(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、ビールケース等のハードケースの荷物が想定されており、ハンド部の下側部を荷物の横壁部の開口部に挿入することによって、ハンド部により荷物を保持することが想定されている。
これに対して、例えば米袋やセメント袋等のように、粉粒体を入れた布製や紙製、ビニール製等の形状が変化し易い袋状の荷物があり、このように形状が変化し易い袋状の荷物を、特許文献1のハンド部で保持することは困難である。
【0006】
本発明は、荷物保持用のハンド部において、形状が変化し易い袋状の荷物を適切に保持することができるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の荷物保持用のハンド部は、
吊り下げ機構に接続されて吊り下げられる荷物保持用のハンド部であって、
荷物の下側に入れられて荷物を支持する下側部と、
前記下側部における荷物の下側への挿入側とは反対側の部分から上側に延出されて、荷物の横外側に位置する中間部と、
前記中間部の上部から前記下側部側に延出され、前記吊り下げ機構に接続されて、荷物の上側に位置する上側部とが備えられ、
前記上側部における前記吊り下げ機構が接続される部分よりも下側の部分、又は前記中間部に、前記下側部を荷物の下側から横外側に離間操作する為の持ち手部が備えられ、
前記下側部における荷物の下側への挿入側の先端部の幅が、前記下側部における荷物の下側への挿入側とは反対側の部分の幅よりも小さくなるように、前記下側部が平面視で先細り形状となっている。
【0008】
形状が変化し易い袋状の荷物を本発明のハンド部により保持する場合、ハンド部の下側部を荷物の下側に入れることにより、荷物の下側にハンド部の下側部が位置し、荷物の横外側にハンド部の中間部が位置し、荷物の上側にハンド部の上側部が位置した状態で、ハンド部により荷物を保持しながら持ち上げればよい。
【0009】
前述の状態において、荷物の重量がハンド部に下側部に掛かった場合、ハンド部の上側部における吊り下げ機構が接続される部分が、ハンド部の下側部の上側に位置する状態となるので、ハンド部の上側部における吊り下げ機構が接続される部分を支点として、ハンド部を荷物から横外側に離れる方向に移動させようとするモーメントは発生し難い(モーメントが発生したとしても、小さなモーメントである)。
これにより、ハンド部の下側部と荷物との摩擦等によって、ハンド部の下側部が荷物の下側から横外側に離れることはなく、ハンド部により荷物が安定して保持される。
【0010】
ハンド部により荷物を保持した後に、ハンド部を荷物から外して、荷物を床等に置く場合、ハンド部の下側部及び荷物を床等に置いてから、ハンド部の下側部を荷物の下側から抜き出そうとしても、ハンド部の下側部が荷物と床等との間に挟まれて、ハンド部の下側部を荷物の下側から抜き出し難くなることがある。この場合、ハンド部及び荷物を床等の少し上側に位置させた状態で、ハンド部を荷物から外して、荷物を床等に落下させればよい。
【0011】
また、本発明によると、例えば床等に置かれた荷物を保持する場合、ハンド部の下側部を荷物の下側に抵抗少なく無理なく入れることができる。
【0012】
【0013】
以上のように本発明によると、ハンド部を荷物の下側から横外側に離れる方向に移動させようとするモーメントが発生し難い点、並びに、ハンド部を荷物の横外側に離れる方向に揺動させて荷物から外すことができる点により、形状が変化し易い袋状の荷物であっても、荷物を安定して保持し、荷物から無理なく外すことができるハンド部を得ることができる。
また、本発明の荷物保持用のハンド部は、
吊り下げ機構に接続されて吊り下げられる荷物保持用のハンド部であって、
荷物の下側に入れられて荷物を支持する下側部と、
前記下側部における荷物の下側への挿入側とは反対側の部分から上側に延出されて、荷物の横外側に位置する中間部と、
前記中間部の上部から前記下側部側に延出され、前記吊り下げ機構に接続されて、荷物の上側に位置する上側部とが備えられ、
前記中間部は、荷物の横外側の方向に膨らむ湾曲部を有する。
また、本発明の荷物保持用のハンド部は、
吊り下げ機構に接続されて吊り下げられる一対のハンド具からなる荷物保持用のハンド部であって、
それぞれの前記ハンド具に、
荷物の下側に入れられて荷物を支持する下側部と、
前記下側部における荷物の下側への挿入側とは反対側の部分から上側に延出されて、荷物の横外側に位置する中間部と、
