(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作装置、制御装置、電動コンポーネント、および、電源間の接続や自転車への取り付けに関し、より利便性の高い電動システムが求められている。
本発明の目的は、利便性の向上に貢献でき
る電動システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う
電動システムは、第1の電動コンポーネントと、第2の電動コンポーネントと、第1の電源と、を含み、前記第1の電動コンポーネントは、ドライブユニットを含み、前記第2の電動コンポーネントは、リアディレーラを含み、前記ドライブユニットは、人力駆動車に入力される人力駆動力をアシストする第1のアクチュエータ、および、第1の制御部を含み、前記第1の電源は、前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントに電力を供給できるように構成される。
【0006】
(自転車の電動システムの例)
第A1側面の自転車の電動システムは、第1の電動コンポーネントと、第2の電動コンポーネントと、第1の無線通信部と第1の電源と、第2の無線通信部と、を備え、前記第1の無線通信部と前記第1の電源は、少なくとも前記第1の電動コンポーネントに電気的に接続され、前記第2の無線通信部は、少なくとも前記第2の電動コンポーネントに電気的に接続され、前記第1の電動コンポーネントは、前記第1の無線通信部と通信可能であり、前記第2の電動コンポーネントは、前記第2の無線通信部と通信可能であり、少なくとも前記第1の無線通信部と、前記第2の無線通信部と、は、前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントを介さずに、前記自転車に取り付けられる。
【0007】
前記第A1側面に従う第A2側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の無線通信部は、第1の信号線を介して前記第1の電動コンポーネントに電気的に接続されており、前記第2の無線通信部は、第2の信号線を介して前記第2の電動コンポーネントに電気的に接続されている。
【0008】
前記第A1または第A2側面に従う第A3側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電源は、前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントを介さずに、前記自転車に取り付けられる。
【0009】
前記第A3側面に従う第A4側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電源と、前記第1の無線通信部と、前記第2の無線通信部と、は前記自転車において、互いに異なる位置に取り付けられる。
【0010】
前記第A3側面に従う第A5側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電源および前記第1の無線通信部と、前記第2の無線通信部と、は、前記自転車において、互いに異なる位置に取り付けられる。
【0011】
前記第A1または第A2側面に従う第A6側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電源は、前記第1の電動コンポーネントまたは前記第2の電動コンポーネントに取り付けられる。
【0012】
前記第A6側面に従う第A7側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電源は、前記第1の電動コンポーネントに取り付けられ、前記第1の電源は、前記第2の電動コンポーネントと電気的に接続される。
【0013】
前記第A1から第A7側面のいずれか1つに従う第A8側面の自転車の電動システムにおいて、第2の電源をさらに備え、前記第2の電源は、少なくとも前記第2の電動コンポーネントに電気的に接続される。
【0014】
前記第A8側面に従う第A9側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の電源は、前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントを介さずに、前記自転車に取り付けられる。
【0015】
前記第A9側面に従う第A10側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電源と、前記第2の電源と、前記第1の無線通信部と、前記第2の無線通信部と、は前記自転車において、互いに異なる位置に取り付けられる。
【0016】
前記第A9側面に従う第A11側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電源および前記第1の無線通信部と、前記第2の電源および前記第2の無線通信部と、は前記自転車において、互いに異なる位置に取り付けられる。
【0017】
前記第A8側面に従う第A12側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の電源は、前記第1の電動コンポーネントまたは前記第2の電動コンポーネントに取り付けられる。
【0018】
前記第A5側面に従う第A13側面の自転車の電動システムにおいて、少なくとも前記第1の無線通信部の少なくとも一部および前記第1の電源の少なくとも一部を収容する第1のハウジングと、少なくとも前記第2の無線通信部の少なくとも一部を収容する第2のハウジングと、を含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントを介さずに、前記自転車に取り付けられる。
【0019】
前記第A13側面に従う第A14側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の無線通信部は、第1の接続部分と第1のハウジング部分とを含み、前記第1の電源は、第2の接続部分と第2のハウジング部分とを含み、前記第1の接続部分と、前記第2の接続部分とが接合することで、前記第1の無線通信部に前記第1の電源からの電力が供給されるとともに、前記第1のハウジング部分と前記第2のハウジング部分とにより、前記第1のハウジングが構成される。
【0020】
前記第A14側面に従う第A15側面の自転車の電動システムにおいて、第2の電源をさらに備え、前記第2の電源は、少なくとも前記第2の電動コンポーネントに電気的に接続され、前記第2のハウジングは、少なくとも前記第2の無線通信部と前記第2の電源とを収容する。
【0021】
前記第A15側面に従う第A16側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の無線通信部は、第3の接続部分と第3のハウジング部分とを含み、前記第2の電源は、第4の接続部分と第4のハウジング部分とを含み、前記第3の接続部分と、前記第4の接続部分とが接合することで、前記第2の無線通信部に前記第2の電源からの電力が供給されるとともに、前記第3のハウジング部分と前記第4のハウジング部分とにより、前記第2のハウジングが構成される。
【0022】
前記第A13から第A16側面のいずれか1つに従う第A17側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1のハウジングの形状と、前記第2のハウジングの形状とが実質的に同じである。
【0023】
前記第A13から第A17側面のいずれか1つに従う第A18側面の自転車の電動システムにおいて、前記自転車はフレーム本体を含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、前記フレーム本体に取り付けられる。
【0024】
前記第A18側面に従う第A19側面の自転車の電動システムにおいて、前記フレーム本体は、チェーンステーを含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、前記チェーンステーに取り付けられる。
【0025】
前記第A18側面に従う第A20側面の自転車の電動システムにおいて、前記フレーム本体は、シートチューブを含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、前記シートチューブに取り付けられる。
【0026】
前記第A13から第A17側面のいずれか1つに従う第A21側面の自転車の電動システムにおいて、前記自転車はシートポストを含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、前記シートポストに取り付けられる。
【0027】
前記第A13から第A17側面のいずれか1つに従う第A22側面の自転車の電動システムにおいて、前記自転車はフロントフォークを含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、前記フロントフォークに取り付けられる。
【0028】
前記第A13から第A17側面のいずれか1つに従う第A23側面の自転車の電動システムにおいて、前記自転車はハブアセンブリを含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、前記ハブアセンブリに取り付けられる。
【0029】
前記第A13から第A17側面のいずれか1つに従う第A24側面の自転車の電動システムにおいて、前記自転車はサスペンション装置を含み、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングのうちの少なくとも一方は、前記サスペンション装置に取り付けられる。
