特許第6839629号(P6839629)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6839629
(24)【登録日】2021年2月17日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】ほうれん草汁含有飲食品
(51)【国際特許分類】
   A23L 2/00 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
   A23L2/00 B
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-154050(P2017-154050)
(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公開番号】特開2019-30266(P2019-30266A)
(43)【公開日】2019年2月28日
【審査請求日】2020年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006884
【氏名又は名称】株式会社ヤクルト本社
(74)【代理人】
【識別番号】110000590
【氏名又は名称】特許業務法人 小野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牧野 譲
(72)【発明者】
【氏名】芳川 雅樹
【審査官】 山村 周平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−043280(JP,A)
【文献】 特開2007−029083(JP,A)
【文献】 特開平08−009939(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/107878(WO,A1)
【文献】 特開2009−171881(JP,A)
【文献】 痩せたグリーンスムージー2,クックパッド[online],2014年2月24日,検索日2020年11月10日,URL:https://cookpad.com/recipe/2515933
【文献】 ほうれん草バナナスムージー,クックパッド[online],2015年10月16日,検索日2020年11月10日,URL:https://cookpad.com/recipe/3461075
【文献】 いちごとブルーベリーのグリーンスムージー,クックパッド[onkine],2012年5月8日,検索日2020年11月10日,URL:https://cookpad.com/recipe/1805448
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/WPIDS/FSTA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほうれん草汁を含む飲食品に、ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁よりなる群から選ばれる1種以上の果汁を、ほうれん草汁に対し質量比1:1〜1:6となる量で添加することを特徴とするほうれん草汁の青臭さを軽減する方法。
【請求項2】
ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁よりなる群から選ばれる1種以上の果汁を有効成分とし、ほうれん草汁に対し質量比1:1〜1:6となる量で添加することを特徴とするほうれん草汁の青臭さ改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ほうれん草汁を含有する飲食品に関し、さらに詳細には、ほうれん草汁特有の青臭さが軽減され、風味が良好な飲食品に関する。
【背景技術】
【0002】
野菜は、ビタミン、ミネラル、食物繊維等の栄養素を豊富に含み、野菜の摂取が、生活習慣病の予防など健康の維持に重要であることが認識されてきている。厚生労働省では、健康を維持するために必要な野菜の摂取量として、成人1日当たり350g以上という目標値を設定し、野菜の日常的な摂取を推奨している。しかし、実際の摂取量は目標値の約8割程度で推移しており、目標達成は容易ではない状況にある。現実的には、野菜を利用したサラダや料理など、日常の食生活の中だけで十分な摂取量を確保することは困難であり、さらに摂取量を増加させるためには、ジュースなどのより手軽に摂取しやすい形態の飲食品が必要とされる。
【0003】
一方、このように野菜の重要性が認識されつつも、摂取量が増加しない原因の一つとして、野菜には特有の苦みやえぐみ等があり、多量に摂取しにくいことが挙げられる。例えば、ほうれん草はビタミン類や鉄分が豊富な野菜であるが、特有の青臭さがあるため多量摂取に適さない。そのため、野菜を利用した飲料などでは、野菜特有の苦みやえぐみをマスキングする方法が検討されている。具体的には、タマネギの搾汁を加熱処理して苦みを低減する技術が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−220548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ほうれん草の風味が十分に感じられながらも、青臭さが軽減され、風味良好な飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ほうれん草汁とともに、特定の果汁を組み合わせて、それらを特定の質量比で飲食品に配合することにより、ほうれん草の風味を残しつつ、青臭さがマスキングされ、かつ風味良好な飲食品となることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は(A)ほうれん草汁ならびに(B)ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁よりなる群から選ばれる1種以上の果汁を含有し、(A)と(B)のストレート換算での含有質量比が、1:1〜1:6((A):(B))の飲食品である。
