【文献】
Arthritis Res. Ther., 2005, Vol.7, No.3, pp.R625-R633
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ネリドロン酸またはその塩が、25〜400mgの用量で、投与とその次の投与との間を少なくとも1日間あけて少なくとも2回静脈内投与される、請求項7に記載の医薬組成物。
前記ネリドロン酸またはその塩が、50〜200mgの用量で、5〜15日間にわたって、投与とその次の投与との間を少なくとも1日間あけて少なくとも2回静脈内投与される、請求項8に記載の医薬組成物。
ネリドロン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸およびクエン酸ナトリウムを含むか、または、ネリドロン酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび重炭酸ナトリウムを含む、静脈内投与される、請求項7に記載の医薬組成物。
【背景技術】
【0002】
変形性関節症(OA)は、高血圧とともに、50歳以上の集団で最も有病率の高い疾患であり、最も多くみられる原因が慢性的な障害である。前記疾患の疫学的重要性を考慮すると、現在のところ、疾患経過を改善し、関節損傷の解剖学的進行を遅延/停止できる有効な治療戦略は認められていない。
【0003】
したがって、現在追求することができる治療目標は、それに関連する疼痛症状および機能的欠損の軽減のみを目的としている。
【0004】
これまでに発表された、いくつかのガイドラインとコンセンサス文書(非特許文献1)にもかかわらず、関節炎患者の疼痛症状の臨床的管理における最適な戦略はまだ一致していない。このことは様々な複雑な状況に起因する:1つ目は、通常、患者の障害の程度に恒久的に影響を及ぼしうる持続的な数週間/数か月間の強い疼痛の再発の可能性を伴って時間と共に流動するという関節炎痛の典型的な特徴のためである。2つ目は、物理的(非薬理学的)、薬理学的(関節内および全身)または外科的療法のどれに基づくかには関わらず、提案された数多くの治療手段のためである。
【0005】
現時点では、関節を守る戦略(機能的制限および支える関節にかかる体重の減少)として理解され、特定のツール(支持具、副木、カナディアンスティック)の使用を含みうる非薬理学的手段および運動療法的手段(特定のリハビリテーションによる筋肉の緊張/栄養状態および関節可動性の維持)は、疼痛の症状に対する適度な影響に明らかな限界があるにもかかわらず、最も一致した治療戦略であることが判っている。同様に、放射線または超音波の局所への適用などの他の器械的物理療法は、万能な効果がなく、とりわけ、下肢(腰と膝)の大きな関節などの関節炎によって高い頻度で影響される関節部位レベルでの効果が低い。
【0006】
外科的手段は、深刻な解剖学的損傷を受けた関節の可能な人工関節置換などの予防戦略(変化した負荷を引き起こす解剖学的欠陥の補正)または根本的戦略を単に目的としている。
【0007】
薬理学的戦略は、関節炎の疼痛管理に一般的にそして広く使用される戦略である。これらの条件で、慢性または長期治療のあらゆる場合における要求、患者の年齢ならびに幾つもの他の疾患および関連治療の存在は、臨床医が体系的に対処しなければならない障壁を示す。最も慎重な手段は、慢性疼痛症状(すなわち、患者が毎日経験する軽度の疼痛)を治療するために通常処方される投薬量で使用される場合の調整されたリスク・ベネフィットプロファイルを示すパラセタモールなどの軽い鎮痛剤の使用であるが、一方、中等度/高度な関節炎の疼痛の治療に対してはあまり効果的ではない。逆に、主要な鎮痛剤(オピオイド)、すなわち、より強力な鎮痛効果を有するものは、高齢患者において観察される有害事象の割合が高いために使用が困難である。
【0008】
非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用は、高齢患者での継続的使用の必要性に関連する忍容制限、すなわち、従来のNSAIDの消化器副作用および次世代NSAID(例えば、コキシブ系)に関する心臓血管の有害事象のリスクの影響を受ける。
【0009】
同様に、高用量または高頻度で投与された場合のその軟骨代謝の可能性によるコルチゾン誘導体の使用、および、疼痛症状の治療、特に急性の疼痛の猛襲の治療に実質的な利益を提供できないヒアルロン酸の使用に関しての両方において、薬物の関節内投与の広く一致したコンセンサスが今日までない。
【0010】
最後に、ビスホスホネート(略して「BP」)の潜在的な治療的役割もまた検討されている。
【0011】
閉経後の骨粗鬆症の治療において投与されるいくつかのBPを記録したデータのみに基づいて、実際に変形性関節症における可能性のある効果の遡及的評価のみを含む多数の試験がこの対象において発表されている。BPは、骨代謝の変化を特徴とする閉経後の骨粗鬆症および他の骨格障害の治療に広くかつ特異的に使用されている薬物の種類である。