【0030】
前記第A13から第A24側面のいずれか1つに従う第A25側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、前記自転車に着脱可能に取り付けられる。
【0031】
前記第A13から第A25側面のいずれか1つに従う第A26側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1のハウジングおよび前記第2のハウジングは、取付部材によって前記自転車に取り付けられている。
【0032】
前記第A26側面に従う第A27側面の自転車の電動システムにおいて、前記取付部材は、接着剤、ねじ、ケーブルタイ、および、両面テープのうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
第A28側面に従う自転車の電動システムは、第1の電動コンポーネントと、第1の無線通信部と、を備え、前記第1の無線通信部は、前記第1の電動コンポーネントに電気的に接続され、前記第1の電動コンポーネントは、前記第1の無線通信部と通信可能であり、前記第1の無線通信部は、前記第1の電動コンポーネントに、着脱可能に取り付けられる。
【0034】
前記第A28側面に従う第A29側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電動コンポーネントは、前記自転車に取り付け可能な第1のベースメンバを備え、前記第1の無線通信部は、前記第1のベースメンバに着脱可能に取り付けられる。
【0035】
前記第A28または第A29側面に従う第A30側面の自転車の電動システムにおいて、第1の電源をさらに備え、前記第1の電源は、前記第1の電動コンポーネントに取り付けられている。
【0036】
前記第A30側面に従う第A31側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電動コンポーネントは、前記自転車に取り付け可能な第1のベースメンバを備え、前記第1の電源は、前記第1のベースメンバに、着脱可能に取り付けられる。
【0037】
前記第A28から第A31側面のいずれか1つに従う第A32側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の無線通信部は、第1の信号線を介して前記第1の電動コンポーネントに電気的に接続されている。
【0038】
前記第A28から第A32側面のいずれか1つに従う第A33側面の自転車の電動システムにおいて、第2の電動コンポーネントと、第2の無線通信部と、を備え、前記第2の無線通信部は、前記第2の電動コンポーネントに電気的に接続され、前記第2の電動コンポーネントは、前記第2の無線通信部と通信可能であり、前記第2の無線通信部は、前記第2の電動コンポーネントに、着脱可能に取り付けられる。
【0039】
前記第A33側面に従う第A34側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の電動コンポーネントは、前記自転車に取り付け可能な第2のベースメンバを備え、前記第2の無線通信部は、前記第2のベースメンバに着脱可能に取り付けられる。
【0040】
前記第A33側面に従う第A35側面の自転車の電動システムにおいて、第2の電源をさらに備え、前記第2の電源は、前記第2の電動コンポーネントに取り付けられている。
【0041】
前記第A35側面に従う第A36側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の電動コンポーネントは、前記自転車に取り付け可能な第2のベースメンバを備え、前記第2の電源は、前記第2のベースメンバに、着脱可能に取り付けられる。
【0042】
前記第A33から第A36側面のいずれか1つに従う第A37側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の無線通信部は、第2の信号線を介して前記第2の電動コンポーネントに電気的に接続されている。
【0043】
第A38側面に従う自転車の電動システムは、第1の電動コンポーネントと、第2の電動コンポーネントと、第1の無線通信部と、第1の電源と、第2の無線通信部と、を備え、前記第1の無線通信部と前記第1の電源とは、少なくとも前記第1の電動コンポーネントに電気的に接続され、前記第2の無線通信部は、少なくとも前記第2の電動コンポーネントに電気的に接続され、前記第1の電動コンポーネントは、前記第1の無線通信部と通信可能であり、前記第2の電動コンポーネントは、前記第2の無線通信部と通信可能であり、前記第1の無線通信部と前記第1の電源とは、前記第1の電動コンポーネントに取り付けられ、前記第2の無線通信部は、前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントを介さずに、自転車に取り付けられる。
【0044】
前記第A1から第A27側面、第A33から第A38のいずれか1つに従う第A39側面の自転車の電動システムにおいて、操作部と、前記操作部からの入力に基づいて、前記第1の無線通信部および前記第2の無線通信部の少なくとも一方に、変速信号を無線で送信する第3の無線通信部と、を備え、前記第3の無線通信部は、前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントを介さずに、前記自転車に取り付けられる。
【0045】
前記第A39側面に従う第A40側面の自転車の電動システムにおいて、第3の電源を備え、前記第3の電源は、少なくとも前記操作部に電気的に接続される。
【0046】
前記第A40側面に従う第A41側面の自転車の電動システムにおいて、前記第3の無線通信部の少なくとも一部と、前記第3の電源の少なくとも一部を収容し、かつ前記第1の電動コンポーネントおよび前記第2の電動コンポーネントを介さずに、前記自転車に取り付けられる、第3のハウジングと、を備える。
【0047】
前記第A13側面を直接的または間接的に引用する第A41側面に従う第A42側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1のハウジングの形状と、前記第2のハウジングの形状と、前記第3のハウジングの形状と、が実質的に同じである。
【0048】
前記第A1から第A27側面、第A33から第A42側面のいずれか1つに従う第A43側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の電動コンポーネントは、第2のアクチュエータを備え、前記第2の無線通信部からの信号に基づき前記第2のアクチュエータを動作させる。
【0049】
前記第A1から第A43側面のいずれか1つに従う第A44側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電動コンポーネントは、第1のアクチュエータを備え、前記第1の無線通信部からの信号に基づき前記第1のアクチュエータを動作させる。
【0050】
前記第A1から第A27側面、第A33から第A42側面のいずれか1つに従う第A45側面の自転車の電動システムにおいて、前記第2の電動コンポーネントは、第2の記憶部を備え、前記第2の無線通信部との通信に基づき前記第2の記憶部に記憶される情報を更新する。
【0051】
前記第A1から第A42側面、第A45側面のいずれか1つに従う第A46側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1の電動コンポーネントは、第1の記憶部を備え、前記第1の無線通信部との通信に基づき前記第1の記憶部に記憶される情報を更新する。
【0052】
前記第A1から第A27側面、第A33から第A46側面のいずれか1つに従う第A47側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1および第2の電動コンポーネントの少なくとも一方は、電動変速機である。
【0053】
前記第A47側面に従う第A48側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1および第2の電動コンポーネントの一方は、電動フロントディレーラであり、前記第1および第2の電動コンポーネントの他方は、電動リアディレーラである。
【0054】
前記第A1から第A27側面、第A33から第A46側面のいずれか1つに従う第A49側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1および第2の電動コンポーネントの少なくとも一方は、電動シートポストである。
【0055】
前記第A1から第A27側面、第A33から第A46側面のいずれか1つに従う第A50側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1および第2の電動コンポーネントの少なくとも一方は、電動サスペンションである。
【0056】
前記第A1から第A27側面、第A33から第A46側面のいずれか1つに従う第A51側面の自転車の電動システムにおいて、前記第1および第2の電動コンポーネントの少なくとも一方は、クランクに入力される人力駆動力をアシストするモータを備えるドライブユニットである。
【発明の効果】
【0057】
本開示の自転車の電動システムは、利便性の向上に貢献できる。
【発明を実施するための形態】
【0059】
(第1の実施形態)
図1から
図5を参照して、自転車の電動システムについて説明する。
