【文献】
The PlayStation2 BOOKS 七人の侍 20XX テクニカルガイド,ソフトバンクパブリッシング株式会社,2004年 2月 6日,初版,第7頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態]
本発明の実施形態に係るゲームシステムXについて、図面を参照して説明する。
図1によると、本実施形態のゲームシステムXは、サーバ装置1(コンピュータ)及び複数のゲーム装置2(コンピュータ)が、インターネットやLAN(Local Area Network)等のネットワーク3に接続されて構成される。
ゲームシステムXでは、例えば、スマートフォンやPC等のゲーム装置2にインストールされるアプリケーションソフトウェア(Application Software、ネイティブ(Native)アプリ、以下、単に「アプリ」という。)を実行することで、ユーザにゲームをプレイさせる。
【0011】
本発明の実施の形態で説明されるゲームの概要について説明する。
本実施形態のゲームは、各種ゲームモードでの対戦が可能な対戦ゲームである。この各種ゲームモードは、例えば、ゲームプログラム210(
図3)により操作される相手との対戦(以下、「CPU対戦」という。)、同一のゲーム装置2を用いた他のユーザとの対戦(以下、「オフライン対戦」という。)、ネットワーク3等を介した他のユーザとのランダム勝ち抜き対戦(以下、「勝ち抜き対戦」という。)、サーバ装置1により仲介されるeスポーツ(Electronic Sports)大会での対戦(以下、「eスポーツ対戦」という。)等のモード(状態)を含んでいる。以下では、本実施形態のゲームが対戦型格闘ゲームである例について説明する。
ここで、本実施形態においては、ゲーム装置2では、ユーザがゲームをポーズする指示を行った場合に、条件によっては、ポーズさせたり、ポーズを抑制させたりすることが可能である。
【0012】
<ハードウェア構成について>
まず、本実施形態のゲームシステムXのハードウェア構成について説明する。
ここでは、
図2により、サーバ装置1とネットワーク3を介して互いに通信接続される複数のゲーム装置2のハードウェア構成について説明する。
【0013】
・ゲーム装置2のハードウェア構成
図2(a)によると、ゲーム装置2は、制御部20、記憶部21、接続部22、画像処理部23、音声処理部24を備える。記憶部21、接続部22、画像処理部23、及び音声処理部24は、専用のバス及びインターフェイス等を介して、制御部20に接続される。
さらに、接続部22には操作部25が、画像処理部23には表示部26が、音声処理部24には音声入出力部27が接続される。
【0014】
制御部20は、ゲーム装置2の動作を制御する。
【0015】
記憶部21は、主にHDD(Hard Disk Drive)、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)で構成される。
【0016】
接続部22は、ネットワーク3及び操作部25に接続するためのインターフェイスを含む。このインターフェイスを介して、各種プロトコルにより、サーバ装置1と各ゲーム装置2との間でデータが送受信される。さらに、専用インターフェイス、USB(Universal Serial Bus)等により、ユーザの指示に対応した信号が取得される。
【0017】
画像処理部23は、制御部20の指示に対応して、仮想空間及び各オブジェクト等を含む二次元又は三次元のゲーム画像を、例えば、フレーム単位で描画(レンダリング)する。このゲーム画像は、ゲーム画面として、表示部26に表示される。
【0018】
音声処理部24は、制御部20の指示に対応して、音声データを再生及び合成し、D/A(Digital to Analog)変換してゲーム音声として出力する。このゲーム音声は、音声処理部24に接続された音声入出力部27のスピーカやイヤホン出力端子等から音声出力される。
さらに、音声処理部24は、音声入出力部27のマイクロフォンから入力した音声信号をA/D(Analog to Digital)変換して、入力することも可能である。
【0019】
操作部25は、主に、専用又は汎用のコントローラ、キーボード、マウス等のポインティングデバイス等で構成され、操作指示入力に関するデータを送信することが可能である。これにより、ユーザは、操作部25にて、ゲーム装置2へ操作指示を行う。
【0020】
図2(b)は、本実施形態の操作部25が、ゲーム用のコントローラである例を示す。このコントローラに設けられたスティックやボタンやタッチパッド等を操作することにより、ゲーム装置2へ操作信号が入力される。さらに、本実施形態においては、ゲームをポーズさせる操作指示を行うコントローラの物理的なボタン(以下、単に「物理ボタン」という。)として、ゲームデータ211(
