(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
播種マシンの適正な動作は、種子制御システムにより管理される。種子制御システムの重要な要素には、種子の供給を管理できる種子センサが含まれる。本発明は、主に、空気圧式粗粒播種マシン(空気によって種子が地面に搬送される)に用いられる種子センサに関し、種子センサは、播種マシンのオペレータのために、播種プロセスの精度及び播種プロセスの異常に関するリアルタイム情報を提供する。
【0003】
最新技術では、播種プロセス中に種子を検出するために多数の解決策が用いられている。最も一般的な解決策は、いわゆる種子検出センサ(種子センサ)の使用である。種子センサは種子の流路に置かれ、それにより種子は種子センサを通過して地面に達する。種子制御中、種子センサは、播種マシンが播種しているかどうかを判定するとともに、いくつの種子が指定時間内に播種マシンにより供給されるかを決定する機能を有する。種子センサは、種子搬送パイプが閉塞しているかを判定する更なる機能を有する。上記の機能を提供するために、様々な技術的解決策を適用することができる。電波(レーダー)、マイクロ波又は音響ベースで動作する種子センサも存在するが、最も一般的な解決策は、光学原理に基づくものである。
【0004】
光学種子センサの大半は、オプトゲートの原理により動作する。この解決策では、光源(送信器)と光検出器(受信器)が互いに反対側に配置される。光源は典型的に、発光ダイオード(LED)である一方、光検出器は一般に、フォトトランジスタ又はフォトダイオードである。オプトゲート式種子センサの動作の要点は、送信器(例えばLED)と受信器の間を通過する物体(本ケースにおける種子など)が、受信器側に影を生成し、受信器の信号処理回路内で信号を発生させる点にある。
【0005】
オプトゲート式種子センサは基本的に、光源の制御方式により2つの形式に分類される。第1の形式には、時間の経過において光源が一定の光強度で連続的に動作する種子センサが含まれる。動作(すなわち光源の制御及び信号処理)に関して、この解決策は、より単純であるので、より一般的でもある。他のグループには、光源の光強度が周期的信号により制御される、例えば、一定周波数の方形パルスにより変調される、オプトゲート式種子センサが含まれる。この場合、受信器側で検出された信号の歪みの検査によって、種子の検出が行われる。光源の数及び光検出器の数は、適用の具体的な場所、種子検知ゾーンの形状及び寸法に応じて選択される。種子センサを通過する種子のサイズは、小さな種子(例えばキャベツ、アブラナ)では1mmほどのこともあるが、より大きな種子では20mm(例えばソラマメ)に達することもある。種子センサを通過する種子の流速は、大抵、播種マシンの形式に依存する。これは、現在使用されている播種マシンが、2つの異なる方法で種子を供給するためである。一方の形式のマシンでは、種子は機械的に落下され(同マシンは、いわゆる種子プランタである)、種子は、重力作用により地面に到達する。この場合、種子の流速は小さいとみなされる。他方の形式の播種マシンでは、種子は、空気によって供給され(同マシンは、いわゆる空気圧式播種マシンである)、強力な空気流によって、種子の流速はかなり大きくなる。特定の形式の種子は、大用量で供給されることで、種子センサを通過する種子の数は、例えば麦粒播種で300種子/秒に達することもある。このケースは、大用量供給と呼ばれる。
【0006】
使用する場所によって、上記の特徴をふまえた上で、光学種子センサは、2つの主要なグループ、すなわち、種子植付に用いられる種子センサを含む一方のグループと、空気圧式播種に用いられる種子センサを含む他方のグループとに分類することができる。
【0007】
最新技術によれば、種子植付に用いられる種子センサは、一般に最先端のデバイスである。これは、小さなサイズと大きなサイズの両方の種子を高精密に検出し、播種プロセスに関する正確な情報を提供するためである。種子植付中、種子プランタは、種子を個々に供給し、よって、種子センサは、種子センサを連続的に通過する種子を検出し計数する必要がある。種子植付に用いられる種子センサは、種子の供給量及び供給される種子の空間分布をリアルタイムで制御するように適合される。そのような種子センサは、例えば米国特許第8,843,281号に開示されている。この解決策では、センサの側面に沿って、検出室の一方の側に光源が等間隔で配置され、光源とは反対側の検出室の他方の側に光検出器が等間隔で配置されており、光源と光検出器の間の距離は、種子センサ内に死角が生じないように調節される。受信器側にある多数の光検出器によって、センサは、種子のサイズも決定することができる。この解決策に用いられる非対称配置は、死角を無くすには有益であるが、種子センサの物理的寸法に悪影響を及ぼす。さらに、一般的に用いられるLED光源は、それらの照射角度の全範囲には一様な光を提供せず、よって、種子センサの検出室全体には均質な光がない可能性がある。種子センサ内の均質な光、すなわち光強度の均質性は、様々な光強度で様々なサイズの種子を適正に検出するために必要とされる。
【0008】
よって、種子センサの精度は、可能とされる最高の精度を実現するために種子の形式に合うように調節されることが推奨されるセンサの感度に依存する。この目的は、複数の光源(LED)が検出室内に均質な光強度をもたらす、国際公開第2014/035949号に記述されている種子センサにより解決される。しかし、種子センサの中央及び周縁に配置された光源(LED)の強度は、壁から反射される光線により一様ではなく、よって、周縁に配置された光源と、種子センサの中央にある光源とでは異なる光強度値が用いられる。この解決策によって、種子センサを通過する種子を種子センサ内の任意の箇所で適正に検出できる均質な光を種子センサ内に生成することができる。この解決策では、光源の光強度は一定である。種子センサの感度は、受信器(光起電センサ)の出力増幅を調節することにより設定することができる。この回路では、感度を2、3のレベルに調節することができる。センサの検出プロセスは、受信器側に配置された光学ユニットにより支援され、送信器(LED)の光線は、フレネルレンズを用いて平行にされることで、それらの間の干渉が抑制され、平行して同時に到着する種子をより容易に互いに区別することができ、このことは、より精密な種子検出を可能にする。
