(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
p1およびb1が両方とも0であり、e1が、10〜100の整数である、請求項1に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
前記親水性ビニルモノマーが、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、最大で1500の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールC1〜C4−アルキルエーテル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、またはそれらの組合せである、請求項5に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
前記レンズ形成組成物が、エチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、グリセロールジ−(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ−(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ−(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ−(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、エチレンビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)]ジ−(メタ)アクリレート、ビス[2−(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ−(メタ)アクリレート、および3,4−ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド、ジメタクリルアミド、N,N−ジ(メタ)アクリロイル−N−メチルアミン、N,N−ジ(メタ)アクリロイル−N−エチルアミン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2−ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2,3−ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3−ビス(メタ)アクリルアミドプロパン−2−イル二水素ホスフェート、ピペラジンジアクリルアミド、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N−アリル−メタクリルアミド、N−アリル−アクリルアミド、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、それらの組合せからなる群から選択される非シリコーンビニル架橋剤をさらに含む、請求項8〜12のいずれか一項に記載の方法。
前記シロキサン含有ビニルモノマーが、3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリルオキシエトキシプロピルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピル−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−N−メチル(メタ)アクリルアミドプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリルオキシ末端ポリジメチルシロキサン、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン、またはそれらの組合せである、請求項8〜15のいずれか一項に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。一般に、本明細書において使用される命名法および実験手順は、周知であり、当該技術分野において一般的に用いられる。当該技術分野および様々な一般的な参考文献において示されるものなどの、従来の方法がこれらの手順に使用される。用語が単数形で示される場合、本発明者らは、その用語の複数形も想定している。本明細書において使用される命名法および後述される実験手順は、周知であり、当該技術分野において一般的に用いられる。
【0011】
本出願において、本明細書において使用される際の「約」は、「約」と示される数が、記載される数±その記載される数の1〜10%を含むことを意味する。
【0012】
本明細書において使用される際の「眼科用デバイス」は、コンタクトレンズ(ハードもしくはソフト)、眼内レンズ、角膜アンレー(corneal onlay)、眼の上もしくは周りまたは眼の近傍で使用される他の眼科用デバイス(例えば、ステント、緑内障シャントなど)を指す。
【0013】
「コンタクトレンズ」は、着用者の眼の上または眼の中に配置され得る構造を指す。コンタクトレンズは、使用者の視覚を、補正し、改善し、または変化させ得るが、そうである必要はない。コンタクトレンズは、当該技術分野において公知であるかまたは今後開発される任意の適切な材料製であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、またはハイブリッドレンズであり得る。「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、シリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズを指す。
【0014】
「ヒドロゲル」または「ヒドロゲル材料」は、水に不溶性であるが、完全に水和されるとき、少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができる架橋ポリマー材料を指す。
【0015】
「シリコーンヒドロゲル」は、少なくとも1つのシリコーン含有ビニルモノマーまたは少なくとも1つのシリコーン含有ビニルマクロマーまたは少なくとも1つの化学線架橋性シリコーン含有プレポリマーを含む重合性組成物の共重合によって得られるシリコーン含有ヒドロゲルを指す。
【0016】
本明細書において使用される際の「親水性」は、脂質より水とより容易に結合する材料またはその部分を表す。
【0017】
「ビニルモノマー」は、1つのみのエチレン性不飽和基を有し、溶媒に可溶性の化合物を指す。
【0018】
溶媒中の化合物または材料に関する「可溶性」という用語は、化合物または材料が、溶媒に溶解されて、室温(すなわち、約20℃〜約30℃の温度)で少なくとも約0.5重量%の濃度を有する溶液を生じ得ることを意味する。
【0019】
溶媒中の化合物または材料に関する「不溶性」という用語は、化合物または材料が、溶媒に溶解されて、室温(上に定義されるような)で0.005重量%未満の濃度を有する溶液を生じ得ることを意味する。
【0020】
「オレフィン性不飽和基」または「エチレン性不飽和基」という用語は、本明細書において広い意味で用いられ、少なくとも1つの>C=C<基を含有する任意の基を包含することが意図される。例示的なエチレン性不飽和基としては、限定はされないが、(メタ)アクリロイル
【化1】
(式中、R”が、水素またはメチルである)、アリル、ビニル、スチレニル、または他のC=C含有基が挙げられる。
【0021】
本明細書において使用される際、重合性組成物、プレポリマーまたは材料の硬化、架橋または重合に関する「化学線により」は、硬化(例えば、架橋および/または重合)が、例えば、紫外線照射、電離放射線(例えばγ線またはX線照射)、マイクロ波照射などの化学線放射によって行われることを意味する。熱硬化または化学線硬化方法は、当業者に周知である。
【0022】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、メタクリルアミドおよび/またはアクリルアミドを指す。
【0023】
「(メタ)アクリレート」という用語は、メタクリレートおよび/またはアクリレートを指す。
【0024】
「(メタ)アクリルアミド」という用語は、
【化2】
(式中、R’が、水素またはC
1〜C
4−アルキルであり、R”が、水素またはメチルである)の基を指す。
【0025】
「(メタ)アクリルオキシ」という用語は、
【化3】
(式中、R”が、水素またはメチルである)の基を指す。
【0026】
本明細書において使用される際の「親水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとして、水溶性であるかまたは少なくとも10重量パーセントの水を吸収することができるポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0027】
本明細書において使用される際の「疎水性ビニルモノマー」は、ホモポリマーとして、水に不溶であり、10重量パーセント未満の水を吸収することができるポリマーを典型的に生じるビニルモノマーを指す。
【0028】
「混合ビニルモノマー」は、重合性組成物の親水性および疎水性成分の両方に溶解して、溶液を形成することが可能なビニルモノマーを指す。
【0029】
「マクロマー」または「プレポリマー」は、エチレン性不飽和基を含有し、かつ700ダルトンを超える数平均分子量(Mn)を有する化合物またはポリマーを指す。
【0030】
「ポリマー」は、1つ以上のビニルモノマー、マクロマーおよび/またはプレポリマーを重合/架橋することによって形成される材料を意味する。
【0031】
本明細書において使用される際のポリマー材料(モノマーまたはマクロマー材料を含む)の「分子量」は、特に明示されない限り、または試験条件が別に示されない限り、数平均分子量を指す。
【0032】
「アルキル」という用語は、直鎖状または分枝鎖状アルカン化合物から水素原子を除去することによって得られる一価基を指す。アルキル基(ラジカル)は、有機化合物中の1つの他の基と1つの結合を形成する。
【0033】
「アルキレン」という用語は、アルキルから1つの水素原子を除去することによって得られる二価基を指す。アルキレン基(またはラジカル)は、有機化合物中の他の基と2つの結合を形成する。
【0034】
本出願において、アルキレン二価基またはアルキル基に関する「置換」という用語は、アルキレン二価基またはアルキル基が、アルキレンまたはアルキル基の1つの水素原子を置換する少なくとも1つの置換基を含むことを意味し、置換基は、ヒドロキシル、カルボキシル、−NH
2、スルフヒドリル、C
1〜C
4アルキル、C
1〜C
4アルコキシ、C
1〜C
4アルキルチオ(硫化アルキル)、C
1〜C
4アシルアミノ、C
1〜C
4アルキルアミノ、ジ−C
1〜C
4アルキルアミノ、ハロゲン原子(BrまたはCl)、およびそれらの組合せからなる群から選択される。
【0035】
本明細書において使用される際、「多数の(multiple)」という用語は、3つ以上を指す。
【0036】
「ビニル架橋剤」は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基を有する化合物を指す。「ビニル架橋剤」は、2つ以上のエチレン性不飽和基および700ダルトン未満の分子量を有する化合物を指す。
【0037】
フリーラジカル開始剤は、光開始剤または熱開始剤のいずれかであり得る。「光開始剤」は、光の使用によってフリーラジカル架橋/重合反応を開示させる化学物質を指す。「熱開始剤」は、熱エネルギーの使用によってラジカル架橋/重合反応を開始させる化学物質を指す。
【0038】
「重合性UV吸収剤」または「UV吸収ビニルモノマー」は、エチレン性不飽和基およびUV吸収部分を含む化合物を指す。
【0039】
「UV吸収部分」は、当業者によって理解されるように200nm〜400nmの範囲の紫外線を吸収または遮蔽することができる有機官能基を指す。
【0040】
「化学線の空間的制限」は、光線の形態のエネルギー放射が、空間的に制限されて、明確に画定された周囲境界を有する領域に当たるように、例えば、マスクまたはスクリーンまたはそれらの組合せによって方向付けられる作用またはプロセスを指す。紫外線/可視線の空間的制限は、米国特許第6,800,225号明細書(
図1〜11)、および同第6,627,124号明細書(
図1〜9)、同第7,384,590号明細書(
図1〜6)、および同第7,387,759号明細書(
