(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
不活性ガスの存在下で前記切断用具を使用して前記架橋された混合物を切断することにより、前記切断用具の酸素への曝露を減らすことを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことが、不活性ガスの存在下で切断用具を使用して架橋された混合物を切断することにより、切断用具の酸素への曝露を減らすことを含む、請求項3に記載の方法。
ポリエポキシド架橋剤が0.05質量%〜10質量%の量で用いられ、かつ酸触媒が0.01質量%〜1.0質量%の量で用いられる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
この中で用いられる用語は、特定の態様を説明する目的だけであり、限定することを意図していないと理解されるべきである。本明細書及び特許請求の範囲で用いられている「含む」の語は、「からなる」及び「から実質的になる」実施態様も含み得る。別途規定されていない限り、本明細書で用いられている全ての技術的及び化学的用語は、本願が属する技術分野の当業者により通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書及び特許請求の範囲において、この中で定義される多くの用語に言及がなされるであろう。
【0012】
本明細書及び特許請求の範囲で用いられている単数形「a」、「an」、及び「the」は、その文脈が明確にそうでないことを述べていない限り、複数形を含む。従って、例えば、「ポリカーボネートポリマー」への言及は、2つ以上のポリカーボネートポリマーの混合物を包含する。
【0013】
この中で用いられる「組合せ」の語は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物等を含む。
【0014】
範囲は、この中において、1つの特定の値から、及び/又は別の特定の値までとしてあ表わすことができる。そのような範囲が表される場合、別の態様は、1つの特定の値から及び/又は他の特定の値までを含む。同様に、先行する「約」の使用により値を概算として表す場合、特定の値は別の態様を形成することが理解される。さらに、各範囲の端点は、他方の端点に関連して、及び他方の端点とは関係なく、の両方において、有効であることが理解される。また、この中に開示されている多くの値があり、及び各値も、その値自体に加えて、「約」その特定の値としてこの中に開示されていることも理解される。例えば、値「10」が開示されている場合、「約10」も開示されている。2つの特定のユニットの間の各ユニットも開示されていることも理解される。例えば、10及び15が開示されている場合、11、12、13及び14も開示されている。
【0015】
ここで用いられている「約」及び「おおよそ」は、当該量又は値が、指定された値とおおよそ又は約それと同じ他の値であってよいことを意味する。この中で用いた場合、別途指摘又は推察されていない限り、指定された額面の値±10%の変動であると通常理解される。その語は、類似の値が、請求項に記載されている結果又は効果を同等に高めることを伝えることを意図している。すなわち、量、サイズ、組成、パラメータ、並びに他の数量及び性質は、正確ではなく及び正確である必要はなく、許容、換算係数、端数計算、測定誤差等、並びに当業者に知られている他の要因を反映して、要望通りに、おおよそ及び/又はより大きい又はより小さいものであってよいことが理解される。通常、量、サイズ、組成、パラメータ、或いは他の数量又は性質は、そのように明示されているか否かに関わらず、「約」又は「およそ」である。「約」が定量値の前に用いられている場合、別途具体的に記載されていない限り、そのパラメータは、その特定の定量値自体も含むことが理解される。
【0016】
開示されるのは、本発明の組成物を調製するのに使用されるべき成分、並びにここに開示される方法で使用されるべき組成物自体である。これら及び他の物質が本明細書に開示され、これら物質の組合せ、サブセット、相互作用、群などが開示される場合、これら化合物の各々の種々の個々並びに集団的な組合せ及び順列の特別な言及が明確に開示されていなくても、各々が具体的に想定され及び本明細書に記載されていると理解される。例えば、特定の化合物が開示及び検討され、その化合物を含めて多数の分子に対してなされ得る多くの変更が検討される場合、それに反して具体的に指摘されない限り、その化合物及び可能な変更の各々、並びにそれら全ての組合せ及び順列が具体的に想定される。従って、分子の種類A、B及びCが、分子の種類D、E及びF、並びに組合せの分子例A−Dと共に開示される場合、各々が個々に言及されていなくても、各々が個々にかつ集合的に想定され、これは、A−E、A−F、B−D、B−E、B−F、C−D、C−E、及びC−Fの組合せが開示されているとみなすという意味である。同様に、これらの任意のサブセット又は組合せも開示される。従って、例えば、A−E、B−F、及びC−Eのサブグループは、開示されているとみなされる。この考え方は、限定するものではないが、本発明の組成物を作成及び使用する方法における工程を含む、本願の全ての態様に適用される。従って、行われ得る種々の追加の工程がある場合、これらの追加の工程の各々は、本発明の方法の任意の特定の態様又は態様の組合せと一緒に行ってよい。
【0017】
本明細書及び結びの請求の範囲において、組成物又は物品の特定の要素又は成分の質量部に対する言及は、それに関して質量部が表される組成物又は物品中のその要素又は成分と任意の他の要素又は成分との間の質量関係を意味する。従って、2質量部の成分X及び5質量部の成分Yを含む化合物では、X及びYは、2:5の質量比で存在し、かつ追加の成分がこの組成物中に含まれるか否かにかかわらず、このような比で存在する。
【0018】
ある成分の「質量パーセント(wt.%)」は、特に反して述べられない限り、その成分が含まれる配合物又は組成物の総質量に基づく。例えば、ある組成物又は物品中のある特定の要素又は成分が、8質量%を有するという場合、このパーセンテージは、100質量%の全組成パーセンテージに対するものであることが理解される。
【0019】
参照されている全ての特許、特許出願、及び他の参考文献は、参照によってその全てが本明細書中に組み込まれる。
【0020】
例証のため典型的な実施形態を示しているが、前述の説明は、本明細書中においてその範囲を限定するものと見なされるべきではない。従って、当業者は、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、様々な変更、適合、及び代替物を考えつくことができる。
【0021】
本開示は、反応性ポリマーと、その反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し、架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し、さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する工程を含む、暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法を提供する。
【0022】
本発明者は驚くべきことに、上記の架橋された混合物を切断するのに用いられる切断用具を、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で用いた場合、切断形態の低光沢ポリマー添加剤における暗色化変色の発生が低減されることを発見した。低光沢ポリマー添加剤を製造する従来の方法は、ここに開示されている低光沢ポリマー添加剤と比較して、ペレット化製品の変色した部分を示す高レベルの黒い斑点又は点のあるペレット化製品をもたらす。例えば、従来の方法に従い製造された低光沢ポリマー添加剤製品において、裸眼で確認できるこの変色部分は、92個/100グラムペレットまでの頻度で生じ得る。
