(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6839248
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】光検出器
(51)【国際特許分類】
H01L 27/146 20060101AFI20210222BHJP
H01L 31/02 20060101ALI20210222BHJP
H01L 23/02 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L31/02 B
H01L23/02 F
H01L23/02 G
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2019-179193(P2019-179193)
(22)【出願日】2019年9月30日
【審査請求日】2020年12月15日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236436
【氏名又は名称】浜松ホトニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140442
【弁理士】
【氏名又は名称】柴山 健一
(72)【発明者】
【氏名】村松 雅治
(72)【発明者】
【氏名】米田 康人
(72)【発明者】
【氏名】小林 宏也
(72)【発明者】
【氏名】阿部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】谷口 健一郎
【審査官】
井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−81303(JP,A)
【文献】
特開2009−290023(JP,A)
【文献】
国際公開第2017/200011(WO,A1)
【文献】
国際公開第2005/031871(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H01L 23/02
H01L 31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光部及び端子が設けられた受光素子と、
前記受光素子を収容するパッケージと、を備え、
前記パッケージは、
底壁、及び前記底壁と向かい合う開口を画定する側壁を含み、セラミックによって形成された収容部材と、
前記端子とワイヤによって接続されたパッドを含み、前記収容部材に設けられた配線と、
前記開口を覆うように前記側壁に取り付けられた光透過部材と、を有し、
前記底壁には、接着部材によって前記受光素子が取り付けられた載置面が形成されており、
前記底壁又は前記側壁には、前記載置面よりも前記開口側に位置し、前記パッドが配置されたパッド面が形成されており、
前記側壁には、前記パッケージ内と前記パッケージ外とを連通する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔の内側端部の少なくとも一部は、前記受光素子における前記開口側の表面よりも前記開口側に位置している、光検出器。
【請求項2】
前記貫通孔の前記内側端部の少なくとも一部は、前記パッド面よりも前記開口側に位置している、請求項1に記載の光検出器。
【請求項3】
前記貫通孔は、屈曲部を有する、請求項1又は2に記載の光検出器。
【請求項4】
前記貫通孔の内面は、前記屈曲部においてラウンド状の形状を呈している、請求項3に記載の光検出器。
【請求項5】
前記貫通孔は、1本である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項6】
前記側壁の内側表面は、前記底壁と前記開口とが向かい合う方向から見た場合に隅部を有し、
前記貫通孔の前記内側端部は、前記隅部に位置している、請求項1〜5のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項7】
前記側壁は、前記底壁と前記開口とが向かい合う方向から見た場合に角部を有し、
前記貫通孔は、前記角部に形成されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項8】
前記側壁は、複数の側壁部によって構成されており、
前記貫通孔の外側端部は、前記複数の側壁部のうち最も大きい厚さを有する側壁部の外側表面に位置している、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項9】
前記側壁の外側表面には、凹部が形成されており、
前記貫通孔の外側端部は、前記凹部に位置している、請求項1〜8のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項10】
前記配線は、前記側壁の外側表面において前記底壁と前記開口とが向かい合う方向に沿って延在する複数の接続部を含み、