図3)に「ポーズボタンP」が設定されている。このポーズボタンPは、例えば、格闘ゲームのプレイヤキャラクタの操作には使用されない、特別なボタンである。
【0021】
表示部26は、LCD(Liquid Crystal Display)や有機ELディスプレイ等のドットマトリクスディスプレイである。
【0022】
音声入出力部27は、スピーカ、イヤホン出力端子、マイクロフォン等である。
【0023】
このゲーム装置2において、アプリ用サーバ(図示せず)からダウンロードされたゲームプログラム210(
図3)及びデータに基づいてゲームが進行する。
このため、上述のゲーム装置2の各部は、本実施形態のゲームプログラム210を実行するハードウェア資源となる。
【0024】
・ゲームシステムXの制御の流れについて
次に、
図3により、ゲームシステムXを実現するサーバ装置1及びゲーム装置2における、ゲーム実行時の制御の流れについて説明する。
【0025】
まず、ゲーム装置2は、ユーザの操作に基づいて、ゲームアプリであるゲームプログラム210を、アプリがダウンロード可能なアプリ用サーバ(図示せず)からダウンロードする。更新(アップデート)用のゲームプログラム210が存在する場合も、このアプリ用サーバからダウンロードされ、インストールされる。
【0026】
インストール後、ゲームプログラム210が初回起動されると、ゲーム装置2とサーバ装置1とは、ネットワーク3を介して互いに通信を行う。
そして、サーバ装置1において、各ユーザには、それぞれ異なるアカウント情報212が付与される。このアカウント情報212は、例えば、ID(識別符号)を含む固有の識別情報である。アカウント情報212が既にユーザへ付与されていた場合は、そのアカウント情報212を設定することも可能である。
サーバ装置1は、各アカウントに対応付けられた、ゲームのプレイ上に必要なデータであるゲームデータ211を作成して、アカウント情報212と共にゲーム装置2へ送信する。
【0027】
ゲーム装置2は、サーバ装置1から、ゲームデータ211とアカウント情報212とを受信して、これを記憶部21に格納する。
【0028】
その後、ゲームが起動されると、ゲーム装置2は、ゲームプログラム210及びゲームデータ211に基づいて、ゲーム進行を行う。ゲーム装置2は、操作部25によりユーザの操作指示を取得してゲームを実行する。この際に実行されるゲームは、本実施形態における対戦型格闘ゲームである。ゲーム装置2は、ゲーム進行に伴うゲーム演出として、ゲーム画像及びゲーム音声を、表示部26及び音声入出力部27等に出力する。
【0029】
具体的には、ユーザは、各種ゲームモードを選択して、相手のプレイヤキャラクタとの格闘対戦を行う。この格闘対戦は、例えば、ステージやプレイヤキャラクタを選択して操作して相手を攻撃し、お互いのプレイヤキャラクタに設定されたHP(ヒットポイント)を減らす。これにより、ラウンド毎の勝ち負けを判定して、例えば、三ラウンド(三回)勝負で、最終的な勝ち負けを判断する。その後、ゲームモードに対応して、ラウンドやステージを変更してのさらなる対戦、勝ち抜き対戦、トーナメント対戦、ゲーム終了等の処理が行われる。
【0030】
さらに、本実施形態において、ゲーム装置2は、ポーズボタンPが押下された場合には、各種ゲームモードに対応して、下記で説明する各種処理を実行する。
ゲーム装置2は、ゲームモードによっては、ゲームの開始時のみならず、ゲーム進行の特定タイミングでサーバ装置1にゲーム進行状況に関するデータを送信する。
【0031】
<ゲームシステムXの機能的構成について>
次に、ゲームシステムXを実現するゲーム装置2の制御部20の機能的構成、及びデータの詳細構成について説明する。
【0032】
・ゲーム装置2の制御部20の機能的構成
ゲーム装置2の制御部20は、記憶部21に格納されたゲームプログラム210を実行することにより、操作指示入力検出手段200、モード判別手段201、抑制手段202、別操作検出手段203、休止手段204、操作部判別手段205、及び設定手段206として機能する。
【0033】
操作指示入力検出手段200は、ゲームをポーズさせる操作指示入力を検出する。本実施形態においては、操作指示入力検出手段200は、ポーズさせる操作指示が設定された物理ボタンの押下を検出する。この物理ボタンとして、上述のように、操作部25のポーズボタンPが割り当てられている。
【0034】
