(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6839858
(24)【登録日】2021年2月18日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】釣り糸を釣り竿のロッドリングに通すための釣り糸通しの補助具
(51)【国際特許分類】
A01K 97/00 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
A01K97/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2018-521461(P2018-521461)
(86)(22)【出願日】2016年7月8日
(65)【公表番号】特表2018-527018(P2018-527018A)
(43)【公表日】2018年9月20日
(86)【国際出願番号】DE2016200312
(87)【国際公開番号】WO2017008802
(87)【国際公開日】20170119
【審査請求日】2019年6月19日
(31)【優先権主張番号】102015008961.7
(32)【優先日】2015年7月15日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518015712
【氏名又は名称】アオリッヒ,マリオ
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】アオリッヒ,マリオ
【審査官】
大谷 純
(56)【参考文献】
【文献】
登録実用新案第3016668(JP,U)
【文献】
特開平06−133672(JP,A)
【文献】
特開2013−116091(JP,A)
【文献】
独国特許出願公開第19902199(DE,A1)
【文献】
特開2007−330107(JP,A)
【文献】
英国特許出願公開第02321066(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 97/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣り竿のロッドリングに、釣り糸(14)を通すための釣り糸挿入の補助具であって、該釣り糸(14)を締着するように固定するために糸の刻み目(12、112、312)が埋め込まれている、本質的に細長い本体(10、110)により特徴付けられ、
戻り止め具(120、320)が前記本体(110)の上に形成され、
前記戻り止め具(120、320)が、軸方向において向きを定められ、前記糸の刻み目(112、312)の方へ開いた前記本体(110)に埋め込まれたスロット(122)を含むことにおいて特徴付けられる、釣り糸挿入の補助具。
【請求項2】
前記糸の刻み目(12、112、312)がテーパーを付けて形成されることにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の釣り糸挿入の補助具。
【請求項3】
前記糸の刻み目(12、112、312)が軸方向において向きを定められることにおいて特徴付けられる、請求項1又は請求項2に記載の釣り糸挿入の補助具。
【請求項4】
前記糸の刻み目(12、112、312)の一端から始まり前記本体(10,110)の端部まで続く少なくとも1つの溝(18)が前記釣り糸(14)を受容するために形成されることにおいて特徴付けられる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の釣り糸挿入の補助具。
【請求項5】
前記糸の刻み目(12、112、312)の上に形成される縁(16)のどの部分も本体を越えて放射状に突出しないことにおいて特徴付けられる、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の釣り糸挿入の補助具。
【請求項6】
前記本体が少なくとも部分的に湾曲して形成されることにおいて特徴付けられる、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の釣り糸挿入の補助具。
【請求項7】
舌部(124)が前記本体(110)から放射状に少なくとも部分的に突出して前記スロット(122)の上に形成されることにおいて特徴付けられる、請求項1に記載の釣り糸挿入の補助具。
【請求項8】
圧力が掛かった前記舌部(124)のどの部分も本体を越えて放射状に突出しないように前記本体(110)へ入ることができるように、該舌部(124)が弾力的に構成されることにおいて特徴付けられる、請求項7に記載の釣り糸挿入の補助具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文による釣り竿のロッドリングに釣り糸を通すための釣り糸通しの補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
