特許第6840161号(P6840161)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6840161安定化アセンブリを備えた機械および測定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840161
(24)【登録日】2021年2月18日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】安定化アセンブリを備えた機械および測定方法
(51)【国際特許分類】
   E01B 35/04 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
   E01B35/04
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-544521(P2018-544521)
(86)(22)【出願日】2017年1月27日
(65)【公表番号】特表2019-506550(P2019-506550A)
(43)【公表日】2019年3月7日
(86)【国際出願番号】EP2017000103
(87)【国際公開番号】WO2017144152
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2019年10月4日
(31)【優先権主張番号】A93/2016
(32)【優先日】2016年2月24日
(33)【優先権主張国】AT
(73)【特許権者】
【識別番号】514318345
【氏名又は名称】プラッサー ウント トイラー エクスポート フォン バーンバウマシーネン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Plasser & Theurer, Export von Bahnbaumaschinen, Gesellschaft m.b.H.
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】フローリアン アウアー
(72)【発明者】
【氏名】マーティン ビュアガー
【審査官】 彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−071002(JP,A)
【文献】 特開2015−179509(JP,A)
【文献】 特開平03−250103(JP,A)
【文献】 特開2003−156389(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0201392(US,A1)
【文献】 特開平08−136254(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0211192(US,A1)
【文献】 特開2016−058086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01B 35/00 − 35/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール走行機構(3)によって軌道構造(5)のレール(4)上を走行可能な機械フレーム(2)と、安定化アセンブリ(8)とを備えた機械(1)であって、前記安定化アセンブリ(8)は、機械長手方向に対して横方向に延在する、水平方向の振動を形成する振動発生器(15)と、前記レール(4)上を転動可能なフランジ付きローラ(10)とを含む、機械(1)において、
前記軌道構造(5)の振動させられる部分を捕捉するため、前記機械フレーム(2)にカメラ(11)が取り付けられており、
捕捉した画像データから、結果的に発生する前記軌道構造(5)の変位(s)を導出するため、前記カメラ(11)が評価装置(16)に接続されている、ことを特徴とする機械(1)。
【請求項2】
結果的に発生する前記変位(s)に依存して前記振動発生器(15)を駆動制御するため、前記評価装置(16)が、前記安定化アセンブリ(8)の制御部(17)に接続されている、請求項1記載の機械(1)。
【請求項3】
前記カメラ(11)が、2次元画像(17、18)を撮影するように構成されている、請求項1または2記載の機械(1)。
【請求項4】
前記カメラ(11)が、軌道に対して横方向に延在する垂直方向の対称面において、前記安定化アセンブリ(8)の2つのフランジ付きローラ(10)の間に配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の機械(1)。
【請求項5】
前記機械フレーム(2)には、前記カメラ(11)の領域に加速度センサ(12)が配置されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の機械(1)。
【請求項6】
請求項1から5までのいずれか1項記載の機械(1)を用いて実行される測定方法において、
前記カメラ(11)を用い、前記軌道構造(5)の振動する領域から、上面視で連続して画像データを捕捉し、
捕捉した前記画像データから、結果的に発生する前記軌道構造(5)の前記変位(s)を導出する、ことを特徴とする、測定方法。
【請求項7】
一方向に最大に変位した時点に撮影した第1画像(17)と、反対方向に最大に変位した時点に撮影した第2画像(18)とを比較し、当該比較から、結果的に発生する前記軌道構造(5)の前記変位(s)を導出する、請求項6記載の測定方法。
【請求項8】
