(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
<1>心臓電気刺激システムの全体構成
図1は、本発明の実施の形態に係る心臓電気刺激システムの全体構成を示す概略図である。
【0011】
心臓電気刺激システム100は、心腔内に留置される電極カテーテル10から電気刺激を加えることにより、刺激伝導系の伝導能の評価、洞結節などの自動能の評価や、不整脈の性質や発生機序の検討、カテーテルアブレーション治療の焼灼部位の決定、治療効果の確認を行うことができるようになっている。また、心臓電気刺激システム100は、電極カテーテル10を用いて、心内心電図の計測、ペーシング及びインピーダンスの計測を行うことができるようになっている。さらに、心臓電気刺激システム100は、食道温カテーテル20を用いて、カテーテルアブレーション治療中の食道損傷を防止するために有効である食道温計測を行うことが可能となっている。食道温計測は、食道内に留置される食道温カテーテル20の電極の温度を温度センサーとしての熱電対で計測することにより行う。本実施の形態の例では、食道温カテーテル20の7箇所で食道温を計測するようになっている。
【0012】
心臓電気刺激システム100は、コントロールパネル部200と、刺激装置本体300と、サブモニター400と、を有する。コントロールパネル部200及びサブモニター400は、刺激装置本体300にケーブルによって接続されている。本実施の形態の場合、コントロールパネル部200は操作室に配置され、刺激装置本体300及びサブモニター400は検査室に配置されている。なお、サブモニター400は必ず検査室に配置されるが、刺激装置本体300は操作室に配置してもよい。また、オペレータが検査室にて操作を行う場合には、コントロールパネル200及び刺激装置本体300も検査室に配置される。
【0013】
また、
図1の例では、コントロールパネル部200と刺激装置本体300とが別体に構成されているが、コントロールパネル部200と刺激装置本体300とが一体に構成されていてもよい。本質的には、コントロールパネル部200と刺激装置本体300とによって心臓電気刺激装置500が構成される。さらに言うと、心臓電気刺激装置500は、本質的には、心臓電気刺激装置500のメイン画面を表示するメインモニターと、操作部と、操作部の操作に応じて電極カテーテルに供給する電気刺激を出力する刺激装置本体と、を有していればよい。
【0014】
コントロールパネル部200には、モニター部と操作部とが設けられている。本実施の形態の場合、モニター部はタッチパネル構成とされており、刺激装置500のオペレータは、モニター部及び操作部を用いて刺激装置500を操作する。
【0015】
刺激装置本体300には、コントロールパネル部200及びサブモニター400に加えて、電極カテーテル10が接続される中継ケーブルや、食道温カテーテル20が接続される中継ケーブルなどが接続される。刺激装置本体300は、電極カテーテル10に供給する電気刺激パルスを形成するアンプなどを有する。本実施の形態の刺激装置500は、最大で4個の電極カテーテル10を用いて刺激出力及び計測を行うことができるようになっている。
【0016】
図2は、刺激装置本体300の背面に設けられたコネクタの様子を示す背面図である。
【0017】
電源コネクタ301には電源コードが接続される。刺激出力コネクタ302には、電極接続ケーブル(中継ケーブル)が接続される。刺激出力コネクタ302からはアイソレーションされた刺激パルスが出力される。外部トリガ入力コネクタ303には、トリガ検出用の心電図信号が外部装置から入力される。食道温信号入力コネクタ304には、食道温接続ケーブル(中継ケーブル)が接続される。コントロールパネル接続コネクタ305には、コントロールパネル部200が接続される。サブモニター接続コネクタ306には、サブモニター400が接続される。LANコネクタ307は拡張用のコネクタであり、例えばポリグラフなどが接続可能である。プリンタ用USBコネクタ308には、プリンタが接続される。
【0018】
<2>コントロールパネル部の構成
図3に示すように、コントロールパネル部200は、タッチパネル210と、固定キー220とにより構成されている。固定キー220には、頻繁に操作するキーが割り当てられている。固定キー220としては、サブモニター画面切り換えキー221、ターミネーションキー222、エマージェンシー223、数値設定ダイヤルキー224、+/−キー225、左右キー226、テンキー227、スタートキー228、ストップキー229が設けられている。
