(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
搬送面上に長尺のシートを載せて搬送する搬送コンベアと、該搬送コンベアによって搬送される該シートの搬送方向に沿った両側部を、該搬送方向と直交する方向に折り返す一対の折り返しガイドを具備し、一対の前記折り返しガイドが、それぞれ、前記搬送コンベアの搬送方向に沿って配され且つ前記搬送面と同一平面よりも上方に位置する部分を有する側壁部と、該側壁部から該シートの搬送方向と直交する方向の内方に向けて延出する内方延出部とを有するシートの折り返し装置であって、
一対の前記折り返しガイドは、それぞれの前記内方延出部に、前記搬送コンベアの搬送方向の下流に向かうに連れて、搬送方向に直交する方向の反対側に近づくように傾斜した内側縁部を有しており、且つ一対の前記折り返しガイドのうちの、第1の折り返しガイドにより、前記シートの一側部を折り返した後、第2の折り返しガイドにより、該シートの他側部を、折り返した前記一側部と部分的に重なるように折り返すようになされており、
第1の折り返しガイドの前記内側縁部は、第2の折り返しガイドの前記内側縁部に比して、前記搬送コンベアの搬送方向に対する傾斜角度が大きくなっており、
前記搬送コンベアは、搬送方向における上流側に位置する上流部と、下流側に位置する下流部とを有し、該上流部における搬送コンベアの搬送面と該下流部における搬送コンベアの搬送面とは、所定の傾き角度を持って連結されており、前記下流部における搬送ベルトの搬送面の両側に、第1及び第2の前記折り返しガイドが配され、前記上流部における搬送コンベアの搬送面の両側に一対の側部支持プレートが配されており、
一対の前記側部支持プレートは、それぞれ、前記搬送コンベアの搬送方向の下流に向かうに連れて、搬送方向に直交する方向の外方から内方に近づくように傾斜した外側縁部を有しており、且つ
前記搬送コンベアの搬送方向に沿う中央線を境にして第1の前記折り返しガイドと同じ側に位置する前記側部支持プレートの前記外側縁部は、前記搬送コンベアの搬送面の側縁に対する傾斜角度が、前記中央線を境にして第2の前記折り返しガイドと同じ側に位置する前記側部支持プレートの前記外側縁部の同傾斜角度より大きい、シートの折り返し装置。
前記搬送コンベアの搬送方向における、第1の前記折り返しガイドの前記内方延出部の上流側の端部よりも上流側に、前記搬送面の側部に設けられ且つ前記搬送面より上方に突出するタック当接プレート部を有している、請求項1に記載のシートの折り返し装置。
前記タック当接プレート部は、第1の前記折り返しガイドと一体の部材で形成されており、第1の前記折り返しガイドの前記内方延出部の上流側の端部より上流側に延出している、請求項2又は3に記載のシートの折り返し装置。
第1の前記折り返しガイドと、前記搬送コンベアの搬送方向に沿う中央線を境にして第1の前記折り返しガイドと同じ側に位置する前記側部支持プレートとの間に、前記シートの縁部付近に対して、前記搬送面に接触する面とは反対側の面側から気体を吹き付ける手段が設けられている、請求項1に記載のシートの折り返し装置。
第1の前記折り返しガイドと、前記搬送コンベアの搬送方向に沿う中央線を境にして第1の前記折り返しガイドと同じ側に位置する前記側部支持プレートとの間に、前記シートの前記側部における中央領域に対して、前記搬送面に接触する面側から接触する接触式のガイドが設けられている、請求項1に記載のシートの折り返し装置。
第1の前記折り返しガイドと、前記搬送コンベアの搬送方向に沿う中央線を境にして第1の前記折り返しガイドと同じ側に位置する前記側部支持プレートとの間に、前記シートの前記側部における中央領域に対して、前記搬送面に接触する面側から気体を吹き付ける手段が設けられている、請求項1に記載のシートの折り返し装置。
前記折り返し工程の前に、前記シートの、第1の折り返しガイドにより折り返される側部及び第2の折り返しガイドにより折り返される側部の両方における、前記吸収性コア側に向けられる面に接着剤を塗工する接着剤塗工工程を具備する、請求項8に記載の吸収体の製造方法。
製造する吸収体は、第1の前記折り返しガイドにより折り返された前記シートの一側部と、第2の前記折り返しガイドにより折り返された該シートの他側部との重なり幅が、10mm以上50mm以下である、請求項8又は9に記載の吸収体の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1(a)及び(b)には、本発明の吸収体の製造方法で製造される吸収体5の一例の幅方向に沿う断面図が示されている。