前記複数の接続部のうち前記貫通孔の外側端部に最も近い接続部と前記貫通孔の前記外側端部との間の距離は、前記複数の接続部のうち、前記貫通孔の前記外側端部に最も近い前記接続部と、前記貫通孔の前記外側端部に2番目に近い接続部との間の距離よりも大きい、請求項1〜9のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項11】
前記底壁と前記開口とが向かい合う方向から見た場合に、前記受光部の中心位置は、少なくとも所定方向においては、前記パッケージの中心位置と一致している、請求項1〜10のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項12】
前記底壁と前記開口とが向かい合う方向から見た場合に、前記貫通孔の前記内側端部は、少なくとも所定方向においては、前記パッケージの中心位置に対して前記受光部の中心位置とは反対側に位置している、請求項1〜11のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項13】
前記受光素子と前記側壁との間には、隙間が形成されている、請求項1〜12のいずれか一項に記載の光検出器。
【請求項14】
前記受光素子における前記開口側の前記表面と前記パッド面との高低差は、前記受光素子の厚さよりも小さい、請求項1〜13のいずれか一項に記載の光検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
受光素子と、受光素子を収容するパッケージと、を備える光検出器であって、パッケージが、セラミックによって形成された収容部材と、収容部材の凹部の開口を覆うように収容部材に取り付けられた光透過部材と、を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。セラミックによって形成された収容部材は、例えば樹脂によって形成された収容部材に比べ、放熱性及び耐熱性において優れている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−216142号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような光検出器では、パッケージに配線が設けられている場合に、当該配線と受光素子との電気的な接続をいかに確実に実施し得るかが課題となる。その一方で、パッケージ内での結露の発生をいかに確実に防止し得るかが課題となる。
【0005】
本発明は、パッケージに設けられた配線とパッケージ内に収容された受光素子との電気的な接続を確実に実施することができると共に、パッケージ内での結露の発生を確実に防止することができる光検出器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の光検出器は、受光部及び端子が設けられた受光素子と、受光素子を収容するパッケージと、を備え、パッケージは、底壁、及び底壁と向かい合う開口を画定する側壁を含み、セラミックによって形成された収容部材と、端子とワイヤによって接続されたパッドを含み、収容部材に設けられた配線と、開口を覆うように側壁に取り付けられた光透過部材と、を有し、底壁には、接着部材によって受光素子が取り付けられた載置面が形成されており、底壁又は側壁には、載置面よりも開口側に位置し、パッドが配置されたパッド面が形成されており、側壁には、パッケージ内とパッケージ外とを連通する貫通孔が形成されており、貫通孔の内側端部の少なくとも一部は、受光素子における開口側の表面よりも開口側に位置している。
【0007】
本発明の光検出器では、セラミックによって形成された収容部材において、配線のパッドが配置されたパッド面が、接着部材によって受光素子が取り付けられた載置面よりも、収容部材の開口側に位置している。これにより、接着部材がパッド面に至り難くなるため、対応する受光素子の端子及び配線のパッドがワイヤによって確実に接続される。更に、本発明の光検出器では、セラミックによって形成された収容部材において、側壁に形成された貫通孔の内側端部の少なくとも一部が、受光素子における開口側の表面よりも、収容部材の開口側に位置している。これにより、貫通孔の内側端部が接着部材によって塞がれ難くなるため、パッケージ内外の通気が確保されて、パッケージ内での結露の発生が確実に防止される。以上により、本発明の光検出器によれば、パッケージに設けられた配線とパッケージ内に収容された受光素子との電気的な接続を確実に実施することができると共に、パッケージ内での結露の発生を確実に防止することができる。
【0008】
本発明の光検出器では、貫通孔の内側端部の少なくとも一部は、パッド面よりも開口側に位置していてもよい。これにより、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入したとしても、異物がパッド面で捕捉され易くなる。更に、パッド面を介する分だけ、貫通孔の内側端部から受光素子の受光部が離れることになる。以上により、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入したとしても、異物が受光素子の受光部に至るのを抑制することができる。