【0019】
サブモニター画面切り換えキー221が押されると、サブモニター400に表示される画面が切り換えられる。具体的には、サブモニター画面切り換えキー221が押される度に、サブモニター400に表示される画面が予め決められた順序で切り換わるようになっている。これにより、オペレータは容易にサブモニター400の画面を切り換えることができる。
【0020】
ターミネーションキー222が押されると、刺激装置本体300は、頻脈停止用の刺激パターンを呼び出し、この後にスタートキー228が押されると、刺激出力コネクタ302から頻脈停止用の刺激を出力する。エマージェンシーキー223が押されると、刺激装置本体300は、強制的に固定レートの刺激を出力する。
【0021】
数値設定ダイヤルキー224は、時計回りに回転操作すると数値を増加させ、反時計回りに回転操作すると数値を減少させることができる。数値設定ダイヤルキー224を用いた数値入力を行うことにより、テンキー227を用いた数値入力を行う場合と比較して、徐々に数値を増減させることができるので、テンキー227の誤操作によって急激に刺激出力を増加させてしまうといった危険な操作を防止できる。+/−キー225も同様に数値を増減させるために用いられる。左右キー226は、タッチパネル210に表示された設定対象を移動させるために用いられる。
【0022】
スタートキー228が押されると、刺激出力コネクタ302から刺激が出力される。刺激中にはスタートキー228が点灯する。ストップキー229が押されると、刺激出力が停止される。刺激停止中にはストップキー229が点灯する。
【0023】
<3>画面構成
<3−1>メインメニュー及び画面遷移
図4は、タッチパネル210に表示されるメインメニュー画面を示す。メインメニュー画面は、例えば、刺激装置500の電源投入直後に表示される。
【0024】
メインメニュー画面には、モード選択キーとして、刺激モードキーA1、計測モードキーA2、食道温モードキーA3、ウェーブアンドログ(WAVE&LOG)モードキーA4の4つのモード選択キーA1〜A4が表示される。オペレータによってモード選択キーA1〜A4のいずれかタッチされると、刺激装置500はタッチされたモード選択キーA1〜A4に応じたモードを実行するとともに、選択されたモードに応じた画面をタッチパネル210に表示する。
【0025】
因みに、本実施の形態の刺激装置500は、ウェーブアンドログ(WAVE&LOG)機能を有する。このウェーブアンドログ機能とは、電気刺激波形及び心電図の波形と、刺激装置500のログ(刺激を出力したときの日時や刺激条件(刺激間隔、パルス幅、定電圧/定電流出力値、刺激するチャネルなど)などを記述したもの)と、を記録及び表示する機能である。
【0026】
加えて、メインメニュー画面には、各モードの設定を行うための設定キーB1〜B7が表示される。設定キーB1〜B7として、刺激モード設定キーB1、計測モード設定キーB2、食道温モード設定キーB3、ウェーブアンドログ(WAVE&LOG)モード設定キーB4、エマージェンシー設定キーB5、ターミネーション設定キーB6、システム設定キーB7が表示される。オペレータによって設定キーB1〜B7のいずれかがタッチ操作により選択されると、刺激装置500は選択された設定キーに応じた設定画面をタッチパネル210に表示する。
【0027】
加えて、メインメニュー画面の上部にはタスクバーC10が表示される。このタスクバーC10は、メインメニュー画面に限らず、各画面の上部に共通に表示される。タスクバーC10は、画面遷移キーC11、C12、サブモニター状態表示領域C13を含む。
【0028】
左側の画面遷移キーC11と右側の画面遷移キーC12をタッチ操作することにより、オペレータはメインメニューに戻らなくても所望の画面を表示させることができる。
【0029】
刺激装置500は、刺激モード時に画面遷移キーC11がタッチされると食道温モードに移行する。ウェーブアンドログモード時に画面遷移キーC11がタッチされると刺激モードに移行する。食道温モード時に画面遷移キーC11がタッチされると刺激モードの波形画面に移行する。刺激モードの波形画面時に画面遷移キーC11がタッチされるとウェーブアンドログモードに移行する。計測モード時に画面遷移キーC11がタッチされると計測モードの波形画面に移行する。計測モードの波形画面時に画面遷移キーC11がタッチされると計測モードに移行する。