モード判別手段201は、操作指示入力検出手段200によりゲームをポーズさせる操作指示入力が検出された場合、ゲームデータ211を参照して、実行中のゲームのゲームモードを判別する。本実施形態においては、モード判別手段201は、ポーズボタンPの押下された際に、上述の各種ゲームモードのいずれであるかを自動的に判別可能である。
【0035】
抑制手段202は、モード判別手段201によりゲームの状態が、ゲームデータ211の休止設定300に設定されたゲームモードであると判別された場合、ゲームのポーズを抑制する。具体的には、抑制手段202は、休止設定300にポーズを抑制する設定がされていた場合、ポーズを抑制する。加えて、抑制手段202は、ポーズを有効にするものの、別操作が必要である旨の設定がされていた場合、別操作検出手段により、この別操作が検出されなかった場合にも、ポーズを抑制する。ここで、本実施形態では、抑制手段202は、ポーズの抑制として、ポーズ状態にならなくなるよう制御する。すなわち、ポーズボタンPによるポーズが禁止される。
【0036】
別操作検出手段203は、抑制手段202によりゲームのポーズが抑制された場合に、別操作を検出する。この別操作は、複数の操作指示入力の種類、例えば、ポーズボタンPの長押し若しくは連打、及び/又は、ポーズボタンPと、他ボタンの押下との組み合わせを含む。
【0037】
休止手段204は、別操作検出手段203により別操作が検出された場合、ゲームをポーズさせる。この状態で、休止手段204は、休止設定300の設定により、単にポーズするか、又は、メニューを表示してポーズするかユーザに選択させる。
【0038】
操作部判別手段205は、操作指示入力を取得するために接続された操作部25の種類を判別する。この上で、操作部判別手段205は、操作部25が誤入力の可能性が低いデバイスである場合、抑制手段202によるゲームのポーズの抑制を行わせないようにすることが可能である。具体的には、操作部判別手段205は、操作部25の種類によっては、ポーズの抑制(禁止)自体を行わせかったり、ポーズの制御を変更させたりすることが可能である。
【0039】
設定手段206は、別操作、及び/又は、上述のポーズの抑制を、休止設定300に設定する。この設定は、例えば、ゲームの対戦をしていない状態で、ゲームの設定画面上のメニューから実行可能である。
【0040】
・ゲーム装置2の記憶部21に格納されたデータの説明
ゲーム装置2は、記憶部21に、本発明のゲームシステムXを実現するためのゲームプログラム210、ゲームデータ211、及びアカウント情報212を格納している。
【0041】
ゲームプログラム210は、ゲーム装置2を上述の機能的手段として動作させるためのプログラムである。
【0042】
ゲームデータ211は、本実施形態のゲームのプレイ上に必要なデータである。このゲームデータ211は、各プレイヤキャラクタを含むオブジェクトの画像データ、モデリングデータ、メニューやホーム画面のデータ、文字データ、音声データ等の各種データを含んでいる。
ゲームデータ211により、ゲームプログラム210に含まれる各種データが選択されて、ユーザのアカウント情報212に対応したゲームのプレイが実現可能となる。
【0043】
アカウント情報212は、ユーザのID(Identification、識別符号)、電子メールアドレス、パスワード、その他のログイン時のユーザ認証に必要な情報等である。
【0044】
さらに説明すると、ゲームデータ211は、休止設定300及びゲームモード情報301を含んでいる。
【0045】
休止設定300は、ゲームのポーズに関する設定データである。この設定データは、ゲームモード毎に、ポーズの有効又は抑制、有効にする場合には、別操作が必要か否か、当該別操作の種類等の設定を含む。これに加え、休止設定300は、ポーズした際にメニューを表示するか否かの設定をメニュー設定として含んでいる。本実施形態において、これらの設定は、ユーザにより、設定画面を介して変更可能である。
【0046】
ゲームモード情報301は、モード判別手段201により判別されたゲームの状態の情報である。ゲームモード情報301は、例えば、各種ゲームモードのいずれであるかを示す。
【0047】
<ゲームポーズ処理について>
次に、
図4〜
図5を用いて、本実施形態のゲーム装置2の操作指示入力検出手段200、モード判別手段201、抑制手段202、別操作検出手段203、休止手段204、操作部判別手段205、及び設定手段206により実行されるゲームポーズ処理について説明する。
【0048】