【0012】
変形性関節症の解剖学的進行に対するいくつかのBPの前記の潜在的な治療的役割を評価するために実施された様々な前向き試験の中で、特に、Bingham CO(非特許文献2)およびSpector TDら(非特許文献3)によって実施されたアミノビスホスホネートであるリセドロネートに関する試験が重要であるが、この点に関しては肯定的な結果をもたらさなかった。実際、前記試験の著者によると、疼痛症状の治療の有効性の点で、BPで治療された患者群とプラセボで治療された患者群との間で、試験した用量(5,15,35および50mg)のいずれでも差を認めることができなかった。
【0013】
特に、Spector TDらは、治療から1年後のリセドロネートの効果について得られた予備的な臨床データは、2年間の治療に延長されたその後の試験において、再現および確認されなかったことを指摘している。
【0014】
したがって、OAの治療、特にOAに罹患した患者の疼痛症状および身体障害の治療におけるBP、特にアミノビスホスホネートの治療的使用の可能性でさえ、実行可能な戦略のようではない。
【発明を実施するための形態】
【0025】
したがって、本発明は、変形性関節症(略して「OA」)の治療に用いるネリドロン酸またはその塩に関する。
【0026】
特に、以下に示す実施例からも明らかなように、ネリドロン酸またはその塩は、疼痛および身体障害などの変形性関節症の症状ならびに軟骨下骨髄病変の大きさを有意に減少できることが示された。
【0027】
したがって、驚くべきことに、ネリドロン酸またはその塩は、それに起因する軽度、中等度または重度の症状、特に中等度または重度の症状を緩和することによって変形性関節症をうまく治療できることが判明した。
【0028】
ネリドロン酸またはその塩は、変形性関節症、特に腰、膝または手、特に膝のOAを罹患した患者において、軽度、中等度または重度の疼痛症状をうまく治療できることが示された。
【0029】
さらに驚くべきことに、ネリドロン酸またはその塩が、関節の硬直を緩和し、可動性および身体機能を改善することによって、変形性関節症をうまく治療できることが示された。
【0030】
特に、ネリドロン酸またはその塩は、腰、膝または手、特に膝のOAに罹患した患者の可動性および身体機能を改善することによって関節の硬直をうまく治療できることが示された。
【0031】
以下に示す実施例から明らかなように、ネリドロン酸またはその塩は、OA患者の疼痛強度および関節の硬直を有意に低下させ、治療の終了から50日以上経過しても可動性および身体機能を有利に改善していることが示された。
【0032】
ネリドロン酸またはその塩は、急性の疼痛の猛襲の間のOA患者の疼痛を治療できることがさらに判明した。
【0033】
事実、驚くべきことに、ネリドロン酸またはその塩が、関節炎の疼痛症状に関連する骨髄病変の大きさおよび範囲を減少できることが判明した。
【0034】
以下の実施例は、ネリドロン酸またはその塩が、核磁気共鳴(NMR)によって検出可能な軟骨下骨髄病変のパターンをうまく改善できることを示す。
【0035】
本発明の目的では、用語「ネリドロン酸またはその塩」は、全ての多形相、非晶質および結晶質の両方、ならびに共結晶および無水、水和および溶媒の形態を含むと理解される。
【0036】
好ましくは、前記ネリドロン酸は塩の形態である。前記ネリドロン酸塩は、ネリドロン酸ナトリウムまたはネリドロン酸カリウムなどのアルカリまたはアルカリ土類金属のネリドロン酸塩、ネリドロン酸の第4級アンモニウム塩またはそれらの混合物である。
【0037】
好ましい実施態様において、前記ネリドロン酸塩は、ネリドロン酸ナトリウムである。
ネリドロン酸またはその塩は、好ましくは10〜500mgの用量で投与される。
前記ネリドロン酸またはその塩は、経口、筋肉内、静脈内、関節内、経皮、皮下または局所投与できる。
好ましくは、前記ネリドロン酸またはその塩は、静脈内投与される。
【0038】
ネリドロン酸またはその塩は、好ましくは25〜400mgの用量で静脈内投与される。より好ましくは、前記ネリドロン酸またはその塩は、投与とその次の投与との間を少なくとも1日間あけて少なくとも2回投与される。
【0039】
本発明の目的では、「日」という用語は、24±2時間の期間を意味する。したがって、前記ネリドロン酸またはその塩は、毎日の投与、隔日投与または少なくとも2〜3日おき、およびそれを超えた日数おきの投与を含む投与レジメンに従って使用することができる。
【0040】
好ましくは、前記ネリドロン酸またはその塩は、50〜200mgの用量で、5〜15日間にわたって少なくとも2回、投与とその次の投与との間を少なくとも1日間あけて静脈内投与される。
【0041】
好ましい実施形態では、前記ネリドロン酸またはその塩は、50〜200mgの用量で5〜15日間にわたって少なくとも3回、投与とその次の投与の間を少なくとも2日間あけて静脈内投与される。
【0042】