【0023】
ここで用いられている「暗色化変色」の語は、その切断(例えばペレット化)形態で低光沢ポリマー添加剤中にみられる、任意の望ましくない黒っぽい色合いを称する。暗色化変色は、目に見えるほど十分大きく、人の目に黒又は茶褐色に見える斑点又は点の形態でよく出現する。暗色化変色は黄変を意味するものではない。本開示が暗色化変色の発生の低減に言及する場合、それは、従来の方法に従い調製されたペレット化形態の低光沢ポリマー添加剤と比較して、切断形態の本発明の低光沢ポリマー添加剤において、(例えば、約300μm又はそれより大きい最大寸法を有するような)人の目に見える黒っぽい色合いの発生を低減することを意味する
【0024】
参照によってその全ての内容が本明細書に組み込まれる米国特許第5,770,652号は、従来の低光沢ポリマー添加剤を形成する方法を開示する。ニトリル含有反応性ポリマーと、その反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し、ポリエポキシド架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出する工程に関して、米国特許第5,770,652号が提供する情報を、ここで開示する方法の対応する工程を達成するために使用してよい。
【0025】
例えば、反応性ポリマーと、その反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成する工程は、以下のように達成することができる。
【0026】
本開示に従い、反応性ポリマーは、反応性ポリマーと担体ポリマーとの架橋された混合物を形成するように、適切な化学試薬、例えば触媒及び/又は多官能性架橋剤、の存在下で架橋するのに十分反応性である。ある態様において、反応性ポリマーは、この中に記載されているような適切な化学試薬の存在下で架橋し得るポリマーである。反応種は前述の試薬の存在下で反応を受けることができるポリマー内の置換基であろう。適切な反応性ポリマーの例示は、ニトリル基、カルボン酸基、無水物、エポキシ基、エステル、アミン、エーテル、又はそれらの任意の組合せを含むものである。本発明に従う好ましい反応性ポリマーとして、アクリロニトリルのようなニトリル含有ポリマーが挙げられる。スチレンアクリロニトリル(SAN)は、特に好ましい反応性ポリマーに相当する。反応性ポリマーは、通常に反応種を含有するそれらポリマーのみならず、反応種を含有するように修飾又は官能化されているそれらポリマーも含むことも当業者に理解されるであろう。反応性ポリマーは、以下の反応性ポリマーから選択してもよい:ポリエステル、ジエンゴム、シリコンゴム、無水コポリマー、ナイロン(ポリアミドを含む)、ウレタン、メタクリル酸グリシジル含有ポリマー、及びそれらの混合物。
【0027】
反応性ポリマーは、担体ポリマー及び反応性ポリマーの総質量に基づき、1質量%〜99質量%の量で存在し得る。別の態様では、反応性ポリマーは、30質量%〜80質量%の量で存在する。さらに別の態様では、反応性ポリマーは、45質量%〜70質量%の量で存在する。別の態様では、反応性ポリマーは、50質量%〜70質量%の量で存在する。別の態様では、反応性ポリマーは、約55質量%、約56質量%、約57質量%、約64質量%、約65質量%、又は約66質量%の量で存在する。さらに別の態様では、反応性ポリマーは、55質量%、56質量%、57質量%、64質量%、65質量%、又は66質量%の量で存在する。
【0028】
本開示に従う担体ポリマーは、実質的に非反応性のポリマー又はポリマーの混合物であってよい。実質的に非反応性のポリマーは、ある意味、反応性ポリマーのための希釈剤として働く、反応性ポリマーに実質的に非混和性であるポリマーである。この中で用いられている実質的に非混和性であるとは、反応性ポリマー又は反応性ポリマーを架橋するのに用いられる架橋剤と相当程度までは反応しない担体ポリマーの性質を称することができる。従って、担体ポリマーは、本発明の方法で用いられる反応性ポリマーと多官能性架橋剤との組合せによって変化するであろう。担体ポリマーの適切な例示として、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリイミド、及びポリフェニレンエーテル、ポリメタクリル酸メチル、又はそれらの任意の混合物が挙げられる。本発明に従う1つの好ましい実施形態において、担体ポリマーは、ビスフェノールAポリカーボネートのようなポリカーボネートポリマーを含む。本発明に従う別の好ましい実施形態において、担体ポリマーはポリスチレンを含む。
【0029】
担体ポリマーは、担体ポリマー及び反応性ポリマーの総質量に基づき、0質量%〜99質量%の量で存在し得る。別の態様において、担体ポリマーは、10質量%〜75質量%の量で存在する。さらに別の態様では、担体ポリマーは、15質量%〜60質量%の量で存在する。別の態様では、担体ポリマーは、20質量%〜55質量%の量で存在する。別の態様において、担体ポリマーは、25質量%〜50質量%の量で存在する。別の態様では、担体ポリマーは、30質量%〜45質量%の量で存在する。別の態様において、担体ポリマーは、約32質量%、約33質量%、約34質量%、約41質量%、約42質量%、又は約43質量%の量で存在する。さらに別の態様では、担体ポリマーは、32質量%、33質量%、34質量%、41質量%、42質量%、又は43質量%の量で存在する。
【0030】
ポリカーボネートポリマー
この中で用いられている「ポリカーボネート」の語は、コポリカーボネート、ホモポリカーボネート、及び(コ)ポリエステルカーボネートを含む。
【0031】
ポリカーボネートの語は、式(1)の反復構造を有する構成物としてさらに定義することができる:
【化1】
式中、R
1基の総数の少なくとも60%は芳香族有機ラジカルであり、そのバランスは脂肪族、脂環式、又は芳香族ラジカルである。更なる態様において、各R
1は、芳香族有機ラジカルであり、より好ましくは式(2)のラジカルである:
─A
1─Y
1─A
2─ (2)
ここで、A
1及びA
2のそれぞれは、単環二価アリールラジカルであり、Y
1は、A
1をA
2から分離する1つ又は2つの原子を有する架橋ラジカルである。様々な態様において、1つの原子がA
1をA
2から分離する。例えば、この種のラジカルとして、限定はされないが、─O─、─S─、─S(O)─、─S(O
2)─、─C(O)─、メチレン、シクロヘキシル−メチレン、2−[2.2.1]−ビシクロヘプチリデン、エチリデン、イソプロピリデン、ネオペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロペンタデシリデン、シクロドデシリデン、及びアダマンチリデンのようなラジカルが挙げられる。架橋ラジカルY
1は好ましくは、メチレン、シクロヘキシリデン、又はイソプロピリデンのような、炭化水素基又は飽和炭化水素基である。ポリカーボネート材料として、様々なポリカーボネート組成物及びそれを製造する方法を開示する特定の目的のために参照によりその全てがこの中に組み込まれる米国特許第7,786,246号に開示及び記載されている材料が挙げられる。
【0032】
1つの態様において、この中に開示されているポリカーボネートポリマーは、脂肪族ジオールベースのポリカーボネートであってよい。別の態様において、ポリカーボネートポリマーは、例えば、脂肪族ジオールとは異なるビフェノールのような、ジヒドロキシ化合物に由来するカーボネート単位を含んでいてよい。さらに別の態様において、例示的なポリカーボネートポリマーとして、1つ以上の触媒の存在下での1つ以上の芳香族ジヒドロキシ化合物とカルボン酸ジエステルとのエステル交換反応により通常どおり製造された芳香族ポリカーボネートが挙げられる。
【0033】
