(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記極性有機溶媒が、アルコール、グリコール、ラクトン、ラクタム、スルホキシド、スルホン、アミド、尿素、イミダゾリジノン、ニトリル、およびピロリドンから成る群から選択される少なくとも1つを含む、請求項3記載の半導体プロセス用組成物。
200以上の金属膜に対する金属窒化物膜のエッチング選択比、および100以上の金属酸化物膜に対する金属窒化物膜のエッチング選択比を有する、請求項1記載の半導体プロセス用組成物。
前記金属膜および金属酸化物膜はそれぞれ、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)およびタンタル(Ta)から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含む、請求項8記載の半導体プロセス用組成物。
【背景技術】
【0002】
様々な方法によりベース材料としてのケイ素(Si)、ガリウムヒ素(GaAs)などから形成されるウエハ上にパターンを形成することによって、半導体を製造する。このような半導体の製造方法は、種々の有機または無機材料を使用する複数の工程から構成される。具体的には、半導体の製造方法は、ウエハ製造工程、酸化工程、露光工程、エッチング工程、イオン注入工程、蒸着工程、研磨工程、および洗浄工程などの工程を含む。
【0003】
具体的には、ウエハ製造工程においては、シリカまたはシリケートの形で存在するシリコンは、多結晶シリコンに加工されて、それから物理的精製方法によって単結晶シリコンに加工される。このような単結晶シリコンを成長させて円柱形のインゴットを製造し、そして、薄く切断し、研磨してディスク形状ウエハを製造する。
【0004】
酸化工程では、上記ウエハを酸化して、その表面上にシリコン酸化膜を形成する。ウエハの表面上に形成された酸化物膜は、拡散工程での保護膜としてはたらき、上記表面を保護および安定化させて、上記表面の電気絶縁性を確保する。
【0005】
露光工程では、回路のイメージを有するマスクを用いて、回路パターンをウエハの表面上に形成する。フォトレジストをウエハの表面上に薄くコートして、フォトレジスト膜を形成し、そして、露出装置を用いて光を照射して、上記ウエハ上に回路を形成する。上記フォトレジスト膜は、エッチング工程、イオン注入工程などの保護膜としてはたらいてもよい。露光工程は、光以外の電子ビームまたはX線を用いて行ってもよい。
【0006】
エッチング工程では、フォトレジスト膜パターンが形成されたウエハの表面を、選択的に除去する。エッチング工程は、湿式法と乾式法に分けられる。湿式法では、エッチングのためにエッチング液を使用する。乾式法では、エッチングのために、プラズマ、スパッタ、イオンビームなどを使用する。
【0007】
イオン注入工程では、ドーパントイオンをウエハに注入して、それを半導体にする。ウエハは、純粋状態では電気を伝導しない。イオン注入工程によってイオンを注入すると、電気が流れるのを可能にする。
【0008】
蒸着工程では、電気特性を有する材料をウエハ上に蒸着させる。蒸着方法として、化学蒸着(CVD)または物理蒸着(PVD)のような方法を用いてもよい。
【0009】
研磨工程では、ウエハの粗面を研磨して、鏡面平坦化領域を形成する。上記研磨工程は、CMP(化学機械研磨)プロセスと呼ばれる化学的および/または機械的方法を用いて行われる。上記CMPプロセスでは、化学的作用および物理的作用の両方を同時に適用して、ウエハ表面を研磨する。
【0010】
洗浄工程は、ウエハの不純物を除去する如何なる方法も示す。洗浄工程により、ウエハ表面から不必要な有機物質または無機物質を除去し、それによって以降の工程を容易にする。
【0011】
これらの様々な半導体プロセスは、いろいろな機能を有する高品質の半導体を生産するのに必要な好適な順序で、設計されることができる。加えて、種々の組成物を、このような半導体プロセスに使用する。ウエハのプロセス効率と最終的物性は、このような組成物に依存して変化するので、各々の目的に好適な組成物を設計することは重要な課題の1つである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の優位性およびそれらを達成する方法は、後述される実施形態を参照して明らかになる。しかし、本発明は後述される実施形態に限定されるものではないが、様々な異なる形に具体化されてもよい。本発明の開示が徹底的および完全であり、当業者に本発明の範囲を完全に伝達するように、これらの実施態様を提供する。本発明は、特許請求の範囲の請求項の範囲によってのみ規定される。