結果的に発生する前記軌道構造(5)の前記変位(s)に対する尺度として、2つの画像(17、18)における同じ画像内容の位置差(20)を評価する、請求項7記載の測定方法。
【請求項9】
同じ画像内容として、まくらぎ(6)および/またはレール固定手段(14)の輪郭を選択する、請求項8記載の測定方法。
【請求項10】
前記軌道構造(5)の1振動周期中のあらかじめ設定した撮影時点(t,t,t,t)に複数の画像データを捕捉して、各撮影時点に前記軌道構造(5)の変位(s,s,s,s)を特定し、当該変位から前記軌道構造(5)の正弦波状の振動を導出する、請求項6記載の測定方法。
【請求項11】
前記軌道構造(5)の水平方向の振動の周波数の少なくとも4倍に等しいフレームレートで前記画像(17,18)を撮影する、請求項8または9記載の測定方法。
【請求項12】
前記画像データの前記捕捉と、前記軌道構造(5)の前記水平方向の振動とを同期化させる、請求項6から11までいずれか1項記載の測定方法。
【請求項13】
前記軌道構造(5)に作用する前記安定化アセンブリ(8)の振動と、前記カメラ(11)を用いて捕捉した、結果的に発生する前記軌道構造(5)の振動との間の位相差(Δφ)を求める、請求項6から12までのいずれか1項記載の測定方法。
【請求項14】
前記カメラ(11)の前記領域において前記機械フレーム(2)の振動を測定し、結果的に発生する前記軌道構造(5)の前記変位(s)の前記評価に算入する、請求項8または9記載の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レール走行機構によって軌道構造のレール上を走行可能な機械フレームと、安定化アセンブリとを備えた機械であって、安定化アセンブリが、機械長手方向に対して横方向に延在する、水平方向の振動を形成する振動発生器と、レール上を転動可能なフランジ付きローラとを含む、機械に関する。本発明は、さらに測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
安定化アセンブリは、動的な軌道安定化に使用される。具体的にはこの安定化アセンブリは、道床における軌道の持ち上げ、方向調整および突き固め後に持続的な軌道状態を形成するために使用される。ここでは安定化アセンブリによって水平方向の振動が形成されて軌道に伝達されて、軌道の振動により、軌道状態のより良好な持続性が得られようにする。これにより、軌道の持ち上げ、方向調整および突き固め後に発生する、道床における沈下が大きく低減される。さらに道床における軌道の横方向の変位に対する抵抗が格段に増大する。対応する機械は、例えば欧州特許出願公開第0666371号明細書(EP0666371A1)および独国特許出願公開第4102870号明細書(DE4102870A1)から公知である。
【0003】
国際公開第2008/009314号(WO2008/009314A1)には、制御可能な動的衝撃力を伴う安定化アセンブリが開示されている。しかしながら、ここでは、軌道のそれぞれのレール頭部に作用する振動だけは測定可能であるが、結果的に発生する軌道のまくらぎの振動は測定可能ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0666371号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第4102870号明細書
【特許文献3】国際公開第2008/009314号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発明の概要
本発明に根底にある課題は、冒頭に述べた形態の機械において、従来技術に対する改善を提示することである。さらに測定方法を提示し、結果的に発生する軌道構造の振動がこの測定方法から分かるようにするべきである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、本発明により、請求項1に記載した機械および請求項6に記載した方法によって解決される。従属請求項には本発明の有利な実施形態が示されている。
【0007】
ここでは、軌道構造の振動させられる部分を捕捉するため、機械フレームにカメラが取り付けられており、捕捉した画像データから、結果的に発生する軌道構造の変位を導出するため、このカメラは評価装置に接続されている。これにより、軌道を安定化させるための実際に有効な振動に対する尺度であるまくらぎ変位の振幅を検出することができる。これに伴う安定化品質の改善および記録は、従来の解決手段に対する明らかな利点である。
【0008】
本発明の一発展形態では、結果的に発生する変位に依存して振動発生器を駆動制御するため、評価装置が、安定化アセンブリの制御部に接続されている。これにより、作業従事中に動的なまくらぎ変位を一定に保つため、安定化アセンブリに制御機能を具備させることが可能となる。
【0009】
有利であるのは、カメラが、2次元画像を撮影するように構成されている場合である。対応する画像データは、産業用PCを用いて所要の速度で評価可能である。
【0010】
有利であるのはさらに、カメラが、軌道に対して横方向に延在する垂直方向の対称面において、安定化アセンブリの2つのフランジ付きローラの間に配置されている場合である。この領域では各振動周期の振幅が予想されるため、所要の画像データを記録するのにカメラの狭い捕捉領域で十分である。
【0011】
結果的に発生する軌道構造の変位の算出に、場合によっては生じ得る機械フレームの振動を考慮できるようにするために有効であるのは、機械フレームにおいて、カメラの領域に加速度センサが配置されている場合である。
【0012】