【0009】
本発明の光検出器では、貫通孔は、屈曲部を有してもよい。これにより、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0010】
本発明の光検出器では、貫通孔の内面は、屈曲部においてラウンド状の形状を呈していてもよい。これにより、屈曲部において収容部材が欠け難くなるため、そのような欠けによって発生した異物がパッケージ内に侵入するのを抑制することができる。
【0011】
本発明の光検出器では、貫通孔は、1本であってもよい。これにより、貫通孔が複数本である場合に比べ、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0012】
本発明の光検出器では、側壁の内側表面は、底壁と開口とが向かい合う方向から見た場合に隅部を有し、貫通孔の内側端部は、隅部に位置していてもよい。これにより、パッケージ内外の通気の円滑化を図ることができる。
【0013】
本発明の光検出器では、側壁は、底壁と開口とが向かい合う方向から見た場合に角部を有し、貫通孔は、角部に形成されていてもよい。これにより、貫通孔の長さを長くして、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0014】
本発明の光検出器では、側壁は、複数の側壁部によって構成されており、貫通孔の外側端部は、複数の側壁部のうち最も大きい厚さを有する側壁部の外側表面に位置していてもよい。これにより、貫通孔の長さを長くして、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0015】
本発明の光検出器では、側壁の外側表面には、凹部が形成されており、貫通孔の外側端部は、凹部に位置していてもよい。これにより、貫通孔の外側端部に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0016】
本発明の光検出器では、配線は、側壁の外側表面において底壁と開口とが向かい合う方向に沿って延在する複数の接続部を含み、複数の接続部のうち貫通孔の外側端部に最も近い接続部と貫通孔の外側端部との間の距離は、複数の接続部のうち、貫通孔の外側端部に最も近い接続部と、貫通孔の外側端部に2番目に近い接続部との間の距離よりも大きくてもよい。これにより、光検出器の実装時に溶融したリフロー材によって貫通孔の外側端部が塞がれるのを抑制することができる。
【0017】
本発明の光検出器では、底壁と開口とが向かい合う方向から見た場合に、受光部の中心位置は、少なくとも所定方向においては、パッケージの中心位置と一致していてもよい。これにより、光検出器の実装時に、少なくとも所定方向においては、パッケージを基準として受光部の位置合わせを実施することができる。
【0018】
本発明の光検出器では、底壁と開口とが向かい合う方向から見た場合に、貫通孔の内側端部は、少なくとも所定方向においては、パッケージの中心位置に対して受光部の中心位置とは反対側に位置していてもよい。これにより、少なくとも所定方向においては、貫通孔の内側端部から受光素子の受光部が離れることになるため、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入したとしても、異物が受光素子の受光部に至るのを抑制することができる。
【0019】
本発明の光検出器では、受光素子と側壁との間には、隙間が形成されていてもよい。これにより、貫通孔を介してパッケージ内に異物が侵入したとしても、異物が受光素子と側壁との間の隙間で捕捉され易くなるため、異物が受光素子の受光部に至るのを抑制することができる。
【0020】
本発明の光検出器では、受光素子における開口側の表面とパッド面との高低差は、受光素子の厚さよりも小さくてもよい。これにより、対応する受光素子の端子及び配線のパッドに対するワイヤの接続を容易に実施することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、パッケージに設けられた配線とパッケージ内に収容された受光素子との電気的な接続を確実に実施することができると共に、パッケージ内での結露の発生を確実に防止することができる光検出器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図4】
図2に示されるIV−IV線に沿っての断面図である。
【
図5】
図4に示されるV−V線に沿っての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1、
図2及び