【0030】
また、刺激装置500は、刺激モード時に画面遷移キーC12がタッチされるとウェーブアンドログモードに移行する。ウェーブアンドログモード時に画面遷移キーC12がタッチされると刺激モードの波形画面に移行する。食道温モード時に画面遷移キーC12がタッチされると刺激モードに移行する。刺激モードの波形画面時に画面遷移キーC12がタッチされると食道温モードに移行する。計測モード時に画面遷移キーC12がタッチされると計測モードの波形画面に移行する。計測モードの波形画面時に画面遷移キーC12がタッチされると計測モードに移行する。
【0031】
このように、刺激装置500は、メインメニューに戻らなくても、各モード画面の上部に常時配置されている画面遷移キーC11、C12を用いて、迅速なモード切り換えが可能となり、これにより、検査の時間が短縮化されること、及び、検査の質が向上することが期待される。
【0032】
特に、本実施の形態の画面遷移キーC11、C12を用いた画面遷移では、電気刺激パルスの形成を制御するための刺激制御用画面(つまり刺激モード画面E0)から、電気刺激波形及び心電図を含む波形が表示される波形用画面(つまり波形画面D1)及び食道温用画面(つまり食道温画面G0、D2)のどちらにも直接遷移可能とされているとともに、波形用画面及び食道温用画面から刺激制御用画面に直接遷移可能とされている。
【0033】
これにより、オペレータは、刺激制御用画面と波形用画面との間の画面切換、及び、刺激制御用画面と食道温用画面との間の画面切換を、素早く行うことができる。これにより、オペレータが最も見る機会が多い刺激制御用画面を中心とした画面切換を行うことができ、その切換先として、刺激制御の参考として見る機会が多い波形用画面及び食道温用画面を選択できるので、オペレータが求めるモードに迅速に移行させることができ、オペレータの操作負担を軽減できる。
【0034】
サブモニター状態表示領域C13には、サブモニター400に現在表示されている画面の種類を示す情報が表示される。サブモニター状態表示領域C13に「SUB:1」と表示されている場合にはサブモニター400に体表面心電図、心内心電図及び電気刺激波形(つまり波形画面)が表示されており、「SUB:2」と表示されている場合にはサブモニター400に食道温画面が表示されており、「SUB:3」と表示されている場合にはサブモニター400にタッチパネル210に表示されている画面と同一画面が表示されている。これにより、オペレータはサブモニター状態表示領域C13を見ることでサブモニター400にどの画面が表示されているかを容易に把握できる。
【0035】
つまり、サブモニター400の画面は、オペレータがサブモニター画面切り換えキー221を押圧操作することにより、
図5に示したように、波形画面D1→食道温画面D2→タッチパネルと同一画面D3→波形画面D1、の順序で切り換えられるが、タッチパネル210のサブモニター状態表示領域C13にはサブモニター400に現在どの画面D1〜D3が表示されているのかを識別可能に表示される。
【0036】
なお、本実施の形態では、サブモニター状態表示領域C13に、1、2、3などの数字を表示することによって、サブモニター400に現在表示されている画面の種類を示すようにしたが、数字に限らず、例えば文字や記号などによって画面の種類を示すようにしてもよい。例えば「SUB:1」に代えて「SUB:W」や「SUB:波形」などと表示してもよく、「SUB:2」に代えて「SUB:T」や「SUB:食道温」などと表示してもよく、「SUB:3」に代えて「SUB:S」や「SUB:同一」などと表示してもよい。
【0037】
<3−2>サブモニターに表示される画面
図6はサブモニター400に表示される波形画面D1を示し、
図7はサブモニター400に表示される食道温画面D2を示す。
【0038】
波形画面D1の画面中央部には体表面心電図(ECG)、心内心電図及び電気刺激波形などが表示される。また、波形画面D1の画面上部には、心拍数(HR)、基本刺激周期(CL)及び食道温(TEMP)などの数値が表示される。このように、波形画面D1に、心電図及び電気刺激波形に加えて、食道温も含めたことにより、医師は被検者の状態をより包括的に把握できるようになる。