1つの態様において、適切なビフェノール化合物の非限定的な例示として以下のものが挙げられる:4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルメタン、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、1,1−ビス(ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3メチルフェニル)シクロヘキサン1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)イソブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロドデカン、トランス−2,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブテン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)アダマンチン、(α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)トルエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アセトニトリル、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−n−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジブロモ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチレン、1,1−ジクロロ−2,2−ビス(5−フェノキシ−4−ヒドロキシフェニル)エチレン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−ブタノン、1,6−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘキサンジオン、エチレングリコールビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルレン、2,7−ジヒドロキシピレン、6,6’−ジヒドロキシ−3,3,3’,3’−テトラメチルスピロ(ビス)インダン(「スピロビインダンビフェノール」)、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタリド、2,6−ジヒドロキシジベンゾ−p−ジオキシン、2,6−ジヒドロキシチアントレン、2,7−ジヒドロキシフェノキサチイン、2,7−ジヒドロキシ−9,10−ジメチルフェノキサジン、3,6−ジヒドロキシジベンゾフラン、3,6−ジヒドロキシジベンゾチオフェン、及び2,7−ジヒドロキシカルバゾール等、並びに前記のジヒドロキシ芳香族化合物の少なくとも1つを含む組合せ。
【0034】
別の態様において、例示的なビフェノール化合物は、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下「ビフェノールA」又は「BPA」と称する)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)n−ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−1−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−t−ブチルフェニル)プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン、2−フェニル−3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フタルイミジン(「PPPBP」)、及び9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルレンを含んでいてよい。少なくとも1つのジヒドロキシ芳香族化合物を含む組合せも使用できる。別の態様では、他の種類のジオールがポリカーボネート中に存在していてもよい。
【0035】
さらに別の態様において、分枝基を有するポリカーボネートは、そのような分枝がポリカーボネートの所望の特性に有意な悪影響を及ぼさないことを条件として、有用となり得る。分枝ポリカーボネートブロックは、重合の間に分枝剤を添加することにより調製することができる。これら分枝剤として、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボン酸無水物、ハロホルミル、及びそれら官能基の混合物から選択される少なくとも3つの官能基を含む多官能性有機化合物が挙げられる。具体的な例示として、トリメリット酸、トリメリット酸無水物、トリメリット酸トリクロリド、トリス−p−ヒドロキシフェニルエタン、イサチン−ビフェノール、トリス−フェノールTC(1,3,5−トリス((p−ヒドロキシフェニル)イソプロピル)ベンゼン)、トリス−フェノールPA(4(4(1,1−ビス(p−ヒドロキシフェニル)−エチル)α,α−ジメチルベンジル)フェノール)、4−クロロホルミルフタル酸無水物、トリメシン酸、及びベンゾフェノンテトラカルボン酸が挙げられる。別の態様では、分枝剤は、0.05質量%〜10.0質量%の濃度、又は約0.05〜約10.0質量%濃度で添加することができる。さらに別の態様において、線状ポリカーボネート及び分枝ポリカーボネートを含む混合物を用いてもよい。
【0036】
ポリカーボネートポリマーは、エステル単位を含む、カーボネート単位及び他の種類のポリマー単位を含むコポリマー、並びに、ホモポリカーボネート及びコポリカーボネートの少なくとも1つを含む組合せを含んでいてよい。この種類の例示的ポリカーボネートコポリマーは、ポリエステルカーボネートであり、ポリエステル-ポリカーボネートとしても知られている。そのようなコポリマーは、オリゴマーエステル含有ジヒドロキシ化合物(この中でヒドロキシエンドキャップトオリゴマーアクリル酸エステルとも称される)由来のカーボネート単位をさらに含む。別の態様では、ポリカーボネートは、ポリエステルのような別個のポリマーを含まない。1つの態様において、脂肪族ベースのポリカーボネートは、脂肪族ジオール由来の脂肪族カーボネート単位、又は13超の炭素を有する脂肪族二価酸由来の脂肪族エステル単位の組合せの、どちらかである脂肪族単位を含む。
【0037】
反応性ポリマーと担体ポリマーとの好ましい組合せは、反応性ポリマーとしてスチレンアクリロニトリルコポリマー(SAN)、及び担体ポリマーとしてポリカーボネート又はポリスチレンである。
【0038】
反応性ポリマーと担体ポリマーとの混合物を形成する工程は、米国特許第5,770,652号に開示されている手順のいずれかに従う方法のような、そのようなポリマーを混合する任意の適切な方法に従い実施することができる。例えば、反応性ポリマーと担体ポリマーとの混合物を形成する工程は、反応性ポリマー及び担体ポリマーを、押出反応器(extruder reactor)中に供給することにより実施することができる。押出反応器として、例えば、従来の単軸スクリュー又は二軸スクリュー押出機が挙げられる。押出プロセスに関する追加の情報は後に記載する。
【0039】
反応性ポリマーと担体ポリマーとの混合物を形成する工程に続いて、その混合物を架橋剤及び酸触媒の存在下で反応押出し、それにより混合物を架橋する。
【0040】
適切な架橋剤として、例えば、ポリエポキシド、アミン、ビスオキサゾリン、並びにジ−及びトリ−カルボン酸が挙げられる。架橋剤がポリエポキシドである場合、その架橋剤はジエポキシドであってよい。好ましいポリエポキシドとして、脂環式エポキシ樹脂ERL−4221が挙げられ、ERL−4221(Dow Chemical Company,Chicago,IL)、CAS No.2386−87−0としても知られている。
【0041】
