(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記貼着部で前記ガラスフィルムに前記保護テープを貼着した後に、前記横搬送部に配置した切断部によって前記ガラスフィルムを前記長手方向に沿って切断することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラスフィルムの製造方法。
前記切断部で前記ガラスフィルムを切断した後に、前記保護テープが貼着された前記ガラスフィルムを巻取ローラによって巻取回収することを特徴とする請求項4に記載のガラスフィルムの製造方法。
前記ガラスフィルムの上面側から供給される保護シートを前記ガラスフィルムよりも先に前記巻取ローラに巻回した後、前記ガラスフィルムの前記保護テープが貼着された面に前記保護シートを重ねた状態で、前記ガラスフィルム及び前記保護シートを前記巻取ローラで巻取回収することを特徴とする請求項6に記載のガラスフィルムの製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ガラスフィルムは脆性材料であり、衝撃や変形によって破損しやすい。そのため、ガラスフィルムに長手方向に沿って保護テープを貼着することにより、ガラスフィルムを補強する場合がある。
【0007】
しかしながら、ガラスフィルムは薄肉であって可撓性を有しているため、横搬送部で横方向に搬送されている途中で、ガラスフィルムに皺が発生するという問題が生じる。このような皺は、ガラスフィルムのガラス面に比較的大きな隆起部を形成する。そのため、皺が発生した状態であると、保護テープの貼着不良が生じる原因となり得る。
【0008】
本発明は、横搬送部で横方向に搬送されるガラスフィルムに発生する皺による保護テープの貼着不良を確実に抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、ガラスフィルムの製造方法であって、ガラスフィルムを横搬送部で横方向に搬送しつつ、横搬送部の搬送経路上に配置した貼着部でガラスフィルムに長手方向に沿って保護テープを貼着する工程と、貼着部でガラスフィルムに保護テープを貼着する前に、横搬送部に配置した皺伸ばし部によってガラスフィルムの皺を伸ばす工程とを備えていることを特徴とする。このような構成によれば、横搬送部で横方向に搬送されているガラスフィルムに皺が発生しても、その皺は、貼着部でガラスフィルムに保護テープを貼着する前に、横搬送部に配置されている皺伸ばし部によって伸ばされることになる。そのため、ガラスフィルムに発生した皺は、適正に消え失せ、その後に、貼着部によってガラスフィルムに長手方向に沿って保護テープが貼着されるため、保護テープを正確に貼着することができる。ここで、「横方向」とは、水平方向のみならず、水平方向から僅かに傾斜した方向をも含む(以下、同様)。
【0010】
上記の構成において、皺伸ばし部は、貼着部による保護テープの貼着位置よりも上流側に配置されてガラスフィルムの搬送方向と交差する方向に延びる棒状体を備え、棒状体が、ガラスフィルムを下面側から持ち上げることが好ましい。このようにすれば、ガラスフィルムに発生した皺は、棒状体によって下面側から持ち上げられる際に、その持ち上げ力の作用によって伸ばされることになる。従って、ガラスフィルムに発生する皺のうち様々な方向性を持つ不規則的な皺が、広範囲にわたって効率よく伸ばされることになる。ここで、「棒状体」とは、中実の棒状体のみならず、中空(パイプ状)の棒状体をも含む(以下、同様)。
【0011】
上記の構成において、皺伸ばし部は、貼着部による保護テープの貼着位置の上流側から下流側に亘って配置されてガラスフィルムを下面側から支持する支持体を備え、ガラスフィルムの幅方向両端部を支持体の幅方向両端から食み出せて浮かせることが好ましい。このようにすれば、ガラスフィルムには、支持体から食み出した部分の重量によって幅方向両端部側に向かう張力が作用する。そのため、ガラスフィルムに発生した皺のうち、特に搬送方向に沿って発生した皺を引き伸ばすのに効果的である。また、ガラスフィルムの幅方向両端部は、幅方向中央部に比べて厚みが大きくなる場合がある。この場合、幅方向両端部と幅方向中央部を同一平面上で支持すると、ガラスフィルムが当該平面に倣って変形しようとする。この過程で、ガラスフィルムに幅方向両端部と幅方向中央部の厚み差に起因する複雑な変形が生じ、ガラスフィルムに皺が生じやすくなる。そのため、上記のように、幅方向両端部は支持体の外側に食み出して浮いた状態とし、幅方向中央部と幅方向両端部との厚み差による皺の発生を防止することが好ましい。そして、上記の構成では、支持体は貼着位置の上流側から下流側に亘って配置されているので、支持体による皺防止効果は貼着位置でも確実に維持される。
