【実施例】
【0068】
修飾された(保護された)ヌクレオチドの合成−実施例1〜6
【0069】
実施例1−NH
2−dTTP−ニトロB−ビオ(
図5)の合成
【0070】
ステップA1:Et
3N(トリエチルアミン)((2.2ml)、DMAP(4−ジメチルアミノピリジン)((175mg)を2’−デオキシチミジンのピリジン溶液(5g)に加えた後、DMTCl(塩化4,4’−ジメトキシトリチル)((5.25g)を加え、室温で一晩撹拌した。その後Et
3N(2.4ml)及びMsCl(メタンスルホニルクロリド)(1.27ml)を混合物に加えた。室温で2時間培養後、混合物を酢酸エチルで濾過し洗浄した。濾液を濃縮しエタノール(75ml)に溶解させ、NaOH(1モル)を加えた。1.5時間還流後、混合物を室温に冷却し、HCl(1モル)を加えた。ロータリーエバポレータを用いてエタノールを留去し、残渣をCH
2Cl
2で抽出した。シリカゲルカラムにより精製して生成物dTTP−A1を得た。
【0071】
ステップA2:dTTP−A1(2.237mmol)、トリフェニルホスフィン(2.1g)及びN−ヒドロキシフタルイミド(1.3g)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液にN,N’−ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.75ml)を0℃で加えた。室温で一晩再加熱後、反応液を水(0.3ml)で処理し、溶媒を減圧雰囲気下で留去した。不純物の大部分をクロマトグラフィによって除去して生成物dTT−A2を得た。
【0072】
ステップA3:1当量の化合物dTT−A2に10当量のLiHを含むDMF溶液を室温で加えた。混合物を30分間反応させた。3−アミノ−4−(ブロモメチル)−5−ニトロフェニルビオチンを加えて反応を進め、混合物を数時間撹拌した。これにより生成物dTT−A3を得た。
【0073】
ステップA4:化合物dTTP−A3をメタノールで再懸濁させ、濃塩酸水溶液で処理した。反応液を−20℃で一晩冷却して生成物dTTP−A4を得た。
【0074】
ステップA5:2−クロロ−4H−1,2,3−ベンゾジオキサホスホリン−4−オン(130mg)のジオキサン(1.3ml)溶液を、5’−OHヌクレオシド類似体dTTP−A4((425mg)のピリジン(2ml)及びジオキサン(1.7ml)溶液に加えた。混合物を室温で20分間放置した。反応液に、トリブチルアンモニウムピロリン酸塩(1.4mmol)のDMF溶液とトリブチルアミン(3.2mmol)との混合物を加えた。20分後、ヨウ素(180mg)及び水(0.28ml)のピリジン(14ml)溶液を加えた。30分後、5%Na
2SO
3水溶液を加えて反応を停止させた。溶媒を減圧雰囲気下で留去した。残渣に水(25ml)及びCH
3CN(20ml)を加えた。混合物を濾過後逆相HPLCで精製して、三リン酸塩化合物、すなわち本例ではdTTP−A5を得た。
【0075】
ステップA6:冷温のメチルヒドラジン(0.385ml)を化合物dTTP−A5(3.725mmol)の無水CH
3Cl
2溶液に−5℃で加えた。10分後、1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソフサリジンの沈殿物が形成された。混合物を室温で1時間撹拌した。沈殿物を濾去し、CH
2Cl
2で洗浄した。その後、濾液をロータリーエバポレータで濃縮し、クロマトグラフィで精製して生成物NH
2−dTTP−ニトロB−ビオを得た。
【0076】
実施例2−NH
2−dGTP−ニトロN−ビオ(
図6)の合成
ステップB1:tert−ブチルジメチルシリルクロリド(2.4mmol)を、無水DMF中に1.845mmolの2’−デオキシグアニンと326mgのイミダゾールを含む撹拌溶液に加えた。反応液を室温で20時間撹拌し培養した。溶媒を減圧雰囲気下で除去し、その後残渣をクロマトグラフィで精製して生成物dGTP−B1を得た。
