【実施例】
【0047】
製造例
ニトリル製造の一般的手順
A: アルキルニトリルの一般的な製造手順
CH
2Cl
2(5mL)中の対応するアルキルアルコール(5mmol)の0℃の溶液に、ピリジン(2mL)および塩化4−トルエンスルホニル(1.06g、5.56mmol)を添加した。得られた反応混合物を室温で一晩撹拌した。その後、水を加え、得られた混合物をCH
2Cl
2で抽出した。次いで、合わせた有機層を、連続して、2MのHCl水溶液、NaHCO
3の飽和水溶液、およびブラインで洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥させた。乾燥剤を除去した後、溶媒を真空下で留去して、定量的収率で対応するp−トルエンスルホン酸アルキルを得て、そしてこれをさらに精製することなく使用した。DMSO(10mL)中のp−トルエンスルホン酸アルキル(約5mmol)の溶液に、粉末NaCN(0.49g、10mmol)を加え、そしてその混合物を100℃で5時間撹拌した。反応の完了後、反応物を室温に冷却し、そして、Na
2CO
3の飽和水溶液で急冷した。水相をメチルtert−ブチルエーテル(3×20mL)で抽出し、合わせた有機層をブラインで数回洗浄し、そして無水Na
2SO
4で乾燥させた。溶液を減圧下で濃厚化し、シリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)により精製して、対応するアルキルニトリルを高収率で得た。
【0048】
B: α-アルキルベンジルニトリルの製造のための一般的な手順
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(5.5mL、5.50mmol;テトラヒドロフラン中1M溶液)を、アルゴン雰囲気下で、無水テトラヒドロフラン(20mL)中の2−フェニルアセトニトリル誘導体(5.0mmol)の撹拌溶液に、−78℃で滴下して添加した。アニオンは約30分かけて形成され、その後、対応する臭化物(5.25mmol)を滴下して添加し、そして、反応物を約1時間撹拌した後、ゆっくりと室温に温め、完了するまで撹拌した(t.c.c.対照)。次いで反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液の添加により急冷し、メチルtert−ブチルエーテルで抽出した。有機層を合わせ、乾燥し(無水Na
2SO
4)、ろ過し、減圧濃厚化して粗生成物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチルで溶離)で精製して、対応するα-アルキルベンジルニトリルを得た。
【0049】
実施例1
【0050】
【化2】
【0051】
グローブボックス中のアルゴン雰囲気下、10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9g)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、α−メチルスチレン1(65μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。還流冷却器と共にシュレンク管をグローブボックスから取り出し、その後、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃厚化し、そして、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)により精製して、2(66.1mg、収率:91%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.34 - 7.30 (m, 2H), 7.26 - 7.21 (m, 3H), 3.13 (h, J = 7.0 Hz, 1H), 2.59 (dd, J = 16.7, 6.5 Hz, 1H), 2.53 (dd, J = 16.7, 7.6 Hz, 1H), 1.43 (d, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 143.26, 128.99, 127.46, 126.67, 118.72, 36.65, 26.49, 20.80
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0052】
実施例2
【化3】
【0053】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下、10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、1,1−ジフェニルエチレン19(88μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10 mL、0.10 mmol)を順次添加した。還流冷却器と共にシュレンク管をグローブボックスから取り出し、その後、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃厚化し、そして、残渣をシリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)で精製して20(54.9mg、収率53%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.39 - 7.36 (m, 4H), 7.32 - 7.26 (m, 6H), 4.42 (t, J = 7.7 Hz, 1H), 3.07 (d, J = 7.7 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 141.34, 129.03, 127.66, 127.54, 118.55, 47.26, 24.36.
