(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記熱交換管は、内部に流れる被加熱流体と、燃焼手段から排出された燃焼排気のうち、主として潜熱と熱交換させる二次熱交換器であることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
前記熱交換管は、燃焼排気の流れ方向に対して交差方向に被加熱流体を流す管路が向けられ、かつ燃焼排気の流れ方向およびその上下方向に沿って複数本が平行に配置されるとともに、前記燃焼排気の流れ方向に対して交差方向に所定量ずつ配置位置をずらしてマトリクス状に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱交換器では、性能を正常に発揮するために、被加熱流体が管路とヘッダとの接続部分などから漏れるのを防止する必要がある。そのため、管路とヘッダが接続する部分に対して溶接やろう付けなどによる封止処理を施している。
しかしながら、熱交換器は、排熱の回収効率を上げるために複数の管路を密集して配置するとともに、直管の両側にヘッダを備えるために封止処理を含む組立て作業の工数が膨大で、かつ複雑化するという課題があった。このような作業工数が多くなるほど製造効率が上げ難く、また封止処理の不良箇所の発生確率の低減が困難となるという課題がある。
【0005】
斯かる課題について、引用文献1に開示された構成では解決することができない。
【0006】
そこで、本発明の目的は、上記課題に鑑み、熱交換器の組立工程の簡素化とともに、管路が接続されるヘッダとの間で被加熱流体の漏れの発生を低減させた熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の熱交換器の一側面は、管路内に流す被加熱流体を燃焼排気と熱交換させる熱交換器であって、管路に形成された屈曲部により管路の流入口と流出口が同一方向またはそれに近い方向に開口された複数の熱交換管と、外部から被加熱流体を取り込んで、一部の前記熱交換管の前記流入口に被加熱流体を流す供給部と、上流側の前記熱交換管の前記流出口と下流側にある他の前記熱交換管の前記流入口が同一空間に接続され他の前記熱交換管に被加熱流体を流す通水部と、熱交換後の被加熱流体を排出する排出部とを含むヘッダとを備え
、前記ヘッダは、前記熱交換管の前記流入口および前記流出口と接続する複数の開口部を備え、該開口部内に前記熱交換管を挿通させて支持する支持板と、前記支持板と接合して密閉空間を形成し、被加熱流体を取り込んで前記供給部内に流す給水口と、熱交換後の被加熱流体を前記排出部から外部に流す排水口を備える蓋部と、前記支持板と前記蓋部との間に立設され、前記支持板に接続された複数の前記熱交換管を所定数ずつ仕切る仕切り壁と、前記仕切り壁と前記蓋部の接続部分の一部に設けられた空隙部とを備える。
【0008】
上記熱交換器において、前記熱交換管は、内部に流れる被加熱流体と、燃焼手段から排出された燃焼排気のうち、主として潜熱と熱交換させる二次熱交換器であってよい。
【0009】
上記熱交換器において、前記熱交換管は、燃焼排気の流れ方向に対して交差方向に被加熱流体を流す管路が向けられ、かつ燃焼排気の流れ方向およびその上下方向に沿って複数本が平行に配置されるとともに、前記燃焼排気の流れ方向に対して交差方向に所定量ずつ配置位置をずらしてマトリクス状に配置されてよい。
【0012】
上記熱交換器において、前記ヘッダは、前記支持板の周縁の一部または全部に、外部部材との接触により前記ヘッダを支持する接触部を備えてよい。
【0013】
上記熱交換器において、前記ヘッダの前記給水口および前記排水口は、各開口部内の一部または全部に、外部から被加熱流体を導く流入手段または熱交換後の被加熱流体を排出する排出手段の一部を嵌合させる嵌合部を備えてよい。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の熱交換ユニットの一側面は、収納部内の所定方向に燃焼排気を流す筐体を備え、前記収納部内に上記の熱交換器を備える。