前記中間部の上部から前記下側部側に延出され、前記吊り下げ機構に接続されて、荷物の上側に位置する上側部とが備えられている。
【0014】
本発明において、
前記中間部の幅よりも、前記下側部の幅が大きなものに設定されていると好適である。
【0015】
本発明によると、ハンド部の下側部の幅が比較的大きなものとなるので、ハンド部の下側部により荷物が安定して支持されるようになり、ハンド部により荷物を安定して保持することができる。
【0016】
本発明において、
前記下側部における荷物の下側への挿入側の先端部の幅が、前記下側部における荷物の下側への挿入側とは反対側の部分の幅よりも小さくなるように、前記下側部が平面視で先細り形状となっていると好適である。
【0017】
本発明によると、例えば床等に置かれた荷物を保持する場合、ハンド部の下側部を荷物の下側に抵抗少なく無理なく入れることができる。
【0018】
本発明において、
前記下側部が、棒材を組み合わせた枠状に形成されていると好適である。
【0019】
本発明によると、形状が変化し易い袋状の荷物をハンド部により保持した場合、ハンド部の下側部の棒材が荷物の下側に食い込むような状態となるので、ハンド部が荷物から外れ難くなって、ハンド部により荷物を安定して保持することができる。
本発明において、
前記上側部における前記吊り下げ機構が接続される部分よりも下側の部分、又は前記中間部に、前記下側部を荷物の下側から横外側に離間操作する為の持ち手部が備えられると好適である。
本発明によると、ハンド部の上側部における吊り下げ機構が接続される部分よりも下側の部分又は中間部に、持ち手部が備えられている。
ハンド部により保持した荷物を床等の少し上側に位置させた状態で、ハンド部を荷物から外す場合、ハンド部の持ち手部を持ってハンド部を横外側に移動させれば、ハンド部の上側部における吊り下げ機構が接続される部分を支点として、ハンド部が荷物の横外側に離れる方向に揺動するのであり、ハンド部を荷物から無理なく外すことができる。
本発明によると、ハンド部の持ち手部が下側部に備えられていないので、例えば床等に置かれた荷物を保持する場合、ハンド部の下側部を荷物の下側に入れる際に、ハンド部の持ち手部が妨げになるようなことはない。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜
図16には、作業者が装着して使用するアシスト器具において、アシスト器具に備えられたハンド部20に、本発明の荷物保持用のハンド部15が取り付けられた状態が示されている。
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者から視て前側が「前」であり、後側が「後」であり、右側が「右」であり、左側が「左」である。
【0022】
(アシスト器具の全体構成及び本体部)
図1,2,3に示すように、アシスト器具には、作業者の背中部に取り付けられる本体部1、本体部1の上部から上側に延出され前側に延出された右及び左のアーム部2、本体部1の下部に設けられた右及び左の脚作用部3が備えられており、作業者への装着用の取付ベルト4、右及び左の肩ベルト5が備えられている。
【0023】
図1,2,3に示すように、本体部1は、右及び左の縦フレーム6、右及び左の縦フレーム6に亘って連結された支持板7等を備えて、枠状となっている。脚作用部3に取付ベルト4が取り付けられ、支持板7の前面の上部に肩ベルト5が取り付けられている。支持板7の後面の上下中間部に制御装置8が取り付けられており、支持板7の後面の下部にバッテリー9が取り付けられている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、肩ベルト5に作業者の腕部(肩部)を入れ、取付ベルト4を作業者の腰部に巻き付けて固定することにより、作業者の背中部に本体部1が取り付けられる。
【0025】
図1及び
図2に示すように、アシスト器具及び荷物B(
図5,6,7参照)の重量が取付ベルト4を介して主に作業者の腰部に掛かるのであり、アシスト器具及び荷物Bの重量が作業者の腰部により安定して支持される。右及び左の肩ベルト5は、主に本体部1が作業者の背中部から後方に離れようとする状態を止める機能を発揮する。
【0026】
(右及び左の脚作用部)