他の好ましい実施形態では、前記ネリドロン酸またはその塩は、70〜150mgの用量で8〜12日間にわたって4回、投与とその次の投与との間を2日間あけて静脈内投与される。
【0043】
あるいは、前記ネリドロン酸またはその塩は、70〜150mgの用量で8〜12日間にわたって4回、投与とその次の投与との間を3日間あけて静脈内投与される。
【0044】
最も好ましい態様において、前記ネリドロン酸またはその塩は、投与とその次の投与との間を3日間あけて、90〜110mgの用量で10日間にわたって4回静脈内投与される。
【0045】
さらにより好ましい実施形態では、前記ネリドロン酸は、ナトリウム塩(ネリドロン酸ナトリウム)の形態であり、90〜110mgの用量で、投与とその次の投与との間を3日間あけて、10日間の期間にわたって4回静脈内に投与される。
【0046】
さらにより好ましい実施形態では、ナトリウム塩の形態のネリドロン酸(ネリドロン酸ナトリウム)は、100mgのネリドロン酸の用量で、投与およびその次の投与との間を3日間あけて10日間にわたって4回静脈内投与される。このようにして、静脈内投与は治療の1,4,7および10日目に実施できる。
【0047】
以下の実施例から見て取れるように、無作為化比較試験の結果は、OA患者の治療にネリドロン酸ナトリウムを効果的に使用できることを示した。特に当該試験結果は、OA患者の軽度、中等度または重度の疼痛症状を軽減するために、より具体的には中等度または重度の症状を軽減するためにネリドロン酸ナトリウムを効果的に使用できることを示した。
【0048】
特に、ネリドロン酸ナトリウムは、投与前VAS値が30mm以上のOA患者の疼痛症状を軽減するために効果的に使用できる。
【0049】
特に、ネリドロン酸ナトリウムを静脈内投与する治療は、OA患者を治療するために、特にOA患者の軽度、中等度または重度の疼痛症状を軽減するために、効果的に使用できる。
【0050】
特に当該試験は、ネリドロン酸ナトリウムを静脈内投与する治療が、膝にOA症状を有する患者の疼痛強度を軽減することを実証した。
【0051】
また、当該試験は、ネリドロン酸ナトリウムを投与された患者では、プラセボのみを投与された患者と比較して、BMLの大きさおよび範囲が有意に減少したことを実証した。すなわち、ネリドロン酸ナトリウムは骨髄病変の範囲を減少させるので、急性の疼痛の猛襲を受けたOA患者の治療に有効に使用することができる。
【0052】
さらに、当該試験は、ネリドロン酸ナトリウムによるOA患者の治療が、効果的かつ持続的な対症療法を可能にし、治療の終了後50日以上経過した後でさえ、それによる疼痛のコントロールを可能にすることを実証した。
【0053】
したがって、変形性関節症の治療、特にOA患者の軽度、中等度または重度の疼痛症状の治療において、本発明が達成する有利な結果は明らかであり、特にこれらの結果は、BP、特にリセドロネートなどのアミノビスホスホネートに関連する先行技術に照らして予測できないものであった。
【0054】
好ましい態様において、前記ネリドロン酸またはその塩は、ネリドロン酸またはその塩の水溶液の形態である。前記水溶液は、好ましくは等張性または低張性であり、さらに好ましくは低張性である。
【0055】
前記ネリドロン酸またはその塩は、さらに好ましくは、バイアルまたはボトル、好ましくはガラスのバイアルまたはボトルの中で1〜10mlの水溶液を含む投与単位として存在する。好ましくは、前記投与単位は、バイアルまたはボトル中で2、5また8mlの水溶液を含む。
【0056】
好ましくは、前記投与単位は、70〜150mgのネリドロン酸またはその塩を含む。
特に好ましい実施形態では、前記投与単位は100mgのネリドロン酸を含むか、または100mgのネリドロン酸に相当する量のその塩を含む。
【0057】
したがって、そのさらなる態様では、また本発明は変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸またはその塩を含む静脈内投与のためのバイアルまたはボトルにも関する。
好ましくは、前記バイアルまたはボトルは、70〜150mgの投与単位のネリドロン酸またはその塩を含む。
【0058】
より好ましくは、前記バイアルまたはボトルは、100mgのネリドロン酸を含むか、または100mgのネリドロン酸に相当する量のその塩を含む。
有利には、前記バイアルまたはボトルは、すぐに使用できる形態である。
【0059】
別の態様において、本発明は、変形性関節症の治療に使用する前記ネリドロン酸またはその塩を含む医薬組成物および経口、筋肉内、静脈内、関節内、経皮、皮下または局所投与のための医薬的に許容される賦形剤に関する。
【0060】
特に、前記ネリドロン酸またはその塩を含む前記医薬組成物および経口、筋肉内、静脈内、関節内、経皮、皮下または局所投与のための医薬的に許容される賦形剤は、腰、膝または手の変形性関節症の治療に使用され、好ましくは、膝の変形性関節症の治療に使用される。
【0061】
