(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840151
(24)【登録日】2021年2月18日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】結晶形のゲムシタビン
(51)【国際特許分類】
C07H 19/10 20060101AFI20210301BHJP
A61K 31/7068 20060101ALI20210301BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
C07H19/10CSP
A61K31/7068
A61P35/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-532772(P2018-532772)
(86)(22)【出願日】2016年12月21日
(65)【公表番号】特表2018-538341(P2018-538341A)
(43)【公表日】2018年12月27日
(86)【国際出願番号】GB2016054017
(87)【国際公開番号】WO2017109485
(87)【国際公開日】20170629
【審査請求日】2019年10月28日
(31)【優先権主張番号】1522771.3
(32)【優先日】2015年12月23日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517395747
【氏名又は名称】ニューカナ パブリック リミテッド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100060759
【弁理士】
【氏名又は名称】竹沢 荘一
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】ヒュー グリフィス
【審査官】
池上 佳菜子
(56)【参考文献】
【文献】
特表2016−506371(JP,A)
【文献】
特表2017−530172(JP,A)
【文献】
特表2018−528958(JP,A)
【文献】
平山令明,有機化合物結晶作製ハンドブック,2008年,p.17-23,37-40,45-51,57-65
【文献】
高田則幸,創薬段階における原薬Formスクリーニングと選択,PHARM STAGE,2007年 1月15日,Vol.6, No.10,p.20-25
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07H 19/06
A61K 31/7068
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
Cu線を使用し、Kα2/Kα1比0.5にて測定する際、4.9±0.2、6.8±0.2、9.1±0.2、10.4±0.2、20.3±0.2、及び21.0±0.2から選ばれる2θに少なくとも4つのピークをもつXRPDパターンを有すること特徴とするゲムシタビン−[フェニル(ベンゾイル−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェートの結晶。
【請求項2】
Cu線を使用し、Kα2/Kα1比0.5にて測定する際、4.9±0.2、6.8±0.2、9.1±0.2、10.4±0.2、20.3±0.2、及び21.0±0.2にピークをもつXRPDパターンを有することを特徴とする請求項1に記載の結晶。
【請求項3】
結晶の示差走査熱量測定及び/又は熱重量/示差熱分析が、125.7±2.0℃に吸熱を示すことを特徴とする請求項1又は2に記載の結晶。
【請求項4】
吸熱が125.7±0.5℃であることを特徴とする請求項3に記載の結晶。
【請求項5】
結晶の示差走査熱量測定及び/又は熱重量/示差熱分析が、125.7±2.0℃に吸熱を示すことを特徴とするゲムシタビン−[フェニル(ベンゾイル−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェートの結晶。
【請求項6】
吸熱が125.7±0.5℃であることを特徴とする請求項5に記載の結晶。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾイル−L−アラニ
ニル)]−(S)−ホスフェートに係る。
【背景技術】
【0002】
ゲムシタビン((1);ジェムザール(登録商標)として販売されている)は、現在、乳癌、非小細胞肺癌、卵巣癌及び膵臓癌の治療用に認可され、膀胱癌、胆管癌、大腸癌及びリンパ腫を含む各種の他の癌を治療するために広く使用されている効果的なヌクレオシド類似体である。
ゲムシタビン(1)
【化1】
【0003】