吸収体5は、少なくとも繊維材料又は高吸収性ポリマーを形成材料とする吸収性コア50と、これを被覆するコアラップシート51とを具備している。吸収体5における吸収性コア50は、長手方向の中央部に、幅方向の長さが狭い括れ部を有しているが、本発明で製造する吸収体5は、そのような形状のものに制限されない。
【0013】
図1(a)及び(b)に示す吸収体5のコアラップシート51は、吸収性コア50の一面と対向配置されている中央領域51mと、該中央領域51mに対向する吸収性コア50の一面とは反対側の他面側に折り返されている両側部51a,51bを有しており、一方の側部51aと他方の側部51bとは、吸収体5の幅方向の中央部に、一方の側部51aと他方の側部51bとが重なっている重合部53を有している。
【0014】
一方の側部51aは、後述する吸収体5の製造方法において、他方の側部51bよりも先に折り返されており、重合部53及び吸収性コア50の一方の側縁部50aと重合部53との間の両部位において、吸収性コア50側の面が、接着剤により吸収性コア50に接合されている。他方の側部51bは、後述する吸収体5の製造方法において、一方の側部51aよりも後に折り返されており、重合部53においては、吸収性コア50側の面が、折り返された一方の側部51a上に接着剤により接合され、吸収性コア50の他方の側縁部50bと重合部53との間の部位においては、吸収性コア50側の面が、接着剤により吸収性コア50に接合されている。
このように、重合部53において、一方の側部51aと他方の側部51bとの間が接着剤により接合されていることで、吸収体5の保形性が高まり、また吸収性コア50の形成材料の漏れ出しが防止される。
【0015】
本発明の吸収体の製造方法は、一方向に搬送される長尺のコアラップシートの幅方向の中央領域に吸収性コアを配置する吸収性コアの配置工
程、該吸収性コアが配置された該コアラップシートを搬送させながら、一対の折り返しガイドを備えたシートの折り返し装置により、
該シートにおける該吸収性コアの各側縁から側方に延出した両側部を、該中央領域に対向する該吸収性コアの一面とは反対側の他面側に折り返して、該吸収性コアの両面を該コアラップシートで被覆する折り返し工程、
及び前記折り返し工程の前に、該コアラップシートにおける第1の折り返しガイドにより折り返される方の側部の、前記吸収性コア側に向けられる面に接着剤を塗工する接着剤塗工工程を具備する。
図2には、これらの工程を有する吸収体の製造方法に好適に用いられる吸収体の製造装置1の概略が示されている。同図に示す製造装置1は、大別して積繊部2と、転写部3と、折り返し部4と、接着剤塗工部6と、切断装置7とから構成されている。
【0016】
製造装置1における積繊部2は、外周面に複数の集積用凹部21が所定の間隔で形成された積繊ドラム20と、吸収性コアの形成材料(以下、吸収性コア形成材料ともいう)としての繊維材料及び高吸収性ポリマー(吸収性粒子)を、空気流に随伴させて、積繊ドラム20の外周面に供給するダクト22とを備えている。ダクト22は、積繊ドラム20の外周面の一部を覆う一端部22aと、パルプ繊維等の繊維材料を導入する繊維材料導入装置23に接続された他端部22bとを有しており、それらの間に高吸収性ポリマーの導入装置24が設けられている。繊維材料導入装置23は、例えば、シート状の木材パルプ23aを粉砕して解繊パルプとし、その解繊パルプをパルプ繊維としてダクト内に送り込む粉砕器23bを備えている。
図2に示すように、吸収性コア形成材料として、繊維材料及び吸収性粒子としての高吸収性ポリマーを用いるのに代えて、繊維材料のみを用いることもできるし、吸収性粒子としての高吸収性ポリマーのみを用いることもできる。
【0017】
積繊ドラム20は、円筒状をなし、
図2中の矢印R1方向に回転駆動されるようになされている。積繊ドラム20の外周面には、製造する吸収性コア50に付与すべき形状に対応する形状の集積用凹部21が形成されている。積繊ドラム20には、吸気ファン(図示せず)が接続されており、該吸気ファンの駆動により、積繊ドラム内の仕切られた空間20Aを負圧に維持可能になされている。個々の集積用凹部21の底面には、多数の細孔(図示せず)が形成されており、個々の集積用凹部21が負圧に維持された空間20Aを通過している間、該集積用凹部21の底面部の細孔が吸引孔として機能する。それによって、集積用凹部21内に繊維材料及び高吸収性ポリマーが吸引されて堆積して、該集積用凹部21に対応する形状の吸収性コア50に成形される。本実施形態においては、空間20Bは吸気ファンと接続されておらず非吸引、すなわちゼロ圧であるが、空間20Aと同様に負圧に維持されていても良い。
