(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6839717
(24)【登録日】2021年2月17日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】周囲光相殺を備えたバイオセンシングデバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 5/02 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
A61B5/02 310B
【請求項の数】19
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-545431(P2018-545431)
(86)(22)【出願日】2017年2月28日
(65)【公表番号】特表2019-510558(P2019-510558A)
(43)【公表日】2019年4月18日
(86)【国際出願番号】US2017019994
(87)【国際公開番号】WO2017151648
(87)【国際公開日】20170908
【審査請求日】2020年2月10日
(31)【優先権主張番号】15/298,764
(32)【優先日】2016年10月20日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/301,326
(32)【優先日】2016年2月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390020248
【氏名又は名称】日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507107291
【氏名又は名称】テキサス インスツルメンツ インコーポレイテッド
(74)【上記1名の代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】フッサム アーメド
(72)【発明者】
【氏名】ジャガンナサン ヴェンカタラマン
(72)【発明者】
【氏名】サンディープ ケスリマル オスワル
(72)【発明者】
【氏名】アントワーヌ ルルド プラビーン アロール
(72)【発明者】
【氏名】ハリ バブ ティッパナ
(72)【発明者】
【氏名】アナンド ハリラジ ウドゥパ
【審査官】
清水 裕勝
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2016/000986(WO,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0038096(US,A1)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0176944(US,A1)
【文献】
米国特許第05460182(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00−5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体感知装置であって、
光源回路と、
光感知回路と、
前記光感知回路に結合され、前記光感知回路により生成される電流を電圧に変換するように構成されるトランスインピーダンス増幅器と、
前記トランスインピーダンス増幅器に結合され、前記トランスインピーダンス増幅器からの前記電圧をデジタル値に変換するように構成されるアナログデジタルコンバータ(ADC)と、
前記ADCと前記光源回路とに結合されるコントローラであって、
第1の周囲感知フェーズと第2の周囲感知フェーズとが後に続く光源感知フェーズを開始し、前記光源感知フェーズと前記第1の周囲感知フェーズとの間の第1の時間期間が前記第1及び第2の周囲感知フェーズの間の第2の時間期間に等しく、
前記光源感知フェーズにおいて、前記光源回路がイネーブルされる一方で前記ADCからデジタル値を受信し、
前記第1及び第2の周囲感知フェーズの各々において、前記光源回路がディセーブルされる一方で前記ADCからデジタル値を受信し、
前記第1の周囲感知フェーズの間に受信されたデジタル値が前記第2の周囲感知フェーズの間に受信されたデジタル値の閾値内となるまで、前記第1及び第2の時間期間を等しく保つ一方で前記第2の時間期間を反復的に変更する、
ように構成される、前記コントローラと、
を含む、生体感知装置。
【請求項2】
請求項1に記載の生体感知装置であって、
前記光感知回路が単一の光検出器を含む、生体感知装置。
【請求項3】
請求項1に記載の生体感知装置であって、