電動システム30が搭載される自転車10は、車体12を備えている。
【0060】
車体12は、フレーム本体14、フレーム本体14に接続されるハンドル16、フレーム本体14に接続されるシートポスト18、フレーム本体14に接続されるフロントフォーク20、および、後輪WRの車軸まわりに取り付けられるハブアセンブリ22を備えている。
【0061】
フレーム本体14は、クランク軸Cを支持する支持部14Aから前方に延びるダウンチューブ14B、支持部14Aから後方に延びるチェーンステー14C、支持部14Aから上方に延びるシートチューブ14D、および、ダウンチューブ14Bの支持部14Aとは反対側の端部から上方に延びるヘッドチューブ14Eを備えている。
【0062】
ハンドル16は、ヘッドチューブ14Eに着脱可能に接続される。シートポスト18は、シートチューブ14Dに着脱可能に接続される。フロントフォーク20は、ヘッドチューブ14Eに支持されて、ハンドル16と前輪WFの車軸とを接続する。ハブアセンブリ22は、後輪WRの車軸まわりに取り付けられる。
【0063】
電動システム30は、電動フロントディレーラ32(以下、「フロントディレーラ32」)、電動リアディレーラ34(以下、「リアディレーラ34」)、第1の無線通信部36、第1の電源38、第2の無線通信部40、第2の電源42、操作部44、第3の無線通信部46、および、第3の電源48を備えている。フロントディレーラ32は、第1の電動コンポーネントである。フロントディレーラ32は、電動変速機である。リアディレーラ34は、第2の電動コンポーネントである。リアディレーラ34は、電動変速機である。なお、電動コンポーネントは、アクチュエータと、アクチュエータの駆動により動作する機械要素を含む。
【0064】
フロントディレーラ32は、クランク軸C付近においてフレーム本体14、好ましくは、シートチューブ14Dに取り付けられる。
図2に示されるように、フロントディレーラ32は、第1のベースメンバ50、リンク部材52、第1の可動部材54、制御部56、および、第1のアクチュエータ58を備えている。
【0065】
第1のベースメンバ50は、ボルト等を介してフレーム本体14に取り付け可能である。リンク部材52は、第1の可動部材54を第1のベースメンバ50に対して移動可能に第1のベースメンバ50と第1の可動部材54とを接続する。第1の可動部材54は、チェーンK(
図1参照)を支持する。制御部56は、リンク部材52に接続される第1のアクチュエータ58を駆動することにより、リンク部材52および第1の可動部材54を第1のベースメンバ50に対して移動させる。フロントディレーラ32は、第1のアクチュエータ58の駆動により、複数のフロントスプロケットSF(
図1参照)にチェーンK(
図1参照)を掛け替え、自転車10の変速比を変更する。
【0066】
図1に示されるように、リアディレーラ34は、ハブアセンブリ22付近においてフレーム本体14、好ましくは、フレーム本体14の後端に設けられたディレーラハンガー14Fに取り付けられる。
図3に示されるように、リアディレーラ34は、第2のベースメンバ60、リンク部材62、第2の可動部材64、制御部66、および、第2のアクチュエータ68を備えている。
【0067】
第2のベースメンバ60は、ボルト等を介してフレーム本体14に取り付け可能である。リンク部材62は、第2の可動部材64を第2のベースメンバ60に対して移動可能に第2のベースメンバ60と第2の可動部材64とを接続する。第2の可動部材64は、チェーンK(
図1参照)を支持する。制御部66は、リンク部材62に接続される第2のアクチュエータ68を駆動することにより、リンク部材62および第2の可動部材64を第2のベースメンバ60に対して移動させる。リアディレーラ34は、第2のアクチュエータ68の駆動により、複数のリアスプロケットSR(
図1参照)にチェーンK(
図1参照)を掛け替え、自転車10の変速比を変更する。
【0068】
図4に示されるように、第1の無線通信部36は、各種演算を行う制御部70、第1の接続部分72、および、制御部70を収容する第1のハウジング部分74を備えている。第1の接続部分72は、少なくとも一部が第1のハウジング部分74から露出している。
【0069】
第1の電源38は、電池76、第2の接続部分78、および、電池76を収容する第2のハウジング部分80を備えている。電池76は、充電池であってもよく、乾電池であってもよい。電池76は、例えば、リチウムイオン電池である。第2の接続部分78は、少なくとも一部が第2のハウジング部分80から露出している。第2の接続部分78は、第1の接続部分72と相補的な形状を備え、第1の接続部分72と接続可能に構成されている。
【0070】
第1の接続部分72と、第2の接続部分78とが接合することで、第1の無線通信部36に第1の電源38からの電力が供給される。第1の接続部分72と、第2の接続部分78とが接合することで、第1のハウジング部分74および第2のハウジング部分80とが、第1のハウジング82を構成する。第1のハウジング82は、第1の無線通信部36の少なくとも一部である制御部70、および、第1の電源38の少なくとも一部である電池76を収容する。
【0071】
図1に示されるように、第1のハウジング82は、フロントディレーラ32付近においてフレーム本体14、好ましくは、シートチューブ14Dに取り付けられる。第1のハウジング82は、フレーム本体14の第1のハウジング82を取り付ける部分の形状に対応した形状を有する。第1のハウジング82は、
図5に示す取付部材ATによって自転車10に着脱可能に取り付けられている。取付部材ATは、接着剤、ねじ、ケーブルタイ、および、両面テープのうちの少なくとも1つを含む。
【0072】
図1に示されるように、第1のハウジング82は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、第1の無線通信部36および第1の電源38は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。
【0073】
図5に示されるように、第2の無線通信部40は、各種演算を行う制御部84、第3の接続部分86、および、制御部84を収容する第3のハウジング部分88を備えている。第3の接続部分86は、少なくとも一部が第3のハウジング部分88から露出している。
【0074】
第2の電源42は、電池90、第4の接続部分92、および、電池90を収容する第4のハウジング部分94を備えている。電池90は、充電池であってもよく、乾電池であってもよい。電池90は、例えば、リチウムイオン電池である。第4の接続部分92は、少なくとも一部が第4のハウジング部分94から露出している。第4の接続部分92は、第3の接続部分86と相補的な形状を備え、第3の接続部分86と接続可能に構成されている。
【0075】
第3の接続部分86と、第4の接続部分92とが接合することで、第2の無線通信部40に第2の電源42からの電力が供給される。第3の接続部分86と、第4の接続部分92とが接合することで、第3のハウジング部分88および第4のハウジング部分94とが、第2のハウジング96を構成する。第2のハウジング96は、第2の無線通信部40の少なくとも一部である制御部84、および、第2の電源42の少なくとも一部である電池90を収容する。第1のハウジング82の形状と、第2のハウジング96の形状とは、実質的に同じである。
【0076】
図1に示されるように、第2のハウジング96は、リアディレーラ34付近においてフレーム本体14、好ましくは、チェーンステー14Cに取り付けられる。第2のハウジング96は、フレーム本体14の第2のハウジング96を取り付ける部分の形状に対応した形状を有する。第2のハウジング96は、
図4に示す取付部材ATによって自転車10に着脱可能に取り付けられている。
【0077】
図1に示すように、第2のハウジング96は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、第2の無線通信部40および第2の電源42は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。
【0078】
第1のハウジング82と第2のハウジング96とは、自転車10において、互いに異なる位置に取り付けられる。このため、第1の電源38および第1の無線通信部36と、第2の電源42および第2の無線通信部40とは、自転車10において、互いに異なる位置に取り付けられる。
【0079】
図5に示されるように、操作部44は、ハンドル16に取り付けられる。操作部44は、制御部98、および、制御部98に電気的に接続される複数のスイッチ100を備えている。複数のスイッチ100は、それぞれ、フロントディレーラ32またはリアディレーラ34の変速動作と対応付けられている。
【0080】
第3の無線通信部46は、各種演算を行う制御部102、第5の接続部分104、および、制御部102を収容する第5のハウジング部分106を備えている。第5の接続部分104は、少なくとも一部が第5のハウジング部分106から露出している。
【0081】
第3の電源48は、電池108、第6の接続部分110、および、電池108を収容する第6のハウジング部分112を備えている。電池108は、充電池であってもよく、乾電池であってもよい。電池108は、例えば、リチウムイオン電池である。第6の接続部分110は、少なくとも一部が第6のハウジング部分112から露出している。第6の接続部分110は、第5の接続部分104と相補的な形状を備え、第5の接続部分104と接続可能に構成されている。
【0082】