【0019】
本明細書中で用いられる「部分(moiety)」の語により、対応する化学構造の少なくとも一部または対応する元素を含む全体構造を指す。
【0020】
加えて、本明細書中で用いられる、成分の配合量、反応条件などに関するすべての数値範囲および数量表現は、特に明記しない限り、「約」の語によって修飾されていると理解されるべきである。
【0021】
加えて、本明細書中で用いられる「置換された」という語は、重水素、ハロゲン基(−F、−Cl、−BR、−I)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミジノ基、ヒドラジン基、ヒドラゾン基、エステル基、ケトン基、カルボキシル基、置換または非置換アルキル基、置換または非置換アルケニル基、置換または非置換アルキニル基、置換または非置換アルコキシ基、置換または非置換脂環式有機基、置換または非置換複素環基、置換または非置換アリール基および置換または非置換ヘテロアリール基から成る群から選択される少なくとも1つで置換されていることを意味する。前述の置換基は、環を形成するために、互いに結合してもよい。
【0022】
「第1の」、「第2の」などの語を、様々な成分を記載するために本明細書中で用いるが、上記成分は上記語によって限定されるべきではない。上記語は、1つの成分ともう1つの成分を区別する目的でのみ使用される。
【0023】
1つの実施形態において、本発明の1つの実施形態において、無機酸または有機酸を含む第1の成分;および
以下の式1:
によって表される化合物を含む第2の成分を含むことを特徴とする、半導体プロセス用組成物を提供する。
【0024】
上記式1中、Aは、C
1〜C
30脂肪族部分、C
6〜C
30芳香族部分、ホウ素(B)部分、およびアミン部分から選択され、
R
1〜R
3は、それぞれ独立して、水素、置換または非置換C
1〜C
30アルキル基、置換または非置換C
1〜C
30アルコキシ基、置換または非置換C
2〜C
30アルケニル基、置換または非置換C
2〜C
30アルキニル基、置換または非置換C
6〜C
30脂肪族環基、置換または非置換C
4〜C
30ヘテロ脂肪族環基、置換または非置換C
6〜C
30芳香族環基、置換または非置換C
4〜C
30ヘテロ芳香族環基、置換または非置換アミン基、およびハロゲン基から選択され、
R
1〜R
3の内の少なくとも1つは、C
1〜C
30アルコキシ基またはハロゲン基であり、
nは2〜6の整数である。
【0025】
第1成分および第2成分を含む半導体プロセス用組成物によって、特定の材料の成分に対するエッチング、除去または洗浄機能を確保することができる。結果として、適切な半導体プロセスに適用することができ、それによって品質の向上した半導体を製造することができる。
【0026】
上記式1中のAはバラスト構造中のコアである。 上記「バラスト」構造は、2つ以上の官能基が置換されていてもよい化学構造を指す。
【0027】
上記式1のAがC
1〜C
30脂肪族部分である場合、Aは、置換または非置換C
1〜C
30アルキル基、置換または非置換C
3〜C
30シクロアルキル基、置換または非置換C
2〜C
30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換C
2〜C
30アルケニル基、置換または非置換C
3〜C
30シクロアルケニル基、置換または非置換C
2〜C
30ヘテロシクロアルケニル基、置換または非置換C
2〜C
30アルキニル基から選択されてもよい。
【0028】
即ち、上記式1中のnは2〜6の整数であるので、AがC
1〜C
30脂肪族部分である場合、上記式1のケイ素化合物はC
1〜C
30アルカン、C
3〜C
30シクロアルカン、C
2〜C
30ヘテロシクロアルカン、C
2〜C
30アルケン、C
3〜C
30シクロアルケン、C
2〜C
30ヘテロシクロアルケン、およびC
2〜C
30アルキンから選択される化合物であってもよく、その中の少なくとも2〜6個の水素原子は以下の式2:
の官能基と置換されている。
【0029】
