(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されることなく、本発明の技術的な概念の中で種々の変形例や応用例をもその範囲に含むものである。
【0012】
図1は、本発明の代表的な実施形態であるステアリングシステムの構成を示している。自動車の前側の前輪は対の車輪(以下、操舵輪)として設けられており、第1操舵輪10Lと第2操舵輪10Rを備えている。第1操舵輪10Lと第2操舵輪10Rとはタイロッド11により連結されている。
【0013】
このタイロッド11の両端の夫々には、第1タイロッドアーム12L、第2タイロッドアーム12Rが結合され、両タイロッドアーム12L、12Rは第1操舵輪10Lと第2操舵輪10Rの夫々に連結されている。これによって、第1操舵輪10Lと第2操舵輪10Rとは互いに連動して転舵することができる構成となっている。
【0014】
更に、第1操舵輪10Lは、第1ステアリングアーム13L、第1ドラックリンク14L、第1ピットマンアーム15Lを介して、第1電動操舵機構16Lに連結されている。同様に、第2操舵輪10Rは、第2ステアリングアーム13R、第2ドラックリンク14R、第2ピットマンアーム15Rを介して、第2電動操舵機構16Rに連結されている。尚、第1電動操舵機構16L、第2電動操舵機構16Rから第1操舵輪10L、第2操舵輪10Rまでの各リンクや各アームは、以下では単に、「リンク系(=連結部材)」とまとめて表記する場合もある。
【0015】
第2電動操舵機構16Rは、ステアリングシャフト17を介してステアリングホイール18と連結されており、ステアリングホイール18の操作によって、第2電動操舵機構16Rは、ピットマンアーム15Rを駆動して転舵するものである。もちろんこの時は、後述するように第1電動操舵機構16Lと第2電動操舵機構16Rによって操舵アシスト力が与えられるものである。
【0016】
第1電動操舵機構16Lは、第1インテグラル式ギアボックス(以下、単に第1ギアボックスと表記する)19Lと、第1ギアボックス19Lに内蔵されているボールナット式ステアリングを制御する第1モータアクチュエータ20Lから構成されている。
【0017】
同様に、第2電動操舵機構16Rは、第2インテグラル式ギアボックス(以下、単に第2ギアボックスと表記する)19Rと、第2ギアボックス19Rに内蔵されているボールナット式ステアリングを制御する第2モータアクチュエータ20Rから構成されている。尚、第2電動操舵機構16Rには、ステアリングホイール18の操作トルクを検出するトルクセンサ21が設けられている。
【0018】
第1電動操舵機構16Lの第1モータアクチュエータ20Lは、第1制御装置22Lによって制御されており、同様に、第2電動操舵機構16Rの第2モータアクチュエータ20Rは、第2制御装置22Rによって制御されている。第1制御装置22Lと第2制御装置22Rとは、通信線を介して夫々通信されており制御情報や、故障、異常情報を互に交換している。
【0019】
尚、第1制御装置22Lと第2制御装置22Rは、分離しないで統合制御装置23として構成することができ、この場合は統合制御装置23によって、第1電動操舵機構16L及び第2電動操舵機構16Rを制御することができる。また、第1制御装置22Lは第1電動操舵機構16Lに一体的に組み付ける機電一体型に構成でき、更に第2制御装置22Rも第2電動操舵機構16Rに一体的に組み付ける機電一体型に構成できる。
【0020】
このように、第1電動操舵機構16Lは第1モータアクチュエータ20Lを備え、第2電動操舵機構16Rは第2モータアクチュエータ20Rを備え、更に、夫々の制御装置22L、22Rによって個別に制御される構成となっている。
【0021】
したがって、第1電動操舵機構16Lと、第2電動操舵機構16Rの夫々について、異なる制御を行うことで任意の操舵制御性を与えることができ、操舵性を向上させることができる。更に、夫々のモータアクチュエータ20L、20Rによって操舵アシスト力を与える構成であるため、操舵アシスト力が大きく、しかも応答性が速いので上述の操舵制御性を更に向上することが可能となる。
【0022】
次に、第1電動操舵機構16L、及び第2電動操舵機構16Rの具体的な構成について、
図2、
図3に基づき説明するが、
図2は第1電動操舵機構16Lを示し、
図3は第2電動操舵機構16Rを示している。
【0023】
第1電動操舵機構16Lを示す
図2において、一端が開口した有底の細長い中空円筒状の第1ハウジング25Lの第1内部収納空間26Lには、第1ハウジング25Lの軸線方向に沿って摺動する第1ナット27Lが収納されており、この第1ナット27Lの一部、ここでは第1ナット27Lの側周部に第1ラック部(=第1伝達機構)28Lが形成されている。
【0024】
第1ハウジング25Lは金属から作られており、第1内部収納空間26Lに収納された第1ナット27Lは、両端に第1径大部29Lが形成されており、この第1径大部29Lが、第1内部収納空間26Lの内周面を摺動するように構成されている。そして、両第1径大部29Lの間の小径部30Lに上述の第1ラック部28Lが形成されている。
