(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6839745
(24)【登録日】2021年2月17日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】ヘッドランプ制御装置および方法
(51)【国際特許分類】
B60Q 1/14 20060101AFI20210301BHJP
B60Q 1/12 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
B60Q1/14 A
B60Q1/12 100
【請求項の数】12
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-193490(P2019-193490)
(22)【出願日】2019年10月24日
(65)【公開番号】特開2020-66429(P2020-66429A)
(43)【公開日】2020年4月30日
【審査請求日】2019年10月24日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0128996
(32)【優先日】2018年10月26日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】507098483
【氏名又は名称】ヒュンダイ・モービス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】特許業務法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソン ジュン ヨン
【審査官】
竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−132053(JP,A)
【文献】
再公表特許第2012/063365(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/14
B60Q 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前方映像を取得する映像取得部と、
前記車両の走行環境情報および走行状態情報の1つ以上を含む走行情報を取得する走行情報取得部と、
前記映像取得部によって取得された前方映像に基づいて把握される前方車両の位置に対する暗影帯領域(Shadow Area)を決定し、前記決定された暗影帯領域に応じてヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報取得部によって取得された走行情報に基づいて前記暗影帯領域を可変的に調節することにより、ヘッドランプの光照射を制御する制御部とを含み、
前記暗影帯領域は、暗影帯主領域および暗影帯マージン領域を含み、
前記制御部は、前記前方車両の位置に相当する領域を前記暗影帯主領域に決定し、前記暗影帯主領域の左右側に対して予め設定された暗影帯マージン領域を決定して前記ヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報に基づいて前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することにより、前記ヘッドランプの光照射を制御し、
前記走行環境情報は、前記車両が走行中の道路の車線情報を含み、
前記制御部は、前記車線情報から把握される、前記車両の走行時点における道路の曲率の大きさおよび方向に対応して前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することを特徴とする、
ヘッドランプ制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記道路の曲率の大きさが予め設定された基準曲率以上の場合にのみ前記暗影帯マージン領域を拡張させるが、前記道路の曲率が大きいほど前記暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記道路の曲率方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、前記道路の曲率方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ制御装置。
【請求項4】
前記走行状態情報は、前記車両の操舵ホイールの操舵角を含み、
前記制御部は、前記操舵角の大きさおよび方向に基づいて前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することを特徴とする請求項1に記載のヘッドランプ制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記操舵角の大きさが予め設定された基準操舵角以上の場合にのみ前記暗影帯マージン領域を拡張させるが、前記操舵角が大きいほど前記暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることを特徴とする請求項4に記載のヘッドランプ制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記操舵角の方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、前記操舵角の方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることを特徴とする請求項4に記載のヘッドランプ制御装置。