【0077】
ステップB2:dGTP−B1(2.237mmol)、トリフェニルホスフィン(2.1g)及びN−ヒドロキシフタルイミド(1.3g)のテトラヒドロフラン(50ml)溶液にN,N’−ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.75ml)を0℃で加えた。室温で一晩再加熱後、反応液を水(0.3ml)で処理し、溶媒を減圧雰囲気下で留去した。不純物の大部分をクロマトグラフィで除去して生成物dGTP−B2を得た。
【0078】
ステップB3:化合物dGTP−B2(3.785mmol)をピリジン(10ml)を用いて減圧雰囲気下で気化させることにより数回乾燥させた。残渣をCH
2Cl
2(12.5ml)に溶解させた。ジイソプロピルエチルアミン(9mmol)及び6−アミノ−4,5−ビス(ヨードキシ)−3−ニトロナフタレン−1−イル−5−ビオチン(7.57mmol)を加えた。反応終了後、混合物をCH
2Cl
2(100ml)で希釈し、その後有機相を重炭酸ナトリウム(50ml)及び水(50ml)で洗浄した。その後得られた残渣を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を減圧雰囲気下で留去し、クロマトグラフィで精製して生成物dGTP−B3を得た。
【0079】
ステップB4:化合物dGTP−B3(3.75mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド)(1モル)のTHF溶液で処理した。約2時間撹拌後、反応を停止させた。混合物をCH
2Cl
2で抽出し、クロマトグラフィで精製して生成物dGTP−B4を得た。
【0080】
ステップB5:5’−OHヌクレオシド類似体((425mg)を実施例1のステップA5と同様に処理した。得られた混合物を濾過後、逆相HPLCで精製して三リン酸塩合成物、本例ではdGTP−B5を得た。
【0081】
ステップB6:冷温メチルヒドラジン(0.385ml)を化合物dGTP−B5(3.725mmol)の無水CH
2Cl
2溶液に−5℃で加えた。10分後、1,2−ジヒドロ−4−ヒドロキシ−2−メチル−1−オキソフサリジンの沈殿物が形成された。混合物を室温で1時間撹拌した。沈殿物を濾去し、CH
2Cl
2で洗浄した。その後濾液をロータリーエバポレータで濃縮し、クロマトグラフィで精製して生成物NH
2−dGTP−ニトロN−ビオを得た。
【0082】
実施例3−FA−ビオ−dNTP(
図7)の合成
ステップC1:ω1−ビオチンノナン酸(1モル、100μl)のDMF溶液とカルボニルジイミダゾール(1モル、100μl)のDMF溶液とを混合した。室温で30秒放置してイミダゾリドを得た。次いで、混合物にジオキシリボヌクレオチド 5’−三リン酸(50mM、100μl)の水溶液を加えた。反応液を室温で12時間放置して生成物を得た。次いで、反応生成物をアセトンで沈殿後水に溶解させ、クロマトグラフィで精製して生成物FA−ビオ−dNTPを得た。
【0083】
実施例4−化合物dATP−ニトロB−ビオ(
図8)の合成
ステップD1:Et
3N(2.2ml)及びDMAP(175mg)を2’−デオキシアデニン(5g)のピリジン溶液に加え、その後DMTCl(5.25g)を加えた。混合物を室温で一晩反応させた。次いで、混合物にEt
3N(2.4ml)及びMsCl(1.27ml)を加えた。室温で2時間培養後、混合物を濾過した後、濾液を酢酸エチルによって洗浄した。濾液を濃縮しエタノール(75ml)に溶解し、NaOH(1モル)を加えた。1.5時間還流後、混合物を室温に冷却し、HCl(1モル)を加えた。エタノールはロータリーエバポレータを用いて留去し、残渣をCH
2Cl
2で抽出した。抽出物をシリカゲルカラムで精製して生成物dATP−D1を得た。
【0084】