図3に示されるように、光検出器1は、受光素子2と、受光素子2を収容するパッケージ3と、を備えている。パッケージ3は、収容部材4と、複数の配線5と、光透過部材6と、を有している。以下、光検出器1に対する光の入射方向をZ方向といい、Z方向に垂直な一方向をX方向といい、Z方向及びX方向の両方向に垂直な方向をY方向という。
【0025】
受光素子2は、裏面入射型の固体撮像素子(例えば、CMOSイメージセンサ等)である。受光素子2は、例えば、X方向及びY方向のそれぞれを各辺の延在方向とし且つZ方向を厚さ方向とする矩形板状を呈している。一例として、受光素子2の各辺の長さは十数mm程度であり、受光素子2の厚さは数百μm程度である。
【0026】
受光素子2には、受光部21及び複数の端子22が設けられている。受光部21は、例えば、X方向及びY方向のそれぞれを各辺の延在方向とする矩形状を呈している。一例として、受光部21の各辺の長さは数mm〜十数mm程度である。受光部21は、受光素子2において、X方向における一方の側(
図1では左側)及びY方向における一方の側(
図1では上側)に片寄っている。受光素子2のうち受光部21以外の領域には、CMOS読出し回路、垂直走査回路及び水平走査回路等の回路(図示省略)が設けられている。複数の端子22は、受光素子2の表面2aの外縁に沿って配置されている。各端子22は、表面2aに露出した状態で表面2aに埋設されている。各端子22は、受光素子2の回路と電気的に接続されている。
【0027】
収容部材4は、底壁41及び側壁42を含んでおり、セラミックによって形成されている。底壁41及び側壁42は、積層体の焼結によって一体的に形成されている。底壁41は、収容部材4のうち、後述する載置面41aを含む平面と、外側表面41bとの間の部分である。底壁41は、例えば、X方向及びY方向のそれぞれを各辺の延在方向とし且つZ方向を厚さ方向とする矩形板状を呈している。一例として、底壁41の各辺の長さは十数mm程度であり、底壁41の厚さ(すなわち、載置面41aを含む平面と、外側表面41bとの距離)は数百μm程度である。側壁42は、Z方向において底壁41と向かい合う開口40を画定している。側壁42は、例えば、底壁41の外縁に沿って延在する矩形枠状を呈している。一例として、側壁42の高さは数百μm程度であり、側壁42の厚さは数mm程度である。
【0028】
側壁42は、複数の側壁部43,44,45,46によって構成されている。側壁部43は、X方向における一方の側(
図1では左側)に位置している。側壁部44は、X方向における他方の側(
図1では右側)に位置している。側壁部45は、Y方向における一方の側(
図1では上側)に位置している。側壁部46は、Y方向における他方の側(
図1では下側)に位置している。
【0029】
底壁41には、載置面41aが形成されている。載置面41aは、底壁41における開口40側の内側表面である。載置面41aには、受光素子2の表面2aが開口40側に向いた状態で、受光素子2が接着部材7によって取り付けられている。受光素子2における開口40側の表面2aは、Z方向において、載置面41aと側壁42の端面42a(側壁42における底壁41とは反対側の端面)との間に位置している。受光素子2と側壁42との間には、隙間が形成されている。一例として、当該隙間の幅は数百μm程度である。
【0030】
側壁42には、パッド面42bが形成されている。パッド面42bは、側壁42の内縁に沿って延在している。パッド面42bは、Z方向において、底壁41の載置面41aよりも開口40側に位置しており、且つ側壁42の端面42aよりも底壁41側に位置している。つまり、パッド面42bは、Z方向において、載置面41aと端面42aとの間に位置している。受光素子2の表面2aとパッド面42bとの高低差(すなわち、Z方向における表面2aとパッド面42bとの距離)は、受光素子2の厚さよりも小さい。本実施形態では、受光素子2の表面2aとパッド面42bとの高低差は略0である。なお、受光素子2と側壁42との間に形成された隙間の幅は、パッド面42bの幅(側壁42の内縁に沿って延在するパッド面42bの延在方向に垂直な方向におけるパッド面42bの幅)よりも小さい。
【0031】
複数の配線5は、収容部材4に設けられている。各配線5は、パッド面42bから側壁42の内部及び側壁42の外側表面42cを介して底壁41の外側表面41bに至っている。各配線5の材料は、例えば金属である。各配線5は、パッド51,52及び接続部53を含んでいる。パッド51は、パッド面42bに配置されている。パッド52は、底壁41の外側表面41bの外縁に沿って配置されている。接続部53は、側壁42の外側表面42cにおいてZ方向に沿って延在している。収容部材4及び複数の配線5は、例えば、配線パターンが形成されたグリーンシートの積層体が焼成されることで、一体的に形成されている。対応する受光素子2の端子22及び配線5のパッド51は、ワイヤ8によって電気的に接続されている。
【0032】