【請求項7】
映像取得部によって、車両の前方映像を取得するステップと、
走行情報取得部によって、前記車両の走行環境情報および走行状態情報の1つ以上を含む走行情報を取得するステップと、
制御部によって、前記映像取得部によって取得された前方映像に基づいて把握される前方車両の位置に対する暗影帯領域(Shadow Area)を決定し、前記決定された暗影帯領域に応じてヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報取得部によって取得された走行情報に基づいて前記暗影帯領域を可変的に調節することにより、ヘッドランプの光照射を制御するステップとを含み、
前記暗影帯領域は、暗影帯主領域および暗影帯マージン領域を含み、
前記ヘッドランプの光照射を制御するステップにおいて、前記制御部は、前記前方車両の位置に相当する領域を前記暗影帯主領域に決定し、前記暗影帯主領域の左右側に対して予め設定された暗影帯マージン領域を決定して前記ヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報に基づいて前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することにより、前記ヘッドランプの光照射を制御し、
前記走行環境情報は、前記車両が走行中の道路の車線情報を含み、
前記ヘッドランプの光照射を制御するステップは、前記制御部が、前記車線情報から把握される、前記車両の走行時点における道路の曲率の大きさおよび方向に対応して前記暗影帯マージン領域を可変的に調節するステップを含むことを特徴とする、
ヘッドランプ制御方法。
【請求項8】
前記暗影帯マージン領域を可変的に調節するステップにおいて、前記制御部は、
前記道路の曲率の大きさが予め設定された基準曲率以上の場合にのみ前記暗影帯マージン領域を拡張させるが、前記道路の曲率が大きいほど前記暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることを特徴とする請求項7に記載のヘッドランプ制御方法。
【請求項9】
前記暗影帯マージン領域を可変的に調節するステップにおいて、前記制御部は、
前記道路の曲率方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、前記道路の曲率方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることを特徴とする請求項7に記載のヘッドランプ制御方法。
【請求項10】
前記走行状態情報は、前記車両の操舵ホイールの操舵角を含み、
前記ヘッドランプの光照射を制御するステップは、
前記制御部が、前記操舵角の大きさおよび方向に基づいて前記暗影帯マージン領域を可変的に調節するステップを含むことを特徴とする請求項7に記載のヘッドランプ制御方法。
【請求項11】
前記暗影帯マージン領域を可変的に調節するステップにおいて、前記制御部は、
前記操舵角の大きさが予め設定された基準操舵角以上の場合にのみ前記暗影帯マージン領域を拡張させるが、前記操舵角が大きいほど前記暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることを特徴とする請求項10に記載のヘッドランプ制御方法。
【請求項12】
前記暗影帯マージン領域を可変的に調節するステップにおいて、前記制御部は、
前記操舵角の方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、前記操舵角の方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることを特徴とする請求項10に記載のヘッドランプ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドランプ制御装置および方法に関し、より詳細には、ヘッドランプの暗影帯を制御するヘッドランプ制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用ヘッドランプは、手動的に照明する方式から、道路および周辺環境に能動的に対応して照明する方式に進化してきており、暗い道路では照度を増加させ、明るい道路では照度を減少させる方式のヘッドランプも適用されている。これとともに、自車両と同じ方向に走行中の先行車両、または自車両と反対方向に走行して自車両に接近する対向車両のような前方車両の運転者に眩しさを最小化できるようにヘッドランプが制御される技術が適用されている。
【0003】
最近、活発な研究が進められている知能型ヘッドランプシステムのうち、アダプティブドライビングビーム(Adaptive Driving Beam:ADB)ヘッドランプシステムは、カメラ連動ヘッドランプシステムであって、車両前方に装着されたカメラで認識する前方車両がない場合(すなわち、カメラによって前方車両からの光源が認識されない場合)、ハイビーム(High−Beam)で動作し、カメラで前方車両を認識すれば(すなわち、カメラによって他車両からの光源が認識される場合)、前方車両の最外角角度を計算して、前方車両の領域には眩しさを防止するためのロービーム(Low−Beam)を照射し、前方車両の領域を除いた領域にはハイビーム(High−Beam)を照射する方式で動作する。このようなアダプティブドライビングビームヘッドランプシステムは、スイベル(Swivel)アクチュエータの駆動によるスイベルタイプと、LED点消灯によるマトリクスタイプとに区分され、アダプティブドライビングビームヘッドランプを介して自車両の運転者の前方視認性が向上し、前方車両の運転者への眩しさを防止することができる。
