特許第6839824号(P6839824)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6839824基材表面に微細凸凹層を設けた放熱シートおよび放熱部材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6839824
(24)【登録日】2021年2月18日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】基材表面に微細凸凹層を設けた放熱シートおよび放熱部材
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20210301BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   H01L23/36 Z
   H01L23/36 D
   H05K7/20 A
【請求項の数】3
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-549088(P2018-549088)
(86)(22)【出願日】2017年11月2日
(86)【国際出願番号】JP2017039836
(87)【国際公開番号】WO2018084272
(87)【国際公開日】20180511
【審査請求日】2020年10月27日
(31)【優先権主張番号】特願2016-215613(P2016-215613)
(32)【優先日】2016年11月2日
(33)【優先権主張国】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315018565
【氏名又は名称】株式会社グローバルアイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000822
【氏名又は名称】特許業務法人グローバル知財
(72)【発明者】
【氏名】岩田 修司
【審査官】 井上 弘亘
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−232482(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/142036(WO,A1)
【文献】 特開2011−096989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/36
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体の熱を表面全域に拡散する熱伝導体と、
前記熱伝導体の表面側に、微細凸凹層を有する基材を備え、
前記微細凸凹層は二酸化ケイ素を含む無機化合物から成る層であり、
前記微細凸凹層の表面積の大きさは、該微細凸凹層を設けない時の平らな前記基材の表面側の面積に比べて10倍以上であり、
前記微細凸凹層は、1)アルカリ金属塩ケイ酸化合物の溶液、2)超微粒子二酸化ケイ素化合物の溶液、3)上記1)又は2)の何れかの溶液に対して、アルコール類、有機化合物、無機化合物及び水を混合して調製された溶液、の何れかを用いて前記基材の上に形成させた塗布膜であり、
前記微細凸凹層は、帯電防止性、防汚性および透過率向上性を有することを特徴とする放熱シート。
【請求項2】
前記微細凸凹層の凸部は、高さが1μm未満、密度が100個/1μm以上であることを特徴とする請求項1の放熱シート。
【請求項3】
前記微細凸凹層の凸部において、凸部の側面の表面積の大きさが、凸部の底面積の大きさの10倍以上であることを特徴とする請求項1又は2の放熱シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発熱体からの熱を効果的に外部に放射する放射シートおよび放熱部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子機器等に使用されている集積回路(IC)等の電子部品は、その集積度の向上及び動作の高速化により消費電力が増大することによって発熱量も増大しており、これば電子機器の誤動作や電子部品自体の故障の一因となっているため、その放熱対策が大きな問題となっている。電子機器等においては、その使用中に電子部品(発熱体)の温度上昇を抑えるために、発熱体の上に熱伝導率の高い無機基材(熱伝導体)を設け、さらに熱伝導体の表面に遠赤外線放射効果を有する熱放射層(熱放射体)を設けた放熱シートが使用されている。このような放熱シートは、熱伝導体により熱を熱伝導体の表面全域に拡散させ、拡散された熱を熱放射体の表面から効率的に外部に放射するものである。
【0003】