【0025】
また、第1ハウジング25Lの側面には、第1セクタギア収納部31Lが一体的に形成されており、この第1セクタギア収納部31L内に、第1セクタギア32Lが収納、配置されている。この第1セクタギア32Lは、第1ナット27Lに形成した第1ラック部28Lと噛み合っており、
図2に示す状態で、第1ナット27Lの左右の摺動動作によって、第1セクタギア32Lが時計方向(正方向)及び反時計方向(負方向)に回転されるようになっている。
【0026】
そして、第1セクタギア32Lは、
図1に示す第1ピットマンアーム15Lに連結されており、第1セクタギア32Lの回転動作は第1ピットマンアーム15Lに伝えられ、これによって第1操舵輪10Lが転舵される構成となっている。
【0027】
第1ナット27Lの軸方向(摺動方向)の内部には螺旋状の「ねじ溝」が切られており、このねじ溝に第1ボールねじ33Lを備えた第1出力軸34Lが螺合されている。この第1出力軸34Lの回転軸線Cr1は、第1ナット27Lの摺動方向の軸心と一致しており、第1出力軸34Lが、回転軸線Cr1の周りで回転すると、これによって第1ナット27Lが、図面上で左右に摺動移動するものである。ここで、第1出力軸34L、第1ボールねじ33L、第1ナット27L、及び第1ラック部28Lとで、第1ボールナット式ステアリングを構成している。
【0028】
第1ハウジング25Lの開口端には、金属から作られた第1軸受部材35Lが液密的に取り付けられており、この第1軸受部材35Lの中央には第1ボールベアリング(A)36Lが設けられている。そして、第1ボールベアリング(A)36Lには、第1出力軸34Lが軸受可能に貫通しており、貫通した第1出力軸34Lの端部が、これも第1ボールベアリング(B)37Lによって軸受されている。第1ボールベアリング(B)37Lは、第1カバー38Lに固定され、第1カバー38Lは後述する減速機構を液密的に囲繞して密閉している。
【0029】
第1軸受部材35Lと第1カバー38Lの間に位置する、第1出力軸34Lの端部には、第1ウォームホイール39Lが固定されており、この第1ウォームホイール39Lは、第1ウォーム40Lと噛み合っており、これらによって減速機構を形成している。第1ウォーム40Lは、第1電動モータ41Lによって駆動されるように、第1電動モータ41Lの回転軸に固定されている。
【0030】
第1電動モータ41Lの回転軸の回転軸線は、第1出力軸34Lの回転軸線Cr1と直交する方向に位置するように、第1電動モータ41Lは第1ハウジング25Lの外表面に固定されている。これによって、第1電動操舵機能16Lの長さ方向(第1出力軸34Lの回転軸線Cr1の方向)の体格を小型化でき、自動車に装着する時の融通性を高めることができる。
【0031】
また、減速機構は、第1ウォームホイール39Lと第1ウォーム40Lとから構成されているので、小型にすることができ、ステアリング装置の大型化や重量の増大を抑制することができる。また、第1電動モータ41Lの回転力を減速して増幅しているので、小型の電動モータを使用できる、或いは小型化しない場合は、操舵アシスト力を大きくできるという、作用、効果を得ることができる。
【0032】
また、油圧系を使用しないので、油圧ポンプや油圧配管等が不要となり、システムの簡素化を図ることができるほか、電気的な制御信号を第1電動モータ41Lに送って操舵アシスト力を与えるため、応答性が高いという作用、効果を得ることができる。この応答性が高いということは、後述する制御フローで得られる操舵制御特性を更に向上させることに繋がるものとなる。
【0033】
以上のような構成を備える第1電動操舵機構16Lにおいては、第1制御装置22Lからの駆動制御信号(=操舵アシスト力に対応)が第1電動モータ41Lに与えられると、第1電動モータ41Lは第1ウォーム40L、第1ウォームホイール39Lを介して第1出力軸34Lを回転駆動する。第1出力軸34Lが回転されると、第1ボールねじ33Lによって第1ナット27Lが摺動移動して、第1ラック部28Lが第1セクタギア32Lを回転し、リンク系を介して第1転舵輪10Lに操舵アシスト力を付与することができる。
【0034】
次に、第2電動操舵機構16Rの具体的な構成を説明する。第2電動操舵機構16Rを示す
図3において、一端が開口した有底の細長い中空円筒状の第2ハウジング25Rの第2内部収納空間26Rには、第2ハウジング25Rの軸線方向に沿って摺動する第2ナット27Rが収納されており、この第2ナット27Rの一部、ここでは第2ナット27Rの側周部に第2ラック部(=第2伝達機構)28Rが形成されている。
【0035】
第2ハウジング25Rは金属から作られており、第2内部収納空間26Rに収納された第2ナット27Rは、両端に第2径大部29Rが形成されており、この第2径大部29Rが、内部収納空間26Rの内周面を摺動するように構成されている。そして、両第2径大部29Rの間の第2小径部30Rに上述の第2ラック部28Rが形成されている。
【0036】