【0004】
前方車両の運転者のグレア(Glare)を防止するためには、前方車両に対して正確なGFA(Glare Free Area)または暗影帯の設定が必ず優先されなければならない。しかし、現在、暗影帯の設定が前方車両からの光源をカメラで認識するカメラ映像処理アルゴリズムに完全に依存している。そのため、自車両と前方車両との間の位置変化が急激になる苛酷な走行環境では、カメラの映像処理速度の限界によって暗影帯の設定が位置変化に追従できず、結果的に前方車両の運転者にグレアを誘発する。
【0005】
前方車両の運転者に誘発されるグレアを防止するために暗影帯を一括的に拡張することが考えられるが、過度な暗影帯領域は、自車両運転者の視認性を低下させてアダプティブドライビングビームヘッドランプシステムの性能低下をもたらすTrade Offの関係にあるため、自車両と前方車両との間の位置変化が急激になる苛酷な走行環境で暗影帯領域を最適化させる必要性が存在する。
【0006】
本発明の背景技術は、大韓民国登録特許公報第10−1491343号(2015.02.06.公告)に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、本発明の一側面による目的は、自車両と前方車両との間の位置変化が急激になる苛酷な走行環境で暗影帯領域を最適化させることにより、前方車両の運転者に誘発されるグレアを防止するためのヘッドランプ制御装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面によるヘッドランプ制御装置は、前記車両の前方映像を取得する映像取得部と、前記車両の走行環境情報および走行状態情報の1つ以上を含む走行情報を取得する走行情報取得部と、前記映像取得部によって取得された前方映像に基づいて把握される前方車両の位置に対する暗影帯領域(Shadow Area)を決定し、前記決定された暗影帯領域に応じてヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報取得部によって取得された走行情報に基づいて前記暗影帯領域を可変的に調節することにより、ヘッドランプの光照射を制御する制御部とを含
み、前記暗影帯領域は、暗影帯主領域および暗影帯マージン領域を含み、前記制御部は、前記前方車両の位置に相当する領域を前記暗影帯主領域に決定し、前記暗影帯主領域の左右側に対して予め設定された暗影帯マージン領域を決定して前記ヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報に基づいて前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することにより、前記ヘッドランプの光照射を制御し、前記走行環境情報は、前記車両が走行中の道路の車線情報を含み、前記制御部は、前記車線情報から把握される、前記車両の走行時点における道路の曲率の大きさおよび方向に対応して前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することを特徴とする。
【0011】
本発明において、前記制御部は、前記道路の曲率の大きさが予め設定された基準曲率以上の場合にのみ前記暗影帯マージン領域を拡張させるが、前記道路の曲率が大きいほど前記暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることを特徴とする。
【0012】
本発明において、前記制御部は、前記道路の曲率方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、前記道路の曲率方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることを特徴とする。
【0013】
本発明において、前記走行状態情報は、前記車両の操舵ホイールの操舵角を含み、前記制御部は、前記操舵角の大きさおよび方向に基づいて前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することを特徴とする。
【0014】
本発明において、前記制御部は、前記操舵角の大きさが予め設定された基準操舵角以上の場合にのみ前記暗影帯マージン領域を拡張させるが、前記操舵角が大きいほど前記暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることを特徴とする。
【0015】
本発明において、前記制御部は、前記操舵角の方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、前記操舵角の方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることを特徴とする。
【0016】
本発明の一側面によるヘッドランプ制御方法は、映像取得部によって、車両の前方映像を取得するステップと、走行情報取得部によって、前記車両の走行環境情報および走行状態情報の1つ以上を含む走行情報を取得するステップと、制御部によって、前記映像取得部によって取得された前方映像に基づいて把握される前方車両の位置に対する暗影帯領域(Shadow Area)を決定し、前記決定された暗影帯領域に応じてヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報取得部によって取得された走行情報に基づいて前記暗影帯領域を可変的に調節することにより、ヘッドランプの光照射を制御するステップとを含