好ましくは、前記医薬組成物は静脈内投与され、変形性関節症の治療に用いる前記ネリドロン酸またはその塩、および静脈内投与のための薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0062】
静脈内投与に適した薬学的に許容される賦形剤は、例えば、pH調節剤、等張性調節剤、安定剤、キレート剤、防腐剤および抗酸化剤である。
【0063】
好ましいpH調節剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸およびその塩であり、さらに好ましくはクエン酸およびクエン酸ナトリウム(クエン酸緩衝液)および重炭酸ナトリウムである。
【0064】
等張性調整剤の中では、塩化ナトリウムが好ましい。
安定剤の中では、マンニトール、デキストランまたはそれらの混合物が好ましい。
キレート剤の中では、EDTAまたはその塩、例えばEDTAナトリウムが好ましい。
抗酸化剤の中では、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムが好ましい。
防腐剤の中では、ベンジルアルコール、メチルパラベンおよびプロピルパラベンが好ましい。
【0065】
好ましい実施形態において、静脈内に投与される前記医薬組成物は、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウム、クエン酸緩衝液および塩化ナトリウムを含む。
【0066】
別の好ましい実施形態では、静脈内に投与される前記医薬組成物は、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含む。
【0067】
他の好ましい実施形態では、静脈内に投与される前記医薬組成物において、前記ネリドロン酸またはその塩は、変形性関節症の治療に使用される単一の有効成分である。
【0068】
あるいは、静脈内投与される前記医薬組成物は、変形性関節症の治療に用いる前記ネリドロン酸またはその塩、および静脈内投与のための薬学的に許容される賦形剤からなる。
【0069】
好ましくは、その医薬組成物は水溶液の形態である。前記水溶液は、好ましくは等張性または低張性であり、さらに好ましくは低張性である。前記医薬組成物は、さらに好ましくは、バイアルまたはボトル、好ましくはガラスのバイアルまたはボトルの中に1〜10mlの水溶液を含む投与単位として存在する。好ましくは、前記投与単位は、バイアルまたはボトルの中に2,5または8mlの水溶液を含む。
【0070】
好ましくは、前記投与単位は、70〜150mgのネリドロン酸またはその塩を含む。
特に好ましい実施形態では、前記投与単位は、100mgのネリドロン酸を含むか、または100mgのネリドロン酸に相当する量のその塩を含む。
【0071】
さらなる態様では、したがって本発明は、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸またはその塩を含む静脈内投与用バイアルまたはボトルにも関する。
【0072】
好ましくは、前記バイアルまたはボトルは、70〜150mgのネリドロン酸またはその塩の投与単位を含む。
より好ましくは、前記バイアルまたはボトルは、100mgのネリドロン酸を含むか、または100mgのネリドロン酸に相当する量のその塩を含む。
有利には、前記バイアルまたはボトルはすぐに使用できる形態である。
好ましくは、前記ネリドロン酸またはその塩は、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウムである。
より好ましくは、前記バイアルまたはボトルは、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウムの静脈内投与用である。
【0073】
あるいは、前記ネリドロン酸またはその塩は、筋肉内投与される。
ネリドロン酸またはその塩は、好ましくは10〜100mgの用量で筋肉内に投与される。
【0074】
好ましくは、前記ネリドロン酸またはその塩は、15〜50mgの用量、より好ましくは25mgの用量のネリドロン酸またはそれに相当する用量のその塩、好ましくはネリドロン酸ナトリウムで筋肉内投与される。
特に好ましい実施形態では、前記ネリドロン酸またはその塩は、15〜50mgの用量で、1〜30日間にわたって1〜20回、筋肉内に投与されるネリドロン酸ナトリウムである。
【0075】
最も好ましい態様において、前記ネリドロン酸またはその塩は、25mgの用量のネリドロン酸で、1〜16日間にわたって1〜16回、筋肉内投与されるネリドロン酸ナトリウムである。
【0076】
さらに別の態様では、本発明は、筋肉内投与され、変形性関節症の治療に用いる前記ネリドロン酸またはその塩および、筋肉内投与のための薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0077】
筋肉内投与に適した薬学的に許容される賦形剤は、例えば、pH調節剤、等張性調節剤、安定剤、キレート剤、防腐剤および抗酸化剤である。