図1,2,3に示すように、脚作用部3は、基部10、伝動ケース11、操作アーム12及び脚ベルト13等を備えている。支持板7の下部に左右方向にスライド自在に基部10が支持されており、基部10の外端部に伝動ケース11が前向きに連結されている。
【0027】
図1,2,3に示すように、伝動ケース11の前部の左右方向の横軸芯P1周りに、操作アーム12が揺動自在に支持されており、幅広のベルト状の脚ベルト13が操作アーム12に取り付けられている。複数の平ギヤにより構成された伝動機構(図示せず)が伝動ケース11の内部に備えられて、電動モータ(図示せず)が基部10の内部に備えられており、電動モータにより伝動機構を介して操作アーム12が横軸芯P1周りに揺動駆動される。
【0028】
作業者の背中部に本体部1を取り付ける場合において、作業者が取付ベルト4を腰部に巻き付けて固定する際、取付ベルト4と一緒に、右及び左の脚作用部3(基部10)が支持板7に沿って左右方向に移動可能である。
取付ベルト4の腰部への巻き付け具合によって、作業者の体格に合わせるように右及び左の脚作用部3の間隔が決まるのであり、取付ベルト4により右及び左の脚作用部3の位置が決められる。
【0029】
図1及び
図2に示すように、作業者は脚ベルト13を太腿部に巻き付けて、面ファスナ(図示せず)(マジックテープ(登録商標))により、脚ベルト13を太腿部に取り付ける。作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者の腰部の右側に右の脚作用部3(伝動ケース11)が位置し、作業者の腰部の左側に左の脚作用部3(伝動ケース11)が位置する。
【0030】
(右及び左のアーム部)
図1,2,3に示すように、右及び左の縦フレーム6の上部が、作業者の右及び左の肩部を越えて斜め上側に延出され斜め前側に延出されて、右及び左のアーム部2となっている。アーム部2の先端部に右及び左の支持部材16が取り付けられて、右及び左のプーリー(図示せず)が支持部材16に回転自在に支持されている。
【0031】
図1,2,3に示すように、支持板7の後面の上部に昇降装置17が取り付けられており、昇降装置17から、右の2本のワイヤ18,19(吊り下げ機構に相当)、及び左の2本のワイヤ18,19(吊り下げ機構に相当)が延出されている。
【0032】
図1,2,3に示すように、支持板7の上部にアウター支持部21が連結され、支持部材16にアウター支持部16aが備えられている。ワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部が、アウター支持部21及び支持部材16のアウター支持部16aに接続されて、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが昇降装置17に接続されている。
【0033】
図1,2,3に示すように、右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが右の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されており、右の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に、右のハンド部20が接続されている。
左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aが左の支持部材16のプーリーに掛けられて下側に延出されており、左の2本のワイヤ18,19のインナー18a,19aの延出端に、左のハンド部20が接続されている。
【0034】
(アシスト器具に備えられたハンド部)
図2及び
図4に示すように、右及び左のハンド部20は、板材が折り曲げられてフック状に形成されており、上下向きの横側部20a、横側部20aの下部から横向きに延出された下側部20b、横側部20aの上部から横向きに延出された上側部20cを備えている。
【0035】
図1及び
図2に示すように、右及び左のハンド部20は左右対称の形状となっている。
右のハンド部20の上側部20cに上昇操作スイッチ23が取り付けられ、左のハンド部20の上側部20cに下降操作スイッチ24が取り付けられている。
【0036】
ハンド部20は、ビールケースや果物箱等のように箱状の荷物Bを保持するのに適している。右のハンド部20(下側部20b)を荷物Bの右側部に係合させ、左のハンド部20(下側部20b)を荷物Bの左側部に係合させることにより、右及び左のハンド部20により荷物Bを保持する。