好ましいジエポキシドに類似する態様で機能し、及び本発明の方法に従い架橋剤として使用できることが予測される他の多官能性エポキシドとして、以下のものが挙げられる:
ブタジエンジオキシド;ペンタジエンジオキシド;ヘキサジエンジオキシド;ドデカトリエンジオキシド;ジペンテンジオキシド;及びl,2,7,8−ジエポキシオクタンのような、単純な脂肪族ジエポキシド。
エピハロヒドリンとジオール又は二価酸の重縮合体(ここでジオール/二価酸は、アジピン酸及びフタル酸のような、脂肪族又は芳香族のいずれかであってよい);1,4ブタンジオール−ジグリシジルエーテル;及びビフェノールAのビス−グリシジルエーテルのような、ビス(グリシジルエーテル/エステル)エポキシド。
3,4−エポキシシクロヘキシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート,ERL 4229(Dow Chemical Company,Chicago,IL);ジシクロブタジエンジオキシド;ジシクロペンタジエンジオキシド;ジシクロヘキサジエンジオキシド;シクロオクタジエン(1,5)ジエポキシド;1,2,5,6−ジエポキシシクロドデカン−9;及びビシクロヘプタジエンジエポキシドのような、脂環式ジエポキシド。
ビニルシクロブテンジオキシド;ビニルシクロペンタジエンジオキシド;ビニルシクロヘキセンジオキシド,ERL 4206(Dow Chemical Company,Chicago,IL);ブテンシクロブテンジオキシド;ブテンシクロペンテンジオキシド;ブタジエンシクロブタジエンジオキシド;ブタジエンシクロペンタジエンジオキシド;及びペンタジエンシクロブタジエンジオキシドのような、混合脂肪族及び脂環式ジエポキシド。
novalaksのグリシジルエーテル、例えば、D.E.N.(商標)431(Dow Chemical Company,Chicago,IL)及びEPON(商標)樹脂1031(Royal Dutch Shell,The Hague,North Holland);l,l,2,2テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタンのテトラグリシジルエーテル;1,3,6−トリヒドロキシベンゼンの‘トリグリシジルエーテル;及びトリグリシジルイソシアヌレート(TGIC)のような、トリ及びポリ(ジ/トリ)エポキシ。
エポキシ化トールオイル、例えば、MONOPLEX(登録商標)S−73(C.P.Hall Company,Chicago,IL);エポキシ化アマニ油;エポキシ化大豆油、例えば、PARAPLEX(登録商標)6−62(C.P.Hall Company,Chicago,IL)のような、エポキシ化乾性及び非乾性油酸。
【0042】
触媒は、例えば、有機酸、無機酸、ルイス酸、又はそれらの混合物であってよい。そのような触媒の目的は、反応押出において生じる架橋の量を加速する又は増加させることである。例示的触媒として、塩化亜鉛、硫酸、及びスルホン酸が挙げられる。例示的なスルホン酸として、メチルスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、及びドデシルベンゼンスルホン酸が挙げられる。架橋剤がポリエポキシドを含む場合、触媒は、例えば、塩化亜鉛、又はドデシルベンゼンスルホン酸のようなスルホン酸であってよい。
【0043】
反応押出は、リアクティブプロセシング又はリアクティブコンパウンディングとも称され、ポリマーの押出加工の間に化学反応を実行することを意味する。この場合、押出装置は、加工補助としてのみならず、化学反応器としても用いられる。化学反応は、モノマーのバルク重合が押出機において行われるような場合、ポリマー溶融相において、又は一般的ではないが液相において生じ、或いは、ポリマーが溶媒スラリー中において押出機を通って運ばれる場合、固相において生じ得る。
【0044】
反応押出は通常、従来の単軸スクリュー又は二軸スクリュー押出機で行われる。反応押出の利点は、溶媒が反応媒体として存在する必要がないことである。溶媒の除去又は回収が必要とされないないため、溶媒又は溶媒不純物による製品汚染を回避することができる。
【0045】
その汎用性のため、殆どの押出反応器は、セグメントバレルを有し、その各セグメントを個別に外部から冷却又は加熱することができる二軸スクリュー押出機である。外部加熱に加えて、溶融材料は、スクリューの運搬動作に対する粘性材料の抵抗によりせん断加熱され得る;これらプロセスは、化学反応にエネルギーを提供する。押出機のスクリューはしばしば、例えば高せん断混合部のような、専門部分又は形状(specializezd sections or configuration)を有する。二軸スクリュー押出機のスクリューは、スクリューフライトの間の深さ、個々のフライトの厚さ、及びフライトピッチの方向及び程度を変化させることにより、異なる程度の混合及び表面積曝露をもたらす交換可能なスクリューエレメントを備えていてよい。強力混合を提供するため、ニーディングブロックをスクリューエレメントとして含めてもよい。外部加熱、スクリューエレメント形状、及び個々のバレルセグメントにおけるスクリューとバレル壁との間のクリアランスを変化させることにより、各バレルセグメントにおける材料の混合の総エネルギー及び程度を変動させることができる。このようにして、押出機は、個々のバレルセグメントで構成されている制御された反応区域を有する化学反応器に変身し得る。これらセグメントのそれぞれにおいて、連続化学プロセス(sequential chemical processes)が生じ得る。
【0046】
典型的な反応押出プロセスにおいて、反応物質は、押出機の供給口に供給され、そこで材料は通常加熱されて反応を開始する又は反応速度を高める。反応物質混合物は連続バレルセグメントを通って運ばれ、そこで混合度及び特定のエネルギー入力が、押出機における滞留時間の制限内で所望の完成度まで反応を達成させる。この段階で、冷却する又は適用できる場合は触媒クエンチャーを添加することにより、反応をクエンチし、さらに揮発性の副産物又は過剰な反応物質を除去してもよい。溶融ポリマーは、1つ以上の開口部を有するダイを通って押出機から引き出される。ダイの開口部の形状(geometry)は、それに対して押出機が内部スクリューの運搬動作により往復運動(pump)しなければならない圧力を決定する1つの因子である。ダイから出る溶融ポリマーは、次いで、切断及び冷却を受ける。
【0047】
反応器としての押出装置の利点は、生成物の高い時空収量を達成しながら、1つの装置にいくつかの化学プロセス操作をまとめることである。押出反応器は、所望の化学プロセスのために押出機バレル中に平衡を確立した後、材料を連続生成するのに理想的に適している。
【0048】
押出反応器に関して、典型的な操作条件は70℃〜500℃である。この全温度範囲は、押出機の長さ全体にわたるが、反応材料への及びそれからの遅い熱伝達のため、隣接するバレルセグメント間の温度差はしばしば100℃である。典型的な押出機の滞留時間は10〜600秒である。滞留時間、及び従って化学反応に利用できる時間は、押出機の長さ、反応物質の導入速度、及びスクリュースピードによって決定される。
【0049】
架橋剤及び酸触媒の存在下での混合物の反応押出に続いて、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより、暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する。本発明者は、低光沢ポリマー添加剤を調製する従来のプロセスにおけるダイフェースペレタイザーと架橋された混合物との間の相互作用が、低光沢ポリマー添加剤における暗色化変色の著しい量の出現の原因であることを予想外に発見した。本発明者はさらに、混合物とその混合物を切断するのに用いられる用具との間の界面における温度を低下させることにより、切断用具の酸素への曝露を減らすことにより、又はその両方により、暗色化変色の発生を低減できることを、驚くべきことに発見した。