前記光感知回路が第1の光検出器と第2の光検出器とを含む、生体感知装置。
【請求項4】
請求項3に記載の生体感知装置であって、
腕に着けるバンドと、前記光源回路と前記トランスインピーダンス増幅器と前記ADCと前記コントローラとを収容する筐体とを更に含み、
前記筐体が第1及び第2の表面を含み、前記第1の表面が人の腕に対向して置かれるように構成され、前記第2の表面が前記第1の表面の反対であり、
前記第1の光検出器が前記第1の表面上に配置され、前記第2の光検出器が前記第2の表面上に配置される、生体感知装置。
【請求項5】
請求項1に記載の生体感知装置であって、
前記コントローラが、前記第1及び第2の周囲感知フェーズの間に受信されたデジタル値の間の差の前記コントローラによる演算を通して、前記第1の周囲感知フェーズの間に受信されたデジタル値が前記第2の周囲感知フェーズの間に受信されたデジタル値の閾値内となるかを判定するように更に構成される、生体感知装置。
【請求項6】
請求項5に記載の生体感知装置であって、
前記コントローラが前記差の2乗を演算するように更に構成される、生体感知装置。
【請求項7】
請求項5に記載の生体感知装置であって、
前記コントローラが前記差の絶対値を演算するように更に構成される、生体感知装置。
【請求項8】
請求項5に記載の生体感知装置であって、
前記コントローラが、
第1及び第2の周囲感知フェーズの複数セットを介する間に前記ADCから複数のデジタル値を読み出し、
各第1の周囲感知フェーズと対応する第2の周囲感知フェーズとの間に読み出された前記デジタル値の差の平均を計算する、
ように更に構成される、生体感知装置。
【請求項9】
請求項1に記載の生体感知装置であって、
前記コントローラが、心拍数値と周辺酸素飽和値とパルス遷移時間とのうちの少なくとも1つを判定するように更に構成される、生体感知装置。
【請求項10】
システムであって、
第1の光検出器と、
前記第1の光検出器に結合され、前記第1の光検出器により生成される電流を電圧に変換するように構成される第1のトランスインピーダンス増幅器と、
第2の光検出器と、
前記第2の光検出器に結合され、前記第2の光検出器により生成される電流を電圧に変換するように構成される第2のトランスインピーダンス増幅器と、
前記第1及び第2のトランスインピーダンス増幅器からの電圧を対応するデジタル値に変換するように構成されるアナログデジタルコンバータ(ADC)と、
前記ADCに結合されるコントローラであって、
第1及び第2の周囲感知フェーズの複数のセットの間に光源がディセーブルされる一方で前記ADCからデジタル値を反復的に読み出し、前記第1の周囲感知フェーズが可変時間分離により所与のセットの前記第2の周囲感知フェーズから分離され、前記時間分離が第1及び第2の周囲感知フェーズの各後続のセットに応じて調節され、
周囲感知フェーズの各セットの間に読み出された前記デジタル値の間の差を計算し、
前記計算された差を処理することから周囲光の近似期間を判定し、
前記判定された近似周囲光期間を用いて、前記光源がイネーブルされる光源感知フェーズと、前記光源がディセーブルされる周囲感知フェーズとの時間分離を構成する、
ように構成される、前記コントローラと、
を含む、システム。
【請求項11】
請求項10に記載のシステムであって、
前記コントローラが、前記構成された時間期間により分離された光源及び周囲感知フェーズの間に前記ADCから読み出されたデジタル値を用いて人の生体物理学的パラメータを演算するように更に構成される、システム。
【請求項12】
請求項10に記載のシステムであって、
腕に着けるバンドと、前記光源回路と前記トランスインピーダンス増幅器と前記ADCと前記コントローラとを収容する筐体とを更に含み、
前記筐体が第1及び第2の表面を含み、前記第1の表面が人の腕に対向して置かれるように構成され、前記第2の表面が前記第1の表面の反対であり、
前記第1の光検出器が前記第1の表面上に配置され、前記第2の光検出器が前記第2の表面上に配置される、システム。
【請求項13】
請求項10に記載のシステムであって、
前記コントローラが、最小の計算された差に対応する前記調節された時間期間の判定を介して、前記周囲光の前記期間に近似するように更に構成される、システム。
【請求項14】
請求項13に記載のシステムであって、
前記コントローラが、前記周囲光の前記近似された期間の整数倍数であるように前記時間期間を構成するように更に構成される、システム。
【請求項15】
請求項10に記載のシステムであって、
前記光源回路が発光ダイオード(LED)を含む、システム。
【請求項16】
生体感知装置を較正する方法であって、