み、前記暗影帯領域は、暗影帯主領域および暗影帯マージン領域を含み、前記ヘッドランプの光照射を制御するステップにおいて、前記制御部は、前記前方車両の位置に相当する領域を前記暗影帯主領域に決定し、前記暗影帯主領域の左右側に対して予め設定された暗影帯マージン領域を決定して前記ヘッドランプの光照射を制御するが、前記走行情報に基づいて前記暗影帯マージン領域を可変的に調節することにより、前記ヘッドランプの光照射を制御し、前記走行環境情報は、前記車両が走行中の道路の車線情報を含み、前記ヘッドランプの光照射を制御するステップは、前記制御部が、前記車線情報から把握される、前記車両の走行時点における道路の曲率の大きさおよび方向に対応して前記暗影帯マージン領域を可変的に調節するステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の一側面によれば、本発明は、道路の曲率または車両の操舵状態に応じてヘッドランプの暗影帯領域を可変的に調節することにより、自車両と前方車両との間の位置変化が急激になる苛酷な走行環境で暗影帯領域を最適化させて、前方車両の運転者に誘発されるグレアを取り除くことができ、これによって、従来のカメラの映像処理速度の限界による暗影帯の調節性能の低下が補償され、アダプティブドライビングビームヘッドランプシステムの性能が改善できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御装置を説明するためのブロック構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御方法を説明するためのフロー図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御方法を説明するためのフロー図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御方法を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付した図面を参照して、本発明に係るヘッドランプ制御装置および方法の一実施例を説明する。この過程において、図面に示された線の厚さや構成要素の大きさなどは、説明の明瞭性と便宜上誇張されて示されていてもよい。また、後述する用語は、本発明における機能を考慮して定義された用語であって、これは、使用者、運用者の意図または慣例によって異なる。そのため、これらの用語に対する定義は、本明細書全般にわたる内容に基づいて行われなければならない。
【0020】
以下に説明する本実施形態のヘッドランプ(HEADLAMP)は、アダプティブドライビングビームヘッドランプシステムに適用されるヘッドランプである例として説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御装置を説明するためのブロック構成図である。
【0022】
図1を参照すれば、本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御装置は、映像取得部100と、走行情報取得部200と、制御部300とを含むことができる。
【0023】
映像取得部100は、車両の前方映像を取得することができる。映像取得部100は、アダプティブドライビングビームヘッドランプシステムに適用され、前方車両からの光源を認識するカメラセンサで実現できる。
【0024】
走行情報取得部200は、車両の走行情報を取得することができ、車両の走行情報は、走行環境情報および走行状態情報の1つ以上を含むことができる。
【0025】
走行環境情報は、車両が走行中の道路の車線情報を含むことができ、走行情報取得部200は、車両に適用された車線維持補助システム(LKAS:Lane Keeping Assist System)または車線離脱警告システム(LDWS:Lane Departure Warning System)に用いられる車線情報を前記各システムから受信する方式により車線情報を取得することができる。
【0026】
走行状態情報は、車両に装着された操舵ホイールの操舵角を含むことができ、走行情報取得部200は、操舵角センサを介して操舵ホイールの操舵角を取得することができる。
【0027】
制御部300は、映像取得部100によって取得された前方映像に基づいて把握される前方車両の位置に対する暗影帯領域(Shadow Area)を決定し、決定された暗影帯領域に応じてヘッドランプHEADLAMPの光照射を制御することができる。ここで、前方車両は、車両の走行方向に走行中の先行車両、または車両の走行方向と反対方向に走行して車両に接近する対向車両を意味することができる。制御部300は、映像取得部100によって取得された前方映像のうち前方車両の光源を認識し、前方車両の最外角角度を計算して前方車両の位置に対する暗影帯領域を決定することができ、決定された暗影帯領域に応じてヘッドランプHEADLAMPの光照射を制御することができる。ヘッドランプHEADLAMPに対する制御部300の光照射制御方式は、スイベル(Swivel)アクチュエータの駆動によるスイベル方式、またはヘッドランプHEADLAMPのLEDアレイ点消灯によるマトリクス方式が適用可能である。
【0028】
暗影帯領域は、暗影帯主領域および暗影帯マージン領域を含むことができる。制御部300は、前方車両の位置に相当する領域を暗影帯主領域に決定し、前方車両の運転者のグレアを防止するために、暗影帯主領域の左右両側に対して暗影帯マージン領域(左側暗影帯マージン領域および右側暗影帯マージン領域)を決定することができる。暗影帯マージン領域の初期の大きさは、ランプの仕様および設計者の意図などを考慮して多様に設計可能である。