本実施形態のゲームポーズ処理においては、設定されたゲームモードであるか判別し、このゲームモードであれば、ポーズボタンPを単純に押下するだけではポーズされないようにする。すなわち、特定のゲームモードでは、ポーズボタンPによるポーズが抑制される。この上で、ユーザが別操作をすると、ポーズされるようにする。この別操作及びポーズの抑制については、設定画面で設定する。
【0049】
以下で、
図4のフローチャートを参照して、ゲーム装置2の各処理のフローについて説明する。ここでは、本実施形態のゲームポーズ処理の詳細をステップ毎に説明する。
【0050】
(ステップS100)
まず、設定手段206が、設定処理を行う。この処理において、設定手段206は、例えば、ゲームの進行を行わない状態で、設定画面を表示部26に表示させる。この状態で、GUI(Graphical User Interface)により、休止設定300を設定することが可能である。具体的には、設定手段206は、設定画面において、操作部25からゲームの設定を行う指示を取得し、各種ゲームモード毎に、ポーズを有効にするか抑制するか、抑制する場合の別操作等を設定する。
【0051】
図5(a)の設定例では、CPU対戦及びオフライン対戦のゲームモードでは、ポーズを有効にするように設定(ポーズ有効)されている。
オンライン対戦及び勝ち抜き対戦モードでは、別操作が設定されている。この例では、オンライン対戦では、別操作として、ポーズボタンPの長押し、又は、ポーズボタンPと他ボタンである三角ボタンとの組み合わせが設定されている。勝ち抜き対戦モードでは、別操作として、ポーズボタンPの5回連打が設定されている。
eスポーツモードでは、ポーズを抑制するように設定(ポーズ禁止)されている。すなわち、eスポーツモードは、本実施形態におけるポーズ抑制のゲームモードの一例である。
【0052】
(ステップS101)
次に、操作部判別手段205が、接続された操作部25は、誤入力の可能性が低いデバイスであるか否かを判断する。操作部判別手段205は、操作部25の種類を判別し、例えば、いわゆる「アーケードコントローラ」のように、ポーズ用のボタンが誤操作されにくいような箇所に配置されているデバイスであった場合に、Yesと判断する。逆に、操作部判別手段205は、本実施形態の
図2(b)のコントローラのように、ポーズボタンPが通常の位置に配置されており、誤入力の可能性があるデバイスであった場合に、Noと判断する。
Yesの場合、操作部判別手段205は、本実施形態のゲームポーズ処理を終了する。
Noの場合、操作部判別手段205は、処理をステップS102に進める。
【0053】
(ステップS102)
ここで、操作指示入力検出手段200が、操作指示検出処理を行う。
対戦が開始され、ゲームが進行している際に、操作指示入力検出手段200は、操作部25にて、ポーズボタンPが押下されているか否かを検出する。この押下の検出は、例えば、ボタンコードの直接検出、押下のイベント設定、割り込み設定等を用いて行うことが可能である。この際、対戦を行うスレッドとは別のスレッドを設定して、押下の検出を行うことも可能である。
【0054】
(ステップS103)
次に、操作指示入力検出手段200が、操作指示入力を検出したか否かを判断する。
本実施形態において、操作指示入力検出手段200は、ポーズボタンPの押下を検出した場合には、Yesと判断する。操作指示入力検出手段200は、ポーズボタンPの押下を検出していない場合には、Noと判断する。
Yesの場合、操作指示入力検出手段200は、処理をステップS104に進める。
Noの場合、操作指示入力検出手段200は、本実施形態のゲームポーズ処理を終了する。
【0055】
(ステップS104)
ポーズボタンPの押下を検出した場合、モード判別手段201が、ゲームモード判別処理を行う。
モード判別手段201は、実行中のゲームのゲームモードを判別する。モード判別手段201は、例えば、ゲームデータ211におけるゲームの進行に関する情報等を参照して、ゲームモードを判別する。判別されたゲームモードは、ゲームモード情報301として記憶部21に格納される。
【0056】
(ステップS105)
次に、抑制手段202が、ポーズ抑制のゲームモードであるか否かを判断する。
抑制手段202は、休止設定300を参照して、判別されたゲームモードで、ポーズが抑制されるように設定されている場合、Yesと判断する。抑制手段202は、それ以外、つまりポーズが有効、又は別操作が更に必要な場合、Noと判断する。
Yesの場合、抑制手段202は、処理をステップS106に進める。
Noの場合、抑制手段202は、処理をステップS109に進める。
【0057】
(ステップS106)
ポーズ抑制のゲームモードの場合、抑制手段202が、別操作検出の設定の有無を判断する。