図1〜6)(これらは全て、全体が参照により援用される)の図面に概略的に示されるように、放射線(例えば、紫外線/可視線)透過性領域、放射線透過性領域を囲む放射線(例えば、紫外線/可視線)不透過性領域、および放射線不透過性および放射線透過性領域の間の境界である投射輪郭を有するマスクまたはスクリーンを使用することによって得られる。マスクまたはスクリーンは、マスクまたはスクリーンの投射輪郭によって画定される断面形状を有する放射線(例えば、紫外線/可視線)のビームを空間的に投射する。投射された放射線(例えば、紫外線/可視線)のビームは、投射されたビームの経路に位置するレンズ形成材料に当たる放射線(例えば、紫外線/可視線)を、成形型の第1の成形面から第2の成形面までに制限する。得られるコンタクトレンズは、第1の成形面によって画定される前面、第2の成形面によって画定される反対側の後面、および投射された紫外線/可視線ビームの断面形状(すなわち、放射線の空間的制限)によって画定されるレンズエッジを含む。架橋に使用される放射線は、放射エネルギー、特に、紫外線/可視線、γ線、電子放射線または熱放射線であり、放射エネルギーは、好ましくは、一方で良好な制限を達成するために、他方でエネルギーの効率的な使用を達成するために、ほぼ平行なビームの形態である。
【0041】
従来の注型プロセスにおいて、成形型の第1および第2の成形面は、互いに対してプレスされて、得られるコンタクトレンズのエッジを画定する円周の接触線を形成する。成形面の密接な接触は、成形面の光学的品質を損なうことがあるため、成形型は再利用することができない。対照的に、Lightstream Technology(商標)では、得られるコンタクトレンズのエッジは、成形型の成形面の接触によって画定されず、代わりに放射線の空間的制限によって画定される。成形型の成形面の間に接触がないため、成形型を繰返し使用して、高い再現性を有する高品質のコンタクトレンズを製造することができる。
【0042】
「染料」は、レンズ形成流体材料に可溶性であり、色を与えるのに使用される物質を意味する。染料は、典型的に半透明であり、光を吸収するが散乱させない。
【0043】
「顔料」は、それが不溶であるレンズ形成組成物中で懸濁された粉末状の物質(粒子)を意味する。
【0044】
本明細書において使用される際の「表面改質」または「表面処理」は、物品が、物品の形成の前または後に、表面処理プロセス(または表面改質プロセス)において処理されていることを意味し、ここで、(1)コーティングが、物品の表面に適用され、(2)化学種が、物品の表面に吸収され、(3)物品の表面の化学基の化学的性質(例えば、帯電)が変化され、または(4)物品の表面特性が他の形で改質される。例示的な表面処理プロセスとしては、限定はされないが、エネルギー(例えば、プラズマ、静電荷、照射、または他のエネルギー源)による表面処理、化学的処理、物品の表面への親水性ビニルモノマーまたはマクロマーのグラフト、米国特許第6,719,929号明細書(全体が、参照により本明細書に援用される)に開示される成形型トランスファーコーティング(mold−transfer coating)プロセス、米国特許第6,367,929号明細書および同第6,822,016号明細書(全体が、参照により本明細書に援用される)において提供されるコンタクトレンズを作製するためのレンズ配合物への湿潤剤の組み込み、米国特許第7,858,000号明細書(全体が、参照により本明細書に援用される)に開示される強化された成形型トランスファーコーティング、および米国特許第8,147,897号明細書および同第8,409,599号明細書および米国特許出願公開第2011/0134387号明細書、同第2012/0026457号明細書および同第2013/0118127号明細書(全体が、参照により本明細書に援用される)に開示されるコンタクトレンズの表面への1つ以上の親水性ポリマーの1つ以上の層の共有結合または物理蒸着から構成される親水性コーティングが挙げられる。
【0045】
シリコーンヒドロゲル材料またはソフトコンタクトレンズに関する「硬化後表面処理」は、成形型中でのヒドロゲル材料またはソフトコンタクトレンズの形成(硬化)後に行われる表面処理プロセスを意味する。
【0046】
シリコーンヒドロゲル材料またはコンタクトレンズに関する「親水性表面」は、シリコーンヒドロゲル材料またはコンタクトレンズが、約90°以下、好ましくは、約80°以下、より好ましくは、約70°以下、より好ましくは、約60°以下の平均水接触角を有することによって特徴付けられる表面親水性を有することを意味する。
【0047】
「平均接触角」は、少なくとも3つの個別のコンタクトレンズの測定を平均することによって得られる水接触角(液滴法によって測定される前進角)を指す。
【0048】
材料の固有の「酸素透過性」、Dkは、酸素が材料を通過する速度である。本出願において使用される際、ヒドロゲル(シリコーンまたは非シリコーン)またはコンタクトレンズに関する「酸素透過性(Dk)」という用語は、後の実施例に示される手順にしたがって、境界層効果によって引き起こされる酸素フラックスに対する表面抵抗について補正された、測定された酸素透過性(Dk)を意味する。酸素透過性は、従来、バーラーの単位で表され、ここで、「バーラー」は、[(cm
3酸素)(mm)/(cm
2)(秒)(mm Hg)]×10
−10として定義される。
【0049】
レンズまたは材料の「酸素透過率」、Dk/tは、測定領域にわたってt[mm単位]の平均厚さを有する特定のレンズまたは材料を酸素が通過する速度である。酸素透過率は、従来、バーラー/mmの単位で表され、ここで、「バーラー/mm」は、[(cm
3酸素)/(cm
2)(秒)(mm Hg)]×10
−9として定義される。
【0050】
「鎖延長ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤」は、少なくとも2つのエチレン性不飽和基および結合によって隔てられる少なくとも2つのポリジオルガノシロキサンセグメントを含む化合物を指す。
【0051】
本出願において使用される際、レンズ形成組成物に関する「透明な」という用語は、レンズ形成組成物が、透明な溶液または液体混合物である(すなわち、400〜700nmの範囲で、85%以上、好ましくは、90%以上の光透過率を有する)ことを意味する。
【0052】
一般に、本発明は、(1)少なくとも2つのポリジメチルシロキサンセグメントと、ポリジメチルシロキサンセグメントの各対の間の1つの親水性ポリオキシアルキレンセグメントと、1つのポリジメチルシロキサンセグメントおよび1つの親水性ポリオキシアルキレンセグメントの各対の間の1つのアミドリッチリンカーとを含む直鎖状ポリマー鎖と;(2)2つの末端(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ含む、ある種類の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーであって、少なくとも3000ダルトンの平均分子量を有するポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーに関する。
【0053】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの作製における本発明の鎖延長ポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤の使用に関連するいくつかの潜在的な独自の特徴がある。
【0054】
第1に、本発明の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、少なくとも1つの親水性ポリマーセグメントの存在のため、他の親水性重合性成分(例えば、親水性ビニルモノマー、親水性架橋剤、および/または親水性プレポリマー)とより相溶性である。それは、大量の親水性重合性成分を含有することがあり、かつ室温または約0℃〜約4℃の低い貯蔵温度でもまだ透明である、様々な溶媒含有または無溶媒レンズ配合物を調製するのに好適である。このようなレンズ配合物は、有利には、製造において予め調製され得る。
【0055】
第2に、各ポリジメチルシロキサンセグメントが、連続した配列で少なくとも5つのジメチルシロキサン単位を有するため、本発明の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを用いて、他の親水性重合性成分とのその相溶性に悪影響を与えずにシロキサン単位当たりの比較的高い酸素透過性を効率的に提供し得る。
【0056】
第3に、本発明の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、2つの周知のクリック反応:チオール−ラクトン開環反応およびチオール−マイケル付加反応にしたがって調製される。
【0057】
第4に、本発明の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーの調製における中間体化学物質の単離および精製の必要がない。
【0058】
本発明は、一態様において、式(I)
【化4】
(式中:
n1が、5〜50の整数であり;
t1が、1〜15の整数であり;
X
0が、OまたはNR’であり、ここで、R’が、水素またはC
1〜C
4−アルキルであり;
R”が、水素またはメチルであり;
R
1およびR
2が、互いに独立して、C
1〜C
6アルキレン二価基またはC
1〜C
6アルキレン−オキシ−C
1〜C
6アルキレン二価基であり;
pOAlkが、式(II)
【化5】
の二価基であり、ここで、EOが、オキシエチレン単位(−CH
2CH
2O−)であり、
POが、オキシプロピレン単位
【化6】
であり、BOが、オキシブチレン単位
【化7】
であり、e1が、5〜100の整数であり、p1およびb1が、互いに独立して、0〜50の整数であり、ただし、(e1+p1+b1)≧10であり、
(p1+b1)≧1である場合、
【数1】
(好ましくは、約2:1〜約10:1、より好ましくは、約3:1〜約6:1である)であり;
hpLが、式(III)または(IV)
【化8】
の二価基であり、ここで、R
3およびR
4が、互いに独立して、置換もしくは非置換C
1〜C
12アルキレン二価基であり、R
aが、水素またはメチル(好ましくは、水素)であり、R
bが、水素、C
1〜C
3アルキル、アセチル、またはカルボキシル基を任意選択的に有するC
2〜C
4アルカノイルアミノ(例えば、アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ブチリルアミノ)(好ましくは、アセチルアミノ、プロピオニルアミノまたはブチリルアミノ、より好ましくは、アセチルアミノまたはプロピオニルアミノ、さらにより好ましくは、アセチルアミノ)である)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーであって、
該重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが、少なくとも3000ダルトンの平均分子量を有する重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを提供する。
【0059】
好ましい実施形態によれば、式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、好ましくは、約4000ダルトン〜約100,000ダルトン、より好ましくは、約5000ダルトン〜約50,000ダルトン、さらにより好ましくは、約7000ダルトン〜約25,000ダルトンの平均分子量を有する。
【0060】
式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーは、2工程の反応スキームで調製され得る。第1の工程において、ジアミノ末端ポリオキシアルキレンが、N−アセチルホモシステインチオラクトン(または任意のチオラクトン)と反応されて、ジチオール末端ポリオキシアルキレンが得られる。第2の工程において、ジチオール末端ポリオキシアルキレンは、チオールマイケル付加反応にしたがって、ジ−(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサンと反応されて、式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが得られる。ジチオール末端ポリオキシアルキレン対ジ−(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサンのモル当量比が、ジ−(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを得るために、1未満であるべきであることが理解される。当業者は、ジチオール末端ポリオキシアルキレン対ジ−(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサンのモル当量比を変更することによって、得られる(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー中のポリジメチルシロキサンセグメントの数を制御する方法を認識している。