【0078】
好ましいpH調節剤は、クエン酸、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、リン酸およびそれらの塩であり、さらに好ましくはクエン酸およびクエン酸ナトリウム(クエン酸緩衝液)および重炭酸ナトリウムである。
【0079】
等張性調節剤の中では、塩化ナトリウムが好ましい。
安定剤の中では、マンニトール、デキストランまたはそれらの混合物が好ましい。
キレート剤の中では、EDTAまたはその塩、例えばEDTAナトリウムが好ましい。
【0080】
抗酸化剤の中では、メタ重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムが好ましい。
【0081】
防腐剤の中では、ベンジルアルコール、メチルパラベンおよびプロピルパラベンが好ましい。
【0082】
好ましい実施形態では、筋肉内に投与される前記医薬組成物は、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウム、クエン酸緩衝液および塩化ナトリウムを含む。
【0083】
別の好ましい実施形態では、筋肉内に投与される前記医薬組成物は、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムおよび塩化ナトリウムを含む。
【0084】
他の好ましい実施形態では、筋肉内投与される前記医薬組成物において、前記ネリドロン酸またはその塩は、変形性関節症の治療に使用するために存在する単一の有効成分である。
【0085】
あるいは、筋肉内に投与される前記医薬組成物は、変形性関節症の治療に用いる前記ネリドロン酸またはその塩、および筋肉内投与用の薬学的に許容される賦形剤からなる。
【0086】
好ましくは、医薬組成物は、ネリドロン酸またはその塩の水溶液の形態である。前記水溶液は、好ましくは等張性または低張性であり、さらに好ましくは低張性である。
【0087】
前記医薬組成物は、さらに好ましくは、バイアルまたはボトル、好ましくはガラスのバイアルまたはボトルの中に1〜10mlの水溶液を含む投与単位として存在する。好ましくは、前記投与単位は、バイアルまたはボトルの中に2、5または8mlの水溶液を含む。
【0088】
好ましくは、前記投与単位は、10〜100mgのネリドロン酸またはその塩を含む。
特に好ましい実施形態では、前記投与単位は、25mgのネリドロン酸を含むか、または25mgのネリドロン酸に相当する量のその塩を含む。
【0089】
したがって、別の態様によれば、本発明は変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸またはその塩を含む筋肉内投与のためのバイアルまたはボトルにも関する。
有利には、前記バイアルまたはボトルはすぐに使用できる形態である。
【0090】
好ましくは、前記ネリドロン酸またはその塩は、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウムである。
より好ましくは、前記バイアルまたはボトルは、変形性関節症の治療に使用するネリドロン酸ナトリウムの筋肉内投与用である。
あるいは、前記ネリドロン酸またはその塩は、経口または舌下投与される。
【0091】
さらに別の態様では、本発明は、経口または舌下で投与され、変形性関節症の治療に用いる前記ネリドロン酸またはその塩、経口または舌下投与のための薬学的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。
【0092】
経口または舌下投与のための適切な薬学的に許容される賦形剤は、例えば、天然デンプン、部分加水分解デンプン、ラクトース、グルコース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよびその誘導体、微結晶セルロースおよびその誘導体、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、マルトデキストリン、ゼラチン、トラガカントゴム、アラビアゴム、キサンタンガム、タルク、シリカ、コロイダルシリカ、沈降シリカ、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム、メタクリレートコポリマーおよびこれらの混合物である。
【0093】
経口または舌下投与用の前記組成物は、粉末、カプセル、錠剤、ミニ錠剤、マイクロ錠剤、顆粒、微粒子、ペレット、多粒子(multi−particulate)または微粉化粒子の形態であってもよい。あるいは、液体形態、すなわち、適切な薬学的に許容される溶媒を用いた溶液、分散液または懸濁液でもよい。
【0094】
上記の全ての医薬組成物は、投与経路に応じて、当技術分野で公知の方法を用いて調製することができる。
【0095】
また以下のステップを含む変形性関節症を治療する方法を記載する:
i)ネリドロン酸またはその塩を提供するステップ;