【0050】
反応押出プロセスにおいて、反応性ポリマー及び実質的に非混和性の担体ポリマーは両方、第1の供給口に供給されるであろう。触媒及び架橋剤は、第2の供給口及び第3の供給口にそれぞれ供給されるであろう。反応性ポリマーと担体ポリマーとの架橋された混合物は、押出機から押し出され、さらに、架橋された混合物をペレットのような部分に切断する切断用具に案内される。本明細書にわたり記載されているように、暗色化変色の発生を低減するために、架橋された混合物を切断する工程に関して、専用装置及び/又は条件を用いてよい。切断した後、切断部分を乾燥機で乾燥して、完成した低光沢ポリマー添加剤を作成する。
【0051】
本発明の方法において、切断用具は、架橋された混合物を、ペレット、ディスク、又はビーズのような所望のサイズの部分に分けることができる任意の装置であってよい。この目的のため、ダイフェースカッティングペレタイザーは特に適切な切断用具に相当するが、同様の機能を有する任意の装置を用いてよい。当業者は、関連する文脈で、即ち、架橋された混合物を部分に切断するのに、利用できる他の種類の切断用具を容易に特定することができる。
【0052】
切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる及び/又は用具の酸素への曝露を減らすための任意の適切な技術を、ここで開示する方法に従い使用することができる。例えば、少なくとも部分的に水中で切断用具を操作することにより、両方の目的を達成することができる。この目的のため、切断用具はアンダーウォーターダイフェースペレタイザー(underwater die-face pelletizer)であってよい。ダイフェースペレタイザーは、ペレタイザーの種類であり、押出のような加工の間に所定のポリマー材料からペレットを形成するのに用いられる手段である。より具体的には、ダイフェースペレタイザーは、ポリマー材料の通過を可能にする押出又はコンパウンディング開口部と共に、ダイフェース又は冷却プレートを有するペレタイザーであってよい。好ましい実施形態において、切断用具は、ダイフェースとダイヘッドとの間に断熱材を含むアンダーウォーターダイフェースペレタイザーである。
【0053】
或いは、切断用具の酸素への曝露を減らすことは、不活性ガスの存在下で切断用具を用いて架橋された混合物を切断することにより、達成することができる。例えば希ガス又は窒素のような、任意の適切な不活性ガスをこの目的のために使用することができる。さらに、切断用具と反応性ポリマー及び担体ポリマーの架橋された混合物との間の界面における温度を低下させるために、そのガスを、例えば室温より低い温度(約18.3℃(65°F)未満)に冷却してもよい。不活性ガスは、例えば、15.5℃(60°F)、10℃(50°F)、4.4℃(40°F)、−1.1℃(30°F)、−6.7℃(20°F)、−12.2℃(10°F)、又は−17.8℃(0°F)に冷却され得る。さらに別の例示において、不活性ガスは、約15.5℃(60°F)、約10℃(50°F)、約4.4℃(40°F)、約−1.1℃(30°F)、約−6.7℃(20°F)、約−12.2℃(10°F)、又は約−17.8℃(0°F)に冷却され得る。
【0054】
別の実施形態において、切断用具と架橋された混合物との間の界面における温度を低下させることは、低くした周囲温度条件下で切断用具を操作することにより達成することができる。例えば、切断用具は、通常の条件下にある周囲温度よりも、少なくとも−15℃(5°F)、少なくとも−12.2℃(10°F)、少なくとも−6.7℃(20°F)、少なくとも−3.9℃(25°F)、少なくとも−1.1℃(30°F)、少なくとも4.4℃(40°F)、又は少なくとも10℃(50°F)低い温度条件下で操作され得る。さらに別の例示では、切断用具は、少なくとも約−15℃(5°F)、少なくとも約−12.2℃(10°F)、少なくとも約−6.7℃(20°F)、少なくとも約−3.9℃(25°F)、少なくとも約−1.1℃(30°F)、少なくとも約4.4℃(40°F)、又は少なくとも約10℃(50°F)低くした温度条件下で操作され得る。
【0055】
切断用具と架橋された混合物との間の界面における温度を低下させる、及び/又は用具の酸素への曝露を減らすことに加えて、切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らす追加の工程を本発明の方法に含めることにより、暗色化変色の発生をさらに低減することができる。切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らす工程は、架橋された混合物を切断する1日にわたる1つ以上の所望の時間間隔で、切断用具を交換することにより達成することができる。本発明者は、架橋された低光沢ポリマー混合物を切断するために切断用具を使用する1日の間に暗色化変色の発生が増加するが、切断用具への架橋された混合物の蓄積を低減する単一のエピソード(すなわち、切断用具を交換することにより)が、1日の傾向を「リセット」し、1日の運転の始めに通常みられるレベルまで暗色化変色の発生を低減することを発見した。
【0056】
或いは、切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らす工程は、例えば、切断器具の使用の1日にわたる1つ以上の所望の時間間隔で、切断器具を少なくとも部分的に洗浄することにより達成してもよい。例えば、標準的な作業日を構成する8時間にわたり切断用具を使用する場合、1日1回(例えば、4時間使用後)、1日2回(例えば、約2.5時間ごと)、1日3回(例えば、約2時間ごと)、或いは、望み通り、規則的又は不規則的な間隔で1日当たり任意の所望の回数、切断用具を洗浄してよい。切断用具を洗浄する1日当たりの回数は、生産運転をストップさせることの実行性、切断用具を入手及び洗浄することの容易さ、並びに、本開示を考慮して低光沢ポリマー添加剤の製造に精通する当業者に容易に明確となるであろう他の検討材料のような因子により決定されるであろう。
【0057】
或いは、切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らす工程は、切断用具の表面上への架橋された混合物の蓄積を抑えるように設計されている切断用具を使用することによって達成してもよい。例えば、切断用具は、架橋された混合物が蓄積する能力を低減する材料から作られている又はそのようなコーティングを含んでいてよい。例示的材料及びコーティングとして、ポリテトラフルオロエチレン、シリコン、セラミック、LiquiGlideタイプの液体含浸表面等が挙げられる。
【0058】
本開示は、反応性ポリマーと、反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し、ポリエポキシド架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し、さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造することを含むプロセスにより製造された、暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤に関する。本発明の低光沢ポリマー添加剤は、暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造するための開示された方法の上記の実施態様にいずれかに従い製造される。従って、本発明の低光沢ポリマー添加剤は、米国特許第5,770,652号に開示されているような、任意の従来の低光沢ポリマー添加剤よりも低い暗色化変色の発生により特徴づけられる。例えば、本発明の低光沢ポリマー添加剤は、従来技術の任意の低光沢ポリマー添加剤と比較して、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、又は約50%超、グラム当たりの暗色化変色の数が少ないことを特徴とする。少なくともこの特徴のため、本発明の低光沢ポリマー添加剤は、高品質の低光沢熱可塑性ポリマー及びそのようなポリマーから作られた物品を製造するのに使用するために、従来の低光沢ポリマー添加剤よりも適している。
