(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記シリコーン樹脂エマルション(B)の混合比率は、前記アクリル樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し1〜80重量部であることを特徴とする請求項1または2に記載の水性被覆材。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような水性被覆材では、その被膜に水分が接触すると、水分が吸収され、被膜が変色するおそれがある。また、一方では、圧力、摩擦、飛来物等の外的因子によって、その被膜表面にキズ等がつき、本来の色調が損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、艶が低減された被膜を形成しつつ、水分その他外的因子による被膜の変色を抑制することができる水性被覆材を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために本発明者は、鋭意検討の結果、アクリル樹脂エマルション(A)、シリコーン樹脂エマルション(B)、及び顔料(C)を含み、前記シリコーン樹脂エマルション(B)の平均粒子径を制御した水性被覆材に想到し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は以下の特徴を有するものである。
1.顔料体積濃度が30〜70%である水性被覆材であって、
アクリル樹脂エマルション(A)、シリコーン樹脂エマルション(B)、及び顔料(C)を含み、
前記シリコーン樹脂エマルション(B)の平均粒子径は、前記アクリル樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする水性被覆材。
2.前記シリコーン樹脂エマルション(B)の平均粒子径は100nm以下であることを特徴とする1.記載の水性被覆材。
3.前記シリコーン樹脂エマルション(B)の混合比率は、前記アクリル樹脂エマルション(A)の固形分100重量部に対し1〜80重量部であることを特徴とする1.または2.に記載の水性被覆材。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、艶が低減された被膜を形成しつつ、水分その他外的因子による被膜の変色を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
本発明の水性被覆材(以下単に「被覆材」ともいう)は、アクリル樹脂エマルション(A)、シリコーン樹脂エマルション(B)、及び顔料(C)を含むものである。
【0012】
アクリル樹脂エマルション(A)(以下「(A)成分」ともいう)は、主に結合材として作用する成分である。アクリル樹脂エマルション(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とする重合体粒子の水分散体である。このような(A)成分は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、及び必要に応じその他のモノマーを含むモノマー群を、公知の方法で乳化重合することによって得ることができる。
【0013】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。このような(メタ)アクリル酸アルキルエステルの構成比率は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、好ましくは30重量%以上、より好ましくは40〜99.9重量%、さらに好ましくは50〜99.5重量%である。なお、本発明では、アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルを合わせて、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと表記している。また、本発明において「a〜b」は「a以上b以下」と同義である。
【0014】
その他のモノマーとしては、例えばカルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、ピリジン系モノマー、水酸基含有モノマー、ニトリル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、カルボニル基含有モノマー、アルコキシシリル基含有モノマー、芳香族モノマー等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。これらその他のモノマーの構成比率は、(A)成分を構成する全モノマーに対し、好ましくは0.1〜60重量%、より好ましくは0.5〜50重量%である。
【0015】
(A)成分は、上記条件を満たすものであればよい。(A)成分としては、例えば、アクリルスチレン樹脂エマルション、エポキシ変性アクリル樹脂エマルション、ウレタン変性アクリル樹脂エマルション、シリコン変性アクリル樹脂エマルション、フッ素変性アクリル樹脂エマルション等を使用することもできる。また、(A)成分の形態は、例えば、多段階重合で得られる多層構造型エマルション(コアシェル型エマルション)等であってもよいし、架橋反応を生じる架橋反応型エマルション等であってもよい。架橋反応型エマルションとしては、例えば、エマルション粒子内の官能基同士で架橋反応を生じるもの、あるいは、別途混合する架橋剤とエマルション粒子内の官能基が架橋反応を生じるもの等が挙げられる。