【0061】
説明のための例として、スキーム1は、ジアミノアルキル末端ポリオキシエチレン(H
2N−R
3−(EO)
e1−R
4−NH
2)、N−アセチルホモシステインチオラクトン、およびジアクリルアミド末端ポリジメチルシロキサンから、式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを調製する方法を示す。式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを得るために、ジアミノアルキル末端ポリオキシエチレンが、ジアミノアルキル末端ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンジ−もしくはトリ−ブロックコポリマーまたはジアミノアルキル末端ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンジ−もしくはトリ−ブロックコポリマーで置換され得ること、および/またはジアクリルアミド末端ポリジメチルシロキサンが、ジメタクリルアミド末端ポリジメチルシロキサンまたはジ−(メタ)アクリロイルオキシ末端ポリジメチルシロキサンで置換され得ることが理解される。
【0062】
【化9】
スキーム1の第1の工程において、本発明の親水性コポリマーを得るために、N−アセチルホモシステインチオラクトンが、任意のチオラクトンで置換され得ることが理解される。好ましい市販のチオラクトンの例としては、限定はされないが、4−ブチロチオラクトン(またはジヒドロ−2(3H)−チオフェノン)、3−メチルジヒドロ−2(3H)−チオフェノン、3−エチルジヒドロ−2(3H)−チオフェノン、3−(1−メチルエチル)ジヒドロ−2(3H)−チオフェノン、3,3−ジメチルジヒドロ−2(3H)−チオフェノン、3−エチル−3−メチルジヒドロ−2(3H)−チオフェノン、3−アセチルジヒドロ−2(3H)−チオフェノン、N−アセチルホモシステインチオラクトン、N−プロピオニルホモシステインチオラクトン、N−ブチリルホモシステインチオラクトン、およびN−カルボキシブチリルホモシステインチオラクトン(または4−オキソ−4−[(テトラヒドロ−2−オキソ−3−チエニル)アミノ]−ブタン酸)が挙げられる。
【0063】
任意のジ−(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサンが、本発明に使用され得る。好ましいジ−(メタ)アクリロイル末端ポリジメチルシロキサンの例としては、限定はされないが、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシエトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシエトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシエチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシ−プロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドエトキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルアミド−エチルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルオキシプロピルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドプロピルアミノ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[3−(メタ)アクリルアミドイソプロポキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ−エトキシプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−N−エチルアミノプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−アミノプロピル]−ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−オキシカルボニルプロピル]末端ポリジメチルシロキサン、α,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−オキシ−ペンチルカルボニルオキシアルキル]末端ポリジメチルシロキサン、およびα,ω−ビス[(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピル−オキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0064】
任意のジアミノ末端ポリオキシエチレン、ジアミノ末端ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンジ−ブロックコポリマー、ジアミノ末端ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレントリ−ブロックコポリマー、ジアミノ末端ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンジ−ブロックコポリマー、ジアミノ末端ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレントリ−ブロックコポリマーが、本発明に使用され得る。それらは、商業的供給源から得られる。あるいは、それらは、当業者に公知の方法、例えば、米国特許第4,179,337号明細書および同第5,206,344号明細書、米国特許出願公開第20030149307号明細書、ならびにDe VosおよびGoethals(Makromol.Chem.,Rapid Commun.6,53−56(1985))およびBuckmannら(Biotechnology and Applied Biochemistry 9,258−268(1987))によって発表された論文(全体が参照により本明細書に援用される)に記載される方法にしたがって、ジヒドロキシ末端ポリオキシアルキレンから調製され得る。
【0065】
ジヒドロキシ末端ポリオキシエチレン−ポリオキシブチレンブロックコポリマーは、米国特許第8318144号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)に記載される手順にしたがって合成され得る。
【0066】
本発明によれば、本発明に用いられるジアミノ末端ポリオキシアルキレンは、好ましくは、250〜約50,000ダルトン;より好ましくは、約500〜約10,000ダルトンの範囲の分子量を有する。
【0067】
本発明(式(I)上に定義されるような)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーには、ポリマー、好ましくは、本発明の別の態様であるシリコーンヒドロゲルポリマー材料の調製における特定の使用が見出され得る。当業者は、任意の公知の重合機構にしたがって、重合性組成物からポリマーまたはシリコーンヒドロゲルポリマー材料を調製する方法を認識している。
【0068】
別の態様において、本発明は、式(I)(上に定義されるような)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーの単位と、シロキサン含有ビニルモノマーの単位と、少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの単位とを含む架橋ポリマー材料を含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、完全に水和されるとき、少なくとも約70バーラー(好ましくは、少なくとも約80バーラー、より好ましくは、少なくとも約90バーラー、さらにより好ましくは、少なくとも約100バーラー)の酸素透過性(Dk)、約25重量%〜約70重量%(好ましくは、約30重量%〜約65重量%、より好ましくは、約35重量%〜約60重量%、さらにより好ましくは、約40重量%〜約55重量%)の含水量、約0.20MPa〜約1.2MPa(好ましくは、約0.25MPa〜約1.0MPa、より好ましくは、約0.3MPa〜約0.9MPa、さらにより好ましくは、約0.4MPa〜約0.8MPa)の弾性率を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを提供する。
【0069】
当業者は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの酸素透過性、酸素透過率、含水量、弾性率、およびレンズ直径を測定する方法を十分に認識している。これらのレンズ特性は、それらのシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ製品のための全ての製造業者によって報告されている。
【0070】
式(I)(上に定義されるような)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーの様々な実施形態が、本発明のこの態様に組み込まれるべきである。
【0071】
任意の好適なシロキサン含有ビニルモノマーが、本発明に使用され得る。好ましいシロキサン含有ビニルモノマーの種類は、トリス(トリアルキルシロキシ)シリル基またはビス(トリアルキルシリルオキシ)アルキルシリル基を含有するものである。このような好ましいシリコーン含有ビニルモノマーの例としては、限定はされないが、3−アクリルアミドプロピル−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−N−メチルアクリルアミドプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−[トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]−(メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルプロピルシロキシ)−シリルプロピル]−(メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルフェニルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ジメチルエチルシロキシ)シリルプロピル](メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(ビス(トリメチルシリルオキシ)メチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)−2−メチルアクリルアミド;N−(2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル)アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(トリス(トリメチルシリルオキシ)シリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N−[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]−2−メチルアクリルアミド;N,N−ビス[2−ヒドロキシ−3−(3−(t−ブチルジメチルシリル)プロピルオキシ)プロピル]アクリルアミド;3−メタクリルオキシプロピルペンタメチルジシロキサン、トリス(トリメチルシリルオキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS)、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン)、(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルトリス(トリメチルシロキシ)シラン、3−メタクリルオキシエトキシプロピルオキシ−プロピル−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、N−2−メタクリルオキシエチル−O−(メチル−ビス−トリメチルシロキシ−3−プロピル)シリルカルバメート、3−(トリメチルシリル)プロピルビニルカーボネート、3−(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル−トリス(トリメチル−シロキシ)シラン、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート、3−[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカーボネート、t−ブチルジメチル−シロキシエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルエチルビニルカーボネート、トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、ならびに少なくとも1つの親水性結合および/または少なくとも1つの親水性鎖を含む米国特許第9,103,965号明細書、同第9,475,827号明細書、および同第9,097,840号明細書(全体が、参照により本明細書に援用される)に開示される親水化シロキサン含有ビニルモノマーが挙げられる。