【0015】
上記目的を達成するため、本発明の熱源機の一側面は、上記の熱交換器を備え、または上記の熱交換ユニットを備え、被加熱流体を加熱し、該被加熱流体を用いて給湯または暖房を行う。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、次のいずれかの効果が得られる。
【0017】
(1) 屈曲部を備えるとともに入側と出側を同じ方向に向けた複数の管路を、同方向に配置したヘッダに接続して、内部に被加熱流体を流すことで、管路とヘッダの接続工程および接続部分の密封工程を減らすことができる。
【0018】
(2) 熱交換器の製造工程を減らすことで、組立て作業の迅速性を図ることができるとともに、作業ミスの発生の可能性を減らすことが期待できる。
【0019】
(3) 管路の接続部分について封止処理の負荷を低減させることで、管路から被加熱流体が漏れ出す可能性を低減させることができる。
【0020】
(4) ヘッダを管路に対して一方のみに備えることで、熱交換器の軽量化を図ることができる。
【0021】
(5) 管路の一端側にヘッダを備え、他端側を自由端にすることで燃焼排気により加熱された熱交換管の伸縮による変形が可能となり、熱に対する耐性を向上させることができる。
【0022】
そして、本発明の他の目的、特徴および利点は、添付図面および各実施の形態を参照することにより、一層明確になるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、一実施の形態に係る熱交換器の構成例を示している。
図1に示す構成は一例であり、本願発明が係る構成に限定されない。
【0026】
この熱交換器2は、たとえば
図1に示すように管路内部に水や熱媒などの被加熱流体を流す複数の熱交換管4と、この熱交換管4に接続されて被加熱流体を所定の方向に導くヘッダ6を備えている。熱交換器2は、たとえば図示しない燃焼手段の一例であるバーナの燃焼などにより生じる高温の燃焼排気を熱交換管4に接触させて、その内部に流れる被加熱流体と熱交換させる。この熱交換管4は、たとえば銅、ステンレス、チタンなどのほか、熱伝導性が高く、かつ高温の燃焼排気に耐えられる金属や樹脂などで形成される。これにより、燃焼排気の熱が熱交換管4を介して管内の被加熱流体と熱交換し、被加熱流体が加熱されるのに対して燃焼排気が冷却される。
【0027】
熱交換管4は、たとえば円管であって、各管がそれぞれの管路長の方向に対して所定の位置に屈曲部8が形成されている。この熱交換管4は、たとえば直管の所定位置に対し、一端側の開口部を他端側に向けるように、180〔°〕またはそれに近い角度に曲げ加工して形成してもよい。すなわち、熱交換管4は、両端側から等距離またはそれに近い位置で屈曲され、その両端が同じ方向にまたはそれに近い方向に向けられた、所謂「U」字形状となっており、ヘッダ6に対して片持ち梁状態で支持される。これにより熱交換管4は、たとえば被加熱流体を取り込む流入口を備えた往管12と、屈曲部8を介して他端側の流出口14を備える戻り管16を備える。熱交換管4の屈曲部8は、たとえば内壁側に流れる被加熱流体の流動抵抗が大きく成らないように、曲率半径が設定されればよい。
【0028】
熱交換器2は、たとえば縦方向および横方向に複数の熱交換管4が平行に並べられており、所謂マトリクス状に配置される。具体的には、この熱交換器2には、上段に3つの熱交換管41A、41B、41Cが並列に配置されている。またその下の段には3つの熱交換管42A、42B、42Cを並列に備えるほか、さらに下段側に複数の熱交換管を並列に備えればよい。熱交換管4の設置数は、熱交換器2の給湯能力に影響を与えるものであり、たとえば設置する給湯器の給湯能力、熱媒供給能力、またはバーナの燃焼能力等に応じて決めればよい。
【0030】