【0039】
食道温画面D2には、各食道温測定ポイントT1〜T7についての、トレンドグラフ、リアルタイムの計測値、リアルタイムのバーグラフが含まれる。トレンドグラフ及びバーグラフは、測定ポイント毎に色分けされており、これにより、どの測定ポイントのグラフかを容易に認識できる。なお、食道温画面D2は、基本的には、
図15及び
図16を用いて後に詳述する食道温画面と同様である。
【0040】
ここで、サブモニター400に表示される波形画面D1を模擬した例を、
図8に示す。図中の期間aは電気刺激により不整脈を誘発している期間であり、期間bはアブレーション治療が行われている期間であり、期間cはアブレーション治療により正常な心電図が得られている期間を示す。
図8の例で示されている食道温はアブレーション治療が終了して正常な心電図が得られている時点(図中の右端の時点)の食道温であるが、アブレーション治療中にはアブレーションによって食道温の温度も変化するので、それが反映された食道温が表示される。
【0041】
<3−3>刺激モード画面
刺激装置500は、
図4のメインメニュー画面で刺激モードキーA1がタッチされたり、あるいはタスクバーC10のタッチ操作により、刺激モードに入る。刺激モードに入ると、タッチパネル210には、
図9に示すような刺激モード画面E0が表示される。オペレータは、刺激モード画面E0を用いて、刺激プログラムを選択するとともに、各種刺激条件を設定して、刺激出力を開始させる。
【0042】
刺激モード画面E0には、刺激プログラム選択・設定領域E1、トリガ設定領域E2、アウトプット設定領域E3が含まれる。刺激プログラム選択・設定領域E1は、オペレータが出力する刺激のプログラムを選択及び設定するために用いられる。トリガ設定領域E2は、オペレータがトリガ関係の設定を行うために用いられる。アウトプット設定領域E3は、オペレータが刺激の出力値や出力するチャネルを設定するために用いられる。
【0043】
図10は、
図9の刺激プログラム選択・設定領域E1を拡大した図である。刺激プログラム選択・設定領域E1には、プログラム選択キー領域E11、プログラムタブE12、プログラム表示変更領域E13が含まれる。
【0044】
プログラム選択キー領域E11には、複数のプログラム選択キー(
図10の例の場合12個)が設けられている。各プログラム選択キーには予め設定された刺激プログラムが対応付けられており、オペレータがいずれかのプログラム選択キーをタッチすると、その選択キーに応じたプログラムが呼び出され、刺激の各時間、出力、トリガ等にプログラムの内容が反映される。
【0045】
ここで、呼び出されたプログラムの内容は、例えばプログラム表示変更領域E13に表示され、オペレータはタッチパネル210を操作したり固定キー220を操作することにより、プログラムの内容を変更した刺激設定を行うこともできる。プログラム表示変更領域E13では、種々の刺激パラメータの変更が可能である。
【0046】
プログラム表示変更領域E13には、戻るキーE131、進むキーE132が設けられている。本実施の形態の刺激装置500は、プログラムキー選択後に変更した設定を刺激開始のタイミング、つまりスタートキー228が押されたタイミングで記憶するようになっている。例えば、過去5回分のスタートキー228が押されたタイミングでの設定値をできるようになっている。そして、戻るキーE131及び進むキーE132をタッチすることにより、1つ前及び1つ後の変更プログラム設定を呼び出して表示する。これにより、以前に設定した刺激出力の設定値を容易に呼び出して表示することができるので、同じ刺激を容易かつ迅速に再度出力することができるようになる。
【0047】
さらに、スタートキー228が押された後の期間であっても、刺激出力の設定値が変更された場合には、その変更された設定値も記憶するとよい。例えばスタートキー228が押された後に、手動又は自動で設定値が変更された場合には、その変更された設定値を自動で記憶する。このようにすれば、刺激出力のスタート時のみならず、実際に出力された複数の刺激出力が記憶されるので、オペレータが選択し得る設定値をより現実にそくしたものにできる。
【0048】