【0008】
また本発明は、ほうれん草汁を含む飲食品に、ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁よりなる群から選ばれる1種以上の果汁を添加することを特徴とするほうれん草汁の青臭さを軽減する方法である。
【0009】
また本発明は、ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁よりなる群から選ばれる1種以上の果汁を有効成分とするほうれん草汁の青臭さ改善剤である。
【0010】
さらに本発明は、(A)ほうれん草汁と、(B)ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁よりなる群から選ばれる1種以上の果汁とを混合し、(A)と(B)のストレート換算での含有質量比を、1:1〜1:6((A):(B))とすることを特徴とする飲食品の製造方法である。
【発明の効果】
【0011】
本発明の飲食品は、ほうれん草の風味が十分に感じられながら、その特有の青臭さが軽減され、風味良好なものである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の飲食品は、(A)ほうれん草汁と、(B)ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁よりなる群から選ばれる1種以上の果汁を含有し、(A)と(B)のストレート換算での含有質量比が、1:1〜1:6((A):(B))である。
【0013】
(A)ほうれん草汁としては、ほうれん草(Spinacia oleracea L.)から得られる汁液であれば特に制限されない。例えば、ほうれん草の茎及び/又は葉をミキサー等により破砕して得られるピューレ、ピューレを濃縮したペースト、ほうれん草を常法に従って搾汁して得られるストレート汁液、ストレート汁液を膜濃縮、凍結濃縮等により濃縮して得られる濃縮汁液などが含まれる。これらの汁液は、パルプ分を含んでいてもよく、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分が除去されていてもよい。また、ほうれん草の品種は、特に限定されるものではなく、例えば、ボレロ、エビータ、ポルカ、ゴヤ、ベルディ、スポーカネ、アルデバラン、イフリート、カッシーニ、スタウト等が挙げられる。
【0014】
(B)ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁またはストロベリー果汁としては、ブドウ(Vitis spp.)、グレープフルーツ(Citrus paradisi Macfad.)またはストロベリー(Fragaria×ananasa Duch.)から得られる果汁であれば特に制限されない。例えば、これらの果実の全果または果皮を除いた果肉を常法に従って搾汁して得られるストレート果汁、ストレート果汁を膜濃縮、凍結濃縮等により濃縮して得られる濃縮果汁、果実をミキサー等により破砕して得られるピューレなどが含まれる。これらの果汁は、パルプ分を含んでいてもよく、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去してもよい。なお、ストロベリーは野菜に分類されることもあるが、本明細書においては、液果に属する果物の1種として扱う。
【0015】
ブドウ、グレープフルーツおよびストロベリーの品種は、いずれも特に制限されるものではない。例えば、ブドウの品種について、赤ブドウとしては、デラウェア、コンコード、巨峰、ピオーネ、カベルネソービニヨン、メルロー等が例示でき、白ブドウとしては、セレーザ、トロネス、モスカテル、マルバシア、甲州、マスカット、ナイアガラ等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。グレープフルーツの品種としては、例えば、ダンカン、マーシュシードレス、レッドブラッシュ等が挙げられ、これらの1種または2種以上を使用できる。ストロベリーの品種としては、例えば、女峰、宝交早生、とよのか、センガセンガナ、フェスティバル等が例示でき、これらの1種または2種以上を使用できる。
【0016】
本発明の飲食品における(A)および(B)の含有量は特に制限されないが、青臭さのマスキング効果及び風味の観点から、(A)の含有量は、ストレート換算で3〜30質量%(以下、単に「%」で示す)が好ましく、5〜20%がより好ましい。また(B)の含有量は、ストレート換算で10〜50%が好ましく、20〜40%がより好ましい。本明細書において、(A)のストレート換算での含有量とは、Brixによる濃縮度に基づき、ストレート汁液(Brix5)の含有量に換算した値を意味する。また(B)のストレート換算の含有量とは、Brixによる濃縮度に基づき、それぞれの果実のストレート果汁の含有量に換算した値であり、複数種の果汁を使用する場合はそれらの合算値を意味する。ブドウ、グレープフルーツ、ストロベリーのストレート果汁のBrixはそれぞれ11、9、7である。なお、Brixは、例えば、京都電子工業株式会社製「RA−520」等のデジタル屈折計により測定した値を用いることができる。またこれら飲食品における、(A)と(B)の含有質量比(ストレート換算)は、青臭さのマスキング効果及び風味の観点から、1:1〜1:6であり、好ましくは1:2〜1:4である。
