特許第6839191号(P6839191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6839191
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】サイクルへの動作伝達のための装置
(51)【国際特許分類】
   B62M 9/12 20060101AFI20210222BHJP
【FI】
   B62M9/12
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-529751(P2018-529751)
(86)(22)【出願日】2016年6月17日
(65)【公表番号】特表2018-525281(P2018-525281A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】IB2016053625
(87)【国際公開番号】WO2017033068
(87)【国際公開日】20170302
【審査請求日】2019年5月23日
(31)【優先権主張番号】102015000046386
(32)【優先日】2015年8月25日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518064385
【氏名又は名称】ブリオージ,アントネッロ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ブリオージ,アントネッロ
【審査官】 伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06173982(US,B1)
【文献】 仏国特許出願公開第02590223(FR,A1)
【文献】 仏国特許発明第01019930(FR,B1)
【文献】 独国特許出願公開第03141296(DE,A1)
【文献】 特開昭54−051150(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01884460(EP,A2)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0248982(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 9/12
B62M 9/00
B62M 9/04
B62M 9/06
B62M 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
−回転軸(3)を中心に回転可能にサイクルのフレームと関連付けられ得る少なくとも1つの接続コア(2)と、
−敷設面(11)上に位置して前記コア(2)を取り囲むとともに、前進方向(6)に沿って前記サイクルを始動させるためにそれ自体がループ状に閉じられる可撓性伝達要素(5)に結合され得るリングギア(4)と、
を備えるサイクルへの動作伝達のための装置(1)であって、
前記接続コア(2)と前記リングギア(4)との間に配置されるとともに、前記回転軸(3)に対して前記敷設面(11)を傾けることができる揺動手段(10)を備え
前記揺動手段(10)は、前記回転軸(3)に対する前記敷設面(11)の傾きを第1の限界位置と第2の限界位置との間で制限できる制御手段(18)を備え、
前記制御手段(18)は、前記リングギア(4)に取り付けられる又は前記コア(2)に取り付けられる少なくとも1つのロック要素(19)を備え、前記ロック要素(19)は、それが前記コア(2)と接触して又は前記リングギア(4)と接触して前記リングギア(4)の移動を防止する第1の形態と、それが前記リングギア(4)から離間されて又は前記コア(2)から離間されて前記リングギア(4)の移動を許容する第2の形態との間で調整可能であることを特徴とする装置(1)。
【請求項2】
前記揺動手段(10)は、前記コア(2)に対する前記リングギア(4)の位置の変化を可能にするための少なくとも1つの可撓性本体(13)を備えることを特徴とする請求項1に記載の装置(1)。
【請求項3】
前記揺動手段(10)は、細長い薄板形状を有する複数の前記可撓性本体(13)を備えることを特徴とする請求項に記載の装置(1)。
【請求項4】
前記リングギア(4)が歯付き外周(14)と略円形の内周(15)とを有し、前記可撓性本体(13)が前記内周(15)にほぼ沿って延びることを特徴とする請求項2又は3に記載の装置(1)。
【請求項5】
前記可撓性本体(13)は、前記コア(2)と関連付けられる第1の末端部(16)と、前記リングギア(4)と関連付けられる第2の末端部(17)とを備えることを特徴とする請求項から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項6】