抑制手段202は、別操作が更に必要なゲームモードの場合、Yesと判断する。抑制手段202は、それ以外、つまり別操作が必要でないゲームモードの場合、Noと判断する。
Yesの場合、抑制手段202は、処理をステップS107に進める。
Noの場合、抑制手段202は、本実施形態のゲームポーズ処理を終了する。これにより、休止手段204が、後述するポーズ処理を行わなくなる。すなわち、ユーザがポーズボタンPを押下してもポーズされず、ポーズが抑制される。
【0058】
(ステップS107)
別操作が更に必要なゲームモードの場合、別操作検出手段203が、別操作検出処理を行う。
別操作検出手段203は、休止設定300を参照して、操作部25にて、ユーザが設定された別操作を行ったかどうかを検出する。
【0059】
(ステップS108)
次に、別操作検出手段203が、別操作を検出したか否かを判断する。
操作検出手段は、別操作が検出された場合には、Yesと判断する。操作検出手段は、それ以外の場合は、Noと判断する。
Yesの場合、操作検出手段は、処理をステップS109に進める。
Noの場合、操作検出手段は、本実施形態のゲームポーズ処理を終了する。これにより、ポーズボタンPの押下が検出されたものの、更なる別操作が検出されなかった場合には、ポーズされなくなる。
【0060】
(ステップS109)
次に、休止手段204が、ポーズ処理を行う。
休止手段204は、実行中のゲームの進行をポーズさせる。本実施形態では、例えば、ゲーム画像を表示部26に表示させた状態で、ゲームの進行が一時的にポーズ(休止)される。この状態では、例えば、音声入出力部27からBGM等は出力され、表示部26には、ゲーム画像が表示されたままになる。しかしながら、味方や敵のプレイヤキャラクタの動作は停止する。
【0061】
(ステップS110)
ここで、休止手段204が、メニューを表示する設定か否かを判断する。
休止手段204は、休止設定300のメニュー設定を参照し、メニューを表示するように設定されていた場合には、Yesと判断する。休止手段204は、それ以外の場合、Noと判断する。
Yesの場合、休止手段204は、処理をステップS111に進める。
Noの場合、休止手段204は、本実施形態のゲームポーズ処理を終了する。
【0062】
(ステップS111)
メニューを表示する設定の場合、休止手段204がメニュー処理を行う。
休止手段204は、ゲームの進行をポーズさせ、表示部26にメニュー画面を描画する。
図5(b)の画面例500は、対戦画面の前面に描画されたメニューMの例を示す。このメニューMが描画される状態では、ゲーム進行がポーズされている。ここで、操作部25のボタン等により「対戦破棄」が選択された場合には、対戦自体が中止される。「戻る」が選択された場合は、メニュー自体が閉じられて、ポーズが解除され、対戦が続けられる。
以上により、本発明の実施の形態に係るゲームポーズ処理を終了する。
【0063】
[発明の効果]
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
従来、特許文献1には、ユーザによる画面への接触を検知して、画面内の最初の接触箇所と異なる箇所に中断指示ボタンを表示し、この中断指示ボタンへの接触が検知されたとき、ゲームをポーズ(中断)させるゲームプログラムが記載されている。
しかしながら、対戦等の状態でない場合には、このポーズの誤操作の抑制のためのボタンの描画等による操作が、ユーザに煩わしく感じられることがあった。ところが、特許文献1のゲームプログラムでは、ゲームモードに対応した処理はできなかった。
これに対して、本実施形態のゲームプログラム210は、ゲームをポーズ可能なゲーム装置2により実行されるゲームプログラムであって、ゲーム装置2を、ゲームをポーズさせる操作指示入力を検出する操作指示入力検出手段200と、操作指示入力検出手段によりゲームをポーズさせる操作指示入力が検出された場合、実行中のゲームのゲームモードを判別するモード判別手段201と、モード判別手段201により判別されたゲームモードが、休止設定300に設定されたゲームモードであると判別された場合、ゲームのポーズを抑制する抑制手段202と、抑制手段202によりゲームのポーズが抑制された場合に、別操作を検出する別操作検出手段203と、別操作検出手段203により別操作が検出された場合、ゲームをポーズさせる休止手段204として機能させることを特徴とする。