また、第2ハウジング25Rの側面には、第2セクタギア収納部31Rが一体的に形成されており、この第2セクタギア収納部31R内に、第2セクタギア32Rが収納、配置されている。この第2セクタギア32Rは、第2ナット27Rに形成した第2ラック部28Rと噛み合っており、
図3に示す状態で、第2ナット27Rの左右の摺動動作によって、第2セクタギア32Rが時計方向(正方向)及び反時計方向(負方向)に回転されるようになっている。
【0037】
そして、第2セクタギア32Rは、
図1に示す第2ピットマンアーム15Rに連結されており、第2セクタギア32Rの回転動作は第2ピットマンアーム15Rに伝えられ、これによって第2操舵輪10Rが転舵される構成となっている。
【0038】
第2ナット27Rの軸方向(摺動方向)の内部には螺旋状の「ねじ溝」が切られており、このねじ溝に第2ボールねじ33Rを備えた第2出力軸34Rが螺合されている。この第2出力軸34Rの回転軸線Cr2は、第2ナット27Rの摺動方向の軸心と一致しており、第2出力軸34Rが、回転軸線Cr2の周りで回転すると、これによって第2ナット27Rが、図面上で左右に摺動移動するものである。ここで、第2出力軸34R、第2ボールねじ33R、第2ナット27R、及び第2ラック部28Rとで、第2ボールナット式ステアリングを構成している。
【0039】
第2ハウジング25Rの開口端には、金属から作られた第2軸受部材35Rが液密的に取り付けられており、この第2軸受部材35Rの中央には第2ボールベアリング(A)36Rが設けられている。そして、第2ボールベアリング(A)36Rには、第2出力軸34Rが軸受可能に貫通している。第2出力軸34Rの端部付近の内部空間には、後述するトーションバー43の一端が固定されている。
【0040】
第2軸受部材35Rから貫通した第2出力軸34Rの端部の外周には、第2ウォームホイール39Rが固定されており、この第2ウォームホイール39Rは、第2ウォーム40Rと噛み合っており、これらによって減速機構を形成している。第2ウォームホイール40Rは、第2電動モータ41Rによって駆動されるように、第2電動モータ41Rの回転軸に固定されている。
【0041】
第2電動モータ41Lの回転軸の回転軸線も、第2出力軸34Rの回転軸線Cr2と直交する方向に位置するように、第2電動モータ41Rは第2ハウジング25Rの外表面に固定されている。これによって、第2電動操舵機能16Rの長さ方向(第2出力軸34Rの回転軸線Cr2の方向)の体格を小型化でき、自動車に装着する時の融通性を高めることができる。
【0042】
第1電動操舵機構16Lと同様に、減速機構は、第2ウォームホイール39Rと第2ウォーム40Rとから構成されているので、小型にすることができ、ステアリング装置の大型化や重量の増大を抑制することができる。また、第2電動モータ41Rの回転力を減速して増幅しているので、小型の電動モータを使用できる、或いは小型化しない場合は、操舵アシスト力を大きくできるという、作用、効果を得ることができる。
【0043】
また、第1電動操舵機構16Lと同様に、油圧系を使用しないので、油圧ポンプや油圧配管等が不要となり、システムの簡素化を図ることができるほか、電気的な制御信号を第2電動モータ41Rに送って操舵アシスト力を与えるため、応答性が高いという作用、効果を得ることができる。この応答性が高いということは、後述する制御フローで得られる操舵制御特性を更に向上させることに繋がるものとなる。
【0044】
ここで、第2電動操舵機構16Rは、ステアリングホイール18に固定されたステアリングシャフト17に連結される入力軸42が設けられており、この入力軸42にはトーションバー43の他端が固定されて、第2出力軸34Rと連結されている。したがって、トーションバー43は、第2出力軸34Rと入力軸42の間で捩じられ、この捩じれ量を測定してトルクを検出することができる。
【0045】
このように、第2出力軸34Rは入力軸42を介してステアリングホイール18と接続されている。これによって、転舵方向と同じ方向に大きなトルクを出力する第2電動モータ41R側にステアリングホイール18が繋がるので、運転者は操舵アシストの応答性を容易に感じることができ、操舵感覚を向上させることができる。
【0046】
そして、トーションバー43の捩じれを検出するため、入力軸42には第1角度センサ44が取り付けられ、第2出力軸34Rには第2角度センサ45が取り付けられている。そして、入力軸42の第1角度センサ44と2出力軸の第2角度センサ45で検出された相対回転角度に基づき、操舵トルクが検出されるものである。尚、第1角度センサ44と第2角度センサ45は、入力軸42からの入力、及び第2出力軸34Rからの逆入力を検出することも可能である。これについては、後述する制御フローチャートに基づき説明する。
【0047】
尚、入力軸42は第2ボールベアリング(B)37Rによって軸受けされており、第2ボールベアリング(B)37Rは、第2カバー38Rに固定されている。第2カバー38Rは、ウォームホイール39R、ウォーム40Rからなる減速機構や、トルクセンサを構成する第1角度センサ44、第2角度センサ45を液密的に囲繞して密閉している。