【0012】
上記構成において、貼着部でガラスフィルムに保護テープを貼着した後に、横搬送部に配置した切断部によってガラスフィルムを長手方向に沿って切断してもよい。このようにすれば、切断部による切断位置では、既にガラスフィルムに保護テープが貼着されているので、切断時にガラスフィルムが破損するのを確実に抑制することができる。
【0013】
この場合、切断部でガラスフィルムを切断した後に、保護テープが貼着されたガラスフィルムを巻取ローラによって巻取回収してもよい。このようにすれば、保護テープ付きガラスフィルムを巻回してなるガラスロールを製造することができる。
【0014】
更に、貼着部が、ガラスフィルムの上面に保護テープを貼着すると共に、ガラスフィルムの下面側に巻取ローラを配置し、保護テープが貼着された面が外側になるようにガラスフィルムを巻取回収することが好ましい。すなわち、ガラスロールの場合、ガラスフィルムの外側(外周面側)に引張応力が作用するので、圧縮応力が作用するガラスフィルムの内側(内周面側)に比べて傷等がある場合に傷が進展して破損に繋がりやすい。従って、ガラスフィルムの破損を防止する観点からは、保護テープが貼着された面が外側になるようにガラスフィルムを巻取回収し、ガラスフィルムの外周面側を保護テープで保護することが好ましい。
【0015】
また、この場合、ガラスフィルムの上面側から供給される保護シートをガラスフィルムよりも先に巻取ローラに巻回した後、ガラスフィルムの保護テープが貼着された面に保護シートを重ねた状態で、ガラスフィルム及び保護シートを巻取ローラで巻取回収することが好ましい。このようにすれば、予め巻取ローラに巻回された保護シートの一部とそれに連続する保護シートの残りの一部との間にガラスフィルムを挟み込みながら、ガラスフィルムを巻取ローラの周りに巻取回収することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上のような本発明によれば、横搬送部で横方向に搬送されるガラスフィルムに発生する皺による保護テープの貼着不良を確実に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係るガラスフィルムの製造方法の実施形態を図面を参照して説明する。
【0019】
図1及び
図2に示すように、本製造方法に用いられるガラスフィルムの製造装置は、ガラスフィルムGを成形する成形部1と、ガラスフィルムGの進行方向を縦方向下方から横方向に変換する方向変換部2と、方向変換後にガラスフィルムGを横方向に搬送する横搬送部3と、横搬送部3で横方向に搬送しているガラスフィルムGに発生した皺を伸ばす皺伸ばし部4と、皺伸ばし部4で皺を伸ばしたガラスフィルムGに保護テープTを貼着する貼着部5と、貼着部5で保護テープTを貼着したガラスフィルムGの非製品部Gbを切断する切断部6と、切断部6で非製品部Gbを切断除去したガラスフィルムGの製品部Gaを巻取回収する巻取ローラ7とを備える。
【0020】
本実施形態では、非製品部GbはガラスフィルムGの幅方向(搬送方向と直交する方向)両端部に形成される。非製品部Gbには、製品部Gaよりも大きな厚みを有する耳部と称される部分が含まれる場合がある。製品部Gaの厚みは、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下、更に好ましくは100μm以下である。
【0021】
成形部1は、オーバーフローダウンドロー法を実行するものである。成形部1では、楔状の断面形状を有する成形体8に溶融ガラスGmを供給すると共に、成形体8の頂部から両側方に溢れ出た溶融ガラスGmをその下端部で融合させて流下させることで、溶融ガラスGmから板状のガラスフィルムGを連続的に成形する。
【0022】
成形体8で成形されたガラスフィルムGは、成形体8の下方領域において、徐冷(アニール)され、さらに室温付近まで冷却される。この間、ガラスフィルムGは、表裏両側から複数のローラ(不図示)によって挟持された状態で下方に案内される。
【0023】
成形部1の下方には、方向変換部2が配置されている。方向変換部2には、ガラスフィルムGの裏面側に、ガラスフィルムGの方向変換を案内するガイド部材としての複数のガイドローラ9が湾曲状に配列されている。これらガイドローラ9は、ガラスフィルムGの裏面に接触する。