ii)変形性関節症に罹患している患者に、治療有効量の前記ネリドロン酸またはその塩を投与するステップ。
【0096】
上述のように、ステップi)では、前記ネリドロン酸またはその塩は、ネリドロン酸またはその塩の水溶液の形態であってもよい。
【0097】
好ましくは、前記ネリドロン酸またはその塩は、バイアルまたはボトルの中に1〜10mlの水溶液を含む投与単位として提供される。
【0098】
ネリドロン酸またはその塩を使用する上記の有利かつ好適な態様の全ては、有利かつ好適なものとして同様に理解される。
特に、前記方法は、変形性関節症の患者の変形性関節症の疼痛症状を緩和することができる。
【0099】
好ましくは、ステップii)では、変形性関節症に罹患している患者へのネリドロン酸またはその塩の治療有効量の投与は、変形性関節症を原因とする軽度、中等度または重度の症状、特に中等度または重度の症状を緩和する。
【0100】
特に前記投与は、腰、膝または手、特に膝の変形性関節症に罹患している患者では、軽度、中等度または重度の疼痛症状を緩和する。
特に前記投与は、治療前VASが30mm以上のOA患者の疼痛症状を効果的に軽減する。
【0101】
有利には、前記投与は、関節の硬直を緩和し、患者の可動性および身体機能を改善する。
【0102】
ネリドロン酸またはその塩の投与は、OA患者の疼痛強度および関節の硬直を軽減し、治療終了後50日以上経過した後でさえ、可動性および身体機能を有利に改善する。
【0103】
より好ましくは、前記投与は、急性の疼痛の猛襲の間のOA患者の疼痛を緩和する。
【0104】
またネリドロン酸またはその塩の投与は、関節炎(特に膝のOAの場合)に起因する疼痛症状に関連する骨髄病変の大きさおよび範囲を減少させる。
【0105】
また以下のステップを含む変形性関節症を治療する方法を記載する:
i)上記のネリドロン酸またはその塩を含む医薬組成物を提供するステップ;
ii)変形性関節症に罹患している患者に、治療有効量の前記医薬組成物を投与するステップ。
【0106】
上記のように、ステップi)では、前記医薬組成物はネリドロン酸またはその塩の水溶液の形態であってもよい。
【0107】
好ましくは、前記薬学的組成物は、バイアルまたはボトルの中に1〜10mlのネリドロン酸またはその塩の水溶液を含む投与単位として提供される。
【0108】
ネリドロン酸またはその塩の医薬組成物ための上記の有利かつ好ましい態様の全ては、有利かつ好ましいものとして同様に理解される。
【0109】
特に、前記方法は、変形性関節症の患者の変形性関節症の疼痛症状を緩和することができる。
【0110】
好ましくは、変形性関節症に罹患している患者への治療有効量のネリドロン酸またはその塩の医薬組成物の投与は、変形性関節症を原因とする軽度、中等度または重度の症状、特に、中等度または重度の症状を緩和する。
【0111】
特に、前記投与は、腰、膝または手の変形性関節症、特に膝の変形性関節症に罹患している患者の軽度、中等度または重度の疼痛症状を緩和する。
特に前記投与は、治療前VASが30mm以上のOA患者の疼痛症状を効果的に軽減する。
【0112】
有利には、前記投与は、関節の硬直を緩和し、患者の可動性および身体機能を改善する。
【0113】
ネリドロン酸またはその塩の医薬組成物の投与は、OA患者の疼痛強度と関節の硬直を軽減し、治療終了後50日以上経過した後でさえ、有利に可動性および身体機能を改善する。
より好ましくは、前記投与は、急性の疼痛の猛襲の間のOA患者の疼痛を緩和する。
【0114】
またネリドロン酸またはその塩の医薬組成物の投与は、関節炎(特に、膝のOAの場合)に起因する疼痛症状に関連する骨髄病変の大きさおよび範囲を減少させる。
【0115】
ネリドロン酸またはその塩の使用に好ましく、また有利であると特定された態様の全ては、医薬組成物、バイアル、ボトル、投与単位およびそれらの各用途ならびに変形性関節症の治療方法についても同様に好ましく、また有利であると判断されると理解される。
【0116】
ネリドロン酸またはその塩、医薬組成物、バイアル、ボトル、投与単位の使用およびそれらの各使用ならびに上記変形性関節症を治療する方法の好ましい態様の組み合わせの全てもまた記載されていると、さらに理解される。
【0117】
以下に、本発明の実施例を例示のために提供する。
【実施例】
【0118】
この無作為化二重盲検プラセボ対照試験の目的は、急性の疼痛を伴う変形性膝関節症(OA)患者の疼痛管理におけるネリドロン酸塩の静脈内投与の有効性を評価することであった。
【0119】
患者
2013年3月から2014年1月までに、最近、膝の疼痛を発症した96名の50歳を超える患者をスクリーニングした。これらの患者は、整形外科およびリウマチ外来患者施設、ならびに、骨および関節疾患を扱う三次医療センターの救急部から集まった。68名の患者が、以下の選択基準を満たしたときに採用の資格があると判断された。
1)米国リウマチ学会の診断基準を満たす膝OA;
2)脛骨大腿骨関節のX線写真の2以上のKellgren−Lawrence分類スコア;