【0018】
積繊部2においては、集積用凹部21の底面から吸引しつつ、ダクト22内に、繊維材料及び高吸収性ポリマーを供給することによって、それらが集積用凹部21内に所定形状に堆積して吸収性コア50に成形される。繊維材料及び高吸収性ポリマーが集積用凹部21内に堆積すると、その上が保持用ベルト25によって被覆され、繊維材料及び高吸収性ポリマーの脱落が防止される。そして、成形された吸収性コア50は、積繊ドラム20の回転により下部へと搬送されるとともに、保持用ベルト25による保持が解除された後、エアー吐出装置26からのエアーの吐出によって、転写部3において、集積用凹部21から離型されて、コンベアベルト31へと移行する。
【0019】
転写部3は、
図2中の矢印R2方向に周回する無端状のコンベアベルト31と、該コンベアベルト31の周回軌道内に設置されたサクションボックス32とを備えている。コンベアベルト31は通気性を有している。コンベアベルト31は例えばメッシュベルトから構成されている。サクションボックス32は、コンベアベルト31を挟んで、前記のエアー吐出装置26と対向する位置に設置されており、エアー吐出装置26から吹き出された空気を吸引できるようになっている。コンベアベルト31上には、吸収性コア50の転写前に予めコアラップシート51が供給されており、集積用凹部から離型された吸収性コア50は、コアラップシート51上に載置された状態で、転写部3より下流側に位置する折り返し部4へと搬送される。
吸収性コア50は、
図3、
図4に示すように、コアラップシート51の幅方向の中央領域51mに配置される。吸収性コア50は、その長手方向に延びる中央線の位置が、コアラップシート51における長手方向に延びる中央線の位置と一致するように配置されることが好ましい。その場合、コアラップシート51における吸収性コア50の側縁から側方に延出する延出部分は、その延出幅が同じになるが、左右の延出部分の延出幅は異なっていても良い。
【0020】
折り返し部4には、
図3に示すシートの折り返し装置41が配されている。
図3においては、吸収性コア50の配置位置を一点鎖線で示した以外は、吸収性コア50及びコアラップシート51の図示は省略してある。また、
図3において、吸収性コア50及びコアラップシート51は、同図中、右上から左下に向けて搬送される。
【0021】
折り返し装置41は、搬送面42a上に長尺のコアラップシート51を載せて搬送する搬送コンベア42を備えている。搬送コンベア42は、
図2に示すように、矢印R3方向に周回する無端状のコンベアベルト42bと、該コンベアベルト42bの周回軌道内に設置されたサクションボックス(図示せず)とを備えている。搬送コンベア42の搬送面42aは、コンベアベルト42bの上面から形成されている。
図3には、コンベアベルト42bの長手方向における一部のみが示されている。コンベアベルト42bは、通気性を有する素材から構成されている。例えばメッシュベルトから構成されている。サクションボックスは、コンベアベルト42bを介して、吸収性コア50及びそれが載置されているコアラップシート51を吸引保持するために用いられる。
【0022】
また、折り返し装置41は、
図3に示すように、一対の折り返しガイド43a,43bを具備している。一対の折り返しガイド43a,43bは、
図4に示すように、搬送コンベアによって搬送されるコアラップシート51の搬送方向MDに沿った両側部51a,51bを、搬送方向MDと直交する方向CDに折り返すものである。
折り返しガイド43a,43bは、
図4及び
図5に示すように、それぞれ、搬送コンベア42の搬送方向MDに沿って配され且つ前記搬送面42aと同一平面よりも上方に位置する部分を有する側壁部44と、該側壁部44からコアラップシート51の搬送方向MDと直交する方向CDの内方に向けて延出する内方延出部45とを有している。側壁部44は、平坦な板状部材から構成されており、搬送面42aと直交する方向に延びている。側壁部44は、その上端が内方延出部45の外側縁に連接され、鉛直方向に略平行に配されている。折り返しガイド43a,43bは、側壁部44の下部がボルト等の公知の固定手段によって、装置筐体46に固定されている。
【0023】
折り返しガイド43a,43bの内方延出部45は、それぞれ、