ゲムシタビンの臨床有用性は、多数の本来の及び獲得した抵抗性機構によって制限される。細胞レベルでは、抵抗性は、3つのパラメーター:(i)リン酸化部分への活性化に必要なデオキシシチジンキナーゼのダウンレギュレーション;(ii)ヌクレオシドトランスポーター、特に、癌細胞による取り込みに要求されるhENT1の低下した発現;及び(iii)触媒酵素、特に、ゲムシタビンを分解するシチジンデアミナーゼのアップレギュレーションに依存する。
【0004】
国際公開第2005/012327号には、ゲムシタビン及び関連するヌクレオシド薬物分子に関する一連のヌクレオチドホスフェート誘導体が記載されている。それらの中でも、特に効果的な化合物として、ゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]ホフェート(NUC−1031;(2))が認定されている。これらの誘導体は、ゲムシタビンの有用性を制限する多くの本来の及び獲得された抵抗性機構を回避することを示している(「RroTide技術のゲムシタビンへの適用:極めて重要な癌抵抗性機構を克服するための奏功のアプローチは、臨床開発において、新たな薬剤(NUC−1031)をもたらす」;Slusarczykら;J.Med.Chem.;2014,57,1531−1542)。
【0005】
ProGem1は、進行した固形悪性腫瘍の被験者において、2つの並行投与量スケジュールで投与されたNUC−1031の安全性、忍容性、臨床有効性、薬物動態(PK)及び薬力学(PD)を調査するための、ヒトへの最初の投与(FTIH)、フェーズ1、オープンラベル、2ステージ治験である(EudraCT番号:2011−005232−26)。被験者は、治験登録時、次の腫瘍を有していた:大腸癌(対象7人)、原発不明癌(3人)、卵巣癌(12人)、乳癌(4人)、膵臓癌(9人)、胆管癌(7人)、子宮内膜癌(3人)、子宮頸癌(2人)、肺癌(7人)、中皮腫(3人)、食道癌(3人)、卵管癌(1人)、トロホブラスト(1人)、腎臓癌(1人)、胃癌(1人)、肛門癌(1人)、胸腺癌(1人)、及び骨肉腫(1人)。治験では、進行した進行癌の患者(全ての標準的な治療オプションを尽くしており、その多くは、従来のヌクレオシド類似体(ゲムシタビンを含む)治療に対して抵抗性又は不応性であった)において、NUC−1031の抗腫瘍活性が確認された。特に注目すべきことには、薬物動態データが、単剤としてのNUC−1031は、当モル用量での単剤ゲムシタビンよりも約10倍高い活性トリホスフェート部分(dFdCTP)のピーク細胞内濃度(C
max)を生ずることを示した。さらに、dFdCTPへの細胞内経時露出又は曲線下面積は、公表された多くの研究からのゲムシタビンに関する履歴データと比較して、NUC−1031について、27倍大きいものであった。最後に、分析では、NUC−1031は、ゲムシタビンと通常関連する潜在的に有毒性の代謝物2’,2’−ジフルオロ−2’−ジオキシウリジン(dFdU)のレベルの半分未満を放出することが示された。
【0006】
NUC−1031(2)は、代表的には、ホスフェート中心においてエピマーである2つのジアステレオ異性体の混合物として調製される。
NUC−1031(2)
【化2】
【0007】
NUC−1031は、極めて親油性であり、このように、水溶性に乏しく(計算によれば、<0.1mg/ml)であり、イオン化できる部分は、pKaを計算すると、非経口投与に適するpH範囲外にある値を示す。最近では、ゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]ホスフェートの(S)−エピマー(3)が、多数の極性有機溶媒と水との混合物において十分な溶解度を有し、治療剤としての処方及び投与について、好適性を提供することが見出されている。(R)−エピマー(示していない)の溶解度は、かなり低い。
ゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]ホスフェートの(S)−エピマー(3)
【化3】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
(S)−及び(R)−エピマーは、いずれも、治療的には活性であるが、本願の出願時には、ゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]ホスフェートは、(S)−エピマーとして投与されることが好ましいと見られていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の具体例の目的は、好適な結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェート(3)を提供することにある。本発明の特定の具体例の目的は、他の結晶形よりも、より安定である結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェート(3)を提供することにある。