しかしながら、発熱部品の密度が急速に増加している現在においては、その熱放射能力は十分でないため発熱体の温度の低下が思うように下がらず、発熱部の形状に対応した温度の高いヒートスポットが発生する。その結果、部品の高温化による電子機器の誤動作や、電子部品自体の故障が発生する。
このような電子部品の発熱問題を解決するために、特許文献1では、発熱体に密着させて設けた熱伝導用アルミ基材の上に遠赤外線放射による冷却効果を高めるための、遠赤外線高放射皮膜を形成したものがある。しかし、アルミ基材の表面には厚さが一定の遠赤外線放射被膜が形成されているだけなので放射面積の大きさが限定され、アルミ基材からの熱が十分に外部に放射されず、その結果、発熱体の温度が十分に低下せず、電子機器の誤動作や、電子部品自体の故障に繋がることになる。
【0004】
また、特許文献2では、熱伝導体であるグラファイトフィルムの表面に赤外線放射効果を有する可撓性の熱放射膜を設けた構成のものが提案されている。しかし、特許文献2の内容は、グラファイトフィルムの表面に二酸化珪素、酸化アルミニウムのいずれかを含有する液状体を塗布、乾燥させて熱放射膜を形成したものであるが、軽量性、加工性、柔軟性の実現を主目的としており、発熱体の温度を外部に効果的に放射できることが十分に提示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5083578号公報
【特許文献2】特開2008−78380号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如く、特許文献1では発熱体に密着させたアルミ基材の表面に、厚さが一定の遠赤外線放射被膜が形成されているだけなので放射面積の大きさが限定され、熱伝導体のアルミ基材からの熱が十分に外部に放射されず、その結果、発熱体の温度が十分に低下せず、電子機器の誤動作や電子部品自体の故障の原因となっていた。また、特許文献2ではグラファイトフィルムの表面に二酸化珪素、酸化アルミニウムのいずれかを含有する液状体を塗布、乾燥させた熱放射膜を形成し、軽量性、加工性、柔軟性の実現を図っているが、発熱体の温度を外部に効果的に放射できるのか明らかではない。
【0007】
上記状況を鑑みて、本発明は、発熱体の温度を外部に効果的に放射できる放熱シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決すべく、本発明の放熱シートは、発熱体の熱を表面全域に拡散する熱伝導体と、熱伝導体の表面側に、微細凸凹層を有する基材を備え、微細凸凹層は二酸化ケイ素を含む無機化合物から成る層であり、微細凸凹層の表面積の大きさは、該微細凸凹層を設けない時の平らな基材の表面側の面積に比べて10倍以上であることを特徴とする。
これにより、放熱シートと空気との熱伝達率が格段に上がる、すなわち熱抵抗が格段に小さくなるので、発熱体の熱エネルギーを効果的に外部に放射できる。その結果、発熱体の温度を大きく下げることが可能となる。
発熱体の熱を表面全域に拡散する熱伝導体と、熱伝導体の表面側に設けられ、微細凸凹層が表面に形成された基材、を備え、微細凸凹層の凸部は、高さが1μm未満、密度が100個/1μm以上である。より好ましくは、微細凸凹層の凸部は、高さが200nm以下、密度が400個/1μm以上である。
ここで、基材は、金属やカーボン系の無機材料が好ましい。熱伝導率が高く、瞬時にして発熱体の熱を熱伝導体の表面全域に拡散できるからである。
【0009】
本発明の放熱シートの凸部において、凸部の側面の表面積の大きさが、凸部の底面積の大きさの10倍以上である。より好ましくは、凸部の側面の表面積の大きさが、凸部の底面積の大きさの14倍以上であり、更に好ましくは、凸部の側面の表面積の大きさが、凸部の底面積の大きさの14.88倍以上である。
【0010】
本発明の放熱シートにおける微細凸凹層は、下記1)〜3)の何れかを用いて基材の上に形成させた塗布膜である。この微細凸凹層は、帯電防止性、防汚性、透過率向上性の機能を有する。
1)アルカリ金属塩ケイ酸化合物の溶液
2)超微粒子二酸化ケイ素化合物の溶液
3)上記1)又は2)の何れかの溶液に対して、アルコール類、有機化合物、無機化合物及び水を混合して調製された溶液
【0011】
本発明は。発熱体の少なくとも一つの面で接合し密着した基材から成る放熱部材であって、基材は、発熱体と接合する面以外の少なくとも一つの面に微細凸凹層が形成され、微細凸凹層は二酸化ケイ素を含む無機化合物から成る層であり、微細凸凹層の表面積の大きさは、該微細凸凹層を設けない時の平らな基材の表面側の面積に比べて10倍以上であることを特徴とする。
これにより、放熱シートと空気との熱伝達率が格段に上がる、すなわち熱抵抗が格段に小さくなるので、発熱体の熱エネルギーを効果的に外部に放射できる。その結果、発熱体の温度を大きく下げることが可能となる。
【0012】