ステップD2:tert−ブチルジメチルシリルクロリド(2.4mmol)を、撹拌されている、dATP−D1(1.845mmol)及びイミダゾール(326mg)の無水DMF溶液に加えた。反応液を撹拌しながら室温で20時間培養した。溶媒を減圧留去し、その後残渣をクロマトグラフィで精製して生成物dATP−D2を得た。
【0085】
ステップD3:化合物dATP−D2をメタノールで再懸濁させ、濃塩酸水溶液で処理した。溶液を、−20℃で一晩冷却して生成物dATP−D3を得た。
【0086】
ステップD4:5’−OHヌクレオシド類似体(425mg)を実施例1のステップA5と同様に処理した。得られた混合物を濾過後、逆相HPLCで精製して三リン酸塩合成物、本例ではdATP−D4を得た。
【0087】
ステップD5:化合物dATP−D4(3.1μmol)のNaHCO
3(0.1モル、200μl)溶液(pH:8.0)を、2,2−tert−ブチル−1−(2−ニトロ−4−ビオチン)フェニル)ヘキシル(2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)炭酸塩(3.4μmol)のジメチルホルムアミド(200μl)溶液と混合した。反応液を室温で一晩放置して生成物dATP−D5を得た。(Olejnik et al.,PNAS,1995,Vol 92,7590−7594)。
【0088】
ステップD6:化合物dATP−D5(3.75mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド)(1モル)のTHF溶液で処理した。約2時間撹拌後、反応を停止させた。混合物をCH
2Cl
2で抽出し、クロマトグラフィで精製して生成物dATP−ニトロB−ビオを得た。。
【0089】
実施例5−化合物dCTP−ニトロB−ビオ(
図9)の合成
ステップE1:Et
3N(2.2ml)及びDMAP(175mg)を2’−デオキシシチジン(5g)のピリジン溶液に加え、次いでDMTCl(5.25g)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、Et
3N(2.4ml)及び(1.27ml)MsClを混合物に加えた。室温で2時間培養後、混合物を酢酸エチルによって濾過後、洗浄した。濾液を濃縮しエタノール(75ml)に溶解させ、NaOH(1モル)を加えた。1.5時間還流後、混合物を室温に冷却し、HCl(1モル)を加えた。エタノールはロータリーエバポレータを用いて留去し、残渣をCH
2Cl
2で抽出した。次いで、シリカゲルカラムで精製して生成物dCTP−E1を得た。
【0090】
ステップE2:tert−ブチルジメチルシリルクロリド(2.4mmol)をdCTP−E1(1.845mmol)の撹拌溶液及びイミダゾール(326mg)の無水DMF溶液に加えた。反応液を室温で20時間撹拌し培養した。溶媒を減圧留去し、その後残渣をクロマトグラフィで精製して生成物dCTP−E2を得た。。
【0091】
ステップE3:化合物dCTP−E2を無水エタノールに溶解させ、0℃まで冷却した。等モルの2,2−tert−ブチル−1−(2−ニトロ−4−ビオチン)フェニル)プロピルフェニル炭酸塩の無水エタノール溶液を滴下した。混合物を室温で一晩撹拌した。溶液を濾過し、水で洗浄し、CH
2Cl
2で抽出して生成物dCTP−E3を得た。
【0092】
ステップE4:化合物dCTP−E3をメタノールで再懸濁させ、濃塩酸水溶液で処理した。反応液を−20℃で一晩冷却して生成物dCTP−E4を得た。
【0093】
ステップE5:5’−OHヌクレオシド類似体(425mg)を実施例1のステップA5と同様に処理した。得られた混合物を濾過後、逆相HPLCで精製して三リン酸塩合成物、本例ではdCTP−E5を得た。
【0094】
ステップE6:化合物dCTP−E5(3.75mmol)をTHF(20ml)に溶解させ、TBAF(テトラ−n−ブチルアンモニウムフルオリド)(1モル)のTHF溶液で処理した。約2時間撹拌後、反応を停止させた。混合物をCH