図3に示すように平面視して三角形形状の部位を含む平坦な板状部材から構成され、搬送コンベア42の搬送面42aに対して略平行に配されている。折り返しガイド43a,43bは、それぞれの内方延出部45に、搬送コンベアの搬送方向MDの下流に向かうに連れて、搬送方向MDに直交する方向CDの反対側に近づくように傾斜した直線状の内側縁部45a,45bを有している。他方、折り返しガイド43a,43bの内方延出部45の外側縁46a,46bは、搬送方向MDと平行な直線形状を有している。したがって折り返しガイド43bの内方延出部45は、搬送方向MDに直交する方向CDの反対側に向けての張り出し幅Wが、搬送方向MDに沿って漸増している。
【0024】
そして、本実施形態の折り返し装置41においては、
図4に示すように、一対の折り返しガイド43a,43bのうちの、一方の折り返しガイドである第1の折り返しガイド43aにより、コアラップシート51の一側部51aを折り返した後、他方の折り返しガイドである第2の折り返しガイド43bにより、コアラップシート51の他側部51bを、折り返した一側部51aと部分的に重なるように折り返すようになされている。換言すれば、第1の折り返しガイド43aは、コアラップシート51の長手方向に沿う両側部のうち、先に折り返される方を折り返す折り返しガイドであり、第2の折り返しガイド43bは、コアラップシート51の長手方向に沿う両側部のうち、後に折り返される方を折り返す折り返しガイドである。
そして、本実施形態の折り返し装置41においては、
図3に示すように、コアラップシート51の先に折り返す一側部51aを折り返す第1の折り返しガイド43aの内側縁部45aの、搬送コンベア42の搬送方向MDに対する傾斜角度θ1を、後に折り返す他側部51bを折り返す第2の折り返しガイド43bの内側縁部45bの、搬送コンベア42の搬送方向MDに対する傾斜角度θ2よりも大きくしてある。
【0025】
シートの折り返し装置41における搬送コンベア42は、
図3に示すように、搬送コンベア42の搬送方向MDの上流側に位置する上流部41Uと、下流側に位置する下流部41Dとを有している。上流部41Uの搬送面42uは、下流部41Dの搬送面42dと所定の傾き角度を持って連結されている。そして、その下流部41Dの搬送面42dの両側に、前述した第1の折り返しガイド43a及び第2の折り返しガイド43bが配されており、また、上流部41Uの搬送面42uの両側に一対の側部支持プレート47a,47bが配されている。
【0026】
側部支持プレート47a,47bは、搬送中のコアラップシート51における搬送コンベア42の搬送面42aの側縁Sa,Sb(コンベアベルト42bの側縁)からの延出部を下方から支持するもので、平面視して三角形形状をしている。側部支持プレート47a,47bは、それぞれ、搬送コンベア42の搬送方向MDの下流に向かうに連れて、搬送方向MDに直交する方向CDの外方から内方に近づくように傾斜した外側縁部48a,48bを有している。また、側部支持プレート47a,47bは、それぞれ、上流部41Uにおける搬送コンベア42の搬送面42uの両側縁に沿って延びる内側縁部49a,49bを有している。側部支持プレート47a,47bの上面は、上流部41Uにおける搬送面42uと同一平面を形成している。
【0027】
接着剤塗工部6は、転写部3において吸収性コア50が載置される前のコアラップシート51の中央領域51m上に接着剤を塗工する中央塗工装置6mと、中央領域51mを挟んでその両側に位置し、後に折り返し部において折り返されるコアラップシートの両側部51a,51bのそれぞれに、接着剤を塗工する側部塗工装置6a,6bを備えている。側部塗工装置6a,6bは、転写部3より上流側に配置するのに代えて、転写部3又は転写部3と折り返し部4との間に配置することもできる。中央塗工装置6mにより、接着剤を塗工した後に吸収性コア50を配置して、コアラップシート51と吸収性コア50とを接合することで、コアラップシート51と吸収性コア50との間に隙間が生じにくくなり、液吸収性に優れた吸収体5や、保形性に優れた吸収体5が得られる。接着剤塗工部6で塗工する接着剤としては、ホットメルト粘着剤などの各種公知の接着剤を用いることができる。また、接着剤は、一面全体に連続して塗工しても良いが、塗工部と非塗工部が混在した状態に形成されるパターン塗工が好ましい。パターン塗工の塗工パターンとしては、スパイラルパターン、ストライプパターン、ドットパターン等が挙げられる。
【0028】
