスシャンプー(Procter and Gamble、シンシナティ、オハイオ州)
Color Me Happyハーバルエッセンスコンディショナー(Procter and Gamble、シンシナティ、オハイオ州)
塩化カルシウム二水和物(Sigma−Aldrich Corp.、セントルイス、ミズーリ州)
硝酸マグネシウム六水和物(Sigma−Aldrich Corp.、セントルイス、ミズーリ州)
オレイン酸(Sigma−Aldrich Corp.、セントルイス、ミズーリ州)
粉塵(ISO 12103−1、A2 Fines ID# 10842F、Power Technology Inc.、バーンズビル、ミネソタ州)
【0147】
B.石鹸かすの調製
まず、塩化カルシウム無水和物(0.066重量%)及び硝酸マグネシウム六水和物(0.064重量%)を含む1000gの硬水溶液を調製した。第1の容器内で、粉砕したアイボリー石鹸(1.99g)を上記硬水溶液(239.28g)に添加し、混合物を30分間60℃で超音波処理した。その後、混合物に人工皮脂(1.5g)を添加し、更に10分間超音波処理した。第2の容器内で、シャンプー(1.99g)を上述の硬水溶液(747.75g)に60℃で添加し、混合物を15秒間攪拌した。その後、オレイン酸(1.99g)を混合物に添加した。2つの容器の内容物を組み合わせ、60℃で2時間にわたって混合した。コンディショナー(5.00g)を、上記組み合わされた混合物に添加し、41℃で15分間攪拌され、次いで45℃でもう15分間攪拌された。最後に、汚れ(0.50g)を混合物に添加し、10分間攪拌した。
【0148】
C:石鹸かす試験用基材板の調製
新しい6インチ(15.2cm)×4インチ(10.2cm)のフロートガラス板(石灰ガラス)又は4.25インチ(10.8cm)×4.25インチ(10.8cm)のセラミックスタイル板について、分注ボトルからIPAで表面をすすぎ、各洗浄後に乾燥することにより、少なくとも3回に分けて十分に洗浄した。レーヨン/ポリエステルワイプ(50/50、40g/m
2坪量)を使用して、試験する0.3g(およそ12滴)の洗浄組成物をコートし、5インチ(12.7cm)×4インチ(10.2cm)のガラス板表面を被覆した。代替的に、0.18g(およそ7滴)の洗浄組成物を、4.25インチ(10.8cm)×4.25インチ(10.8cm)のタイル板表面を覆うように同様にコートした。クリーナーで、ガラス及びタイル表面を規定のパターンで2度均等にワイプした。特定の試験によっては、ガラス板のスズ側(疎水性側)又は非スズ側(親水性側)のいずれかを試験に使用した。タイル板については、タイルの光沢がある側をテストに使用した。コートされた板を、石鹸かす試験を行う前に室温で2時間硬化した。
【0149】
D.石鹸かす試験
一定量の石鹸かす(トリガースプレー10回分)を水平に保持されたガラス又はタイルの全被覆表面上にスプレーした後、石鹸かすが6分間板上に滞留するようにした。その後、被覆表面を流水で洗い流し、直立位置で9分間、室温で空気乾燥した。処理表面上に脱イオン水をスプレーすることにより、表面の水膜性能(親水性)を測定し、記録した。その後、板のスプレーされた表面を、直立位置でもう5分間、空気乾燥した。以上を1回の石鹸かすスプレーサイクルとみなした。除去された被膜の量を、所定のスプレーサイクルの後、乾燥しているとみなされた板の表面積の割合に基づいて、見積もった。水膜性能は、全被覆表面をカバーするように水をスプレーした時点から30秒後に、被覆板上で乾燥が目視観察されなかった場合に100%と定義した。サイクルで除去された被膜の割合は0%と定義した。水膜性能がゼロと判断された(ガラス又はタイル板が乾いているように見える)場合、サイクルで除去された被膜の量の割合を100%と定義し、それ以上の石鹸かすスプレーサイクルは実行されなかった。水膜性能がゼロでない場合、石鹸かすスプレーサイクルを、コーティングされた表面が50%より多くの水膜性能を失うまで繰り返した(50%親水性又は50%被膜喪失)。
【0150】
E.サンプル調製
表に示された処方を有する洗浄及び保護組成物を、成分を組み合わせて攪拌することによって調製した。表中の各実施例における材料の量は、グラム単位である。括弧書きされていない値は、溶液として添加された場合、水を含む添加材料の量である。括弧書きされた値は、活性材料のグラム単位の重量である。例えば、実施例E1において、Luredur AM naの15%水溶液0.6603gが添加され、有効量は、0.0990gである。
【0151】
実施例E1及びE2並びに比較実施例CE1〜CE3
実施例E1及びE2並びに比較実施例CE1〜CE3を、表1に示された組成を有するように、上述のように調製した。組成物を、上記石鹸かす試験で説明したように石鹸かす性能について試験した。試験結果を表2〜4に示す。
【0152】
【表1】
【0153】
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
実施例E3〜E8及び比較実施例CE4〜CE8
実施例E3〜E8及び比較実施例CE4〜CE8を、表5及び6に示された組成を有するように、上述のように調製した。組成物を、上記石鹸かす試験で説明したように石鹸かす性能について試験した。試験結果を表7に示す。データによって、Luredur AM na及び双性イオン性シランが、スズ側のガラス板表面で石鹸かすを防止する濃度効果を実証されている。
【0157】
【表5】
【0158】
【表6】
【0159】
【表7】
【0160】
実施例E9〜E13及び比較実施例CE9〜CE13
実施例E9〜E13及び比較実施例CE9〜CE14を、表8及び9に示された組成を有するように、上述のように調製した。組成物を、上記石鹸かす試験で説明したように石鹸かす性能について試験した。試験結果を表10に示す。データによって、非スズ側のガラス板表面でのLuredur AM naのかす防止性能に双性イオン性シランが与える濃度効果が実証されている。
【0161】
【表8】
【0162】
【表9】
【0163】
【表10】
【0164】
実施例E14〜E18及び比較実施例CE14〜CE18
実施例E14〜E18及び比較実施例CE14〜CE18を、表11及び12に示された組成を有するように、上述のように調製した。組成物を、上記石鹸かす試験で説明したように石鹸かす性能について試験した。試験結果を表13及び表14に示す。
【0165】
【表11】
【0166】
【表12】
【0167】
【表13】
【0168】
【表14】
【0169】
実施例E19及びE20並びに比較実施例CE19〜CE21
実施例E19及びE20並びに比較実施例CE19〜CE21を、表15に示された組成を有するように、上述のように調製した。組成物を、上記石鹸かす試験で説明したように石鹸かす性能について試験した。試験結果を表16及び表17に示す。
【0170】
【表15】
【0171】
【表16】
【0172】
【表17】
【0173】
各実施例の固形分重量%を以下の表18〜23に報告する。
【0174】
【表18】
【0175】
【表19】
【0176】
【表20】
【0177】
【表21】
【0178】
【表22】
【0179】
【表23】