【0054】
実施例3
【0055】
【化4】
【0056】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下、25mL圧力管内で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、シクロペンテン33(44μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。圧力管をグローブボックスから取り出し、100℃で16時間加熱した。その時間の後、反応物を室温まで冷却し、そして、内部標準としてn−ドデカン(100μL)を溶液に添加した。反応混合物をGCで分析し、それらのピーク面積を内部標準のピーク面積と比較することによって34の収率を測定した。(保持時間6.38分、GC収率83%)
【0057】
実施例4
【0058】
【化5】
【0059】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で25mLの圧力管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、シクロヘキセン35(51μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。圧力管をグローブボックスから取り出し、100℃で16時間加熱した。その時間の後、反応物を室温まで冷却し、そして、内部標準としてのn−ドデカン(100μL)を溶液に添加した。反応混合物をGCで分析し、そしてそれらのピーク面積を内部標準のものと比較することによって36の収率を測定した。(保持時間:7.62分、GC収率:91%)
【0060】
実施例5
【0061】
【化6】
【0062】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、シクロオクテン37(65μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。還流冷却器と共にシュレンク管をグローブボックスから取り出し、そしてその後、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物を減圧下で濃厚化し、そして、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル= 10/1)により精製し、38(59.7mg、収率:87%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3): δ 2.78-2.73 (m, 1H), 1.98-1.92 (m, 2H), 1.87-1.72 (m, 4H), 1.60-1.47 (m, 8H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 123.69, 29.58, 28.87, 26.96, 25.26, 24.39
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0063】
実施例6
【0064】
【化7】
【0065】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で25mLの圧力管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、ノルボルネン7(47.1mg、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。圧力管をグローブボックスから取り出し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)で直接精製して42(51.5mg、収率:85%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 2.59 (d, J = 3.5 Hz, 1H), 2.39 (d, J = 3.6 Hz, 1H), 2.35 (ddd, J = 9.1, 4.8, 1.6 Hz, 1H), 1.85 - 1.76 (m, 1H), 1.73 - 1.66 (m, 1H), 1.64 - 1.50 (m, 3H), 1.41 - 1.34 (m, 1H), 1.27 - 1.14 (m, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 123.71, 41.90, 37.30, 36.20, 36.13, 31.18, 28.63, 28.50. HRMS−ESI (m/z): [M+Na]
+ calcd for C
8H
11NNa, 144.078368; found, 144.078550
【0066】
実施例7
【0067】
【化8】
【0068】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で25mLの圧力管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、43(126.7mg、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。圧力管をグローブボックスから取り出し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、残滓をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=2/1)で精製し、44(128.9mg、収率92%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.30 - 7.17 (m, 5H), 4.53 (s, 2H), 2.93 (s, 1H), 2.76 (d, J = 3.3 Hz, 1H), 2.55 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 2.44 (ddd, J = 9.1, 4.8, 1.6 Hz, 1H), 1.96 - 1.84 (m, 1H), 1.82 - 1.73 (m, 1H), 1.57 - 1.42 (m, 1H), 1.05 (d, J = 11.9 Hz, 1H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 176.97, 176.36, 135.57, 128.79, 128.76, 128.17, 121.57, 47.49, 47.26, 44.22, 42.68, 39.35, 34.70, 32.24, 29.84. HRMS−ESI (m/z): [M+Na]
+ calcd for C
17H
16N
2O
2Na, 303.110396; found, 303.110200.
【0069】
実施例8
【0070】
【化9】
【0071】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、スチレン9(57.5μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0Mヘキサン溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。シュレンク管をグローブボックスから取り出し、そしてその後、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をGCで分析し、それらのピーク面積(1/b:81/19)を比較することによって10の位置選択性を測定した。反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)により精製して、10(線状生成物:45.9mg、収率:70%、分岐状生成物:10.5mg、収率16%)を得た。
線状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.29 - 7.23 (m, 2H), 7.22 - 7.17 (m, 1H), 7.17 - 7.12 (m, 2H), 2.86 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.52 (t, J = 7.4 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 138.13, 128.93, 128.34, 127.29, 119.24, 31.60, 19.41
分岐状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.42 - 7.31 (m, 5H), 3.90 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 1.65 (d, J = 7.4 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 137.19, 129.30, 128.19, 126.85, 121.74, 31.41, 21.63
【0072】
実施例9
【0073】
【化10】