第5の接続部分104と、第6の接続部分110とが接合することで、第3の無線通信部46に第3の電源48からの電力が供給される。第5の接続部分104と、第6の接続部分110とが接合することで、第5のハウジング部分106および第6のハウジング部分112とが、第3のハウジング114を構成する。第3のハウジング114は、第3の無線通信部46の少なくとも一部である制御部102、および、第3の電源48の少なくとも一部である電池108を収容する。第3のハウジング114の形状は、第1のハウジング82の形状および第2のハウジング96の形状と、実質的に同じである。
【0083】
図1に示されるように、第3のハウジング114は、ハンドル16付近においてハンドル16、または、フレーム本体14に取り付けられる。第3の無線通信部46は、フレーム本体14に取り付けられる場合、ヘッドチューブ14Eまたはダウンチューブ14Bに取り付けられることが好ましい。第3のハウジング114は、フレーム本体14またはハンドル16の第3のハウジング114を取り付ける部分の形状に対応した形状を有する。第3のハウジング114は、
図5に示す取付部材ATによって自転車10に着脱可能に取り付けられている。
【0084】
図1に示すように、第3のハウジング114は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、第3の無線通信部46および第3の電源48は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。
【0085】
図5を参照して、電動システム30の構成について説明する。
なお、フロントディレーラ32、リアディレーラ34、第1の無線通信部36、第1の電源38、第2の無線通信部40、および第2の電源42は、電力線搬送通信(Power Line Communication;PLC)により、信号と電力を伝達することが可能である。したがって、信号線により信号を、電力線により電力を、それぞれ伝達する場合と比較して、配線がシンプルであり、利便性が向上している。
【0086】
第1の無線通信部36は、第1の信号線116Aを介してフロントディレーラ32の制御部56に電気的に接続されている。第1の電源38は、第1の無線通信部36を介して、フロントディレーラ32に電気的に接続される。第1の電源38は、第1の無線通信部36およびフロントディレーラ32に電力を供給する。
【0087】
第2の無線通信部40は、第2の信号線116Bを介してリアディレーラ34の制御部66に電気的に接続されている。第2の電源42は、第2の無線通信部40を介して、リアディレーラ34に電気的に接続される。第2の電源42は、第2の無線通信部40およびリアディレーラ34に電力を供給する。
【0088】
第3の無線通信部46は、第3の信号線116Cを介して操作部44に電気的に接続されている。第3の電源48は、第3の無線通信部46を介して操作部44に電気的に接続される。第3の電源48は、第3の無線通信部46および操作部44に電力を供給する。
【0089】
電動システム30の動作について説明する。
操作部44の制御部98は、スイッチ100が操作されたとき、第3の信号線116Cを介して、第3の無線通信部46に対応する操作信号を出力する。第3の無線通信部46の制御部102は、操作部44から入力される操作信号に基づいて、第1の無線通信部36および第2の無線通信部40の少なくとも一方に変速信号を無線で送信する。
【0090】
第1の無線通信部36の制御部70は、第3の無線通信部46からフロントディレーラ32の変速動作を含む変速信号を受信したとき、フロントディレーラ32に制御信号を出力する。フロントディレーラ32の制御部56は、第1の無線通信部36からの制御信号に基づき変速動作を行う。すなわち、フロントディレーラ32は、第1の無線通信部36からの信号に基づき、第1のアクチュエータ58を動作させる。
【0091】
第2の無線通信部40の制御部84は、第3の無線通信部46からリアディレーラ34の変速動作を含む変速信号を受信したとき、リアディレーラ34に制御信号を出力する。リアディレーラ34の制御部66は、第2の無線通信部40からの制御信号に基づき変速動作を行う。すなわち、リアディレーラ34は、第2の無線通信部40からの信号に基づき、第2のアクチュエータ68を動作させる。
【0092】
電動システム30は、以下の効果を奏する。
(1)電動システム30は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34に無線通信部36,40が電気的に接続されている。このため、自転車10における、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34と操作部44との配線を省略できる。このため、配線が簡略化され、電動システムの利便性の向上に貢献できる。
【0093】
(2)第1の無線通信部36と第2の無線通信部40とは、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34が大型化することを抑制できる。
【0094】
(3)第1の電源38と第2の電源42とは、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34が大型化することを抑制できる。
【0095】
(4)電動システム30は、第2の電源42を備えている。このため、第1の電源38からリアディレーラ34および第2の無線通信部40に電力を共有する構成と比較して、配線を簡略化できる。
【0096】
(5)第1の無線通信部36および第1の電源38は、フロントディレーラ32の付近に取り付けられる。このため、第1の無線通信部36および第1の電源38とフロントディレーラ32とを接続する第1の信号線116Aを短くすることができる。
【0097】
(6)第2の無線通信部40および第2の電源42は、リアディレーラ34の付近に取り付けられる。このため、第2の無線通信部40および第2の電源42とリアディレーラ34とを接続する第2の信号線116Bを短くすることができる。
【0098】
(7)第1の無線通信部36と第1の電源38とは、第1のハウジング82に収容されている。このため、第1のハウジング82を自転車10に取り付けることにより、第1の無線通信部36と第1の電源38とを自転車10に取り付けることができるため、利便性が向上する。
【0099】
(8)第2の無線通信部40と第2の電源42とは、第2のハウジング96に収容されている。このため、第2のハウジング96を自転車10に取り付けることにより、第2の無線通信部40と第2の電源42とを自転車10に取り付けることができるため、利便性が向上する。
【0100】
(9)電動システム30は、第3の電源48を備えている。このため、第1の電源38または第2の電源42から操作部44および第3の無線通信部46に電力を共有する構成と比較して、配線を簡略化できる。
【0101】
(10)第1のハウジング82の形状、第2のハウジング96の形状、および、第3のハウジング114の形状が実質的に同じである。このため、第1のハウジング82、第2のハウジング96、および、第3のハウジング114を同様の取付部材ATにより自転車10に取り付けることができる。
【0102】
(第2の実施形態)
図6を参照して、第2の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0103】
第1の無線通信部36は、各種演算を行う制御部70、および、制御部70を収容する第4のハウジング118を備えている。制御部70は、第4の通信線116Dにより、フロントディレーラ32の制御部56と接続されている。
【0104】
第4のハウジング118は、フロントディレーラ32付近においてフレーム本体14、好ましくは、シートチューブ14Dに取り付けられる。第4のハウジング118は、取付部材ATによって自転車10に取り付けられている。第4のハウジング118は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、第1の無線通信部36は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。
【0105】
第1の電源38は、電池76、および、電池76を収容する第5のハウジング122を備えている。電池76は、第1の電力線120Aにより、フロントディレーラ32の制御部56と接続されている。第1の電源38は、第1の電力線120Aを介してフロントディレーラ32に電力を供給する。第1の電源38は、フロントディレーラ32を介して第1の無線通信部36に電力を供給する。
【0106】
第5のハウジング122は、フロントディレーラ32付近においてフレーム本体14、好ましくは、シートチューブ14Dに取り付けられる。第5のハウジング122は、取付部材ATによって自転車10に取り付けられている。第5のハウジング122は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、第1の電源38は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。
【0107】
第2の無線通信部40は、各種演算を行う制御部84、および、制御部84を収容する第6のハウジング124を備えている。制御部84は、第5の通信線116Eにより、リアディレーラ34の制御部66と接続されている。
【0108】