複数の反復を実施することであって、各反復が、前記生体感知装置における光源がオフにされる第1の周囲光フェーズの間に周囲光の大きさを測定することと、構成可能な時間遅延の後にまた前記光源がオフにされる第2の周囲光フェーズの間に周囲光の大きさを測定することと、前記測定された大きさの間の差が閾値より大きいと判定することと、前記構成可能な時間遅延を調節することとを含む、前記複数の反復を実施することと、
前記差に基づいて測定時間期間を計算するために前記差が前記閾値より小さくなるまで前記複数の反復を実施することと、
前記測定時間期間に基づいて時間間隔によって分離される測定値を得るために前記生体感知装置を構成することと、
を含む、方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
周囲光と、前記生体感知装置における光源により生成される人からの反射光との測定を用いて、生体物理学的パラメータを演算することを更に含み、
前記測定値が前記測定時間期間に基づいて前記時間間隔により分離される、方法。
【請求項18】
請求項17に記載の方法であって、
前記時間間隔が前記測定時間期間の整数倍数である、方法。
【請求項19】
請求項16に記載の方法であって、
前記差が前記閾値より大きいと判定することが、前記差の絶対値又は2乗を計算することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
幾つかのタイプのバイオセンシングデバイスは、光を生成するフォトダイオード、及び人体で反射された光を検知する光検出器を含む。反射された光から、デバイスは、心拍数などの生物物理学的性質を判定し得る。幾つかのバイオセンシングデバイスは、心拍数を測定する腕時計の形式で提供される。
【発明の概要】
【0002】
記載される例において、バイオセンシングデバイス及び方法が、生物物理学的測定値を行なうために用いられる時間期間を較正する。バイオセンシングデバイスは、光源検知フェーズを開始し、その後、第1の周囲検知フェーズ及び第2の周囲検知フェーズが続く。光源検知フェーズにおいて、バイオセンシングデバイスは、光源回路がイネーブルされる間に光検出器を介する電流を示すデジタル値を受信するように構成される。第1及び第2の周囲検知フェーズの各々において、バイオセンシングデバイスは、光源回路がディセーブルされる間にデジタル値を受信するように構成される。バイオセンシングデバイスは、第1の周囲検知フェーズの間受信されるデジタル値が、第2の周囲検知フェーズの間受信されるデジタル値の閾値内となるまで、反復的にフェーズ間の時間期間を変える。その後、それは、光源検知フェーズ及び周囲フェーズの間に同じ時間分離を適用して、これら2つのフェーズにおける周囲光の大きさを等しくする。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】種々の例に従った光学的バイオセンシングデバイスの一実施例を示す。
【0004】
【
図2】フェーズが周囲光信号光検知フェーズの周期性に整合されない光検知フェーズの一例を示す。
【0005】
【
図3】フェーズが周囲光信号の周期性に整合される光検知フェーズの一例を示す。
【0006】
【0007】
【
図5】連続する周囲光サンプルの差と、周囲光サンプルを分離する時間期間との間の関係を図示する。
【0008】
【
図6】代替の実施例に従った光学的バイオセンシングデバイスのブロック図を図示する。
【0009】
【
図7】腕にはめるデバイスとしての光学的バイオセンシングデバイスの、そのデバイスの筐体の反対の表面にフォトダイオードを備える、一実施例を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
光ベースのバイオセンシングデバイスが本明細書に記載され、このデバイスは、光源及び光検出器を含み、光検出器から読み取り値を得、光源は光源検知フェーズの間イネーブルされ、その後再び周囲検知フェーズの間、光源はディセーブルされる。光源検知フェーズの間測定された光(これは、人で反射された、光源からの適切な波長で反射された光を含み、更に周囲光を含む)から、周囲光周囲検知フェーズの間測定された光を減じることにより、心拍数など、種々の生物物理学的パラメータの任意のものが計算され得る。幾つかの実施例において、光ベースのバイオセンシングデバイスは、腕にはめる時計の形式である。
【0011】