前記揺動手段(10)は、前記コア(2)と関連付けられる中央部(24)と前記可撓性本体(13)を画定する外周部(25)とに分けられる薄板形状要素(23)を備え、前記可撓性本体(13)は、前記コア(2)と関連付けられる第1の末端部(16)と、前記リングギア(4)と関連付けられる第2の末端部(17)とを備えることを特徴とする請求項から4のいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項7】
前記ロック要素(19)は、前記第1の末端部(16)のうちの少なくとも1つに対応付けて配置されて前記コア(2)に対するリングギア4のずれを調整できる少なくとも1つの調整部(21)を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の装置(1)。
【請求項8】
前記制御手段(18)は、前記敷設面(11)に対して反対側に配置される少なくとも一対の前記ロック要素(19)を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置(1)。
【請求項9】
前記制御手段(18)は、2つの異なる角度位置に配置される2対の前記ロック要素(19)を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイクルへの動作伝達のための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この文書において、用語「サイクル」は、専らペダル又は同様の装置を用いた筋肉の推進力のみによって機能する2つ以上のホイールを有する車両であって、該車両に乗る人によって操作される車両を意味する。
【0003】
また、補助電気モータを備えるペダル支援を伴う自転車もサイクルと見なされ、補助電気モータの出力は、徐々に減少され、最終的に、サイクリストがペダル踏みを止めれば、車両が所定の速度以上に達するときに遮断される。
【0004】
自転車及びサイクルで一般に使用される伝達システムは、概して、車両ホイールと関連付けられる歯車機構の使用を想起する。歯車機構は、時として、車両フレームに回転可能に取り付けられる「マルチプライヤ」と呼ばれるギアの第1のセットと、一般に後輪と関連付けられる「スプロケット」と呼ばれるギアの第2のセットとを成す。
【0005】
ギアの両方のセットは、直径が減少するギアの積層体を形成するように配置される異なる寸法の幾つかの歯車から成る。
【0006】
マルチプライヤは一般にギアの駆動セットであり、すなわち、そのギアのセットは、車両を始動させるためにクランクセットにより動かされる。
【0007】
マルチプライヤは、動作中にスプロケット自体を引っ張るようになっているチェーンを用いてスプロケットに運動学的に接続され、したがって、自転車の後輪にも接続される。
【0008】
これらの既知の伝達システムは2つの変速機要素を有し、該変速機要素の機能は、同じセットの一方の歯車から他方の歯車へチェーンを移動させて、ギア比の異なる組み合わせ、したがって異なる速度を達成することであり、この場合、クランクセットに作用する推力は等しい。
【0009】
変速機要素はガイドであり、該ガイド内でチェーンがスライドでき、また、このガイドは、適切なコマンドを通じて、実際には車両の前後方向に対するチェーンの方向の傾きを変えることによってチェーンを一方のホイールから他方のホイールへ押す。
【0010】
ある場合には、歯車機構は、自転車のホイール上にのみ歯車のセットを有し、一方、マルチプライヤは単一の歯車に限られ、これらの場合、変速機要素は、1つだけであり、スプロケットに取り付けられる。
【0011】
既知のタイプの伝達システムは、一方のギア比から他方のギア比へ切り換わるため及び同じギア比を維持するためにいずれにおいても歯車の回転軸が固定されたままの状態で走行中にチェーンが連続的な傾きを受けるという事実に関連する様々な欠点を有する。
【0012】
チェーンは、実際には、リングギアをリングギア自体に位置合わせされるリア歯車に接続することにより、真っ直ぐな方向を有するが、それがリングギアに位置合わせされない歯車に接続されるときには、ほぼ「s形状」パターンを成し、この場合、歯車と噛み合わないチェーンのストレッチは、フロント歯車及びリア歯車と噛み合うチェーンのストレッチに対して傾けられる。
【0013】
その結果、チェーンと歯車との間の不完全な位置合わせが、摩擦を生み出すことにより、サイクリストによって発生されるエネルギーの一部を散逸し、それにより、サイクリストのペダル踏みが更に疲れるものとなる。