【0074】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、2−ビニルナフタレン11(77.1mg、0.50mmol)およヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。シュレンク管をグローブボックスから取り出し、そしてその後、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、100℃で16時間加熱して加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をGCで分析し、そしてそれらのピーク面積(1/b:82/18)を比較することにより12の位置選択性を測定した。反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)により精製して、12(線状生成物:66.1mg、収率:73%、分岐状生成物:14.5mg、収率16%)を得た。
線状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.88 - 7.78 (m, 3H), 7.69 (s, 1H), 7.54 - 7.43 (m, 2H), 7.35 (dd, J = 8.3, 1.8 Hz, 1H), 3.12 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.70 (t, J = 7.5 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 135.56, 133.59, 132.59, 128.77, 127.80, 127.75, 127.00, 126.48, 126.43, 126.04, 119.26, 31.82, 19.38
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
分岐状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.92 - 7.79 (m, 4H), 7.56 - 7.48 (m, 2H), 7.43 (dd, J = 8.5, 1.9 Hz, 1H), 4.07 (q, J = 7.4 Hz, 1H), 1.73 (d, J = 7.3 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 134.44, 133.44, 132.90, 129.27, 127.98, 127.85, 126.87, 126.62, 125.71, 124.54, 121.72, 31.55, 21.57
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0075】
実施例10
【0076】
【化11】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、2−メチルスチレン13(65μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。シュレンク管をグローブボックスから取り出し、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物をGCで分析し、それらのピーク面積(1/b:86/14)を比較することにより14の位置選択性を測定した。反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)により精製して、14(線状生成物:57.3mg、収率:79%、分岐状生成物:9.4mg、収率13%)を得た。
線状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.23 - 7.14 (m, 4H), 2.98 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.59 (t, J = 7.7 Hz, 2H), 2.34 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 136.34, 135.91, 130.78, 128.84, 127.50, 126.62, 119.35, 29.01, 19.30, 18.14
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
分岐状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.45 (dd, J = 7.3, 1.7 Hz, 1H), 7.29 - 7.17 (m, 3H), 4.05 (q, J = 7.2 Hz, 1H), 2.37 (s, 3H), 1.61 (d, J = 7.2 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 135.38, 134.90, 131.12, 128.26, 127.13, 126.84, 121.94, 28.30, 20.18, 19.15
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0077】
実施例11
【0078】
【化12】
【0079】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、4−ビニルアニソール15(66.5μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。シュレンク管をグローブボックスから取り出し、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をGCで分析し、それらのピーク面積(l/b:79/21)を比較することにより16の位置選択性を測定した。反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル= 5/1)により精製して、16(線状生成物:59.6mg、収率:74%、分岐状生成物:15.3mg、収率19%)を得た。
線状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.18 - 7.12 (m, 2H), 6.90 - 6.83 (m, 2H), 3.80 (s, 3H), 2.90 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.58 (t, J = 7.4 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 158.85, 130.24, 129.44, 119.38, 114.35, 55.40, 30.87, 19.82
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
分岐状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.32 - 7.21 (m, 2H), 6.95 - 6.85 (m, 2H), 3.85 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 3.81 (s, 3H), 1.62 (d, J = 7.3 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 159.43, 129.21, 127.98, 122.01, 114.60, 55.50, 30.61, 21.68
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0080】
実施例12
【0081】
【化13】
【0082】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、4−フルオロスチレン17(60μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。シュレンク管をグローブボックスから取り出し、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をGCで分析し、それらのピーク面積(l/b:83/17)を比較することにより18の位置選択性を測定した。反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル= 10/1)により精製して、18(線状生成物:56.7mg、収率76%、分岐状生成物:11.2mg、収率15%)を得た。
線状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.23 - 7.17 (m, 2H), 7.06 - 6.98 (m, 2H), 2.93 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.60 (t, J = 7.3 Hz, 2H);
13C NMR (126 MHz, CDCl
3) δ 162.11 (d, J
C-F = 243.75 Hz), 133.81, 129.98 (d, J
C-F = 7.50 Hz), 119.06, 115.84 (d, J
C-F = 21.25 Hz), 30.86, 19.67
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