【0037】
図1,2,3に示すように、制御装置8に接続された右及び左のハーネス14が、右及び左のアーム部2の内部に入り、アーム部2の内部を通ってアーム部2の上端部に延出されている。右及び左のアーム部2の上端部の開口部からハーネス14が出て下側に延出されてており、右のハーネス14が上昇操作スイッチ23に接続され、左のハーネス14が下降操作スイッチ24に接続されている。
【0038】
図1及び
図2に示すように、作業者がアシスト器具を装着した状態で、作業者が右手で右のハンド部20を握るようにして持ち、左手で左のハンド部20を握るようにして持つのであり、右手及び左手の親指により上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を押し操作する。
【0039】
図1及び
図2に示すように、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24は復帰型となっている。上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を押し操作していると、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24から操作信号が出力され、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の操作信号が停止する。
【0040】
(昇降装置)
図1及び
図2に示すように、昇降装置17は支持板7に連結されている。伝動機構(図示せず)を内装する上下向きの伝動ケース25、伝動ケース25の上部に横向きに連結された支持ケース26、伝動ケース25の下部に横向きに連結された電動モータ27、支持ケース26の内部で横向きの軸芯周りに回転自在な4個の回転体(図示せず)が、昇降装置17に備えられている。
【0041】
図1及び
図2に示すように、右及び左のワイヤ18,19のアウター18b,19bの端部がアウター支持部21に接続され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが、支持ケース26の内部の4個の回転体の各々に接続されている。
【0042】
図1及び
図2に示すように、制御装置8により電動モータ27が作動する。電動モータ27の動力が伝動ケース25の内部の伝動機構を介して、支持ケース26の内部の回転体に伝達されるのであり、回転体が巻き取り側及び繰り出し側に回転駆動される。
【0043】
図1,2,3に示すように、上昇操作スイッチ23を押し操作すると、電動モータ27により回転体が巻き取り側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体に巻き取られて、ハンド部20が上昇する。
下降操作スイッチ24を押し操作すると、電動モータ27により回転体が繰り出し側に回転駆動され、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが回転体から繰り出されて、ハンド部20が下降する。
【0044】
上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、電動モータ27が停止する。電動モータ27に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられており、電動モータ27の作動時に電磁ブレーキは自動的に解除状態となり、電動モータ27の停止時及び非通電時に電磁ブレーキは自動的に制動状態となる。
【0045】
(荷物保持用のハンド部)
図1,2,4に示すように、右及び左のハンド部15は、丸パイプ状の棒材が折り曲げられて枠状に形成されており、下側部22、中間部28及び上側部29を備えて、左右対称の形状となっている。
【0046】
図4に示すように、1本の棒材が平面視で三角形状に折り曲げられて、下側部22の一部が形成されている。下側部22における荷物Bの下側への挿入側の先端部22aの幅W1が、下側部22における荷物Bの下側への挿入側とは反対側の部分22bの幅W2よりも小さくなるように、下側部22が平面視で先細り形状となっている。
【0047】
図4に示すように、1本の棒材が、側面視で逆U字状に折り曲げられ(
図1参照)、正面視でL字状に折り曲げられて(
