(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0002】
この概要は、詳細な説明で更に後述される複数の概念の一部を簡略化した形態で紹介するために提示されるものである。この概要は、特許請求される事項の主要な又は本質的な特徴を特定することを意図したものではないし、特許請求される事項の範囲を限定するために使用されることを意図したものでもない。
【0003】
一態様において、レーザ検出及び測距(LADAR)システムを動作させる方法が提供される。LADARシステムは、一連のコヒーレントパルスを含むレーザ信号を送信し、ターゲットから反射された、送信されたレーザ信号に基づくリターン信号を受信する。LADARシステムは、リターン信号の1つ以上のレンジ
ビン(本願において、“レンジ瓶
”とも称する)を形成する。各レンジ
ビンは、送信されたレーザ信号に基づいて形成された一連のコヒーレントパルスを含む。各レンジ
ビンについて、LADARシステムは、一連のコヒーレントパルスに関するフェイゾグラムを生成する。該フェイゾグラムは、リターン信号と基準信号との間の相対位相を決定することによって生成される。LADARシステムは、生成されたフェイゾグラムに基づいてリターン信号の振動スペクトルを生成する。
【0004】
当該方法は更に、以下の特徴のうちの1つ以上を含むことができる:スペックル、フェーディング、及びLADARシステムの動き、のうちの少なくとも1つを補償すること、リターン信号が閾値よりも小さい場合に、リターン信号の、1つ以上の最近の値に基づいて、リターン信号の値を補間すること、LADARシステムのローカル発振器信号に基づいて基準信号を生成し、各レンジ
ビンについて、一連の相互相関位相信号を生成し、各相互相関位相信号は、リターン信号と基準信号との間の相対位相のピークを有し、各相互相関位相信号のピークを追跡し、且つ追跡されたピークに基づいて、時間の関数としてフェイゾグラムの列を生成すること、決定された相対位相に基づいてリターン信号の周波数履歴を決定すること、生成されたフェイゾグラムに基づいてリターン信号の振動スペクトルを生成することは、追跡されたピークに基づいて、アンラップ位相信号を決定し、アンラップ位相信号の導関数を決定することによってリターン信号の周波数履歴を決定し、且つ決定された周波数履歴に対してフーリエ変換を実行する、ことを有すること、フーリエ変換は高速フーリエ変換(FFT)であること、フェイゾグラムはレンジ分解されること、アンラップ位相信号を決定することは、追跡されたピークの1つ以上の位相ジャンプを除去すること、各レンジ
ビンについて、一連のコヒーレントパルスに関するスペクトログラムを生成し、該スペクトログラムは、リターン信号の1つ以上の瞬時速度測定値に基づくこと、及び/又は、生成されたスペクトログラムに基づいて粗振動スペクトルを生成し、且つ生成されたフェイゾグラムに基づいて微振動スペクトルを生成すること。
【0005】
他の一態様において、実行可能な命令を格納した非一時的な機械読み取り可能媒体を有する物品が提供され、該命令は、レーザ検出及び測距(LADAR)システムに、一連のコヒーレントパルスを含むレーザ信号を送信させ、且つ、ターゲットから反射された、送信されたレーザ信号に基づくリターン信号を受信させる。LADARシステムは、リターン信号の1つ以上のレンジ
ビンを形成する。各レンジ
ビンは、送信されたレーザ信号に基づいて形成された一連のコヒーレントパルスを含む。各レンジ
ビンについて、LADARシステムは、一連のコヒーレントパルスに関するフェイゾグラムを生成する。該フェイゾグラムは、リターン信号と基準信号との間の相対位相を決定することによって生成される。LADARシステムは、生成されたフェイゾグラムに基づいてリターン信号の振動スペクトルを生成する。
【0006】
当該物品は更に、以下の特徴のうちの1つ以上のための命令を含むことができる:スペックル、フェーディング、及びLADARシステムの動き、のうちの少なくとも1つを補償すること、リターン信号が閾値よりも小さい場合に、リターン信号の、1つ以上の最近の値に基づいて、リターン信号の値を補間すること、LADARシステムのローカル発振器信号に基づいて基準信号を生成し、各レンジ
ビンについて、一連の相互相関位相信号を生成し、各相互相関位相信号は、リターン信号と基準信号との間の相対位相のピークを有し、各相互相関位相信号のピークを追跡し、且つ追跡されたピークに基づいて、時間の関数としてフェイゾグラムの列を生成すること、決定された相対位相に基づいてリターン信号の周波数履歴を決定すること、生成されたフェイゾグラムに基づいてリターン信号の振動スペクトルを生成することは、追跡されたピークに基づいて、アンラップ位相信号を決定し、アンラップ位相信号の導関数を決定することによってリターン信号の周波数履歴を決定し、且つ決定された周波数履歴に対してフーリエ変換を実行する、ことを有すること、フーリエ変換は高速フーリエ変換(FFT)であること、フェイゾグラムはレンジ分解されること、アンラップ位相信号を決定することは、追跡されたピークの1つ以上の位相ジャンプを除去すること、各レンジ