【0048】
ここで、第1角度センサ44と第2角度センサ45の相互の位相の進行方向を検出することで、ステアリングホイールからの入力であるのか、或いは路面からの逆入力であるのかを精度良く検出することができる。
【0049】
また、
図2、
図3からわかるように、第1電動操舵機構16Lと第2電動操舵機構16Rは、形状的にほぼ同一形状とされており、特に、夫々のハウジング25L、25R、夫々のナット27L、27R、及び夫々のセクタギア32L、32Rは同一形状となっている。このため、部品の共用化を図ることができるので、製造単価を低減することが可能となる。
【0050】
尚、第1ナット27Lと第2ナット27R、および第1セクタギア32Lと第2セクタギア32Rの夫々は、歯の諸元が同じであればよく、他の部分が多少異なっているものであってもよいものである。更に、ハウジング25L、25Rは場合によっては形状が異なる場合もあるが、少なくとも、夫々のナット27L、27R、及び夫々のセクタギア32L、32Rは共用化できるものである。
【0051】
以上のような構成を備える第2電動操舵機構16Rにおいては、第2制御装置22Rからの駆動制御信号(=操舵アシスト力に対応)が第2電動モータ41Rに与えられると、第2電動モータ41Rは第2ウォーム40R、第2ウォームホイール39Rを介して第2出力軸34Rを回転駆動する。第2出力軸34Rが回転されると、第2ボールねじ33Rによって第2ナット27Rが摺動移動して、第2ラック部28Rが第2セクタギア30を回転し、リンク系を介して第2転舵輪10Rに操舵アシスト力を付与することができる。
【0052】
図3に示す第2電動操舵機構16Rにおいては、トルクの検出は第1角度センサ44と第2角度センサ45によって検出しているが、ホール素子を用いても操舵トルクの検出を行なうことができる。
図4は、操舵トルクの検出をホール素子を使用して行なうものであり、基本的には
図3の構成と同様であるので、同じ参照番号については説明を省略する。
【0053】
図4において、第2出力軸34Rと入力軸42の間には永久磁石やホール素子を利用した磁気型トルクセンサ46が設けられており、これによって操舵トルクを検出することができる。もちろん、2個の磁気型トルクセンサを使用すれば、
図3に示した第2電動操舵機構16Rと同様に、入力軸42からの入力か、或いは第2出力軸34Rからの逆入力を検出することが可能である。
【0054】
更に、第2電動操舵機構16Rについては、コラムアシスト型のステアリング装置にも適用することができる。つまり、第2電動操舵機構16Rの第2出力軸34Rを、ステアリングコラムをアシストするように連動させることで、本実施形態と同様にステアリングコラムに操舵力を付与することができるようになる。このような構成を採用すると、キャブオーバー型のトラックのような、運転者の足元スペースが少ない自動車にも適用が可能となり、レイアウト性の向上を図ることができるようになる。
【0055】
次に、第1電動操舵機構16Lの第1電動モータ41Lと、第2電動操舵機構16Rの第2電動モータ41Rの制御について説明する。基本的には、第1電動モータ41Lは第1制御装置22Lによって制御され、第2電動モータ41Rは第2制御装置22Rによって制御されている。
【0056】
図5において、第1制御装置22Lは、自動車の車速を判定するための車速情報が入力される車速判定部50、第1電動モータ41Lのモータ状態信号が入力され、第1電動モータ41Lの故障や異常を判定する第1モータ失陥判定部51L、車速判定部50からの車速情報と、後述する第2制御装置22Rの第2電動モータ失陥判定部51Rからの第2電動モータ失陥情報と、これも後述する第2制御装置22Rのトルク判定部55からのトルク情報が入力され、第1電動モータ41Lの駆動制御量を求める第1電動モータアシスト演算部52L、及び第1電動モータ41Lの駆動制御量がセットされ、第1電動モータ41Lの駆動制御信号を生成する第1電動モータ駆動部53Lから構成されている。
【0057】
ここで、車速判定部50、第1モータ失陥判定部51L、第1電動モータアシスト演算部52Lは、第1マイクロコンピュータ24Lのプログラムによって実行される機能ブロックであり、第1電動モータ駆動部53Lはその出力回路である。これらの機能ブロックの詳細は、
図6に示す制御フローチャートで説明する。
【0058】
また、第2制御装置22Rは、第2電動モータ41Rのモータ情報信号が入力され、第2電動モータ41Rの故障や異常を判定する第2モータ失陥判定部51R、第1角度センサ44と第2角度センサ45のセンサ情報が入力され、操舵輪10L、10Rからの外乱を判定する外乱判定部54、外乱判定部54からの外乱情報、或いは第1角度センサ44と第2角度センサ45のセンサ情報に基づきトルクを判定するトルク判定部55、第1制御装置22Lの第1電動モータ失陥判定部51Lからの第1電動モータ失陥情報と、トルク判定部55からのトルク情報が入力され、第2電動モータ41Rの駆動制御量を求める第2電動モータアシスト演算部52R、及び第2電動モータ41Rの駆動制御量がセットされ、第2電動モータ41Rの駆動制御信号を生成する第2電動モータ駆動部53Rから構成されている。