このように構成することで、自動的にゲームモードを判別して、eスポーツモード等のゲームモードでは、ポーズを抑制することができる。このため、必要なゲームモードの場合のみ、誤操作を防ぎ、反則負け等にならなくすることができる。加えて、CPU対戦やオフライン対戦のゲームモードでは、通常のポーズボタンの操作指示等でゲームをポーズさせることも可能である。すなわち、ゲームモードに対応して、誤操作によるゲームのポーズを防ぐことが可能なる。このため、ポーズの抑制によるユーザビリティの低下を抑えることができる。
【0064】
加えて、特許文献1のゲームプログラムでは、画面上の仮想ボタン以外の物理ボタンが押下された際のポーズには対応できなかった。
これに対して、本実施形態のゲームプログラム210は、別操作を検出することで、ポーズボタンPのような物理ボタン押下の誤操作によるゲームのポーズを防ぐことが可能なゲームプログラム210を提供することができる。
【0065】
また、従来のeスポーツの大会では、対戦中にポーズをかけると、ポーズした側が反則扱いになってしまう。しかし、従来のゲームのポーズは、物理ボタンを押すだけでポーズされてしまうので、誤操作によって反則行為を意図せず行ってしまう可能性があった。
このような問題について、物理ボタンに対応する動作を設定で変更して、単に物理ボタンによるポーズをできないようにすることも考えられる。しかしながら、そのように構成すると、例えば、機材トラブル等でゲームの進行をポーズさせたい場合でも、ポーズさせることができないため、ユーザを徒に待たせることとなり、ユーザビリティが悪化する。
これに対して、本実施形態のゲームプログラム210は、物理ボタンの押下が検出された際に、別操作をすることでゲームをポーズさせることができる。このため、ユーザビリティを高めることができる。
【0066】
また、別の例として、操作指示入力を取得する操作部25の種類を判別する操作部判別手段205を更に備えて、操作部判別手段205は、操作部25が誤入力の可能性が低いデバイスである場合、抑制手段によるゲームのポーズの抑制を行わせなくてもよいことを特徴とする。
このように構成することで、アーケードコントローラのように、ポーズ用のボタンが誤操作されにくいような箇所に配置されている操作部25については、ポーズを抑制しないように設定することができる。これにより、アーケードコントローラのような操作部25では、特に設定しなくても、ポーズの抑制(禁止)を行わなかったり、制御を変更したりすることができ、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0067】
さらに、従来の特許文献1のゲームプログラムでは、リアルタイム性が要求される対戦型格闘ゲーム等では、画面内の最初の接触箇所と異なる箇所に中断指示ボタンを表示すると、それ自体によりゲームの進行を邪魔する怖れがあった。このため、対戦型格闘ゲームに適用することが困難であった。
これに対して、本実施形態のゲームプログラム210の別の例として、別操作は、物理ボタンの長押し若しくは連打、及び/又は、物理ボタンと他ボタンの押下との組み合わせであるようにしてもよい。
このように構成することで、物理ボタンを単に押下するだけでポーズさせることがなくなり、誤操作を効果的に防ぐことが可能となる。このため、対戦型格闘ゲームにも、容易に適用することができる。
【0068】
さらに、別の例として、ゲームモード毎に、上述の別操作、及び/又は、上述のポーズの抑制を設定する設定手段206を更に備えるようにしてもよい。
このように構成することで、ゲームモード毎に、別操作やポーズの抑制をきめ細かく設定することが可能となる。よって、ユーザの意図に合わせて、ポーズについて細かく制御することができる。
【0069】
[他の実施形態]
図2〜
図5において説明した制御手段及び処理手順は一例であり、本発明の実施形態はこれらには限られない。処理手順等は、本発明の要旨を変更しない範囲で適宜設計変更が可能である。
【0070】
上述の実施形態では、
図4のフローチャートにおいて、別操作及びポーズの抑制の両方について制御を行う例について記載した。
しかしながら、例えば、別操作及びポーズの抑制のいずれかのみについて制御を行うように構成してもよい。
【0071】
図6により、本発明の他の実施形態に係るゲームポーズ処理について説明する。
図6のフローチャートにおいて、
図4と同一の符号のステップは、同様の処理を行う例を示す。
ここで、
図6(a)は、物理ボタンの押下が検出され、更に別操作が検出された場合にポーズする例を示す。
図6(b)は、物理ボタンが検出された際に、設定されたゲームモードであった場合、ポーズを抑制する例を示す。これらについて、更に、上述のメニュー設定の処理の有無を別途、処理として加えるようにしてもよい。
このように構成することで、ゲームの内容や種類等に合わせて、誤操作を防止する処理を行うことが可能となる。