【0017】
本発明の飲食品には、(A)以外の野菜汁液または(B)以外の果汁を使用することもできる。このような野菜汁液または果汁として、例えば、ニンジン、キャベツ、コマツナ、リンゴ、キウイ等が例示される。また、本発明の飲食品において、(A)のほうれん草汁および(B)の果汁の合計の含有量(ストレート換算)は、ほうれん草の風味と(B)の果汁の風味の両方を感じることができるという点から、25%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、さらに好ましくは40%以上である。
【0018】
また、本発明の飲食品には、風味を損なわない程度に、香料、甘味料、酸味料、増粘剤、乳化剤、ビタミン類、ミネラル類等を配合してもよい。具体的に、香料としては、例えば、グレープフレーバー、ゆずフレーバー、ハニーフレーバー、グレープフルーツフレーバー、ヨーグルトフレーバー、ベリーフレーバー、オレンジフレーバー、カリンフレーバー、シソフレーバー、アップルフレーバー、ミントフレーバー、アプリコットフレーバー、ペアフレーバー、クリームフレーバー、メロンフレーバー、バナナフレーバー、トロピカルフレーバー、ハーブフレーバー、紅茶フレーバー、コーヒーフレーバー等が挙げられる。甘味料としては、例えば、果糖ブドウ糖液糖、ファインリカー、グラニュー糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース、麦芽糖、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水あめ、アスパルテーム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムK、ステビア等が挙げられ、これらの中でも果糖ブドウ糖液糖を用いるとジューシーな甘味が付与され、風味が向上するため好ましい。酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられ、これらの中でもリンゴ酸を用いると、柔らかくフルーティーな酸味が付与され、風味が向上するため好ましい。増粘剤としては寒天、ゼラチン、カラギーナン、グァーガム、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類、アルギン酸プロピレングリコール等が挙げられる。乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。ビタミン類としてはビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE類等が挙げられる。ミネラル類としてはカルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン等が挙げられる。
【0019】
本発明の飲食品は、(A)および(B)を含有可能な飲食品であれば特に制限されない。例えば、果実ミックスジュース、果実・野菜ミックスジュース、野菜・果実ミックスジュース、果汁入り飲料、果汁入り清涼飲料、アルコール飲料、発酵乳飲料、機能性飲料、清涼飲料、茶系飲料、スポーツドリンク等の飲料、氷菓、ゼリー、アメ、ガム等の菓子類等が挙げられる。これらの中でも、飲料が好ましく、さらに果実ミックスジュース、果実・野菜ミックスジュース、野菜・果実ミックスジュース、果汁入り飲料、果汁入り清涼飲料等が好ましい。またこれらの容器詰飲料が好ましい。容器に充填する前、または充填した後に殺菌(加熱)を行った場合、殺菌(加熱)により青臭さが増強されるため、容器詰飲料の場合は、本願発明を好適に利用することができる。
【0020】
本発明の飲食品は、(A)および(B)を、任意成分とともに従来公知の飲食品の製造方法にしたがって混合することによって製造することができる。例えば、飲料の場合は、(A)、(B)と必要に応じ添加される甘味料、酸味料などの原材料を水に配合し、十分撹拌混合した後、プレートヒーター等を用いて125〜135℃で5〜10秒間殺菌し、容器に充填することにより製造することができる。
【0021】
以上のようにして得られる本発明の飲食品は、ほうれん草の風味を残しつつ、青臭さが改善された風味良好なものとなる。
【0022】
上述のとおり、ブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁は、ほうれん草汁の青臭さを抑制する効果を有することから、本発明には、これらの果汁を有効成分とするほうれん草汁の青臭さ改善剤、および、ほうれん草汁を含む飲食品に、これらの果汁を添加するほうれん草汁の青臭さを軽減する方法の発明も包含される。これらの発明において使用されるブドウ果汁、グレープフルーツ果汁およびストロベリー果汁は、上記飲食品について説明したとおりであり、飲食品中の含有量やほうれん草汁に対する含有比率等も同様である。
【実施例】
【0023】