第6のハウジング124は、リアディレーラ34付近においてフレーム本体14、好ましくは、チェーンステー14Cに取り付けられる。第6のハウジング124は、取付部材ATによって自転車10に取り付けられている。第6のハウジング124は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、第2の無線通信部40は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。
【0109】
第2の電源42は、電池90、および、電池90を収容する第7のハウジング126を備えている。電池76は、第2の電力線120Bにより、リアディレーラ34の制御部66と接続されている。第2の電源42は、第2の電力線120Bを介してリアディレーラ34に電力を供給する。第2の電源42は、リアディレーラ34を介して第2の無線通信部40に電力を供給する。
【0110】
第7のハウジング126は、フロントディレーラ32付近においてフレーム本体14、好ましくは、シートチューブ14Dに取り付けられる。第7のハウジング126は、取付部材ATによって自転車10に取り付けられている。第7のハウジング126は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。このため、第2の電源42は、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34を介さずに、自転車10に取り付けられる。
【0111】
第4のハウジング118、第5のハウジング122、第6のハウジング124、および、第7のハウジング126は、自転車10において、互いに異なる位置に取り付けられる。このため、第1の電源38、第1の無線通信部36、第2の電源42、および、第2の無線通信部40は、自転車10において、互いに異なる位置に取り付けられる。第2の実施形態の電動システム30によれば、少なくとも第1の実施形態の(1)および(2)の効果を奏することができる。
【0112】
(第3の実施形態)
図7を参照して、第3の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第2の実施形態と共通する構成については第2の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0113】
電動システム30は、フロントディレーラ32、リアディレーラ34、第1の無線通信部36、第1の電源38、第2の無線通信部40、操作部44、第3の無線通信部46、および、第3の電源48を備えている。
【0114】
第1の電源38は、電池76および第5のハウジング122を備えている。電池76は、第1の電力線120Aにより、フロントディレーラ32の制御部56と接続されている。第1の電源38は、第1の電力線120Aを介してフロントディレーラ32に電気的に接続されており、フロントディレーラ32に電力を供給する。
【0115】
電池76は、第3の電力線120Cにより、リアディレーラ34の制御部66と接続されている。第1の電源38は、第3の電力線120Cを介してリアディレーラ34に電力を供給する。第1の電源38は、リアディレーラ34を介して第2の無線通信部40と電気的に接続されており、リアディレーラ34に電力を供給する。第3の実施形態の電動システム30によれば、少なくとも第1の実施形態の(1)および(2)の効果を奏することができる。
【0116】
(第4の実施形態)
図8を参照して、第4の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第3の実施形態と共通する構成については第3の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0117】
電動システム30は、フロントディレーラ32、リアディレーラ34、第1の無線通信部36、第1の電源38、第2の無線通信部40、操作部44、第3の無線通信部46、および、第3の電源48を備えている。
【0118】
第1の電源38は、電池76および第5のハウジング122を備えている。電池76は、第4の電力線120Dにより、第1の無線通信部36の制御部70と接続されている。第1の電源38は、第1の無線通信部36を介してフロントディレーラ32に電力を供給する。
【0119】
電池76は、第5の電力線120Eにより、第2の無線通信部40の制御部84と接続されている。第1の電源38は、第2の無線通信部40を介してリアディレーラ34に電力を供給する。第4の実施形態の電動システム30によれば、少なくとも第1の実施形態の(1)および(2)の効果を奏することができる。
【0120】
(第5の実施形態)
図9および
図10を参照して、第5の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0121】
図9に示されるように、第1のハウジング82は、フロントディレーラ32の第1のベースメンバ50に着脱可能に取り付けられる。第1のハウジング82と第1のベースメンバ50とは、例えば、ボルト等を介して取り付けられる。このため、第1の無線通信部36および第1の電源38は、第1のベースメンバ50に着脱可能に取り付けられる。
【0122】
図10に示されるように、第2のハウジング96は、リアディレーラ34の第2のベースメンバ60に着脱可能に取り付けられる。第2のハウジング96と第2のベースメンバ60とは、例えば、ボルト等を介して取り付けられる。このため、第2の無線通信部40および第2の電源42は、第2のベースメンバ60に着脱可能に取り付けられる。
【0123】
第5の実施形態の電動システム30は、第1の実施形態の(1)の効果に加えて、以下の効果を奏することができる。
(11)第1の無線通信部36および第1の電源38は、フロントディレーラ32に取り付けられる。このため、フレーム本体14のフロントディレーラ32まわりが煩雑になることを抑制できる。
【0124】
(12)第1の無線通信部36および第1の電源38は、フロントディレーラ32に着脱可能に取り付けられる。このため、自転車10に搭載するフロントディレーラ32および第1の無線通信部36および第1の電源38の一方のみを簡便に交換できる。
【0125】
(13)第1の無線通信部36および第1の電源38は、第1のベースメンバ50に取り付けられる。このため、リンク部材52および第1の可動部材54と比較して、安定して取り付けることができる。
【0126】
(14)第2の無線通信部40および第2の電源42は、リアディレーラ34に取り付けられる。このため、フレーム本体14のリアディレーラ34まわりが煩雑になることを抑制できる。
【0127】
(15)第2の無線通信部40および第2の電源42は、リアディレーラ34に着脱可能に取り付けられる。このため、自転車10に搭載するリアディレーラ34および第2の無線通信部40および第2の電源42の一方のみを簡便に交換できる。
【0128】
(16)第2の無線通信部40および第2の電源42は、第2のベースメンバ60に取り付けられる。このため、リンク部材62および第2の可動部材64と比較して、安定して取り付けることができる。
【0129】
(第6の実施形態)
図11を参照して、第6の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
電動システム30は、フロントディレーラ32、リアディレーラ34、第1の無線通信部36、第1の電源38、第2の無線通信部40、操作部44、第3の無線通信部46、および、第3の電源48を備えている。
【0131】
第1の無線通信部36および第1の電源38は、フロントディレーラ32の第1のベースメンバ50に取り付けられている。第1の無線通信部36および第1の電源38は、第1のベースメンバ50に内蔵されている。
【0132】
第1の無線通信部36は、フロントディレーラ32の制御部56に電気的に接続されている。第1の電源38は、第1の無線通信部36の制御部70、フロントディレーラ32の制御部56、および、リアディレーラ34の制御部66に電気的に接続されている。第1の電源38は、電力線120Fを介してリアディレーラ34の制御部66に電力を供給する。第6の実施形態の電動システム30によれば、少なくとも第1の実施形態の(1)の効果、第6の実施形態の(11)および(13)の効果を奏することができる。
【0133】
(第7の実施形態)
図12から
図14を参照して、第7の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0134】
図12に示されるように、フロントディレーラ32は、第1の記憶部136を備えている。第1の記憶部136に記憶される情報は、識別情報、および、更新可能な個別情報を含む。識別情報は、フロントディレーラ32の型番等を含む。個別情報は、設定情報、および、履歴情報を含む。設定情報は、例えば、フロントディレーラ32のアジャスト設定に関する情報である。フロントディレーラ32のアジャスト設定に関する情報は、例えば、第1の可動部材54の位置情報を含む。第1の可動部材54の位置情報は、例えば第1のアクチュエータ58の動作量として記憶される。履歴情報は、例えば、変速が適切に行われたか否かを示す情報、および、第1の無線通信部36との通信が適切に行われたか否かを示す情報を含む。制御部56は、変速および通信が実行されるたびに、履歴情報を更新してもよいし、通信が適切に実行されなかった場合のみ更新してもよい。
【0135】