折り返し部4においては、コンベアベルト42bの周回によって搬送される吸収性コア50及びコアラップシート51の搬送方向は、該折り返し部4の平面視においては、一方向のみであるが、該折り返し部4の側面視においては、二方向D1,D2になっている。詳細には、折り返し部4は、搬送方向の上流側に位置する上流部41Uと、搬送方向の下流側に位置する下流部41Dとでは、折り返し部4の側面視における搬送方向が相違している。上流部41Uは、コンベアベルト42bの一部及びサクションボックス(図示せず)の一部の他に、一対の側部支持プレート47a,47bを含んでいる。一方、下流部41Dは、コンベアベルト42bの一部及びサクションボックス(図示せず)の一部の他に、一対の折り返しガイド43a,43bを含んでいる。
【0029】
上流部41Uにおいては、吸収性コア50及びコアラップシート51は、概ね水平方向に搬送される。これに対して下流部41Dにおいては、搬送方向D2が、搬送方向D1に対して鉛直下方側に向かって傾斜するように変化する。すなわち、上流部41Uでのコアラップシート51の搬送方向に対して、下流部41Dでのコアラップシート51の搬送方向が、鉛直下方側に向かって傾斜するように変化する。ここでいう傾斜とは、
図6に示すとおり、搬送方向変更前のコアラップシート51のX1−Y1平面と、搬送方向変更後のコアラップシート51のX2−Y2平面とが交差する位置での直線Lが、搬送方向D1と直交するように、これらの平面が交差するような角度関係のことである。搬送方向の変更による傾斜角度θ(
図6参照)は、135度以上175度以下の範囲が好ましく、より好ましくは140度以上170度以下の範囲である。
【0030】
以上のとおりの構成を有する吸収体の製造装置1を用いて前述した吸収体5を製造するには、
図4に示すように、接着剤塗工部6において、コアラップシート51の中央領域51m及び該コアラップシート51における中央領域51mを挟む両側部51a,5bに、それぞれ接着剤を塗工した後、転写部3において、そのコアラップシート51の中央領域51m上に、積繊部2で形成した吸収性コア50を載置する。そして、その吸収性コア50を配置したコアラップシート51を、折り返し部4に導入して、コアラップシート51の一方の側部51aを、第1の折り返しガイド43aで折り返した後、他方の側部51bを、その一部が、折り返した一方の側部51a上に重なるように、第2の折り返しガイド43bで折り返す。これにより、吸収性コア50の両面がコアラップシート51により被覆された長尺状の吸収体5が得られる。吸収体5は、幅方向の中央部に、一方の側部51aと他方の側部51bとが重なっている重合部53を有している。長尺状の吸収体5は、そのまま、あるいは公知の切断装置7により、吸収性物品1枚分の長さに切断された後、使い捨ておむつ等の吸収性物品の製造ラインに送り込まれる。
【0031】
本実施形態の吸収体の製造方法によれば、
図3に示すように、コアラップシート51の先に折り返す一側部51aを折り返す第1の折り返しガイド43aの前記傾斜角度θ1を、後に折り返す他側部51bの折り返す第2の折り返しガイド43bの前記傾斜角度θ2よりも大きくしてあるため、
図1(a)及び(b)に示すように、コアラップシート51の一方の側部51aと他方の側部51bとの重なり幅W1が大きい吸収体5を製造する場合であっても、第1の折り返しガイド43aと第2の折り返しガイド43bとが重なる部分を無くすか大幅に縮小可能であり、コアラップシート51の後に折り返す方の側部51bの吸収性コア50側の面に、接着剤を塗工した場合であっても、該側部51bの接着剤が、第1の折り返しガイド43aに付着するのを防止しつつ、該側部51bを第2の折り返しガイド43bによりしっかりと折り返すことができ、搬送中のコアラップシート51の側縁を所望の位置で精度良く折り返すことができる。
なお、第2の折り返しガイド43bにより折り返す側部51bに塗工した接着剤が、第1の折り返しガイド43aに接触すると、第1の折り返しガイド43aが接着剤により汚染され、製造装置のメンテナンスに時間がかかる等の不都合が生じる。
【0032】
本発明の吸収体の製造方法で製造する吸収体は、コアラップシート51の一方の側部51aと他方の側部51bとの重なり幅W1〔
図1(a)参照〕、すなわち、重合部53の幅が、10mm以上であることが好ましく、15mm以上であることが更に好ましく、また50mm以下であることが好ましく、45mm以下であることが更に好ましく、また10mm以上50mm以下であることが好ましく、15mm以上45mm以下であることが更に好ましい。重合部53の幅W1がこの範囲であると、吸収体5の保形性が高まり、また吸収性コア50の形成材料の漏れ出しが防止される。