【0009】
空気圧式粗粒播種マシンの播種方法は、種子プランタにより実行される種子の一様な供給(種子が個々に植え付けられる)とは実質的に異なる。空気圧式粗粒播種マシンは、種子を1つずつ個々には供給しない。この理由の1つは、低侵入性植物(例えば麦)の栽培では、植物間に正確な距離を保つことは、種子プランタにより播種される侵入性植物(例えばトウモロコシ)の栽培に要求されるほど重要ではないことにある。これは、空気圧式粗粒播種マシン内の種子は、より高速かつ非一様に種子センサを横切り、よって、1つの種子が別の種子を隠しながら、互いに近接して平行に検出室を通って移動することが多いためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
空気圧式粗粒播種の上述した特徴のため、それらのマシンに用いられる種子センサは、播種マシンの種子搬送パイプの「播種」又は「非播種」状態を検出できるのみであり、種子センサを通過する種子の数を計数することはできない。「播種」又は「非播種」状態を検出する最も一般的な方法では、種子搬送パイプを通過する種子の検出数が、期待される最小頻度値(例えば、1秒当たりの種子の数で測定される)未満に減少した後、種子センサが「非播種」状態を指摘する。「非播種」状態以外に、既知の種子センサは、種子搬送パイプの閉塞も決定することができる。これは、経験によれば、種子搬送パイプ内における1秒当たりの種子の期待数が少なくともその半分の値まで減少すると、この減少は、高い確率で種子搬送パイプの閉塞により生じるためである。しかし、これらの種子センサは、検出可能な種子により発生した信号の数が計数された後に種子の期待数が決定される、較正手順の後でのみ種子の期待数を検出することができる。既知の空気圧式粗粒播種マシンの種子センサの不正確さは、マシンにより供給される種子の量に依存する一方、種子の供給量は、マシンの速度に依存する。より集中的な供給によって、種子が比較的高速かつ非一様な空間時間分布でセンサを通過するとき、既知の種子センサは、種子の正確な数を決定することができず、つまり、実際の数よりも少ない種子の通過を検出し、よって、多くの場合に種子搬送パイプの閉塞の検出を誤ることがある。更なる課題は、空気圧式播種マシンの供給が列毎にばらつくこともあり、可変出力レートでの播種の場合に、種子の供給量がエリア毎に変化することもあり、よって、閉塞を検出できるように種子の最大供給率も調節されるべき点である。
【0012】
本発明の目的は、上記の課題を解消し、種子搬送パイプを通過する種子のより正確な計数及び同パイプの閉塞のより信頼性の高い検出を可能にする空気圧式播種マシン用の種子センサを提供することにある。
【0013】
本発明の更なる目的は、以前よりも高い信頼性で種子搬送パイプの閉塞を検出できる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的は、空気圧式播種マシン用の種子計数センサを提供することにより実現され、同センサは:
− 筐体内の検出室であり、種子をセンサに通過させ、種子の流れる方向に延びる中心軸を有する検出室と;
検出室の外側で互いに所定の距離を置いて筐体内に配置された複数の光源であり、センサの上記中心軸に対して実質的に垂直に広がる平面にある光源と、
− 検出室の外側で互いに所定の距離を置いて筐体内に配置された複数の光検出器であり、光源と同じ平面にあり、光検出器の数が光源の数と等しい、光検出器と、
− 光源の動作を制御するとともに光検出器により生成された電子信号を処理するための信号処理ユニットとを備え、
− センサは、光源及び光検出器それぞれの前面に配置され、非透過性材料で作られた光学マスクであり、検出室内に開口した複数の平行なチャネルを有する光学マスクを更に備え、チャネルの数が少なくとも光源又は光検出器の数と等しく、チャネルが、光源及び光検出器の光学レンズの直径よりも小さな直径を有し、光源及び光検出器の光学レンズが、チャネルの外側端に密接に装着されており、
− 光源が、非透過性の隔壁により互いに分離されており、
− 光検出器により受信される入射光の実質的に全てが、光検出器とは正反対側に配置された光源により放射されるように、チャネルの最小長が寸法決定されており、
− 上記光源及び上記光検出器が、上記検出室の実質的に横断面全体をスキャンできるように上記平面に配置されている。
【0015】
光源はLEDであり、光検出器はフォトセンサであることが好ましい。LED及びフォトセンサは、赤外域で動作することができる。
【0016】
光学マスクは、ゴム又は樹脂で作られていることが好ましい。
【0017】
種子計数センサは、光検出器により検出された光強度に応じて光源の光強度を調整するための制御回路を更に備えることができる。
【0018】
上記の目的は、中央処理ユニットを有する播種マシンの種子搬送パイプの閉塞を検出する方法により実現され、同方法は、
− 本発明の複数の種子計数センサを播種マシンに備え付けるステップを含み、
方法は、以下のステップ:
− 播種期間中、上記種子計数センサによって種子の電子信号の長さを連続的に測定するステップであり、移動する種子が種子計数センサの光検出器の入射光を遮る時間に比例する幅を有する電子インパルスとして種子信号長が規定される、ステップを更に含み、
所定の間隔で以下のステップ:
a)各種子計数センサにおいて、種子計数センサの信号処理ユニットによって所与の期間についての平均種子信号長を決定するステップと、
b)上記平均種子信号長を種子計数センサの信号処理ユニットから播種マシンの中央処理ユニットに送るステップと、
c)中央処理ユニットにおいて、所与の期間について種子計数センサの全ての平均信号長のメジアンを決定することによって、所与の期間に関する全ての種子計数センサについての共通基準信号長を生成するステップと、
d)基準信号長に1よりも大きな値の感度因子を乗算することによって、基準信号長よりも長い上限信号長を得るステップとが実行され、
− 各種子計数センサについて、播種マシンの中央処理ユニットにおいて以下のステップ:
− 種子計数センサが閉塞状態にあるかを判定するステップと、
− 種子計数センサが閉塞状態にある場合には、