【0072】
さらに、上述の実施形態では、ポーズボタンの押下が検出された後、別操作が行われた場合に、ポーズを行う例について記載した。
しかしながら、本発明の他の実施の形態に係るゲームプログラムは、抑制手段202は、操作指示入力検出手段200によりゲームをポーズさせる操作指示入力が検出された場合、特定期間内に、別操作とは他の操作を検出した場合は、ゲームをポーズさせないように構成してもよい。すなわち、抑制手段202は、ポーズボタンの押下が検出された後、特定期間内に、定義された別操作以外の操作があった場合は、ゲームをポーズさせないようにしてもよい。この特定期間は、例えば、数フレーム〜数秒程度のように、ゲームの進行において、一連の操作(コマンド)の入力に関連する程度の期間を設定可能である。
このように構成することで、例えば、ポーズボタンPの押下の後も、攻撃コマンド等を継続して入力している場合、ユーザによりポーズボタンの誤入力と判断することが可能となる。すなわち、単なる誤操作を容易に判別して、ポーズさせずにゲームを続行させることが可能となる。
【0073】
加えて、上述の実施の形態では、ゲームをポーズさせる操作指示入力用に、操作部25のコントローラの物理ボタンPが設定されている例について説明した。しかしながら、ゲームをポーズさせる操作指示入力用の物理ボタンとして、キーボードのキー、マウスのボタン等が設定されていてもよい。さらに、タッチパネルやタッチパッド上に描画されたボタンが設定されていてもよい。この描画は、物理的な印刷でも、ゲーム画面上の描画でもよい。
また、上述の別操作は、物理ボタンの長押し、連打、他ボタンの押下との組み合わせ以外の操作であってもよい。この操作は、例えば、物理ボタン以外の入力であってもよい。この入力は、例えば、指紋センサや顔認証センサ等の生体認証センサによる入力、カメラによるジェスチャー入力、音声入出力部27による特定ワードの音声入力等であってもよい。
【0074】
さらに、上述の実施の形態では、操作指示入力を検出してから、ゲームモードを判別するように記載した。
しかしながら、操作指示入力を検出しなくても、モード判別手段201によりゲームモードを判別するように構成することも可能である。この場合、別スレッド等により、常にゲームの進行を監視して、ゲームモードを判別することも可能である。加えて、別操作についても、操作指示入力とは独立して検出するようにしてもよい。
【0075】
また、モード判別手段201は、ネットワーク3とのセッション、操作部25の接続状況等により、ゲームモードを判別してもよい。具体的には、モード判別手段201は、サーバ装置1や他のゲーム装置2との接続のセッションが存在して、データが送受信されていることを、ネットワーク3を監視して確認することで、ゲームモードを判別することも可能である。さらに、モード判別手段201は、操作部25に複数のコントローラが接続されているか、単一であるか、同時にボタンの押下その他の操作があるか等により、ゲームモードを判別することも可能である。
これにより、ユーザビリティを向上させることができる。加えて、いわゆる「チート」のような不正を防ぎ、ゲームモードを確実に判別可能となる。
【0076】
加えて、モード判別手段201は、単に対戦に関するゲームモードを判別するのではなく、対戦中であるか、ステージやラウンドの幕間等であるか、機材トラブル等で対戦が中止しているか等の細かなゲームの状態をゲームモードとして判別してもよい。
このように構成することで、ゲームの進行の状況に合わせて、細やかにポーズの有効、抑制等を制御可能となる。
【0077】
上述の実施の形態では、ポーズの抑制については、単にポーズを禁止する例について説明した。
しかしながら、ポーズの抑制として、単なるゲーム進行の休止以外の処理を行ってもよい。
たとえば、
図5(c)の画面例501のように、抑制手段202は、ポーズが抑制されている場合、「ポーズ禁止中」のダイアログDを表示部26に表示させてもよい。また、抑制手段202は、ブザー音等のポーズが抑制されていることを示す音声データを、音声処理部24を介して、音声入出力部27で出力させてもよい。
このように構成することで、ユーザは、ポーズが抑制されていることを容易に判別できる。
【0078】
さらに、上述の実施の形態においては、メニューが表示されている際に、ゲームの進行をポーズさせている例について記載した。
しかしながら、メニューMが描画されただけの状態では、まだゲームの進行がポーズされておらず、背後で対戦が行われて描画されているようにしてもよい。この場合、メニューで「ポーズ」が選択されることで、上述のステップS109と同様に、ゲームの進行がポーズされるようにしてもよい。