分岐状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.36 - 7.29 (m, 2H), 7.10 - 7.04 (m, 2H), 3.89 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 1.63 (d, J = 7.3 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 162.47 (d, J
C-F = 245.12 Hz), 132.97, 128.56 (d, J
C-F = 8.25 Hz), 121.53, 116.23 (d, J
C-F = 22.12 Hz), 30.71, 21.65
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0083】
実施例13
【0084】
【化14】
【0085】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、アリルトリフェニルシラン27(150.2mg、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。還流冷却に接続されたシュレンク管をグローブボックスから取り出し、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をGC(温度プログラム:15℃/分〜180℃;15℃/分〜300℃; 300℃(15分))および28の位置選択性28を、それらのピーク面積(l/b:84/16)を比較することによって測定した。反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=10/1)により精製して、28(線状生成物:127.7mg、収率78%、分岐状生成物:24.5mg、収率15%)を得た。
線状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.54 - 7.49 (m, 6H), 7.46 - 7.35 (m, 9H), 2.37 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 1.88 - 1.78 (m, 2H), 1.57 - 1.49 (m, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 135.66, 134.18, 129.90, 128.22, 119.75, 20.94, 20.82, 13.13. HRMS−EI (m/z): [M]
+ calcd for C
22H
21NSi, 327.144327; found, 327.144175
分岐状生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.60 - 7.53 (m, 6H), 7.49 - 7.37 (m, 9H), 2.73 (sext, J = 7.0 Hz, 1H), 1.97 (dd, J = 15.2, 7.0 Hz, 1H), 1.68 (dd, J = 15.2, 7.8 Hz, 1H), 1.27 (d, J = 7.0 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 135.73, 133.45, 130.15, 128.31, 124.07, 21.67, 21.47, 19.19. HRMS−EI (m/z): [M]
+ calcd for C
22H
21NSi, 327.144327; found, 327.144029
【0086】
実施例14
【0087】
【化15】
【0088】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、アリルベンゼン25(66μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。還流冷却器に接続されたシュレンク管をグローブボックスから取り出し、続いてアルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し、内部標準としてのn−ドデカン(100μL)を溶液に添加した。反応混合物をGCで分析し、それらのピーク面積を内部標準のピーク面積と比較することによって26の収率を測定した。
(GC収率:88%、位置異性体比:58/29/13、保持時間:それぞれ、11.48,10.77,10.56分)
【0089】
実施例15
【0090】
【化16】
【0091】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下、25mL圧力管内で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、3,3−ジメチル−1−ブテン29(65μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M溶液(0.10mL、0.10mmol)を順次添加した。圧力管をグローブボックスから取り出し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却した後、反応混合物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル= 10/1)で直接精製して、30(38.4mg、収率:69%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 2.31 - 2.25 (m, 2H), 1.64 - 1.59 (m, 2H), 0.93 (s, 9H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 120.74, 39.33, 30.48, 28.80, 12.87
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0092】
実施例16
【0093】
【化17】
【0094】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、1−オクテン31(78.5μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。還流冷却器と共にシュレンク管をグローブボックスから取り出し、続いてアルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し、内部標準としてのn−ドデカン(100μL)を溶液に添加した。反応混合物をGCで分析し、ピーク面積を内部標準のピーク面積と比較することによって所望の生成物の収率を測定した。(GC収率:90%、位置異性体比:48/32/11/9、保持時間:それぞれ9.70、8.95、8.81、8.71分)
【0095】
実施例17
【0096】
【化18】
【0097】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、トランス−4−オクテン39(78.5μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。還流冷却器に接続されたシュレンク管をグローブボックスから取り出し、続いてアルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し、内部標準としてのn−ドデカン(100μL)を溶液に添加した。反応混合物をGCで分析し、ピーク面積を内部標準のピーク面積と比較することによって所望の生成物の収率を測定した。(GC収率:98%、位置異性体比:46/30/12/12、保持時間:それぞれ、9.70、8.95、8.81、8.71分)
【0098】
実施例18
【0099】
【化19】
【0100】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、N−ビニルカルバゾール40(96.6mg、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。還流冷却器に接続されたシュレンク管をグローブボックスから取り出し、続いてアルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/酢酸エチル=2/1)により精製して、41(71.6mg、収率:65%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 8.11 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.54 - 7.48 (m, 2H), 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.33 - 7.27 (m, 2H), 4.65 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.84 (t, J = 7.2 Hz, 2H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 139.62, 126.33, 123.48, 120.85, 120.09, 117.46, 108.26, 39.02, 17.39. HRMS−ESI (m/z): [M+Na]
+ calcd for C
15H
12N
2Na, 243.089266; found, 243.089470.