光透過部材6は、開口40を覆うように側壁42に取り付けられている。光透過部材6は、接着部材9によって側壁42の端面42aに取り付けられている。光透過部材6の材料は、例えばガラスである。光透過部材6は、例えば、X方向及びY方向のそれぞれを各辺の延在方向とし且つZ方向を厚さ方向とする矩形板状を呈している。一例として、光透過部材6の各辺の長さは十数mm程度であり、光透過部材6の厚さは数百μm程度である。光透過部材6は、受光素子2及び複数のワイヤ8から離間している。
【0033】
上述したように、受光部21は、受光素子2において、X方向における一方の側(
図1では左側)に片寄っている。しかし、Z方向(底壁41と開口40とが向かい合う方向)から見た場合に、受光部21の中心位置C1は、X方向(所定方向)においては、パッケージ3の中心位置C2と一致している。これは、X方向における一方の側(
図1では左側)に位置する側壁部43の厚さが、X方向における他方の側(
図1では右側)に位置する側壁部44の厚さよりも大きくされることで、実現されている。なお、受光部21の中心位置C1は、Z方向から見た場合における受光部21の重心位置でもあり、パッケージ3の中心位置C2は、Z方向から見た場合におけるパッケージ3の重心位置でもある。
【0034】
側壁42の角部47には、貫通孔10が形成されている。角部47は、Z方向から見た場合に側壁42が有する角部であって、側壁部43と側壁部46とで形成された角部である。側壁42には、1本の貫通孔10のみが形成されている。貫通孔10は、パッケージ3内(すなわち、パッケージ3の内側空間)とパッケージ3外(すなわち、パッケージ3の外側空間)とを連通している。貫通孔10の内側端部11は、側壁42の内側表面42dに位置しており、貫通孔10の外側端部12は、側壁42の外側表面42cに位置している。Z方向から見た場合に、貫通孔10の内側端部11は、Y方向(所定方向)においては、パッケージ3の中心位置C2に対して受光部21の中心位置C1とは反対側に位置している。
【0035】
図4及び
図5に示されるように、貫通孔10の内側端部11は、Z方向において、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置している。本実施形態では、貫通孔10の内側端部11及び外側端部12を含む貫通孔10の全体が、Z方向において、パッド面42bよりも開口40側に位置している。貫通孔10の断面形状は、例えば矩形状である。一例として、貫通孔10の幅及び高さはそれぞれ数百μm程度であり、貫通孔10の幅は貫通孔10の高さよりも大きい。
【0036】
貫通孔10の内側端部11は、角部47における内側の隅部47aに位置している。隅部47aは、Z方向から見た場合に側壁42の内側表面42dが有する隅部である。貫通孔10の外側端部12は、側壁部43の外側表面に位置している。側壁部43は、側壁42を構成する複数の側壁部43,44,45,46のうち最も大きい厚さを有する側壁部である。貫通孔10は、複数の屈曲部13を有している。貫通孔10の内面10aは、Z方向から見た場合に、各屈曲部13においてラウンド状の形状(すなわち、R面取りされた形状)を呈している。
【0037】
側壁42の外側表面42cには、複数本の溝48及び1本の溝(凹部)49が形成されている。各溝48,49は、Z方向に沿って延在している。各溝48,49の断面形状は、例えばU字状である。一例として、各溝48,49の幅及び深さはそれぞれ数百μm程度である。各溝48には、配線5の接続部53が配置されている。溝49には、貫通孔10の外側端部12が位置している。溝49には、配線5の接続部53が配置されていない。複数の接続部53のうち貫通孔10の外側端部12に最も近い接続部53と貫通孔10の外側端部12との間の距離D1は、複数の接続部53のうち、貫通孔10の外側端部12に最も近い接続部53と、貫通孔10の外側端部12に2番目に近い接続部53との間の距離D2よりも大きい。
【0038】
以上説明したように、光検出器1では、セラミックによって形成された収容部材4において、各配線5のパッド51が配置されたパッド面42bが、接着部材7によって受光素子2が取り付けられた載置面41aよりも開口40側に位置している。これにより、接着部材7がパッド面42bに至り難くなるため、対応する受光素子2の端子22及び配線5のパッド51がワイヤ8によって確実に接続される。更に、光検出器1では、セラミックによって形成された収容部材4において、側壁42に形成された貫通孔10の内側端部11が、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置している。これにより、貫通孔10の内側端部11が接着部材7によって塞がれ難くなるため、パッケージ3内外の通気が確保されて、パッケージ3内での結露の発生(例えば、光検出器1の実装時におけるリフロー工程によって生じる温度差に起因するもの)が確実に防止される。以上により、光検出器1によれば、パッケージ3に設けられた複数の配線5とパッケージ3内に収容された受光素子2との電気的な接続を確実に実施することができると共に、パッケージ3内での結露の発生を確実に防止することができる。