図2参照)、棒材の下端部が下側部22の先端部22a及び部分22bに連結されている。棒材において下側部22の先端部22a及び部分22bに連結された部分22cが、下側部22の一部となっている。
下側部22は、先端部22a及び部分22b,22c等を備えており、棒材により枠状に形成されている。
【0048】
図2及び
図4に示すように、下側部22における荷物Bの下側への挿入側とは反対側の部分22bから、中間部28が上側に延出されて、荷物Bの横外側に位置する中間部28が形成されている。中間部28の上部から、上側部29が下側部22側の斜め上側に延出されて、荷物Bの上側に位置する上側部29が形成されている。
【0049】
図4に示すように、上側部29の上端部に亘って、接続部30(上側部における吊り下げ機構が接続される部分に相当)が備えられている。
図1及び
図4に示すように、上側部29における接続部30の下側の部分(上側部における吊り下げ機構が接続される部分よりも下側の部分に相当)に、持ち手部31が横向きに連結されている。中間部28の上部(又は中間部28と上側部29との接続部分)に、持ち手部32が横向きに連結されている。
【0050】
図1及び
図4に示すように、中間部28(上側部29)の幅W3よりも、下側部22における荷物Bの下側への挿入側とは反対側の部分22bの幅W2(下側部の幅に相当)が大きなものに設定されている。接続部30及び持ち手部31,32が、中間部28及び上側部29の補強部材となっている。
【0051】
図1,2,4に示すように、ハンド部15の接続部30を、ハンド部20の下側部20bに掛けることによって、ハンド部15がハンド部20に取り付けられた状態となるのであり、ハンド部15がハンド部20を介してワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続されて吊り下げられた状態となる。
【0052】
(形状が変化し易い袋状の荷物の保持)
例えば米袋やセメント袋等のように、粉粒体を入れた布製や紙製、ビニール製等の形状が変化し易い袋状の荷物Bがあり、このような形状が変化し易い袋状の荷物Bを保持することに、ハンド部15は適している。
以下に、右及び左のハンド部15による袋状の荷物Bの保持について説明する。
【0053】
図5に示すように、パレットや床に荷物Bが置かれていたとする。
右のハンド部15の下側部22を荷物Bの下側に入れる場合、作業者は右手で右のハンド部15の持ち手部31(又は持ち手部32)を持ちながら、左手で荷物Bの右部を少し持ち上げて、右のハンド部15の下側部22を荷物Bの下側に入れて、右のハンド部15の中間部28を荷物Bの横外側に位置させる(接触させる)。
【0054】
左のハンド部15の下側部22を荷物Bの下側に入れる場合、右手及び左手が逆の状態で、前述と同様な操作を行うのであり、この後に右手で右のハンド部20を持ち、左手で左のハンド部20を持つ。
【0055】
前述とは異なる方法として、以下の方法がある。
右のハンド部20を右手で持ちながら、右のハンド部15を荷物Bの横外側に位置させて、右脚で右のハンド部15の持ち手部31(又は持ち手部32)を踏み操作し、右のハンド部15を荷物B側に揺動させるようにして、右のハンド部15の下側部22を荷物Bの下側に入れて、右のハンド部15の中間部28を荷物Bの横外側に位置させる(接触させる)。
【0056】
左のハンド部15の下側部22を荷物Bの下側に入れる場合、左のハンド部20を左手で持ちながら、左脚で左のハンド部15の持ち手部31(又は持ち手部32)を踏み操作することにより、前述と同様な操作を行う。
【0057】
この場合、
図4に示すように、ハンド部15の下側部22が平面視で先細り形状となっているので、ハンド部15の下側部22を荷物Bの下側に抵抗少なく無理なく入れることができる。
【0058】
前項の(昇降装置)に記載のようにハンド部20を上昇させると、
図6に示すように、荷物Bの下側にハンド部15の下側部22が位置し、荷物Bの横外側にハンド部15の中間部28が位置し、荷物Bの上側にハンド部15の上側部29が位置した状態で、ハンド部15により荷物Bを保持しながら持ち上げることができる。
【0059】
図6に示す状態において、荷物Bの重量がハンド部15に下側部22に掛かった場合、ハンド部15の接続部30が、ハンド部15の下側部22の上側に位置する状態となるので、ハンド部15の接続部30を支点として、ハンド部15を荷物Bから横外側に離れる方向に移動させようとするモーメントは発生し難い(モーメントが発生したとしても、小さなモーメントである)。