また、本発明の吸収体の製造方法で製造する吸収体は、コアラップシート51の一方の側部51aと他方の側部51bとの重なり幅W1〔
図1(a)参照〕が、該吸収体5の、搬送コンベアの搬送方向MDに直交する方向CDの最大長さW2〔
図1(a)参照〕の、6.9%以上45.5%以下であることが好ましく、13.8%以上36.4%以下であることが更に好ましい。
【0033】
第1の折り返しガイド43a等への接着剤の付着を防止する観点から、第1の折り返しガイド43aの前記傾斜角度θ1は、第2の折り返しガイド43bの前記傾斜角度θ2との差が、好ましくは1°以上、より好ましくは2°以上であり、また、好ましくは12°以下、より好ましくは11°以下であり、好ましくは1°以上12°以下、より好ましくは2°以上11°以下である。
また同様の観点から、第1の折り返しガイド43aの前記傾斜角度θ1は、好ましくは5°以上、より好ましくは6°以上であり、また、好ましくは15°以下、より好ましくは12°以下であり、好ましくは5°以上15°以下、より好ましくは6°以上12°以下である。また同様の観点から、第2の折り返しガイド43bの前記傾斜角度θ2は、第1の折り返しガイド43aの前記傾斜角度θ1よりも小さいことを条件として、好ましくは3°以上、より好ましくは4°以上であり、また、好ましくは12°以下、より好ましくは10°以下であり、好ましくは3°以上12°以下、より好ましくは4°以上10°以下である。
【0034】
本実施形態のように、第1の折り返しガイド43aの前記傾斜角度θ1を大きくすると、コアラップシート51の、搬送コンベア42の搬送面の側縁より外方に位置する部分に高いテンションが加わりやすくなり、それによって、折り返す前のコアラップシート51の側部51aが、
図3中の符号P1で示す付近において、接着剤の塗工面側に向かって断面円弧状にカールし易くなる。コアラップシート51の側部51aが大きくカールすると、該側部51aの接着剤塗工面どうしが接触して、コアラップシートの該側部51aが折れたまま折り返されて、重合部53の幅W1が不十分になる等の不都合が生じる。
【0035】
コアラップシート51の側部51aのカールを抑制する観点から、搬送コンベア42の搬送方向MDに沿う中央線CLを境にして第1の前記折り返しガイド43aと同じ側に位置する側部支持プレート47aの外側縁部48aは、搬送コンベア42の搬送面42aの側縁Sa(コンベアベルト42bの側縁)に対する傾斜角度θ3が、中央線CLを境にして第2の前記折り返しガイド43bと同じ側に位置する側部支持プレート47bの外側縁部48bの、搬送コンベア42の搬送面の側縁Sb(コンベアベルト42bの側縁)に対する傾斜角度θ4より大きいことが好ましい。
【0036】
同様の観点から、前記傾斜角度θ4と前記傾斜角度θ3との差は、好ましくは1°以上、より好ましくは2°以上であり、また、好ましくは15°以下、より好ましくは12°以下であり、好ましくは1°以上15°以下、より好ましくは2°以上12°以下である。
また、第1の前記折り返しガイド43aと同じ側に位置する側部支持プレート47aの外側縁部48aの前記傾斜角度θ3は、好ましくは0°以上、より好ましくは1°以上であり、また、好ましくは7°以下、より好ましくは6°以下であり、好ましくは0°以上7°以下、より好ましくは1°以上6°以下である。
また、第2の前記折り返しガイド43bと同じ側に位置する側部支持プレート47bの外側縁部48bの前記傾斜角度θ4は、好ましくは0°以上、より好ましくは1°以上であり、また、好ましくは15°以下、より好ましくは12°以下であり、好ましくは0°以上15°以下、より好ましくは1°以上12°以下である。
【0037】
第1の前記折り返しガイド43aと同じ側に位置する側部支持プレート47aの外側縁部48aの前記傾斜角度θ3が、中央線CLを境にして第2の前記折り返しガイド43bと同じ側に位置する側部支持プレート47bの外側縁部48bの前記傾斜角度θ4より大きいと、前述したカールが生じにくくなる一方、前記上流部41Uと前記下流部41Dとの境界部付近における搬送コンベアの両側縁からの延出部に、シワが生じることがある。このようなシワを防止する観点から、