本発明の放熱部材において、微細凸凹層の凸部は、高さが1μm未満、密度が100個/1μm以上であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の放熱部材は、発熱体を覆う基材から成る放熱部材であって、基材は、少なくとも一つの面に微細凸凹層が形成され、微細凸凹層の凸部は、高さが1μm未満、密度が100個/1μm以上である。
【0014】
本発明の放熱部材において、より好ましくは、微細凸凹層の凸部は、高さが200nm以下、密度が400個/1μm以上である。また、本発明の放熱部材の凸部において、凸部の側面の表面積の大きさが、凸部の底面積の大きさの10倍以上である。より好ましくは、凸部の側面の表面積の大きさが、凸部の底面積の大きさの14倍以上であり、更に好ましくは、凸部の側面の表面積の大きさが、凸部の底面積の大きさの14.88倍以上である。
【0015】
本発明の放熱部材における微細凸凹層は、下記1)〜3)の何れかを用いて基材の上に形成させた塗布膜である。
1)アルカリ金属塩ケイ酸化合物の溶液
2)超微粒子二酸化ケイ素化合物の溶液
3)上記1)又は2)の何れかの溶液に対して、アルコール類、有機化合物、無機化合物及び水を混合して調製された溶液
【0016】
本発明の放熱シートの作製方法は、下記ステップを備える。
1)発熱体の熱を表面全域に拡散する熱伝導体の表面側に基材を設けるステップ
2)基材の表面に、二酸化ケイ素を含む無機化合物の液剤を塗布して乾燥させて、基材の表面側の面積に比べて10倍以上の表面積を有する微細凸凹層を形成するステップ
【0017】
本発明の放熱の作製方法は、発熱体の少なくとも一つの面で接合し密着した基材から成る放熱部材の作製方法であって、基材に対して、発熱体と接合する面以外の少なくとも一つの面に、二酸化ケイ素を含む無機化合物の液剤を塗布して乾燥させて、基材の表面側の面積に比べて10倍以上の表面積を有する微細凸凹層を形成するステップを備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明の放熱シートは、熱放射体の表面に微細凸凹層を形成して、発熱体からの熱を効果的に外部に効率的に放射できるといった効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例1の放熱シートの断面図
図2】実施例1の放熱シートの微細凸凹層表面の観察画像
図3】実施例1の放熱シートの微細凸凹層の構成要素を四角錐としたモデルの寸法図
図4】実施例1の放熱シートの微細凸凹層の構成要素を円錐としたモデルの寸法図
図5】(A)実施例1の放熱シートの微細凸凹層が熱放射テープ上に形成された様子を示す画像、(B)実施例1の放熱シートの微細凸凹層がアクリル樹脂上に形成された様子を示す画像、(C)実施例1の放熱シートの微細凸凹層の防汚性の確認画像、(D)実施例1の放熱シートの微細凸凹層の光透過性の確認画像。
図6】実施例2の放熱シートの断面図
図7】実施例2の放熱シートのヒートシンクの断面図
図8】実施例2の放熱シートを応用したラジエータの断面図
図9】実施例2の放熱シートを応用した太陽電池モジュールの断面図
図10】実施例3の放熱シートを応用した直管形LEDランプの断面図(1)
図11】実施例3の放熱シートを応用した直管形LEDランプの断面図(2)
図12】実施例3の放熱シートを応用した直管形LEDランプの断面図(3)
図13】実施例3の放熱シートを応用した直管形LEDランプの断面図
図14】実施例3の放熱シートを応用したLEDスポットライトの外観図
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の放熱シートの一実施形態の断面図を示している。図1の断面図に示すように、放熱シート1は、微細凸凹層2、熱放射体3、粘着層(A)4、熱伝導体5及び粘着層(B)6より構成される。放熱シート1は、熱伝導体5の底面側に設けられている粘着層(B)6に、熱源となる電子部品などの発熱体(図示せず)を貼り付け、あるいは、発熱体を密着して使用される。熱伝導体5は、発熱体からの熱を熱伝導体5の表面全域に拡散させるために用いる。
熱拡散された熱伝導体5の表面側には、粘着層(A)4が設けられている。熱伝導体5は、粘着層(A)4を介して、空気中に効率よく熱放射させるための熱放射体3と貼り合わされている。或は、熱伝導体5を、熱放射体3と密着させる。熱放射体3の表面側には、熱放射効率をさらに高めるために放射面積を拡大させるための微細凸凹層2を設ける。熱放射体3の表面側に微細突起形状を有した微細凸凹層2を設けて、熱放射体3と空気との熱伝達率を上げ効果的に熱放射させるのである。
【0022】
熱伝導体5は、一般には熱伝導率の大きい金属、カーボン系の無機材料の基材を用いる。特に、カーボン系の一つであるグラファイトやグラフェンを用いると熱伝導率が高く、瞬時にして発熱体の熱を熱伝導体5の表面全域に拡散できるので、熱伝導体5の材料としては好適である。材料コストを考慮すると有機材料を用いても良いが、熱伝導率が低いので注意が必要である。