図13に示されるように、リアディレーラ34は、第2の記憶部138を備えている。第2の記憶部138に記憶される情報は、識別情報、および、更新可能な個別情報を含む。識別情報は、リアディレーラ34の型番等を含む。個別情報は、設定情報、および、履歴情報を含む。設定情報は、例えば、リアディレーラ34のアジャスト設定に関する情報である。リアディレーラ34のアジャスト設定に関する情報は、例えば、第1の可動部材54の位置情報を含む。第2の可動部材64の位置情報は、例えば第2のアクチュエータ68の動作量として記憶される。履歴情報は、例えば、変速が適切に行われたか否かを示す情報、および、第2の無線通信部40とのが適切に行われたか否かを示す情報を含む。制御部66は、変速および通信が実行されるたびに、履歴情報を更新してもよいし、通信が適切に実行されなかった場合のみ更新してもよい。
【0136】
図14を参照して、第1の記憶部136に記憶される情報の更新処理について説明する。更新処理においては、外部の装置Eと第1の無線通信部36とが通信可能に接続される。外部の装置Eと第1の無線通信部36とは、無線通信により通信可能に接続される。無線通信は例えばBluetooth(登録商標)、Wi−Fi(登録商標)、ANT+(登録商標)、または、NFC(Near Field Communication)の通信規格を採用することができる。なお、外部の装置Eと第1の無線通信部36とは、有線通信により通信可能に接続することもできる。また、外部の装置Eと第1の無線通信部36とが直接的に通信してもよく、外部の装置Eと第1の無線通信部36とが他の電気コンポーネントを介して間接的に通信してもよい。外部の装置Eは、デスクトップパソコン、ラップトップパソコン、タブレットパソコン、および、スマートフォンといった様々な電子デバイスを含む。他の電気コンポーネントの例としては、操作部44、サイクルコンピュータ、バッテリユニット、および、他の電動コンポーネントが挙げられる。電動コンポーネントは、例えば自転車10に入力される人力駆動力をアシストするモータを含むドライブユニット、電動シートポスト、および、電動サスペンション装置等が挙げられる。
【0137】
外部の装置Eは、第1の無線通信部36に接続されたとき、ステップS11において、第1の無線通信部36に識別情報を要求する。識別情報を要求する信号(以下、「識別情報要求信号」)を受信した第1の無線通信部36は、ステップS12において制御部56に識別情報を要求する。識別情報要求信号を受信した制御部56は、ステップS13において第1の記憶部136に記憶されている識別情報を読み込み、第1の無線通信部36に送信する。識別情報を送信した第1の無線通信部36は、ステップS14において外部の装置Eに識別情報を送信する。
【0138】
識別情報を受信した外部の装置Eは、ステップS15において表示部(図示略)に受信した識別情報と対応する電気コンポーネントを表示する。具体的には、フロントディレーラ32の型番を表示する。このとき、第1の無線通信部36と通信可能な電気コンポーネントが複数ある場合には、外部の装置Eは第1の無線通信部36と通信可能な電気コンポーネントの一覧を表示することもできる。また、外部の装置Eが、第2の無線通信部40とも通信可能である場合には、外部の装置Eは、第2の無線通信部40と通信可能な電気コンポーネントも含めて一覧を表示することもできる。
【0139】
ユーザは、外部の装置Eの表示部(図示略)の表示内容に従って、操作部(図示略)を用いてフロントディレーラ32を選択する。なお、操作部は、例えば表示部に設けられるタッチパネル、または、キーボードである。
【0140】
外部の装置Eは、操作部(図示略)を介してユーザによりフロントディレーラ32が選択されたとき、ステップS16において第1の無線通信部36に個別情報を要求する。個別情報を要求する信号(以下、「個別情報要求信号」)を受信した第1の無線通信部36は、ステップS17において制御部56に個別情報を要求する。個別情報要求信号を受信した制御部56は、ステップS18において個別情報を第1の記憶部136から読み込み、第1の無線通信部36に送信する。個別情報を受信した第1の無線通信部36は、ステップS19において個別情報を外部の装置Eに送信する。
【0141】
個別情報を受信した外部の装置Eは、ステップS20において受信した個別情報を表示部(図示略)に表示する。ユーザは、外部の装置Eの表示部(図示略)の表示内容に従って、操作部(図示略)を用いて個別情報を選択する。ユーザが個別情報を変更する操作を行ったとき、外部の装置Eは、ステップS21において個別情報の更新を要求する信号(以下、「個別情報更新要求信号」)を第1の無線通信部36に送信する。個別情報更新要求信号は、例えばフロントディレーラ32のアジャスト設定において、第1の可動部材54を第1の方向または第2の方向に変更する旨の要求を含む信号である。
【0142】
個別情報更新要求信号を受信した第1の無線通信部36は、ステップS22において個別情報更新要求信号を制御部56に送信する。個別情報更新要求信号を受信した制御部56は、ステップS23において個別情報更新要求信号に基づいて第1の記憶部136に記憶されている個別情報を更新する。すなわち、フロントディレーラ32は、第1の無線通信部36との通信に基づき第1の記憶部136に記憶される情報を更新する。また、制御部56は、ステップS23において個別情報更新要求信号に基づいて第1のアクチュエータ58を動作させる。個別情報更新要求信号がフロントディレーラ32のアジャスト設定であった場合は、制御部56は個別情報の更新要求に基づいて第1のアクチュエータ58を動作させる。すなわち、フロントディレーラ32は、第1の無線通信部36からの信号に基づき第1のアクチュエータ58を動作させる。
【0143】
ステップS23以降は、外部の装置Eの操作部(図示略)の操作に基づいて、更新処理が終了される、または、ステップS11からS23のうちの少なくとも1つの処理が再び実行される。例えば、ユーザがフロントディレーラ32の他の個別情報を更新する操作を行うときには、ステップS16からステップS23の処理が再び実行される。また、ユーザがステップS23において更新した個別情報をさらに更新するときには、ステップS21からステップS23の処理が再び実行される。
【0144】
第2の記憶部138に記憶される情報の更新処理についても第1の記憶部136に記憶される情報の更新処理と同様の処理が行われる。例えば、ステップS21に準じた処理において外部の装置Eから個別情報更新要求信号が第2の無線通信部40に送信されたとき、個別情報更新要求信号を受信した第2の無線通信部40は、個別情報更新要求信号を制御部66に送信する。個別情報更新要求信号を受信した制御部66は、個別情報更新要求信号に基づいて第2の記憶部138に記憶されている個別情報を更新する。リアディレーラ34は、第2の無線通信部40との通信に基づき第2の記憶部138に記憶される情報を更新する。また、制御部66は、個別情報更新要求信号に基づいて第2のアクチュエータ68を動作させる。個別情報更新要求信号がリアディレーラ34のアジャスト設定であった場合は、制御部66は個別情報更新要求信号に基づいて第2のアクチュエータ68を動作させる。すなわち、リアディレーラ34は、第2の無線通信部40からの信号に基づき第2のアクチュエータ68を動作させる。第7の実施形態の電動システム30によれば、少なくとも第1の実施形態の(1)および(2)に準じた効果を奏することができる。
【0145】
(第8の実施形態)
図15および
図16を参照して、第8の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。第8の実施形態において、電動シートポスト134は、電動コンポーネントである。
【0146】
図15に示されるように、電動システム30は、車体130を備える自転車10に搭載される。車体130は、フレーム本体132、ハンドル16、フロントフォーク20、ハブアセンブリ22、および、電動シートポスト134を備えている。フレーム本体132は、ダウンチューブ14B、シートチューブ14D、および、ヘッドチューブ14Eを備えている。
【0147】
図16に示されるように、電動シートポスト134は、第1の可動部材140、制御部142、第1の記憶部144、および、第1のアクチュエータ146を備えている。第1のアクチュエータ146は、例えば電動モータである。第1の可動部材140は、例えばラックアンドピニオン機構のピニオンである。電動シートポスト134は、第1の電動コンポーネントである。
【0148】
制御部142は、第1の無線通信部36と電気的に接続されている。制御部142は、第1の無線通信部36と通信可能である。第1の電源38は、制御部142に電力を供給可能である。
図5に示す操作部44のスイッチ100の少なくとも1つは、電動シートポスト134のシート高さを変更するものであることが好ましい。
図16に示す制御部142は、第1の可動部材140を動作させることにより、電動シートポスト134のシート高さを変更する。電動シートポスト134は、第1の無線通信部36からの信号に基づき、第1のアクチュエータ146を動作させる。第1のアクチュエータ146が駆動するとき、第1の可動部材140が動作し、電動シートポスト134のシート高さが変化する。
【0149】
第1の記憶部144に記憶される情報は、識別情報、および、更新可能な個別情報を含む。識別情報は、電動シートポスト134の型番等を含む。個別情報は、設定情報、および、履歴情報を含む。設定情報は、例えば電動シートポスト134のシート高さである。履歴情報は、例えば、第1の無線通信部36との通信が適切に行われたか否かを示す情報を含む。
【0150】
制御部142は、第1の無線通信部36からの信号に基づき第1のアクチュエータ146を動作させる。例えば、操作部44または外部の装置E(