図3に示すように、搬送コンベア42の搬送方向MDにおける、第1の折り返しガイド43aの内方延出部45の上流側の端部よりも上流側に、搬送面42aの側部に設けられ且つ搬送コンベアの搬送面42a、特に上流部41Uにおける該コンベアの搬送面42aより上方に突出するタック当接プレート部55を有していることが好ましい。本実施形態においては、タック当接プレート部55は、第1の折り返しガイド43aに設けられている。すなわち、第1の折り返しガイド43aとタック当接プレート部55とは一体の部材となっており、タック当接プレート部55は、第1の折り返しガイド43aの内方延出部45の上流側の端部45cより上流側に延出し且つ搬送コンベアの搬送面42a、特に上流部41Uにおける該コンベアの搬送面42aより上方に突出している。
【0038】
タック当接プレート部55は、搬送コンベアの側縁の位置付近において、コアラップシート51の下面から当接して、発生するシワの高さ以上に合わせてコアラップシート51の下面から沿わせることにより、吸収体端部50aにシワが入ったまま折り返されることを防止することで、所望の重合部53の幅W1を維持するものである。
図3に示すタック当接プレート部55は、第1の折り返しガイド43aの側壁部44と同じ板厚であり、タック当接プレート部55の上縁部の搬送面からの高さは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましい。
また、タック当接プレート部55は、コアラップシート51に接触する部位である、搬送方向上流側の端部の上端部が側面視において円弧状に形成されていることが好ましい。当該部位の曲率半径は、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは1mm以上である。
【0039】
また、前述したコアラップシート51の側部51aのカールを防止又は抑制する観点から、シートの折り返し装置41は、搬送コンベア42の搬送方向MDにおける、第1の折り返しガイド43aの内方延出部45の上流側の端部45uと、搬送コンベア42の搬送方向MDに沿う中央線CLを境にして第1の折り返しガイド43aと同じ側に位置する側部支持プレート47aの上流側の端部47uとの間に、コアラップシート51における、搬送コンベア42の搬送面42aの側縁Sa(コンベアベルト42bの側縁)から側部51aが、第1の前記折り返しガイド43aによるシートの折り返し方向にカールすることを抑制するカール抑制手段8を備えることが好ましい。
カール抑制手段8は、第1の折り返しガイド43aの内方延出部45の上流側の端部45uと、前記中央線CLを境にして第1の前記折り返しガイド43aと同じ側に位置する側部支持プレート47aとの間に位置することが更に好ましい。
【0040】
また、コアラップシート51の側部51aのカールをより確実に防止又は抑制する観点から、カール抑制手段8として、該シート51の側部51aを、第1の折り返しガイド43aによるシートの折り返し方向とは逆向きにシートを反らせる手段を備えることが好ましい。
ここで、シートの折り返し方向とは、第1の折り返しガイド43aによりコアラップシート51の側部51aを折り返す際のコアラップシートの折り返し方向であり、
図7中の矢印A方向である。これに対して、折り返し方向とは逆向きにとは、
図7中の矢印B方向であり、「逆向きにシートを反らせる」とは、側部51aどうしが接触しないように、矢印A側、すなわち搬送面42aに接触する面とは反対側の面が凸となるように外力を付加することを意味する。
【0041】
前記のカール抑制手段又は前記の逆向きにシートを反らせる手段としては、例えば、
図8(a)に示すエアー噴射機構8のように、コアラップシート51の側部51aの縁部付近に対して、該シート51における、搬送面42aに接触する面とは反対側の面側から気体81を吹き付ける非接触式の手段を用いることが、該側部51aの吸収性コア50に対向する面に接着剤を塗工してあっても、該手段に接着剤が付着しない点等から好ましい。
図8(a)中、82は気体噴射ノズル82である。気体81としては、圧搾空気や窒素等を用いることができ、接着剤を冷やさないために加温した気体81を用いることもできる。また、前記のカール抑制手段又は前記の逆向きにシートを反らせる手段としては、
図8(b)に示すように、コアラップシート51の側部51aの幅方向の中央領域に対して、該シート51における、搬送面42aに接触する面に接触する接触式のガイド83を用いることが、同様の観点から好ましい。
図8(b)に示すガイド83は、金属製の棒状体を、図示の形態に折り曲げて形成されている。また、前記のカール抑制手段又は前記の逆向きにシートを反らせる手段として、コアラップシート51の側部51aの幅方向の中央領域に対して、該シート51における、搬送面42aに接触する面側から気体81を吹き付ける非接触式の手段を用いることもできる。
【0042】