バイオセンシングデバイスにおけるコントローラは、光源をオン及びオフするために信号をアサートし得る。コントローラは、周囲検知フェーズの間、光源をディセーブルし(オフにし)、光源検知フェーズの間、光源をイネーブルする(オンにする)。幾つかの例において、周囲検知フェーズの間、光検出器により検出された光のみが周囲光であり得、光源からの光ではない場合がある。幾つかの場合において、周囲光(例えば、蛍光灯からの光)は、周期的であり、周波数は、周囲光が測定される周囲フェーズが、光源フェーズの間存在した周囲光の量を密に近似することを確実にするため、光源フェーズ測定に近接して従うようにするべきである。しかし、近接配置された光源及び周囲検知フェーズは、デバイスが比較的高い信号帯域幅を有することを必要とし得、これは、一層高いノイズ帯域幅、及び低い信号対雑音(SNR)比となり得る。
【0012】
説明される実施例に従って、コントローラは、連続(back-to-back)周囲検知フェーズの間、検知された光信号の大きさを比較し、周囲光信号の周期性(例えば、期間又は周波数)を判定するため、このような連続周囲検知フェーズ間のタイミングを反復的に変える。ほぼ等しい連続周囲測定値は、連続周囲フェーズが周囲光信号自体の周期性(例えば、期間又は周波数)に整合されることを示す。このタイミング分離は、その後、関連する生物物理学的パラメータを測定するため、光源検知フェーズ及び周囲フェーズの間に設定される。例えば、心拍数の判定の間、バイオセンシングデバイスのコントローラは、光源検知フェーズを開始し、その後、周囲光信号の周期性、又は周囲光信号の周期性の整数倍(2、3、4、...)のいずれかにおいて、周囲検知フェーズを開始する。従って、コントローラは、光源検知フェーズと周囲検知フェーズとの間の間隔が、周囲光信号の周期の期間又は周囲光信号の周期整数倍に対応するように、周囲検知フェーズを開始し得る。測定された周囲信号は、光源検知フェーズの間測定された信号から減じられ、心拍数は、結果の差から計算される。周囲検知フェーズが、周囲光信号の周期の整数倍にほぼ等しく光源検知フェーズから離間されることを確実にすることにより、2つのフェーズにおける周囲信号の強度はほぼ等しくなる。その結果、デバイスは、光源検知フェーズの間測定された光から周囲光の大きさを一層充分に取り除くことが可能である。
【0013】
図1は、種々の実施例に従ったバイオセンシングデバイス100の一例を示す。デバイスは、光源回路110、光検知回路120、及びコントローラ130を含む。幾つかの実施例において、コントローラは、プログラム命令(例えば、ファームウェア)を実行し得る任意のタイプのプロセッサであり得る。命令は、プロセッサ内にあるか又はその他の方式でプロセッサにアクセスし得るメモリにストアされ得る。他の実施例において、コントローラは、本明細書に記載される動作を実施するように事前構成されるディスクリート回路である。
【0014】
光源回路110は、ドライバ114に結合される発光ダイオード(LED)112(又は他のタイプの光源)を含む。ドライバ114は、光を生成するためLED112を介する電流を駆動するために、充分な電圧及び/又は電流を生成する。幾つかの実施例において、LEDは赤外LEDであるが、概してLEDは、心拍数、周辺酸素飽和値、パルス遷移時間などを測定するため、バイオセンシングデバイス100の意図される目的に適した波長の光を生成する。ドライバは、コントローラ130から光制御信号131を受け取る。光制御信号131は、光源回路110をイネーブル及びディセーブルするため2つの論理状態のいずれかにアサートされ得、又は少なくともLED112をオン又はオフさせ得る。光源検知フェーズでは、コントローラ130は、光制御信号131を、ドライバ114にLED112をオンにさせる論理状態にアサートする。周囲検知フェーズでは、コントローラ130は、光制御信号131を、ドライバ114にLED112をオフにさせる反対の論理状態にアサートする。
【0015】
図1の例において光検知回路120は、フォトダイオード122(又はフォトトランジスタ)、トランスインピーダンス増幅器124、及びアナログデジタルコンバータ(ADC)126を含む。一つ又は複数のフィードバック抵抗器R1が、トランスインピーダンス増幅器124の利得を所望のレベルに設定するため含まれ得る。光検出器122上の入射光(これはLED112により生成され、人の腕で反射された光であり得る)は、光検出器122に入射光の大きさに比例する電流を生成させる。トランスインピーダンス増幅器124は、電流を電圧に変換する。その後、ADC126は、トランスインピーダンス増幅器124により生成された電圧をデジタル値に変換する。
【0016】
コントローラ130は、デジタル値を生成するように(即ち、トランスインピーダンス増幅器124からのアナログ電圧をデジタル値に変換する)、及びデジタル値をコントローラ130に提供するように、ADCに指令し得る。代替として、ADC126は、トランスインピーダンス増幅器124からのアナログ電圧を継続的にデジタル化し得、コントローラ130は、必要な場合、電流デジタル値を読む。コントローラ130及び/又はバイオセンシングデバイス100は、本明細書に記載される周囲光相殺手法の一つ又は複数を実装し得る。