【0024】
図示は省略するが、本実施形態では、ガイドローラ9は、幅方向中央部と幅方向両端部の3つに分割されている。ガラスフィルムGの成形を開始した直後等のガラスフィルムGの成形が安定するまでは、幅方向中央部及び幅方向両端部のガイドローラ9でガラスフィルムGを案内し、ガラスフィルムGの成形が安定した後は、幅方向中央部のガイドローラ9が案内位置から退避し、幅方向両端部のガイドローラ9のみでガラスフィルムGを案内する。
【0025】
方向変換部2の構成は、ガラスフィルムGの進行方向を変換できる構成であれば特に限定されず、例えば、ローラでガラスフィルムGの全幅を常時案内する構成であってもよいし、ベルトコンベアや気体を噴射するフロータ等を用いた構成であってもよい。
【0026】
方向変換部2の進行方向前方(下流側)には、横搬送部3が配置されている。横搬送部3は、上流側から搬送方向に間隔を置いて配置されたベルトコンベア10、フロータ11、搬送台12を備える。
【0027】
ベルトコンベア10は駆動コンベアであり、ガラスフィルムGを接触支持する。
【0028】
フロータ11は、ガラスフィルムGの裏面側に気体等を噴射してガラスフィルムGを非接触支持する。フロータ11は、フロータ11の上流側でガラスフィルムGに破損等のトラブルが生じた場合に、ガラスフィルムGの下流側への搬送を停止すると共に、不良が生じたガラスフィルムGを下方に案内して破棄できる構成とされている。フロータ11は省略してもよいし、ベルトコンベアに代えてもよい。
【0029】
横搬送部3は、ガラスフィルムGを水平方向に搬送するように構成されているが、水平方向に対して上下にそれぞれ45°未満の範囲内(好ましくは30°未満の範囲内)で傾斜していてもよい。
【0030】
搬送台12の上部には、皺伸ばし部4が定置に配置されている。皺伸ばし部4とガラスフィルムGとの間には、搬送用シートS1が介在されている。搬送用シートS1は、下面が皺伸ばし部4に摺動可能とされると共に、上面がガラスフィルムGを搬送支持する搬送支持面とされている。ガラスフィルムGは、搬送用シートS1の移動によって搬送されるため、搬送台12は、ガラスフィルムGに直接搬送力を付与しない停止台とされる。
【0031】
搬送用シートS1は、搬送台12の下方に配置された供給ローラ13から上方に向かって繰り出され、搬送台12の上部で皺伸ばし部4とガラスフィルムGとの間を通過し、皺伸ばし部4の下流側端部から下方に向かって送り出される。この際、搬送用シートS1は、駆動部(不図示)によって、閉ループ状又は開ループ状の軌道に沿って送られる。搬送用シートS1は、樹脂製(特に発泡樹脂)であることが好ましい。
【0032】
搬送台12の上方には、上流側に貼着部5が配置され、下流側に切断部6が配置されている。貼着部5は、保護テープTが巻回されてなる供給ローラ14と、供給ローラ14から繰り出された保護テープTを案内する一又は複数のガイドローラ15と、ガイドローラ15に案内された保護テープTをガラスフィルムGに押圧する押圧ローラ16とを備える。
【0033】
押圧ローラ16は、搬送されてくるガラスフィルムGの上面に保護テープTを介して接触した状態で矢印a方向(ガラスフィルムGの搬送方向に沿う方向)に転動する(
図3を参照)。従って、本実施形態では、押圧ローラ16とガラスフィルムGの接触位置が、保護テープTの貼着位置となる。
【0034】
保護テープTは、ガラスフィルムGと接触する側の面(下面)に紫外線硬化型の接着面を有する。保護テープTの接着面には紫外線照射装置(不図示)から紫外線が照射され、保護テープTがガラスフィルムGに接着する。保護テープTの接着面に用いられる接着剤は、紫外線硬化型に限定されず、熱硬化型や感圧型等の他タイプの接着剤を使用してもよい。また、アクリル系粘着剤等の粘着剤を使用してもよい。保護テープTの接着面を保持するシート状基材は、樹脂製であることが好ましい。
【0035】
本実施形態では、
図3に示すように、保護テープTは、製品部Gaの幅方向両端部に、搬送方向(ガラスフィルムGの長手方向)に沿って貼着される。
【0036】
保護テープTは、切断部6による切断処理の邪魔にならないように、製品部Gaの幅方向両端よりも僅かに内側に貼着され、製品部Gaと非製品部Gbの境界に形成される切断線A上には貼着されない。なお、ガラスフィルムGにおける保護テープTの貼着領域は特に限定されない。保護テープTは、例えば、製品部Gaの幅方向中央部に貼着してもよいし、ガラスフィルムGの全幅に亘って貼着してもよい。
【0037】
