(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記出力制御部は、前記中継器に接続している通信端末の数が、前記中継器が同時に接続可能な通信端末の数を示す接続上限数より少ない場合に前記所定値を大きくし、前記接続上限数である場合に前記所定値を小さくする、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[実施の形態に係る電波出力制御システムSの概要]
図1は、電波出力制御システムSの概要を説明するための図である。電波出力制御システムSは、情報処理装置1と、中継器2と、複数の通信端末3(3a、3b、3c、3d、及び3e)を備える。情報処理装置1は、通信端末3をネットワークに無線通信を介して接続させる中継器2を制御するサーバである。中継器2は、通信端末3をネットワークに無線通信を介して接続させる、例えばWi−Fi(登録商標)のアクセスポイントである。
【0019】
実線で示す店舗Oは、中継器2が設置された店舗である。斜線で塗りつぶした領域は、店舗Oの外の道路である。通信端末3a、3b、及び3cは、店舗Oを利用するユーザが使用する通信端末であり、店舗Oの店内で使用されている。通信端末3d及び3eは、店舗Oを利用していない歩行者の通信端末であり、店舗Oの店外で使用されている。破線で示すエリアA1は、中継器2が通信端末3と無線通信を介して通信可能な範囲(以下、カバーエリアという)である。中継器2のカバーエリアは、中継器2からの距離が数十m以内の範囲である。なお、本実施の形態においては、店舗Oは、コンビニエンスストア、スーパー等の商店であることを想定しているが、これに限らず、スタジアムなどの施設であってもよい。
【0020】
ユーザに通信サービスを提供する事業者は、店舗Oの利用者が店内で使用する通信端末3をネットワークに中継器2を介して接続する通信サービスを提供している。事業者は、店舗Oを利用する多くのユーザに通信サービスを提供しようとすると、中継器2のカバーエリアを広くする必要がある。
【0021】
しかしながら、中継器2のカバーエリアを広くしすぎると、中継器2に対して、想定していないユーザの通信端末3から接続要求を受ける場合がある。例えば、中継器2は、店舗Oの外に存在する、店舗Oを利用していないユーザの通信端末3から接続要求を受ける。具体的には、
図1に示すように、中継器2は、エリアA1に含まれているが、店舗Oの外に存在する通信端末3d又は3eから接続要求を受ける。この場合、中継器2は、店舗Oを利用するユーザの通信端末3に対応する処理だけでなく、店舗Oを利用していないユーザの通信端末3に対応する処理に計算リソースを使用してしまう。そのため、店舗Oを利用するユーザの通信端末3の通信品質が低下してしまうことがあった。
【0022】
このように、中継器2のカバーエリアを広げすぎると、中継器2が設置された店舗Oを利用するユーザの通信端末3の通信品質が低下するおそれがある。一方、通信品質の低下を抑制するために中継器2のカバーエリアを狭くすると、中継器2のカバーエリアが店舗Oより小さくなって、中継器2が、通信端末3と店舗Oの一部の領域でしか通信できなくなることが懸念される。そのため、事業者は、通信を提供する通信端末3のユーザの満足度を高めるために、カバーエリアの広さと、通信品質とのバランスをとる必要があった。
【0023】
そこで、実施の形態に係る情報処理装置1は、中継器2に対して接続要求を行った通信端末3の数に基づいて、中継器2が発する電波の出力を制御することにより、中継器2のカバーエリアの広さと通信品質とのバランスをとる。具体的には、まず、情報処理装置1は、中継器2に対して接続要求を行った通信端末3の数を示す接続要求端末数を取得する。そして、情報処理装置1は、接続要求端末数が所定値以上である場合、中継器2の電波の出力を下げ、接続要求端末数が所定値未満である場合、中継器2の電波の出力を上げる。
【0024】
所定値は、中継器2が通信端末3と無線通信を介して通信可能な範囲の調整に用いられる範囲調整値である。情報処理装置1は、中継器2に応じて定まる中継器2が通信端末3を同時に接続できる数である同時接続上限値に基づいて範囲調整値を設定する。例えば、情報処理装置1は、同時接続上限値以上の範囲調整値を設定する。具体的には、情報処理装置1は、同時接続上限値に、処理負荷の増加を許容できる接続要求の数を加えた値を範囲調整値として設定する。
【0025】
仮に、範囲調整値が同時接続上限値より小さい場合、接続要求を行って中継器2に接続する通信端末3の数が同時接続上限値になったとき、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力を下げる。この場合、中継器2のカバーエリアは、狭くなる。そのため、店舗O内であるが、中継器2のカバーエリア外である領域が生じるおそれがある。店舗O内であるが中継器2のカバーエリア外である領域に存在する通信端末3のユーザは、店舗Oを利用しているのにも関わらず、中継器2を介した通信サービスの提供を受けられなくなることが懸念される。
【0026】
そこで、情報処理装置1は、カバーエリアが店舗O内を含められるように、同時接続上限値以上の範囲調整値を設定する。そして、情報処理装置1は、カバーエリアが店舗O内を含む状態で、中継器2が発する電波の出力を調整することにより、カバーエリアの広さと通信品質のバランスを取る。
【0027】
情報処理装置1は、接続要求端末数が範囲調整値未満である場合、中継器2の計算リソースには余裕があるとみなして、例えば、中継器2の電波の出力を上げることにより店舗Oの外までカバーエリアを広げる。このようにすることで、中継器2は、例えば、店舗Oを利用しようとする利用者が使用する通信端末3が店舗Oの外にあるうちから、通信端末3からの接続要求を受けることができる。そのため、情報処理装置1は、利用者が店舗Oに入店してから、中継器2を介した通信が開始されるまでの待ち時間を短くできるので、利用者の利便性を向上できる。
【0028】
また、情報処理装置1は、接続要求端末数が所定値以上である場合、中継器2の計算リソースには余裕がないとみなして、中継器2の電波の出力を下げることによりカバーエリアを狭くする。具体的には、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力を下げて、中継器2のカバーエリアを
図1に示すエリアA1から、一点鎖線で示すエリアA2に変化させる。このようにすることで、情報処理装置1は、例えば、中継器2に対して店舗Oの外から接続要求を行う通信端末3の数を低減することができる。このようにすることで、情報処理装置1は、店舗Oを利用するユーザの通信端末3に中継器2の計算リソースを集中させることができる。
【0029】
このように、情報処理装置1は、中継器2に対して接続要求を行った通信端末3の数を示す接続要求端末数を取得し、接続要求端末数が所定値以上であれば中継器2が発する電波の出力を下げ、接続要求端末数が所定値未満であれば中継器2が発する電波の出力を上げる。そのため、情報処理装置1は、中継器2のカバーエリアの広さと、通信品質とのバランスをとることができる。
【0030】
[情報処理装置1の機能構成]
図2は、情報処理装置1の機能構成を示す図である。情報処理装置1は、通信部11と、記憶部12と、制御部13とを備える。通信部11は、ネットワークを介して中継器2と情報を送受信する通信モジュールである。通信部11は、例えば、LANモジュールである。
【0031】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を含む記憶媒体である。記憶部12は、制御部13が実行するプログラムを記憶する。記憶部12は、通信端末3の数を記憶してもよい。例えば、記憶部12は、中継器2に接続要求を行った通信端末3の数を示す接続要求端末数を記憶する。
【0032】
制御部13は、例えばCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを含む計算リソースである。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、取得部131、判定部132、及び出力制御部133としての機能を実現する。
【0033】
取得部131は、中継器2に対して接続要求を行った通信端末3(以下、接続要求端末という)の数を示す接続要求端末数を取得する。例えば、取得部131は、所定の期間において中継器2に接続要求を行った通信端末3の数を取得する。所定の期間は、例えば、接続要求を行った通信端末3の接続を許可するまでの期間である。許可するまでの期間は、例えば、通信端末3が中継器2に対して接続要求を行った後、再度接続要求を行うまでの期間である。許可するまでの期間の具体的な値は、例えば30秒である。
【0034】