− 平均信号長が、従前に記憶されている上限信号長よりも長い場合、閉塞状態が維持され、従前に記憶されている上限値が、所与の期間において上限信号長として用いられるステップと、
− そうでなければ、種子計数センサの状態が非閉塞状態に変化され、現在決定されている上限信号長及び対応する基準信号長が記憶されるステップと、
− 種子計数センサが非閉塞状態にある場合には、
− 平均信号長が、現在得られている上限信号長よりも長い場合、種子センサの状態が閉塞状態に変化されるステップと、
− そうでなければ、種子センサの非閉塞状態が維持され、現在決定されている上限信号長及び対応する基準信号長が記憶されるステップとが実行される。
【0019】
ここで、図面を参照して、本発明についてより詳細に記述する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】空気圧式粗粒播種マシン及び同マシンを引きずるトラクタの概略側面図
【
図2】空気圧式粗粒播種マシン内の種子の経路を、部分的に側面図で、部分的な縦断面図
【
図3】空気圧式粗粒播種マシンの供給ヘッドの上平面図及び側面図
【
図4】空気圧式粗粒播種マシンの供給ヘッドの更なる詳細を示している説明図
【
図6】完全に組み立てられた状態にある、本発明による種子センサの斜視図
【
図7a】本発明による種子センサの内部設計の側断面図
【
図7b】本発明による種子センサの内部構成の前面図
【
図7c】本発明による種子センサの内部構成の上断面図
【
図8a】本発明による種子センサの光学ユニットの側面図
【
図8b】本発明による種子センサの光学ユニットの上面図
【
図8c】本発明による種子センサの光学ユニットの
図8aのA:A平面に沿う上面図
【
図8d】本発明による種子センサの光学ユニットの分解斜視図
【
図9】本発明による種子センサの光学ユニットに用いられる光学マスクの設計の光の分散とともに示した側断面図
【
図10】本発明による種子センサの光学マスクが使用されるとき及び使用されないときそれぞれの光分散の上面図及び側面図
【
図11】本発明による種子センサの光学マスクが使用されるとき及び使用されないときの光分散の斜視図
【
図12】本発明による種子センサの光学マスクが使用されるとき及び使用されないときの、種子により投影された影の上面図及び側面図
【
図13】本発明による種子センサに用いられる受信器の回路図
【
図14】本発明による種子センサの光学受信器の機能ブロック図
【
図15】本発明による種子センサにより生成された例示的な信号及びそれらのサンプリングの示す時間ダイアグラム
【
図16】本発明による種子センサにより生成された例示的な信号及び異なる検出状況におけるそれらのサンプリングの示す時間ダイアグラム
【
図17】本発明による種子センサにより生成された例示的な信号及び異なる検出状況におけるそれらのサンプリングを示す時間ダイアグラム
【
図18】本発明による種子センサにより生成された例示的な信号及び異なる検出状況におけるそれらのサンプリングを示す時間ダイアグラム
【
図19】本発明による種子センサにより生成された例示的な信号及び異なる検出状況におけるそれらのサンプリングを示す時間ダイアグラム
【
図20】本発明による方法を初期化する主要なステップの示すフローチャート
【
図21】本発明による方法における種子搬送パイプの閉塞を検出する主要なステップを示すフローチャート
【
図22】本発明による方法における種子搬送パイプの閉塞の検査を示すダイアグラム
【
図23】本発明による種子センサに用いられる感度調節システムの概念的な概略ブロック図
【
図24】本発明による種子センサに用いられる感度調節システムの実施形態の接続構成を示す説明図
【
図25】本発明による種子センサに用いられる感度調節システムの動作の主要なステップを示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1から
図4には、空気圧式播種マシン100及びその部分が異なる視点で概略的に示されている。空気圧式播種マシン100は、トラクタ111などの適当な牽引手段により引きずられる。トラクタ111には、空気圧式播種マシン100の播種制御管理ユニット130が載せられ、上記ユニット130には、GPS位置特定装置131が接続されており、GPS位置特定装置131は、所望の量の種子を供給する空間制御に必要とされる。一般に、空気圧式播種マシン100自体は、電源ユニット及び油圧駆動ユニットを有しておらず、よってそれらのユニットは、電線及び油圧系109を介してトラクタ111に接続される。空気圧式播種マシン100は、少なくとも1つの種子容器101を有する。種子102は、上記種子容器101から供給システムによって、ベンチレータ104に接続された空気パイプ105内に搬送され、上記空気パイプ105から少なくとも1つの中心パイプ121を通って少なくとも1つの供給ヘッド120に搬送される。種子102の搬送を担う一様な空気流が、ベンチレータ104により供給される。空気圧式播種マシン100の種子搬送パイプでは、供給ヘッド120により同ヘッドの出力部122に種子を一様に供給することができ、同出力部に種子搬送パイプ123が接続される。それらの種子搬送パイプ123は、種子搬送パイプの端部にあるコルター106まで種子102を輸送する。コルター106に隣接して、土地整備ディスク110により整備されている地面に種子溝を作るための複数の畝立機ディスク107が配置される。コルター106は、地面の種子溝に種子102を置くように機能する。一般に、供給システム103は、速度に比例して又はGPS位置特定装置131に従って供給される種子の量を制御する播種制御管理ユニット130により電気的に制御される。
【0022】
種子計数センサ200は、供給ヘッド120の近くで種子搬送パイプ123に介挿される。種子計数に適合された種子センサ200の使用によって、供給される種子102の数を播種中に列毎に計数することができる。種子センサ200を空気圧式播種マシン100に収容するのは一般的な方法である。これは、それらの場所では、センサが受ける物理的損傷が最小限となるためである。空気圧式播種マシン100の種子搬送パイプ123では、高用量の供給が生じるときに、種子102は、互いに隣接して、大抵の場合互いに接触して移動する。
【0023】
図5から