【0010】
本発明の特定の具体例の目的は、他の結晶形よりも、より溶解性である結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェート(3)を提供することにある。
【0011】
本発明の特定の具体例は、上記の目的のいくつか又は全てを満足する。
【0012】
本発明は、結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェートに係り、結晶形はVIII型である。
【0013】
VIII型は、安定性苛酷テストにおいて、物理的に安定であることを示す。40℃、周囲光下、相対湿度75%における7日間の保存時、結晶形における変化は観察されなかった。同様に、純度の低下も観察されなかった。
【0014】
前記の結晶形(すなわち、VIII型)は、Cu線を使用し、Kα
2/Kα
1比0.5にて測定する際、4.9±0.2、6.8±0.2、9.1±0.2、10.4±0.2、20.3±0.2、及び21.0±0.2から選ばれる2θに、少なくとも2つのピーク(例えば、少なくとも3つのピーク又は少なくとも4つのピーク)をもつXRPDパターンを有することを特徴とする。前記の結晶形は、Cu線を使用し、Kα
2/Kα
1比0.5にて測定する際、2θにおけるピーク4.9±0.2、6.8±0.2、9.1±0.2、10.4±0.2、20.3±0.2、及び21.0±0.2をもつXRPDパターンを有していてもよい。
【0015】
前記の結晶形(すなわち、VIII型)は、Cu線を使用し、Kα
2/Kα
1比0.5にて測定する際、4.9±0.1、6.8±0.1、9.1±0.1、10.4±0.1、20.3±0.1、及び21.0±0.1から選ばれる2θに、少なくとも2つのピーク(例えば、少なくとも3つのピーク又は少なくとも4つのピーク)をもつXRPDパターンを有することを特徴としていてもよい。前記形は、Cu線を使用し、Kα
2/Kα
1比0.5にて測定する際、4.9±0.1、6.8±0.1、9.1±0.1、10.4±0.1、20.3±0.1、及び21.0±0.1の2θにピークをもつXRPDパターンを有していてもよい。
【0016】
前記の結晶形は、実質的に、
図1に示すXRPDパターンを有していてもよい。
【0017】
前記の結晶形は、ヌジョールにおける懸濁液として測定する際、実質的に、
図2に示すFTIRパターンを有していてもよい。
【0018】
結晶形の示差走査熱量測定及び/又は熱重量/示差熱分析は、125.7±2.0℃に吸熱を示す。吸熱は、125.7±1.0℃であってもよい。吸熱は、125.7±0.5℃であってもよい。
【0019】
本発明は、下記の番号を付した項に記載のとおりでもよい:
1.結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェートであって、結晶形はVIII型である。
2.Cu線を使用し、Kα
2/Kα
1比0.5にて測定する際、4.9±0.2、6.8±0.2、9.1±0.2、10.4±0.2、20.3±0.2、及び21.0±0.2から選ばれる2θにおける少なくとも2つのピークをもつXRPDパターンを有すること特徴とする、項1の結晶形。
3.Cu線を使用し、Kα
2/Kα
1比0.5にて測定する際、4.9±0.2、6.8±0.2、9.1±0.2、10.4±0.2、20.3±0.2、及び21.0±0.2から選ばれる2θにおける少なくとも4つのピークをもつXRPDパターンを有することを特徴とする、項2の結晶形。
4.Cu線を使用し、Kα
2/Kα
1比0.5にて測定する際、4.9±0.2、6.8±0.2、9.1±0.2、10.4±0.2、20.3±0.2、及び21.9±0.2におけるピークをもつXRPDパターンを有することを特徴とする、項3の結晶形。
5.実質的に
図1に示すXRPDパターンを有することを特徴とする、項1の結晶形。
6.ヌジョールにおける懸濁液として測定する際、実質的に、
図2に示すFTIRパターンを有することを特徴とする、項1〜5のいずれかの結晶形。
7.結晶形の示差走査熱量測定及び/又は熱重量/示差熱分析が、125.7±2.0℃に吸熱を示すことを特徴とする、項1〜6のいずれかの結晶形。
8.吸熱が125.7±0.5℃であることを特徴とする、項7の結晶形。
【0020】