出力制御部133は、中継器2が発する電波の出力を制御する。例えば、出力制御部133は、中継器2に中継器2が発する電波の出力を上げさせる指示、又は出力を下げさせる指示を送信することにより、中継器2の電波の出力を制御する。以下、出力制御部133が、中継器2が発する電波の出力を制御する処理について説明する。
【0035】
(接続要求端末数に基づいて中継器2が発する電波の出力を制御する処理)
出力制御部133は、取得部131が取得した接続要求端末数に基づいて中継器2が発する電波の出力を制御する。具体的には、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上である場合、中継器2が発する電波の出力を下げさせる指示を送信する。また、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値未満である場合、中継器2が発する電波の出力を上げさせる指示を送信する。
【0036】
図3は、中継器2の電波の出力を制御する処理のフローチャートである。まず、取得部131は、中継器2に対して接続要求を行った通信端末3の数を示す接続要求端末数を取得する(ステップS1)。次に、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上か否かを判定する(ステップS2)。
【0037】
出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上であると判定すると(ステップS2でYes)、中継器2が発する電波の出力を下げさせる指示を送信する(ステップS3)。出力制御部133は、接続要求端末数が所定値未満であると判定すると(ステップS2でNo)、中継器2が発する電波の出力を上げさせる指示を送信する(ステップS4)。
【0038】
このように、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上である場合、中継器2の電波の出力を下げさせることによりカバーエリアを狭める。また、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値未満である場合、中継器2の電波の出力を上げさせることによりカバーエリアを広げる。このようにすることで、出力制御部133は、中継器2のカバーエリアの広さと、通信端末3の通信品質とのバランスをとることができる。
【0039】
(接続要求端末数と接続要求を行ったが接続しなかった通信端末3の数とに基づいて中継器2が発する電波を制御する処理)
通信端末3は、中継器2のカバーエリアに進入して接続要求を行った後、所定時間経過しても中継器2に接続しない場合がある。以下、中継器2に対して接続要求を行ったが接続しなかった通信端末3を未接続端末という。
【0040】
接続要求端末数に対する未接続端末の数の割合を低減できれば、中継器2に接続している通信端末3に使用できる計算リソースの割合を高められる。そこで、出力制御部133は、接続要求端末数に対する未接続端末の数の割合が小さくなるように中継器2が発する電波の出力を下げさせる。以下、接続要求端末数と未接続端末の数とに基づいて中継器2が発する電波を制御する処理について具体的に説明する。
【0041】
まず、取得部131は、未接続端末の数を示す未接続端末数を取得する。具体的には、取得部131は、所定の期間において中継器2に接続要求を行った通信端末3のうち所定の期間中に中継器2に接続されなかった通信端末3の数を未接続端末数として取得する。
【0042】
出力制御部133は、接続要求端末数に対する未接続端末数の割合が閾値より小さくなるまで中継器2が発する電波の出力を下げる。閾値は、中継器2に接続すると予測された通信端末3の数に対する、中継器2に接続要求を行った後に接続要求を行わなくなると予想された通信端末3の割合である。中継器2に接続する通信端末3の数の予測は、所定の計測期間における中継器2に接続した通信端末3の数に基づいて、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより制御部13が行うことができる。中継器2に接続要求を行った後に接続要求を行わなくなる通信端末3の数の予測も、同様に、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより制御部13が行うことができる。
【0043】
計測期間は、出力制御部133により中継器2が発する電波の出力が変更されてから、次に変更されるまでの期間である。中継器2が発する電波の出力が変更されてから次に変更されるまでの期間の具体的な値は、例えば1時間、1日、1週間である。