以下、本発明について実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。なお、以下の実施例において、ほうれん草汁および果汁の含有量はいずれもストレート換算の値である。
【0024】
実 施 例 1
ほうれん草汁の青臭さに対するマスキング効果:
ほうれん草濃縮汁(SVZ製、Brix42.4、ストレートBrix5)および下記表1に示した果汁を精製水に溶解して飲料を製造した。ほうれん草濃縮汁はストレート換算で10%、果汁はストレート換算で30%となるように調製した。熟練した5名のパネルにより、これらの飲料の風味を下記評価基準で評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。その結果を表1に示した。
【0025】
<マスキング効果評価基準>
評点 内容
3 : ほうれん草汁の青臭さが十分にマスキングされている
2 : ほうれん草汁の青臭さがマスキングされている
1 : ほうれん草汁の青臭さがあまりマスキングされていない
0 : ほうれん草汁の青臭さが全くマスキングされていない
<4段階判定基準>
判定 : 評点の平均点 : 内容
◎:2.25点を超え3点以下 :ほうれん草汁の青臭さが十分にマスキングされ
ている
○:1.5点を超え2.25点以下:ほうれん草汁の青臭さがマスキングされている
△:0.75点を超え1.5点以下:ほうれん草汁の青臭さがあまりマスキングされて
いない
×:0点以上0.75点以下 :ほうれん草汁の青臭さが全くマスキングされてい
ない
【0026】
【表1】
【0027】
以上の結果から、ブドウ(白ブドウ、赤ブドウ)、グレープフルーツ、ストロベリーの果汁は、ほうれん草汁の青臭さに対するマスキング効果が高いことが明らかになった。一方、みかん、パインの果汁では、十分にマスキングできず、青臭さが感じられた。
【0028】
実 施 例 2
ほうれん草汁含有飲料の調製(1):
ほうれん草汁と、果汁としてブドウ果汁を用いて飲料を調製した。ほうれん草汁として、ほうれん草濃縮汁(SVZ製、Brix42.4、ストレートBrix5)を使用した。ブドウ果汁としては、白ブドウ果汁(白ぶどう濃縮果汁:長野サンヨーフーズ製、Brix55、ストレートBrix11)または赤ブドウ果汁(レッドグレープ濃縮果汁:インベルテック製、Brix67、ストレートBrix11)を使用した。ほうれん草濃縮汁1.18g、ストレート換算で下記表2の含有量となるようにブドウ果汁を精製水に加え、全量が100gとなる飲料を調製した。当該飲料のほうれん草汁のストレート換算の含有量は10%となる。熟練した5名のパネルにより、これらの飲料のほうれん草の青臭さに対するマスキング効果と風味の総合評価を下記評価基準で評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。その結果を表2に示した。
【0029】
【表2】
【0030】
(評価基準)
<マスキング効果評価基準>
評点 内容
3 : ほうれん草汁の青臭さが十分にマスキングされている
2 : ほうれん草汁の青臭さがマスキングされている
1 : ほうれん草汁の青臭さがあまりマスキングされていない
0 : ほうれん草汁の青臭さが全くマスキングされていない
<4段階判定基準>
判定 : 評点の平均点 : 内容
◎:2.25点を超え3点以下 :ほうれん草汁の青臭さが十分にマスキングされ
ている
○:1.5点を超え2.25点以下:ほうれん草汁の青臭さがマスキングされている
△:0.75点を超え1.5点以下:ほうれん草汁の青臭さがあまりマスキングされて
いない
×:0点以上0.75点以下 :ほうれん草汁の青臭さが全くマスキングされてい
ない
【0031】
<風味総合評価基準>
評点 内容
3 : ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスがとても良い
2 : ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスが良い
1 : ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスがあまり良くない
0 : ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスが悪い
<4段階判定基準>
判定 : 評点の平均点 : 内容
◎:2.25点を超え3点以下 :ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスが
とても良い
○:1.5点を超え2.25点以下:ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスが良

△:0.75点を超え1.5点以下:ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスがあ
まり良くない
×:0点以上0.75点以下 :ほうれん草の風味とブドウの風味のバランスが悪
【0032】
表2に示すとおり、ほうれん草汁のみでは、青臭さを感じるのに対し(比較品1)、さらに白ブドウ果汁または赤ブドウ果汁を20〜40%配合すると、青臭さがマスキングされるとともに、ほうれん草風味とブドウ風味のバランスが良い飲料となった(発明品2〜4、発明品7〜9)。ブドウ果汁を50%配合するとマスキング効果は十分であるが、果汁の風味が強くなりすぎてしまい、ほうれん草とブドウの風味のバランスがあまり良くないものとなった(発明品5、10)。
【0033】
実 施 例 3
ほうれん草汁含有飲料の調製(2):