【0014】
また、長い目で見ると、頻繁な傾きは、調整の緩み、及び、システムの様々な機械的構成要素の緩みを引き起こし、その結果、例えばチェーンの望ましくない移動、一方のホイールから他方のホイールへの望ましくない移動、チェーンの不正確な位置決めに起因する摩耗などのシステムの動作に関連する問題を伴う。
【0015】
更に、チェーンは、その傾きに続いて、歯車に作用する摩擦を生み出し、システムの一部(歯車及びチェーンの両方)を変形させる或いはさもなければ磨滅させる可能性がある。
【0016】
このため、従来のシステムは、頻繁な、及び、時として高価なメンテナンス作業を要する。
【0017】
カーボンフレームで形成されてプロのレースで使用される自転車の特定のケースでは、最終的に、サイクリストは、自分の最大の労力で、フレーム自体をねじって撓ませるパワーを解放し得る。
【0018】
これは、ホイールの回転軸に対するクランクセットの回転軸の傾きをもたらし、その結果、レースの通常のコース中に問題を引き起こし得る機能不良を伴う。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明の主な目的は、ギア比の変更を容易にし得るとともに、固定部に対するチェーンの傾きによってもたらされる摩擦、特にチェーンの内部摩擦やリングギアの歯及びそれが噛み合うシートとの接触摺動摩擦を最小限に抑えることができる、サイクルへの動作伝達のための装置を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的は、簡単で、合理的で、容易で、効果的な使用の範囲内及び手ごろな解決策の範囲内で従来技術の前述の欠点を克服できる、サイクルへの動作伝達のための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前述の目的は、請求項1の特徴を有するサイクルへの動作伝達のための本発明の装置によって達成される。
【0022】
本発明の他の特徴及び利点は、例示的であるが非限定的な例として添付図面に示されるサイクルへの動作伝達のための装置の2つの好ましいが非排他的な実施形態の説明からより明らかであると思われる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る装置の第1の実施形態の不等角投影図である。
図2】本発明に係る装置の第1の実施形態の不等角投影図である。
図3】本発明に係る装置の第2の実施形態の側面図である。
図4】一作用形態における本発明に係る装置の概略図である。
図5図4とは異なる作用形態における本発明に係る装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
そのような図を特に参照すると、サイクルへの動作伝達のための装置が全体的に1で示される。
【0025】
装置1は、簡単にするために図示されないサイクルのフレームと関連付けられ得る接続コア2を回転軸3に対して回転可能な態様で備える。
【0026】
特に、コア2は、サイクルの動作中に固定されたままとどまるようになっている平面上に位置している。
【0027】
更に、装置1は、敷設面11上に位置するリングギア4を備え、このリングギア4は、コア2を取り囲むとともに、前進方向6に沿ってサイクルを始動させるためにそれ自体がループ状に閉じられる可撓性の伝達要素5に結合され得る。
【0028】
図示の実施形態において、装置1は、特にペダル踏み中に及ぼされる推力を最大にするようになっている非円形形状を有する歯車である。
【0029】
リングギアが異なる形状、例えば円形を有するといった異なる解決策を排除し得ない。
【0030】
本実施形態を更に参照すると、コア2は、サイクル自体を動かすのに役立つクランクセットシステム7と関連付けられる装置1の部分である。
【0031】
クランクセットシステム7は2つのアーム9から構成され、これらのアーム9は、180°オフセットされた角度位置でコア2に対して反対側に配置されるとともに、円筒要素8、すなわち「ハブ」によって一体に接続される。
【0032】
ハブ8の軸は、回転軸3と一致するとともに、ペダル踏み中に不変のままとどまるようになっている。
【0033】
簡単にするために図示されない特別なペダルによってアーム9を押すことにより、ハブ8に伝えられた後にコア2に伝えられるトルクが歯車を回転させることができるようにする。
【0034】
このようにして、リングギア4は、動作中の可撓性伝達要素5、すなわち、「チェーン」を引っ張る。
【0035】