【0044】
なお、閾値が小さすぎる場合、出力制御部133は、中継器2が発する電波の出力を下げすぎてしまい、中継器2のカバーエリアが狭くなってしまうおそれがある。そのため、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上を維持することを条件として、中継器2が発する電波の出力を下げる。このようにすることで、出力制御部133は、中継器2にある程度の接続要求が行われている状態で、未接続端末の数を低減することができる。そのため、出力制御部133は、中継器2に接続している通信端末3に使用できる計算リソースの割合を高められる。
【0045】
図4は、中継器2のカバーエリアの広さと、通信品質とのバランスをとる処理のフローチャートである。まず、取得部131は、接続要求端末数を取得する(ステップS11)。続いて、取得部131は、未接続端末数を取得する(ステップS12)。次に、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上か否かを判定する(ステップS13)。
【0046】
出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上であると判定すると(ステップS13でYes)、接続要求端末数に対する未接続端末数の割合を特定する(ステップS14)。出力制御部133は、接続要求端末数に対する未接続端末数の割合が閾値以下か否かを判定する(ステップS15)。
【0047】
出力制御部133は、接続要求端末数に対する未接続端末数の割合が閾値未満であると判定すると(ステップS15でNo)、中継器2が発する電波の出力を下げさせる指示を送信する(ステップS16)。出力制御部133は、接続要求端末数に対する未接続端末数の割合が閾値以下であると判定すると(ステップS15でYes)、処理を終了する。
【0048】
出力制御部133は、接続要求端末数が所定値未満であると判定すると(ステップS13でNo)、中継器2が発する電波の出力が、中継器2が発する電波の出力の最大値か否かを判定する(ステップS17)。出力制御部133は、中継器2が発する電波の出力が、中継器2が発する電波の出力の最大値ではないと判定すると(ステップS17でNo)、中継器2が発する電波の出力を上げさせる指示を送信する(ステップS18)。出力制御部133は、中継器2が発する電波の出力が、中継器2が発する電波の出力の最大値であると判定すると(ステップS17でYes)、処理を終了する。
【0049】
このように、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上になるようにカバーエリアを広げ、接続要求端末数に対する未接続端末数の割合が小さくなるようにカバーエリアを狭くする。このようにすることで、出力制御部133は、中継器2のカバーエリアの広さと、通信端末3の通信品質とのバランスをとることができる。
【0050】
なお、出力制御部133は、中継器2に中継器2が接続可能な通信端末3の数の上限以上の接続要求があった場合、中継器2が発する電波の出力を下げてもよい。この場合、取得部131は、所定の期間において中継器2に接続要求を行った通信端末3のうち期間中に中継器2に接続されなかった通信端末3の数を取得する。具体的には、取得部131は、中継器2に中継器2が接続可能な通信端末3の数の上限以上の接続要求があったため、中継器2に接続されなかった通信端末3の数を未接続端末数として取得する。
【0051】
そして、出力制御部133は、取得部131により取得された上限以上の接続要求があったために接続されなかった通信端末3の数を示す未接続端末数が、中継器2の処理負荷を許容できる所定の数より少なくなるまで中継器2が発する電波の出力を下げる。所定の数は、例えば、接続要求の増加による処理負荷を許容できる通信端末3の数を示す許容数である。このようにすることで、出力制御部133は、中継器2に過剰な接続要求が行われることを低減できるので、中継器2に接続している通信端末3の通信品質の低下を抑制できる。
【0052】
(カバーエリア外に移動した通信端末3か、接続要求を中止した通信端末3かを判定する処理)