熱放射体3は、一般には価格面で有利なPET(Polyethylene terephthalate)フィルムを用いることが多いが、熱放射率が遠赤外線領域で0.5〜0.7と低いので、熱放射効率を上げるために熱放射率が0.9以上の黒体シートや高熱放射シート等を用いることもある。
【0023】
熱放射体3の表面側に微細突起形状を形成する微細凸凹層2の効果は、ニュートンの冷却法則を用いて説明できる。すなわち、物体(物質)間の熱移動は接触面での熱伝達によって起こり、その熱移動量は接触面積の大きさに比例する。すなわち、2つの物質間の接触面積が大きいほど、大きな熱移動が起こる。これが、ニュートンの冷却法則の基本概念である。
【0024】
図1に示す熱放射体3から空気中に放射される熱の量は、熱放射体3の表面積や、熱放射体3と空気の温度差に比例する。すなわち熱放射体3の持つ熱量Q、時刻t、熱放射体3の表面積S(空気と接触している面積)、熱放射体3の温度T、空気の温度Tの間には下記の数式1の関係が成り立つ。これが、ニュートンの冷却法則である。
ここで比例定数αは、熱放射体3の接触面形状、空気の性質および空気の流れ方などによって決まる定数(熱伝達率)である。
【0025】
(数1)
−dQ/dt = α・S (T−T) ・・・(式1)
【0026】
このように熱放射体3の表面に、空気との接触面積Sを増加させるために微細凸凹層2を設けることにより、熱放射体3の熱を効率よく空気中に放射できる。この作用により、発熱体の温度の低減が図れる。
【0027】
微細突起形状を面状に形成した微細凸凹層2は、超微粒子の二酸化ケイ素化合物を水溶液に混在した液剤や、二酸化ケイ素を主体とした無機化合物や有機化合物やアルコールや水に混在させた液剤を、無機基材あるいは有機基材の表面に塗布し、乾燥させることによって得ることができる。このように微細凸凹層は、水、アルコール、無機化合物、有機化合物の少なくとも一つ以上の液剤に二酸化ケイ素類を混合した混合液剤を無機基材あるいは有機基材の表面に塗布、乾燥させることによって得るものである。乾燥は、自然乾燥でもよいし、恒温槽などで強制的に乾燥させても良い。強制的に乾燥させる場合、短時間で無機基材あるいは有機基材の表面に微細凸凹層2を形成させることができるので、作業の効率化が図れる。
【0028】
図2は、超微粒子の二酸化ケイ素化合物を水溶液に混在した液剤をガラス基材に塗布、乾燥させた後の微細凸凹層2の表面を走査型プローブ顕微鏡で観察した画像である。この微細凸凹層2を構成する微細突起群は、1μmに概略400個以上の突起があり、突起1個の占める面積は、平均2.5nm以下である。また、微細突起群の底面からの高さは200nm以下であり、突起群の高さは15〜30nmと推定する。
微細凸凹層2は、ケイ素を主成分で構成された微細固形物である。微細固形物のケイ素の熱放射率は遠赤外線領域で0.9程度と大きく、熱放射体3に伝わってきた熱伝導体5の熱を空気中に効率よく放射することができる。また、熱伝導率についてもPETフィルムが1以下であるのに対して、ケイ素は148と高く、熱伝導という観点からも発熱体の熱を空気中に効率よく放射できるので、熱源となる発熱体の温度を効率よく低下させることが可能となる。
次に、熱放射体3の表面に形成されている微細凸凹層2の表面積を求める。微細凸凹層2の微細突起群の形状が、四角錐と円錐の2種類の形状のものでそれぞれ構成するものと仮定する。空気に接するのはこれらの側面にあたるので、それぞれについての側面面積を求める。
ここでは、微細突起群の高さを15〜30nmと推定したので、計算ではこの2つの値での側面部の面積(側面面積)を求め、底面部の面積(底面面積)と比べて何倍大きくなるかを計算する。
【0029】
(突起物が四角錐で高さxの場合)
図3は、微細突起1個の占める面積が2.5nmであり、微細突起形状を四角錐としたモデル図であり、この時の側面面積を求める。四角錐の場合、微細突起1個の占める底面面積を2.5nmとすると、一辺の長さは1.58nmである。
(1)高さxが15nmの場合
・側面面積 : 1.58 x 15÷2 x 4 = 47.4nm
・底面面積 : 1.58 x 1.58 = 2.5nm
これより、微細凸凹層2の側面面積は、底面が平坦であるとすると底面面積の大きさに対して、18.96倍の大きさとなる。
(2)高さxが30nmの場合
・側面面積 : 1.58 x 30÷2 x 4 = 94.8nm
・底面面積 : 1.58 x 1.58 = 2.5nm
これより、微細凸凹層の側面面積は、底面が平坦であるとすると底面面積の大きさに対して37.9倍の大きさとなる。
【0030】
(突起形状が円錐で高さyの場合)