ヘッダ6は、熱交換管4に被加熱流体を導く構成の一部である。熱交換器2には、全ての熱交換管4の流入口10および流出口14が同等な方向に並列に配列され、その全ての流入口10および流出口14が単一のヘッダ6に接続される。このヘッダ6は、たとえば熱交換管4が接続される接続面と、その接続面に対して反対側の面に、給水口20と排水口22を備えている。給水口20は、たとえば図示しない給水手段が接続されて外部から熱交換前の被加熱流体CWまたは他の熱交換器等で熱交換された被加熱流体を取り込む開口部の一例である。また、排水口22は、図示しない管路が接続され、熱交換された被加熱流体を熱交換器2から外部に排出させる開口部の一例である。
【0031】
ヘッダ6は、1または複数の壁24が設けられ、内部が複数の機能部となる領域に区分けられている。このヘッダ6内は、たとえば並列接続された複数の熱交換管4の数に応じて機能部を区分ける数が決まる。この機能部は、ヘッダ6に接続された複数の熱交換管4に対して、所定の順に被加熱流体を流すための構成である。
【0032】
図1に示す熱交換器2のヘッダ6には、たとえば壁24により、給水口20が接続される供給部26A、通水部26B、26Cおよび排出部26Dの4つの機能部の領域が形成される。この熱交換器2には、一例として並列に3本ずつの熱交換管41A、41B、41Cが配置され、かつ高さ方向に複数段で熱交換管4が配置されており、これらがヘッダ6に接続される。熱交換器2では、ヘッダ6に取り込んだ被加熱流体を上段にある第1の熱交換管41A、第2の熱交換管41B、第3の熱交換管41Cの順に流して熱交換させる。これにより被加熱流体は、他の段でも同様に熱交換管42A、42B、42Cの順に流される。
【0033】
供給部26Aは、たとえば給水口20から取り込んだ被加熱流体を第1の熱交換管41A、42A・・・に流す領域の一例である。通水管26B、26Cは、第1の熱交換管41A、42A・・・から第2の熱交換管41B、42B・・・側または第2の熱交換管41B、42B・・・から第3の熱交換管41C、42C・・・側に通水させる領域の一例である。排出部26Dは、熱交換された被加熱流体を排水口22側に流す領域の一例である。
【0034】
なお、被加熱流体は、同じ段に配置された熱交換管4の間に流される場合に限られず、他の段に配置された熱交換管4側に流されてもよい。
【0035】
<ヘッダ6の内部構成>
ヘッダ6の各開口部36は、たとえば
図2に示すように、支持板30上に複数の熱交換管4の先端側が嵌められる。開口部36は、たとえば熱交換管4の挿入方向に熱交換管4の先端側の一部を貫通されることで、ヘッダ6に対して熱交換管4を片持ち状に嵌合させる。この嵌合部分には、たとえば図示しない溶接処理またはろう付け処理が施され、ヘッダ6と熱交換管4との間で被加熱流体が流出するのを防止している。ヘッダ6には、支持板30に対向して蓋部32が配置され、この蓋部32が支持板30との間に被加熱媒体が流入可能な空間を形成する。また、支持板30と蓋部32との間には、たとえばヘッダ6内部を領域分けする壁24を備えた仕切り部34が配置される。仕切り部34は、たとえば支持板30に設定される仕切り距離や間隔に合せて壁24の位置決めや、壁24の立設状態を維持させるように、壁24同士に跨る連結部を備えてもよい。また、仕切り部34は、たとえば予め設定された幅で2枚の壁24を固定した単一構成とし、ヘッダ6内に形成する領域数に応じて、この単一構成を組み合せて設置してもよい。
【0036】
支持板30の周縁部分には、単一または所定の間隔で複数個形成された係止爪38を備える。この係止爪38は、折り曲げることで支持板30に重ね合わせた蓋部32の天井の一部に係合し、蓋部32と支持板30を一体化させる。さらに、支持板30の周面部分と、係止爪38の一部は、たとえば熱交換器2を
図11に示したケース62などに接触させて熱交換器2を載置させる接触部40として機能する。
【0037】
<複数の熱交換管の領域分け>
ヘッダ6には、たとえば