上記式2において、*はAとの結合位置を表し、R
1〜R
3は上記式1で定義した通りである。
【0030】
更に、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクロアルキル基、およびヘテロシクロアルケニル基は、縮合環基、スピロ環基、および架橋環基などの多環式基を包含するものと解されるべきである。
【0031】
上記式1中のAがC
6〜C
30芳香族部分である場合、Aは置換または非置換C
6〜C
30芳香族環基、および置換または非置換C
4〜C
30ヘテロ芳香族環基から選択されてもよい。
【0032】
即ち、上記式1のnは2〜6の整数であるので、AがC
6〜C
30芳香族部分である場合、上記式1のケイ素化合物は、C
6〜C
30芳香族化合物またはC
4〜C
30ヘテロ芳香族化合物から選択される化合物であってもよく、その中の少なくとも2〜6個の水素原子は上記式2の官能基と置換されている。
【0033】
更に、上記芳香環基およびヘテロ複素芳香環基は、縮合環基などの多環式基を包含すると解されるべきである。
【0034】
上記式1中のAがホウ素(B)部分である場合、nは2〜3の整数であってもよい。即ち、上記式1のケイ素化合物は、上記式2の2つまたは3つの官能基をホウ素に結合した化合物であってもよい。
【0035】
上記式1において、Aはアミン部分であってもよく、nは2〜3の整数であってもよい。即ち、上記式1のケイ素化合物は、上記式2の2つまたは3つの官能基をアミン化合物の末端に結合した化合物であってもよい。
【0036】
1つの実施形態において、上記式1中のAが、以下の式1‐1〜1‐5:
から選択される1つであってもよい。即ち、上記式1の化合物は、上記式2の官能基が上記式1‐1〜1‐5で表される化学構造中の*で示される位置の内の少なくとも2つの位置に結合した構造を有してもよい。
【0037】
上記式1‐5中、R
5およびR
6は、それぞれ独立して、置換または非置換C
1〜C
30アルキレン基、置換または非置換C
3〜C
30シクロアルキレン基、置換または非置換C
2〜C
30ヘテロシクロアルキレン基、置換または非置換C
2〜C
30アルケニレン基、置換または非置換C
3〜C
30シクロアルケニレン基、置換または非置換C
2〜C
30ヘテロシクロアルケニレン基、および置換または非置換C
2〜C
30アルキニレンから選択されてもよい。
【0038】
また、上記式1‐5中、R
4は、水素、置換または非置換C
1〜C
30アルキル基、置換または非置換C
3〜C
30シクロアルキル基、置換または非置換C
2〜C
30ヘテロシクロアルキル基、置換または非置換C
2〜C
30アルケニル基、置換または非置換C
3〜C
30シクロアルケニル基、置換または非置換C
2〜C
30ヘテロシクロアルケニル基、および置換または非置換C
2〜C
30アルキニル基から選択されてもよい。
【0039】
更に、上記式1‐5中、xおよびyは、それぞれ独立して、1〜20の整数、例えば1〜10の整数、例えば1〜5の整数であってもよい。
【0040】
このような場合、水素、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシクロアルキル基。置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロシクロアルキル基。置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルケニル基。置換もしくは無置換の炭素数3〜30のシクロアルケニル基。置換もしくは無置換の炭素数2〜30のヘテロシクロアルケニル基。置換もしくは無置換の炭素数2〜30のアルキニル基およびアミン基から選択された1つを、上記式2の官能基が結合していないAの*で示される位置に配置してもよい。
【0041】
1つの実施形態では、上記式1において、Aは、‐O‐結合を介して上記式2の官能基と結合していない。即ち、上記式1において、Aは、Siの結合位置に‐O‐構造を有さない。結果として、上記式1のケイ素化合物は、組成物中でバルク構造を維持することができ、これにより半導体プロセス用組成物は優れた反応性を有することができる。
【0042】
1つの実施形態において、上記ケイ素化合物は、上記式1のAが上記式1‐3の構造を有し、R
1〜R
3がそれぞれC
1〜C