チェーン5のリンクは、実際には、リングギア4の歯に結合し、リングギア4の回転動作の結果として、チェーン自体が引っ張られる。
【0036】
本発明によれば、装置1は、接続コア2とリングギア4との間に配置される揺動手段10を備える。
【0037】
揺動手段10は、敷設面11を回転軸3に対して傾けることができる。
【0038】
装置1は、回転軸3の位置を固定されたまま保ちつつ、リングギア4の付設面11の傾きの変化を可能にする。
【0039】
このように、チェーン5がリングギア4に関して位置ずれされた歯車と噛み合うと、リングギアが揺動し、それにより、著しい変形を受けることなくチェーン自体を真っ直ぐな形態に配置することができ、したがって、摩擦が最小限に抑えられる。
【0040】
したがって、更に、この特徴は、サイクルのユーザがチェーンを一方の位置から他方の位置へ移すことによってギア比を変えることを決定するときにも特に有用である。
敷設面11の傾きは、実際には、リングギア4をチェーンの移動に適合させることができるようにし、それにより、抵抗が最小限に抑えられる。
【0041】
図において、傾きは、回転軸3に対して、敷設面11の法線方向12によって強調される。
【0042】
図示の実施形態において、揺動手段10は、コア2に対するリングギア4の位置の変化を許容し得る少なくとも1つの可撓性本体13を備える。
【0043】
特に、揺動手段10は、細長い薄板形状を有する複数の可撓性本体13を備える。
【0044】
とりわけ、リングギアは歯付き外周14と略円形内周15とを有し、可撓性本体は内周自体にほぼ沿って延びる。
【0045】
可撓性本体13は、コア2と関連付けられる第1の末端部16と、リングギア4と関連付けられる第2の末端部17とを備える。
【0046】
サイクルが動作中のときの装置1の回転の向きに関しては、第1の末端部16が回転において第2の末端部17に先行し、それにより、コア2からリングギア4に動作を伝達することができ、可撓性本体自体の滑り及び不安定性による変形を回避できる。
【0047】
これは、このようにすると、回転中のコア2が圧縮応力ではなく引張応力を可撓性本体に及ぼすことによって可撓性本体13を引っ張るからである。
【0048】
また、揺動手段10は、回転軸3に対する敷設面11の傾きを第1の限界位置と第2の限界位置との間で制限できる制御手段18も備える。
【0049】
第1の限界位置と第2の限界位置とが一致するといった特定の形態を排除できず、この場合には、敷設面11の傾きをゼロに等しくできる。
【0050】
好適には、制御手段18は、リングギア4に取り付けられる(図1及び図2)又はコア2に取り付けられる(図3)少なくとも1つのロック要素19を備え、該ロック要素19は、それがコア2と接触して(図1及び図2)又はリングギア4と接触して(図3)リングギアの移動を防止する第1の形態と、他方でそれがコア2から離間されて(図1及び図2)又はリングギア4から離間されて(図3)リングギアの移動を許容する第2の形態との間で調整可能である。
【0051】
ロック要素19は、コア2に対するリングギア4のずれを調整できる調整部21を有する。
【0052】
図1及び図2に示される解決策において、ロック要素19は、リングギア4に対するロック要素自体の固定を可能にし得るグリップ部20を備える。
【0053】
特に、ロック要素19は、第2の末端部17のうちの1つに対応付けてリングギア4及び可撓性本体13の両方に対してグリップ部20により固定され、一方、調整部21は、第1の末端部16のうちの1つに対応付けて配置される。
【0054】
好適には、調整部21が調整ネジを備え、該調整ネジは、適切に調整されれば、本体13の殆ど可撓性がない部分と当接し、したがって、その末端部のストロークが制限される。
【0055】
調整部21が調整ネジを有さず、例えば様々な構成要素の組み立て段階で又は様々な構成要素の実現段階で予め決定される最大揺動を伴うといった解決策を排除し得ない。
【0056】
一方、図3に示される解決策では、ロック要素19がコア2に取り付けられる半円ストレッチを備え、調整部21が半円ストレッチに形成されるランプによって規定される。
【0057】
半円ストレッチをそれ自体回転させることによって、ランプ21の表面は、移動してリングギア4に近づき又はリングギア4から離れ、コア2に対するリングギア4の最大偏位を変える。
【0058】
制御手段18は、敷設面11に対して反対側に配置される少なくとも一対のロック要素19を備える。
【0059】
図示の実施形態において、制御手段は、2つの異なる角度位置に配置される2対のロック要素19を備える。
【0060】
コア2の回転中心に対して、2つのロック要素19が2つの隣り合う可撓性本体13に配置される。
