(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6839435
(24)【登録日】2021年2月17日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】ボトル装着型定量コップ
(51)【国際特許分類】
A47G 19/22 20060101AFI20210301BHJP
B65D 47/20 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
A47G19/22 M
B65D47/20 220
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-196259(P2016-196259)
(22)【出願日】2016年10月4日
(65)【公開番号】特開2018-57531(P2018-57531A)
(43)【公開日】2018年4月12日
【審査請求日】2019年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】505246789
【氏名又は名称】学校法人自治医科大学
(74)【代理人】
【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之
(72)【発明者】
【氏名】川上 勝
(72)【発明者】
【氏名】戸田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】塚本 浩章
【審査官】
田村 惠里加
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭51−100671(JP,U)
【文献】
特表2017−502889(JP,A)
【文献】
米国特許第05964379(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/22
B65D 47/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液供給部とコップ部とを具備し、
液供給部は円柱体と輸送管を有し、
円柱体は円柱体底面と円柱体側面とを連通する内腔を有し、
輸送管は円柱体底面に開口する内腔と連通するように接続されており、
コップ部は、コップ部底中央がコップ部内側に盛り上がっていて、該盛り上がった部分の中央に貫通孔を有し、
該貫通孔には、ペットボトルの注ぎ口をキャップするための螺合部と、前記円柱体が前記盛り上がった部分の上に配置され且つ前記輸送管がコップ部の底からコップ部外側に配置されるように前記液供給部を設置するための係合部とが形成されており、
液供給部とコップ部とが前記係合部で水密に固定されるように係合されて成るボトル装着型定量コップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボトル装着型定量コップに関する。より詳細に、飲料の入った樹脂製ボトルに直接に取り付けて、所定量の飲料をコップに簡単に計り取ることができ、嚥下機能低下者などが水分摂取する際の誤嚥を防止することができるコップに関する。
【背景技術】
【0002】
嚥下機能の低下している人が水を誤嚥なく安全に飲むために、看護師などが付き添うことが望ましい。しかし、看護師などは嚥下機能低下者への水分摂取のたびに時間を割かれ負担が少なくない。一方で、嚥下機能低下者の自立を図ることも重要である。
【0003】
このようなことから、嚥下機能低下者への水分摂取の際に、多量の水を一度に口に入れることがないように、一口量を所定値以下に制限できるストロー付きコップが提案されている(特許文献1)。飲料の多くがポリエチレンテレフタレート樹脂製ボトル(ペットボトル)などにて販売供給されているので、当該ペットボトルから前記ストロー付きコップに飲料を移し替え、嚥下機能低下者に提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−61064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、飲料の入った樹脂製ボトルに直接に取り付けて、所定量の飲料をコップに簡単に計り取ることができ、嚥下機能低下者などが水分摂取する際の誤嚥を防止することができるコップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、下記の形態を包含する本発明を完成するに至った。
【0007】
〔1〕 液供給部とコップ部とを具備し、
液供給部は円柱体と輸送管を有し、
円柱体は円柱体底面と円柱体側面とを連通する内腔を有し、
輸送管は円柱体底面に開口する内腔と連通するように接続されており、
コップ部は、コップ部底中央がコップ部内側に盛り上がっていて、該盛り上がった部分の中央に貫通孔を有し、