プログラムタブE12としては、常に5個のプログラムタブが表示され、オペレータは症例に応じたプログラムタブをタッチすることにより、症例に合わせたプログラムを即座に呼び出すことができる。因みに、プログラムタブE12には、「LEGACY」タブが含まれ、オペレータが「LEGACY」タブを選択すると、
図11に示すような基本となる刺激パターンが表示され、オペレータはこれらの刺激パターンの中から所望の刺激パターンを選択できる。
【0049】
図12は、
図9のトリガ設定領域E2を拡大した図である。トリガ設定領域E2には、トリガチャネル選択キーE21が設けられ、オペレータはトリガチャネル選択キーE21をタッチすることにより、刺激出力の電極より導出される心内心電図信号Ch.A、Ch.B、Ch.C、Ch.D、体表面の電極より導出される体表面心電図信号INT.及び外部機器より入力されるEXT.信号の5種類の中から、いずれかを選択できる。トリガ波形表示領域E22には、設定されたトリガレベルと、トリガすべき信号とが表示され、オペレータはそれらに基づいてトリガすべき信号が確実にトリガされているかを確認できる。
【0050】
またトリガ設定領域E2には、バックアップチャネル設定キーE23が設けられ、オペレータはバックアップチャネル設定キーE23をタッチすることにより、バックアップするチャネルを選択できる。選択できるバックアップチャネルはCh.A〜Ch.Dの中のいずれかである。次にオペレータがスタートキーE24をタッチすると、選択したチャネルでのバックアップペーシングの準備がON状態とされる。
【0051】
<3−4>計測波形画面(計測モード画面)
刺激装置500は、
図4のメインメニュー画面で計測モードキーA2がタッチされたり、あるいはタスクバーC10のタッチ操作により、計測モードに入る。計測モードに入ると、タッチパネル210には、
図13に示すような計測モード画面F0が表示される。
【0052】
刺激装置500は、計測モードにおいて、簡易PSA(Pacemaker System Analyzer)計測ができるようになっている。また、現在使用されているペーシングモードでの検査、それらによる波形計測、頻脈性不整脈停止を目的としたハイレートペーシングを行うこともできるようになっている。
【0053】
計測値表示領域F1には、各計測値が表示される。計測表示・設定領域F2では、アナライザとしての表示及び設定が行われる。デバイス関連設定領域F3では、デバイスすなわちこれから被検者に適用するペースメーカーなどの設定を行うことができる。
【0054】
<3−5>波形画面
刺激装置500は、例えば
図13の計測モード画面F0で画面遷移キーC12がタッチされると、タッチパネル210に、
図14に示すような波形画面W0が表示される。
【0055】
波形画面W0の波形表示領域W1には、電気刺激波形及び心電図(体表面心電図及び心内心電図)からなる波形が表示される。食道温表示領域W2には、食道温カテーテル20により得られた食道温が表示される。このように、波形画面W0では、電気刺激波形、心電図及び食道温が同一画面上に表示される。
【0056】
これにより、オペレータ及び医師等の医療従事者は、アブレーションしながら、電気刺激波形及び心電図と、食道温とを同一画面で見ることができるので、被検者の状態を一目で確認できるようになる。
【0057】
因みに、食道温表示領域W2のT1〜T7は温度測定ポイントを表しており、食道温表示領域W2の温度測定ポイントT1〜T7には各温度測定ポイントT1〜T7の温度が数値により表示される。ここで、温度測定ポイントT1〜T7のうち、後述する温度閾値を超えた温度測定ポイントT1〜T7は、数値や枠などの色が変えられる。これにより、閾値を超えた測定ポイントT1〜T7を通知する。
【0058】
<3−6>食道温画面
刺激装置500は、
図4のメインメニュー画面で食道温モードキーA3がタッチされたり、あるいはタスクバーC10のタッチ操作により、食道温モードに入る。食道温モードに入ると、タッチパネル210には、
図15に示すような食道温画面G0が表示される。
【0059】
食道温画面G0には、トレンドグラフ表示領域G1、バーグラフ表示領域G2、温度計測値表示領域G3が含まれる。トレンドグラフ表示領域G1には、各チャネル(つまり温度測定ポイントT1〜T7)の計測値がトレンドグラフで表示される。バーグラフ表示領域G2には、各チャネルのリアルタイムの計測値がバーグラフによって表示される。温度計測値表示領域G3には、各チャネルのリアルタイムの計測値が表示される。