【0101】
実施例19
【0102】
【化20】
【0103】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、カンフェン47(68mg、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)の溶液を順次添加した。還流冷却器に接続されたシュレンク管をグローブボックスから取り出し、続いてアルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル= 10/1)により精製して、48(62.8mg、収率77%、
1H NMRに基づくジアステレオ選択性:7/3)。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 2.35 - 2.18 (m, 3.42H), 2.15 - 2.09 (m, 0.84H), 1.84 - 1.79 (m, 2H), 1.76 - 1.74 (m, 0.42H), 1.69 - 1.64 (m, 1.42H), 1.63 - 1.61 (m, 0.42H),1.59 - 1.54 (m, 1H), 1.44 (ddd, J = 8.9, 6.7, 1.7 Hz, 0.42H), 1.37 - 1.30 (m, 2H), 1.25 - 1.23 (m, 3.26H), 1.16 (dt, J = 10.2, 1.6 Hz, 0.42H), 1.04 (s, 1.28H), 1.02 (s, 3H), 0.94 (s, 1.28H), 0.87 (s, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 120.36, 50.74, 49.54, 49.02, 47.36, 43.84, 42.13, 37.11, 36.92, 35.61, 32.04, 29.86, 29.49, 27.71, 24.56, 24.47, 23.94, 21.07, 20.11, 19.04, 15.36. HRMS−ESI (m/z): [M+Na]
+ calcd for C
11H
17NNa, 186.125318; found, 186.125480
【0104】
実施例20
【0105】
【化21】
【0106】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で10mLのシュレンク管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、99%純度のオレイン酸メチル45(170μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。還流冷却器に接続されたシュレンク管をグローブボックスから取り出し、続いてアルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、130℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル=5/1)により精製して46(137.5mg、収率:85%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 3.77 - 3.60 (m, 3H), 2.57 - 2.41 (m, 1H), 2.36 - 2.24 (m, 2H), 1.65 - 1.50 (m, 7H), 1.46 - 1.37 (m, 2H), 1.31 - 1.24 (m, 19H), 0.98 - 0.84 (m, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 174.49 (−CO
2), 122.63 (−CN). HRMS−ESI (m/z): [M+Na]
+ calcd for C
20H
37NO
2Na, 346.271648; found, 346.271560
GC分析(温度プログラム:15℃/分〜180℃;15℃/分〜300℃;300℃(15分))によって観察された9個の位置異性体を含む単離生成物46に留意すべきである。
【0107】
実施例21
【0108】
【化22】
【0109】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で4mLスクリューキャップバイアル中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、4−オクチン21(73μL、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。バイアルをグローブボックスから取り出し、その温度を28℃に固定した。反応混合物を28℃で16時間撹拌した。その後、反応混合物をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル= 10/1)で直接精製して22(51.5mg、収率:89%、
1H NMR:8/1に基づいてZ/Eの比)を得た。
Z−生成物:
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 6.35 (tt, J = 7.6, 1.2 Hz, 1H), 2.20 - 2.13 (m, 4H), 1.57 (sext, J = 7.4 Hz, 2H), 1.45 (sext, J = 7.4 Hz, 2H), 0.96 - 0.91 (m, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 148.32, 120.37, 115.03, 30.54, 30.51, 21.92, 21.43, 13.85, 13.50
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
HRMS−ESI(m/z): [M+Na]
+ calcd for C
9H
15NNa, 160.109668; found, 160.109800
【0110】
実施例22
【0111】
【化23】
【0112】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で25mLの圧力管中で調製したトルエン(1.0mL)中のNi(COD)