図3に示すように、上下および左右に所定の間隔をとって複数の熱交換管4が並列に接続されており、これらの管路を壁24によって区分けしている。供給部26Aには、たとえば各段の第1の熱交換管41A、42A・・・の往管12のみが接続される。通水部26Bには、たとえば第1の熱交換管41A、42A・・・の戻管16と第2の熱交換管41B、42B、・・・の往管12が接続される。通水部26Cは、たとえば第2の熱交換管41B、42B、・・・の戻管16と第3の熱交換管41C、42C、・・・の往管12が接続される。また、排出部26Dには、第3の熱交換管41C、42C・・・の戻管16のみが接続される。
【0038】
このうち、通水部26Bは、たとえば段の異なる戻管16同士が図中において右側の縦方向の2列で配置され、通水部26Bに対する流入部50となる。また通水部26Bには、段の異なる往管12同士が図中において左側の縦方向の2列で配置され、通水部26Bに対する流出部52となる。通水部26Cにおいても同様に、流入部50、流出部52を備える。
【0039】
<熱交換管4の上下方向の配置>
次に、上下方向の熱交換管の配置関係について、
図4、
図5を参照する。
図4は、
図3のIV−IV線断面を示しており、
図5は、熱交換管の配置構成例を示している。
【0040】
熱交換器2には、たとえば
図4に示すように、高さ方向に6段の熱交換管41A〜46Aを備えている。これらの熱交換管41A〜46Aは、たとえば上下にある他の熱交換管と位置をずらして配置されている。
図4は、たとえばヘッダ6の供給部26A内に配置された熱交換管4を断面にして示している。これにより、一部の熱交換管4の中心を基準に断面にした場合、たとえば上段から偶数段が切断されるのに対し、奇数段は切断されないよう中心位置を左右方向にずらして配置されている。
【0041】
また熱交換器2では、たとえば
図5に示すように、上下方向に隣接する熱交換管4同士の間に、所定角度方向に間隔L1の隙間をもたせている。各熱交換管4は、たとえば往管12および戻管16が同等の管径d1で形成されており、平行に配置された往管12と戻管16との間には、間隔d2の空間が形成される。この間隔d2は、たとえば管径d1よりも広く設定されている。この間隔d2は、熱交換管4の屈曲部8の曲げ度合いを示す曲率によりその大きさが決まる。
【0042】
すなわち、一部の管路の中心を基準にした断面によっても切断されず、かつ上下方向に隣接する熱交換管4同士の間に間隔L1の隙間をもたせるために、各熱交換管4は、たとえば管路の半径以上の間隔をもたせてずらして配置すればよい。
【0043】
この熱交換管4は、たとえば燃焼排気HAの流れ方向に対して往管12および戻管16内に流す被加熱流体が交差する方向に配設される。つまり、熱交換管4の長手部分に対する燃焼排気HAの接触量が大きく成る方向に配置されている。このような配置方向により、上下に隣接する熱交換管4は、たとえば燃焼排気HAの排気方向に対して平行方向に中心位置をずらして配置される。そして、熱交換管4同士の隙間は、燃焼排気HAの流れ方向に対して交差方向に形成される。熱交換管4は、たとえば燃焼排気HAが往管12の周面を通じて隙間内に流入し、間隔d2を通過して戻管16の周面に到達させやすくしている。これにより、熱交換管4に対する燃焼排気HAの接触量を増加させることができ、熱交換器2による熱交換効率を高めることができる。
【0044】
<ヘッダ6内の仕切り構造>
次に、ヘッダ6内の仕切り構造の一例を示す。
図6は、ヘッダ内の仕切り壁の構成例を示している。
【0045】
ヘッダ6内に設置された壁24は、たとえば
図6に示すように、支持板30から蓋部32の間に形成されるヘッダ6の空間に合せて高さおよび幅が形成されている。この壁24には、たとえば蓋部32と接触する部分の一部、またはそれ以外の一部に空隙部54が形成されている。この空隙部54は、たとえばヘッダ6の内部の残留空気を逃がすほか、ヘッダ6や熱交換管4の内部に貯まった被加熱流体の慣性力を逃がす。このように空隙部54を壁24に備えることで、水撃作用(ウォータハンマー)の発生を抑えることができる。
【0046】
<一実施の形態の効果>
一実施の形態によれば、次の効果が得られる。
【0047】
(1) ヘッダ6と熱交換管4との接続部分が全て1のヘッダ6の支持板30上に形成されることで、熱交換器2の組立て工数の減少および組立て負荷の低減が図れる。