これにより、ハンド部15の下側部22と荷物Bとの摩擦等によって、ハンド部15の下側部22が荷物Bの下側から横外側に離れることはなく、ハンド部15により荷物Bが安定して保持される。
【0060】
図1及び
図4に示すように、ハンド部15の下側部22(部分22b)の幅W2が比較的大きなものであるので、幅の大きな荷物Bであっても、ハンド部15により荷物Bが安定して保持される。
ハンド部15の下側部22が棒材による枠状であるので、ハンド部15の下側部22の棒材が荷物Bの下側に食い込むような状態となり、ハンド部15が荷物Bから外れ難くなって、ハンド部15により荷物Bが安定して保持される。
【0061】
図5及び
図6に示すように、ハンド部15により荷物Bを保持した後に、ハンド部15を荷物Bから外して、荷物Bを床等に置く場合、
図7に示すように、ハンド部15及び荷物Bを床等の少し上側に位置させる。
【0062】
次に、
図7に示すように、作業者はハンド部15の持ち手部31(又は持ち手部32)(
図1及び
図4参照)を持ってハンド部15を横外側に移動させる。これにより、ハンド部15の接続部30を支点として、ハンド部15が荷物Bの横外側に離れる方向に揺動して、ハンド部15を荷物Bから無理なく外すことができるのであり、荷物Bを床等に落下させる。
【0063】
(アシスト器具の作業形態)
例えば、パレットや床に置かれた荷物Bを高い棚やトラックの荷台に置くような場合、作業者がしゃがんでパレットや床の荷物Bを手で持ち、手を下に延ばした状態で荷物Bを持ちながら立ち上がり、手で荷物Bを持ち上げて、荷物Bを高い棚やトラックの荷台に置くような状態が想定される。
【0064】
ビールケースや果物箱等のように箱状の荷物Bの場合、ハンド部15をハンド部20から取り外して、ハンド部20により荷物Bを保持する。
形状が変化し易い袋状の荷物Bを保持する場合、ハンド部20にハンド部15を取り付けて、ハンド部15により荷物Bを保持する。
【0065】
アシスト器具を装着した作業者が前述のような作業を行う状態において、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の押し操作に基づいて、制御装置8により右及び左の脚作用部3、昇降装置17が作動する状態について説明する。
【0066】
図1及び
図2に示すように、作業者がアシスト器具を装着した状態において、作業者が上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の両方を押し操作していないと、昇降装置17の電動モータ27は停止して、右及び左の脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0067】
作業者が歩行する場合や、作業者が膝部を曲げて腰部を落とす場合(しゃがむ場合)、作業者の太腿部に追従するように操作アーム12が揺動するのであり、作業者の動作が妨げられることはない。
【0068】
作業者がしゃがんでパレットや床の荷物Bを持つ場合、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、昇降装置17において電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部15,20が下降する。
【0069】
下降操作スイッチ24の押し操作を止めると、電動モータ27が停止して、ハンド部15,20が停止するので、作業者は、ハンド部15,20により荷物Bを保持する(前項の(形状が変化し易い袋状の荷物の保持)を参照)。
【0070】
前項の(昇降装置)に記載のように、電動モータ27に電磁ブレーキ(図示せず)が備えられており、電動モータ27の停止時及び非通電時に、電磁ブレーキは自動的に制動状態となる。
電動モータ27が停止した状態において、昇降装置17からワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されることはなく、後述するようにハンド部15,20に荷物Bの重量が掛かっても、ハンド部15,20が下降することはない。
【0071】
次に作業者は、ハンド部15,20により荷物Bを保持した状態で、立ち上がることによって荷物Bを持ち上げる。作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作すると、脚作用部3において、操作アーム12が下側に駆動され、作業者の太腿部が下側に操作されて、作業者の立ち上がりが補助される。