図8は、センサの好適な実施形態において本発明による種子センサ及びその様々な部分を異なる視点で示している。種子センサ200は、種子を通過させる検出室210を備え、上記検出室210は、実質的に種子の流れる方向と同じ方向に延びる中心軸211を有する。検出室210の外側であるが筐体204内には、検出室210の上記中心軸211に対して実質的に垂直に広がる平面Pに複数の光源240が配置される。光源240は、互いに所定の距離を置いて等間隔で配置される。検出室210の外側であるが筐体204内には、光源240とは反対側に、光源240と同じ平面Pに複数の光検出器250も配置される。光検出器も、互いに所定の距離を置いて等間隔で配置される。光検出器250の数は、光源240の数と等しい。種子センサ200は、光源240の動作を制御するとともに光検出器250の信号を処理するための信号処理ユニット502(
図7b)を更に備える。光源240及び光検出器250は、上記検出室210の実質的に横断面全体をスキャンできるように上記共通平面Pに配置され、上記横断面は、種子の流れる方向に対して実質的に垂直である。
【0024】
本発明による種子計数センサ200の新規な特徴は、互いに近接して平行に移動する種子102の検出に悪影響を及ぼすことになる光検出器250間の干渉が、光源240の光線263の照射角度により抑制され、光検出器のアスペクト角が光学マスク230によって低減されることにある。光学マスク230は、光源240及び光検出器250それぞれの前面に配置された非透過性ユニットであり、平行なチャネル231を含む。検出室に開口するチャネル231の直径は、チャネル231の前面に配置された、光源240及び光検出器250それぞれの光学レンズ241及び251の直径よりも小さい。光学レンズ241、251は、光学マスク230に埋め込まれ、チャネル231の外側端にぴったりと装着される。光学マスク230に形成されたチャネル231の数は、光源240及び光検出器250の数と同じであり、光学マスク230内で、チャネル231は、光源240の光を透過させない材料で作られた隔壁により分離される点が制限される。隔壁は、黒色材料で作られることが好ましい。チャネル231の最小長は、光検出器250により受信される入射光の実質的に全てが、同検出器とは正反対側に配置された光源240により放射されるように寸法決定される。
【0025】
本発明による種子センサ200では、隣り合う光源240及び隣り合う光検出器250は、検出室210が種子検出に関する不感エリアを実質的に有しないように、互いに所定の距離を置いて配置される。
【0026】
図7aに示すように、受信器回路501、照射コントローラ回路301、電源304及び信号処理ユニット502を含む、種子センサ200に必要とされる電気モジュールは全て、屋外での使用中に電気部品を水、埃及び太陽光線から保護する樹脂筐体204内に配置される。筐体204内には、光学部品用の保持要素205があり、上記保持要素205は、検出ゾーンを形成する樹脂ピースである。この保持要素205は、光源240、光検出器250及び光学マスク230を含む、検出に必要とされる光学部品を保持するとともに、前述の部品を保護するための窓220も保持し、上記窓220は、透過性材料で作られることが好ましい。種子センサを関連する種子搬送パイプ123に取り付けるために、カムが、保持要素205に形成され、パイプアダプタ202に形成された解放可能な窪み206と係合され、同アダプタは、種子センサ200の上流端と下流端の両方に挿入することができる。パイプアダプタ202によって、種子センサは、埃まみれになったときに容易に清掃することができる一方、パイプアダプタ202の交換性によって、種子センサを異なるサイズの種子搬送パイプ123に接続することができる。加圧空気が種子センサ200の内側から逆行するのを防ぐ密閉リング203によって、パイプアダプタ202と保持要素205を気密接続することができる。種子センサ200は、異常表示用の状態表示LED207を備えることが好ましく、それによって、ユーザは、種子センサの適正な動作をその場で即座に確認することができる。状態表示LED207は、例えば、種子センサ200の埃障害を警告してもよい。
【0027】
図9から
図11は、光学マスク230が使用されるとき及び光学マスクが使用されないときの、本発明による種子センサ内での光の分散を異なる視点で示している。簡略化のために、
図10及び
図11には、1つの光源240及び3つの光検出器250のみが示されている。それらの図は、光線260が、光源240の光学レンズ241により光学マスク230を通って放射され、光源240とは正反対側に配置された光検出器250aによって検出され、その隣りの光検出器250b、250cによっても検出されることを明確に示している(
図10)。
図10は、光学マスク230を使用する場合に、光検出器255aから255cの検出ゾーン265が、光学マスクを使用せずに生成される検出ゾーン264よりも狭いことも示している。より狭い検出ゾーン265によって、隣り合う光検出器250a−250c間の干渉は、実質的に減少し、事実上排除される。
【0028】
動作中、光学マスク230は、チャネル231の制限された空間によって、筐体204内に互いに反対側に配置された光源240及び光検出器250の間の干渉を抑制することを可能にし、このチャネル231は、光源240の光学レンズ241に放射された光線263の一部分を光学マスク230に通過させない一方、チャネル231に入る光線263の一部分が、チャネル231の内壁から反射され、反射後にそれらの光線の強度が低下し、よって、特定の光源240とは正反対側に配置された光検出器に隣接する光検出器によって、無視できる量の光が受信される。これは、光線260、すなわち当初に放射された光線263のうち光学マスク230により狭められた一部分のみが、光検出器250に到達することを意味する。さらに、光学マスク230は、光検出器250のアスペクト角も低減させる。これは、チャネル230がより狭いアスペクト角(いわゆる「トンネルビジョン」)も光検出器250にもたらすためである。
【0029】
本発明による種子センサの動作は、