本発明による測定方法では、カメラを用い、軌道構造の振動する領域から、上面視で連続して画像データを捕捉し、捕捉した画像データから、結果的に発生する軌道構造の変位を導出する。これにより、動的な軌道安定化中にすでに、軌道の摩擦出力に対する関連パラメタとしてまくらぎ変位を記録することができる。
【0013】
この方法の簡単な実施形態では、一方向に最大に変位した時点に撮影した第1画像と、反対方向に最大に変位した時点に撮影した第2画像とを比較し、この比較から、結果的に発生する軌道構造の変位を導出する。この方法により、結果的に発生する軌道構造の変位が正確に検出される。
【0014】
ここで有利であるのは、結果的に発生する軌道構造の変位に対する尺度として、2つの画像における同じ画像内容の位置差を評価する場合である。このようなパターン認識(マッチング)に対しては、ロバストなかつ効率的な複数のソフトウェアアルゴリズムを使用可能であり、これらのソフトウェアアルゴリズムにより、撮影した画像データの迅速かつ確実な評価が可能になる。
【0015】
この評価が特に有効であるのは、画像内容として、まくらぎおよび/またはレール固定手段の輪郭を選択する場合である。
【0016】
この方法の別の実施形態では、軌道構造の1振動周期中のあらかじめ設定した撮影時点に複数の画像データを捕捉して、各撮影時点に軌道構造の変位を求め、この変位から軌道構造の正弦波状の振動を導出する。この場合に、想定される正弦波状のこの振動の振幅は、結果的に発生する軌道構造の最大の変位に対応する。
【0017】
十分な精度を保証するため、軌道構造の水平方向の振動の周波数の少なくとも4倍に等しいフレームレートで画像を撮影する。フレームレートを上げると精度が上がるが、処理すべきデータストリームも増大する。
【0018】
評価効率をさらに高めるため、画像データの捕捉と、軌道構造の水平方向の振動とを同期化させる。同期化が得られると直ちに、1振動周期の2つの最大の変位の撮影画像を容易に求めることができる。参照撮影画像として、例えば、周期的に重なり合いを有する振動のゼロ交差を使用する。
【0019】
この方法の別の利点が得られるのは、軌道構造に作用する安定化アセンブリの振動と、カメラを用いて捕捉した、結果的に発生する軌道構造の振動との間の位相差を求める場合である。この位相差は、軌道構造の横方向における慣性質量および減衰に対する尺度として使用される。この量を記録することにより、線路管理者は、軌道の状態について重要な情報を得る。
【0020】
この方法が改善されるのはさらに、カメラの領域において機械フレームの振動を測定し、結果的に発生する軌道構造の変位の評価に算入する場合である。障害となる機械フレームの振動が発生すると直ちに、この振動は画像評価の際に補整される。
【0021】
以下では、添付の図面を参照して、本発明を例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】安定化アセンブリを備えた機械を示す図である。
図2】安定化アセンブリを示す図である。
図3】一方向への最大の変位時の画像を示す図である。
図4】反対方向への最大の変位時の画像示す図である。
図5】パターン認識による評価を示す図である。
図6】振動経過を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施形態の説明
図1に示した機械1は、レール走行機構3上に支えられて軌道構造5のレール4上を走行可能な機械フレーム2を備える。軌道構造5は、レール4およびまくらぎ6から成り、道床7に支持されている。機械フレーム2には安定化アセンブリ8が可動に接続されている。この安定化アセンブリ8には、軌道構造5を把持するフランジ付きローラ10および複数の車輪9が含まれている。これらの車輪9およびフランジ付きローラ10を用いて、安定化アセンブリ8によって形成される振動が軌道構造5に伝達される。
【0024】
従来技術によれば、安定化アセンブリ8の運動は、導入される振動に対する尺度として使用される。ここでは実際に各レール4のレール頭部の運動の検出が行われる。特に、動的な軌道安定化中に発生するレールの傾きに起因して、レール頭部変位sは、レール4に接続されているまくらぎ6の、ひいては軌道構造5の運動には対応しない。動的なまくらぎ変位sは、まくらぎ6と道床7との間の相対運動と相関し、軌道本体に導入される安定化作業を決定する。
【0025】
結果的に発生する軌道構造5の振動を捕捉するため、本発明では機械フレーム2にカメラ11を配置する。このカメラは、例えば対物レンズの背後に組み込まれた画像センサを含んでおり、道床7に支持された軌道構造5の2次元画像を上面視で撮影する。選択的には、別の光学式センサ、例えばラインカメラ内の個々のセンサラインを使用することもできる。
【0026】
カメラ11を機械フレーム2に固定することにより、機械フレーム2に対して可動に懸架された安定化アセンブリ8の振動との分離が保証される。すなわち、機械フレーム2は通例、その大きな慣性質量により、安定化アセンブリ8に対して安定したベースを構成する。
【0027】
機械1が極めて軽量の場合にのみ、機械フレーム2が十分に安定したベースにならない可能性がある。この場合に有効であるのは、カメラ11の領域に加速度センサ12を配置して、場合によっては生じ得る機械フレーム2の振動を捕捉することである。これは、例えば、測定した加速度を2回積分することによって行われる。画像データを評価する際には、機械フレーム2のこれらの振動データが、不所望のカメラの運動を補正するために使用される。
【0028】