【0059】
第1制御装置22Lと同様に、第2モータ失陥判定部51R、外乱判定部54、トルク判定部55、及び第2電動モータアシスト演算部52Rは、第2マイクロコンピュータ24Rのプログラムによって実行される機能ブロックであり、第2電動モータ駆動部53Rはその出力回路である。これらの機能ブロックの詳細も、
図6に示す制御フローチャートで説明する。
【0060】
また、第1制御装置22Lと第2制御装置22Rとは通信線で接続されており、第1制御装置22Lのマイクロコンピュータ24L、或いは第2制御装置22Rのマイクロコンピュータ24Rに異常や故障の失陥が生じた時は、もう一方のマイクロコンピュータによって操舵制御を実行する構成となっている。
【0061】
これによって、第1マイクロプロコンピュータ24Lと第2マイクロプロコンピュータ24Rとで、冗長系のステアリングシステムを構成することができ、一方のマイクロプロコンピュータの機能失陥時においても、他方のマイクロコンピュータにおいて継続して操舵制御を実行することができる。更には、正常な方のマイクロコンピュータで演算した駆動制御量を破線矢印で示すように、失陥を生じた方の電動モータ駆動部に送ることで、両方の電動操舵機構を操作することもできるものである。
【0062】
また、第1電動モータ41L、或いは第2電動モータ41Rに異常や故障等の失陥が生じた場合でも、正常な電動モータ側で操舵機能を維持することができる。これによって、第1電動モータ41Lと第2電動モータ41Rとで、冗長系のステアリングシステムを構成することができ、一方の電動モータの失陥時においても他方の電動モータにおいて継続して操舵制御を実行することができるようになる。この場合、失陥を生じた方の減速機構が逆効率の機能を備えている場合は、減速機構とラック部の間で逆効率の機能を解除する機構を設けることができる。
【0063】
次に、第1制御装置24Lと第2制御装置24Rの制御について、
図6に示す制御フローチャートに基づき説明する。尚、この制御フローは所定時間毎に起動されるものであり、例えば、マイクロコンピュータの内臓タイマのコンペアマッチ割り込みによって実行することができる。
【0064】
≪ステップS10≫
ステップS10においては、ステアリングホイール18の回転操作によって操舵トルクの変化があったかどうかがトルクセンサに基づき判断されている。これは、第2電動操舵機構16Rに設けた、第1角度センサ44、及び第2角度センサ45によって、トーションバー41の捩じりを検出することで判断することができる。
【0065】
ステアリングホイール18の回転操作がなく、トルク変化が検出されないと、リターンに抜けて次の起動タイミングを待つことになる。一方、ステアリングホイール18の回転操作が行われ、操舵トルクの変化が検出されると、次のステップS11に移行する。
【0066】
≪ステップS11≫
ステップS11においては、外乱が検出されたかどうかが第1角度センサ44、第2角度センサ45からの情報によって判断されている。ここで、外乱とは操舵輪10L、10Rからの逆入力を示すものであり、これよって、操舵性能が悪影響を受ける恐れが高い。例えば、轍のような路面の形状変化に起因する逆入力があると、ステアリングホイール18の操舵安定性が損なわれるという不具合を生じることがある。これによって、操舵輪10L、10Rの転舵位置(=転舵角)が変動して安定した操舵位置を確保しにくくなる場合がある。
【0067】
外乱は逆入力であるので、入力軸42に設けた第1角度センサ44の位相信号に比べて、第2出力軸34Rに設けた第2角度センサ45の位相信号の方が先行していることを検出することで判断することができる。一方、第2出力軸34Rに設けた第2角度センサ45の位相信号に比べて、入力軸42に設けた第1角度センサ44の位相信号の方が先行していることを検出すると、ステアリングホイール18による正規の回転操作であることを判断することができる。
【0068】
外乱を検出したと判断されるとステップS12に移行し、外乱を検出しないと判断されるとステップS13に移行する。
【0069】
≪ステップS12≫
ステップS12においては、操舵輪10L、10Rに外乱による機械的な衝撃等が作用しても転舵位置が変動しないように、第1電動操舵機構16Lの第1電動モータ41Lの現在の転舵位置を保持する駆動制御量であるモータトルク指令値を演算する。つまり、操舵輪10L、10Rに路面の轍や砂利等から衝撃が加わっても、操舵輪10L、10Rの転舵位置が変動しないように、第1電動操舵機構16Lによって現在の転舵位置を保持するものである。モータトルク指令値が求まるとステップS14に移行する。
【0070】
≪ステップS13≫
ステップS13においては、ステップS12で演算されたモータトルク指令値を第1電動モータ駆動部53Lにセットし、続いて第1電動モータ41Lに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。
【0071】