ビンについて、一連のコヒーレントパルスに関するスペクトログラムを生成し、該スペクトログラムは、リターン信号の1つ以上の瞬時速度測定値に基づくこと、及び/又は、生成されたスペクトログラムに基づいて粗振動スペクトルを生成し、且つ生成されたフェイゾグラムに基づいて微振動スペクトルを生成すること。
【0007】
他の一態様において、レーザ検出及び測距(LADAR)装置が提供される。LADAR装置は、一連のコヒーレントパルスを含むレーザ信号を送信する送信器と、ターゲットから反射された、送信されたレーザ信号に基づくリターン信号を受信する受信器とを含む。LADAR装置は、リターン信号の1つ以上のレンジ
ビンを形成する回路を含む。各レンジ
ビンは、送信されたレーザ信号に基づいて形成された一連のコヒーレントパルスを含む。LADAR装置は、各レンジ
ビンについて一連のコヒーレントパルスに関するフェイゾグラムを生成する回路を含む。該フェイゾグラムは、リターン信号と基準信号との間の相対位相を決定することによって生成される。LADAR装置は、生成されたフェイゾグラムに基づいてリターン信号の振動スペクトルを生成する回路を含む。
【0008】
当該装置は更に、以下の特徴のうちの1つ以上を含むように構成されることができる:スペックル、フェーディング、及びLADARシステムの動き、のうちの少なくとも1つを補償すること、リターン信号が閾値よりも小さい場合に、リターン信号の、1つ以上の最近の値に基づいて、リターン信号の値を補間すること、LADARシステムのローカル発振器信号に基づいて基準信号を生成し、各レンジ
ビンについて、一連の相互相関位相信号を生成し、各相互相関位相信号は、リターン信号と基準信号との間の相対位相のピークを有し、各相互相関位相信号のピークを追跡し、且つ追跡されたピークに基づいて、時間の関数としてフェイゾグラムの列を生成すること、決定された相対位相に基づいてリターン信号の周波数履歴を決定すること、生成されたフェイゾグラムに基づいてリターン信号の振動スペクトルを生成することは、追跡されたピークに基づいて、アンラップ位相信号を決定し、アンラップ位相信号の導関数を決定することによってリターン信号の周波数履歴を決定し、且つ決定された周波数履歴に対してフーリエ変換を実行する、ことを有すること、フーリエ変換は高速フーリエ変換(FFT)であること、フェイゾグラムはレンジ分解されること、アンラップ位相信号を決定することは、追跡されたピークの1つ以上の位相ジャンプを除去すること、各レンジ
ビンについて、一連のコヒーレントパルスに関するスペクトログラムを生成し、該スペクトログラムは、リターン信号の1つ以上の瞬時速度測定値に基づくこと、及び/又は、生成されたスペクトログラムに基づいて粗振動スペクトルを生成し、且つ生成されたフェイゾグラムに基づいて微振動スペクトルを生成すること。
【発明を実施するための形態】
【0011】
レーザレンジ分解振動イメージング(“振動測定”)を実行する方法及び装置がここに記載される。レーザレンジ分解振動イメージングは、ターゲットの振動の周波数スペクトル表現である振動スペクトルを提供する能力である。一例において、レーザ検出及び測距(LADAR又はLIDAR)センサとターゲットとの間の見通し線(ラインオブサイト)内にこれまたあり得るターゲットの周囲からのクラッタ(ノイズ)を無視しながら、ターゲットの表面の振動トーンの固有周波数分解であるターゲットの振動特徴(シグネチャ)を識別するために、レーザレンジ分解振動イメージングが使用され得る。通常は近距離で観察される必要があるターゲット情報を遠隔で取得するために、コヒーレントLADARがますます使用されている。特に、遠隔振動センシングは、埋設された地雷を検出するため、災害地帯の医療トリアージのため、又は例えばアイドリング中の車両などのターゲットの小さい動きを検出するために使用され得る。
【0012】
例えば、
図1は、LADAR振動測定の例示的な用途を示している。
図1に示すように、LADARトランシーバ104が、航空機102として示されているLADAR照準システム上に搭載され得る。航空機102として示されているが、LADAR照準システムは、例えば車両、船舶、航空機などの移動システム上で使用されてもよいし、静止したシステム、又はその他の可搬式システムに実装されてもよい。移動システムでは、LADARトランシーバ104は速度V
Pで進んでいるとし得る。
【0013】
一例において、LADARトランシーバ104は、ターゲット110の表面の小さい動きから生じるターゲット110の振動シグネチャを測定し得る。そのような動きは、比較的小さくてもよく、また、以下に限られないがLADARトランシーバ104に向かう動き及びそれから遠ざかる動きを含め、如何なる方向にあってもよい。
【0014】
他の一例において、LADARトランシーバ104は、レーザレンジ分解振動イメージングを実行して、延びたボディの様々な部分(例えば、航空機の機体の機首部、胴体部、及び尾部)が異なる振動特性を有し得る場合に、延びたボディにわたって存在し得る様々な振動を分離し得る。
【0015】