このように構成することで、ポーズボタンを押しただけではポーズしなくなり、すぐに反則扱いとならなくなる。このため、ユーザの利便性を高められる。
【0079】
また、上述の実施の形態のゲームシステムXでは、サーバ装置1を介してゲームを行う例について記載した。
しかしながら、別の例として、ゲーム装置2のみでゲームを行うように構成してもよい。また、例えば、近距離無線通信やP2P等の手段により他のゲーム装置2とサーバ装置1を介さずに通信を行うゲームであるよう構成することも可能である。
【0080】
上述の実施形態には、ゲームが、対戦格闘ゲームである例について記載されているが、これに限られない。たとえば、アクションゲーム、シューティングゲーム、シミュレーションゲーム、ボードゲーム、ロールプレイングゲーム、パズルゲーム等、様々な種類のゲームに適用することができる。
【0081】
・ハードウェア構成のバリエーション
なお、制御部20は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Processor、特定用途向けプロセッサー)等を含む情報処理部であってもよい。
【0082】
記憶部21は、一時的でない記録媒体であり、主記憶部のRAMとしては、DRAMやSRAM等を用いてもよい。ROMは、補助記憶部として、EEPROM、フラッシュメモリ、3D Xポイント等の各種不揮発性で書き換え可能な半導体メモリを用いてもよい。加えて、補助記憶部として、HDDの代わりに、SSD(Solid State Drive)やeMMC(embedded Multi Media Card)を用いることも可能である。
【0083】
接続部22は、LAN、無線LAN、WAN、携帯電話網等のネットワーク3に接続するためのLANボードや無線送受信機等を含むネットワーク接続部であってもよい。加えて、接続部22は、USBやBluetooth(登録商標)等の近距離無線の接続部を含んでいてもよい。加えて、接続部22は、近距離無線により操作部25と接続されてもよい。
【0084】
画像処理部23は、GPU(Graphics Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等の情報処理部であってもよい。画像処理部23は、専用のメモリを備えていてもよい。
【0085】
操作部25は、タッチパネル、マウス等のポインティングデバイスやキーボード等であってもよい。さらに、操作部25と接続部22とは、無線又は有線で接続される。この無線又は有線の接続は、USB、Bluetooth(登録商標)等であってもよい。
【0086】
なお、ゲーム装置2において、制御部20及び画像処理部23は、GPU内蔵CPU等やチップ・オン・モジュールパッケージのように、一体的に形成されていてもよい。
また、制御部20及び画像処理部23は、RAMやROMやフラッシュメモリ等を内蔵していてもよい。
【0087】
加えて、上述の実施形態では、本実施形態のゲームプログラム210がネイティブアプリケーションである例について記載されたものの、ウェブアプリとして構成されていてもよい。すなわち、ゲームプログラム210は、ウェブブラウザー等で実行可能なアプリであってもよい。この場合は、記憶部21に格納されるゲームプログラム210及びゲームデータ211は、毎回、RAM等に一時的に格納されてもよい。
さらに、上述の実施形態では、ゲーム装置2において、ゲームプログラム210自体はアプリ用サーバからダウンロードするように記載した。しかしながら、ゲームプログラム210をサーバ装置1からダウンロードするようにしてもよい。また、ゲームプログラム210は、ゲーム装置2において、光学記録媒体やその他の記録媒体から読み込まれ、記憶部21にインストールされてもよい。
【0088】
上述の実施形態には、ゲーム装置2としてスマートフォン等の携帯端末装置やPCを用いた例が記載されているが、本発明の実施形態はこれには限られない。たとえば、ゲームセンター等に提供されるアーケードゲーム筐体を用いて本発明を実現することもできる。また、ゲーム装置2として、家庭用(コンシューマ)のゲーム装置を用いて本発明を実現することもできる。
【0089】
これらの他の実施形態を採用した場合においても、本発明の作用効果は発揮される。また、本実施形態と他の実施形態、及び他の実施形態同士を適宜組み合わせることも可能である。
【0090】
また、上記実施の形態の構成及び動作は例であって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更して実行することができることは言うまでもない。