2Cl
2で抽出し、クロマトグラフィで精製して生成物dCTP−ニトロB−ビオを得た。。
【0095】
実施例6−FA−Cat−dNTP(
図16)の合成
ステップF1:修飾子カテコールエステル(100μl)のDMF溶液(1モル)をジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(1モル、110μl)及び4−(ジメチルアミノ)ピリジン(100%、5μl)のDMF溶液と混合した。混合物を0℃で5分間培養した。次いでデオキシリボヌクレオチド5’−三リン酸(50mM、500μl)のDMF溶液を混合物に加えた。室温で3時間放置し生成物を得た。次いで得られた生成物をアセトンで沈殿させ、水に溶解させ、クロマトグラフィで精製して生成物FA−Cat−dNTPを得た。
【0096】
脱保護
ヌクレオチドの核酸鎖への添加後に実施した以下の実施例7〜11により、前記分子の脱保護の実施例、すなわち修飾基の除去を説明する。
【0097】
実施例7−重合ヌクレオチドNH
2−dT−ニトロB−ビオ(
図10)の脱保護
複数の修飾基の切断を以下のプロセスにおいて、同時に実施した。化合物NH
2−dT−ニトロB−ビオの20mM水溶液を350〜700mMのNaNO
2及び1モルのNaOAcを含む溶液(pH:5.5)で処理した。波長365ナノメートルの紫外線を照射し、室温で1〜2分間培養後、1モルのリン酸塩バッファ(pH:7.0)を加えて反応を停止させ、照射を停止した。脱保護反応液はdTとした。
【0098】
実施例8−重合ヌクレオチドNH
2−dG−ニトロN−ビオ(
図11)の脱保護
複数の修飾基の切断を以下のプロセスにおいて同時に実施した:NH
2−dG−ニトロN−ビオの20mM水溶液を350〜700mMのNaNO
2及び1モルのNaOAcを含む溶液(pH:5.5)で処理した。波長365ナノメートルの紫外線を照射し、室温で1〜2分間培養後、1モルのリン酸塩バッファ(pH:7.0)を加えて反応を停止させ、照射を停止した。脱保護反応液はdGとした。
【0099】
実施例9−重合ヌクレオチドFA−ビオ−dN型(
図12)の脱保護
3’−OH端に担持された修飾基の切断を、1〜100mMのアンモニア水溶液中におけるエステル官能基の加水分解(室温、1時間)により実施した。これによりdN型の生成物を得た。
【0100】
実施例10−光切断(
図13)による重合ヌクレオチドdA−ニトロB−ビオの脱保護
窒素塩基に担持された修飾基の切断を光切断により実施した。化合物dA−ニトロB−ビオに対し、室温で波長300〜370ナノメートルのUV源からの紫外線照射を行った。UV源からの紫外線照射を30〜300秒後に停止させ、生成物dAを得た。。
【0101】
実施例11−化学的切断(
図14)による重合ヌクレオチドdC−ニトロB−ビオールの脱保護
窒素塩基に担持された修飾基の切断を化学的切断により実施した。化合物dC−ニトロB−ビオ(0.01mmol)をエタノール(0.1ml)中に溶解させた。テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム(0.02mmol)のエタノール溶液を加えた。混合物を20分間撹拌後、混合物に二水素ガスが泡立った。これにより生成物dCを得た。
【0102】
固定パラジウムを使用し1ml/分の水素気流下でTHF溶液を用いる同様の手順は、小林らによる記載(Science,2004,304,1305−1308)があり、
変形例として使用することができる。。
【0103】
実施例12−核酸合成のための本発明のヌクレオチドの使用
【0104】
本発明の主題である修飾ヌクレオチドは、特許出願FR14−53455に記載の方法により鋳型鎖の非存在下における核酸の酵素的合成に有利に用いることができる。修飾ヌクレオチド添加ステップの実施にあたり選択される酵素としては、市販のTerminal Deoxynucleotidyl Transferase又はTdTがある。