このように、ステップS11、S12、S13の夫々の制御ステップを実行することによって、路面からの外乱に対して操舵輪10L、10Rの転舵位置を保持することができるので、安定した操舵制御を実行することができる。
【0072】
また、トーションバー43より上流側(ステアリングホイール側)と下流側(転舵輪側)の角度の位相の進み具合を比較することで、ステアリングホイールからの入力であるのか、路面からの逆入力(外乱)であるかを、精度よく判断することができる。
【0073】
ステップS13による第1電動モータ41Lの駆動制御が実行されるとリターンに抜けて次の起動タイミングを待つことになる。
【0074】
≪ステップS14≫
ステップS11に戻り、ステップS11で外乱を検出しない場合はステアリングホイール18の正規の回転操作であると判断され、ステップS14においては、第1電動操舵機構16Lと第2電動操舵機構16Rの状態信号を検出したかどうかを判断する。例えば、第1電動モータ41Lや第2電動モータ41Rの動作信号を監視しておき、これらの動作信号の欠落や異常信号の出現で、第1電動操舵機構16Lと第2電動操舵機構16Rの異常や故障の失陥状態を判断することができる。
【0075】
更には、第1マイクロコンピュータ24L、24Rは、相互に監視してその正常性を判断する、或いは別の監視コンピュータによって正常性を判断することができるので、この判断もステップS14の失陥判断と見做すことができる。
【0076】
そして、第2電動操舵機構16Rに失陥が生じていると判断されるとステップS15に移行し、第1電動操舵機構16Lに失陥が生じていると判断されるとステップS17に移行する。一方、第1電動操舵機構16L、及び第2電動操舵機構16Rの両方に失陥が生じていない、つまり正常と判断されるとステップS19に移行する。
【0077】
≪ステップS15≫
ステップS15においては、第2電動操舵機構16Rに失陥が生じていると判断されているので、ステアリングホイール18の操作量に対応した検出トルクから、第1電動操舵機構16Lの第1電動モータ41Lの駆動制御量であるモータトルク指令値を演算する。つまり、ステアリングホイール18の操作量に対応した操舵アシスト力を求めて、第1電動モータ41Lによる操舵アシストを実行するものである。
【0078】
この場合、第2電動モータ16Rが失陥しているので、この分だけ操舵アシスト力が弱くなるので、第1電動モータ39Lのモータトルク値は大きく設定されても良い。尚、この時には、第2電動モータ41Rには、駆動制御信号が供給されないように第2電動モータ駆動部53Rの動作を禁止することも可能である。検出トルクに基づいたモータトルク指令値が求まるとステップS16に移行する。
【0079】
≪ステップS16≫
ステップS16においては、ステップS15で演算されたモータトルク指令値を第1電動モータ駆動部53Lにセットし、続いて第1電動モータ41Lに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。
【0080】
このように、ステップS14、S15、S16においては、第1電動モータ41Lと第2電動モータ41Rとで冗長系を形成しており、第2電動モータ41Rの失陥時においては、第1電動モータ41Lによって継続して操舵アシスト力の付与を行うことができる。更に、第1マイクロコンピュータ24Lと第2マイクロコンピュータ25Rも冗長系を形成することで、第2マイクロコンピュータの失陥時においても、第1マイクロコンピュータ24Lによって継続して操舵アシスト力の付与を行うことができる。
【0081】
ステップS16による第1電動モータ41Lの駆動制御が実行されるとリターンに抜けて次の起動タイミングを待つことになる。
【0082】
≪ステップS17≫
ステップS14に戻り、第1電動操舵機構16Lに失陥が生じていると判断されるとステップS17に移行する。ステップS17においては、第1電動操舵機構16Lに失陥が生じていると判断されているので、ステアリングホイール18の操作量に対応した検出トルクから、第2電動操舵機構16Rの第2電動モータ41Rの駆動制御量であるモータトルク指令値を演算する。つまり、ステアリングホイール18の操作量に対応した操舵アシスト力を求めて、第2電動モータ41Rによる操舵アシストを実行するものである。
【0083】
この場合も、第1電動モータ16Lが失陥しているので、この分だけ操舵アシスト力が弱くなるので、第2電動モータ39Rのモータトルク値は大きく設定されても良い。
尚、この時には、第1電動モータ41Lには、駆動制御信号が供給されないように第1電動モータ駆動部53Lの動作を禁止することも可能である。検出トルクに基づいたモータトルク指令値が求まるとステップS18に移行する。
【0084】
≪ステップS18≫
ステップS18においては、ステップS17で演算されたモータトルク指令値を第2電動モータ駆動部53Rにセットし、続いて第2電動モータ41Rに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。
【0085】