【0059】
本開示はまた、この中に記載の方法に従い製造された光沢ポリマー添加剤を含む熱可塑性組成物に関する。米国特許第5,770,652号に記載されているように、低光沢熱可塑性組成物は、反応押出及び切断工程に続くコンパウンディング操作(compounding operation)において、熱可塑性ブレンドに低光沢ポリマー添加剤を添加することにより調製することができる。しかしながら、その特許は、熱可塑性ブレンドを、低光沢ポリマー添加剤を作成するのに使用される同じ押出プロセスの下流で添加することもできることを開示する。ここで開示する低光沢ポリマー添加剤を含む熱可塑性組成物は、従来の低光沢ポリマー添加剤を含む熱可塑性組成物を形成するために米国特許第5,770,652号に開示されている任意の方法に従って製造することができる。例えば、熱可塑性組成物は、難燃剤、ドリップ防止剤(drip retardants)、色素、顔料、UV安定剤、抗酸化剤、着色料、調整剤(modifiers)、充填剤、補強充填剤、帯電防止剤、可塑剤、潤滑剤、流動促進剤等のような、1つ以上の所望の添加剤を含んでいてよい。これら添加剤は当業界で公知であり、それらの有効レベル及び組み込む方法も同様である。添加剤の有効量は広く変動するが、それらは通常、熱可塑性組成物全体の質量に基づき、0.1質量%〜50質量%の量で存在する。
【0060】
本開示に従う熱可塑性組成物は、それを作成するのに使用される本発明の低光沢ポリマー添加剤が低い暗色化変化の発生を有することを特徴とするから、従来の熱可塑性組成物よりも見栄えがよい。
【0061】
本開示に従う低光沢ポリマー添加剤を含む1つ以上の熱可塑性組成物を含む物品も開示されている。光沢のある表面に反して、マットな外観が望ましい任意の物品がこの中で想定されている。本開示に従う熱可塑性組成物を含み得る物品の非限定的な例示として、(ダッシュボード、ドアパネル等のような)自動車の内装用の部品、商業用又は居住用建物の羽目板材料、及び電子機器のような電化製品用の筐体が挙げられる。
【0062】
様々な態様において、本開示は少なくとも以下の態様に関し、及びそれを含む。
【0063】
態様1.暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法であって:反応性ポリマーと、反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し;ポリエポキシド架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し;さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する工程を含む。
【0064】
態様2.暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法であって:反応性ポリマーと、反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し;ポリエポキシド架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し;さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する工程から実質的になる。
【0065】
態様3.暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法であって:反応性ポリマーと、反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し;ポリエポキシド架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し;さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する工程からなる。
【0066】
態様4.反応性ポリマーは30質量%〜80質量%の量で存在し、かつ担体ポリマーは20質量%〜55質量%の量で存在する、態様1の方法。
【0067】
態様4a.反応性ポリマーは1質量%〜99質量%の量で存在し、かつ担体ポリマーは0質量%〜99質量%の量で存在する、態様1の方法。
【0068】
態様5.前記担体ポリマーは、ポリカーボネートポリマー、ポリスチレンポリマー、又はそれらの混合物を含む、態様1の方法。
【0069】
態様6.切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことをさらに含む、態様1〜5のいずれかの方法。
【0070】
態様7.アンダーウォーター切断用具を使用することを含む、態様1〜6のいずれか1つの方法。
【0071】
態様8.切断用具はダイフェースペレタイザーである、態様1〜7のいずれか1つの方法。
【0072】
態様9.不活性ガスの存在下で切断用具を使用して架橋された混合物を切断することにより、切断用具の酸素への曝露を減らすことを含む、態様1〜6のいずれか1つの方法。
【0073】
態様10.不活性ガスが窒素を含む、態様9の方法。
【0074】
態様11.酸触媒は、有機酸、無機酸、ルイス酸、又はそれらの混合物である、態様1〜10のいずれか1つの方法。
【0075】
態様12.反応性ポリマーはニトリル基を含む、態様1〜11のいずれか1つの方法。
【0076】
態様13.反応性ポリマーは、ポリエステル、ジエンゴム、シリコンゴム、無水コポリマー、ナイロン、ウレタン、メタクリル酸グリシジル含有ポリマー、又はそれらの組合せである、態様1〜12のいずれか1つの方法。
【0077】
態様14.暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法であって:反応性ポリマーと、反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し;架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し;さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する工程を含む。
【0078】
態様15.暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法であって:反応性ポリマーと、反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し;架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し;さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する工程からなる。
【0079】
態様16.暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法であって:反応性ポリマーと、反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し;架橋剤及び酸触媒の存在下でその混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し;さらに、架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する工程から実質的になる。
【0080】
態様17.反応性ポリマーは30質量%〜80質量%の量で存在し、かつ担体ポリマーは20質量%〜55質量%の量で存在する、態様15又は16の方法。