図12に示される実施形態により明確に説明されており、光源240の1つの近くを移動する種子と、光検出器254の1つの近くを移動する種子280とが示されている。光源240の前面を移動する種子270の影272が、実質的に光検出器252のみに投影される一方、光検出器254の前面を移動する種子280の影282が、実質的に光検出器254のみに投影される。光検出器253の視野内には、影が事実上生成されない。影の数は2つであり、種子の数は2つであり、よって種子の数は、影の数から正確に決定される。
【0030】
対称的に、光学マスク233を使用せずに同じ状況が検査される場合、光源240の前を移動する種子270の影271が、種子270とは正反対側にある光検出器255に投影され、隣りの光検出器256にも投影され、更なる光検出器257にも部分的に投影されることになる。しかし、検出器257の前を移動する種子280の影281は、光検出器257のみに投影される。このことは、共通の影が3つの光検出器255−257に投影されることを意味する。この場合、影の数は1つであり、種子の数は2つであり、よって、単一の幅広な影に起因して、種子の数を正確に決定することができない。
【0031】
図12に示すように、光学マスク230が使用されなければ、1つの種子280が僅かな距離を置いて他の種子270に続く場合、先に進む種子270の影は、3つの光検出器255−257のそれぞれに信号を発生させ、次の種子280は、光検出器255−257の前面にある評価ゾーン264に入るときに更なる信号を発生させず、よって、2つの種子270、280の影は分離されない。このことは、種子の数を影の数から明確に決定できないことを意味する。しかし、本発明による種子センサ200において光学マスク230を使用することによって、1つの種子280及び別の種子270が互いに僅かな距離を置いて到着した場合、先に到着する種子270は、制限された調整ゾーン265を去った後には光検出器250に影を生成せず、よって、後から到着する次の種子280は、光検出器250に新たな信号を発生させ、よって、2つの種子の影は互いに分離され、よって、種子センサ200を通過する種子の数を影の数から正確に決定することができる。本発明によれば、互いに僅かな距離を置いて1つずつ平行に移動する種子により受信器回路501のために発生するそれらの信号をより確実な方法で互いに分離することができる。
【0032】
本発明による種子センサに用いられる受信器回路の好適な実施形態の例示的な回路接続図が
図13に示されており、本発明による種子センサの光学受信器の機能ブロック図が
図14に示されている。受信器回路501は、マルチ入力チャネルを通じて信号処理ユニット502に接続され、マイクロコントローラなどの信号処理ユニット502上で実行されるソフトウェアによって、種子数を決定するための信号処理ロジックのアルゴリズムが適用される。
【0033】
動作中、受信器回路501は、光検出器250により検出された光信号500をアナログ電気信号に変換するように機能し、上記光信号は、例えば、
図12に示された種子270及び280の影などの、種子の影による光強度の変化に対応しており、また同回路は、電気信号を増幅させ、デジタル信号503に変換するように機能する。電気信号への光流の変換が、フォトトランジスタPT1により実行され、同トランジスタは、入射光の強度に比例した電流強度を出力する。フォトトランジスタPT1の電流強度は、典型的にμAの範囲である。フォトトランジスタPT1と直列に接続された抵抗器R6が、アナログ電流信号をアナログ電圧信号に変換し、その信号をmVの範囲に更に増幅させる。時間ダイアグラム500は、種子が種子センサを通過するときに抵抗器R6で測定される電圧U1の変化を描写している。ダイアグラムから理解できるように、動作点での光電流により生じた動作点での電圧レベルは、種子のシェーディング効果により一時的に減少する。アナログ信号U1は、コンデンサC2によるAC結合によりデジタル化回路の入力に接続される。この解決策の有意性は、トリガレベルが動作点での電圧U1に依存しないことにある。トランジスタT1のベース電圧を制御することによって、数mVの電圧降下でも、受信器回路501のデジタル出力でトリガをもたらすことができる。よって、高速で移動する非常に小さな種子の検出をも可能にする相当に高感度な種子検出を実現することができる。本発明による種子センサの、
図8bに示された実施形態では、種子センサ200は、6対の光源及び光検出器を備え、6つの光検出器(例えばフォトトランジスタ)それぞれの信号には、専用の受信器回路501がある。よって、種子センサ200の検出ゾーン全体が、実質的に分離された6つの検出ゾーンに分割される。光検出器250(例えばフォトトランジスタ)のそれぞれが、信号処理ユニット502のために、SIGn(n=1、2、3、…)により示されるデジタル信号を、それ自体の受信器回路501を通じてデジタル入力チャネル503に供給する。受信器回路501の出力を形成するデジタル入力チャネルは、信号処理ユニット502(例えばマイクロコントローラ)のエッジ制御された割り込み入力504に接続され、上記入力504は、信号処理ユニット502のそれぞれの回路に前縁と後縁の両方で割り込みを発生させる。この解決策は、入力の連続ポーリングが不要になる一方で、入力のいずれか1つの論理状態の変化を直ちに検出でき、入力の状態又は入力の状態の変化をデータ記憶デバイスに保存できる、という利点を有する。
【0034】
ここで、本発明による、種子搬送パイプの閉塞を検出する方法について記述する。本発明による方法は、複数の種子センサが同時に使用され、種子センサが、複数の光源と、複数の光検出器であり、光検出器のそれぞれが、光検出器とは正反対側に配置された1つの光源のみの光を実質的に検出するように、光源とは反対側に配置された複数の光検出器とを備える、播種システムに適用することができる。それらのセンサでは、検出室に死角がない。さらに、専用の種子センサが各種子搬送パイプに関連付けられる。詳細に上述したように、本発明による種子センサは、種子の数の正確な決定を可能にし、このことは、本発明の方法の適当な動作にとって要点となる。
【0035】
ここで、種子センサ200を通ってかわるがわる移動する種子により発生した例示的なデジタル信号610の時間ダイアグラムを描写する
図15を参照して、本発明による信号処理方法の概念について説明する。初期状態として規定される時刻t
0では、デジタル入力503のいずれにも信号がない。