5アルコキシ基から選択され、nが2または3である化合物であってもよい。
【0043】
別の実施形態では、上記ケイ素化合物は、上記式1中のAが上記式1‐2の構造を有し、R
1〜R
3がそれぞれC
1〜C
5アルコキシ基から選択され、nが2または3である化合物であってもよい。
【0044】
更に別の実施形態では、上記ケイ素化合物は、上記式1中のAが上記式1‐1の構造を有し、R
1〜R
3がそれぞれC
1〜C
5アルコキシ基から選択され、nが2または3である化合物であってもよい。
【0045】
更に別の実施形態では、上記ケイ素化合物は、上記式1中のAが上記式1‐1の構造を有し、R
1〜R
3がそれぞれハロゲン基から選択され、nが2または3である化合物であってもよい。
【0046】
更に別の実施形態では、上記ケイ素化合物は、上記式1中のAが上記式1‐1の構造を有し、R
1およびR
2がそれぞれC
1〜C
5アルコキシ基から選択され、R
3がC
1〜C
10アルキル基であり、nが2または3である化合物であってもよい。
【0047】
更に別の実施形態では、上記ケイ素化合物は、Aが上記式1‐5の構造を有し、nが2であり、R
1〜R
3がそれぞれC
1〜C
5アルコキシ基から選択され、R
4が水素であり、R
5およびR
6が、それぞれ独立して、C
1〜C
5アルキレン基から選択される化合物であってもよい。
【0048】
更に別の実施形態では、上記ケイ素化合物は、上記式1中のAが上記式1‐4の構造を有し、R
1およびR
2がそれぞれC
1〜C
5アルコキシ基から選択され、nが2または3である化合物であってもよい。
【0049】
上記半導体プロセス用組成物は、上記第1の成分および第2の成分の反応生成物を更に含んでもよい。
【0050】
具体的には、上記半導体プロセス用組成物を半導体プロセスに適用する場合、上記第1の成分および第2の成分を順に適用しても、または、第1の成分および第2の成分を予め混合してから適用してもよい。
【0051】
上記第1の成分および第2の成分を順に半導体プロセスに適用する場合、上記半導体プロセス用組成物中に含まれる上記2つの成分の反応生成物が、上記半導体プロセス中に形成される。一方、上記第1の成分および第2の成分を予め混合してから半導体プロセスに適用する場合、半導体プロセスに適用する前に、上記2つの成分の反応生成物はすでに上記半導体プロセス用組成物中に形成されているか、または上記半導体プロセス用組成物を半導体プロセスに適用した後、上記反応生成物が特定の温度条件で形成される可能性がある。
【0052】
一方、上記半導体プロセス用組成物が半導体プロセスに適用されると、半導体プロセスの特定のプロセス条件下で、第1の成分が互いに反応するか、または、第2の成分が互いに反応する可能性がある。このような場合、上記半導体プロセス用組成物は、第1の成分どうしの反応生成物;または第2の成分どうしの反応生成物を更に含んでもよい。
【0053】
上記半導体プロセス用組成物は、それらの適用に依存して、更に溶媒を含んでもよい。具体的には、上記溶媒には水または極性有機溶剤を含んでもよい。このような場合、半導体プロセス用組成物は、無極性有機溶剤を使用する場合と比較して、高い洗浄性および高い除去性という優位性を有する。
【0054】
1つの実施形態において、極性有機溶剤には、アルコール、グリコール、ラクトン、ラクタム、スルホキシド、スルホン、アミド、尿素、イミダゾリジノン、ニトリルおよびピロリドンから成る群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0055】
上記半導体プロセス用組成物中の溶媒の含有量は、溶媒を除く成分の含有量および溶媒の含有量の合計が全体で100重量%となる範囲内で決定されてもよい。
【0056】
上記第1の成分は、半導体プロセス用組成物における酸化作用を実行する酸成分である。それは、無機酸、有機酸または両方を含んでもよい。
【0057】
1つの実施形態において、半導体プロセス用組成物中の第1の成分の含有量は、約50〜約99重量%、例えば、約70〜約90重量%、例えば、約75〜約90重量%、例えば、約75〜約85重量%であってもよい。このような場合、半導体プロセス用組成物は、エッチング用途および除去用途での使用に好適である可能性がある。
【0058】