図4は、微細突起1個の占める面積が2.5nmであり、突起形状を円錐としたモデル図であり、この時の側面面積を求める。ここで、底面部の占める面積は、一辺の長さを1.58nmの正方形とした。円錐の場合、突起1個の占める底面面積が2.5nmとすると、底面における直径は1.58nm(半径0.79nm)である。
(1)高さyが15nmの場合
ここで、微細突起物の高さが15nmの場合、母線の長さも15nmとおいた。
側面面積 : 3.14(π)x 0.79 x 15 = 37.2nm
底面面積 : 1.58 x 1.58 = 2.5nm
これより、微細凸凹層の側面面積は、底面が平坦であるとすると底面面積の大きさに対して14.88倍の大きさとなる。
(2)高さyが30nmの場合
ここで、突起物の高さが30nmの場合、母線の長さも30nmとおいた。
側面面積 : 3.14(π)x 0.79 x 30 = 74.42nm
底面面積 : 1.58 x 1.58 = 2.5nm
これより、微細凸凹層の側面面積は、底面が平坦であるとすると底面面積の大きさに対して29.77倍の大きさとなる。
【0031】
以上より、熱放射体3の表面に微細突起群より成る微細凸凹層2を設けることにより、表面が平坦な熱放射体3のみの表面積に比べ、微細凸凹層2を設けることによって表面積が14.88倍から37.9倍に増加することがわかる。
これはニュートンの冷却法則の関係から、発熱体の温度を低下させる方向にあることを意味している。このように図1に示す放熱シート1は、発熱体からの熱が微細突起群より成る微細凸凹層2を設けることにより、効率よく空気中に放射されるので微細凸凹層2のない熱放射体3のみの放熱シートに比べて、発熱体の温度上昇を大きく抑制することが可能となるのである。
ここでは図2の微細凸凹層2を構成する微細突起群の構造が1μmに概略400個以上の突起であり、突起1個の占める面積を平均2.5nm以下であるとして微細凸凹層2の面積を算出しているが、微細凸凹層2を設けることによって表面積が増加するのであれば突起の数が400個以下であっても構わないし、突起1個の占める面積が平均2.5nm以上で、微細突起群の底面からの高さが200nm以上であっても構わない。
【0032】
図5(A)は、熱放射体として製品化されているビッグテクノス製の熱放射テープ50 (品名:TP7623、熱放射率:0.9)の表面に、二酸化ケイ素を主体とした無機化合物を、有機化合物とアルコールと水に混在させた中央自動車工業製のエクセルピュア(製品名)液剤を塗布した様子を示すものである。熱放射テープ50は黒色を帯びている。何も処理を施さない状態(ブランク状態)の熱放射テープ50に水を滴下すると、水滴は符号52に示すような撥水状態を示す。熱放射テープ50の表面にエクセルピュア液剤を塗布し、乾燥させた後、水を滴下すると、撥水状態から一転して、水滴は符号53に示すような親水状態53に変わる。
ケイ素を主成分として構成された微細固形層は親水性を示すが、これにより、熱放射テープ50の表面にエクセルピュア液剤の乾燥した微細凸凹層2が形成されていることがわかる。
【0033】
図5(B)は、アクリル樹脂の上にエクセルピュア液剤を塗布し、乾燥させた状態における顕微鏡写真である。図5(B)より、図2に示すような微細突起群が熱放射テープ50の表面に形成されていることがわかる。ケイ素を主成分として構成された微細固形物は、空気中の水分と結びつく親水作用に起因する防汚効果や帯電防止効果を発現するので、粉塵や油類が飛散する悪環境で使用しても放熱シート1の上に粉塵が油類付着しにくい性質を有しており、信頼性の高い放熱シート1を得ることができる。
【0034】
図5(C)は、熱放射テープ50の上にエクセルピュア液剤を塗布、乾燥させて形成する微細凸凹層2の効果を確認するために、粉塵(ここでは小麦粉を使用)を熱放射テープ50に敷き詰め、小麦粉の付着性を調べた結果を示している。(イ)は、熱放射テープ50の左の領域にエクセルピュア液剤を塗布していないエリア、右の領域がエクセルピュア液剤を塗布しているエリアである。(ロ)は、両エリアに粉塵である小麦粉で覆った状態を示す。(ハ)は、熱放射テープ50を傾け、強制的に小麦粉を落下させて熱放射テープ50に小麦粉がどの程度付着されているかを観察したもので、エクセルピュア液剤が塗布されているエリアの小麦粉の付着量が大幅に少なくなっていることがわかる。これにより、エクセルピュア液剤により形成された微細凸凹層2の親水作用(防汚効果や帯電防止効果)により、エクセルピュア液剤が塗られた微細凸凹層2には放熱の増加効果以外に、粉塵の防汚作用があることがわかる。
【0035】
図5(D)は、透明な有機基材55の上にエクセルピュア液剤をバーコーターで片面に薄く塗布し、有機基材55上に形成させた微細凸凹層2が透過率向上作用を有するかを確認するためのサンプルである。使用した有機基材55は、透明ポリカーボネイトシート(出光興産製、品名LC1500、厚さ1mm)である。