未接続端末には、中継器2のカバーエリアから出た通信端末3である移動端末と、中継器2に対する接続要求を中止した通信端末3である中止端末とが含まれる。移動端末は、例えば、店舗Oの外を移動する歩行者が使用する通信端末3である。移動端末は、店舗Oの外にまで広がった中継器2のカバーエリアに入ると接続要求を行い、歩行者とともに移動して中継器2のカバーエリアから出ると、以後接続要求を行わなくなる。
【0053】
中継器2に対する移動端末からの接続要求の数を低減するためには、中継器2のカバーエリアが店舗Oの外にまで広がらないようにカバーエリアを狭くする必要がある。この場合、移動端末と中止端末とを含む未接続端末の数を用いると、移動端末の数を多く見積もることになり、中継器2が発する電波の出力を下げすぎて、カバーエリアを狭くしすぎてしまうことが懸念される。そこで、情報処理装置1は、未接続端末が移動端末か中止端末かを判定し、移動端末の数に基づいて中継器2が発する電波の出力を制御する。
【0054】
情報処理装置1が移動端末か否かを判定する場合、中継器2と異なる無線通信を介して通信端末3をネットワークに接続させる複数の基地局それぞれを識別する基地局IDを用いることができる。基地局のカバーエリアは、基地局からの距離が数kmの範囲である。そのため、通信端末3が接続する基地局の基地局IDが変化した場合、通信端末3が数km移動したとみなすことができる。
【0055】
そこで、判定部132は、通信端末3が接続要求を行ったときに接続していた基地局を識別する第1基地局IDと、接続要求を行わなくなった後に接続している基地局を識別する第2基地局IDとが一致しているか否かに基づいて移動した移動端末か否かを判定する。具体的には、判定部132は、第1基地局IDと第2基地局IDとが一致していない場合、数kmの距離を移動したとみなして移動端末であると判定し、第1基地局IDと第2基地局IDとが一致している場合、移動端末と判定しない。
【0056】
また、判定部132は、第1基地局IDと第2基地局IDとが一致している場合であっても、基地局が受信した通信端末3からの電波の強度に基づいて、移動した移動端末か否かを判定してもよい。具体的には、判定部132は、基地局が受信した通信端末3からの電波の強度の変化に基づいて移動した移動端末か否かを判定する。例えば、判定部132は、接続要求を行ったときに基地局が受信した第1の電波の強度と、接続要求を行ってから所定の期間が経過した後に基地局が受信した第2の電波の強度とに基づいて移動端末か否かを判定する。具体的には、判定部132は、第1の電波の強度と第2の電波の強度との差の絶対値が、所定の変化量より大きい場合、移動端末と判定する。また、判定部132は、第1の電波の強度と第2の電波の強度との差の絶対値が、所定の変化量以下である場合、接続要求を中止した中止端末であると判定する。
【0057】
図5は、未接続端末が移動端末か中止端末かを判定する処理を判定する処理のフローチャートである。まず、取得部131は、中継器2に接続要求を行った通信端末3が接続する基地局を識別する第1基地局IDを取得する(ステップS21)。次に、取得部131は、通信端末3が中継器2に接続要求を行ってから所定の期間が経過した後に接続している基地局を識別する第2基地局IDを取得する(ステップS22)。
【0058】
判定部132は、通信端末3が中継器2に接続要求を行ったときに接続していた基地局を識別する第1基地局IDと、接続要求を行ってから所定の期間が経過した後に接続している基地局を識別する第2基地局IDとが一致するか否かを判定する(ステップS23)。
【0059】
判定部132は、第1基地局IDと第2基地局IDとが一致しないと判定すると(ステップS23でNo)、未接続端末がカバーエリア外に移動した移動端末であると判定する(ステップS24)。
【0060】
判定部132は、第1基地局IDと第2基地局IDとが一致すると判定すると(ステップS23でYes)、ステップS25に移行する。取得部131は、通信端末3が中継器2に接続要求を行ったときに基地局が通信端末3から受信した第1の電波の強度を取得する(ステップS25)。続いて、取得部131は、接続要求を行ってから所定の期間が経過した後に基地局が通信端末3から受信した第2の電波の強度を取得する(ステップS26)。
【0061】
判定部132は、接続要求を行ったときに基地局が受信した第1の電波の強度と、接続要求を行ってから所定の期間が経過した後に基地局が受信した第2の電波の強度との差の絶対値が、所定の変化量より大きいか否かを判定する(ステップS27)。判定部132は、電波の強度の差の絶対値が所定の変化量以下であると判定した場合(ステップS27でNo)、通信端末3が移動していないとみなして、中継器2に対する接続要求を中止した中止端末であると判定する(ステップS28)。