【0060】
ここで、本実施の形態の食道温画面G0は、トレンドグラフにより複数位置間の食道温の相対的差及び時間的差を表した経時的表示と、バーグラフにより複数位置間の食道温の相対的差を表した相対的表示と、数値によって複数位置の食道温を表した絶対的表示と、を行っている。このような表示を行うことにより、医師及びオペレータは、食道温の経時的傾向、測定ポイント間の相対的傾向、及び、各測定ポイントの温度値から、包括的かつ迅速な状態判断をすることができるようになる。例えば、医師及びオペレータは、トレンドグラフの温度勾配によって注意部位を見つけ、その注意部位のリアルタイム情報を見ることで、危険な状態を的確かつ迅速に認識できる。
【0061】
さらに、食道温画面G0にはチャネル表示領域G4が設けられており、チャネル表示領域G4には各チャネル(つまり温度測定ポイントT1〜T7)が色分けされて表示される。例えばT1は黄色、T2は緑色、T3は青色で表示され、その測定ポイントに対応するトレンドグラフ及びバーグラフもその色と同色で表示される。ここで、チャネル表示領域G4での測定ポイントT1〜T7の並びは食道温カテーテル20での測定ポイントの配置に相当しており、さらに測定ポイントの色とトレンドグラフ及びバーグラフの色とが対応付けられているので、食道のどの箇所の温度がどのような傾向にあるのかを感覚的に把握できる。
【0062】
さらに、食道温画面G0には温度閾値通知設定領域G5が設けられており、オペレータは設定したい閾値の位置をタッチした後、固定キー220を用いて閾値を設定できる。本実施の形態の刺激装置500は、高周波アブレーション(RF)を行う場合の閾値(UPPER LIMIT)と、冷凍アブレーション(CRYO)を行う場合の閾値(LOWER LIMIT)とを設定できるようになっている。また、高周波アブレーションの閾値(UPPER LIMIT)及び冷凍アブレーションの閾値(LOWER LIMIT)としてそれぞれ2段階の閾値(1st閾値と2nd閾値)を設定できるようになっている。刺激装置500は、計測された食道の温度が高周波アブレーションの閾値(UPPER LIMIT)以上まで上昇、又は冷凍アブレーションの閾値(LOWER LIMIT)以下まで下降したときに、このことを音及び表示で通知する。このとき、予備的な閾値である1st閾値を超えた場合には予備的通知を行い、2nd閾値を超えた場合にはさらなる通知を行う。
【0063】
図15は、高周波アブレーション(RF)時の食道温画面であり、トレンドグラフ表示領域G1及びバーグラフ表示領域G2には、高周波アブレーション(RF)用に設定された1st閾値及び2nd閾値が直線により表示されている。これにより、各測定ポイントT1〜T7の食道温と閾値との関係を一目で把握でき、医師はアブレーションをより安全に行うことができるようになる。
【0064】
図16は、冷凍アブレーション(CRYO)時の食道温画面である。
図15の画面から
図16の画面への切り換え、又は、
図16の画面から
図15の画面への切り換えは、デバイス切り換えキーG6をタッチ操作することにより行うことができる。
図16の冷凍アブレーション(CRYO)時の食道温画面では、トレンドグラフ表示領域G1及びバーグラフ表示領域G2には、冷凍アブレーション(CRYO)用に設定された1st閾値及び2nd閾値が直線により表示されている。
【0065】
なお、本実施の形態では、バーグラフによって複数位置間の食道温の相対的差を表した相対的表示を行う場合について述べたが、複数位置間の食道温の相対的差はバーグラフ以外のグラフによって表してもよい。また、本実施の形態では、同一画面に、複数位置の食道温を数値によって表した絶対的表示画像と、複数位置間の食道温の相対的差をグラフによって表した相対的表示画像と、複数位置間の食道温の相対的差及び時間的差をトレンドグラフによって表した経時的表示画像と、を表示した場合について述べたが、絶対的表示画像と、相対的表示画像と、経時的表示画像とのうちいずれか2つを同一画面に表示してもよい。つまり、これら3つの画像を同一画面に表示するのが最も有効であるが、モニターのサイズ等を考慮して2つの画像を表示してもよい。この場合、複数位置の食道温を数値によって表した絶対的表示画像は省略せずに、絶対的表示画像と相対的表示画像、又は、絶対的表示画像と経時的表示画像を同一画面に表示するようにすることが好ましい。