添付図面を参照して、以下に、本発明の具体例をさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】VIII型の結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェートのXRPDスペクトルである。
【
図2】VIII型の結晶形のゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェートのFTIRスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
X線粉末回折パターンは、測定条件(例えば、使用する装置、サンプル調製、又は器具)に応じて、1又はそれ以上の測定誤差を有して得られることは知られている。特に、X線粉末回折パターンにおける強さは、測定条件及びサンプルの調製に応じて変動することは一般的に知られている。例えば、X線粉末回折に関連する当業者は、ピークの相対強さが、テストに供されるサンプルの配向性及び使用する装置のタイプ及び設定に従って変化することに思い至るであろう。また、当業者であれば、反射位置が、サンプルが回折計内において位置する正確な高さ及び回折計のゼロ校正によって、影響されることも思い至るであろう。サンプルの表面の平面性も、小さい影響を有する。従って、当業者であれば、ここに示す回折パターンデータは、本明細書の範囲内に属し、ここに開示するものと実質的に同一の粉末回折パターンを提供する絶対的及び各種の結晶形として解釈されるべきではないと認識するであろう(更なる情報については、Jenkins,R&Snyder,R.L.X線粉末回折法入門,John Wiley&Sons,1996参照)。
【0023】
この明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、用語「含んでなる」及び「含有する」及びその変形は、「含んでなるが、限定されない」を意味し、これらは、他の部分、付加、成分、整数及び工程を除外することを意図するものではない(除外しない)。この明細書の記載及び特許請求の範囲を通して、単数は、他に、内容が要求しない限り、複数を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、明細書は、他に、内容が要求しない限り、単数とともに、複数を意図するものと理解されなければならない
【0024】
特殊な態様と合わせて記載する本発明の特徴、整数、特性、化合物、化学部分及び基、具体例又は実施例は、矛盾しない限り、ここに記載する他の態様、具体例又は実施例のいずれにも適用できるものであると理解されなければならない。この明細書(特許請求の範囲、要約及び図面を含む)に開示する特徴の全て、及び/又は同様に開示された方法及びプロセスの工程の全ては、このような特徴及び/又は工程の少なくともいくつかが、相互に排他的である組み合わせを除き、いかようにも組み合わされる。本発明は、上述の具体例の詳細に限定されない。本発明は、この明細書に開示された特徴のいずれかの新規な1つ又は新規な組み合わせに、又は同様に開示されたいずれかの方法又はプロセスの工程のいずれかの新規な1つ又は新規な組み合わせに及ぶものである。
【0025】
読者の注目は、この出願に関連するこの明細書と同時に又はこれよりも先に提出された、又はこの明細書と一緒に縦覧に供される全ての論文及び文献に向けられるが、このような全ての論文及び文献の内容は、参照することによって、ここに組み込まれる。
【実施例1】
【0026】
VIII型の(S)−エピマーを単離する方法
2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロ−D−シチジン−5’−O−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]ホスフェート(NUC−1031)の(R)及び(S)異性体の混合物を、下記の条件下における分取HPLCに供した。
カラム:X−Bridge Prep C18(250×50)mm、5μm
移動相A:Milli−Q水
移動相B:メタノール
流速:80ml/分
グラディエント:(T/B%):0/40、5/40、15/55、31/55、32/100、36/100、37/40、40/40
検出:267nmにおけるUV
サンプル濃度:57mg/ml
注入容積:約6ml
カラムへの装填:約340mg
溶離される第1の生成物は、(R)−異性体である(相対保持時間(RRT)0.97)である。第2の生成物は、(S)−異性体である(RRT1.0)。実質的に純粋な(S)−異性体を含んでなるフラクションを合わせ、回転エバポレーターを使用して、溶媒を40℃で蒸留し、得られた固体を濾過し、水で洗浄し、55〜60℃において、10時間、真空下で乾燥した。得られた固体は、VIII型の結晶形であった。