【0062】
判定部132は、電波の強度の差の絶対値が所定の変化量より大きいと判定した場合(ステップS27でYes)、カバーエリア外に移動した移動端末であると判定する(ステップS24)。そして、判定部132は、取得部131に対して、未接続端末のうち中継器2のカバーエリア外に移動した移動端末であると判定した通信端末3の数を通知する。
【0063】
取得部131は、中継器2に接続要求を行った通信端末3のうち、判定部132により中継器2のカバーエリア外に移動したと判定された移動端末の数を取得する。この場合、取得部131は、所定の期間において中継器2に接続要求を行った通信端末3のうち所定の期間中に中継器2に接続された通信端末3の数を示す接続端末数を取得する。そして、取得部131は、判定部132によりカバーエリア外に移動したと判定された移動端末の数と、中継器2に接続している通信端末3の数を示す接続端末数とを合算した数を接続要求端末数として取得する。
【0064】
そして、出力制御部133は、移動端末の数と接続端末数とを合算した接続要求端末数に対する移動端末の数の割合が閾値以下になるまで中継器2の電波の出力を下げる。このようにすることで、出力制御部133は、中継器2に対し、店舗Oの外を移動する歩行者が使用する通信端末3からの接続要求を低減することができる。そのため、出力制御部133は、店舗Oを利用する利用者が使用する通信端末3の中継器2を介した通信の通信品質の低下を抑制することができる。
【0065】
なお、判定部132は、取得部131に中継器2に対する接続要求を中止した中止端末であると判定した通信端末3の数を通知してもよい。この場合、取得部131は、接続要求端末数から中継器2への接続要求を中止したと判定された通信端末3の数を除外した新たな接続要求端末を取得する。また、取得部131は、未接続端末数から中継器2への接続要求を中止したと判定された通信端末3の数を除外した新たな未接続端末数を取得する。このようにすることでも、出力制御部133は、移動端末の数に基づいて中継器2が発する電波の出力を制御することができる。
【0066】
(接続端末数に基づいて所定値を変更する処理)
中継器2は、接続端末数が接続上限数より少ない場合、さらに通信端末3を接続させることができる。そこで、情報処理装置1は、中継器2のカバーエリアを広くする。カバーエリアを広くすると、通信端末3からの接続要求を受ける確率が上がり、接続要求を行う通信端末3の数が増加することが予想される。また、中継器2は、接続端末数が接続上限数である場合、それ以上の通信端末3を接続させることができない。そのため、中継器2は、接続上限数を超える接続要求を受けつづけると、処理負荷が増大する。
【0067】
そこで、情報処理装置1は、中継器2に接続している通信端末3の数を示す接続端末数に基づいて、カバーエリアを調整する。この場合、情報処理装置1は、
図3のフローチャートで説明した所定値を変更することにより、カバーエリアを調整する。
【0068】
例えば、情報処理装置1は、所定値を大きくすることで、接続要求端末数が所定値未満である(ステップS2においてNo)と判定しやすくできる。その結果、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力を上げる確率が高くなるので、中継器2のカバーエリアを広くしやすくできる。
【0069】
また、出力制御部133は、所定値を小さくすることで、接続要求端末数が所定値以上である(ステップS2においてYes)と判定しやすくできる。その結果、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力を下げる確率が高くなるので、中継器2のカバーエリアを狭くしやすくできる。
【0070】
このように、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力を制御するための所定値を変更することにより、カバーエリアを調整する。以下、接続端末数に基づいて所定値を変更する処理の流れについて説明する。
図6は、所定値を変更する処理のフローチャートである。まず、取得部131は、中継器2に接続する通信端末3の数を示す接続端末数を取得する(ステップS31)。次に、出力制御部133は、取得部131により取得された接続端末数が、中継器2の接続上限数より少ないか否かを判定する(ステップS32)。