【0072】
作業者が上昇操作スイッチ23を押し操作した状態で立ち上がった後に、脚作用部3において、操作アーム12が略真下に向く位置に達したことが検出されると、作業者が完全に立ち上がったと判断されて、脚作用部3の電動モータは停止状態(自由回転状態)となる。
【0073】
次に昇降装置17において、電動モータ27が巻き取り側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが巻き取られて、ハンド部15,20が上昇する。所望の位置までハンド部15,20が上昇すると、上昇操作スイッチ23の押し操作を止めることにより、電動モータ27が停止してハンド部15,20が停止する。
【0074】
作業者は、荷物Bを置くべき高い棚やトラックの荷台等へ歩いて移動する。作業者が高い棚やトラックの荷台等に到着して、作業者が下降操作スイッチ24を押し操作すると、昇降装置17において、電動モータ27が繰り出し側に作動し、ワイヤ18,19のインナー18a,19aが繰り出されて、ハンド部15,20が下降する。
【0075】
作業者は、荷物Bを高い棚やトラックの荷台等に置いて、ハンド部15,20を荷物Bから取り外す(前項の(形状が変化し易い袋状の荷物の保持)を参照)。荷物Bを高い棚やトラックの荷台等に置くと、最初の状態に戻るので、次の荷物Bに対して同様な操作を行う。
【0076】
(発明の実施の第1別形態)
前述の(発明を実施するための形態)において、ハンド部15を
図8及び
図9に示すように構成してもよい。
【0077】
図8及び
図9に示すように、棒材を折り曲げて下側部22、中間部28及び上側部29が形成されている。中間部28及び上側部29の間隔が上側ほど狭くなるように、中間部28及び上側部29が傾斜しており、横長のループ状の接続部30が上側部29の上端部に連結されている。
【0078】
上側部29における接続部30の下側の部分に、持ち手部31が横向きに連結されている。中間部28の上部(又は中間部28と上側部29との接続部分)に、平面視でチャンネル形状の持ち手部32が、下側部22とは反対側に向けて横向きに連結されている。
【0079】
下側部22は平面視で円弧状に形成されて、下側部22が平面視で先細り形状となっている。横向き部33が下側部22に連結されて、下側部22が補強されている。
中間部28及び上側部29の間隔が上側ほど狭くなっていることにより、中間部28(上側部29)の幅よりも、下側部22の幅W2が大きなものに設定されている。
【0080】
ハンド部15の接続部30を、ハンド部20の下側部20bに掛けることによって、ハンド部15がハンド部20に取り付けられた状態となるのであり、ハンド部15がハンド部20を介してワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続されて吊り下げられた状態となる。
【0081】
(発明の実施の第2別形態)
前述の(発明を実施するための形態)において、ハンド部15を
図10及び
図11に示すように構成してもよい。
【0082】
図10及び
図11に示すように、板材を折り曲げて下側部22、中間部28及び上側部29が形成されている。下側部22、中間部28及び上側部29は同じ幅を備えており、横長の長孔である接続部30が、上側部29の上端部に開口されている。
【0083】
下側部22は平面視で円弧状に形成されて、下側部22が平面視で先細り形状となっている。中間部28の上部(又は中間部28と上側部29との接続部分)に、平面視でチャンネル形状の持ち手部31が、下側部22とは反対側に向けて横向きに連結されている。
【0084】
ハンド部15の接続部30を、ハンド部20の下側部20bに掛けることによって、ハンド部15がハンド部20に取り付けられた状態となるのであり、ハンド部15がハンド部20を介してワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続されて吊り下げられた状態となる。
【0085】
(発明の実施の第3別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)(発明の実施の第2別形態)において、ハンド部15の接続部30をハンド部20の下側部20bに掛けるのではなく、ハンド部15の接続部30をハンド部20の下側部20bに揺動できないように、ボルトや溶接等によって連結してもよい。