下記の同定方法を使用することによって、ゲムシタビン−[フェニル(ベンゾキシ−L−アラニニル)]−ホスフェートの各異性体を同定できる:
Bruker Avance 500分光計で、25℃において、プロトン(
1H)、炭素(
13C)、リン(
31P)及びフッ素(
19F)NMRスペクトルを記録した。スペクトルを、重水素化溶媒ピークに自動補正し、
13CNMR及び
31PNMRを、プロトンデカップリングした。
【0027】
2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロ−D−シチジン−5’−O−[フェニル(ベンジルオキシ−L−アラニニル)]−(S)−ホスフェート(3)
(ES+) m/z, 実測値: (M + Na
+) 603.14. C
25H
27F
2N
4O
8NaP 理論値: (M
+) 580.47
31P NMR (202 MHz, MeOD): δ
P 3.66
1H NMR (500 MHz, MeOD): δ
H 7.58 (d, J= 7.5 Hz, 1H, H−6), 7.38−7.32 (m, 7H, ArH), 7.26−7.20 (m, 3H, ArH), 6.24 (t, J = 7.5 Hz, 1H, H−1’), 5.84 (d, J = 7.5 Hz, 1H, H−5), 5.20 (ABシステム, J
AB = 12.0 Hz, 2H, OCH
2Ph), 4.46−4.43 (m, 1H, H−5’), 4.36−4.31 (m, 1H, H−5’), 4.25−4.19 (m, 1H, H−3’), 4.07−4.00 (m, 2H, H−4’, CHCH
3), 1.38 (d, J = 7.2 Hz, 3H, CHCH
3)
19F NMR (470 MHz, MeOD): δ
F− 118.0 (d, J = 241 Hz, F), 120.24 (ブロードd, J= 241 Hz, F)
13C NMR (125 MHz, MeOD): δ
C 174.61 (d,
3J
C−P = 5.0 Hz, C=O, エステル), 167.63 (C−NH
2), 157.74 (C=O 塩基), 152.10 (d,
2J
C−P = 7.0 Hz, C−Ar), 142.40 (CH−塩基), 137.22 (C−Ar), 130.90, 129.63, 129.39, 129.32, 126.32 (CH−Ar), 124.51 (d,
1J
C−F = 257 Hz, CF
2), 121.47, 121.43 (CH−Ar), 96.67 (CH−塩基), 85.92 (ブロードシグナル, C−1), 80.31 (C−4), 71.27 (見かけt,
2J
C−F = 23.7 Hz, C−3), 68.03 (OCH
2Ph), 65.73 (d,
2J
C−P = 5.30 Hz, C−5’), 51.66 (CHCH
3), 20.42 (d,
3J
C−P = 6.25 Hz, CHCH
3)
【0028】
2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロ−D−シチジン−5’−O−[フェニル(ベンジルオキシ−L−アラニニル)]−(R)−ホスフェート
(ES+) m/z, 実測値: (M + Na
+) 603.14. C
25H
27F
2N
4O
8NaP 理論値: (M
+) 580.47
31P NMR (202 MHz, MeOD): δ
P 3.83
1H NMR (500 MHz, MeOD): δ
H 7.56 (d, J= 7.5 Hz, 1H, H−6), 7.38−7.31 (m, 7H, ArH), 7.23− 7.19 (m, 3H, ArH), 6.26 (t, J= 7.5 Hz, 1H, H−1’), 5.88 (d, J= 7.5 Hz, 1H, H−5), 5.20 (s, 2H, OCH2Ph), 4.49−4.46 (m, 1H, H−5’), 4.38−4.34 (m, 1H, H−5’), 4.23−4.17 (m, 1H, H−3’), 4.07−4.01 (m, 2H, H−4’, CHCH
3), 1.38 (d, J= 7.2 Hz, 3H, CHCH
3)
19F NMR (470 MHz, MeOD): δ
F −118.3 (d, J= 241 Hz, F), −120.38 (ブロードd, J= 241 Hz, F)
13C NMR (125 MHz, MeOD): δ
C 174.65 (d,
3J
C−P = 5.0 Hz, C=O, エステル), 167.65 (C−NH
2), 157.75 (C=O 塩基), 152.10 (d,