別の実施形態において、半導体プロセス用組成物の第1の成分の含有量は、約0.5〜約30重量%、例えば、約0.5〜約10重量%、例えば、約0.5〜約5重量%であってもよい。このような場合、半導体プロセス用組成物は、洗浄用途での使用に好適である可能性がある。
【0059】
具体的には、上記無機酸には、硫酸、硝酸、リン酸、ケイ酸、ホウ酸、塩酸、フッ化水素酸および過塩素酸から成る群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。加えて、上記有機酸には、酢酸、ギ酸、グルコン酸、乳酸、シュウ酸および炭化水素酸から成る群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0060】
1つの実施形態において、上記第1の成分は、硫酸、リン酸およびフッ化水素酸から成る群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。上記第1の成分が硫酸を含む場合、有機物質を除去する機能が向上される可能性がある。上記第1の成分がフッ化水素酸を含む場合、洗浄機能が向上される可能性がある。上記第1の成分がリン酸を含む場合、金属窒化物膜を除去する機能が向上される可能性がある。
【0061】
上記第2の成分は、上記半導体プロセスにおいて特定の成分のために保護膜を形成するのに役立つか、或いは特定の成分をエッチングまたは除去するのを補助するのに役立つ。
【0062】
上記半導体プロセス用組成物の第2の成分の含有量は、約0.001より大きく、約2重量%未満、例えば、約0.01〜約1重量%であってもよい。
【0063】
上記半導体プロセス用組成物は、用途および目的に依存して、種々の添加剤を更に含んでもよい。具体的には、上記添加剤には、それらに限定されないが、界面活性剤および腐食防止剤から成る群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0064】
より具体的には、上記半導体プロセス用組成物は、添加物として、過酸化水素、過硫酸塩、環状アミン化合物、フッ化アンモニウム化合物、遷移金属塩、カリウム化合物、フッ化尿素などを含んでもよい。
【0065】
上記半導体プロセス用組成物は、前述のような組成に従って、半導体プロセスへの適用に好適な特性を有する。具体的には、上記半導体プロセス用組成物は、金属膜または金属酸化物膜に対するその活性に関する特定の条件を満足してもよい。
【0066】
より具体的には、例えば、上記半導体プロセス用組成物は、100以上、例えば、100〜700、例えば、200〜700、例えば、300〜700の金属膜に対する金属窒化物膜のエッチング選択比を有してもよい。これによって、上記半導体プロセス用組成物を、そのような選択的な活性が必要とされる半導体プロセスにおいて、様々に使用することができる。
【0067】
これに加えて、上記半導体プロセス用組成物は、200以上、例えば、200〜700、例えば、300〜700の金属膜に対する金属窒化物膜のエッチング選択比を有してもよい。
【0068】
後述するように、上記「エッチング選択比」は、約150〜約200℃の温度で、上記半導体プロセス用組成物を用いて、金属膜、金属酸化物膜および金属窒化物膜のそれぞれに対してエッチング工程を実施する場合の、金属膜、金属酸化物膜および金属窒化物膜のエッチング速度の相対的な比を表す。
【0069】
上記金属膜および金属酸化物膜は、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)およびタンタル(Ta)から成る群から選択される少なくとも1つの金属を含んでもよい。
【0070】
別の実施形態において、上記半導体プロセス用組成物を用いて実行される、半導体プロセスが提供される。
【0071】
具体的には、上記半導体プロセスは、上記半導体プロセス用組成物を用いて有機物質または無機物質を選択的に洗浄する洗浄工程;上記半導体プロセス用組成物を用いて有機物質または無機物質を選択的に除去する除去工程;或いはそれらの両方を含む。
【0072】
即ち、上記半導体プロセスは、上記半導体プロセス用組成物を用いる洗浄工程;上記半導体プロセス用組成物を用いる除去工程;或いはそれらの両方を含んでもよい。
【0073】
上記半導体プロセス用組成物を、洗浄工程または除去工程において、特定の有機物質または特定の無機物質を選択的に洗浄または除去するのに使用してもよい。上記半導体プロセス用組成物は特定の有機物質または特定の無機物質に特定の反応性を有するので、それを用いて上記物質を選択的に洗浄/除去することができる可能性がある。