【0016】
(A)成分の平均粒子径は、好ましくは50〜500nm、より好ましくは70〜300nm、さらに好ましくは80〜250nm、特に好ましくは85〜200nmである。なお、本発明において、平均粒子径は、動的光散乱法により測定される値である。具体的には、動的光散乱測定装置(「LB‐550」株式会社堀場製作所製)等を用いて測定することができる(測定温度は25℃)。
【0017】
(A)成分のガラス転移温度は、好ましくは−30〜60℃、より好ましくは−20〜40℃である。このガラス転移温度は、Foxの計算式により求めることができる。
【0018】
シリコーン樹脂エマルション(B)(以下「(B)成分」ともいう)は、水分、あるいは圧力、摩擦、飛来物等の外的因子による被膜の変色を抑制するために、必須の成分である。
【0019】
(B)成分は、シリコーン樹脂を主成分とする樹脂粒子の水分散体である。このようなシリコーン樹脂エマルション(B)は、例えば、シロキサン化合物、アルコキシシラン化合物等のシリコーン成分を重合して得ることができる。シリコーン樹脂エマルション(B)としては、シリコーン成分以外のモノマーを構成成分に含むものであってもよいが、本発明では、(B)成分を構成する重合体中、シリコーン成分を、好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上含むものが適している。
【0020】
(B)成分を構成するシリコーン成分のうち、シロキサン化合物としては、例えば、環状シロキサン化合物、直鎖状シロキサン化合物、分岐状シロキサン化合物等が挙げられる。このうち環状シロキサン化合物としては、例えば、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。アルコキシシラン化合物としては、分子中に1個以上のアルコキシル基を有するシラン化合物が使用でき、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン等の他、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤等が挙げられる。これらは、1種または2種以上で使用できる。また、(B)成分の重合時には、乳化剤、触媒、中和剤等を適宜混合することができる。シリコーン樹脂の平均分子量は、好ましくは10000以上、より好ましくは50000以上である。
【0021】
本発明では、(B)成分として、このようなシリコーン樹脂エマルションを使用し、さらに(B)成分の平均粒子径は、アクリル樹脂エマルション(A)の平均粒子径よりも小さくする。これにより、水分その他外的因子による被膜の変色が十分に抑制され、優れた耐変色性を発揮することができる。その作用機構は明らかではないが、(B)成分を構成するシリコーン樹脂は、ガラス転移温度が低く、弾性を有すること、そして、(B)成分として平均粒子径が小さいものを採用することにより、(B)成分の比表面積が相対的に大きくなり、水分を遮断する作用が高まること、等が寄与しているものと考えられる。
【0022】
(B)成分の平均粒子径は、(A)成分よりも相対的に小さい範囲内であればよいが、好ましくは100nm以下、より好ましくは5〜80nm、さらに好ましくは10〜70nm、特に好ましくは20〜65nmである。(B)成分の平均粒子径が大きすぎる場合は、被膜の変色を抑制する効果が得られ難くなる。
【0023】
(B)成分の混合比率は、(A)成分の固形分100重量部に対し、好ましくは1〜80重量部、より好ましくは2〜40重量部、さらに好ましくは3〜30重量部である。(B)成分がこのような混合比率であれば、本発明の効果向上の点で好適である。また、(B)成分の混合比率の上限が上記値であることにより、汚染物質等が被膜に付着し難くなり、汚染による被膜の変色を抑制することもできる。
【0024】
顔料(C)(以下「(C)成分」ともいう)としては、体質顔料、着色顔料等が使用できる。本発明では、(C)成分として、少なくとも体質顔料を含む態様が好適である。これにより、被膜表面の艶を低減させ、落ち着きのある仕上り感を付与することが可能となる。
【0025】
本発明では、(C)成分として、体質顔料及び着色顔料を含む態様がより好適である。これにより、艶を低減させると共に、所望の色調を付与した被膜を得ることができる。体質顔料の混合比率は、(C)成分の総量中、好ましくは40〜99体積%、より好ましくは45〜98体積%である。着色顔料の混合比率は、(C)成分の総量中、好ましくは1〜60体積%、より好ましくは2〜55体積%である。
【0026】
体質顔料としては、例えば、重質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム、カオリン、クレー、陶土、チャイナクレー、珪藻土、含水微粉珪酸、タルク、マイカ、バライト粉、硫酸バリウム、沈降性硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、シリカ粉、水酸化アルミニウム等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。体質顔料の平均粒子径は、好ましくは1〜100μm、より好ましくは2〜50μmである。