【0048】
(2) 組立て工数の低減により、組立て作業のミスの発生の低減が期待できる。
【0049】
(3) 上下方向に隣接する熱交換管を燃焼排気HAの方向に平行にずらして隙間を形成することで、熱交換器2の内部側に燃焼排気HAを通過させることができ、燃焼排気HAからの熱回収の割合を増やすことができる。
【0050】
(4) 熱交換管4の片側のみにヘッダ6を備えることで、熱交換器2の小型化、軽量化とともに、管路数の増加が期待できるとともに、熱源機の小型化や軽量化を図れる。
【0051】
(5) 熱交換管4をヘッダ6に対して片持ち状に設置させることで、熱交換管4はヘッダ6に接続されない屈曲部8やその間の管路上において高温の燃焼排気HAに接触しても、自由端方向に管路が延伸可能であるので、熱源機の損傷や一部の熱源機が延伸したことによる他の熱交換器への影響や熱交換器の損傷を回避することができる。
【0052】
(6) ヘッダ6内を仕切る壁24の一部に空隙部54を設けることで、熱交換器2内の残留被加熱流体、残留空気、被加熱流体の慣性力等による、ヘッダ6や管路内の損傷を防止でき、熱交換器2の信頼性を向上させることができる。
【0054】
<実施例1の熱交換ユニット>
図7は、実施例1に係る熱交換ユニットの構成例を示している。この実施例1の熱交換ユニット60は、給湯器などの熱源機に設置される二次熱交換器を構成する。熱交換ユニット60において、
図1および
図2と同一部分には同一符号を付している。
【0055】
この熱交換ユニット60は、たとえば
図7に示すように、内部に熱交換器2を収納するとともに、燃焼排気をその熱交換器2側に導くケース62を備える。このケース62は、本開示の筐体の一例であって、正面壁64、側壁66、68を備えるとともに、上面を塞ぐ蓋部70を備えている。
なお、この実施例では、ケース62の上部側に図示しない開口部が向けられる場合を想定しているが、この熱交換ユニット60が設置される熱源機に応じて、蓋部70を下側に向けて配置される場合も含む。また、正面壁64は、熱源機に対して熱交換ユニット60が設置される向きを示すものではない。
【0056】
正面壁64には、たとえば収納された熱交換器2の側面の一部または全部を露出させる位置や大きさの排出口72が形成されている。この排出口72は、ケース62内を通過して熱交換された燃焼排気を外部に排出する手段の一例である。排出口72は、単一の開口に限られず、たとえば必要な排気条件を満たすのに必要な開口面積に基づいて、小型の穴を複数個設けてもよい。そのほか、排出口72は、熱交換器2を通過した燃焼排気の排気経路に応じて、開口位置や大きさ、数などを設定してもよい。
【0057】
側壁66には、外部から被加熱流体を供給する管路などを接続する給水ジョイント74、熱交換器2側から排出された熱交換後の被加熱流体を図示しない給湯管路などに接続するための排水ジョイント76を備えている。給水ジョイント74および排水ジョイント76は、図示しない管路に対して接続するためのコネクタ部品の一例であり、被加熱流体をヘッダに向けて導く流入手段または熱交換後の被加熱流体をヘッダから外部に排出する排出手段として機能する。給水ジョイント74および排水ジョイント76は、たとえば管路と密閉状態で接続させるための係合手段を備える。
図7では給水ジョイント74を燃焼排気の流れの上流とし、排水ジョイント76は燃焼排気の流れの下流としたが、その逆でもよい。
そのほか、側壁68や蓋部70は、たとえばケース62内部と外気とを接触させないように、密着状態で接続されている。
【0058】
ケース62には、たとえば
図8に示すように、正面壁64や側壁66、68によって囲まれた収納部78内に熱交換器2が配置される。またケース64の底板部80には、たとえば一部に燃焼排気HAを取り込む燃焼排気取込口82やこの燃焼排気取込口82の開口部分に対向して配置された風向板84を備えるほか、熱交換器2を載置させる載置部86を備える。