釣り竿で釣りをする間、新しい釣り糸を挿入しなければならない状況がしばしば発生する。そのプロセスの間、釣り糸の自由端は、この自由端がもつれて更に補助具が必要となる前に、ロッドに固定されたロッドリングに通されなければならない。釣り糸をロッドリングに通すため、ホルダー及び金属針を含む釣り糸を通す装置は、独国特許発明第19992199号明細書から公知であり、そこにおいて、ホルダーは、長手方向の溝が金属針を受容して導くために成形されるように間隔を置いて配置される2つの軸受面を含み、長手方向の溝の下の軸受面におけるホルダーは永久磁石を含む。独国特許発明第19902199号明細書による装置なしで釣り糸を通すこと、及び、独国特許発明第19902199号明細書による装置で様々なロッドリングに釣り糸を通すことは、非常に面倒であり、特にそのような釣り竿は非常に長い可能性があるために技術が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許発明第19902199号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それゆえに、本発明の目的は、釣り糸を素早くかつ容易に釣り竿のロッドリングに通すことができる上記のタイプの釣り糸通しの補助具を作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
その目的に対する技術的な解決法として、特許請求項1の特徴を有する上記のタイプの釣り糸通しの補助具が本発明によって提案される。その釣り糸通しの補助具の更に好都合な実施態様は、従属請求項から得ることができる。
【0006】
その技術的な教示により形成される釣り糸通しの補助具は、必要に応じて、また片手だけで釣り糸を単純なやり方で糸の刻み目に締着することができ、釣り人が個々のロッドリングを通じて糸を導くために釣り糸挿入の補助具を用いるという利点を有する。ロッドリングを通じた釣り糸挿入の補助具による糸通しは、なお非常に細い釣り糸をそれぞれに通すよりも明らかに容易である。釣り糸が全てのロッドリングで通された後、釣り糸はそれから、これに必要である大きな物理的な労力なしで糸の刻み目の締着から単純なやり方で解放することができる。
【0007】
更なる好適な実施態様において、テーパーを付けて糸の刻み目を作成することが好都合であることが判明した。これによって、糸の刻み目に異なる厚みの釣り糸を締着することが可能になる。
【0008】
好適な実施態様において、糸の刻み目は軸方向に向きを定められる。これは、釣り糸がロッドリングを通じた釣り糸挿入の補助具を通過する間、糸の刻み目の方へ更に引っ張られ、従って釣り糸の不注意によるずれ落ちを避けることができるという利点を有する。
【0009】
他の好適な実施態様において、釣り糸を受容するため、糸の刻み目の端から始まり本体の端部まで続く溝が形成される。これは、糸の刻み目から突出している釣り糸を、釣り糸挿入の補助具の全体の直径を増加させることなく、その溝に収容することができるという利点を有し、その結果、釣り糸挿入の補助具の直径は最も小さいロッドリングの直径に対応することができ、一方で、釣り糸挿入の補助具の製造を容易にし、他方で、釣り糸挿入の補助具のグリップ及び扱いやすさを向上させるという利点につながる。
【0010】
他の好適な実施態様によれば、糸の刻み目の上に、その自由端で外側が平らにされる縁が形成される。糸の刻み目に釣り糸を締着した後、その縁は、放射状に外側へ突出する可能性があり、従って、ロッドリングを通って釣り糸挿入の補助具を通過することが難しくなる。縁を平らにすることで、この問題は明らかに軽減される。
【0011】
更に別の好適な実施態様において、本体は、少なくとも部分的に長手方向に湾曲して形成される。これは、釣り糸挿入の補助具は挿入の間、釣り人の自然な動きに従うので、結果として釣り糸挿入の補助具のロッドリングへの挿入、そして以降の取り外しが明らかに容易になるという利点を有する。
【0012】
更に別の好適な実施態様において、戻り止め具が本体に提供され、そこにおいて、戻り止め具は、糸の刻み目の方へスロット開口により本体に導入されるスロットとして好ましくは形成される。
【0013】
戻り止め具は、釣り人が対応するロッドリング上で戻り止め具を有する釣り糸挿入の補助具を載置することによって、ロッドリングのうちの1つに糸を通すのを中断することができ、従って、すでに通したロッドリングから釣り糸が外れることなく他のものに集中する時間及び機会を有することができるという利点を有する。
【0014】
ここで、本体から少なくとも部分的に放射状に外側に突出するスロットの上に形成される舌部を有し、必要に応じて、圧力が掛かった舌部が本体へ完全に揺動して入ることができるように弾力的にその舌部を形成することが好都合であることが判明した。
【0015】
スロット及び軸方向における関連する舌部の配置は、ロッドリングを通じた釣り糸挿入の補助具を通過する間、舌部が釣り糸挿入の補助具の本体に対して押圧され、従って障害にはならないという更なる利点を有する。材料の固有の貯蔵能力のために、釣り人が釣り糸挿入の補助具を解放して、ロッドリングから不注意にずれ落ちを防ぐように釣り糸挿入の補助具をしっかり固定する場合に、ロッドリングを除いた後の舌部は放射状に外れ、それにより戻り止め具が作動する。
【0016】
更に別の実施態様において、例えば、薄明又は夜間のように照明状態が悪い場合にも、釣り糸を釣り糸挿入の補助具によってロッドリングに通すことができるように、蛍光材料から釣り糸挿入の補助具を製造することが好都合であることが判明した。
【0017】
本発明の釣り糸挿入の補助具の更なる利点は、添付の図面及び以下に記載の実施態様から生じるものである。また、上記の特徴及び更に説明される特徴は、いずれの場合においても個別に、あるいは互いに組合せて本発明に従って用いることができる。言及される実施態様は網羅的な記載とはみなされず、むしろ例示的な性質を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、釣り糸が通った本発明の釣り糸通しの補助具の第1の実施態様の上面図である。