【0072】
好ましいシロキサン含有ビニルモノマーの別の種類は、ポリカーボシロキサンビニルモノマー(またはカーボシロキサンビニルモノマー)である。このようなポリカーボシロキサンビニルモノマーまたはマクロマーの例は、米国特許第7915323号明細書および同第8420711号明細書、米国特許出願公開第2012/244088号明細書、同第2012/245249号明細書、同第2015/0309211号明細書、および同第2015/0309210号明細書(全体が、参照により本明細書に援用される)に記載されるものである。
【0073】
好ましいシロキサン含有ビニルモノマーのさらなる種類は、ポリジメチルシロキサン含有ビニルモノマーである。このようなポリジメチルシロキサン含有ビニルモノマーの例は、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリルオキシ末端ポリジメチルシロキサン(例えば、モノ−3−メタクリルオキシプロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサンまたはモノ−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピル末端、モノ−ブチル末端ポリジメチルシロキサン)、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン、またはそれらの組合せである。
【0074】
本発明によれば、シロキサン含有ビニルモノマーは、好ましくは、3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリルオキシエトキシプロピルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピル−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−N−メチル(メタ)アクリルアミドプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリルオキシ末端ポリジメチルシロキサン、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン、またはそれらの組合せである。
【0075】
本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの架橋ポリマー材料は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを作製するためのレンズ形成組成物中の親水性重合性成分と相溶性である限り、ポリジメチルシロキサンビニル架橋剤を任意に含み得ることが理解される。
【0076】
好ましい親水性ビニルモノマーの例としては、限定はされないが、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、最大で1500の重量平均分子量を有するポリエチレングリコールC
1〜C
4−アルキルエーテル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、およびそれらの組合せが挙げられる。好ましくは、親水性ビニルモノマーは、親水性N−ビニルモノマー、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、またはそれらの組合せである。さらにより好ましくは、親水性ビニルモノマーは、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、またはそれらの組合せである。
【0077】
本発明によれば、本発明のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズの架橋ポリマー材料は、シリコーンを含まない疎水性ビニルモノマーの単位、非シリコーンビニル架橋剤の単位、UV吸収ビニルモノマーの単位、またはそれらの組合せをさらに含み得る。
【0078】
好ましい疎水性ビニルモノマーの例としては、メチルアクリレート、エチル−アクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、スチレン、クロロプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、1−ブテン、ブタジエン、メタクリロニトリル、ビニルトルエン、ビニルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルエチル−チオ−カルボニル−アミノエチル−メタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリフルオロエチルメタクリレート、ヘキサフルオロ−イソプロピルメタクリレート、ヘキサフルオロブチルメタクリレートが挙げられる。
【0079】
好ましい非シリコーン架橋剤の例としては、限定はされないが、エチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、グリセロールジ−(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ−(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ−(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ−(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジ−(メタ)アクリレート
(すなわちトリグリセロールジ(メタ)アクリレート)、エチレンビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)]ジ−(メタ)アクリレート、ビス[2−(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ−(メタ)アクリレート、および3,4−ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド(すなわち、N−(1−オキソ−2−プロペニル)−2−プロペンアミド)、ジメタクリルアミド(すなわち、N−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−2−メチル−2−プロペンアミド)、N,N−ジ(メタ)アクリロイル−N−メチルアミン、N,N−ジ(メタ)アクリロイル−N−エチルアミン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2−ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2,3−ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3−ビス(メタ)アクリルアミドプロパン−2−イル二水素ホスフェート(すなわち、N,N’−2−ホスホ
リルオキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド)、ピペラジンジアクリルアミド(または1,4−ビス(メタ)アクリロイルピペラジン)、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N−アリル−メタクリルアミド、N−アリル−アクリルアミド、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、ジアミンの生成物(好ましくは、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N’−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、プロパン−1,3−ジアミン、ブタン−1,4−ジアミン、ペンタン−1,5−ジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、およびそれらの組合せからなる群から選択される)およびエポキシ含有ビニルモノマー(好ましくは、グリシジル(メタ)アクリレート、ビニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、およびそれらの組合せからなる群から選択される)、それらの組合せ)が挙げられる。
【0080】
好ましいUV吸収ビニルモノマーの例としては、限定はされないが:2−(2−ヒドロキシ−5−ビニルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−5−アクリリルオキシ(acrylyloxy)フェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2−ヒドロキシ−3−メタクリルアミドメチル−5−tertオクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピル−3’−t−ブチル−フェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリルオキシプロピルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−1)、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−5)、3−(5−フルオロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート(WL−2)、3−(2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート(WL−3)、3−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−2−ヒドロキシ−5−メトキシベンジルメタクリレート(WL−4)、2−ヒドロキシ−5−メトキシ−3−(5−メチル−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−6)、2−ヒドロキシ−5−メチル−3−(5−(トリフルオロメチル)−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)ベンジルメタクリレート(WL−7)、4−アリル−2−(5−クロロ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)−6−メトキシフェノール(WL−8)、2−{2’−ヒドロキシ−3’−tert−5’[3”−(4”−ビニルベンジルオキシ)プロポキシ]フェニル}−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール、フェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(1,1−ジメチルエチル)−4−エテニル−(UVAM)、2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリルオキシエチル)フェニル)]−2H−ベンゾトリアゾール(2−プロペン酸、2−メチル−、2−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]エチルエステル、Norbloc)、2−{2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−[3’−メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}−2H−ベンゾトリアゾール、2−{2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−[3’−メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール(UV13)、2−{2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−[3’−メタクリロイルオキシプロポキシ]フェニル}−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール(UV28)、2−[2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−(3’−アクリロイルオキシプロポキシ)フェニル]−5−トリフルオロメチル−2H−ベンゾトリアゾール(UV23)、2−(2’−ヒドロキシ−5−メタクリルアミドフェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール(UV6)、2−(3−アリル−2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(UV9)、2−(2−ヒドロキシ−3−メタリル−5−メチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(UV12)、2−3’−t−ブチル−2’−ヒドロキシ−5’−(3”−ジメチルビニルシリルプロポキシ)−2’−ヒドロキシ−フェニル)−5−メトキシベンゾトリアゾール(UV15)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイルプロピル−3’−tert−ブチル−フェニル)−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール(UV16)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−アクリロイルプロピル−3’−tert−ブチル−フェニル)−5−メトキシ−2H−ベンゾトリアゾール(UV16A)、2−メチルアクリル酸3−[3−tert−ブチル−5−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル]−プロピルエステル(16−100、CAS#96478−15−8)、2−(3−(tert−ブチル)−4−ヒドロキシ−5−(5−メトキシ−2H−ベンゾ[d][1,2,3]トリアゾール−2−イル)フェノキシ)エチルメタクリレート(16−102);フェノール、2−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−メトキシ−4−(2−プロペン−1−イル)(CAS#1260141−20−5);2−[2−ヒドロキシ−5−[3−(メタクリロイルオキシ)プロピル]−3−tert−ブチルフェニル]−5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール;フェノール、2−(5−エテニル−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−メチル−、ホモポリマー(9CI)(CAS#83063−87−0)が挙げられる。
【0081】
シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、本発明の別の態様である本発明の方法にしたがってレンズ形成組成物から調製され得る。
【0082】
さらなる態様において、本発明は、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法を提供する。この方法は、室温で、および任意選択であるが好ましくは約0〜約4℃の温度で透明であるレンズ形成組成物を調製する工程であって、レンズ形成組成物が、(a)約5重量%〜約35重量%の、式(I)(上に定義される)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、(b)シロキサン含有ビニルモノマー、(c)約30重量%〜約60重量%の少なくとも1つの親水性ビニルモノマー、(d)少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含み、ただし、上に列挙された重合性成分および任意のさらなる重合性成分が合計して100重量%になる工程と;レンズ形成組成物を成形型に導入する工程であって、成形型が、コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を有する第1の成形型半部と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を有する第2の成形型半部とを有し、前記第1および第2の成形型半部は、前記第1および第2の成形面の間に空洞が形成されるように互いを受け入れるように構成される工程と;レンズ成形型中のレンズ形成組成物を熱または化学線により硬化して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程を含み、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約70バーラーの酸素透過性(Dk)、約25重量%〜約70重量%の含水量、および約0.2MPa〜約1.2MPaの弾性率を有する。
【0083】
式(I)(上に定義される)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーの上述される様々な実施形態は、本発明のこの態様に組み込まれるべきである。
【0084】
シロキサン含有ビニルモノマー、親水性ビニルモノマーの上述される様々な実施形態は、本発明のこの態様に組み込まれるべきである。
【0085】
本発明によれば、フリーラジカル開始剤は、熱開始剤または光開始剤であり得る。
【0086】
任意の熱重合開始剤が、本発明に使用され得る。好適な熱重合開始剤は、当業者に公知であり、例えば、過酸化物、ヒドロペルオキシド、アゾ−ビス(アルキル−またはシクロアルキルニトリル)、過硫酸塩、過炭酸塩、またはそれらの混合物を含む。好ましい熱重合開始剤の例としては、限定はされないが、過酸化ベンゾイル、t−ブチルペルオキシド、t−アミルペルオキシベンゾエート、2,2−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ブタン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−2,5−ジメチル−3−ヘキシン、ビス(1−(tert−ブチルペルオキシ)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ジ−t−ブチル−ジペルオキシフタレート、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酢酸t−ブチル、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、アセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、デカノイルペルオキシド、ペルオキシ二炭酸ジセチル、ペルオキシ二炭酸ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)(Perkadox 16S)、ペルオキシ二炭酸ジ(2−エチルヘキシル)、ペルオキシピバル酸t−ブチル(Lupersol 11);t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)、2,4−ペンタンジオンペルオキシド、過酸化ジクミル、過酢酸、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩(VAZO 44)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64またはAIBN)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88);2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレート)、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、およびそれらの組合せが挙げられる。好ましくは、熱開始剤は、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBNまたはVAZO 64)である。反応時間は、広い限度内で変化し得るが、好都合には、例えば、1〜24時間または好ましくは、2〜12時間である。重合反応に使用される成分および溶媒を予め脱気し、不活性雰囲気下、例えば、窒素またはアルゴン雰囲気下で前記共重合反応を行うのが有利である。
【0087】
好適な光開始剤は、ベンゾインメチルエーテル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイルホスフィンオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよびDarocurおよびIrgacurタイプ、好ましくは、Darocur 1173(登録商標)およびDarocur 2959(登録商標)、ゲルマン系ノリッシュI型光開始剤である。ベンゾイルホスフィン開始剤の例としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド;ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−プロピルフェニルホスフィンオキシド;およびビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−N−ブチルフェニルホスフィンオキシドが挙げられる。例えば、マクロマーに組み込まれ得るかまたは特殊なモノマーとして使用され得る反応性光開始剤も好適である。反応性光開始剤の例は、欧州特許第632 329号明細書(全体が、参照により本明細書に援用される)に開示されるものである。次に、重合は、好適な波長の化学線、例えば、光、特に紫外光によって引き起こされ得る。スペクトル要件は、必要に応じて、好適な光増感剤の添加によって、状況に応じて制御され得る。
【0088】
紫外線および高エネルギー紫光線(HEVL)を吸収することが可能なビニルモノマーが、本発明に使用される場合、ゲルマニウム系ノリッシュI型光開始剤および約400〜約550nmの領域の光を含む光源が、フリーラジカル重合を開始させるのに好ましくは使用される。約400〜約550nmの領域の光による照射下でフリーラジカル重合を開始させることが可能である限り、任意のゲルマニウム系ノリッシュI型光開始剤が、本発明に使用され得る。ゲルマニウム系ノリッシュI型光開始剤の例は、米国特許第7,605,190号明細書(全体が、参照により援用される)に記載されるアシルゲルマニウム化合物である。
【0089】
好ましい実施形態において、レンズ形成組成物は、有機溶媒を含む。
【0090】
好適な溶媒の例としては、限定はされないが、テトラヒドロフラン、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールn−ブチルエーテル、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテルジプロピレングリコールジメチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸i−プロピル、塩化メチレン、2−ブタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、メントール、シクロヘキサノール、シクロペンタノールおよびエキソノルボルネオール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−ヘキサノール、3−ヘキサノール、3−メチル−2−ブタノール、2−ヘプタノール、2−オクタノール、2−ノナノール、2−デカノール、3−オクタノール、ノルボルネオール、tert−ブタノール、tert−アミル、アルコール、2−メチル−2−ペンタノール、2,3−ジメチル−2−ブタノール、3−メチル−3−ペンタノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチル−2−ヘキサノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、1−クロロ−2−メチル−2−プロパノール、2−メチル−2−ヘプタノール、2−メチル−2−オクタノール、2−2−メチル−2−ノナノール、2−メチル−2−デカノール、3−メチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−メチル−4−ヘプタノール、3−メチル−3−オクタノール、4−メチル−4−オクタノール、3−メチル−3−ノナノール、4−メチル−4−ノナノール、3−メチル−3−オクタノール、3−エチル−3−ヘキサノール、3−メチル−3−ヘプタノール、4−エチル−4−ヘプタノール、4−プロピル−4−ヘプタノール、4−イソプロピル−4−ヘプタノール、2,4−ジメチル−2−ペンタノール、1−メチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、1−エチルシクロペンタノール、3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブテン、4−ヒドロキシ−4−メチル−1−シクロペンタノール、2−フェニル−2−プロパノール、2−メトキシ−2−メチル−2−プロパノール2,3,4−トリメチル−3−ペンタノール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、2−フェニル−2−ブタノール、2−メチル−1−フェニル−2−プロパノールおよび3−エチル−3−ペンタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−メチル−2−プロパノール、t−アミルアルコール、イソプロパノール、1−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルプロピオンアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリジノン、およびそれらの混合物が挙げられる。