図15から理解できるように、信号603の変化毎(すなわち前縁又は後縁)に信号処理ユニット502で割り込みが発生し、サンプリング動作が続けられる。デジタル入力チャネル503の実際の状態(0又は1)も、サンプリング時間602で特定することができる。信号処理ユニット502の入力に到着するデジタル信号SIG1−SIG6を処理する第1のステップは、短いセクション、すなわちブロック601への信号流の時間分割である。1つのブロック601によって、互いに論理的な関係にあるそれらの信号変化603は、関連付けられることが好ましい。そのような関連付けのための自明な解決策は、ブロック601の始まり及び終わりをデジタル入力チャネル503全ての非アクティブ状態600(
図15における論理的0)により規定することである。
図15に示される信号流は、2つのブロック601に分割することができ、第1のブロック601は、期間[t
1,t
4]内の全ての信号変化603を含む一方、第2のブロック601は、期間[t
5,t
10]内の信号変化603を含む。2つのブロック601は、期間[t
4,t
5]により規定される非アクティブな時間インターバル600により分離される。ここでデジタル信号が使用されるので、デジタル入力チャネル503の信号の情報内容は、一方では信号変化603の後の新たな状態(前縁又は後縁)により、他方では信号変化603の時間によりもたらされる。したがって、信号処理ユニット502により記憶されるデータは、ビットからなる二進数により表される、デジタル入力チャネル503の論理状態と、信号変化603の相対的なタイムスタンプとを含む。各ブロック601について信号処理が実行されるので、演算を容易にするとともにメモリを節約するために、前縁及び後縁の時刻、すなわち信号変化603が所与のブロック601の始まりについて記憶される。本発明による信号処理では、種子が1つずつ種子センサを通って移動するとき、すなわち、種子の1つが、別の種子が光線260に到着する前に(
図12を参照)、この光線260をすでに横切ったとき、種子により生成される信号変化は、時間的に分離され、この場合、異なる種子を容易に特定することができる。
【0036】
上述したように、デジタル入力チャネル503に現れる信号形状は、重複することがある。光源240の光学マスク230を通って放射された光線260は、マスキングを用いても完全には互いに平行にならないので、大抵の場合に無視できるデジタル入力チャネル503間の僅かな干渉を回避できず、つまり、所与の光源240が、光源の正反対側にある光検出器250を照射するのみならず、その隣りの光検出器もある程度は照射する。デジタル入力チャネル503と関連付けられる、光検出器250の出力に属する検出空間ボリュームが、全体的に分断された(すなわち、干渉が全くない)場合でも、センサを通って同時に移動する種子の数は、特定の形式の種子(特定のサイズの種子)の場合でも、それぞれのデジタル入力チャネル503に現れる信号変化603の数のみから決定できないことに留意されたい。本発明による論理的な信号処理の目的は、チャネルの信号波をブロック毎に検査することにあり、所与の光線の照射ゾーン内に同時に留まる種子の数を決定するために、以下の基本的なケースを区別することができる:
a) 第1のケースでは、信号波に基づいて、ブロック601は、更に2つ以上の領域に分割される(空間分離)。分離された領域(又はセグメント)は、異なる種子を表す。必要であれば、それらの領域を他の領域とは独立して更に検査することができる。
図16は、ブロック601を領域に分割する方法の例を示しており、2つの領域621の空間分離を第3のチャネル611の非アクティブ状態600により実行することができる。
b) 第2のケースは、良好な近似で種子を凸状体とみなすことができることに基づいている。実用上の観点では、デジタル入力チャネル503の信号が、(デジタル入力チャネル503の物理的信号により)時間に従って検査されるとき、信号中に相当な下降そして相当な上昇を認識することができる。
図18の例に示すように、チャネル615の隣りのチャネル611から始まるチャネル、及びチャネル616から始まるチャネルでは、チャネル615の信号長に対する信号長の増加を領域623で観察することができる。種子の凸状が全てのケースでは厳密に満たされないので、信号長の減少の程度及びその後の増加の程度について閾値が指定される。
c) 第3のケースでは、異なる種子により発生した信号長に関して、光線260への種子の到着の間に相当な時間差がある。結果として、異なる種子に属するチャネルの信号の重複、及び異なる信号間のズレを、当該信号の重複率に基づいて、実用上より容易に検査することができる。このケースは、
図17に明確に示されており、例えば、閾値は50%に設定され、この閾値を下回る重複率の場合、ブロック601内の信号は、2つのそれぞれのチャネルの間の領域622で検出された重複613に従って、異なる種子により発生したとみなすことができる。
d) 第4のケースでは、ブロックそれぞれのチャネル601の信号変化も、有用な情報を持つ。
図19は、この第4のケースの例を示しており、2つの種子は、事実上接触して1つずつ移動し、このことは、チャネル624の連続信号に反映される。対称的に、チャネル617及び618では、信号は、しばらく下降した後に再び現れる。信号変化の回数から、少なくとも2つの種子がブロック601内の信号を生成したと結論付けることができる。
【0037】
本発明による方法の目的は、