【0039】
光検出器1では、貫通孔10の内側端部11が、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置しているため、パッケージ3内からパッケージ3外に空気を円滑に排出することができる。また、貫通孔10の内側端部11が、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置しているため、接着部材9からガスが発生したとしても、パッケージ3内からパッケージ3外にガスを効率良く排出することができる。更に、貫通孔10の内側端部11が、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置しており、貫通孔10の内側端部11が接着部材7によって塞がれ難くなるため、受光素子2と側壁42との間の距離を小さくして、光検出器1の小型化を図ることができる。また、受光素子2が裏面入射型の固体撮像素子であって、支持基板とデバイス層との間に樹脂接着部材が用いられていると、当該樹脂接着部材の吸湿性に起因してパッケージ3内で結露が発生し易くなるため、収容部材4に貫通孔10を設けることは特に有効である。
【0040】
光検出器1では、貫通孔10の内側端部11が、パッド面42bよりも開口40側に位置している。これにより、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入したとしても、異物がパッド面42bで捕捉され易くなる。更に、パッド面42bを介する分だけ、貫通孔10の内側端部11から受光部21が離れることになる。以上により、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入したとしても、異物が受光部21に至るのを抑制することができる。
【0041】
光検出器1では、貫通孔10の内側端部11が、パッド面42bよりも開口40側に位置しているため、側壁42のうちパッド面42bよりも底壁41側の部分において、複数の配線5の敷設の自由度を確保することができる。
【0042】
光検出器1では、貫通孔10が複数の屈曲部13を有している。これにより、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0043】
光検出器1では、貫通孔10の内面10aが、各屈曲部13においてラウンド状の形状を呈している。これにより、各屈曲部13において収容部材4が欠け難くなるため、そのような欠けによって発生した異物がパッケージ3内に侵入するのを抑制することができる。
【0044】
光検出器1では、貫通孔10が1本である。これにより、貫通孔10が複数本である場合に比べ、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0045】
光検出器1では、貫通孔10の内側端部11が、側壁42の内側表面42dのうちの隅部47aに位置している。これにより、パッケージ3内外の通気の円滑化を図ることができる。
【0046】
光検出器1では、貫通孔10が、側壁42のうちの角部47に形成されている。これにより、貫通孔10の長さを長くして、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0047】
光検出器1では、貫通孔10の外側端部12が、複数の側壁部43,44,45,46のうち最も大きい厚さを有する側壁部43の外側表面に位置している。これにより、貫通孔10の長さを長くして、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0048】
光検出器1では、貫通孔10の外側端部12が、側壁42の外側表面42cに形成された溝49に位置している。これにより、貫通孔10の外側端部12に異物が侵入するのを抑制することができる。
【0049】
光検出器1では、複数の接続部53のうち貫通孔10の外側端部12に最も近い接続部53と貫通孔10の外側端部12との間の距離D1が、複数の接続部53のうち、貫通孔10の外側端部12に最も近い接続部53と、貫通孔10の外側端部12に2番目に近い接続部53との間の距離D2よりも大きい。これにより、光検出器1の実装時に溶融したリフロー材によって貫通孔10の外側端部12が塞がれるのを抑制することができる。
【0050】
光検出器1では、Z方向から見た場合に、受光部21の中心位置C1が、X方向においては、パッケージ3の中心位置C2と一致している。これにより、光検出器1の実装時に、X方向においては、パッケージ3を基準として受光部21の位置合わせを実施することができる。
【0051】