ここで、(イ)は、有機基材55上にエクセルピュア液剤を塗布していないブランク状態のものである。ここに水を滴下すると撥水状態52を示す。(ロ)は、バーコーターでエクセルピュア液剤を有機基材55に塗布し、乾燥後に水を滴下した状態を示したものである。水を滴下すると有機基材55表面は親水状態53を示し、微細凸凹層2が形成されていることがわかる。
【0036】
次に、輝度計を用いて透過率を測定したところ、(イ)の有機基材55にエクセルピュア液剤を塗布していないブランク状態のものでは透過率が90%であるのに対し、エクセルピュア液剤を塗布し微細凸凹層2を形成した(ロ)の有機基材55の透過率は94%に向上していることが判った。これは、微細凸凹層2が、図2および図5(B)に示しているように微細凸凹形状が、ナノモスアイ構造と類似した作用により反射率が低下したものと推察する。このように透明な有機基材55の上に微細凸凹層2を設けられた有機基材55は、熱放射特性の向上と共に、光利用効率特性の向上が図られていることがわかった。このことから、照明デバイスやディスプレイデバイスに応用されている透明な有機基材の上に微細凸凹層2を形成することにより、熱放射効果と光取出し効果の両作用を同時に得ることが可能であることがわかる。
【実施例2】
【0037】
図6は、微細凸凹層2、第2の微細凸凹層7、熱放射体3、粘着層(A)4、熱伝導体5、粘着層(B)6より構成した放熱シート1aを示す。図1と異なるところは、粘着層(A)4側の熱放射体3の裏面に第2の微細凸凹層7を付与しているところである。第2の微細凸凹層7に親水性があるので、粘着層を形成するための粘着剤との濡れ性が向上することによりエア(微細な空気泡)の発生が抑えられ熱放射体3との密着力が向上すると共に、粘着層(A)4との接着面積も大きくなるので、熱伝導体5からの熱を効率的に熱放射体3に伝熱することが可能となる。
【0038】
図7は、微細凸凹層2、熱放射体のヒートシンク型金属基材9、粘着層(A)4、熱伝導体5、粘着層(B)6より構成したヒートシンク型放熱シート8を示す。図1と異なるところは、熱放射体として主にアルミ基材をベースにして用いられるヒートシンク型金属基材9の表面に微細凸凹層2が形成されたところである。発熱体の温度がさらに上昇する環境では、表面が平坦なヒートシンク型金属基材9では外部への熱放射が十分でなくなり発熱体の温度が下がらない可能性がある。
本実施例のヒートシンク型放熱シート8では、ヒートシンク型金属基材9の表面に微細凸凹層2を設けるので放射面積が増加し、その分、ヒートシンク型金属基材9からの熱放射が多くなるので、その結果、発熱体の温度が低下する。
【0039】
図8は、自動車、車両、エアコン等の熱交換器に使用されるラジエータ30の基本部分を示す。一般に自動車ではエンジンからウオーターポンプ(未記載)で送られてきた熱水を、放熱フィン31と冷却プレート32を用いて冷やし、冷やした水を循環してエンジンシステムを冷却する。ここで放熱フィン31に微細凸凹層2を設けることにより放熱面積が増加するので、放熱フィン31の熱が従来よりも多く放射し、その結果、エンジンの温度上昇が抑制され機械系、電子・電気系が安定に故障なく動作することが可能となる。
【0040】
図9は、太陽電池モジュールの断面図である。まず、太陽電池モジュール40の作製方法について簡単に説明する。熱強化白板ガラス41をベースにして、上EVA(Ethylene VinylAcetate)シート42、太陽電池セル43、下EVAシート44、耐光性フィルム45の順で重ね合わせたのち、ラミネート装置に導入し、このラミネート装置にて装置内部を真空排気しながら加熱することにより、上EVAシート42と下EVAシート44が溶けて太陽電池セル43が熱強化白板ガラス41に強固に接合し、図9に示す構成が作製できる。
【0041】
次に、フレーム46とシール材47を設けると太陽電池モジュール40が作製される。フレーム46とシール材47は、太陽電池モジュール40を屋外で長時間使う際の機械的強度の補強や水分の浸透を防ぐ目的のために設けられる。通常、フレーム46はアルマイト加工を施したアルミニウムフレームが使用される。シール材47は、耐熱老化性,耐薬品性,耐候性などの環境抵抗性や電気特性が良好であり、特に気体の透過性が小さいブチルゴムが使用される。耐光性フィルム45は、防湿性と絶縁性の能力の高いアルミニウムをフッ化ビニルフィルム(PVF:Poly−VinylFluoride)で挟んだ構造のシートが用いられる。
【0042】
太陽電池モジュール40は太陽の光を受けると、太陽電池セル43にて光から電気に変換され起電力として外部に取り出す。ここで、太陽光の光束量が多いと太陽電池セル43の光・電気の変換起電力が大きくなるので、太陽電池セル43の温度が上がる。太陽電池セル43は温度が上がれば変換効率が低下するので、日本の夏季のように太陽光の光束量が多い時期は、太陽電池モジュール40内の熱のため変換効率が大きく低下するので、何らかの熱対策が必要となる。