【0071】
出力制御部133は、取得部131により取得された接続端末数が、中継器2の接続上限数より少ないと判定した場合(ステップS32でYes)、所定値を大きくする(ステップS33)。この場合、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値未満である(
図3のフローチャートのステップS2においてNo)と判定しやすくなり、中継器2が発する電波の出力を上げる確率が高くなる。
【0072】
出力制御部133は、取得部131により取得された接続端末数が、中継器2の接続上限数であると判定した場合(ステップS32でNo)、所定値を小さくする(ステップS34)。この場合、出力制御部133は、接続要求端末数が所定値以上である(
図3のフローチャートのステップS2においてYes)と判定しやすくなり、中継器2が発する電波の出力を下げる確率が高くなる。
【0073】
このように、出力制御部133は、中継器2に接続する通信端末3の数が接続上限数である場合、中継器2が発する電波の出力を下げる方向に所定値を変更する。このようにすることで、出力制御部133は、例えば、店舗Oの外で立ち止まっているユーザが使用する通信端末3との接続を低減することができる。そのため、出力制御部133は、店舗Oを利用する利用者が使用する通信端末3の通信品質の低下を抑制できる。
【0074】
(中継器2が発する電波の出力の上限値を設定する処理)
情報処理装置1は、中継器2に接続する通信端末3の数を示す接続端末数が中継器2の接続上限数より少ない場合、中継器2のカバーエリアが広くなるように、中継器2が発する電波の出力を上げる。具体的には、情報処理装置1は、接続端末数が接続上限より少ない状態が継続されると、
図6のステップS32でYesと判定し続け、
図4のステップS13でNoと判定し続けるので、中継器2が発する電波の出力が最大になるまで電波の出力を上げる。この場合、中継器2のカバーエリアが、店舗Oの外にまで広がってしまうことが考えられる。中継器2のカバーエリアが店舗Oの外にまで広がってしまうと、店舗の外の歩行者が使用する通信端末3からの接続要求の数が増加して、店舗Oを利用する利用者の通信端末3の通信品質が悪化することが懸念される。
【0075】
そこで、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力の上限値を設定する。例えば、情報処理装置1は、中継器2が上限値の電波を出力した場合のカバーエリアである最大カバーエリアに、中継器2が設置された店舗Oの事業の用に供する部分が含まれるように、中継器2が発する電波の出力の上限値を設定する。具体的には、情報処理装置1は、最大カバーエリアの面積が、店舗Oの事業の用に供する部分の面積にカバーエリアの上限を定めるための調整値である上限調整値を加算した面積以上になるように上限値を設定する。上限調整値は、例えば、店舗Oの屋外の面積である。店舗Oの屋外の面積は、具体的には、店舗Oが利用者に提供するテラス席の面積である。なお、上限値は、最大カバーエリアの面積が、店舗Oの事業の用に供する部分の面積と等しくなるように設定してもよく、通信事業者が適宜設定してもよい。
【0076】
そして、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力が設定した上限値未満であれば電波の出力を上げ、電波の出力が設定した上限値以上であれば電波の出力を上げない。このようにすることで、情報処理装置1は、中継器2のカバーエリアを必要以上に広げてしまうことを低減できる。そのため、情報処理装置1は、店舗Oを利用する利用者の通信端末3の通信品質が悪化することを抑制できる。
【0077】
(中継器2が発する電波の出力の下限値を設定する処理)
情報処理装置1は、例えば、店舗Oの店内が混雑し、多数の通信端末3から中継器2に接続要求が行われると、中継器2の発する電波を下げる。具体的には、情報処理装置1は、接続要求端末数に基づいて中継器2が発する電波の出力を制御する処理を実行した場合、接続要求端末数が所定値以上の状態が継続すると、中継器2の発する電波を下げ続ける。この場合、中継器2のカバーエリアが狭くなり、店舗O内を含めることができなくなることが考えられる。
【0078】