【0066】
<3−7>ウェーブアンドログ(WAVE&LOG)画面
刺激装置500は、
図4のメインメニュー画面でウェーブアンドログモードキーA4がタッチされたり、あるいはタスクバーC10のタッチ操作により、ウェーブアンドログモードに入る。ウェーブアンドログモードに入ると、タッチパネル210には、
図17に示すようなウェーブアンドログモード画面H0が表示される。
【0067】
ウェーブアンドログモード画面H0には、波形表示領域H1、刺激プログラム選択領域H2、刺激プログラム設定領域H3、トリガ設定領域H4、アウトプット設定領域H5、ログ表示設定領域H6が含まれる。波形表示領域H1には、心電図及び電気刺激波形が表示される。また波形表示領域H1を用いて、描画する波形の設定を行うことができるようになっている。刺激プログラム選択領域H2を用いて刺激プログラムを選択でき、刺激プログラム設定領域H3を用いて刺激プログラムを設定でき、トリガ設定領域H4を用いてトリガを設定でき、アウトプット設定領域H5を用いて刺激出力関連の設定を行うことができるようになっている。
【0068】
ウェーブアンドログモード画面H0の一つの特徴は、同一画面内に、心電図及び電気刺激波形からなる波形画面(波形表示領域H1)と、刺激を設定するための刺激設定画面(刺激プログラム選択領域H2、刺激プログラム設定領域H3、トリガ設定領域H4、アウトプット設定領域H5)の両方が含まれていることである。これにより、1つの画面内で、心電図などの生体情報を確認しながら、刺激の設定を行うことができるようになる。
【0069】
また、ウェーブアンドログモード画面H0の一つの特徴は、ログ表示設定領域H6が含まれることである。上述したように、本実施の形態の刺激装置500は、ウェーブアンドログ(WAVE&LOG)機能を有することにより、電気刺激波形及び心電図の波形と、刺激装置500のログと、を記録及び表示することができる。ログ表示設定領域H6には、刺激スタート、刺激ストップ、バックアップの実施、エマージェンシースタート、エマージェンシーストップ、ターミネーションスタート、ターミネーションストップなどの過去の刺激装置500の操作ログを含む刺激出力に関するログが表示される。オペレータがログのいずれかを選択すると、そのログに対応して記憶されている、電気刺激波形、心電図及び電気刺激設定値が波形画面(波形表示領域H1)及び刺激設定画面(刺激プログラム設定領域H3、アウトプット設定領域H5)に表示される。これにより、オペレータは、過去に刺激出力が行われたときの、電気刺激波形及び電気刺激設定値と、生体情報との因果関係を容易に知ることができる。さらに、本実施の形態の場合、ログにはコメント欄が設けられており、オペレータは刺激出力によって引き起こされた生体情報の特徴などをコメント欄に入力して記憶させることができる。
【0070】
<4>実施の形態の効果
以上説明したように、本実施の形態によれば、電極カテーテル10に電気刺激を出力する電気刺激出力部(刺激出力コネクタ302)と、電極カテーテル10からの心内電位及び体表面電極からの体表面電位に基づく心電図を得る心電図取得部(外部トリガ入力コネクタ303)と、電気刺激出力部からの電気刺激出力に関する波形及び又は設定値と、心電図取得部により取得された心電図とを互いに時間に関連付けて記憶する記憶部(図示せず)と、を設けたことにより、システム構成を複雑化させることなく、刺激出力と心電図との関係を見ることができる心臓電気刺激装置を実現できる。
【0071】
また、ログ一覧の中からオペレータにより選択されたログに対応した、電気刺激出力に関する波形及び又は設定値と、心電図とが表示されるので、過去に刺激装置500によって刺激が出力されたときの、電気刺激波形及び電気刺激設定値と、生体情報との因果関係を容易に知ることができる。
【0072】
なお上述の実施の形態では、刺激装置500のメイン画面を表示するメインモニターをタッチパネル210によって構成した場合について述べたが、メインモニターをタッチパネルによって構成せずに単に表示だけを行うモニターによって構成し、コントロールパネル部での入力は例えばマウスを用いて行うように構成してもよい。
【0073】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。