2(6.9mg、5mol%)およびDPEphos(13.5mg、5mol%)の溶液に、イソバレロニトリル5(0.26mL、2.50mmol)、ジフェニルアセチレン23(89mg、0.50mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(0.10mL、0.10mmol)溶液を順次添加した。圧力管をグローブボックスから取り出し、100℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(ペンタン/メチルtert−ブチルエーテル= 10/1)により精製して、24(75.9mg、収率:74%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 7.92 - 7.88 (m, 2H), 7.71 - 7.67 (m, 2H), 7.55 (s, 1H), 7.51 - 7.39 (m, 6H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 142.39, 134.58, 133.83, 130.67, 129.39, 129.33, 129.19, 129.09, 126.12, 118.13, 111.80
スペクトルデータは、文献に報告されたものと一致する。
【0113】
実施例23
【0114】
【化24】
【0115】
実施例23は、
図3Bに示すスケールアップ実験を例示する。グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で250mLの丸底フラスコ中で調製したブチロニトリル4(80mL)中のNi(COD)
2(220.0mg、2mol%)およびDPEphos(430.8mg、2mol%)の溶液に、スチレン9(4.58mL、40mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(3.2mL、3.2mmol、8mol%)溶液を順次添加した。還流冷却器を備えたフラスコをグローブボックスから取り出し、アルゴンの連続流(正圧:0.4バール)に接続し、そして、130℃で16時間加熱した。室温に冷却後、反応をメタノールで停止させ、混合物をセライトを通してろ過して固形物を除去した。反応混合物をGCで分析し、そしてそれらのピーク面積(1/b:82/18)を比較することによって10の位置選択性を決測定した。メタノールおよびブチロニトリルを真空下で留去した。残渣をバルブ−バルブ蒸留(BuechiガラスオーブンB−585)により直接精製して、所望の生成物を収率94%(4.95g)で得た。
【0116】
実施例24
【0117】
【化25】
【0118】
グローブボックス内のアルゴン雰囲気下で4mLスクリューキャップバイアル中で調製したベンゼン(1.0mL)中のNi(COD)
2(3.45mg、2.5mol%、12.5μmol)およびDPEphos(6.75mg、2.5mol%、12.5μmol)の溶液に、69(82.6mg、0.50mmol)、ノルボルナジエン8(51μL、0.5mmol)およびヘキサン中のAlMe
2Clの1.0M(50μL、10mol%、0.05mmol)溶液を順次添加した。バイアルをグローブボックスから取り出し、その温度を28℃に固定した。反応混合物を28℃で16時間撹拌した。その後、反応混合物を減圧下で濃厚化し、残渣をシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%ペンタン)で精製して70(49.0mg、収率:71%)を得た。
1H NMR (500 MHz, CDCl
3) δ 5.74 - 5.64 (m, 1H), 5.13 - 5.06 (m, 1H), 4.99 - 4.88 (m, 2H), 2.12 (p, J = 7.0 Hz, 1H), 2.01 - 1.89 (m, 2H), 1.68 (s, 3H), 1.60 (s, 3H), 1.35 - 1.26 (m, 2H), 0.99 (d, J = 6.9 Hz, 3H);
13C NMR (125 MHz, CDCl
3) δ 144.91, 131.44, 124.80, 112.61, 37.51, 36.89, 25.88, 20.30, 17.83.
【0119】
本発明者らの更なる実験的研究は、異なる配位子、ルイス酸および/または異なる金属を有する他の反応系も、以下のスキームに示すように、満足のいく変換結果をもたらすことを立証した。
【0120】
スキーム1−異なる配位子
【0121】
【化26】
【0122】
スキーム2−異なる金属
【0123】
【化27】
【0124】
スキーム3−異なる配位子およびルイス酸
【0125】
【化28】
【0126】
【化29】
【0127】
【表1】
【0128】
本発明者等らは、上記の実験結果において、アルキルニトリルとアルケンとの間の金属触媒反応、特に、Ni触媒による転位ヒドロシアノ化反応が、単純な駆動力を用いて選択的に生成物を生成するために完全に操作できることを示した。この例外的に強力な合成ツールは、毒性の高いHCNの使用に頼ることなく、広範な構造的に異なる分子(>40例)の触媒的ヒドロシアノ化および逆ヒドロシアノ化に適用することができた。より広い意味では、本発明に明らかにされた官能基のメタセシス戦略は、有害ガスの使用に依存しないアルケンの可逆的水素化官能化反応の開発のマイルストーンとなる可能性が高い。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1.触媒可逆的なアルケン−ニトリルの相互変換方法であって、配位子に配位された遷移金属およびルイス酸助触媒の存在下で、不飽和炭化水素(I)をアルキルニトリル(II)と、好ましくは溶媒中で反応させて、アルキルニトリル(III)および不飽和炭化水素(IV)を生成し、以下の反応スキームに示されるように、それぞれが出発化合物とは異なる、上記の方法。
【化30】
(式中、
−R1、R2、R3およびR4は、同一または異なって、それぞれが独立して、H、直鎖または分枝鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルを示すことができ、それぞれが、任意に、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されているか、または、ヘテロ置換基を示すことができるか、または、R1、R2、R3およびR4の少なくとも二つは、それぞれ、環状の3〜20員の環構造を形成してもよく、該構造は、さらに、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されていてもよく、かつ、任意に、直鎖、分岐鎖または環状構造中にO、S、Nのいずれかを含むか、または、R2およびR4が結合を形成し;R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素ではない;