【0061】
このようにして、3つのポイント、すなわち、2つの可撓性本体13の2つの末端部及び回転中心が固定され、それにより、敷設面11の傾きを変える際に一群の想定し得る面が自動的に固定されるとともに、回転軸3の方向以外の方向と比べて敷設面11の任意の傾きが防止される。
【0062】
また、制御手段18は、リングギア4に対するロック要素19の少なくとも1つの固定要素22も備える。
【0063】
特に、固定要素22は、ネジのタイプであり、ロック要素19を正確に位置決めして固定できる。
【0064】
図1及び図2に示される第1の実施形態において、揺動手段10は、コア2と関連付けられる中央部24と可撓性本体13を画定する外周部25とに分けられる薄板形状要素23を備える。
【0065】
この場合、コア2は、薄板形状要素23の最も内側の殆ど可撓性がない部分を備え、この部分は円形フランジ26を用いて摩擦によりクランプされる。
【0066】
円形フランジは、ボルト27によって薄板形状要素に固定されるとともに、円筒要素8に接続される。
【0067】
薄板形状要素23と円形フランジ26との間の接続が接続要素によって摩擦クランプを有することなく簡単に行なわれるといった解決策を排除し得ない。
【0068】
可撓性本体13は、コア2から直接に延びる第1の末端部16と、リングギア4と関連付けられる第2の末端部17とを有する。
【0069】
特に、可撓性本体13は、別個の本体ではなく、薄板形状要素23上に直接に形成される。
【0070】
図3に示される第2の実施形態において、コア2は、中心を発端として放射状パターンで延びる硬質要素から構成される。
【0071】
可撓性本体13は別個の本体であり、この場合、第1の末端部16は、ロック要素19によってコア2のそれぞれの末端部と関連付けられ、第2の末端部はリングギア4と関連付けられる。
【0072】
本発明の作用は以下の通りである。
【0073】
装置1は、クランクセットシステム7から得られるトルクによって回転し始める。
【0074】
回転時、リングギア4が可撓性伝達要素5を動作中に引っ張り、可撓性伝達要素5がサイクルを動かす。
【0075】
動作中、チェーン5は、可撓性本体13を撓ませる力、したがってコア2に対するリングギア4の移動を引き起こす力をリングギア4に及ぼし、その結果、敷設面11が傾く。
【0076】
調整部21の調整を介してロック要素19により最大傾斜が決定される。
【0077】
この意味で、ロック要素19は、ロック要素19により固定される限界内でリングギア4の移動を抑制することができる「エンドストッパ」である。
【0078】
調整部21が既に事前にセットされ、したがって調整が不要であるといった解決策を排除し得ない。
【0079】
先の実施形態に記載される装置1は、単一のギアシステムの場合に、すなわち、単一のフロント歯車を用いると特に有利である。それぞれのコア2に対して傾くことができるリングギア4を有する幾つかの歯車を想起する解決策を排除し得ない。
【0080】
実際に、前述の発明が意図される目的を達成し、特に、サイクルへの動作伝達のためのこの装置が、ギア比の変更を容易にし得るとともに、固定部に対するチェーンの傾きによってもたらされる摩擦を最小限に抑えることができるという事実が強調されることが分かってきた。
【0081】
リングギアの敷設面の傾きは、実際に、ギア比の変更中に一方の位置から他方の位置への可撓性要素又はチェーンの移動を容易にする。
【0082】
また、この傾きは、チェーンにより及ぼされる作用に対するリングギア自体の抵抗を減少させることもでき、その結果、ユーザによるエネルギーを節約できる。
【0083】
抵抗の減少は、伝達システムの動作を向上させることに加え、リングギアの歯とチェーンとの間の結合において摩擦及び応力を大きく減らすことができる。
【0084】
その結果、歯の撓み及び/又は接触部の摩耗を防止することができ、それにより、関連する要素の破壊のリススを最小限に抑えることができるとともに、メンテナンス作業の減少に関連する利点を得ループことができる。
【0085】
また、装置は、その柔軟性のおかげにより、チェーンが抜け落ちることを防止できる。
【0086】
最後に、フレームは、競技者の強い推力に起因する高いねじれ値及び曲げ値に晒される場合があるため、リングギアの揺動は、ホイールの回転軸に対するクランクセットの回転軸の傾きに対処できる。
【0087】
このように、チェーンは一直線に合わされたままであり、それにより、スムーズなペダル踏み動作が促進され、レースのパフォーマンスを低下させ得る機能不良が防止される。
図1
図2
図3
図4
図5