このように、ステップS14、S17、S18においても、第1電動モータ41Lと第2電動モータ41Rとで冗長系を形成しており、第1電動モータ41Lの失陥時においては、第2電動モータ41Rによって継続して操舵アシスト力の付与を行うことができる。更に、第1マイクロコンピュータ24Rと第2マイクロコンピュータ25Rも冗長系を形成することで、第1マイクロコンピュータ24Lの失陥時においても、第2マイクロコンピュータ24Rによって継続して操舵アシスト力の付与を行うことができる。
【0086】
ステップS18による第2電動モータ41Rの駆動制御が実行されるとリターンに抜けて次の起動タイミングを待つことになる。
【0087】
≪ステップS19≫
ステップS14に戻り、第1電動操舵機構16L、及び第2電動操舵機構16Rの両方に失陥が生じていない(=正常)と判断されると、ステップS19に移行する。ステップS19では、検出操舵トルクが所定操舵トルクT1より大きいかどうかが判断されている。この判断はステアリングホイール18が大きく回転操作されて自動車を旋回する場合に該当している。このステップS19で、検出操舵トルクが所定操舵トルクT1より大きいと判断されるとステップS20に移行し、検出操舵トルクが所定操舵トルクT1より小さいと判断されるステップS23に移行する。
【0088】
≪ステップS20≫
ステップS20においては、ステアリングホイール18の回転方向である転舵方向と同じ方向に向けて、検出操舵トルクに対応した第1電動モータ41L、及び第2電動モータ41Rの駆動制御量であるモータトルク指令値を演算する。つまり、ステアリングホイール18の操作量に対応した操舵アシスト力を求めて、第1電動モータ41L、第2電動モータ41Rによる操舵アシストを実行するものである。この場合、第1電動モータ41L、及び第2電動モータ41Rのモータトルク値は同じ値である。夫々の電動モータ41L、41Rのモータトルク指令値が演算されると、ステップS21に移行する。
【0089】
≪ステップS21≫
ステップS21においては、ステップS20で演算されたモータトルク指令値を第2電動モータ駆動部53Rにセットし、続いて第2電動モータ41Rに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。ここで、本実施形態では第2電動操舵機構16Rの方が第1電動操舵機構16Lより先に操舵アシスト力を与えるように制御されている。ステップS21によって第2電動操舵機構16Rが駆動、制御されるとステップS22に移行する。
【0090】
≪ステップS22≫
ステップS22においては、ステップS20で演算されたモータトルク指令値を第1電動モータ駆動部53Lにセットし、続いて第1電動モータ41Lに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。上述の通り、本実施形態では第1電動操舵機構16Lが第2電動操舵機構16Rより後に操舵アシスト力を与えるように制御されている。
【0091】
ステップS21、S22の制御ステップを実行することによって、操舵輪10L、10Rの転舵位置を保持しながら、路面からの外乱を抑制するように操舵輪10L、10Rの操舵アシストを行なうことができ、路面からの外乱の侵入に対して、操舵輪10L、10Rが影響を受け難い安定した操舵制御を行うことができる。ここで、第2電動操舵機構16Rと第2電動操舵機構16Lの操舵アシスト力を付加する時間間隔は、夫々の操舵アシスト力の付加に対して、運転者が違和感を感じない程度の時間に設定されるのが望ましい。
【0092】
尚、外乱は、自動車が轍や砂利道等の荒れた路面を走行する際に路面から操舵輪へ入力される高周波振動である。このため外乱の有無の検出は、例えば、トルクセンサの出力信号のうち、特定周波数信号(所定周波数以上の信号)が検出された場合に、外乱が生じていると判断することができる。
【0093】
或いは、ヨーレートセンサの出力信号にもとづき判断することができる。また、カメラが撮像した路面の画像の振動に基づき判断することもできる。更に、トルクセンサのトーションバーの上流側(ハンドル側)の角度信号と下流側(操舵輪側)の角度信号の振動の位相に基づき、下流側の角度信号が上流側の角度信号に先行している場合に、外乱が生じていると判断することができる。
【0094】
このようなステップS20、S21、S22の制御ステップの実行によって、ステアリングホイール18に繋がっている第2電動操舵機構16Rが先行して駆動制御されることで、運転者はステアリング装置が操舵操作に反応していることを容易に感じることができる。また、第1電動モータ41Lが第2電動モータ41Rの駆動制御に遅れて応答することで、ステアリング装置の安定性を向上させることができる。
【0095】
また、自動車を大きく旋回する場合においては、大きな操舵アシスト力が必要とされるので、第1電動モータ41Lと第2電動モータ41Rの両方を駆動制御することにより、操舵応答性の改善と操舵力不足の抑制を図ることができる。
【0096】
ステップS22による第1電動モータ41Lの駆動制御が実行されるとリターンに抜けて次の起動タイミングを待つことになる。