【0091】
別の好ましい実施形態において、レンズ形成組成物は、1,2−プロピレングリコール、約400ダルトン以下の分子量を有するポリエチレングリコール、またはそれらの混合物に溶解される全ての望ましい成分の溶液である。
【0092】
別の好ましい実施形態において、レンズ形成組成物は、無溶媒液体混合物であり、C
1〜C
10アルキルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン(TMS)、およびt−ブチルスチレン(TBS)、およびそれらの組合せからなる群から選択される混合ビニルモノマーを含む。好ましくは、混合ビニルモノマーは、メチルメタクリレートである。
【0093】
別の好ましい実施形態において、レンズ形成組成物中に存在する全てのシリコーン含有重合性成分の総量は、約65%以下である。
【0094】
別の好ましい実施形態において、親水性ビニルモノマーは、親水性N−ビニルモノマーであり、好ましくは、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、またはそれらの組合せであり、さらにより好ましくは、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、またはそれらの組合せである。
【0095】
別の好ましい実施形態において、レンズ形成組成物は、非シリコーンビニル架橋剤をさらに含む。シロキサン含有ビニルモノマー、親水性ビニルモノマーの上述される様々な実施形態は、本発明のこの態様に組み込まれるべきである。使用される非シリコーンビニル架橋剤の量は、全重合性成分に対する重量含量で表され、好ましくは、約0.05%〜約2%の範囲、より好ましくは、約0.1%〜約1.5%の範囲、さらにより好ましくは、約0.15%〜約1.0%の範囲である。
【0096】
本発明によれば、レンズ形成組成物は、当業者に公知であるように、他の成分、例えば、可視性ティント剤(visibility tinting agent)(例えば、染料、顔料、またはそれらの混合物)、抗菌剤(例えば、好ましくは、銀ナノ粒子)、生物活性剤、浸出性潤滑剤、浸出性涙液安定剤、およびそれらの混合物をさらに含み得る。
【0097】
コンタクトレンズを作製するためのレンズ成形型は、当業者に周知であり、例えば、注型またはスピンキャストに用いられる。例えば、成形型(注型用)は、一般に、少なくとも2つの成形型部分(もしくは部)または成形型半部、すなわち、第1および第2の成形型半部を含む。第1の成形型半部は、第1の成形(もしくは光学)面を画定し、第2の成形型半部は、第2の成形(もしくは光学)面を画定する。第1および第2の成形型半部は、レンズ形成空洞が、第1の成形面と第2の成形面との間に形成されるように、互いに受け入れるように構成される。成形型半部の成形面は、成形型の空洞形成面であり、レンズ形成材料と直接接触する。
【0098】
コンタクトレンズを注型するための成形型部分を製造する方法は、一般に、当業者に周知である。本発明の方法は、成形型を形成するいずれの特定の方法にも限定されない。実際に、成形型を形成する任意の方法が、本発明に使用され得る。第1および第2の成形型半部は、射出成形または旋盤加工(lathing)などの様々な技術によって形成され得る。成形型半部を形成するための好適な方法の例は、Schadへの米国特許第4,444,711号明細書;Boehmらへの同第4,460,534号明細書;Morrillへの同第5,843,346号明細書;およびBonebergerらへの同第5,894,002号明細書(これらも参照により本明細書に援用される)に開示されている。
【0099】
成形型を作製するための当該技術分野において公知の実質的に全ての材料が、コンタクトレンズを作製するための成形型を作製するのに使用され得る。例えば、ポリマー材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、PMMA、Topas(登録商標)COCグレード8007−S10(Ticona GmbH(Frankfurt,GermanyおよびSummit,New Jersey)製のエチレンおよびノルボルネンの透明な非晶質コポリマー)などが使用され得る。石英ガラスおよびサファイアなどの、紫外光透過を可能にする他の材料が使用され得る。
【0100】
本発明によれば、レンズ形成配合物(または組成物)は、任意の公知の方法にしたがって成形型によって形成される空洞中に導入(分配)され得る。
【0101】
レンズ形成組成物が成形型中に分配された後、それは、重合されて、コンタクトレンズを製造する。架橋は、熱または化学線により開始され得る。
【0102】
成形品を成形型から取り出すことができるような成形型の開放は、それ自体公知の方法で行われ得る。
【0103】
成形されたコンタクトレンズは、未重合の重合性成分を除去するためにレンズ抽出に供され得る。抽出溶媒は、当業者に公知の任意の溶媒であり得る。好適な抽出溶媒の例は、上述されるものである。好ましくは、水または水溶液が、抽出溶媒として使用される。抽出後、レンズは、水または湿潤剤(例えば、親水性ポリマー)の水溶液中で水和され得る。
【0104】
成形されたコンタクトレンズはさらに、例えば、表面処理、約0.005重量%〜約5重量%の湿潤剤(例えば、当業者に公知の上述される親水性ポリマーなど)および/または粘度増強剤(例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、またはそれらの混合物)を含有し得るパッケージング溶液を含むレンズパッケージ内への包装;少なくとも約30分間にわたる118〜124℃でのオートクレーブなどの滅菌処理などのさらなるプロセスに供され得る。
【0105】
好ましい実施形態において、得られたシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、水または水溶液で抽出される。
【0106】
別の好ましい実施形態において、成形型は、再利用可能な成形型であり、レンズ形成組成物は、化学線の空間的制限下で、化学線により硬化(すなわち、重合)されて、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する。好ましい再利用可能な成形型の例は、米国特許第6,627,124号明細書、同第6,800,225号明細書、同第7,384,590号明細書、および同第7,387,759号明細書(全体が、参照により援用される)に開示されるものである。再利用可能な成形型は、石英、ガラス、サファイア、CaF
2、環状オレフィンコポリマー(例えば、Topas(登録商標)COCグレード8007−S10(Frankfurt,GermanyおよびSummit,New JerseyのTicona GmbH製のエチレンおよびノルボルネンの透明な非晶質コポリマー)、Zeonex(登録商標)およびZeon Chemicals LP(Louisville,KY)製のZeonor(登録商標)など)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、DuPont(Delrin)製のポリオキシメチレン、G.E.Plastics製のUltem(登録商標)(ポリエーテルイミド)、PrimoSpire(登録商標)、およびそれらの組合せで作製され得る。
【0107】
本発明の様々な実施形態が、特定の用語、デバイス、および方法を用いて説明されてきたが、このような説明は、例示のためのものに過ぎない。使用される用語は、限定の用語ではなく説明の用語である。変更および変化が、以下の特許請求の範囲に記載される、本発明の趣旨または範囲から逸脱せずに当業者によってなされ得ることが理解されるべきである。さらに、以下に示されるように、様々な実施形態の態様が、全体的または部分的に交換されてもよく、または任意の方法で組み合わされ得、および/または一緒に使用され得ることが理解されるべきである。
【0108】
1.式(I)
【化10】
(式中:
n1が、5〜50の整数であり;
t1が、1〜15の整数であり;
X
0が、OまたはNR’であり、ここで、R’が、水素またはC
1〜C
4−アルキルで
あり;
R”が、水素またはメチルであり;
R
1およびR
2が、互いに独立して、C
1〜C
6アルキレン二価基またはC
1〜C
6ア
ルキレン−オキシ−C
1〜C
6アルキレン二価基であり;
pOAlkが、式(II)
【化11】
の二価基であり、ここで、EOが、オキシエチレン単位(−CH
2CH
2O−)であり、
POが、
【化12】
のオキシプロピレン単位であり、BOが、
【化13】
のオキシブチレン単位であり、e1が、5〜100の整数であり、p1およびb1が、互いに独立して、0〜50の整数であり、ただし、(e1+p1+b1)≧10であり、(p1+b1)≧1である場合、
【数2】
であり;
hpLが、式(III)または(IV)
【化14】
の二価基であり、ここで、R
3およびR
4が、互いに独立して、置換もしくは非置換C
1〜C
12アルキレン二価基であり、R
aが、水素またはメチルであり、R
bが、水素、C
1〜C
3アルキル、アセチル、またはカルボキシル基を任意選択的に有するC
2〜C
4アルカノイルアミノである)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーであって、
該重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが、少なくとも3000ダルトンの数平均分子量を有する重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0109】
2.式(III)および(IV)中、R
aが水素である、発明1に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0110】
3.式(III)および(IV)中、R
bが、水素、アセチルアミノ、プロピオニルアミノまたはブチリルアミノである、発明2に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0111】
4.式(III)および(IV)中、R
bが、アセチルアミノ、プロピオニルアミノまたはブチリルアミノである、発明2に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0112】
5.式(III)および(IV)中、R
bが、アセチルアミノまたはプロピオニルアミノである、発明2に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0113】
6.式(III)および(IV)中、R
bがアセチルアミノである、発明2に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0114】
7.式(II)中、(p1+b1)≧1であり、
【数3】
である、発明1〜6のいずれか1つに記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0115】
8.