3)3カ月以内に発症し、少なくとも2週間継続する膝の疼痛;
4)0(疼痛なし)から100mm(最大の疼痛)の範囲のハスキソンのvisual analog scale(VAS)において30mmを超える疼痛強度;
5)大きいBML(国際基準で1cmを超える)を示す膝のMRスキャン。
【0120】
除外基準は、炎症性または代謝性疾患の存在に関連した:所定の検査値異常の存在(高カルシウム血症およびBPを静脈内投与された患者の有害事象のリスクを増加させる変化の可能性がある糸球体濾過率を含む);BPを用いた前治療;MRIスキャンによる有意な関節滲出の兆候、骨壊死および/または滑液包炎もしくは腱炎の徴候を示唆する軟骨下骨結合プロファイルにおける形態学的変化;特定の外傷事象に関連する疼痛の発症。
【0121】
採用時点で、68名中58名(85.3%)が過去3ヵ月間に疼痛を抑えるために薬物を服用中または服用していた。試験期間を通じて、鎮痛剤または非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を服用しないように患者に要請した。全ての患者から書面による同意を得た。試験を実施した病院の倫理委員会によって試験は承認された。
【0122】
試験デザイン
登録後、患者は1:1の比率で無作為に選ばれ、同じ外観のバイアル中のプラセボまたはネリドロン酸ナトリウム(Abiogen、ピサ、イタリア)100mg/8mlが与えられた。ネリドロン酸ナトリウムおよびプラセボの両方を500mlの生理食塩溶液に希釈し、朝に2時間以上かけて点滴した。治療は、1日目(最初の点滴)から開始し、3日おきに4回投与し、10日目(4回目の点滴)に終了した。
【0123】
点滴治療の間を通して、各点滴前に血清カルシウムを評価した。その値を、アルブミン値が4.2g/dLになるように調整した。最初の点滴から60日(57−66)後に、最後の臨床評価を行った。試験終了2ヵ月後に、患者は疼痛の再発の可能性と鎮痛剤および/またはNSAIDの再開の可能性について電話でインタビューを受けた。
【0124】
膝の核磁気共鳴画像
治療開始前(1〜7日)および試験終了時(58〜69日)に、各患者の対象の膝の高分解能、三次元MRIの画像を得た。全てのMR画像は、患者の治療について知らされていない熟練した筋骨格放射線科医によって評価された。全てのMR検査は、専用の膝コイルを使用して1.5Tスキャナ(Magnetom Espree、Siemens)を用いて実施した。造影は、18cmの視野(FOV)および256×256の収集マトリックスを用いて、矢状面、冠状面および横断面で実施した。MRプロトコルは以下を含む:矢状面、冠状面および横断面におけるスピンエコー(SE)T1加重シーケンス(反復時間TR580ms、エコー時間TE12ms、信号平均数2、厚さ3.0mm、交差ギャップ0.5mm);矢状面および横断面におけるSE T2−加重シーケンス(TR4000ms、TE30/100ms、取得した1つの信号、厚さ3.0mm、交差点間隙0.5mm);冠状面における脂肪/抑制(TR 2800ms、TE 40ms、取得した1つの信号、厚さ3.0mm、交差ギャップ0.5mm)を有するPD加重シーケンス。
【0125】
軟骨下BMLは、脂肪抑制されたT2加重画像上のシグナル強度の増加領域として同定された。スコアは、骨髄浮腫についての膝OAのためのWhole−Organ MRIスコア(WORMS)を用いて割り当てた。特に、BMLは、内側及び外側の脛骨大腿部の10の小領域および膝蓋大腿部の4つの小領域のそれぞれにおいて0〜3でコード化した。各小領域について、病変の範囲をWORMSスケールに従って評価した。0=浮腫なし、1=25%未満、2=25〜50%、3=50%を超える。
【0126】
評価
この試験の主要な結果は、ネリドロン酸ナトリウム群とプラセボ群との間における、試験中の疼痛強度の変化の評価および比較であった。影響を受けた膝の疼痛は、1日目(T0)、最後の点滴日(10日目;T1)および50日後(T2)にVAS(0〜100)によって評価した。副次評価項目として、以下の臨床評価を実施した:「オンタリオ州西部とマクマスター大学の変形性関節症の指標(Western Ontario and MacMaster Universities Osteoarthritis Index)(WOMAC)」疼痛アンケート;患者の機能状態を評価するアンケート「McGill Pain Questionnaire」および「36−Item Short Form Health Survey(SF−36)」。これらの評価は全てT0およびT2で実施した。追加の評価項目として、治療前とT2におけるWORMSスコアの変化を評価した。
【0127】
結果
68名の患者を募集し、無作為に選んで、2つの等しい群(患者34名)において、ネリドロン酸ナトリウムまたはプラセボを用いて治療した。登録時には、2群は人口統計学的特性および臨床的特性に関してバランスがとれていた(表1)。
【0128】