図1に示された空気圧式播種マシン100の任意の種子搬送パイプ123の閉塞を短時間で指摘することにある。閉塞は、一般に種子搬送パイプのうちコルター106内の端部で生じる。これは、その箇所で、地面の破片又は他のごみが、コルター内に入り込むことがあり、その後に空気及び種子102の経路を制限(部分的な閉塞)したり、完全に閉鎖(完全な閉塞)したりするためである。種子搬送パイプ123の部分的又は完全な閉塞の場合、空気速度の相当な減少を、一般に種子数の僅かな減少とともに観察することができ、よって、本発明による方法は、従来の解決策とは異なり、種子の期待数の減少の代わりに、空気流速の減少を検出し、この情報に基づいて閉塞を決定する。閉塞を決定する方法は、種子センサ200内のベンチレータ104により供給される一様な空気流では、種子の速度を一定とみなすことができることに基づいており、上記速度は、信号処理ユニット502により決定される。種子の信号長は、移動する種子が光検出器の入射光を遮る時間に比例する、電子インパルスの幅として規定される。種子センサを通って種子が移動する期間は、光検出器の出力信号から信号処理ユニット502により計算される。種子センサ200の出力は次いで、播種マシンの中央処理ユニット140に送られ、同ユニットにより処理される。電子処理ユニット140は、通信ケーブル201を通じて種子センサ200に接続され、センサ同士は、直列に接続されることが好ましい。中央処理ユニット140は、実用上の理由から供給ヘッド120の下に中心パイプ121に沿って配置されることが好ましい。その場所では、種子センサ200の通信ケーブル201を非常に安全に導くことができる。本発明による方法では、閉塞状況における一般的な現象である空気流速の低下を認識するために、信号処理ユニット502により測定された信号長の減少を検査する必要がある。分析される信号長が、一般に、種子センサ200を別々に通過する非重複種子により生成された信号から得られることが動作の要点であることに留意することが重要である。これは、この種のサンプリングが、閉塞決定の感度に著しい影響を及ぼすためである。よって、閉塞の事実は、1つの種子の平均信号長(種子信号長と呼ばれる)の変化により確立することができる。これは、種子信号長が空気流速の大きな減少と反比例するように変化するためである。種子信号長の多少著しい変化は、空気圧式播種マシン100により供給される種子の数の変化に影響を受けない、閉塞の確実な認識を可能にする。閉塞が起きた後、種子信号長が直ちに増加し始めるので、この方法は、非常に短期間内(数秒以内)に妨害の形成又は終了を確立できる、という更なる利点を有する。種子信号長の変化に基づく閉塞の認識が適応的に行われることにより、播種マシンは、大きくばらつく供給率に、又は、GPS位置特定装置131により制御され、エリアに依存してばらつく供給率にも連続的に適合することができる。結果として、閉塞認識の感度を播種プロセスの始めに一度設定すれば十分である。供給ヘッドのそれぞれに載せられた少なくとも1つの電子制御ユニット140は、種子センサからデータを収集することにより、所与の供給ヘッド120に属する全てのデータを演算し分析することが可能である。
【0038】
適応的な閉塞検出は、適応的な基準信号長が各種子センサ200に関連付けられることに基づいており、上記適応的な基準信号長は、種子搬送パイプの閉塞がない場合、実際の平均信号長を常に近似し、そうでなければ(すなわち、閉塞の検出時に)その値は変化しないままである。適応的な閉塞検出の感度を調節するために、1よりも大きな乗率が用いられる。例えば、基準信号長から相当に偏差するときにのみ閉塞が指摘されるべき場合、それに応じて感度因子の値を増加させるべきである。播種の初めに、すなわち種子が流れ始めるときに、初期基準信号長の値を適当に設定すべきことが重要であり、そうでなければ、閉塞の指摘は、要求される信頼性を伴って機能しない。
【0039】
初期基準信号長を決定するステップが
図20に示されている。播種プロセスを開始した後、ステップ1001で、同じ供給ヘッドに属する各種子センサについて平均初期信号長が決定された後に、ステップ1002で、各種子センサについて記憶されている平均初期信号長のメジアン値が決定される。このメジアン値は次いで、各種子センサについて全般的な基準信号長として用いられる。ステップ1003で、全般的な基準信号長に1よりも大きな値の感度因子を乗算することによって、同じ供給ヘッドに属する種子センサの平均信号長の上限が得られる。ステップ1001から1003は、同じ供給ヘッドに属する各種子センサについて実行される。
【0040】
各種子センサについて初期基準信号長を入手すると、
図21に示されるステップが、後続の測定期間を規定する所定の時間間隔ΔTで繰り返し実行される。このプロセス中、各種子センサについて別々に更なるステップを実行することによって、各種子センサのポーリングステップ(すなわち、それらの平均信号長を取得する;ステップ1001)、共通基準信号長を決定するステップ(ステップ1002)、及び信号長の上限を得るステップ(ステップ1003)が続けられる。
【0041】
ステップ1004aで、所与の種子センサに関連付けられた種子搬送パイプが閉塞状態にあるかが確認され、そうであれば、ステップ1004bで、特定の種子センサの平均信号長が、記憶されている上限を超えるかが判定される。種子センサの平均信号長が、供給ヘッドについて決定され記憶されている上限を超える場合、ステップ1005で、閉塞が依然として指摘され(すなわち、種子センサの閉塞状態が維持される)、そうでなければ、ステップ1006で、もはや閉塞がないことが指摘され、ステップ1007で、現在決定されている基準信号長及び対応する上限値が記憶される。
【0042】
ステップ1004aで、種子センサに属する種子搬送パイプに閉塞がないと判定された場合、ステップ1004cで、所与の種子センサの平均信号長が、現在計算されている上限値を超えるかが判定される。種子センサの平均信号長が、供給ヘッドについて現在計算され決定されている上限を超える場合、ステップ1005で、閉塞が指摘され(及び種子センサの状態が閉塞状態に変化され)、そうでなければ、ステップ1006で、閉塞がないことが指摘され(及び種子センサの非ブロック状態が維持され)、ステップ1007で、現在計算されている基準信号長及びその対応する上限値が記憶される。
【0043】
現在計算されている基準信号長をステップ1007で記憶する(すなわち、先行期間において決定された基準信号長を上書きする)ことによって、基準信号長の値は、各種子センサについて測定期間毎に測定された平均信号長を適応的に近似する。しかし、閉塞を検出した場合、実際に決定された共通基準信号長及びその対応する上限値が記憶されず、よって、次の測定期間では、従前に記憶されている上限値が、種子センサの平均信号長を上限値と比較するために採用される。これにより、所与の種子センサに属する種子搬送パイプが閉塞している場合、所与の種子センサの信号長の著しい増加が、供給ヘッドに属する全ての種子センサの共通(メジアン)基準信号長を歪ませないことが保証される。
【0044】
以下では、