【0027】
本発明では、本発明の効果向上の点で、体質顔料としてリン片状粉体を含むことが望ましい。リン片状粉体の具体例としては、例えば、タルク、マイカ、クレー等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。リン片状粉体は、その形状により、水を遮断する作用、被膜表面を滑らかにする作用等を発揮し、被膜の変色抑制に寄与するものと推認される。リン片状粉体の混合比率は、(C)成分の総量中、好ましくは5〜99体積%、より好ましくは10〜95体積%である。
【0028】
着色顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナ、カーボンブラック、鉄‐マンガン複合酸化物、鉄‐銅‐マンガン複合酸化物、鉄‐クロム‐コバルト複合酸化物、銅‐クロム複合酸化物、銅‐マンガン‐クロム複合酸化物、酸化第二鉄(弁柄)、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、群青、コバルトグリーン等の無機着色顔料、アゾ系、ナフトール系、ピラゾロン系、アントラキノン系、ペリレン系、キナクリドン系、ジスアゾ系、イソインドリノン系、ベンゾイミダゾール系、フタロシアニン系、キノフタロン系等の有機着色顔料、その他パール顔料、アルミニウム顔料、光輝性顔料、蓄光顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらは1種または2種以上で使用できる。着色顔料の平均粒子径は、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.01〜0.9μmである。
【0029】
顔料(C)は、顔料体積濃度が30〜70%(好ましくは35〜65%)となる範囲内で混合する。顔料体積濃度をこのような範囲内に設定することにより、本発明の効果を得ることができる。さらに、被膜からの顔料の脱離(色移り)等を防ぐこともできる。顔料体積濃度が上記下限に満たない場合は、艶低減効果等が得られ難くなり、上記上限を超える場合は、被膜の変色抑制効果等が得られ難くなる。なお、顔料体積濃度は、乾燥被膜中に含まれる顔料の容積百分率であり、水性被覆材を構成する樹脂及び顔料の混合量から計算により求められる値である。
【0030】
本発明においては、上述の成分の他に、各種添加剤等を混合することもできる。このような添加剤としては、例えば、顔料分散剤、乳化剤、増粘剤、造膜助剤、レベリング剤、湿潤剤、可塑剤、凍結防止剤、pH調整剤、防腐剤、防黴剤、防藻剤、抗菌剤、消泡剤、吸着剤、脱臭剤、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、触媒、架橋剤等が挙げられる。また、本発明の効果を著しく阻害しない限り、上記(A)成分、(B)成分以外の樹脂エマルションを混合することもできる。
【0031】
本発明被覆材は、媒体として水を含む水性の材料である。媒体は、水の他に、必要に応じ水溶性溶剤を含むものであってもよい。水溶性溶剤としては、例えば、アルコール類、グリコール類、グリコールエーテル類等が挙げられる。
【0032】
本発明被覆材は、建築物や土木構築物等の表面(壁面等)に対して塗装することができる。塗装の対象となる基材は特に限定されないが、好ましくは無機質基材である。特に、本発明ではセメント系無機質基材が好適である。本発明被覆材をセメント系無機質基材に塗装した場合には、本発明の効果を十分に発揮することができる。
【0033】
このようなセメント系無機質基材は、セメントを必須成分として得られる材料である。セメント以外の成分として、例えば、珪砂、珪石、フライアッシュ等の骨材、パルプ、ガラスウール等の繊維類等が含まれていてもよい。具体的に、セメント系無機質基材としては、例えば、コンクリート、モルタル、繊維混入セメント板、スレート板、セメント珪酸カルシウム板、スラグセメントパーライト板、ALC板、サイディング板等が挙げられる。このうち、コンクリート、モルタル等の基材は、例えば、施工現場で水等と混練したものを硬化させることによって得ることができる。ALC板、サイディング板等の無機質建材は、例えば、抄造法、押し出し成形法、注型法等の各種方法によって板状に成形されたものである。セメント系無機質建材に本発明被覆材を塗装した場合は、基材の割れ、反り、寸法変化等を十分に抑制できる点で特に好適である。これら基材の表面は、何らかの表面処理(例えば、シーラー、サーフェーサー、パテ、フィラー等)が施されたものでもよく、既に塗膜が形成されたもの等であってもよい。
【0034】
本発明被覆材を塗装する際には、例えば、スプレー、ローラー、刷毛等の各種塗装器具を使用することができる。塗装の際には、水を用いて希釈することも可能である。水の混合量は、塗装器具の種類、塗装下地の状態、塗装時の温度等を勘案して適宜設定すればよいが、被覆材全体に対し、好ましくは0〜20重量%程度である。
【0035】
本発明被覆材の塗付け量は、好ましくは0.1〜1kg/m
2、より好ましくは0.2〜0.6kg/m
2である。また、本発明被覆材を塗装した後の乾燥は、好ましくは常温(5〜40℃)で行えばよいが、加熱することも可能である。乾燥時間は、好ましくは常温で0.5〜4時間程度である。塗り回数は、好ましくは1〜2回程度である。