表1:ネリドロン酸塩またはプラセボ(基準値)を用いた治療開始前の疼痛のある膝OA患者の人口統計的、臨床的およびMRIの特性。変数は平均値±対応する標準偏差を表す。
【0129】
【表1】
【0130】
疼痛発症後の経過時間のみが、プラセボ群においてわずかであったが有意に短かった。56名の患者が試験を完了した。ネリドロン酸ナトリウム群の患者の1名は最初の点滴後に有害事象(急性期反応)のため同意を撤回し、1名の患者は最後の臨床評価前に鎮痛剤の使用を再開したため除外した。プラセボ群の8名の患者は、試験中の鎮痛剤またはNSAID治療の再開のために除外され(7名の患者)、1名の患者は治療の50日後に評価されることを拒否した。2名の患者(ネリドロン酸ナトリウム群の1名とプラセボ群の1名)は、試験の最後に実施されたMRIにおいて骨壊死の可能性を示唆する関節骨プロファイルの変化を示唆する特徴(大腿骨顆表面の平坦化/陥凹)を示したために除外した。患者の分布を
図1に示す。
【0131】
最後の点滴の日にVASスコアを評価したとき、ネリドロン酸ナトリウム群でより大きな有意差が認められたとしても、両群ともに基準値と比較して有意に減少を示した(
図2)。VASスコアは、ネリドロン酸ナトリウム群では59.0±14.7から30.4±15.6に変化した(p<0.001)。一方、プラセボ群では64.8±16.9から55.4±17.4に減少した(p=0.04)。最後の点滴日における群間の比較は、ネリドロン酸ナトリウムを投与した患者群において有意に大きな減少を示した(p<0.001)。
【0132】
その50日後に、プラセボ群ではVASスコアのそれ以上の改善は認められず(
図2)、他の臨床的評価はプラセボ群において治療前後で変化を示さなかった(表2)。
【0133】
表2:ネリドロン酸塩またはプラセボを用いて治療した疼痛のある膝OA患者の治療終了後50日目の臨床的特性。変数は平均値±対応する標準偏差標準偏差を表す。
【0134】
【表2】
【0135】
最後の臨床評価において、ネリドロン酸ナトリウム群ではVASスコアが9.4±10.8に低下し、さらに有意な疼痛改善を示した(p<0.001、T0値およびT1値の両者を対比)。また、他の疼痛および機能評価指数も、基準値およびプラセボ治療患者の両方と比較して有意な減少を示した(表2)。
【0136】
T2で再評価したWORMSスコアは、ネリドロン酸ナトリウム群においてのみ病変サイズで有意な減少を示したが(6.3±3.0から3.7±4.2;p=0.01)、プラセボ治療群では有意な変化は認められなかった(表2)。ネリドロン酸ナトリウムで治療した患者の臨床変数の多変量回帰分析は、最後の点滴日に認められたVAS低下(T1)と試験終了時に認められたVAS低下との間で有意といえる相関を示した(β=0.452、p=0.01)。最後の臨床評価から2ヵ月後に患者が電話でインタビューを受けたときに、プラセボ治療患者25名のうち18名(すなわち72%もの数)が鎮痛剤またはNSAIDを再開していたが、ネリドロン酸ナトリウム治療患者は31名中4名のみ(すなわち12.9%のみ)が鎮痛剤またはNSAIDによる対症療法を再開していた。
したがって、この無作為化比較試験の結果は、ネリドロン酸ナトリウムがOA患者の治療に効果的に使用できるという証拠を提供する。
【0137】
特にこの試験結果は、OA患者の軽度、中等度または重度の疼痛症状、また特にOA患者の中等度または重度の症状を軽減するために、ネリドロン酸ナトリウムを効果的に使用できることを実証した。
【0138】
特に、ネリドロン酸ナトリウムは、治療開始前VASが30mm以上のOA患者の疼痛症状を軽減するために効果的に使用することができる。
【0139】
特に、静脈内に投与されるネリドロン酸ナトリウムの治療は、OA患者の治療に、また特にOA患者における軽度、中等度または重度の疼痛症状、また特に中等度または重度の症状を軽減するために効果的に使用できる。
【0140】
特に本試験は、ネリドロン酸ナトリウムの静脈内投与の治療が、膝にOA症状を有する患者の疼痛強度を軽減することを実証した。
【0141】
また、本試験はネリドロン酸ナトリウムで治療した患者では、プラセボで治療した患者と比較して、BMLの大きさおよび範囲が有意に減少したことを実証した。
【0142】
すなわち、ネリドロン酸ナトリウムは、急性の疼痛の猛襲が起こったOA患者の治療に効果的に使用することができ、骨髄病変の範囲を減少させる。
【0143】
最後に、本試験はネリドロン酸ナトリウムによるOA患者の治療が、効果的で持続する対症療法を可能とし、それにより治療終了後少なくとも50日を超えて疼痛管理を可能とすることを実証した。
【0144】
したがって、変形性関節症の治療、特にOA患者の軽度、中等度または重度の疼痛症状の治療において、本発明によって達成される有利な結果は、特にこれらの結果がBP、特にリセドロネートなどのアミノビスホスホネートに関連する先行技術の観点から予測不可能であったことを考慮すると、上記記載から明らかである。