−R5、R6、R7およびR8は、同一または異なって、それぞれ独立して、H、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルを示すことができ、それぞれは、任意に、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキル、またはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されているか、またはヘテロ置換基を示すことができるか、または、R5、R6、R7およびR8の少なくとも二つは、それぞれ、環状の3〜20員の炭化水素環構造を形成してもよく、該構造は、さらに、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されていてもよく、かつ、任意に、直鎖、分岐鎖または環状構造中にO、S、Nのいずれかを含み;好ましくは、R5、R6、R7およびR8の少なくとも一つは水素ではない;
− 配位された遷移金属触媒の金属は、鉄族、コバルト族、ニッケル族または銅族の金属から選択され;
− 配位された遷移金属触媒の配位子は、リン−、窒素−、As−、Sb−またはN−複素環ベースの配位子を含む前記遷移金属に配位する能力を有する化合物から選択され;かつ、
− ルイス酸助触媒は、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、チタン、スカンジウムの化合物から選択される。)
2.R1、R2、R3およびR4が、同一または異なって、かつ、それぞれ独立して、H、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルを示すことができ、それぞれは、任意に、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されるか、またはヘテロ置換基を示すことができるか、または、R2およびR4が結合を形成し;R1、R2、R3およびR4の少なくとも一つは水素ではない、上記1に記載の方法。
3.R5、R6、R7およびR8が、同一または異なって、かつ、それぞれ独立して、H、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルを示すことができ、それぞれは、任意に、直鎖または分岐鎖のアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、ヘテロアラルキルまたはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されているか、またはヘテロ置換基を示すことができるか、または、R5、R6、R7およびR8の少なくとも二つが、それぞれ、環状の3〜20員の炭化水素環構造を形成してもよく、該構造は、さらに、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリールまたはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されていてもよく、かつ、任意に、直鎖、分岐鎖または環構造中にO、S、Nのいずれかを含み;好ましくは、R5、R6、R7およびR8の少なくとも一つは水素ではない、上記1または2に記載の方法。
4.R5、R6、R7およびR8が、同一または異なって、かつ、それぞれ独立して、H、直鎖または分岐鎖のアルキル、またはシクロアルキルを示すことができるか、または、R5、R6、R7およびR8の少なくとも二つが、それぞれ、環状の3〜20員の脂肪族炭化水素環構造を形成してもよく、該構造は、さらに、アルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキルまたはヘテロ置換基から選択される一つまたは二つ以上の基で置換されていてもよく、かつ、任意に、直鎖、分岐鎖または環構造中にO、S、Nのいずれかを含み;R5、R6、R7およびR8の少なくとも一つは水素ではない、上記3に記載の方法。
5.式(II)の化合物が、1〜6個の炭素原子を有する低級アルキルニトリルであり、任意に、一つまたは二つ以上のヘテロ置換基で置換されている、上記3に記載の方法。
6.式(I)の化合物が、一つまたは二つ以上のヘテロ置換基で任意に置換された4〜20個、好ましくは4〜12個の炭素原子を有する環状不飽和炭化水素である、上記1または2に記載の方法。
7.配位された遷移金属触媒が、Ni(COD)2、Ni(acac)2、Ni(CO)4、Pd(dba)2、Pd(OAc)2、Co2(CO)8から選択される遷移金属触媒前駆体、特に、Ni(COD)2から得られる、上記1〜6のいずれか一つに記載の方法。
8.ルイス酸助触媒が、AlMe3、AlMe2Cl、AlMeCl2、AlCl3、BPh3、B(C6F5)3、Zn(OTf)2、ZnCl2、TiCl4、Sc(OTf)3、および、好ましくは、AlMe3、Al2Me2Cl、AlCl3、B(Ph)3から選択される、上記1〜7のいずれか一つに記載の方法。
9.配位子が、ホスフィン配位子、特に、PPh3、PCy3、P(OPh)3、PEt3、BINAP、キサントホス、DuPhos、DPEPhos、dppf、dppe、さらに好ましくは、PPh3およびDPEPhos、およびそれらの混合物からなる群から選択される、上記1〜8のいずれか一つに記載の方法。
10.炭化水素ニトリルから不飽和炭化水素へのニトリル転位反応のための配位された遷移金属触媒とルイス酸助触媒との反応対の使用であって、
− 配位された遷移金属触媒の金属が、鉄族、コバルト族、ニッケル族または銅族の金属から選択され;
− 配位された遷移金属触媒の配位子が、リン−、窒素−、As−、Sb−またはN−複素環ベースの配位子を含む前記遷移金属に配位する能力を有する化合物から選択され;
− ルイス酸助触媒が、アルミニウム、ホウ素、亜鉛、チタン、スカンジウムの化合物から選択される、
上記の使用。