【0105】
合成開始に用いるプライマには以下のものがある:
【0106】
【化4】
【0107】
実施例1に従って調製されるNH
2−dTTP−ニトロB−ビオを、修飾ヌクレオチドとして使用した。この修飾ヌクレオチドにおいては、Tを上記配列番号1に加えることができる。後述するように、各伸長ステップにおいて、1つのヌクレオチドだけ各DNA断片に対し加えられることとしている。
【0108】
以下の配列を有する「捕獲」断片:
【0109】
【化5】
【0110】
であってガラスプレートに3’末端において担持されたものを、配列1のプライマを捕獲するために使用した。このガラスプレートは、容積50μlの平行六面体の反応室の基部を構成する。捕獲の実施には、以下を含む緩衝液を使用した:20mMのトリス−HCl(pH=7.5)、500mMのLiCl、及び2pmolのプライマを加えた1mMのEDTA。捕獲ステップは室温で30分間実施した。プライマの捕獲後、プレートは、以下を含む緩衝液(50μl)を加えてその後除去することによって3回洗浄した:20mMのトリス−HCl(pH=7.5)、200mMのLiCl及び1mMのEDTA。
【0111】
合成は、反応室に対する以下の試薬の投入により開始した:TdT(50U)、1モルのカリウムカコジル酸塩、125mMのトリス−HCl、0.05%(v/v)トリトンX−100、5mMのCoCl
2(pH:7.2)。次いで、遊離性NH
2−dTTP−ニトロB−ビオヌクレオチド(100μM)の対イオン溶液を添加した。最後に、付加反応を開始するために、2μMの酵素を加えた。総反応量は、50μlであった。混合物を37℃で5分間培養した。
【0112】
合成反応終了後、プレートを、以下を含む緩衝液によって3回洗浄した:20mMのトリス−HCl(pH=7.5)、200mMのLiCl及び1mMのEDTA。これは、投入するNH
2−dTTP−ニトロB−ビオヌクレオチドの余剰分を確実に除去し、反応室と固体担持体とに未反応のヌクレオチドが残留しないようにする効果を有する。洗浄終了後、20mMのトリス−HClバッファ(pH=7.5、50μl)を反応室に加え、温度を90℃に上昇させた。これは、修飾ヌクレオチドNH
2−dTTP−ニトロB−ビオを組み込んだ断片の分離を確実にする効果を有する。断片を回収し、新しいエッペンドルフ管に移した。
【0113】
被保護ヌクレオチドNH
2−dTTP−ニトロB−ビオを組み込んだDNA断片は、その後以下の手順により精製した。製造業者の手順に従って調製したストレプトアビジン(ThermoScientific社製)でコーティングされた市販の磁気ビーズを、前記反応混合物(50μl)に加えた。室温で1時間培養後、磁気ビーズを適切な磁石を用いて回収した。次いで、上澄みを除去した。次いで以下を含む洗浄バッファによりビーズを3回洗浄した:トリスバッファ(pH:7.2、0.1%Tween−20を含む)。
【0114】
修飾ヌクレオチドNH
2−dTTP−ニトロB−ビオを組み込んだDNA断片が結合した磁気ビーズを、pH:5.5で、350〜700mMのNaNO
2及び1モルのNaOAcを含む溶液中に再懸濁した。混合物をUV(365ナノメートル)に曝露し、室温で1〜2分間培養した。リン酸塩バッファ(pH:7.0、1モル)を加え、照射を停止して反応を停止させた。この操作により、担持体(ビーズ)からのDNA断片の「分離」が可能となった。
【0115】
磁気ビーズを適切な磁石により回収した。上澄みを回収し、99%以上のケースで配列番号1の3’末端にT塩基が正しく組み込まれたか確認するため、電気泳動ゲル及びMALDI−TOF MS分光計を用いて分析した。
【0116】
同様の手順にて新たな伸長ステップをその後必要に応じ実施して良い。
【0117】
実施例13−核酸合成のための本発明のヌクレオチドの使用の他の実施例