2J
C−P = 7.0 Hz, C−Ar), 142.28 (CH−塩基), 137.50 (C−Ar), 130.86, 129.63, 129.40, 129.32, 126.31 (CH−Ar), 124.50 (d,
1J
C−F = 257 Hz, CF
2), 121.44, 121.40 (CH−Ar), 96.67 (CH−塩基), 85.90 (ブロードシグナル, C−1), 80.27 (C−4), 71.30 (見掛けt,
2J
C−F = 23.7 Hz, C−3), 68.02 (OCH
2Ph), 65.50 (C−5’), 51.83 (CHCH
3), 20.22 (d,
3J
C−P = 7.5 Hz, CHCH
3)
【実施例2】
【0029】
X線粉末回折(XRPD)
VIII型の結晶形の(S)NUC−1031のサンプルを、3〜35°2θにおいて走査した。物質を、カプトン膜上に取り付けたウエル内に、穏やかに圧縮した。ついで、サンプルを、伝送モードで走行するPANalytical X‘Pert Pro回折計に装填し、下記の実験条件を使用して、分析した。
生データ起源 XRD測定(*.XRDML)
開始位置(°2θ) 3.0066
終端位置(°2θ) 34.9866
ステップサイズ(°2θ) 0.0130
走査のステップ時間(秒) 67.9377
走査のタイプ 連続
PSDモード スキャンニング
PSD長さ(°2θ) 3.35
オフセット(°2θ) 0.0000
発散スリットのタイプ 固定
発散スリットのサイズ(°) 1.0000
試料の長さ(mm) 10.00
測定温度(℃) 25.00
アノード材料 Cu
K
α1(Å) 1.54060
K
α2(Å) 1.54443
K
α2/K
α1の比率 0.50000
発生装置の設定 40mA、40kV
ゴニオメーターの半径(mm) 240.00
焦点−分散スリットの距離(mm) 91.00
入射ビームモノクロメーター なし
スピンニング なし
得られたスペクトルを
図1示した。観察されたピークは下記のとおりである。
【0030】
【表1】
2Th.=°2θ。一般的にXRPDピーク位置には、±0.2°2θの誤差が存在する。
【実施例3】
【0031】
フーリエ変換赤外分光法(FTIR)
VIII型の結晶形のNUC−1031のサンプルの赤外分光法を、Bruker ALPHA P分光計にて行った。サンプルを、ヌジョールにおける懸濁液として測定したところ、2950〜2800cm
−1、1465〜1450cm
−1、及び1380〜1370cm
−1における主要ピークを有していた。従って、記録したスペクトルは、物質の吸収ピークに加えて、これらの吸収を示した。懸濁液を、分光計のプレートの中心に置き、下記のパラメーターを使用してスペクトルを得た。
分解能: 4cm
−1
バックグラウンド走査時間: 16走査
サンプル走査時間: 16走査
データ収集: 4000〜400cm
−1
結果スペクトル: 透過率
ソフトウエア: OPUS バージョン6
得られたスペクトルを
図2に示す。得られたピークは下記のとおりである。
【0032】
【表2】
イタリック体で示すピークは、ヌジョールのピークに相当する(IR吸収を、ヌジョールマルとして集めた)。1372.1937cm
−1及び1488.0228cm
−1におけるピークは、ヌジョールと、VIII型の物質とのオーバーラップであると見られる。
【実施例4】
【0033】
熱重量/示差熱分析(TG/DTA)
物質約5mgを、オープンアルミニウムパンに量り取リ、熱重量/示差熱同時分析装置に装填し、室温において、平衡化した。ついで、サンプルを、速度10℃/分で、25℃から300℃に加熱し、その間に、全ての示差熱イベントとともに、サンプルの質量の変化を記録した。パージガスとして、流量100cm
3/分で、窒素を使用した。
VIII型のNUC−1031(S)に関するTG/DTAデータは、開始126.0℃の単一のわずかにブロードな吸熱を示した(可及的に溶融を伴う)。物質は、TG/DTAによって、乾燥が認められた(吸熱過程の間、わずかに0.2%の質量損失を示す)。200℃付近で、サンプルの分解が観察された。
【実施例5】
【0034】
示差走査熱量測定(DSC)
物質約5mgを、アルミニウムDSCパンに量り取り、穴を開けたアルミニウムの蓋にて、密閉することなく閉じた。サンプルを、Seiko DSC6200(冷却器を備えている)に装填した。サンプル及び対照を、加熱速度10℃/分で、180℃まで加熱した。
VIII型のNUC−1031(S)のDSC分析は、TG/DTAと矛盾せず、開始125.5℃の単一のブロードな吸熱を示した。最初のブロードな吸熱が、66℃付近で観察された。