【0086】
前述のように構成すると、作業者はハンド部20を持った状態でハンド部20の向きを変更することにより、ハンド部15も一緒に向きを変更することができる。
これにより、パレットや床に置かれた荷物Bを保持する場合、作業者はハンド部20を持った状態で、ハンド部15の下側部22を荷物Bの横外側に位置させ、ハンド部20を持って操作しながら、ハンド部15の下側部22を荷物Bの下側に入れることができる。
【0087】
(発明の実施の第4別形態)
前述の(発明を実施するための形態)(発明の実施の第1別形態)(発明の実施の第2別形態)において、ハンド部15を
図12及び
図13に示すように構成してもよい。
【0088】
図8〜
図11に示すハンド部15において接続部30が廃止され、
図12及び
図13に示すように、2組のハンド部15の上側部29に亘って、紐状部34(上側部における吊り下げ機構が接続される部分に相当)が接続されている。
紐状部34は、糸を編んだ紐やロープ、金属製のチェーン、金属製のワイヤケーブル、幅狭の合成樹脂製のベルト等であり、自由に折れ曲がる可撓性を備えているが、引き延ばすことはできないものとなっている。
【0089】
図12及び
図13に示すハンド部15の使用形態について、
図13のハンド部15により説明すると、
図14及び
図15に示すように、右のハンド部20の下側部20bに、2組のハンド部15の紐状部34を掛け、左のハンド部20の下側部20bに、2組のハンド部15の紐状部34を掛ける。
これにより、荷物Bの右部を2組のハンド部15により前後方向から保持し、荷物Bの左部を2組のハンド部15により前後方向から保持する。
【0090】
3組のハンド部15の上側部29に亘って、紐状部34を接続してもよい。
この構成によると
図16に示すように、荷物Bの右部を、2組のハンド部15により前後方向から保持し、1組のハンド部15により左右方向から保持する。荷物Bの左部を、2組のハンド部15により前後方向から保持し、1組のハンド部15により左右方向から保持する。
【0091】
(発明の実施の第5別形態)
図4,8,9に示すハンド部15において、丸パイプ状の棒材に代えて、角パイプ状の棒材や、断面丸型の中実の棒材、断面角型の中実の棒材等により、ハンド部15を形成してもよい。
【0092】
図1〜
図9及び
図12に示すハンド部15において持ち手部31を備え、持ち手部32を廃止してもよい。逆に、持ち手部31を廃止し、持ち手部32を備えてもよい。
【0093】
アシスト器具において、右及び左のアーム部2を廃止して、1本のアーム部2を備えてもよい。
この構成によると、1本のアーム部2から2本のワイヤ18を延出して、2本のワイヤ18の一方に右のハンド部20を接続し、2本のワイヤ18の他方に左のハンド部20を接続する。又は、1本のアーム部2から1本のワイヤ18を延出し、1本のワイヤ18の端部を二股状に分岐させて、分岐部分の一方に右のハンド部20を接続し、分岐部分の他方に左のハンド部20を接続する。
【0094】
アシスト器具において、ハンド部20を廃止して、ハンド部15や紐状部34を、ワイヤ18,19のインナー18a,19aに接続するようにしてもよい。
【0095】
上昇操作スイッチ23を左のハンド部20に備え、下降操作スイッチ24を右のハンド部20に備えてもよい。上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の両方を、右又は左の一方のハンド部20に備えてもよい。
【0096】
上昇操作スイッチ23を右のハンド部15に備え、下降操作スイッチ24を左のハンド部15に備えてもよい。上昇操作スイッチ23を左のハンド部15に備え、下降操作スイッチ24を右のハンド部15に備えてもよい。上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24の両方を、右又は左の一方のハンド部15に備えてもよい。
【0097】
アシスト器具において、右及び左の脚作用部3を備えないように構成してもよい。
アシスト器具において、昇降装置17、上昇操作スイッチ23及び下降操作スイッチ24を廃止して、ワイヤ18,19を本体部1やアーム部2に連結し、ハンド部15,20の位置を固定して、ハンド部15,20の昇降を行わないように構成してもよい。