【0029】
このとき、前述のように、車両が曲線道路を走行する場合、または運転者が所定値以上の操舵角で操舵をする場合などの苛酷な走行環境では車両を基準として前方車両の位置が急激に変化することがある。そのように前方車両の位置が急激に変化すると、カメラの映像処理速度の限界によって制御部300による暗影帯領域の大きさの設定が前方車両の位置変化を追従できない。そのため、前方車両が暗影帯マージン領域を速やかに抜け出すことにより、前方車両の運転者にグレアが発生する問題が生じる。
【0030】
そこで、本実施形態は、走行情報取得部200によって取得された走行情報に基づいて暗影帯領域を可変的に調節して、苛酷な走行環境での暗影帯領域を最適化させてヘッドランプHEADLAMPの光照射を制御することにより、前方車両の運転者に誘発されるグレアを防止する構成を採用する。
【0031】
まず、走行環境情報を考慮して暗影帯領域を可変的に調節する構成について説明する。
【0032】
前述のように、走行環境情報は、車両が走行中の道路の車線情報を含むことができ、制御部300は、走行情報取得部200から伝達された道路の車線情報を分析してその良好度(Quality)を判断することができる。車線情報の良好度の判断は、道路の曲率方向および大きさの算出、並びに暗影帯マージン領域の調節上の精度を保障するための前提となる。
【0033】
車線情報の良好度が設定値以上と判断された場合、制御部300は、車線情報から把握される道路の曲率の大きさおよび方向に基づいて暗影帯マージン領域を可変的に調節することができる。
【0034】
道路の曲率の大きさに関連し、制御部300は、道路の曲率の大きさが予め設定された基準曲率以上の場合にのみ暗影帯マージン領域を拡張させることができ、このとき、道路の曲率が大きいほど暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることができる。
【0035】
すなわち、道路の曲率の大きさが基準曲率未満の場合であって、前方車両の位置変化が比較的大きくない場合、暗影帯マージン領域を調節しなくても、現在設定された暗影帯領域だけで前方車両の運転者のグレアを防止できるので、制御部300は、道路の曲率の大きさが予め設定された基準曲率以上の場合にのみ暗影帯マージン領域を拡張させることができる。基準曲率は、設計者の意図および実験的結果に基づいて多様に設計されて制御部300に予め設定されていてもよい。
【0036】
そして、道路の曲率が大きいほど前方車両の位置変化が大きくて、現在設定された暗影帯マージン領域を前方車両がより速やかに抜け出せるので、制御部300は、道路の曲率が大きいほど暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることができる。
【0037】
道路の曲率方向に関連し、制御部300は、道路の曲率方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、道路の曲率方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることができる。
【0038】
すなわち、現在走行中の道路の曲率方向が右側方向の場合、前方車両は、車両の縦方向に延びる基準軸対比で左側に位置するため、制御部300は、左側暗影帯マージン領域を拡張させて前方車両が拡張される暗影帯マージン領域に含まれるようにできる。そして、現在走行中の道路の曲率方向が左側方向の場合、前方車両は、車両の縦方向に延びる基準軸対比で右側に位置するため、制御部300は、右側暗影帯マージン領域を拡張させて前方車両が拡張される暗影帯マージン領域に含まれるようにできる。
【0039】
次に、走行状態情報を考慮して暗影帯領域を可変的に調節する構成について説明する。
【0040】
前述のように、走行状態情報は、車両の操舵ホイールの操舵角を含むことができ、これによって、制御部300は、操舵角の大きさおよび方向に基づいて暗影帯マージン領域を可変的に調節することができる。
【0041】
操舵角の大きさに関連し、制御部300は、操舵角の大きさが予め設定された基準操舵角以上の場合にのみ暗影帯マージン領域を拡張させることができ、このとき、操舵角が大きいほど暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることができる。
【0042】
すなわち、操舵角の大きさが基準操舵角未満の場合であって、車両の横方向の位置変化が比較的大きくない場合、暗影帯マージン領域を調節しなくても、現在設定された暗影帯領域だけで前方車両の運転者のグレアを防止できるので、制御部300は、操舵角の大きさが予め設定された基準操舵角以上の場合にのみ暗影帯マージン領域を拡張させることができる。基準操舵角は、設計者の意図および実験的結果に基づいて多様に設計されて制御部300に予め設定されていてもよい。
【0043】
そして、操舵角が大きいほど車両の横方向の位置変化が大きくて、現在設定された暗影帯マージン領域を前方車両がより速やかに抜け出せるので、制御部300は、操舵角が大きいほど暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることができる。
【0044】
操舵角の方向に関連し、制御部300は、操舵角の方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、操舵角の方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることができる。