本発明で製造される吸収体5は、吸収性物品の吸収体として好ましく用いられる。吸収性物品は、主として尿、経血等の身体から排泄される体液を吸収保持するために用いられるものである。吸収性物品には、例えば使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド、パンティライナー等が包含されるが、これらに限定されるものではなく、人体から排出される液の吸収に用いられる物品を広く包含する。
【0043】
吸収性物品は、典型的には、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を具備している。裏面シートは水蒸気透過性を有していても有しなくても良い。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。例えば吸収性物品を使い捨ておむつ、生理用ナプキンに適用する場合には、着用者の前後方向と一致する長手方向の両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
【0044】
吸収体の形成材料である繊維材料及び高吸収性ポリマーとしては、従来、生理用ナプキンやパンティライナー、使い捨ておむつ等の吸収性物品の吸収体に用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。例えば、パルプ繊維、レーヨン繊維、コットン繊維等のセルロース系繊維の短繊維や、ポリエチレン等の合成繊維の短繊維等が用いられる。これらの繊維は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ダクト内には、繊維材料以外に、消臭剤や抗菌剤等を必要に応じ供給してよい。また、高吸収性ポリマーは、供給しても供給しなくても良い。
【0045】
高吸収性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。繊維及び吸水性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
以上、本発明のシートの折り返し装置及び吸収体の製造方法の一実施態様について説明したが、本発明は、上述した実施形態に制限されず、それぞれ適宜変更可能である。
例えば、
図1に示す吸収体の製造装置の回転ドラムにおいては、吸収性物品1個分の吸収体を形成する集積用凹部が、回転ドラムの周方向に間隔を開けて複数形成されていたが、これに代えて、周方向に連続する集積用凹部を備えた回転ドラムを用い、吸収性物品複数個分の吸収性コアが連なった構成の帯状吸収体を製造しても良い。
また、上述した実施態様においては、解繊パルプを繊維材料とする吸収性コアを用いたが、これに限らず、不織布などの繊維状シートに高吸収性ポリマーを担持させたポリマーシートを用いても良い。
【0047】
また、上述した実施態様においては、折り返し工程の前に、コアラップシート51の、第1の折り返しガイドにより折り返される側部51a及び第2の折り返しガイドにより折り返される側部51bの両方における、前記吸収性コア側に向けられる面に接着剤を塗工したが、第1の折り返しガイドにより折り返される側部51a及び第2の折り返しガイドにより折り返される側部51bの何れか一方のみに接着剤を塗工しても良い。またコアラップシート51の中央領域51にも、接着剤を塗工したが、該接着剤を省略することもできる。
【0048】
また、上述した実施形態においては、吸収性コアとして、吸収性コアの長手方向中央部に吸収性コアの幅が減少した括れ部を有するものを製造したが、吸収性コアは、長手方向の全長に亘って幅が均一であるものであっても良い。また、回転ドラムの周方向に連続する帯状の集積用凹部を形成し、搬送方向に連続する長尺状の吸収性コアを含む吸収体を製造することもできる。
また、シートの折り返し装置は、吸収性物品の吸収体を構成するコアラップシートに代えて、使い捨ておむつ、生理用ナプキン、失禁パッド等の吸収性物品におけるコアラップシート以外のシートの折り返しに適用することもできる。
【0049】
なお、第1の折り返しガイド43aと第2の折り返しガイド43bとで、折り返し開始位置を大きくずらすことができない理由は、搬送方向の上流側に位置する上流部41Uと、搬送方向の下流側に位置する下流部41Dとでは、折り返し部4の側面視における搬送方向が相違させてあり、その搬送方向を変える角度変化部からの折り返し開始部位までの距離を、第1の折り返しガイド43aと第2の折り返しガイド43bとで大きく異ならせることができないためである。