そこで、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力の下限値を設定する。例えば、情報処理装置1は、中継器2が下限値の電波を出力した場合のカバーエリアである最小カバーエリアに、中継器2が設置された店舗Oの事業の用に供する部分が含まれるように、中継器2が発する電波の出力の下限値を設定する。具体的には、情報処理装置1は、最小カバーエリアの面積が、店舗Oの事業の用に供する部分の面積と等しくなるように下限値を設定する。また、情報処理装置1は、最大カバーエリアの面積が、店舗Oの事業の用に供する部分の面積にカバーエリアの下限を定めるための調整値である下限調整値を加算した面積以上になるように下限値を設定する。下限調整値は、カバーエリアが店舗Oの店内を含み、かつ店舗Oの店外に存在する道路を含まないように設定するのが好ましい。
【0079】
そして、情報処理装置1は、中継器2が発する電波の出力が設定した下限値より大きい場合、電波の出力を下げ、電波の出力が設定した下限値以下であれば電波の出力を下げない。このようにすることで、情報処理装置1は、中継器2のカバーエリアを必要以上に狭くしまうことを低減できる。
【0080】
(時間帯に応じて所定値を変更する処理)
店舗Oに設置された中継器2に対して接続要求を行う通信端末3の数は、時間帯に応じて変化する。例えば、店舗Oがコンビニエンスストアである場合、中継器2に対して接続要求を行う通信端末3の数は、朝の通勤時間帯又は昼休みの時間帯において多く、深夜から早朝までの時間帯において少ない。
【0081】
このように、接続要求を行う通信端末3の数が時間帯に応じて変化している場合に一日を通して同一の所定値を使用すると、出力制御部133は、例えば、店舗Oに多数の人が来店した場合、中継器2のカバーエリアを狭くしすぎてしまうおそれがある。具体的には、出力制御部133は、店舗Oに多数の人が来店した場合、接続要求端末数が所定値以上と判定する確率が高くなるので、中継器2が発する電波の出力を下げ続ける。そのため、中継器2のカバーエリアが狭くなるので、中継器2は、通信端末3と通信できなくなる。
【0082】
そこで、出力制御部133は、時間帯に応じて所定値を変更する。この場合、記憶部12は、複数の時間帯それぞれと、複数の時間帯それぞれに対応する所定値とを関連付けて記憶する。例えば、記憶部12は、所定値を中継器2に接続する通信端末3の数が少ない時間帯の所定値より大きな所定値を中継器2に接続する通信端末3の数が多い時間帯に関連付けて記憶する。また、取得部131は、接続要求端末数を取得した時間を示す時刻情報を取得する。
【0083】
出力制御部133は、取得部131が接続要求端末数を取得した時間に基づいて所定値を決定する。具体的には、出力制御部133は、記憶部12を参照して、時刻情報に示される時間が含まれる時間帯に対応する所定値を特定する。そして、出力制御部133は、特定した所定値を用いて、接続要求端末数が所定値以上か否かを判定する。このようにすることで、出力制御部133は、店舗Oに多数の人が来店する時間帯において、中継器2が発する電波の出力を下げすぎてカバーエリアを狭くしすぎてしまうことを低減できる。
【0084】
[電波の出力を制御する中継器2]
以上の説明においては、情報処理装置1が、中継器2が発する電波の出力を制御した。これに限らず、中継器2が、当該中継器2が発する電波の出力を制御してもよい。この場合、中継器2は、情報処理装置1と同様の機能を備える。このように、中継器2が発する電波の出力を当該中継器2が制御することにより、事業者は、中継器2を設置するだけで中継器2のカバーエリアと通信品質とのバランスをとることができる。そのため、事業者は、中継器2と情報処理装置1とを接続するための設定などを行わなくてもよくなるので、作業工数を低減できる。
【0085】
[実施の形態に係る情報処理装置1の効果]
以上説明したとおり、情報処理装置1は、中継器2に対して接続要求を行った通信端末3の数を示す接続要求端末数を取得し、接続要求端末数が所定値以上であれば中継器2が発する電波の出力を下げ、接続要求端末数が所定値未満であれば中継器2が発する電波の出力を上げる。このようにすることで、情報処理装置1は、中継器2のカバーエリアの広さと、通信品質とのバランスをとることができる。
【0086】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の分散・統合の具体的な実施の形態は、以上の実施の形態に限られず、その全部又は一部について、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を合わせ持つ。