【0097】
≪ステップS23≫
ステップS19に戻り、ステアリングホイール18の操作量が小さく、検出操舵トルクが所定操舵トルクT1より小さいと判断されると、ステップS23に移行する。このステップS23は、自動車の車速を判断しており、車速が所定車速V1より遅い場合(低速走行)は、ステップS24に移行し、車速が所定車速V1より速い場合(高速走行)は、ステップS26に移行する。
【0098】
≪ステップS24≫
ステップS24においては、自動車の速度が遅いため、後述する自動車の速度が速いときに生じる支障を考慮せず、また、ステップS19から操舵アシスト力はそれほど大きくする必要性は少ないため、ステアリングホイール18側と連動した第2電動操舵機構16Rだけで操舵アシスト力を付加する構成としている。したがって、ステップS24では、ステアリングホイール18の操作量に対応した検出トルクから、第2電動操舵機構16Rの第2電動モータ41Rの駆動制御量であるモータトルク指令値を演算する。第2電動モータ41Rのモータトルク指令値が演算されると、ステップS25に移行する。
【0099】
≪ステップS25≫
ステップS25においては、ステップS24で演算されたモータトルク指令値を第2電動モータ駆動部53Rにセットし、続いて第2電動モータ41Rに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。
【0100】
このように、ステアリングホイール18の操作量が小さく、しかも自動車の速度が遅い場合は、第2電動操舵機構16Rだけで操舵アシスト力を付加する構成としている。これによって、電気エネルギーの消費量を少なくでき、結果的に燃料消費量を少なくすることができる。
【0101】
ステップS25による第2電動モータ41Rの駆動制御が実行されるとリターンに抜けて次の起動タイミングを待つことになる。
【0102】
≪ステップS26≫
ステップS23に戻り、自動車の車速が所定車速V1より速いと判断されているので、ステップS26においては、第2電動モータ41Rのモータトルク指令値を演算する。このモータトルク指令値は、自動車の速度が速い高速走行であるため、操舵アシスト力は転舵位置を強く維持できる値であることが必要となる。これは、車速が速いので転舵位置が変動すると、自動車が蛇行走行を生じるといった支障をきたす恐れがあるためである。したがって、先ず、ステップS26では、操舵アシストに必要な第2電動モータ41Rの操舵アシスト力を求めている。第2電動モータ41Rのモータトルク指令値が演算されると、ステップS27に移行する。
【0103】
≪ステップS27≫
ステップS27においては、第1電動モータ41Lに対して、操舵輪10L、10Rの転舵位置を保持して蛇行走行が生じない、操舵アシスト力を得ることができるモータトルク指令値を演算する。ここで、第1電動モータ41Lのモータトルク指令値は、第2電動モータ41Rのモータトルク指令値より小さく設定されている。第1電動モータ41Lのモータトルク指令値が演算されると、ステップS28に移行する。
【0104】
≪ステップS28≫
ステップS28においては、ステップS26で演算されたモータトルク指令値を第2電動モータ駆動部53Rにセットし、続いて第2電動モータ41Rに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。第2電動モータ41Rのモータトルク指令値を第2電動モータ駆動部53RにセットするとステップS29に移行する。
【0105】
≪ステップS29≫
ステップS29においては、ステップS27で演算されたモータトルク指令値を第1電動モータ駆動部53Lにセットし、続いて第1電動モータ41Lに駆動電流を供給して所定のトルクを発生させるようにしている。この場合は、上述の通り、第1電動モータ41Lのモータトルクは、第2電動モータ41Rのモータトルクより小さいものとなる。ステップS29による第1電動モータ41Lの駆動制御が実行されるとリターンに抜けて次の起動タイミングを待つことになる。
【0106】
ステップS26、S27、S28、S29によると、高速走行時における操舵の安定性を向上させることができ、また、第1電動モータ41Lと第2電動モータ41Rの操舵アシスト力が異なるため、両者の動きの発散が抑制され、操舵操作のしっかり感を出すことができる。
【0107】
以上述べた通り、本発明によれば、第1電動操舵機構に第1モータアクチュエータを備え、第2電動操舵機構に第2モータアクチュエータを備え、これらを制御装置によって個別に制御する構成とした。これによれば、第1電動操舵機構と、第2電動操舵機構の夫々について、異なる制御を行うことで任意の操舵制御性を与えることができ、操舵性を向上させることができる。更に、モータアクチュエータによって操舵アシスト力を与える構成であるため、応答性が速く、上述の操舵制御性を更に向上することが可能となる。
【0108】
尚、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。