該貫通孔には、ペットボトルの注ぎ口をキャップするための螺合部と、前記円柱体が前記盛り上がった部分の上に配置され且つ前記
輸送管がコップ部の底から
コップ部外側に配置されるように前記液供給部を設置するための係合部とが形成されており、
液供給部とコップ部とが前記係合部で
水密に固定されるように係合されて成るボトル装着型定量コップ。
【発明の効果】
【0008】
本発明のボトル装着型定量コップは、飲料の入った樹脂ボトルに直接に取り付けて、所定量の飲料をコップに簡単に計り取ることができ、嚥下機能低下者などが水分摂取する際の誤嚥を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明のボトル装着型定量コップを構成するコップ部の一例を示す斜視図である。
【
図3】本発明のボトル装着型定量コップを構成する液供給部の一例を示す斜視図である。
【
図4】
図1に示すコップ部と
図3に示す液供給部とを組み立てた状態(本発明のボトル装着型定量コップ)の一例を示す断面図である。
【
図5】本発明のボトル装着型定量コップをペットボトルに装着したときの状態の一例を示す斜視図である。
【
図6】本発明のボトル装着型定量コップをペットボトルに装着したときの状態の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。
本発明のボトル装着型定量コップ1は、液供給部3とコップ部2とを具備するものである。液供給部とコップ部とは後述する係合部10で係合されている。
【0011】
液供給部3は円柱体5と輸送管6を有するものである(
図3参照)。
円柱体5は円柱体底面と円柱体側面とを連通する内腔15を有する。内腔15は分岐していてもよく、三叉路、四叉路などになっていてもよい。円柱体底面にある内腔の開口は円柱体底面の中央に設けることが好ましい。また、円柱体側面にある内腔の開口8は1つだけ設けてもよいし、
図3に示すように複数設けてもよいし、円柱体側面をほぼ一周するスリット形状に設けてもよい。
【0012】
輸送管6は円柱体底面に開口する内腔と連通するように接続されている。
図3に示す液供給部3においては、コップ部2の係合部10に水密に固定されるように襞部7が設けられている。
【0013】
コップ部2は、コップ部底中央がコップ部内側に盛り上がっている(
図1および2参照)。盛り上がった部分4によって、コップ部の底には環状の凹みが形成され、その凹みに飲料などを溜めることができる。
盛り上がった部分4の中央に貫通孔を有する。
図2に示すように、貫通孔には、ペットボトルの注ぎ口14をキャップするための螺合部9が形成されている。また、貫通孔には、前記円柱体5が前記盛り上がった部分4の上に配置され且つ前記
輸送管6がコップ部2の底から
コップ部外側に配置されるように前記液供給部3を設置するための係合部10が形成されている(
図3参照)。
【0014】
図5または6に示すように、ペットボトルのスクリューキャップを取り外し、本発明のボトル装着型定量コップを、螺合部9を介して、ペットボトル11の注ぎ口14に取り付ける。
図6に示す本発明のボトル装着型定量コップには、輸送管6の先端に輸送管延長チューブ12が取り付けられている。輸送管延長チューブ12は先端が曲がっていて、ペットボトルの底面に先端が接触する程度の長さを有することが好ましい。このような輸送管延長チューブを取り付けるとペットボトルの中に入っていた液体をほぼ全量排出することができる。
【0015】
ペットボトルには、飲料水などの液体を入れておく。そして、ペットボトルの壁面を軽く押し潰すと、内圧の上昇によって、液体が輸送管延長チューブ12、輸送管6、内腔15、および円柱体側面の開口8を順次経てコップ部の凹みに移送され、溜まる。
壁面を押さえるのを止めると、コップ部の凹みに溜まった液体の液面が円柱体側面の開口8よりも高い位置にあるとき、液面が円柱体側面の開口8と同じ高さの位置になるまで、液体が、円柱体側面の開口8、内腔15、輸送管6、および輸送管延長チューブ12を順次経てペットボトルに戻る。
【0016】
円柱体側面の開口8の高さは、コップ部の凹みの容量が所定値になるように調整されている。これによって、毎回、同じ量の液体がコップ部の凹みに溜まることになる。その結果、本発明のボトル装着型定量コップは、一度に飲み込める液体量が所定値に規制され、一度に多量に飲み込んで誤嚥を起こすようなことを防ぐことができる。
【0017】
本発明のボトル装着型定量コップは図に示す実施形態に限られず、各部の形状、大きさ、色、材質を変更したもの、または液供給部およびコップ部以外の周知または慣用の部品を追加したものも本発明の技術的範囲に包含される。
【符号の説明】
【0018】
1:ボトル装着型定量コップ、 2:コップ部、 3:液供給部、 4:盛り上がり部、 5:円柱体、 6:輸送管、 7:襞部、 8:円柱体側面開口、 9:螺合部、 10:係合部、 11:ペットボトル、 12:輸送管延長チューブ、 13:液体、 14:注ぎ口、 15:内腔