【0081】
態様17a.反応性ポリマーは1質量%〜99質量%の量で存在し、かつ担体ポリマーは0質量%〜99質量%の量で存在する、態様15又は16の方法。
【0082】
態様18.切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことをさらに含む、態様15〜17のいずれかの方法。
【0083】
態様19.アンダーウォーター切断用具を使用することを含む、態様15〜18のいずれかの方法。
【0084】
態様20.不活性ガスの存在下で切断用具を使用して架橋された混合物を切断することにより、切断用具の酸素への曝露を減らすことを含む、態様15〜19のいずれかの方法。
【0085】
態様21.酸触媒は、有機酸、無機酸、ルイス酸、又はそれらの混合物である、態様15〜20のいずれかの方法。
【0086】
態様22.反応性ポリマーはニトリル基を含む、態様15〜21のいずれかの方法。
【0087】
態様23.反応性ポリマーは、ポリエステル、ジエンゴム、シリコンゴム、無水コポリマー、ポリアミド、ウレタン、メタクリル酸グリシジル含有ポリマー、又はそれらの組合せである、態様15〜22のいずれかの方法。
【0088】
態様24.前記担体ポリマーは、ポリカーボネートポリマー、ポリスチレンポリマー、又はそれらの混合物を含む、態様15〜23のいずれかの方法。
【0089】
態様25.切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことをさらに含む、態様15〜24のいずれかの方法。
【0090】
態様26.切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことが、アンダーウォーター切断用具を使用することを含む、態様25の方法。
【0091】
態様27.切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことが、不活性ガスの存在下で切断用具を使用して架橋された混合物を切断することにより、切断用具の酸素への曝露を減らすことを含む、態様25の方法。
【0092】
態様28.ポリエポキシドが0.05質量%〜10質量%の量で用いられ、及び酸触媒が0.01質量%〜1.0質量%の量で用いられる、態様15〜27のいずれかの方法。
【0093】
態様29.実施態様15〜28のいずれか1つに従い調製した低光沢ポリマー添加剤。
【0094】
態様30.実施態様15〜29のいずれか1つに従う低光沢ポリマー添加剤を含む熱可塑性組成物。
【実施例】
【0095】
以下の実施例は、この中で請求されている方法、添加剤、組成物、及び物品をどのように作成し及び評価するかの完全な開示及び説明を当業者に提供するために示されており、純粋に発明の例示であることが意図されており、発明者がその発明とみなすものの範囲を限定することは意図されていない。数(例えば、量、温度等)に関して、正確さを確実にする努力はなされるが、いくらかの誤差及び偏差は考慮されるべきである。他に指摘がない限り、部は質量部であり、温度は摂氏(℃)又は華氏(°F)で表され、或いは周囲温度であり、圧力は大気圧又はその近くである。
【0096】
実施例1−暗色化変色の発生の比較結果
材料及び方法
この中で議論されているデータに関して、下記の材料及び方法を用いた。表1は、それから試験PCMAT低光沢ポリマー添加剤を作成した成分を記載する;
【表1】
【0097】
9バレルに区分された58mm共回転二軸スクリュー押出機(ZSK 58 Super Compounder;Coperion GmbH,Stuttgart,Germany)を用いて、SAN、PC、ERL、及びDBSA成分の組合せの反応押出を実施した。
【0098】
SAN及びPC成分の架橋された混合物を切断するのに用いられた切断用具は、ウォーターリングペレタイザー(対照)、又はアンダーウォーターダイフェースペレタイザー(本発明に従う実験)の何れかであった。ウォーターリングペレタイザーは、6インチベリンガー水平ホットフェースカットウォーターリングペレタイザー(6" Beringer horizontal hot face cut water ring pelletizer)(Nordson XALOY Incorporated,Hickory,NC)であり、及びアンダーウォーターペレタイザーは、EUP 150アンダーウォーターペレッティングユニット(Econ GmbH,Weisskirchen/Traun,Austria)であった。
【0099】
高解像度3チップCCDカラーカメラを用いて不純物を有するペレットを検出及び区分けできるPS25−C自動光学ソーター(OCS GmbH,Witten,Germany)を使用して、ペレット化された低光沢ポリマー添加剤中の黒点(black specks)の数を決定した。
【0100】
結果
暗色化変色の外観の減少
表1に記載されているPCMAT低光沢ポリマー添加剤を、ウォーターリングペレタイザー(対照)、又はアンダーウォーターダイフェースペレタイザー(本発明に従う実験)の何れかを用いて調製した。基本供給速度、スクリュースピード、及び溶融温度はそれぞれ、対照及び実験の運転で実質的に同じであった。対照及び実験の両方の運転の間、1ポンドのサンプルを2〜4時間ごとに採取し、視認に必要なサイズ(最大寸法>300μm)を有する黒点のカウント数を提供する自動光学ソーターでチェックした。
【0101】
従来のプロセスに従い、すなわち、ウォーターリングダイフェースペレタイザーを用いて調製した低光沢ポリマー添加剤における暗色化変色の発生と、本発明に従い、すなわち、アンダーウォーターダイフェースペレタイザーを用いることにより、切断用具の酸素への曝露を減らし及び切断用具と押出される架橋された材料との間の界面の温度を低下させて調製した低光沢ポリマー添加剤の暗色化変色の発生との比較は、変色の差を示した。変色の発生は、本発明に従い調製した低光沢ポリマー添加剤よりも、従来の方法に従い調製した低光沢ポリマー添加剤においてより高い速度で増加することが見出された。従来の方法に従い調製された低光沢ポリマー添加剤の黒点のカウントと、この中に開示されている方法に従い調製された低光沢ポリマー添加剤の黒点のカウントは、運転の開始時点では実質的に同じレベルでスタートしたが、従来/対照の運転に関して黒点のカウントは始動の約5時間後に50グラム当たり42個まで急速に上昇し、一方、本発明/実験の運転は、始動の5時間後にたった20個の黒点を有するのみであった。両方の場合において、黒点の発生は、経時的に次第に増加する。しかしながら、本発明/実験の運転の場合、従来/対照の運転と比較して、黒点の発生はかなり遅い速度で増加した。特に、本発明/実験の運転は、ペレタイザーブレードの停止もクリーニングも全くなしに、連続24時間の運転の終わりに、50グラム当たり35個の黒点の観察をもたらした。従来/対照の運転は、黒点の発生が既に許容できないほど高いレベルまで増加したため、始動後たった10時間しか持続せず、そのような短い運転の間に50グラム当たり49個であった。従来/対照の運転と比較して、本発明/実験の運転は、目に見える(>300μm)黒点の発生の約50%の減少をもたらし、従来のプロセスを越える有意な改善を示す。
【0102】
表2は、従来のプロセスに従い、すなわち、ウォーターリングダイフェースペレタイザーを用いて調製した低光沢ポリマー添加剤PCMATの試料(n=11)における暗色化変色の発生と、本発明に従い、すなわち、アンダーウォーターダイフェースペレタイザーを用いることにより、切断用具の酸素への曝露を減らし及び切断用具と押出される架橋された材料との間の界面の温度を低下させて調製した低光沢ポリマー添加剤の試料(n=64)における暗色化変色の発生を比較した、追加の試験(上記と同じ材料及び方法を用いた)を提供する。
【表2】
【0103】