ほうれん草汁と、果汁としてブドウ果汁を用いて飲料を調製した。ほうれん草汁として、ほうれん草濃縮汁(SVZ製、Brix42.4、ストレートBrix5)を使用した。ブドウ果汁としては、白ブドウ果汁(白ぶどう濃縮果汁:長野サンヨーフーズ製、Brix55、ストレートBrix11)または赤ブドウ果汁(レッドグレープ濃縮果汁:インベルテック製、Brix67、ストレートBrix11)を使用した。白ブドウ果汁6g(赤ブドウ果汁の場合は4.9g)、ストレート換算で下記表3の含有量となるようにほうれん草汁を精製水に加え、全量が100gとなる飲料を調製した。当該飲料のブドウ果汁のストレート換算の含有量は30%となる。熟練した5名のパネルにより、これらの飲料のほうれん草の青臭さに対するマスキング効果と風味の総合評価を実施例2と同様の評価基準で評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計からその平均値を算出し、実施例2と同様の4段階判定基準により判定した。その結果を表3に示した。
【0034】
【表3】
【0035】
表3に示すとおり、ブドウ果汁30%に対し、ほうれん草汁5〜20%の範囲で配合すると、ほうれん草の風味が十分感じられながら、青臭さがマスキングされ、良好な風味となった(発明品11〜13、発明品15〜17)。ほうれん草汁30%では若干の青臭さが認められた(発明品14、18)、ほうれん草汁40%では青臭さが認められた(比較品2、3)。
【0036】
実 施 例 4
ほうれん草汁含有飲料の調製(3)
果汁として、ストロベリー果汁(ストロベリー透明濃縮果汁:オーストリアジュース製、Brix65、ストレートBrix7)またはグレープフルーツ果汁(グレープフルーツ混濁濃縮果汁、GAT製、Brix60.5、ストレートBrix9)を使用した以外は実施例2と同様にして飲料を製造した。熟練した5名のパネルにより、これらの飲料のほうれん草の青臭さに対するマスキング効果と風味の総合評価を下記評価基準で評価し、評点をつけ、パネル全員の評点の合計からその平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。その結果を表4に示した。
【0037】
【表4】
【0038】
(評価基準)
<マスキング効果評価基準>
評点 内容
3 : ほうれん草汁の青臭さが十分にマスキングされている
2 : ほうれん草汁の青臭さがマスキングされている
1 : ほうれん草汁の青臭さがあまりマスキングされていない
0 : ほうれん草汁の青臭さが全くマスキングされていない
<4段階判定基準>
判定 : 評点の平均点 : 内容
◎:2.25点を超え3点以下 :ほうれん草汁の青臭さが十分にマスキングされ
ている
○:1.5点を超え2.25点以下:ほうれん草汁の青臭さがマスキングされている
△:0.75点を超え1.5点以下:ほうれん草汁の青臭さがあまりマスキングされて
いない
×:0点以上0.75点以下 :ほうれん草汁の青臭さが全くマスキングされてい
ない
【0039】
<風味総合評価基準>
評点 内容
3 : ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレープフルーツの風味のバラン
スがとても良い
2 : ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレープフルーツの風味のバラン
スが良い
1 : ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレープフルーツの風味のバラン
スがあまり良くない
0 : ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレープフルーツの風味のバラン
スが悪い
<4段階判定基準>
判定 : 評点の平均点 : 内容
◎:2.25点を超え3点以下 :ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレープ
フルーツの風味のバランスがとても良い
○:1.5点を超え2.25点以下:ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレー
プフルーツの風味のバランスが良い
△:0.75点を超え1.5点以下:ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレー
プフルーツの風味のバランスがあまり良くない
×:0点以上0.75点以下 :ほうれん草の風味とストロベリーまたはグレー
プフルーツの風味のバランスが悪い
【0040】
表4に示すとおり、ほうれん草汁のみでは、青臭さを感じるのに対し(比較品1)、さらにストロベリー果汁またはグレープフルーツ果汁を20〜40%配合すると、青臭さがマスキングされ、ほうれん草風味とストロベリーまたはグレープフルーツの風味のバランスが良い飲料となった(発明品20〜22、発明品25〜27)。ストロベリー果汁またはグレープフルーツ果汁を50%配合するとマスキング効果は十分であるが、果汁の風味が強くなりすぎてしまい、ほうれん草汁とストロベリーまたはグレープフルーツの風味のバランスがあまり良くないものとなった(発明品23、28)。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の飲食品は、ほうれん草の風味を残しつつ、青臭さが抑制され、風味良好なものであるため、ほうれん草の摂取を促進し得る飲食品として好適である。