本発明の主題である修飾ヌクレオチドは、特許出願FR14−53455に記載の方法により鋳型鎖の非存在下における核酸の酵素的合成に有利に用いることができる。修飾ヌクレオチド添加ステップの実施にあたり選択される酵素としては、市販のTerminal Deoxynucleotidyl Transferase又はTdTがある。
【0118】
合成開始に用いるプライマには以下のものがある:
【0119】
【化6】
【0120】
実施例2に従って調製されるNH
2−dGTP−ニトロB−ビオを修飾ヌクレオチドとして使用した。この修飾ヌクレオチドにおいては、Gを上記配列番号1に加えることができる。後述するように、各伸長ステップにおいて、1つのヌクレオチドだけ各DNA断片に対し加えられることとしている。
【0121】
以下の配列を有する「捕獲」断片:
【0122】
【化7】
【0123】
であってガラスプレートに3’末端において担持されたものを、配列1のプライマを捕獲するために使用した。このガラスプレートは、容積50μlの平行六面体の反応室の基部を構成する。捕獲の実施には、以下を含む緩衝液を使用した:20mMのトリス−HCl(pH=7.5)、500mMのLiCl、及び2pmolのプライマを加えた1mMのEDTA。捕獲ステップは室温で30分間実施した。プライマの捕獲後、プレートは、以下を含む緩衝液(50μl)を加えてその後除去することによって3回洗浄した:20mMのトリス−HCl(pH=7.5)、200mMのLiCl及び1mMのEDTA。
【0124】
合成は、反応室に対する以下の試薬の投入により開始した:TdT(50U)、1モルのカリウムカコジル酸塩、125mMのトリス−HCl、0.05%(v/v)トリトンX−100、5mMのCoCl
2(pH:7.2)。次いで、遊離性NH
2−dGTP−ニトロB−ビオヌクレオチド(100μM)の対イオン溶液を添加した。最後に、付加反応を開始するために、2μMの酵素を加えた。総反応量は、50μlであった。混合物を37℃で5分間培養した。
【0125】
合成反応終了後、プレートを、以下を含む緩衝液によって3回洗浄した:20mMのトリス−HCl(pH=7.5)、200mMのLiCl及び1mMのEDTA。これは、投入するNH
2−dGTP−ニトロB−ビオヌクレオチドの余剰分を確実に除去し、反応室と固体担持体とに未反応のヌクレオチドが残留しないようにする効果を有する。洗浄終了後、20mMのトリス−HClバッファ(pH=7.5、50μl)を反応室に加え、温度を90℃に上昇させた。これは、修飾ヌクレオチドNH
2−dGTP−ニトロB−ビオを組み込んだ断片の分離を確実にする効果を有する。断片を回収し、新しいエッペンドルフ管に移した。
【0126】
被保護ヌクレオチドNH
2−dGTP−ニトロB−ビオを組み込んだDNA断片は、その後以下の手順により精製した。製造業者の手順に従って調製したストレプトアビジン(ThermoScientific社製)でコーティングされた市販の磁気ビーズを、前記反応混合物(50μl)に加えた。室温で1時間培養後、磁気ビーズを適切な磁石を用いて回収した。次いで、上澄みを除去した。次いで以下を含む洗浄バッファによりビーズを3回洗浄した:トリスバッファ(pH:7.2、0.1%Tween−20を含む)。
【0127】
修飾ヌクレオチドNH
2−dGTP−ニトロB−ビオを組み込んだDNA断片が結合した磁気ビーズを、pH:5.5で、350〜700mMのNaNO
2及び1モルのNaOAcを含む溶液の中に再懸濁した。混合物をUV(365ナノメートル)に曝露し、室温で1〜2分間培養した。リン酸塩バッファ(pH:7.0、1モル)を加え、照射を停止して反応を停止させた。この操作により、担持体(ビーズ)からのDNA断片の「分離」が可能となった。
【0128】
磁気ビーズを適切な磁石により回収した。上澄みを回収し、99%以上のケースで配列番号1の3’末端にT塩基が正しく組み込まれたか確認するため、電気泳動ゲル及びMALDI−TOF MS分光計を用いて分析した。
【0129】
同様の手順にて新たな伸長ステップをその後必要に応じ実施して良い。