風向板84は、たとえば燃焼排気HAを燃焼排気取込口82の開口面から収納部78の背面方向に向けて流す手段の一例である。
【0059】
<燃焼排気の通流状態>
ケース62には、たとえば
図9のAに示すように、燃焼排気取込口82を通じて底板部80側から収納部78内に高温の燃焼排気HAが流れ込む。このとき燃焼排気取込口82の開口面を覆う角度に設置された風向板84に燃焼排気HAを当てることで、燃焼排気HAが風向板84の表面を伝って収納部78内に拡散される。これにより燃焼排気の流入方向と収納部78内の通流方向が異なっても、燃焼排気HAの流れを偏らずに安定化させることができる。
収納部78内では、たとえば
図9のBに示すように、燃焼排気HAがその通流方向に対して交差方向に被加熱流体を流すように配置された熱交換管4の表面に接触して熱交換が行われる。そして、熱交換管4を通過すると、被加熱流体によって熱を奪われた低温の排気CAが排出口72からケース62外に排出される。
【0060】
そのほか、底板部80上の載置部86は、たとえば熱交換器2の配置位置に対して所定幅の突起部材が複数個形成されており、この突起部分の面上に熱交換管4やヘッダ6の一部を接触させる。熱交換器2は、たとえば
図10に示すように、ヘッダ6の支持板30の側面にある接触部40を底板部80に接触させる。そこで、載置部86は、たとえばヘッダ6の接触部40から下段の熱交換管4までの距離L2に合せた高さに形成されてもよい。
【0061】
<給水ジョイント74および排水ジョイント76の設置状態>
ケース62の側壁66には、たとえば
図8に示すように、被加熱流体を流す管路を通過させる貫通孔88が形成されている。この実施例では、熱交換器2側に供給する管路と熱交換器2から排出する管路の2つの管路を備える場合を示している。またこの管路の周囲には、給水ジョイント74および排水ジョイント76を固定させるためのボルトなどの締結部品を貫通させる孔が複数形成される。さらに、側壁66と給水ジョイント74または排水ジョイント76との間に液漏れや燃焼排気の流出を阻止する封止手段としてパッキン90が設置される。
熱交換器2は、たとえば
図10に示すように、側壁66に対して給水口20と排水口22の開口部分が密着するように収納部78内に収納される。給水口20に接続する給水ジョイント74は、パッキン90を介して側壁66に密着させる平板状のフランジ部91を備えている。また給水ジョイント74は、フランジ部91よりも前方に突出した係合部92と、この係合部92よりも前方に突出した給水部94を備えている。この給水部94の外周部分には封止手段であるパッキン96が設置されている。係合部92の外径d4は、給水口20の開口部側の一部に形成された径大部の内径d3とほぼ同等の大きさとなっている。また給水部94の外径d5は、たとえば給水口20とヘッダ6との接合部分の内径と同等に設定されてもよい。給水口20は、ヘッダ内部への通流部分よりも開口部分を径大に形成しており、パッキン96を介して給水部94を嵌合させる嵌合部を備えている。
係合部92および給水部94は、たとえば
図11に示すように、パッキン90および側壁66の貫通孔88内を通過し、熱交換器2の給水口20の内側まで挿通され、その開口部分の外周面に対して係合する。このとき、給水ジョイント74は、たとえばボルトなどの締結手段98により側壁66に対して強固に締結される。この給水ジョイント74と側壁66とが締結されることで、係合部92および給水部94が給水部20内に深く侵入するとともに、パッキン90、96によって封止されることで、被加熱流体が接続部分から漏れるのを阻止することができる。
【0062】
また、排水ジョイント76も給水ジョイント74と同等の構成であり、排水口22に対して強固に固定される。
【0064】
(1) 片側のみにヘッダを備える熱交換器を用いることで、熱交換器を載置する載置部およびヘッダを固定する構成を簡素化することができる。
【0065】
(2) 熱交換器の設置処理において、ヘッダに対する固定接続作業を減らすことができ、熱交換ユニット、または熱源機の組立工程を減らすことができる。