【0074】
具体的に、上記洗浄工程または除去工程において、金属以外の他の物質;金属を含有する有機物質;金属の酸化物を、選択的に洗浄または除去してもよい。
【0075】
このような場合、上記金属には、ゲルマニウム(Ge)、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)およびタンタル(Ta)から成る群から選択される少なくとも1つを含んでもよい。
【0076】
上記半導体プロセス用組成物は金属製の膜物質、金属を含有する有機物質製の膜物質、または金属の酸化物製の膜物質のための保護膜を形成するので、近くの上記以外の他の成分を除去または洗浄することができる。
【0077】
例えば、上記半導体プロセス用組成物を用いて選択的に除去される無機物質には、金属窒化物膜または変質した金属窒化物膜を含んでもよい。これに加えて、上記半導体プロセス用組成物を用いて選択的に除去される有機物質には、アクリル樹脂、ウレタン樹脂などを含んでもよい。
【0078】
1つの実施形態において、上記半導体プロセスは、半導体製造方法であってもよい。上記半導体製造方法は、一般的に酸化工程、露光工程、エッチング工程、イオン注入工程、蒸着工程、研磨工程、洗浄工程と灰化工程を含む。
【0079】
このような場合、イオン注入工程、エッチング工程および灰化工程から選択される少なくとも1つの工程の間に、上記半導体プロセス用組成物を用いて有機物質または無機物質を選択的に洗浄する工程を実行してもよい。
【0080】
即ち、上記半導体プロセス用組成物を用いて有機物質または無機物質を洗浄する洗浄工程は、半導体を製造する過程における、イオン注入工程、エッチング工程および灰化工程の各々の前、後、および/またはその行程中に、実行されてもよい。
【0081】
上記イオン注入工程では、ドーパントイオンをウエハに注入して、半導体にする。上記エッチング工程では、その上にフォトレジスト膜パターンを形成したウエハの表面を、選択的に除去する。上記灰化工程では、変質されたレジスト材料を炭化し、次いでフォトレジストを除去する。
【0082】
それぞれの工程では、金属製部分、金属を含有する有機物質、金属の酸化物などが損傷を受ける必要がないと同時に、不必要な成分を洗浄する場合、上記半導体プロセス用組成物を使用して、洗浄工程を実行してもよい。
【0083】
これに加えて、上記半導体プロセス用組成物を用いて有機物質または無機物質を選択的に除去する工程を、露光工程、蒸着工程およびエッチング工程から選択される少なくとも1つの工程中に実行してもよい。
【0084】
即ち、上記半導体プロセス用組成物を用いて有機物質または無機物質を除去する工程は、半導体を製造する過程において、露光工程、蒸着工程およびエッチング工程の各々の前、後、および/またはその行程中に、実行されてもよい。
【0085】
上記露光工程では、回路画像を有するマスクを用いることによって、回路パターンをウエハの表面上に形成する。上記蒸着工程では、電気的特徴を有する材料を、ウエハ上に蒸着する。
【0086】
それぞれの工程において、金属製部分、金属を含有する有機物質、金属の酸化物などが損傷を受ける必要がないと同時に、不必要な成分を洗浄する場合、上記半導体プロセス用組成物を使用して、除去工程を実行してもよい。
【0087】
上記半導体プロセス用組成物を用いて、有機物質または無機物質を選択的に洗浄または選択的に除去する工程は、約20〜約300℃、例えば約20〜約70℃、例えば約150〜約180℃の温度で行われてもよい。上記工程温度は、好適には上記半導体プロセス用組成物の第1の成分および第2の成分の沸点付近に設定されてもよい。
【実施例】
【0088】
以下に、本発明の具体的な実施形態を説明する。しかしながら、後述の上記実施形態は、本発明を例示または説明することだけを意図するものである。本発明をそれらに限定されるものではない。
【0089】
(実施例および比較例)
磁気バーを備えた各実験用ビーカーに、以下の表1に示すような種類および配合量(重量%)で、第1の成分、第2の成分、溶媒および添加物を入れ、次いで、500rpmの速度、室温で4時間撹拌して、半導体プロセス用組成物を作製した。
【0090】
【表1】
【0091】
(第1の成分)
A‐1:フッ化水素酸