【0043】
ここに、本発明の微細凸凹層2を熱強化白板ガラス41、フレーム46や耐光性フィルム45の表面に設けることにより、太陽電池セル43で発生した熱が効果的に外部に放射され、この結果、太陽電池セル43の温度上昇が抑制され、太陽電池セル43は高効率に光・電気変換が行われる。
また、太陽電池モジュール40の表面に微細凸凹層2が形成されているので、粉塵やその他の汚れが付着しにくくなる。特に、熱強化白板ガラス41の表面に防汚作用が発現するので、太陽電池セル43への太陽光の照射を妨げるものが少なくなり、その分、光・電気変換量が増すことになる。また微細凸凹層2は、透過率向上効果があるので、その分、光・電気変換量が増すことになる。
【実施例3】
【0044】
図10は、直管形LEDランプ10の断面図である。電子基板15にはLED12を取り付けており、LED12の明るさ制御等を行う電子回路群が搭載されている。LED12から照射される光は、透明基材13を通して前方空間を照らす。電源14は電子基板15と一体化され、電子基板15に電圧を印加する。
アルミ基材11は、電子基板15や電源14類を機械的に保護すると共に、LED12、電源14、電子基板15に搭載されている電子回路群からの熱を外部に放射し、LED12や電子基板15に搭載されている電子回路群が安定に動作するように、あるいは故障が生じないように直管形LEDランプ10の管内温度の上昇を抑制する。
【0045】
しかし、アルミ基材11は熱伝導率が250程度と高いものの、熱放射率がアルマイト処理していても0.8以下であり、LEDや電源からの熱を効率よく外部に放射できないことや、最近の直管形LEDランプ10の高輝度化や高実装化により直管形LEDランプ10の管内温度がさらに高くなることによって、LED12の発光効率の低下と寿命の短命化を引き起こす。
【0046】
本発明では、これらの欠点を改善するために、アルミ基材11の外側に微細凸凹層2を設けてアルミ基材11の表面積を上げて熱を効率よく外部に放射すると共に、微細凸凹層2を形成するケイ素を主成分として構成する微細固形物の熱放射率が遠赤外線領域で0.9程度と大きいので管内の熱を外部に効果的に放射できる。これにより直管形LEDランプ10の管内温度の上昇が抑えられ、その結果、LED12の輝度低下が改善されると共に長寿命化が図られ、また電子基板15に搭載されている電子回路群の安定な動作ができると共に、故障発生を大幅に削減できる。
【0047】
図11は、図10に示す直管形LEDランプ10のアルミ基材11の内面に第3の微細凸凹層16を設けたものである。第3の微細凸凹層16は、LED12、電源14、電子基板15に搭載されている電子回路群からの熱を効率よくアルミ基材11に伝える効果を有する。これにより直管形LEDランプ10の管内温度の上昇が抑えられ、その結果、LED12の輝度低下が改善されると共に長寿命化が図られ、また電子基板15に搭載されている電子回路群の安定な動作ができると共に、故障発生を大幅に削減できる。
【0048】
図12は、透明基材13の表面に微細凸凹層2を設けたものである。LED12、電源14、電子基板15に搭載されている電子回路群からの熱放射を、透明基材13の内側に微細凸凹層2を設けることによって、透明基材13からも管内の熱を外部に効率よく放射させることができる。すなわち通常、透明基材13は熱伝導率が0.3以下と極めて小さいポリカーボネイトやアクリルの高分子樹脂が使用されているため、直管形LEDランプ10の管内の熱を、透明基材13を通して外部に放射することが困難となっているが、透明基材13の表面に微細凸凹層2を設けることによって、透明基材13の表面積が大きくなるのでLED12、電源14や電子基板15に搭載されている電子回路群からの熱を管外に、より多く放射することができる。その結果、LED12の輝度低下が改善されると共に長寿命化が図られ、また電子基板15に搭載されている電子回路群の安定な動作と故障発生の緩和につながる。
また、図5(D)で説明したように、透明基材13の表面に微細凸凹層2を設けると透明基材13の透過率が向上するので、その分、電源14からのLED12への供給電力を低くできるので、LED12や電源14の温度上昇が抑制され、熱によるLED12の輝度低下が改善されると共に長寿命化が図られ、また電子基板15に搭載されている電子回路群の安定な動作ができると共に、故障発生を削減することができる。
【0049】
図13は、図12に示す直管形LEDランプ10の透明基材13の内面に第4の微細凸凹層17と、LED表面に第5の微細凸凹層18を設けたものである。LED12、電源14、電子基板15に搭載されている電子回路群からの熱を、微細凸凹層2と第4の微細凸凹層17を透明基材13の表裏に設けることによって、外部に管内の熱を効率よく放射する効果を有する。また、LED12の表面に第5の微細凸凹層18を設けることにより、LED12が発生する熱も効率的に放射することができ、これによってLED12自体の熱を低下させることが可能となる。