【0045】
具体的には、操舵角の方向が右側方向の場合、前方車両は、車両の縦方向に延びる基準軸対比で左側に位置するため、制御部300は、左側暗影帯マージン領域を拡張させて前方車両が拡張される暗影帯マージン領域に含まれるようにできる。そして、操舵角の方向が左側方向の場合、前方車両は、車両の縦方向に延びる基準軸対比で右側に位置するため、制御部300は、右側暗影帯マージン領域を拡張させて前方車両が拡張される暗影帯マージン領域に含まれるようにできる。
【0046】
図2〜
図4は、本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御方法を説明するためのフロー図である。
【0047】
図2を参照して、本発明の一実施形態に係るヘッドランプ制御方法を説明すれば、まず、映像取得部100は、車両の前方映像を取得する(S100)。
【0048】
次に、走行情報取得部200は、車両の走行環境情報および走行状態情報の1つ以上を含む走行情報を取得する(S200)。
【0049】
次に、制御部300は、S100ステップで取得された前方映像に基づいて把握される前方車両の位置に対する暗影帯領域(Shadow Area)を決定し、決定された暗影帯領域に応じてヘッドランプHEADLAMPの光照射を制御する(S300)。このとき、制御部300は、S200ステップで取得された走行情報に基づいて暗影帯領域を可変的に調節することにより、ヘッドランプHEADLAMPの光照射を制御する(S300)。
【0050】
暗影帯領域は、暗影帯主領域および暗影帯マージン領域を含むことができ、これによって、S300ステップにおいて、制御部300は、前方車両の位置に相当する領域を暗影帯主領域に決定し、暗影帯主領域の左右側に対して予め設定された暗影帯マージン領域を決定してヘッドランプHEADLAMPの光照射を制御するが、走行情報に基づいて暗影帯マージン領域を可変的に調節することにより、ヘッドランプHEADLAMPの光照射を制御する。
【0051】
一方、走行環境情報は、車両が走行中の道路の車線情報を含み、これによって、S300ステップは、制御部300が車線情報から把握される道路の曲率の大きさおよび方向に基づいて暗影帯マージン領域を可変的に調節するS310ステップを含むことができる。
【0052】
S310ステップにおいて、制御部300は、道路の曲率の大きさが予め設定された基準曲率以上の場合にのみ暗影帯マージン領域を拡張させるが、道路の曲率が大きいほど暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることができる。また、S310ステップにおいて、制御部300は、道路の曲率方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、道路の曲率方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることができる。
図3は、S310ステップの具体的な実現例を示す。
図3で、基準曲率の大きさは、基準曲率(1)から基準曲率(N)へいくほど増加し、マージン拡張量の大きさは、マージン拡張量(1)からマージン拡張量(N−1)へいくほど増加する。Nは、1以上の自然数であって、設計者の意図によって多様に選択可能である。
【0053】
一方、走行状態情報は、車両の操舵ホイールの操舵角を含み、これによって、S300ステップは、制御部300が操舵角の大きさおよび方向に基づいて暗影帯マージン領域を可変的に調節するS320ステップを含むことができる。
【0054】
S320ステップにおいて、制御部300は、操舵角の大きさが予め設定された基準操舵角以上の場合にのみ暗影帯マージン領域を拡張させるが、操舵角が大きいほど暗影帯マージン領域をより大きく拡張させることができる。また、S320ステップにおいて、制御部300は、操舵角の方向が右側方向の場合、左側暗影帯マージン領域を拡張させ、操舵角の方向が左側方向の場合、右側暗影帯マージン領域を拡張させることができる。
図4は、S320ステップの具体的な実現例を示す。
図4で、基準操舵角の大きさは、基準操舵角(1)から基準操舵角(N)へいくほど増加し、マージン拡張量の大きさは、マージン拡張量(1)からマージン拡張量(N−1)へいくほど増加する。Nは、1以上の自然数であって、設計者の意図によって多様に選択可能である。
【0055】
このように、本実施形態は、道路の曲率または車両の操舵状態に応じてヘッドランプの暗影帯領域を可変的に調節することにより、自車両と前方車両との間の位置変化が急激になる苛酷な走行環境で暗影帯領域を最適化させて、前方車両の運転者に誘発されるグレアを取り除くことができ、これによって、従来のカメラの映像処理速度の限界による暗影帯の調節性能の低下が補償され、アダプティブドライビングビームヘッドランプシステムの性能が改善できる。
【0056】
以上、本発明は、図面に示された実施例を参照して説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当該技術の属する分野における通常の知識を有する者であれば、これより多様な変形および均等な他の実施例が可能である点を理解するであろう。したがって、本発明の技術的保護範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められなければならない。
【符号の説明】
【0057】
100:映像取得部
200:走行情報取得部
300:制御部
HEADLAMP:ヘッドランプ