A‐2:硫酸
A‐3:酢酸
A‐4:シュウ酸
A‐5:リン酸
【0092】
(第2の成分)
第2の成分の各々は、A、R
1、R
2、R
3およびnが以下の表2に示される通りである式1の化合物である。
【0093】
(添加剤)
C‐1:フッ化アンモニウム
(溶媒)
D‐1:水
D‐2:ジメチルスルホキシド
D‐3:NMP
【0094】
【表2】
【0095】
(評価)
試験例1:洗浄性の評価
実施例1〜17および比較例1〜5において作製した半導体プロセス用組成物を、洗浄性に関してそれぞれ評価した。
【0096】
具体的には、1000Åの厚さを有するゲルマニウム(Ge)膜と500Åの厚さを有する酸化ハフニウム(HfO
2)膜を、シリコンウエハ上に形成した。その後、フォトレジストをその上に均一にコートし、次いで、150℃で10分間保持して、薄膜を形成した。その後、大気条件下で超高圧水銀灯(USH‐250D、Ushio Denki社)を使用して、365nmの波長を有する光を上記薄膜上へ200mJ/cm
2の速度で照射した。別の光学フィルタは使用しなかった。
【0097】
紫外線で照射した薄膜は、現像のために、80秒間水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)水溶液の現像液に浸漬した。その後、蒸留水で濯ぎ、窒素ガスで乾燥し、150℃の加熱炉で10分間加熱して、パターンを形成した。その後、順に、イオン注入工程、エッチング工程および灰化工程を経て、試験片を作製した。
【0098】
実施例1〜17および比較例1〜5の半導体プロセス用組成物を各々、60℃の一定温度に保持した。次いで、作製した試験片を、その中に2分間浸漬した。次いで、試験片を取り出して、水で1分間濯いだ。次いで、窒素ガスで完全に乾燥して、洗浄作用を走査型電子顕微鏡(SEM)によってチェックした。
【0099】
ここで、評価基準は以下の通りである。その結果は、以下の表3に示す通りである。
<評価基準>
優秀:99%以上除去
良好:90%以上99%未満除去
普通:80%以上90%未満除去
不良:80%未満除去
【0100】
試験例2:腐食性の評価
実施例1〜17および比較例1〜5の半導体プロセス用組成物を各々、腐食性に関して評価した。
実施例1〜17および比較例1〜5の半導体プロセス用組成物を各々、60℃の一定温度に保持した。次いで、試験例1に従って作製した試験片を、その中に10分間浸漬した。次いで、試験片を取り出して、水で1分間濯いだ。次いで、窒素ガスで完全に乾燥して、腐食作用を走査型電子顕微鏡(SEM)によってチェックした。各膜物質に対して膜厚の変化を時間で割ることによって、エッチング速度を計算した。その結果を、以下の表3で示す。
【0101】
【表3】
【0102】
試験例3:エッチング性の評価
実施例18〜24および比較例6〜8の半導体プロセス用組成物を各々、窒化物膜に対するエッチング性に関して評価した。
【0103】
化学蒸着(CVD)方法によって、2000Åの厚さを有する窒化ケイ素(Si
3N
4)膜をシリコンウエハ上に形成した試料;化学蒸着(CVD)方法によって、200Åの厚さを有する酸化ケイ素(SiOx)膜をシリコンウエハ上に形成した試料;および1500Åの厚さを有するシリコン単結晶試料;を作製した。
【0104】
その後、各試料を、石英製の撹拌タンク中で160℃に保持し、500rpmの速度で撹拌された実施例18〜24と比較例6〜8の各半導体プロセス用組成物に浸漬して、エッチング工程を実行した。エッチング工程終了後、上記試料を超純水で濯ぎ、次いで、乾燥装置を用いて乾燥した。
【0105】
次いで、エッチング時の各試料の厚さを、走査型電子顕微鏡(SEM)および偏光解析装置を用いて測定した。エッチング速度を、エッチング工程の前後の薄膜厚さの変化に対して測定した。その結果は、以下の表4に示す通りである。
【0106】
窒化ケイ素膜、酸化ケイ素膜およびシリコン単結晶試料の各々に対してエッチング速度比を得ることによって、エッチング選択比を計算した。その結果は、以下の表4に示す通りである。
【0107】
【表4】
前述のように、実施例1〜24の半導体プロセス用組成物は、比較例1〜8の半導体プロセス用組成物と比較して、金属または金属酸化物膜の保護に関して、優位な効果を生じる。これに加えて、彼らは金属窒化物膜の除去およびエッチングにおいて優れた効果を生じる。