【0017】
図2は、周期的周囲光信号150の一例を示す。また、図示されているのは光源検知フェーズ152、第1の周囲検知フェーズ162(AMB)、及び第2の周囲検知フェーズ172(AMB’)である。これらのフェーズの各々において、コントローラは、ADC124からデジタル値を受け取る。光源検知フェーズの間、ADCから読み出されたデジタル値は、LED112がイネーブルされた(オン)一方で、サンプリングされたフォトダイオード(例えば、電圧に変換され、デジタル化される)からの信号である。
図2の例において、デジタル値は、生成され、光源検知フェーズの終わりに読み出されるが、代替として光源検知フェーズの間の任意の時間に得られ得る。デジタル値は測定された光値を表し、VLで示す。後の時間期間(tsepで示す)において、コントローラ130は、第1の周囲検知フェーズ162を実施し、光検知回路120から別のデジタル値を読み、この場合、LED112はディセーブルされる(オフ)。測定された値は、周囲検知フェーズの間に測定された光信号を知らせるためVAとして示す。コントローラは、第1の周囲検知フェーズ162に続くtsep時間期間の後、第2の周囲検知フェーズ172を実装する。第2の周囲検知フェーズの間測定された値はVA’で示す。従って、3つの測定された光信号値、VL、VA、及びVA’、が各測定の間tsepのタイミングに測定される。
【0018】
図2に示すように、tsepの値は、周囲光信号150の周期性(又は期間)に整合せず、その結果、VAの大きさは、VA’の大きさと著しく異なる。更に、周囲検知フェーズは、光源検知フェーズの後、周囲信号サイクルの整数倍実行されないので、測定された周囲信号(VA)の大きさは、光源検知フェーズ152の間、光検出器122へ入射する周囲光信号の大きさを充分に近似しない可能性がある。心拍数又はその他の生物物理学的パラメータの任意の結果の演算は、充分に正確ではない可能性がある。例えば、周囲光におけるトーンは更に、減じられた値(光源検知フェーズ及び周囲フェーズの間)に存在することもでき、心拍数として誤って判定され得る。
【0019】
説明される実施例に従って、コントローラ130は、第1の周囲検知フェーズの間ADC126から受信したデジタル値が、第2の周囲検知フェーズの間受信されるデジタル値の閾値内となるまで、tsepのサイズを反復的に変えるように構成される。比較のために用いられるデジタル値は、複数のサイクルにわたって取られる平均値であり得る。幾つかの実施例において、コントローラは、VAがVA’にほぼ等しくなるまで、tsepのサイズを反復的に増大させる。この結果の一例を
図3に図示する。
図3のプロットは、
図2のものに類似するが、VAがVA’にほぼ等しくなる地点までtsepが増大されている。光源検知フェーズ152が、第1の周囲検知フェーズ162から、周囲光信号150の周期にほぼ等しくなるtsep時間期間だけ分離され、その後、周囲検知フェーズ162の間測定された、測定された周囲信号(VA)の大きさが、光源検知フェーズ152の間、光検出器122へ入射する周囲光信号の大きさにほぼ等しくなる。測定された周囲光値VAは、LED112のみから人で反射される光の大きさに対して、充分に正確な値を生成するため、光源検知フェーズ(VL)の間、測定された光信号から減じられ得る。この後者の値を用いて成される任意の生物物理学的計算は、多くの又は任意の周囲光に基づかない可能性があり、そのため、周囲光は、測定値及び計算の範囲外に除外され内場合よりも正確となる。
【0020】
図4は、種々の実施例に従った方法を図示する。200において、方法は、tsepに対し特定の設定に対してVA及びVA’を測定することを含む。tsepの値は、コントローラ130により実装されるデフォルト値に設定され得る。コントローラ130は、ADC(VA)から第1のデジタル値を、時間tsepの後、第2のデジタル値(VA’)読む。コントローラは、ADC136からVA及びVA’値の複数の対を読み得、平均VA値を生成するためVA値を共に平均し、平均VA’値を生成するためVA’値を共に平均する。
【0021】
202において、その後、コントローラ130は、VA及びVA’値(又は平均された値)間の差を計算し、差が閾値より小さいかを判定する。閾値はコントローラ130において構成される。閾値は比較的小さく、VA及びVA’間の差より小さい値は、VA及びVA’が実質的に等しいと判定されるように充分小さいと考えられる。VA及びVA’が実質的に等しいとき、tsepの値は下にある周囲光信号の周期を表す。