光検出器1では、Z方向から見た場合に、貫通孔10の内側端部11が、Y方向においては、パッケージ3の中心位置C2に対して受光部21の中心位置C1とは反対側に位置している。これにより、Y方向においては、貫通孔10の内側端部11から受光部21が離れることになるため、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入したとしても、異物が受光部21に至るのを抑制することができる。
【0052】
光検出器1では、受光素子2と側壁42との間に、隙間が形成されている。これにより、貫通孔10を介してパッケージ3内に異物が侵入したとしても、異物が受光素子2と側壁42との間の隙間で捕捉され易くなるため、異物が受光部21に至るのを抑制することができる。光検出器1では、受光素子2と側壁42との間に形成された隙間の幅が、パッド面42bの幅よりも小さいため、パッケージ3全体の小型化を図ることができる。このとき、当該隙間の幅を小さくしても、貫通孔10の内側端部11が受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置しているため、貫通孔10の内側端部11が接着部材7によって塞がれ難い。
【0053】
光検出器1では、受光素子2の表面2aとパッド面42bとの高低差が、受光素子2の厚さよりも小さい。これにより、対応する受光素子2の端子22及び配線5のパッド51に対するワイヤ8の接続を容易に実施することができる。
【0054】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、貫通孔10の内側端部11の位置については、貫通孔10の内側端部11の少なくとも一部が、Z方向において、パッド面42bよりも開口40側に位置していればよい。貫通孔10の内側端部11の全体が、Z方向において、載置面41aよりも開口40側に位置していれば、貫通孔10の内側端部11が接着部材7によって塞がれるのを抑制することができる。
【0055】
また、貫通孔10の内側端部11の少なくとも一部が、Z方向において、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置していればよい。その場合、
図6に示されるように、パッド面42bが、Z方向において、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置しており、貫通孔10の内側端部11の少なくとも一部が、Z方向において、パッド面42bと受光素子2の表面2aとの間に位置していてもよい。また、
図7に示されるように、受光素子2の表面2aが、Z方向において、パッド面42bよりも開口40側に位置しており、貫通孔10の内側端部11の少なくとも一部が、Z方向において、パッド面42b及び受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置していてもよい。
【0056】
また、貫通孔10は、側壁42に形成されたものであれば、その形状及び本数は、上述したものに限定されない。例えば、貫通孔10は、少なくとも1つの屈曲部13を有していればよい。また、貫通孔10は、屈曲部13を有していなくてもよい。また、貫通孔10の外側端部12は、溝48以外の形状を呈する凹部に位置していてもよい。また、複数本の貫通孔10が側壁42に形成されていてもよい。
【0057】
また、受光素子2は、表面入射型の固体撮像素子であってもよい。また、受光素子2は、PDアレイ等であってもよい。また、パッド面42bは、底壁41又は側壁42に形成されていればよい。ただし、パッケージ3全体を小型化する観点では、パッド面42bを底壁41に形成することよりも、パッド面42bを側壁42に形成することほうが好ましい。
【符号の説明】
【0058】
1…光検出器、2…受光素子、2a…表面、21…受光部、22…端子、3…パッケージ、4…収容部材、40…開口、41…底壁、41a…載置面、42…側壁、42b…パッド面、42c…外側表面、42d…内側表面、43,44,45,46…側壁部、47…角部、47a…隅部、49…溝(凹部)、5…配線、51…パッド、53…接続部、6…光透過部材、7…接着部材、8…ワイヤ、10…貫通孔、10a…内面、11…内側端部、12…外側端部、13…屈曲部。
【要約】
【課題】パッケージに設けられた配線とパッケージ内に収容された受光素子との電気的な接続を確実に実施することができると共に、パッケージ内での結露の発生を確実に防止することができる光検出器を提供する。
【解決手段】光検出器1は、受光素子2と、パッケージ3と、を備える。パッケージ3は、セラミックによって形成された収容部材4と、受光素子2の端子22とワイヤ8によって接続されたパッド51を含む配線5と、光透過部材6と、を有する。収容部材4の底壁41には、接着部材7によって受光素子2が取り付けられた載置面41aが形成されている。収容部材4の側壁42には、載置面41aよりも収容部材4の開口40側に位置し、パッド51が配置されたパッド面42bが形成されている。側壁42には、貫通孔10が形成されている。貫通孔10の内側端部11は、受光素子2の表面2aよりも開口40側に位置している。
【選択図】
図5