切断部6は、曲げ応力割断、熱応力割断(例えばレーザー割断)、溶断(例えばレーザー溶断)等によって、ガラスフィルムGの非製品部Gbを搬送方向に沿って切断する。切断された非製品部Gbは、製品部Gaから上下及び/又は幅方向(左右)に分離された後に破棄される。なお、
図1は、非製品部Gbが搬送方向前方に対して斜め下方に向かって送られて破棄される場合を例示している。
【0038】
横搬送部3の下流側には、巻取ローラ7が配置されている。巻取ローラ7は、保護テープTが幅方向両端部に貼着された製品部Gaを巻取回収する。
【0039】
巻取ローラ7は、製品部Gaの下面側に配置されており、保護テープTが貼着された面が外側になるように製品部Gaを巻取回収する。巻取ローラ7の上方には、保護シートSを巻回してなる供給ローラ17が配置されており、供給ローラ17から繰り出された保護シートSが、保護テープT付きの製品部Gaの上面に重ねられた状態で、製品部Gaと共に巻取ローラ7で巻取回収される。保護シートSは、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)等の樹脂製であることが好ましい。
【0040】
ガラスフィルムGの巻取回収を開始する際には、保護シートSが、予めガラスフィルムGよりも先に巻取ローラ7に巻回されている。保護シートSの先端部(巻き始め側)は、保護シートSの先端部(巻き始め側)の上に位置し且つ巻取ローラ7の周りに巻回されているガラスフィルムGの先端部よりも前に、巻取ローラ7の周りに一周以上巻回されていることが好ましい。これにより、予め巻取ローラ7に巻回された保護シートSの一部とそれに連続する保護シートSの残りの一部との間に製品部Gaを挟み込みながら、製品部Gaを巻取ローラ7の周りに巻取回収することができる。この際、製品部Gaに過度な張力を付与することなく、製品部Gaを保護シートSによって巻取ローラ7側に押え付けながら巻き締めることができる。すなわち、巻取回収時には、製品部Gaに作用する張力を、保護シートSに作用する張力よりも小さくすることができる。なお、巻取ローラ7に至る直前で、製品部Gaが凹湾曲状の軌道を移動するように製品部Gaをたるませることにより、製品部Gaに作用する張力が実質的に零になるようにしてもよい。
【0041】
図2に示すように、皺伸ばし部4は、ガラスフィルムGに対する貼着部5による保護テープTの貼着位置(押圧ローラ16に対応する位置)よりも上流側に配置され、搬送方向と交差する方向に延びる棒状体18と、貼着位置の上流側から下流側に亘って配置され、平面視が矩形状の定板19とを備える。定板19は、貼着位置の上流側から下流側に亘る領域でガラスフィルムGを下方から支持する支持体である。
【0042】
搬送用シートS1の幅方向両端は、ガラスフィルムGの幅方向両端から食み出していると共に、搬送台12の幅方向両端は、搬送用シートS1の幅方向両端から食み出している。
【0043】
図2の図示例では、ガラスフィルムGの幅方向両端が、棒状体18の長手方向両端から食み出しているが、これとは逆に、棒状体18の長手方向両端が、ガラスフィルムGの幅方向両端から食み出していてもよい。同図の図示例では、搬送用シートS1の幅方向両端が、ガラスフィルムGの幅方向両端から食み出しているが、これとは逆に、ガラスフィルムGの幅方向両端が、搬送用シートS1の幅方向両端から食み出していてもよい。
【0044】
図3に示すように、棒状体18は、搬送台12の上流側端部に、長手方向が幅方向と平行になるように配置されている。棒状体18は、固定されることによって回転不能な状態とされている。棒状体18は、長手方向に直角な断面の形状が円形である。
【0045】
棒状体18は、断面形状が円形に限定されず、例えば、楕円形や多角形であってもよいし、下面部は平坦面などであってもよい。すなわち、棒状体18の断面形状は、少なくともガラスフィルムGの下面側と接触する面(上面)が凸状であればよい。棒状体18は、矢印b方向(ガラスフィルムGの搬送方向に沿う方向)に回転する構成であってもよい。棒状体18は、幅方向に対して僅かに傾斜していてもよい。
【0046】
棒状体18の上端位置は、定板19の上端位置よりも高い。両者18,19の高さの相違寸法hは、好ましくは1mm〜10mm、より好ましくは1〜3mm(本実施形態では2mm)である。棒状体18と定板19とは、搬送方向において近接した状態で離間しているが、接触していてもよい。
【0047】