図4の例において、VA及びVA’間の差の絶対値は、閾値と比較される。他の実施例において、コントローラ130は、VA及びVA’間の差の二乗計算し、差の二乗を閾値と比較する。
【0022】
VA及びVA’間の差(その絶対値、差の二乗など)が閾値より大きい場合、204において、コントローラ204は、tsepのサイズを増大させ、制御ループは200に戻り、プロセスが反復する。プロセスは、VA及びVA’間の差が、tsepの値が周囲光信号の周期を近似する閾値より小さくなるまで反復する。tsepのその値は、光源検知フェーズの間のデジタル値、及び光源検知フェーズに続く時間のtsep期間周囲検知フェーズからのデジタル値の取得を介して、生物物理学的パラメータを演算するために用いられる。幾つかの実施例において、周囲検知フェーズは、光源検知フェーズに続く複数のtsep値の整数倍である。
【0023】
図5は、tsepの値を変えることにより分離された連続する周囲光サンプル(VA及びVA’)間の差間の関係を図示する。VA及びVA’間の差が差の絶対値として
図5に図示されるが、代替の表現は、差の二乗を含み得る。tsep(t0)の特定の値において、VA及びVA’間の差は、示されるように最小である。
図4の方法は、202において差値が閾値より小さいか否か判定することを含む。幾つかの実施例において、方法は、tsepの値を一層高い値から一層低い値まで又はその逆にスウィーピングすること、及び、差値(VA-VA’)が最低であるtsepの値を判定することを含み得る。幾つかの実施例において、tsepの所与の値に対するVA及びVA’の各測定は、本明細書において上記したようにコントローラ130により共に平均化される複数の測定値を含む。
【0024】
幾つかの実施例においてノイズの影響を受け難くするため、コントローラは、いずれかの側の近隣の差が所与のtsepにおける差値より大きいtsepの値をtsepの値を判定することにより判定し得る。幾つかの実施例において、コントローラは、近隣の差値が所与のtsepにおける差値より大きいtsepの値を判定する。例えば、nの値は6であり得、6つの近隣の差値(例えば、3つの値240及び3つの値260)が、後続の生物物理学的測定値のために用いられるtsepの値であると判定される250に対応するtsep値に対して値250より大きくすべきであることを意味する。
【0025】
幾つかの実施例において、光学的バイオセンシングデバイスが、複数のフォトダイオードを有し、一つのフォトダイオードが、tsepの値を構成するため、較正目的のために用いられ、他のフォトダイオードが、生物物理学的パラメータを測定するために用いられる。例えば、
図6はバイオセンシングデバイスの一実施例を示し、バイオセンシングデバイスは、光源回路110(本明細書において上記したようにLED112及びドライバ114を含む)、コントローラ130、及び、
図1に示したものと代替の光検知回路320を含む。
図6における光検知回路320は、一対のフォトダイオード322及び332を含む。各フォトダイオードが、対応するトランスインピーダンス増幅器324、334に結合される。フォトダイオード322から生成される電流は、トランスインピーダンス増幅器324によりアナログ電圧に変換され、フォトダイオード332から生成される電流は、トランスインピーダンス増幅器334によりアナログ電圧に変換される。フォトダイオード電流のアナログ電圧表現は、ADC340に提供される。ADC340は、マルチチャネルADCであり得、そのため、トランスインピーダンス増幅器324及び334からの入力のような個々のアナログ入力をデジタル化することが可能であり得る。他の実装は、一つのマルチチャネルADCではなく、個別のADCを含み得る。その上更に、単一のトランスインピーダンス増幅器が、2つのフォトダイオード322、332のために用いられ得る。コントローラ130は、フォトダイオードのいずれかに対してADC340からデジタル値を読み出し得る。
【0026】
本明細書において上記したような一実施例において、バイオセンシングデバイスは、腕時計に類似する腕にはめるデバイスの形式で実装され、腕時計のような時間機能を含み得る。
図7は、このような一実施例の一例を示し、デバイスは、腕にはめるバンド400及び筐体410を含み、筐体410は、光源(例えば、フォトダイオード122、322、332)、トランスインピーダンス増幅器(124、324、334)、ADC(126、340)、及び、図示しない、デバイスの他の構成要素(例えば、ディスプレイ、バッテリー)を含む。筐体410は、金属、プラスチック又はその他の適切な材料、を含み得、反対の表面410a及び410bを有し得る。表面410bは、腕 時計が人の腕に巻きつけられたときに人の肌に隣り合う。表面410aは、反対の表面410aであり、そのため、腕と反対のデバイスの側上にある。