表2に示すように、500μ超の少なくとも1つの寸法を有する黒点の平均カウントは、従来のプロセスを用いて製造したPCMAT低光沢ポリマー添加剤材料において50グラム当たり14.75であり、本発明の方法を用いて作成したPCMAT低光沢ポリマー添加剤材料のカウントは50グラム当たり4.82であり、本発明において、黒点の発生の67%の減少を示す。300μ超の少なくとも1つの寸法を有する黒点の平均カウントは、従来のプロセスを用いて製造したPCMAT低光沢ポリマー添加剤材料において50グラム当たり48.63であり、本発明の方法を用いて作成したPCMAT低光沢ポリマー添加剤材料では50グラム当たり17.80であり、本発明において、黒点の発生の63%の減少を示す。
【0104】
黒点の最も高い発生を示す試料において、500μ超の少なくとも1つの寸法を有する黒点に関して、従来のプロセスに従い製造した試料は、50グラム当たり26.8の黒点のカウントを有し、本発明のプロセスに従い製造した試料は、50グラム当たり18.6の黒点のカウントを有していた。同じ試料の間で、300μ超の少なくとも1つの寸法を有する黒点のカウントは、従来通り製造した試料で86.5であり、本発明に従い製造した試料で58.6であった。
【0105】
実施例2−温度及び酸素含量の影響
温度、空気−対−不活性環境、及び高温での時間を含む、様々な操作条件下での切断用具のブレードに蓄積した低光沢ポリマー添加剤PCMATの変色挙動をシミュレートするために、一連の実験室実験を実施した。試験したPCMATペレットは、実施例1(表1)に記載した成分から製造した。
【0106】
実験において、希望通りに正確に温度を制御し及び通常の空気環境又は不活性(N
2)環境をもたらすことができる、熱重量分析(TGA)装置(Hi−Res TGA 2950,TA Instruments,New Castle,DE)内の密閉加熱チャンバーにいくつかのPCMATペレットを置いた。従来のウォーターリングペレタイザーのダイヘッドで通常みられる温度を示す500°F、及び空気環境(〜21%酸素)において、そのような温度及び酸素条件へのたった30分の曝露後に、PCMATペレットのかなりの暗色化が生じ、また90分後にはより深刻な暗色化が生じた。より低い温度(400°F)では、PCMATペレットは、空気環境への曝露の90分後に非常に軽い暗色化のみを示した。一方、500°F及び実質的に酸素を含まない不活性環境では、PCMATペレットは、有意には変色せず、30分後及び90分後でさえ、切りたてのペレットと比較して、黄色さの僅かな増加を示しただけであった。不活性(窒素)環境及び400°Fの温度に曝露した場合、PCMATペレットにおいて、切りたてのペレットと比較して、色の変化はほとんど無かった。従って、低光沢ポリマー添加剤が曝される温度を低くし及び/又は酸素の量を減らすことにより、暗色化変化が有意に減少することが分かった。
【0107】
実施例3−低光沢
PCMAT製品を、実施例1(表1)に記載されている材料から調製し、さらに従来の方法(ウォーターリングペレタイザーを使用する)に従い加工した。また、第2のPCMAT製品を、実施例1(表1)に記載されている材料から調製し、さらに本発明の方法(界面温度が低くされ及び酸素への曝露が低減された切断用具、すなわち、アンダーウォーターダイフェースペレタイザーを使用する)に従い加工した。従来のPCMAT製品及び本発明のPCMAT製品をそれぞれ、PC/ABSポリマー配合物(formulation)と混合し、各PCMAT添加剤が光沢を低減する能力について、得られた熱可塑性材料を評価した。処理のバラつきを説明するために、本発明のPCMAT製品の3つの別個の試料を作成し、PC/ABSポリマー配合物と別個に混合した。
【0108】
材料及び方法
PC/ABS+PCMAT配合物は、表3に挙げられている成分を用いて調製した。
【表3】
【0109】
シングルオーガーフェッドフィーダー(single auger-fed feeder)、2ストランドダイフェース(two-strand die face)、水浴、及びストランドペレターザーを備えた、5バレルに区分された33mm共回転二軸スクリュー押出機(Leistritz AG,Nuernberg,Germany)を用いて、PCMAT低光沢ポリマー添加剤を含むPC/ABS熱可塑性ポリマーを調製した。
【0110】
マイクロ−グロス60°ハンドヘルドグロスメーター(Micro-Gloss 60-degree handheld gloss meter)(BYK−Gardner GmbH,Geretsried,Germany)を用いて、PC/ABS熱可塑性ポリマーの光沢度を測定した。本開示の目的のために、上記のグロスメーターを用いてある物質に関して得られた30以下の光沢値は、その物質を「低光沢」とみなす。一方、「高光沢」物質は、30超〜90までの読み出しをもたらす。この中で開示されている測定は、試験物質の無地のプラーク(non-patterned plaque)から得られた。
【0111】
結果
以下の表4に示すように、本発明のPCMAT製品を含むPC/ABS熱可塑性ポリマーの光沢度は、従来のPCMAT製品を含むPC/ABS熱可塑性ポリマーの光沢度と実質的に同じであることが観察された。
【表4】
他の実施形態
1.暗色化変色の発生が低減された低光沢ポリマー添加剤を製造する方法であって:
反応性ポリマーと、該反応性ポリマーに実質的に非混和性である担体ポリマーとの混合物を形成し;
架橋剤及び酸触媒の存在下で前記混合物を反応押出し、それにより混合物を架橋し;さらに、
前記架橋された混合物を、切断用具を用いて、該切断用具と混合物との間の界面における温度を低下させる、該切断用具の酸素への曝露を減らす、又はその両方の条件下で切断し、それにより低光沢ポリマー添加剤を製造する;各工程を含む、方法。
2.前記反応性ポリマーは30質量%〜80質量%の量で存在し、かつ前記担体ポリマーは20質量%〜55質量%の量で存在する、実施形態1記載の方法。
3.前記切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことをさらに含む、実施形態1又は2記載の方法。
4.アンダーウォーター切断用具を使用することを含む、実施形態1〜3いずれかに記載の方法。
5.不活性ガスの存在下で前記切断用具を使用して前記架橋された混合物を切断することにより、前記切断用具の酸素への曝露を減らすことを含む、実施形態1〜3いずれかに記載の方法。
6.前記酸触媒は、有機酸、無機酸、ルイス酸、又はそれらの混合物である、実施形態1〜5いずれかに記載の方法。
7.前記反応性ポリマーはニトリル基を含む、実施形態1〜6いずれかに記載の方法。
8.前記反応性ポリマーは、ポリエステル、ジエンゴム、シリコンゴム、無水コポリマー、ポリアミド、ウレタン、メタクリル酸グリシジル含有ポリマー、又はそれらの組合せである、実施形態1〜7いずれかに記載の方法。
9.前記担体ポリマーは、ポリカーボネートポリマー、ポリスチレンポリマー、又はそれらの混合物を含む、実施形態1〜8いずれかに記載の方法。
10.前記切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことをさらに含む、実施形態1〜9いずれかに記載の方法。
11.切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことが、アンダーウォーター切断用具を使用することを含む、実施形態10記載の方法。
12.切断用具への架橋された混合物の蓄積を減らすことが、不活性ガスの存在下で切断用具を使用して架橋された混合物を切断することにより、切断用具の酸素への曝露を減らすことを含む、実施形態10記載の方法。
13.ポリエポキシドが0.05質量%〜10質量%の量で用いられ、及び酸触媒が0.01質量%〜1.0質量%の量で用いられる、実施形態1〜12いずれかに記載の方法。
14.実施形態1〜13いずれかに記載の方法により調製した低光沢ポリマー添加剤。
15.実施形態14記載の低光沢ポリマー添加剤を含む熱可塑性組成物。