【0066】
(3) 熱交換器のヘッダを減らすことで、熱交換ユニットを小型化でき、かつ軽量化することができる。
【0067】
(4) 熱交換ユニット60のケースの側壁に対して、ヘッダの給水口と給水ジョイント、および排水口と排水ジョイントとの係合状態を強固にすることで、熱交換器の固定状態の安定化および被加熱流体の漏れを阻止することができる。
【0069】
図12は、実施例2に係る熱源機を示している。なお、
図12において、
図1、
図2と同様の構成については、同一符号を付している。
【0070】
この熱源機100は、たとえば給湯機能や暖房機能、浴槽追焚機能を備える給湯装置等の熱源の一例である。熱源機100は、燃焼室であるケース102を備え、このケース102内で燃料ガスを燃焼させて燃焼排気HAを発生させるバーナ104やバーナ104に対して空気を供給する給気ファン106などを備えている。また、ケース102内には、燃焼排気HAの流れ方向に対して上流側に、バーナ104の燃焼排気HAのうち主として顕熱を熱交換させる一次熱交換器108を備えるとともに、燃焼排気HAの流れ方向に対して下流側に熱交換器2を備えている。
この一次熱交換器108には、たとえば内部に被加熱流体である水や熱媒などを通過させる熱交換管が複数配置されている。この一次熱交換器108は、熱交換器2と接続されており、たとえば始めに熱交換器2で潜熱を回収した被加熱流体が一次熱交換器108側に流されて、高温の燃焼排気から顕熱を回収させてもよい。
斯かる構成によれば、燃焼排気HAの潜熱回収効率を高めることができるほか、熱源機から排出される燃焼排気HAの温度を低温にすることができ、熱源機の設置環境に及ぼす影響を低減できる。
【0072】
a)上記一実施の形態では、ヘッダ6は支持板30に対して蓋部32が設置され、その内部に壁24を備えた仕切り部34を設置する構造を示したがこれに限らない。熱交換器110は、たとえば
図13に示すように、独立した蓋部によって機能部が区切られたヘッダ112を備えてもよい。このヘッダ112は、たとえば給水口20を備える供給部を仕切る蓋部114、通水部を仕切る蓋部116、118、排水口22を備える蓋部120が設置されている。各蓋部114、116、118、120は、隣り合う機能部との間を仕切るための側壁122、124、126、128が形成されており、ヘッダ112から外部に被加熱流体が漏れるのを防止している。
斯かる構成によっても、本発明の効果が得られる。
【0073】
b)また、他の熱交換器130として、ヘッダ6は、たとえば
図14に示すように、熱交換器130の載置方向に対して「コ」字形状に形成された支持部132と、この支持部132の開口部分に係合し、熱交換管4の接続部分を密閉するよう側壁を備えた蓋部134を備えてもよい。この蓋部134には、たとえば熱交換器130を収納するケースの側壁に密着させるとともに、上記の給水ジョイントまたは排水ジョイントと係合させる開口部138、140が形成された台座部136を備えてもよい。
【0074】
c)上記一実施の形態または上記実施例の熱交換器2において、U字形状の熱交換管4は、燃焼排気の流れ方向に対して往管12および戻管16を交差方向に配置する場合を示したがこれに限らない。熱交換器2は、たとえば燃焼排気の流れ方向に対し、往管12および戻管16を平行方向に向けて配置してもよい。すなわち、燃焼排気の流れ方向に向けて熱交換管4のU字形状を対向させ、往管12と戻管16が同時に燃焼排気に接触する向きに配置する。そして、ヘッダ6には、燃焼排気の流れ方向にU字形状を向けた複数の熱交換管を並列に接続してもよい。
【0075】
以上説明したように、本発明の最も好ましい実施形態等について説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または明細書に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が、本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。