図22を参照して本発明による方法の使用について記述する。この図に示される例示的なダイアグラムは、特定の測定期間で所与の種子センサに関連付けられた異なる信号長を示している。ダイアグラムでは、水平軸が時間(t)を示し、垂直軸が信号長1009を示している。基準信号長は、曲線1011により描写され、上限信号長は、曲線1010により描写され、特定の種子センサの(測定された)平均長は、曲線1012により描写されている。
【0045】
ダイアグラムでは、時刻T1に閉塞が形成されたことを理解することができる。これは、平均信号長を表す曲線1012が曲線1010と交差し、平均信号長が、実際の基準信号長と感度因子の積により規定される上限値を超えることを意味するためである。閉塞は、基準信号長と感度因子の積により規定される上限信号長を表す曲線1010よりも曲線1012が下に戻る時刻T2までそのままである。
図22は、閉塞がないとき(すなわち、時刻T1の前及び時刻T2の後)、基準信号長(すなわち、曲線1011の点)が、所与のセンサの平均信号長(すなわち、曲線1012の点)を適応的に近似する一方で、T1とT2の間の閉塞期間内では、基準信号長(曲線1011により表される)と、それぞれの上限信号長(曲線1010により表される)が変化しないままであることも明確に示している。
【0046】
本発明による種子センサの使用中の連続した適正な動作のためには、種子センサの光源及び光検出器を保護する窓に堆積した埃及び固形飼料により徐々に劣化する種子センサの光学特性を連続的に補償することが本質的に重要である。このための可能な一解決策は、所与の状況に応じて種子センサの感度を自動的に調整することであり、また過剰な埃障害の場合に、清掃の必要性を指摘する警告信号を提供することである。
図23及び
図24に示すように、本発明による種子センサでは、低域フィルタ702が、信号処理ユニット502のPWM出力701に接続され、同フィルタの出力には、光源240を制御するためのドライバ回路704が接続される。光源240の光を検出する光検出器250(例えばフォトトランジスタ)の出力電流は、分圧器705に接続されたフィードバック706を通じて信号処理ユニット502のアナログ−デジタルコンバータ(ADC)の入力にフィードバックされる。
【0047】
上記の回路は、感度の低下を補償するために、使用中に光源240の光強度を高めるために用いられる。この種の適応的な光強度調整は、主にオプトゲート式の連続光放射種子センサに適用することができ、種子センサの埃障害から生じる感度の低下を補償するのに適している。この調整の目的は、光検出器(例えば、本ケースではフォトトランジスタ)の照射、すなわち、光学受信器により検出される光強度を所望のレベルに保つことにある。フォトトランジスタの出力電流が入射光強度の関数であるので、制御変数(及びフィードバック信号706自体も)は、フォトトランジスタの電流であり、同電流は安定した動作点で保たれる。種子センサの感度補償は、信号処理ユニット502上で実行されるコンピュータプログラムにより行われる。
図24に示すように、信号処理ユニット502により発生したコマンド信号は、一定周波数のパルス幅変調(PWM)信号701であり、同信号は、デューティ比の調節により広い範囲で光強度を小刻みに変更することを可能にする。次に、低域フィルタ702によってPWM信号からDC制御信号709が発生し、DC制御信号の値は、PWM信号701のデューティ比に比例する。この制御信号は、本ケースでは光源(LED)を直接駆動する一定ゲインの増幅器段703により、次の段に対応する信号範囲に変換される。簡略化のために、
図24に示される回路は、1つのLED及び1つのフォトトランジスタのみを含む。信号処理ユニット502により発生したPWM信号701は、2段式パッシブRCフィルタ、すなわち低域フィルタ702によりフィルタリングされ、同フィルタの周波数カットオフは、PWM信号701のベース周波数よりも低く、よって、低域フィルタ702の出力に用いられるアナログDC制御信号709は、非反転増幅器段703の入力U
1、R
3、R
4に接続され、同増幅器段は、増幅に加えてドライバ回路704の入力の駆動も行う。ドライバ回路704の入力電圧及びトランジスタのベース抵抗R
5+R
6は、トランジスタのコレクタの電流を規定し、トランジスタと直列に接続された光源D
1の電流も規定する。光強度調整に用いられる信号処理ユニット502は、フォトトランジスタと直列に接続された測定用抵抗器R
10の電圧をA/Dコンバータ(ADC)によって測定し、測定された電圧は、フォトトランジスタの電流に比例し、従って入射光の強度にも比例する。
【0048】
信号処理ユニット502により実行される感度補償の主要なステップが
図25に示されている。感度補償は、土地の端での播種マシンの方向転換中に行われることが好ましい。よって、2つの行程の間の播種中に、種子センサに配置された窓の埃障害から生じた感度の低下を実質的に補償することができる。したがって、制御ユニットは、所与の期間に種子を検出しなかった場合、ステップ1100で調整サイクルを開始する。この場合、ステップ1101で、信号処理ユニット502は、(1つ以上の)フォトトランジスタの動作点電流を測定し、その後にステップ1102で、電流値が所望の範囲内であるかを確認する。そうであれば、光強度を変更する必要がなく、調整サイクルが終了する。しかし、ステップ1103で、(1つ以上の)フォトトランジスタの電流が所望の範囲外であると決定された場合、ステップ1104及び1105のそれぞれで、光強度が正方向又は負方向に補正される。光強度の調節後、ステップ1106で、光強度の調節と(1つ以上の)フォトトランジスタの動作点電流の次の測定との間に所定の保持期間がある。この保持期間は、次の測定が安定した電流強度値をもたらすことを可能にする。さらに、ステップ1107で、信号処理ユニット502は、平均時間内に種子の流れがセンサ内で始まったかをサイクル毎にモニタリングし、播種が再開すると直ちに光強度調整を中断する。ソフトウェアに基づく光強度の調整によって、種子センサは、種子センサが埃障害を有するかを判定することができる。このことは、最大光強度でも適当な光電流をフォトトランジスタで検出できない場合、それ以上調整できないことを意味し、このことは、高い確率で過剰な埃障害を意味する、というように決定される。この場合は、LED光の状態の切替えにより指摘されることが好ましい。