【0036】
本発明被覆材は、艶が低減された被膜、すなわち艶消し被膜を形成することができる。なお、ここで言う「艶消し」とは、一般に艶消しと呼ばれるものの他に、3分艶、5分艶等と呼ばれるものも包含する。具体的に、艶消しの程度は、鏡面光沢度によって規定することができる。本発明被覆材の鏡面光沢度は、好ましくは40以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは0.1〜10である。なお、鏡面光沢度は、ガラス板の片面に、すきま150μmのフィルムアプリケータを用いて被覆材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態(気温23℃、相対湿度50%)で48時間乾燥したときの鏡面光沢度(測定角度60度)を測定することによって得られる値である。
【実施例】
【0037】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明の特徴をより明確にする。
【0038】
(被覆材の製造)
表1に示す重量部にて、各原料を常法により混合・攪拌することによって、各水性被覆材を製造した。原料としては下記のものを使用した。
【0039】
・樹脂1:アクリル樹脂エマルション(メチルメタクリレート・シクロヘキシルメタクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・メタクリル酸の乳化重合体、全モノマー中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの構成比率:98重量%、平均粒子径:130nm、固形分:50重量%、ガラス転移温度:5℃、樹脂比重:1.0、媒体:水)
・樹脂2:アクリルスチレン樹脂エマルション(メチルメタクリレート・スチレン・n−ブチルアクリレート・2−エチルヘキシルアクリレート・アクリル酸の乳化重合体、全モノマー中の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの構成比率:75重量%、平均粒子径:150nm、固形分:50重量%、ガラス転移温度:8℃、樹脂比重:1.0、媒体:水)
・樹脂3:シリコーン樹脂エマルション(オクタメチルシクロテトラシロキサン・アルコキシシラン化合物重合物の乳化分散体、樹脂中のシリコーン成分比率:100重量%、平均粒子径:50nm、固形分:30重量%、樹脂比重:1.0、媒体:水)
・樹脂4:シリコーン樹脂エマルション(ジメチルシロキサン化合物の乳化分散体、樹脂中のシリコーン成分比率:100重量%、平均粒子径:190nm、固形分:50重量%、樹脂比重:1.0、媒体:水)
・体質顔料1:粒状粉体(シリカ粉、平均粒子径4μm、比重2.6)
・体質顔料2:リン片状粉体(タルク、平均粒子径12μm、比重2.7)
・着色顔料1:酸化チタン(平均粒子径0.2μm、比重4.2)
・着色顔料2:弁柄(平均粒子径0.2μm、比重5.0)
・造膜助剤:エステル系造膜助剤
・分散剤:アニオン系分散剤
・増粘剤:セルロース系増粘剤、ウレタン系増粘剤
・消泡剤:鉱物油系消泡剤
【0040】
(試験方法)
(1)鏡面光沢度
ガラス板の片面に、すきま150μmのフィルムアプリケータを用いて被覆材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態で48時間乾燥したときの鏡面光沢度(測定角度60度)を測定した。
【0041】
(2)耐変色性1
ガラス板の片面に、すきま150μmのフィルムアプリケータを用いて被覆材を塗り、塗面を水平に置いて標準状態で14日間乾燥したものを試験体とした。この試験体の被膜表面を紙製ウエスで擦り、擦り傷による変色の程度を評価した。評価は、変色が認められなかったものを「a」、著しい変色が認められたものを「d」とする4段階(優:a>b>c>d:劣)で行った。
【0042】
(3)耐変色性2
上記「耐変色性1」と同様の方法で試験体を作製した。この試験体の被膜表面に1分間連続して水を流した後、水による変色の程度を評価した。評価は、変色が認められなかったものを「a」、著しい変色が認められたものを「d」とする4段階(優:a>b>c>d:劣)で行った。
【0043】
(4)耐変色性3
予め下塗材を塗装したスレート板に、被覆材を塗付け量0.3kg/m
2にて刷毛塗りし、標準状態で14日間乾燥したものを試験体とした。この試験体を23℃の水中に7日間浸し、浸漬前後の被膜の色差(△E)を色彩色差計で測定した。評価は、色差0.3未満を「a」、色差0.3以上0.6未満を「b」、色差0.6以上1.0未満を「c」、色差1.0以上を「d」とする4段階(優:a>b>c>d:劣)で行った。
【0044】
(5)耐変色性4
予め下塗材を塗装したアルミニウム板(上方から3分の1の長さのところで、内角度が135度になるように折り曲げたもの)に、被覆材を塗付け量0.3kg/m
2にてスプレー塗りし、標準状態で14日間乾燥したものを試験体とした。この試験体について屋外暴露を実施し、垂直面における6ヶ月後の雨筋汚れによる変色の程度を評価した。評価は、変色が認められなかったものを「a」、著しい変色が認められたものを「d」とする4段階(優:a>b>c>d:劣)で行った。
【0045】
(試験結果)
試験結果を表1に示す。実施例1〜9では、各試験において良好な結果が得られた。
【0046】
【表1】