可能な限りに小さな画像部分で最大の軌道構造変位を有する領域が捕捉されるようにするため、好適には、カメラ11は、2つのフランジ付きローラ10ないしはローラ付挟持体の間の所定の垂直方向の対称面13内に配置される。
【0029】
安定化アセンブリ8は、図2に詳細に示されている。カメラ11は、機械フレーム2に固定されており、外側のまくらぎ領域を捕捉する。好適には、レール固定部14も撮像して、評価のために提供される画像内容を強化する。中央には振動発生器15が配置されており、この振動発生器15により、一定の振動または調整可能な振動が形成される。後者の場合、好適には、結果的に発生して捕捉される軌道構造5の変位sに振動を適合させることができる。振動は、例えば回転するアンバランスマスを用いて形成される。
【0030】
画像内容に基づき、評価装置16を用いて、瞬時のまくらぎ変位sが連続して求められる。評価装置16は、例えば安定化アセンブリ8の制御部17と共に制御キャビネット内に収容されている。画像データを伝送するため、カメラ11は、データケーブルを用いてまたはデータバスを介して評価装置16に接続されている。後者には一般的に制御部17も接続されている。
【0031】
本発明による測定方法は、振動させられた軌道構造5の画像を連続して撮影することに基づいている。この例では、図3および図4に示したように、レール固定部14を備えたそれぞれのまくらぎ上面の撮影が行われる。図3には、一方向に最大に変位した時点の第1画像17が示されており、図4には、反対方向に最大に変位した時点の第2画像18が示されている。評価可能な画像17、18を撮影するためには、短い露光時間および高いフレームレートが必要である。フレームレートを安定化アセンブリ8の周波数よりも格段に高くすると好適である。
【0032】
フレームレートが安定化アセンブリ8の周波数の4倍に等しい場合、1振動周期当たりに4つの画像が撮影される。この場合に画像捕捉と振動との同期化は、簡易的には、1つおきの画像が軌道横方向に画像内容が重なり合うまで、フレームレートを変更することによって行われる。これらの画像はこの場合に、振動させられる軌道構造5のゼロ交差を表している。
【0033】
軌道構造5の最大の変位aが、2つのゼロ交差の間の時間的な中間点で発生するという許容し得る仮定により、その間で撮影した1振動周期の2つの画像17、18は、まさにこの最大の軌道構造変位aを表す。第1画像17は、一方向への最大の変位を示し、第2画像18は反対方向への最大の変位を示す。
【0034】
選択的には、振動発生器15とカメラ11とを関連付けて駆動制御することによって同期化を行うことができる。これは、いずれにせよ安定化アセンブリ8が、捕捉した軌道構造5の変位に依存して駆動制御される場合には有効である。例えば、振動を発生するアンバランスマスの位相位置および回転数をフレームレートに適合させる。
【0035】
フレームレートが十分に高い場合には同期化は不要である。この場合にはまず評価ユニットを用い、撮影した各画像において、一致する画像内容の位置を決定する。この位置から1振動周期に対する画像サイクルを導出することができ、ここでは一致する画像内容が互いに最大の位置差を有する2つの画像を選択する。第1画像17は、軌道構造5の一方向への最大の変位を示し、第2画像18は、反対方向への最大の変位を示す。
【0036】
軌道構造5の最大の変位aに対する尺度としてのこの振動振幅は、第1画像17と第2画像18とを重ね合わせることによって求められる。2つの画像17、18の画像エッジ19を重ね合わせて、一致する画像内容間の間隔を求めるか、または一致する画像内容を重ね合わせて、結果的に発生する振動振幅に対する尺度として、2つの画像エッジ19の互いの位置差を評価する。
【0037】
図5には、図3および図4の2つの画像17、18の重ね合わせが示されている。ここでは一致する画像内容が、パターン認識を用いて重ね合わされている。このようなマッチングに対しては、リアルタイムに十分に正確な結果が得られる複数のアルゴリズムが公知である。画像エッジ19同士の位置差により、結果的に発生する振動のピークツーピーク値20が示される。これによればこの振幅は、軌道構造5の一方向への最大の変位aの半分である。
【0038】
図6には、上側の線図に、安定化アセンブリの振動経過ないしはレール頭部変位sが、時間tについて示されている。下側の経過には、結果的に発生する軌道構造5の変位ないしは動的なまくらぎ変位sが、時間tについて示されている。ここでは、軌道本体の動特性により、これらの振動経過の振幅a,a間の差が決定される。
【0039】
これらの振動経過の間には位相差Δφがある。この位相差Δφは、レール4の弾性およびレール接続部14の安定性の影響を受ける。別の影響要因は、まくらぎ6と道床7との間の摩擦およびハイドロリックシリンダ21によって加えられて安定化アセンブリ8に作用する垂直方向の押圧力である。これによれば、位相差Δφの記録は、軌道本体、特にレール接続部14の品質を表す。
【0040】
図には、1振動周期当たりに、例えば4つの撮影時点t,t,t,tが示されている。これらの時点t,t,t,tに撮影した画像から、それぞれのまくらぎ変位s,s,s,sが求められる。これはパターン認識を用いて行われ、例えば、レール固定部14の位置変化が捕捉される。本発明による方法の一実施形態では、求めた複数の経過点から、結果的に発生する正弦曲線を計算し、ここでは想定されるこの正弦曲線により、結果的に発生する軌道構造5の最大の変位aが示される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6