図15参照)からシート高さを変更する個別情報更新要求信号を受信したとき、受信した個別情報更新要求信号に基づいて第1のアクチュエータ146を動作させ、シート高さを変更する。第8の実施形態の電動システム30によれば、少なくとも第1の実施形態の(1)および(2)に準じた効果を奏することができる。
【0151】
(第9の実施形態)
図15および
図17を参照して、第9の実施形態の電動システム30について説明する。なお、第1の実施形態と共通する構成については第1の実施形態と同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0152】
車体130は、フロントサスペンション装置148およびリアサスペンション装置150をさらに備えている。フロントサスペンション装置148は、第1の電動コンポーネントである。
【0153】
図17に示されるように、フロントサスペンション装置148は、第1の可動部材152、制御部154、第1の記憶部156、および、第1のアクチュエータ158を備えている。フロントサスペンション装置148は、例えば、油圧式であり、第1の可動部材152は、例えば電磁弁である。
【0154】
制御部154は、第1の無線通信部36と電気的に接続されている。制御部154は、第1の無線通信部36と通信可能である。第1の電源38は、制御部154に電力を供給可能である。
図5に示す操作部44のスイッチ100の少なくとも1つは、フロントサスペンション装置148を制御するものであることが好ましい。
図17に示す制御部154は、第1の可動部材152を動作させることにより、フロントサスペンション装置148の状態を変更する。フロントサスペンション装置148は、第1の無線通信部36からの信号に基づき、第1のアクチュエータ158を動作させる。第1のアクチュエータ158が駆動するとき、第1の可動部材152が動作し、フロントサスペンション装置148の状態が変化する。
【0155】
第1の記憶部156に記憶される情報は、識別情報、および、更新可能な個別情報を含む。識別情報は、フロントサスペンション装置148の型番等を含む。個別情報は、設定情報、および、履歴情報を含む。設定情報は、例えばフロントサスペンション装置148の状態に関する情報である。フロントサスペンション装置148の状態は、例えば加えられる荷重に対するサスペンションの変位量が挙げられる。油圧式のフロントサスペンション装置148においては、油圧と相関する。履歴情報は、例えば、第1の無線通信部36との通信が適切に行われたか否かを示す情報を含む。
【0156】
制御部154は、第1の無線通信部36からの信号に基づき第1のアクチュエータ158を動作させる。例えば、操作部44または外部の装置E(
図15参照)からフロントサスペンション装置148の状態を変更する個別情報更新要求信号を受信したとき、受信した個別情報更新要求信号に基づいて第1のアクチュエータ158を動作させ、フロントサスペンション装置148の状態を変更する。第9の実施形態の電動システム30によれば、少なくとも第1の実施形態の(1)および(2)に準じた効果を奏することができる。
【0157】
(変形例)
上記各実施形態に関する説明は、本発明に従う自転車の電動システムが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車の電動システムは、例えば以下に示される上記各実施形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0158】
・第2の実施形態の第1の電源38を、フロントディレーラ32に取り付けることもできる。例えば、
図18に示すように、第1の電源38をフロントディレーラ32の第1のベースメンバ50(
図2参照)または第1の可動部材54(
図2参照)に内蔵することもできる。この場合、第5のハウジング122を省略することもできる。また、第1の電源38をフロントディレーラ32のボルト等により外面に取り付けることもできる。
【0159】
・第2の実施形態の第2の電源42を、リアディレーラ34に取り付けることもできる。例えば、
図18に示すように、第2の電源42をリアディレーラ34の第2のベースメンバ60(
図3参照)または第2の可動部材64(
図3参照)に内蔵することもできる。この場合、第6のハウジング124を省略することもできる。また、第2の電源42をリアディレーラ34の外面にボルト等により取り付けることもできる。
【0160】
・第3の実施形態の第1の電源38を、フロントディレーラ32に取り付けることもできる。例えば、
図19に示すように、第1の電源38をフロントディレーラ32の第1のベースメンバ50(
図2参照)または第1の可動部材54(
図2参照)に内蔵することもできる。この場合、第5のハウジング122を省略することもできる。また、第1の電源38をフロントディレーラ32の外面にボルト等により取り付けることもできる。
【0161】
・第3の実施形態の第1の電源38を、リアディレーラ34に取り付けることもできる。例えば、
図20に示すように、第1の電源38をリアディレーラ34の第2のベースメンバ60(
図3参照)または第2の可動部材64(
図3参照)に内蔵することもできる。この場合、第5のハウジング122を省略することもできる。また、第1の電源38をリアディレーラ34の外面にボルト等により取り付けることもできる。
【0162】
・第5の実施形態において、第2のハウジング96をリアディレーラ34に固定することもできる。すなわち、第2の無線通信部40を、リアディレーラ34に、着脱不能に取り付けることもできる。また、第2の無線通信部40を第2のベースメンバ60に着脱不能に取り付けることもできる。また、第2の電源42を第2のベースメンバ60に、着脱不能に取り付けることもできる。なお、リアディレーラ34を第1の電動コンポーネントとし、フロントディレーラ32を第2の電動コンポーネントとした場合、第1のハウジングをリアディレーラ34に着脱可能にし、第2のハウジングをフロントディレーラ32に固定することもできる。
【0163】
・第7の実施形態において、第1の記憶部136および第2の記憶部138に個別情報としての変速順序を記憶させることもできる。操作部44から変速比γを変更する信号を受信したとき、制御部56および制御部66により変速順序に基づいて第1のアクチュエータ58および第2のアクチュエータ68の少なくとも一方が動作する。変速順序は、例えば、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34の両方により決定される自転車10の変速比が大きくなる第1の順序、および、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34の両方により決定される自転車10の変速比が次第に小さくなる第2の順序を含むことが好ましい。制御部56および制御部66は、操作部44から自転車10の変速比を大きくするための信号を受信したとき、第1の順序に従って第1のアクチュエータ58および第2のアクチュエータ68を動作させるか否かを決定する。制御部56および制御部66は、操作部44から自転車10の変速比を小さくするための信号を受信したとき、第2の順序に従って第1のアクチュエータ58および第2のアクチュエータ68を動作させるか否かを決定する。この変形例においては、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34は、無線通信部36,40との通信に基づきアクチュエータ58,68を動作させる。
【0164】
・上記変形例において、外部の装置Eを用いて、第1の無線通信部36を介して第1の記憶部136に記憶されている変速順序を更新することもできる。また、外部の装置Eを用いて、第2の無線通信部40を介して第2の記憶部138に記憶されている変速順序を更新することもできる。この変形例においては、フロントディレーラ32およびリアディレーラ34は、無線通信部36,40との通信に基づき記憶部136,138に記憶される情報を更新する。
【0165】
・第7の実施形態において、第1の記憶部136および第2の記憶部138に個別情報としての連続的な変速の許可の設定情報を記憶させることができる。連続的な変速の許可の設定情報とは、対応するスイッチ100が押されたときに、スイッチ100が押された時間に基づいて複数段階の変速を行うことを許可するか否かの設定である。電動システム30は、外部の装置Eから無線通信部36,40を介して記憶部136,138に記憶されている連続的な変速の許可の設定情報を、許可または不許可に更新することができる。
【0166】
・第7の実施形態において、第1の記憶部136および第2の記憶部138に個別情報としての変速禁止期間を記憶させることができる。変速禁止期間は、変速動作が実行されてから変速動作を禁止する期間である。電動システム30は、外部の装置Eから無線通信部36,40を介して記憶部136,138に記憶されている変速禁止期間を更新することができる。
【0167】
・第7の実施形態において、第1の記憶部136および第2の記憶部138に個別情報としての変速段の制限情報を記憶させることができる。変速段の制限情報は、変速段の上限および下限の少なくとも一方を含む。電動システム30は、変速段の制限情報に基づいて、フロントディレーラ32、リアディレーラ34を自動で制御する。なお、フロントディレーラ32、リアディレーラ34が電動システム30により制御される期間を自転車10の走行が開始されたときに限定することもできる。電動システム30は、外部の装置Eから無線通信部36,40を介して記憶部136,138に記憶されている変速段の制限情報を更新することができる。
【0168】