【数4】
が、約2:1〜約10:1である、発明7に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0116】
9.
【数5】
が、約3:1〜約6:1である、発明7に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0117】
10.p1が0である、発明7または8または9に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0118】
11.b1が0である、発明7または8または9に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0119】
12.p1およびb1が両方とも0であり、e1が、10〜100の整数である、発明1〜6のいずれか1つに記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0120】
13.式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが、約4000ダルトン〜約100,000ダルトンの数平均分子量を有する、発明1〜12のいずれか1つに記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0121】
14.式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが、約5000ダルトン〜約50,000ダルトンの数平均分子量を有する、発明1〜12のいずれか1つに記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0122】
15.式(I)の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが、約7000ダルトン〜約25,000ダルトンの数平均分子量を有する、発明1〜12のいずれか1つに記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー。
【0123】
16.発明1〜15のいずれか1つに記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーの単位と;
シロキサン含有ビニルモノマーの単位と;
少なくとも1つの親水性ビニルモノマーの単位と
を含む架橋ポリマー材料を含むシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズであって、
完全に水和されるとき、少なくとも70バーラーの酸素透過性(Dk)、約25重量%〜約70重量%の含水量、約0.2MPa〜約1.2MPaの弾性率を有するシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0124】
17.親水性ビニルモノマーが、N−ビニルピロリドン、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシルエチル(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、最大で1500の数平均分子量を有するポリエチレングリコールC
1〜C
4−アルキルエーテル(メタ)アクリレート、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、1−メチル−5−メチレン−2−ピロリドン、1−エチル−5−メチレン−2−ピロリドン、5−メチル−3−メチレン−2−ピロリドン、5−エチル−3−メチレン−2−ピロリドン、(メタ)アクリル酸、エチルアクリル酸、またはそれらの組合せである、発明16に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0125】
18.親水性ビニルモノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、またはそれらの組合せである、発明16に記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0126】
19.架橋ポリマー材料が、シリコーンを含まない疎水性ビニルモノマーの単位、非シリコーンビニル架橋剤の単位、UV吸収ビニルモノマーの単位、またはそれらの組合せをさらに含む、発明16〜18のいずれか1つに記載のシリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ。
【0127】
20.シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを製造するための方法であって、
室温で、および/または約0〜約4℃の温度で透明であるレンズ形成組成物を調製する工程であって、レンズ形成組成物が、(a)約5重量%〜約35重量%の、発明1〜15のいずれか一項に記載の重合性ポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマー、(b)シロキサン含有ビニルモノマー、(c)約30重量%〜約60重量%の少なくとも1つの親水性ビニルモノマー、(d)少なくとも1つのフリーラジカル開始剤を含み、ただし、上に列挙された重合性成分および任意のさらなる重合性成分が合計して100重量%になる工程と;
レンズ形成組成物を成形型に導入する工程であって、成形型が、コンタクトレンズの前面を画定する第1の成形面を有する第1の成形型半部と、コンタクトレンズの後面を画定する第2の成形面を有する第2の成形型半部とを有し、前記第1および第2の成形型半部は、前記第1および第2の成形面の間に空洞が形成されるように互いを受け入れるように構成される工程と;
レンズ成形型中のレンズ形成組成物を熱または化学線により硬化して、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズを形成する工程であって、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが、少なくとも約70バーラーの酸素透過性(Dk)、約25重量%〜約70重量%の含水量、および約0.2MPa〜約1.2MPa弾性率を有する工程と
を含む方法。
【0128】
21.レンズ形成組成物が、無溶媒液体混合物であり、C
1〜C
10アルキルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、イソボルニルアクリレート、シクロペンチルメタクリレート、シクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、スチレン、2,4,6−トリメチルスチレン(TMS)、およびt−ブチルスチレン(TBS)、およびそれらの組合せからなる群から選択される混合ビニルモノマーを含む、発明20に記載の方法。
【0129】
22.混合ビニルモノマーが、メチルメタクリレートである、発明20または21に記載の方法。
【0130】
23.レンズ形成組成物が、有機溶媒を含む、発明20に記載の方法。
【0131】
24.有機溶媒が、1,2−プロピレングリコール、約400ダルトン以下の数平均分子量を有するポリエチレングリコール、またはその混合物である、発明23に記載の方法。
【0132】
25.レンズ形成組成物中に存在する全てのシリコーン含有重合性成分の総量が、約65%以下である、発明20〜24のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
26.親水性ビニルモノマーが、親水性N−ビニルモノマーである、発明20〜25のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
27.親水性ビニルモノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルイソプロピルアミド、またはそれらの組合せである親水性N−ビニルモノマーである、発明20〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
28.親水性ビニルモノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、またはそれらの組合せである親水性N−ビニルモノマーである、発明20〜26のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
29.親水性ビニルモノマーが、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−N−メチルアセトアミド、またはそれらの組合せである、発明20〜28のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
30.レンズ形成組成物が、非シリコーンビニル架橋剤をさらに含む、発明20〜29のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
31.非シリコーンビニル架橋剤が、エチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、グリセロールジ−(メタ)アクリレート、1,3−プロパンジオールジ−(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ−(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ−(メタ)アクリレート、グリセロール1,3−ジグリセロレートジ−(メタ)アクリレート
(すなわちトリグリセロールジ(メタ)アクリレート)、エチレンビス[オキシ(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)]ジ−(メタ)アクリレート、ビス[2−(メタ)アクリルオキシエチル]ホスフェート、トリメチロールプロパンジ−(メタ)アクリレート、および3,4−ビス[(メタ)アクリロイル]テトラヒドロフラン、ジアクリルアミド(すなわち、N−(1−オキソ−2−プロペニル)−2−プロペンアミド)、ジメタクリルアミド(すなわち、N−(1−オキソ−2−メチル−2−プロペニル)−2−メチル−2−プロペンアミド)、N,N−ジ(メタ)アクリロイル−N−メチルアミン、N,N−ジ(メタ)アクリロイル−N−エチルアミン、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−プロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2−ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2,3−ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3−ビス(メタ)アクリルアミドプロパン−2−イル二水素ホスフェート(すなわち、N,N’−2−ホスホ
リルオキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド)、ピペラジンジアクリルアミド(または1,4−ビス(メタ)アクリロイルピペラジン)、ビニルメタクリレート、アリルメタクリレート、アリルアクリレート、N−アリル−メタクリルアミド、N−アリル−アクリルアミド、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、イソシアヌル酸トリアリル、シアヌル酸トリアリル、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、それらの組合せからなる群から選択される、発明30に記載の方法。
【0139】
32.非シリコーンビニル架橋剤が、テトラ(エチレングリコール)ジ−(メタ)アクリレート、トリ(エチレングリコール)ジ−(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ−(メタ)アクリレート、ジ(エチレングリコール)ジ−(メタ)アクリレート、グリセロールジメタクリレート、アリル(メタ)アクリレート、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジヒドロキシエチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2−ヒドロキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−2,3−ジヒドロキシブチレンビス(メタ)アクリルアミド、1,3−ビス(メタ)アクリルアミドプロパン−2−イル二水素ホスフェート(すなわち、N,N’−2−ホスホ
リルオキシプロピレンビス(メタ)アクリルアミド)、ピペラジンジアクリルアミド(または1,4−ビス(メタ)アクリロイルピペラジン)、イソシアヌル酸トリアリル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、およびそれらの組合せからなる群から選択される、発明30に記載の方法。
【0140】
33.シロキサン含有ビニルモノマーが、3−(メタ)アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリルオキシエトキシプロピルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−(メタ)アクリルアミドプロピル−ビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、3−N−メチル(メタ)アクリルアミドプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、様々な数平均分子量のモノ−(メタ)アクリルオキシ末端ポリジメチルシロキサン、様々な分子量のモノ−(メタ)アクリルアミド末端ポリジメチルシロキサン、またはそれらの組合せである、発明20〜32のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
34.硬化の工程が、熱により行われる、発明20〜33のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
35.レンズ形成組成物が、室温で透明である、発明20〜34のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
上記の開示は、当業者が本発明を実施するのを可能にする。様々な変更、変形、および組合せを、本明細書に記載される様々な実施形態に対して行うことができる。読者が特定の実施形態およびその利点をよりよく理解することができるように、以下の実施例を参照することが提案される。本明細書および実施例は、例示的であると見なされることが意図される。
【実施例】
【0144】
実施例1
本発明のポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを、スキーム1に示される手順にしたがって調製する。
【0145】
【化15】
500mLのジャケット反応器に、Jeffamine ED−900(Aldrich 14527−500mL−F、lot#BCBG7025V、分子量約900、3.00g、1モル当量)、DL−N−アセチルホモシステインチオラクトン(Jintan Shuibei Pharmaceutical Factoryによって作製される、lot#151112、1.07g、2.02モル当量)およびイソプロパノール(16.29g)を加える。サーキュレータを用いて、反応器を25℃に維持し、窒素下で保護する。反応を一晩行う。反応混合物に、PDMSジメタクリレート(Shin−Etsu X−22−164B、lot#009051、分子量約5000、16.00g、1.5モル当量)、ジメチルフェニルホスフィン(Aldrich 266020−5G、lot#MKBZ0750V、47.4μL、0.1モル当量)およびイソプロパノール(32.00g)を加える。反応を24時間行う。反応混合物を移動させ、1kの分子量カットオフを有するSpectra/Por(登録商標)膜を用いたイソプロパノール中での反復透析によって、40gの溶液を精製する。透析後、溶液を、ロータリーエバポレータ(rotovap)によって濃縮して、粘性の乳白色の液体(15.65g)を得る。
【0146】
実施例2
(比較)
2つのPDMSセグメントの間のジウレタン結合を介して連結された3つのポリジメチルシロキサン(PDMS)セグメントを有する鎖延長ポリジメチルシロキサンビニル架橋剤(CE−PDMS、分子量約9000g/mol)を、米国特許第8,529,057号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例2に記載されるものと類似の手順にしたがって調製する。
【0147】
実施例3
(比較)
2つのPDMSセグメントの間のジウレタン結合を介して連結された3つのポリジメチルシロキサン(PDMS)セグメントを有する低分子量鎖延長ポリジメチルシロキサンビニル架橋剤(LM CE−PDMS、分子量約6000g/mol)を、米国特許第8,529,057号明細書(全体が参照により本明細書に援用される)の実施例2に記載されるものと類似の手順にしたがって調製する。
【0148】
実施例4
(比較)
前駆体の合成
275.9gのオクタメチルシクロテトラシロキサン(分子量296.62)、12.0gの1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン(分子量240.51)、9.7gの1,3−ビス(3−メタクリルオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン(分子量386.63)、および0.9gのトリフルオロメタンスルホン酸(分子量150.08)を、500mLの丸底フラスコ中で秤量する。反応を35℃で24時間行った後、170mLの0.5%の炭酸水素ナトリウムを加える。収集された有機部分を、脱イオン水(サイクル当たり170mL)で5回さらに抽出する。無水MgSO
4を、収集された有機溶液に加えた後、約350mLのさらなるCHCl
3を加え、次に、溶液を一晩撹拌する。ろ過の後、溶媒を、ロータリーエバポレータ(Rotovap)、続いて高真空によって除去する。102gの最終生成物(前駆体)が得られる。
【0149】
PDMS架橋剤を形成するための3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールとのヒドロシリル化反応
小型の反応器を、加熱器および乾燥管付きの空気冷却機に連結する。21gのトルエン、15gの上記の前駆体、および5.03gの3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオールを反応器に加える。溶液温度が30℃で安定した後、152μLのカールシュテット触媒(キシレン中2Pt%)を加える。2時間後、IRに基づいて100%のSi−Hの転化が達成される。次に、溶液をフラスコに移し、ロータリーエバポレータ(Rotovop)を用いて濃縮した後、アセトニトリル/水混合物(75/25)中で3回沈殿させる。ロータリーエバポレータ(Rotovop)、続いて高真空による溶媒の除去の後、グリセロールエーテル置換基を有する12gのポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤(濁った液体)が得られる。
【化16】
【0150】
実施例5
(比較)
グリセロールエーテル含有PDMSマクロマー(マクロマーB)の合成
前駆体を調製するための第1の工程における反応剤の量を変更したことを除いて、実施例
4に記載されるものと類似の手順にしたがって、マクロマーBを調製する。グリセロールエーテル置換基を有する得られたポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤は、構造式
【化17】
を有する。
【0151】
実施例6
親水性ビニルモノマーとの相溶性
実施例1において調製されたポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーを、室温で、1:1の重量比で、N−ビニルピロリドン(NVP)とのその相溶性について試験する。比較のために、実施例2〜5において調製されたビニル架橋剤も試験に含まれる。表1は、結果を示す。表1は、本発明の鎖延長ポリジメチルシロキサンビニル架橋剤が、NVPと最も相溶性であることを示す。
【0152】
【表1】
【0153】
より高い含量の親水性置換基(グリセロールエーテル側鎖)を有するポリジオルガノシロキサンビニル架橋剤と同様に、ポリジメチルシロキサンセグメントの間の親水化された結合を有するポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーが、室温で均一な混合物を形成するその能力によって示されるように、親水性ビニルモノマー、NVPとの相溶性が高いことが分かる。これらの結果は、本発明のポリジメチルシロキサン−ポリオキシアルキレンブロックコポリマーにおける親水化された結合の存在が、親水性ビニルモノマーを有する架橋剤の能力を向上させ得ることを示す。