【0027】
図6のフォトダイオード324は、表面410b上に提供され、フォトダイオード322は、表面410a上に提供される。各フォトダイオードは、筐体410内部に搭載され得、適切な寸法のアパーチャを介して、筐体の外側に露出され得る。人の腕に隣り合うフォトダイオードは、生物物理学的パラメータを測定するために、コントローラにより使用されるフォトダイオードである。
図7の例において、そうした測定フォトダイオードは、フォトダイオード324である。フォトダイオード324が、人の腕と直接的又はほぼ直接的に接触するので、周囲光は、そのフォトダイオードにあまり受信されない。しかし、充分な周囲光が、測定フォトダイオードに受信され得、デバイスにおけるコントローラは、本明細書において上記したように光源検知フェーズから周囲光信号を減じるため、周囲検知フェーズを実施する必要がある。しかし、人の腕に関連した時計のジオメトリ、すなわち、人が、彼又は彼女の腕にデバイスを着用するきつさに起因して、フォトダイオード324により受け取られる周囲光の量は可変であり得、周期的周囲光信号の周期を近似させるためにtsepを計算する目的のため、周囲信号の品質に影響を与え得る。
【0028】
フォトダイオード322が、人の腕の反対に位置され、そのため、直接的に周囲光に露出されるので、そうしたフォトダイオードは、周囲光の周期を測定するための良好な性能を提供する。そのため、
図6及び7の実施例において、フォトダイオード322は、本明細書において上記したように、VA及びVA’の値を取得及び比較するために用いられる。tsepの値が周囲光信号の周期を近似させるように判定された後、tsepのその値は、生物物理学的パラメータ測定を行うために用いられる。従って、コントローラ130は、フォトダイオード324に対し、光源検知フェーズの間、ADC340からデジタル値を読み出し、その後、tsepの整数倍数によって光源検知フェーズから離間され周囲検知フェーズの間、さらにフォトダイオード324に対し、ADCから別のデジタル値を読み出す。ここで、tsepは、フォトダイオード322を用いて判定されたものである。
【0029】
幾つかの実施例において、デバイスは、電源オンの際、及び/又は、動作の間ディスクリートインタバル(例えば、1分毎、5分毎など)で、本明細書に記載される較正手法を実施する。説明される較正手法は、結果として生じる計算された生物物理学的パラメータを一層正確にする。
【0030】
幾つかの例において、コントローラ130は、一つ又は複数の周囲光測定値に基づいて、周囲光の期間の整数倍数を示す値を判定(又は推定)し得、判定された値に基づいて、光源がイネーブルされた測定と、第1の周囲測定(即ち、光源がディセーブルされた測定)との時間インタバル(又は時間期間)を制御し得る。第1の周囲測定は、光源がイネーブルされた測定から周囲光を相殺するために用いられ得る。幾つかの例において、コントローラ130は、連続する周囲光測定値がほぼ等しくなる等しくように、二つ又はそれ以上の連続する周囲光測定間の時間インタバルを調節することにより、周囲光フェーズの周期の整数倍数を示す値を判定し得る。
【0031】
幾つかの例において、コントローラ130は、連続する周囲光測定、第1の周囲光測定、及び、光源がイネーブルされた測定を実施するため、単一の光検出器(例えば、フォトダイオード)を用い得る。更なる例において、コントローラ130は、連続する周囲光測定及び光源がイネーブルされた測定を実施するため、個別の光検出器(例えば、フォトダイオード)を用い得る。例えば、コントローラ130は、光源がイネーブルされた測定及び第1の周囲光測定を実施するため、デバイスのユーザの肌に近接するデバイスの第1の面上の第1の光検出器を用い得、(光源がイネーブルされた測定及び第1の周囲光測定間の時間インタバルを判定するため)連続する周囲光測定を実施するため、デバイスの第2の面上の第2の光検出器を用い得る。幾つかの例において、デバイスの第2の面は、デバイスの第1の面の反対であり得る。更なる例において、周囲光に対する、デバイスの第2の面の露出は、周囲光に対する、デバイスの第1の面の露出より大きいものであり得る。付加的な例において、デバイスの第2の面は、デバイスのユーザの肌と反対である方向に向くものであり得る。
【0032】
本発明の特許請求の範囲内で、説明した例示の実施例に改変が成され得、他の実施例が可能である。