・第7の実施形態において、第1の無線通信部36または第2の無線通信部40に制御部および記憶部を備えるサイクルコンピュータを電気的に接続することもできる。例えば、サイクルコンピュータの記憶部には、個別情報としてビープ音をオンまたはオフにする設定情報が記憶されている。また、例えば、サイクルコンピュータの記憶部には、個別情報としてサイクルコンピュータの表示部への表示時間の設定情報が記憶されている。表示時間は、サイクルコンピュータの操作部が操作されないときに表示部に各種情報を表示する時間である。サイクルコンピュータの制御部は、外部の装置Eから第1の無線通信部36または第2の無線通信部40を介して受信した個別情報の更新要求に基づいて、サイクルコンピュータの記憶部に記憶されている情報を更新する。
【0169】
・第7の実施形態において、ステップS16からS19を省略することもできる。この場合、外部の装置Eは、ステップS20において外部の装置Eの記憶部、または、インターネット等から受信した識別情報と対応する個別情報を読み込み、読み込んだ個別情報を表示部に表示する。
【0170】
・第7の実施形態において、ステップS11からS14の処理とステップS16からS19の処理を同時に実行することもできる。例えば、第1の無線通信部36および制御部56は、外部の装置Eから識別情報要求信号を受信したとき、識別情報とともに個別情報を外部の装置Eに送信する。外部の装置Eは、操作部の操作に基づいて受信した個別情報を表示部に表示する。
【0171】
・第7の実施形態において、ドライブユニットを第1の電動コンポーネントとすることもできる。ドライブユニットは、自転車10に入力される人力駆動力をアシストする第1のアクチュエータ、第1の制御部、および、第1の記憶部を備える。第1のアクチュエータは、例えば電動モータである。すなわち、ドライブユニットは、クランクに入力される人力駆動力をアシストするモータを備える。ドライブユニットは、第1の無線通信部36からの信号に基づいて、第1のアクチュエータを動作させる。例えば、操作部44から、第1のアクチュエータをオンにする、または、第1のアクチュエータの駆動力を増加または減少させる信号が入力されたとき、制御部56は信号に基づいて第1のアクチュエータの駆動を停止、または、トルクを変化させる。
【0172】
・上記変形例において、第1の記憶部136に個別情報としてのスタートモードの設定情報を記憶させることができる。スタートモードの設定情報とは、自転車10が走行を開始したときに第1のアクチュエータを駆動させるか否かの設定である。または、自転車10が走行を開始したときの変速段を所定の段数に制御することを許可するか否かの設定である。電動システム30は、外部の装置Eから無線通信部36を介して記憶部136に記憶されている連続的な変速の許可の設定情報を、許可または不許可に更新することができる。
【0173】
・上記ドライブユニットを備える電動システム30において、外部の装置Eおよび第1の無線通信部36を用いて自転車10にライトが接続されているか否かの設定を行うこともできる。
【0174】
・第8の実施の形態において、電動シートポスト134を第2の電動コンポーネントにすることもできる。
【0175】
・第9の実施形態において、フロントサスペンション装置148に代えてリアサスペンション150装置を採用することもできる。また、第2の電動コンポーネントとしてリアサスペンション装置150を採用することもできる。また、リアサスペンション装置150を第1の電動コンポーネントとし、フロントサスペンション装置148を第2の電動コンポーネントとすることもできる。また、フロントサスペンション装置148およびリアサスペンション装置150を含めたサスペンション装置を第1の電動コンポーネントとすることもできる。
【0176】
・各実施形態において、操作部44に記憶部を備えることもできる。操作部44の記憶部には、個別情報として各スイッチ100とディレーラ32,34の種類および変速動作との関係を規定する設定情報が記憶されている。操作部44の制御部56は、外部の装置Eから第3の無線通信部46を介して受信した個別情報の更新要求に基づいて、操作部44の記憶部に記憶されている情報を更新する。
【0177】
・第7から第9の実施形態において、第1の電動コンポーネントおよび第2の電動コンポーネントは、無線通信部36,40からの信号に基づいて外部の装置Eに履歴情報としてエラーの回数を送信することもできる。また、エラー回数に代えて、履歴情報としての電動コンポーネントの動作回数を読み込むこともできる。
【0178】
・第9の実施形態において、操作部44の記憶部に、個別情報として各スイッチ100とフロントサスペンション装置148の種類および個別情報との関係を規定する設定情報を記憶することもできる。設定情報としては、例えば、モードの設定情報が挙げられる。モードは、フロントサスペンション装置148の制御モードを設定するものである。制御モードは、例えば、フォークモード、ショックモード、上りモード、トレイルモード、および、下りモードを含む。
【0179】
・各実施形態の操作部44を、
図21に示す操作部128に変更することもできる。操作部128は、第3の無線通信部46および第3の電源48を内蔵している。第3の無線通信部46および第3の電源48は、操作部44を介してハンドル16に取り付けられる。なお、この場合、第5のハウジング部分106および第6のハウジング部分112を省略することもできる。
【0180】
・各実施形態の操作部44の制御部98を省略することもできる。この場合、各スイッチ100のそれぞれと第3の無線通信部46の制御部102とが通信線により接続される。そして、スイッチ100が操作されたとき、第3の無線通信部46の制御部102は、操作されたスイッチ100に基づいて、第1の無線通信部36および第2の無線通信部40の少なくとも一方に変速信号を無線で送信する。
【0181】
・第3の電源48を省略することもできる。この場合、スイッチ100に、圧電素子を含ませることにより、スイッチ100の操作にともなって制御部98に電力が供給される構成を採用することができる。スイッチ100が操作されたことによる電力の供給に基づいて、制御部98は操作信号を制御部102に送信する。
【0182】
・各実施形態の操作部44を、複数設けることもできる。この場合、1つの操作部44をフロントディレーラ32に対応付け、他の操作部44をリアディレーラ34に対応づけることもできる。なお、この場合、複数の操作部44に接続される1つの第3の無線通信部46および1つの第3の電源48を設けてもよく、操作部44ごとに第3の無線通信部46および第3の電源48を設けてもよい。
【0183】
・第1の実施形態の第1のハウジング82を、チェーンステー14C、シートポスト18、フロントフォーク20、または、ハブアセンブリ22に取り付けることもできる。また、第2から第4、および、第6の実施形態の第4のハウジング118および第5のハウジング122の少なくとも一方を、チェーンステー14C、シートポスト18、フロントフォーク20、または、ハブアセンブリ22に取り付けることもできる。
【0184】
・第1の実施形態の第2のハウジング96を、シートチューブ14D、シートポスト18、フロントフォーク20、または、ハブアセンブリ22に取り付けることもできる。また、第2から第4、および、第6の実施形態の第6のハウジング124および第7のハウジング126の少なくとも一方を、チェーンステー14C、シートポスト18、フロントフォーク20、または、ハブアセンブリ22に取り付けることもできる。
【0185】
・第1から第7の実施形態の電動システム30を
図22に示す車体130を備える自転車10に搭載することもできる。車体130は、フレーム本体132、ハンドル16、シートポスト18、フロントサスペンション装置148を備えるフロントフォーク20、ハブアセンブリ22、および、リアサスペンション装置150を備えている。フレーム本体132は、ダウンチューブ14B、シートチューブ14D、および、ヘッドチューブ14Eを備えている。この場合、第1のハウジング82を、フロントサスペンション装置148またはリアサスペンション装置150に取り付けることもできる。また、第2のハウジング96を、フロントサスペンション装置148またはリアサスペンション装置150に取り付けることもできる。
【0186】
・各実施形態の第1の無線通信部36をリアディレーラ34と電気的に接続し、第2の無線通信部40をフロントディレーラ32と電気的に接続することもできる。この場合、リアディレーラ34は第1の電動変速機に相当し、フロントディレーラ32は第2の電動変速機に相当する。
【0187】
・各実施形態のフロントディレーラ32を、支持部14Aに内蔵される電動変速機に変更することもできる。例えば、電動変速機は、複数のサンギアを備え、複数のサンギアの回転を選択して規制する規制機構を備える遊星歯車機構により構成することができる。この場合、第7の実施形態においては、フロントディレーラ32のアジャスト設定は、規制機構の動作量を調整することにより行われる。
【0188】
・各実施形態のリアディレーラ34を、ハブアセンブリ22に内蔵される電動変速機に変更することもできる。例えば、電動変速機は、複数のサンギアを備え、複数のサンギアの回転を選択して規制する規制機構を備える遊星歯車機構により構成することができる。この場合、第7の実施形態においては、リアディレーラ34のアジャスト設定は、規制機構の動作量を調整することにより行われる。
【0189】
・各実施形態の電動システム30をクランク軸Cに入力される人力駆動力をアシストするモータを備える自転車10に適用することもできる。