図4に示すように、定板19は、例えば搬送台12の上面部に固定配置されており、その上面は平坦である。ガラスフィルムGの製品部Gaは、搬送用シートS1を介して定板19の上面により下方から支持された状態となる。ガラスフィルムGの非製品部Gbに含まれる耳部Gxは、定板19の上面における幅方向両端から食み出して浮いた状態となる。
【0048】
定板19の上面は、平坦に限定されず、例えば幅方向中央部が幅方向両端部よりも高くなるように緩やかに湾曲していてもよい。定板19を省略し、搬送台12を支持体としてもよい。定板19を省略する場合、ガラスフィルムGの製品部Gaは、搬送用シートS1を介して搬送台12の上面により下方から支持されると共に、ガラスフィルムGの非製品部Gbに含まれる耳部Gxは、搬送台12の上面における幅方向両端から食み出して浮いた状態となることが好ましい。
【0049】
以上のような構成を備えた製造装置によってガラスフィルムの製造方法を実施すれば、
図1に示す成形部1から方向変換部2を経て横搬送部3に至ったガラスフィルムGは、薄肉であって可撓性を有していることに起因して、ベルトコンベア10やフロータ12によって横方向に搬送される間に、広範囲にわたって皺が発生する場合がある。
【0050】
しかしながら、これらの皺は、搬送台12に配置された皺伸ばし部4によって適正に伸ばされる。そのため、貼着部5による貼着位置や、その下流側の切断部6による切断位置に支障が生じない程度まで皺が消え失せる。従って、貼着部5によって保護テープTをガラスフィルムGに正確に貼着することができると共に、切断部6によってガラスフィルムGを正確に切断することができる。
【0051】
そして、切断を終えたガラスフィルムGの製品部Gaは、皺が消え失せた状態で巻取ローラ7に至る。これにより、最終的に、
図5に示すように、巻芯としての巻取ローラ7の周囲にガラスフィルムGと保護シートSとが重なった状態で巻き取られてなるガラスロールRを製造することができる。なお、ガラスロールRに含まれる製品部Gaの幅方向両端部には、保護テープTが貼着された状態となる。この状態で、製品部Gaと保護シートSとの間、及び保護シートSと保護テープTとの間は、互いに接着されていない。
【0052】
ここで、製造されたガラスロールは、加工工場に搬送される場合がある。加工工場では、例えば、ガラスロールから製品部Gaを繰り出して、保護テープTが接着されていない製品部Gaの幅方向中央部に対して電極等が形成される。製品部Gaの幅方向両端部に貼着された保護テープTは電極等の形成が終了した後に製品部Gaから剥離又はガラスと共に切断除去される。
【0053】
なお、本発明は、上記の実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0054】
上記の実施形態では、横搬送部において、保護テープの貼着位置の下流側で切断処理を行う場合を説明したが、保護テープの貼着位置の下流側で行う製造関連処理は切断処理に限定されない。製造関連処理には、切断処理の他に、端面加工処理、印刷等の成膜処理等のガラスフィルムに直接何らかの加工を施す処理はもちろん、ガラスフィルム表面の洗浄処理など、間接的にガラスフィルムを最終製品(出荷可能な状態の製品)に近づけるための処理が広く含まれる。
【0055】
上記の実施形態では、ガラスフィルムを成形するために、オーバーフローダウンドロー法を採用した場合を説明したが、スロットダウンドロー法やリドロー法などの他のダウンドロー法を採用してもよい。また、フロートバスからガラスフィルムを引き出して横搬送部で搬送するようにしたフロート法を採用してもよい。
【0056】
上記の実施形態では、成形部によって連続的に成形されるガラスフィルムを横搬送部に供給する場合を説明したが、ガラスフィルムが巻回された供給ローラ(ガラスロール)から連続的に繰り出されるガラスフィルムを横搬送部に供給するようにしてもよい。この場合、上記の実施形態と同様にガラスフィルムを巻取回収する態様を採用すれば、ロール・トゥー・ロール(Roll to Roll)方式で製造工程が実施されることになる。
【0057】
上記の実施形態では、保護テープが貼着された面が外側(外周面側)になるように製品部を巻取回収する場合を説明したが、保護テープが貼着された面が内側(内周面側)になるように製品部を巻取回収してもよい。
【0058】
上記の実施形態では、ガラスロールを製造する場合を説明したが、ガラスフィルムを所定長さ毎に幅方向に切断し、板ガラスを製造してもよい。なお、製造された複数枚の板ガラスは、例えば、パレット上に縦姿勢又は横姿勢で積層された状態で梱包される。この場合、各板ガラスの相互間には、保護シートを介在させることが好ましい。