これら微細凸凹層2、第4の微細凸凹層17と第5の微細凸凹層18の形成により、直管形LEDランプ10の管内温度の上昇が抑えられ、その結果、LED12の輝度低下が改善されると共に長寿命化が図られ、また電子基板15に搭載されている電子回路群の安定な動作と故障発生の緩和につながる。
図13では、透明基材13の表面に微細凸凹層2を、内面に第4の微細凸凹層17を設けているが、一方の面だけ設けても直管形LEDランプ10の管内の熱は低減する。
【0050】
図14は、LEDスポットライト20の外観図と、LED光学レンズ21の断面図である。カバー24の内部には、LED23の明るさ制御等を行う電子回路群(図示せず)や、電子回路群に電圧を供給する電源(図示せず)等が搭載されている。LED23から照射される光は、光学レンズ22を通して前方空間を照らす。カバー24は、通常、熱伝導率の高い金属が用いられる。カバー24に使用する金属として、アルミ基材は熱伝導率が高く、また軽量なので好適である。
しかし、カバー24の素材は金属に限らず、有機基材を用いても差し支えない。カバー24は、電子回路群や電源への機械的衝撃の保護や粉塵による電気系の信頼度低下を防止すると共に、電源、電子回路群やLED23からの熱を外部に放射し、LED23や電子回路群が安定に動作するように、あるいは故障が生じないようにカバー24内の温度の上昇を抑制する。
【0051】
最近のLEDスポットライト20の高輝度化や高密度化により、LEDスポットライト20の管内温度がさらに高くなることによってLED23の発光効率の低下と寿命の短命化を引き起こす。これらの欠点を改善するために、カバー24の外側に第7の微細凸凹層26を設けてカバー24の熱を放射する表面積を大きくすると共に、第7の微細凸凹層26を形成するケイ素を主成分として構成される微細固形物の熱放射率が遠赤外線領域で0.9程度と大きいので、LEDスポットライト20の管内の熱を外部に効果的に放射できる。
これによりLEDスポットライト20の管内温度の上昇が抑えられ、その結果、LED23の輝度低下が改善されると共に長寿命化が図られ、また電子回路群の安定な動作と故障の発生が大幅に緩和される。さらに、LED光学レンズ21を構成するLED23と光学レンズ22の表面に、第8の微細凸凹層27と第6の微細凸凹層25を設けると、さらにLED23の温度低減が図れる。また、図5(D)で説明したように光学レンズ22の表面に微細凸凹層27を設けると光取出し効率が上がり光束量の向上が図られるので、光束量が増加した分LEDスポットライト20への投入電力を小さくすることによって、電子回路群やLED23の温度上昇を抑制することができる。これによりLEDスポットライト20の管内温度の上昇が抑えられLED23の輝度低下が改善されると共に、電子回路群の安定な動作と故障の発生が大幅に緩和される。
【0052】
また、光学レンズ22の表面に第6の微細凸凹層25と、LED23表面に第8の微細凸凹層27を設けることによって、LED23と電源、電子回路群からの熱を外部に効率よく放射することができるので、LED23の輝度低下が改善されると共に長寿命化が図られる。第6の微細凸凹層25、第7の微細凸凹層26、第8の微細凸凹層27の形成は、図5(C)で述べているように、粉塵や油類の付着が緩和されるので、悪設置環境であってもLEDスポットライト20の設置が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、放熱シートに有用である。
【符号の説明】
【0054】
1,1a 放熱シート
2 微細凸凹層
3 熱放射体
4 粘着層(A)
5 熱伝導体
6 粘着層(B)
7 第2の微細凸凹層
8 ヒートシンク型放熱シート
9 ヒートシンク型金属基材
10 直管形LEDランプ
11 アルミ基材
12 LED
13 透明基材
14 電源
15 電子基板
17 第4の微細凸凹層
18 第5の微細凸凹層
20 LEDスポットライト
21 LED光学レンズ
22 光学レンズ
23 LED
24 カバー
25 第6の微細凸凹層
26 第7の微細凸凹層
27 第8の微細凸凹層
30 ラジエータ
31 放熱フィン
32 冷却水プレート
40 太陽電池モジュール
41 熱強化白板ガラス
42 上EVAシート
43 太陽電池セル
44 下EVAシート
45 耐光性フィルム
46 フレーム
47 シール材
50 熱放射テープ
51 液剤の塗膜領域
52 撥水状態
53 親水状態
55 有機基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14