【
図2】
図2は、
図1による釣り糸通しの補助具の側面図である。
【
図3】
図3は、
図1による釣り糸通しの補助具の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の釣り糸通しの補助具の第2の実施態様の上面図である。
【
図5】
図5は、
図4による釣り糸通しの補助具の側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の釣り糸通しの補助具の第3の実施態様の側面図である。
【
図7】
図7は、本発明の釣り糸通しの補助具の第4の実施態様の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1から3において、本発明の釣り糸挿入の補助具の第1の実施態様が示される。それは、本体10と、本体の上に形成される糸の刻み目12を含み、釣り糸14は、締着して保つことができる。糸の刻み目12は、本体10の軸方向において向きを定められ、その自由端上に外側で平らにされて形成された縁16を含む。
【0020】
糸の刻み目12は、締着して様々な厚みの釣り糸14を受容することができるようにテーパーを付けて形成される。糸の刻み目12の両側には、各々釣り糸14を受容するため、糸の刻み目12の一端から始まり本体10の端部まで続く溝18が形成される。
【0021】
図1から3に示される挿入の補助具は、弾力的であるが寸法安定性のあるプラスチック材料で形成され、蛍光色を有する。
【0022】
図4及び5において、本発明の釣り糸挿入の補助具の第2の実施態様が示され、そこで、
図1から3に記載の釣り糸挿入の補助具と同じく形成されるが、加えて戻り止め具120を含んで形成される。この戻り止め具120は、軸方向において向きを定められ、糸の刻み目112に向かって開いて本体110に埋め込まれたスロット122として形成される。戻り止め具120はまた、弾力的に形成される放射状にやや突出する舌部124を含む。この舌部124により、釣り糸挿入の補助具は、逆方向へ動くときに釣り竿で動かないままとなり、従って、すでに通されたロッドリングからの釣り糸の不注意な摺動を防ぐ。
【0023】
図6において、
図1から3に示された実施態様に類似して構成される本発明の釣り糸挿入の補助具の第3の実施態様が示される。唯一の相違は、ここでは、本体210が縦軸に沿って湾曲して形成されていることである。これによって、ロッドリングを通じて導く自然の手の動きが考慮されるので、挿入は更に容易になる。
【0024】
ここで示されない実施態様において、釣り糸挿入の補助具は、第2の実施態様に類似して形成され、更に縦軸に沿って湾曲して同様に更に形成される。
【0025】
図7において、
図4及び5で示された第2の実施態様に類似して形成される第4の実施態様が示されるが、そこにおいて、戻り止め具320は糸の刻み目312に対して90°回転して配置される。
【0026】
ここで示されない他の実施態様において、戻り止め具は糸の刻み目に対して120°又は180°回転して配置される。
【0027】
ここで記載される釣り糸挿入の補助具は、以下のように用いられる:最初、釣り人は釣り糸14の一端を持ち、釣り糸14がそこで締着して保たれるまで、その端に近付くように釣り糸14をテーパーが付いた糸の刻み目12、112に深く導く。続いて、釣り人は、釣り糸挿入の補助具の本質的に円筒状の本体10、110、210を持ち、それを最も低いロッドリングの中を通って押して、そして次のロッドリング等に通す。
【0028】
釣り糸挿入の補助具がその糸の刻み目12、112でロッドリングに引っかからないように、糸の刻み目12、112の縁16は、その自由端上で平らに形成される。理想的には、縁16のどの部分も本体を越えて放射状に突出しないようになるまで平らにされる。
【0029】
ロッドリングの中を通って釣り糸挿入の補助具を通す場合、特にロッドリングが非常に小さい場合、釣り糸14は本体の左右に提供される溝18に押圧されるので、釣り糸14により本体10、110、210の厚みが増すことはない。これは、釣り糸挿入の補助具が、より薄い釣り糸挿入の補助具を用いる必要なく最も小さいロッドリングも通すことができるという利点を有する。
【0030】
釣り糸挿入の補助具が戻り止め具120を含む場合、ロッドリングを通じて部分的に押された後の釣り糸挿入の補助具がある程度再び引き戻されるために、糸通しは、釣り人によって容易に中断することができる。その弾力のためにロッドリングを通過する間の戻り止め具120の舌部124は、本体110に押圧されるので、ここで、本体110の断面の増加は生じない。戻り止め具120がロッドリングを通過した後、材料の特性のため、舌部124は放射状に外側へ飛ぶので、短く逆方向へ動いた後の釣り糸挿入の補助具は、ロッドリング上のそのスロット122に載置することができ、この位置において釣り糸14が釣り竿に固定される。ここで、すでに通したロッドリングから釣り糸が外れることなく、釣り人は他の作業に取りかかることができる。
【0031】
釣り糸挿入の補助具の蛍光性の構成のために、例えば、薄明又は夜間のように照明状態が悪い場合にも、それをうまく用いることができる。
【符号の説明】
【0032】
10、110、210 本体
12、112、312 糸の刻み目
14 釣り糸
16 縁
18 溝
120、320 戻り止め具
122 スロット
124 舌部