LADARトランシーバ104は、ターゲット110を照射するビーム106を放射する。ターゲット110は、概して、アイドリング中の車両、又はその振動を検出することに基づいてその存在が検出され得るその他の装置若しくは物体とし得る。ターゲット110は、1つ以上の妨害物によって部分的に覆われていることがある。妨害物は、
図1に示す例示的な用途では樹冠108として概略的に示されているが、例えばカモフラージュ装置などのその他のアイテムを含み得る。また、ターゲット110は、例えば建造物や他の車両又は表面(地面112として概略的に示されている)などの、ビーム106を反射し得る物体の上又は近くに位置していることがある。ビーム106の少なくとも一部が、ターゲット110に突き当たり、それによってリターン信号114として反射される。リターン信号114の少なくとも一部が、LADARトランシーバ104によって受信される。
【0016】
典型的に、戻り信号114は、送信された信号106と同じ全体波形を有するが、(例えば、ドップラー効果のために)時間及び周波数においてシフトされる。さらに、リターン信号114は、(例えば、スペックル、レイリーフェージング及び/又はマルチパスによる)建設的及び/又は相殺的干渉ベクトルを含むことがある。記載される実施形態では、ビーム106は、一連のコヒーレント短レーザパルス(コヒーレント短レーザパルスのトレイン)とし得る。しかしながら、ビーム106は、それに代えて、振動イメージングのために使用されることが可能な、線形(又は非線形)周波数変調(FM)チャープ波形、ランダム周波数シフトキーイング波形、ランダム位相シフトキーイング波形などの連続波(CW)トレインであってもよい。
【0017】
ターゲットの振動スペクトルを測定するために、従来技術のシステムは、リターン信号の一連の瞬時速度又はドップラー測定を行った。故に、従来技術のシステムは、周波数データ(例えば、スペクトログラム)の高速時間(fast time;FT)変換を行うことによって、時間の関数として周波数を直接的に測定する振動スペクトルを生成した。
【0018】
スペクトログラムを使用することは、中心周波数を正確に知る必要がない点で有益であり、この点は、ドップラーシフトが測定されないターゲットを扱うときに重要である。しかしながら、小さいターゲット振動を正確に検出するためには、スペクトログラムは、かなり高い光キャリア対ノイズ比(carrier-to-noise ratio;CNR)を必要とする。
【0019】
従来技術のシステムとは対照的に、ここに記載されることになるように、例示的な実施形態は、リターン信号と基準信号との間で一連の瞬時位相シフト測定を実行して、ターゲットの振動スペクトル(例えば、“フェイゾグラム(phasogram)”)を時間の関数として決定する。また、記載される実施形態は、オプションで、フェイゾグラムデータの導関数を導出することによって、フェイゾグラムからスペクトログラムを生成し得る。
【0020】
図2を参照するに、LADARトランシーバ104の例示的な実施形態のブロック図が、LADARトランシーバ104’として示されている。
図2に示すように、LADARトランシーバ104’は、レーザ発振器206に結合された入力とレーザパルス送信器204に結合された出力とを有する波形発生器202を含んでいる。レーザパルス送信器204は電力増幅器226を含んでいる。レーザ発振器206は、200THzの帯域内の信号(例えば、光信号)である光信号265を波形発生器202に提供する。波形発生器202は、(例えば、LADAR送信信号257(T)として)送信されるべきLADAR信号の所望波形を生成し、光信号265に該所望波形を混合して、又は光信号265を該所望波形で変調して、レーザ信号251を生成する。レーザパルス送信器204は、レーザ信号251を受け取って、レーザ信号251に対して信号処理を実行して(例えば、電力増幅器226によってレーザ信号251を増幅するとともに、対応するレーザパルスを生成して)、レーザパルス信号253を生成する。
【0021】
レーザパルス信号253は、ミラー210(例えば、ミラー210内の開口(図示せず))を介して、パルスレーザビーム255の焦点、サイズ及び方向を制御し得るものである指向・ビーム制御回路212に提供される。パルスレーザビーム255(T)は、光学ズーム214及び/又は望遠鏡、又はLADAR送信信号257(T)を処理するその他の光学デバイスを含み得るものである光学系214に提供される。LADAR送信信号257(T)は、LADARトランシーバ104’から(例えば、
図1に示したビーム106として)ターゲット(例えば、
図1に示したターゲット110)に送信される。
【0022】
図2に示すように、一部の実施形態において、指向・ビーム制御回路212及び光学系214は、送信信号(例えば、257(T))及び受信信号(例えば、リターン信号257(R))の双方に共用され得る。一部の実施形態において、LADAR送信信号257(T)は、繰り返しレーザパルスのコヒーレントトレインである。上述のように、LADAR送信信号257(T)は、(例えば、ターゲット110及び/又は地面112及び樹冠108によって)反射され、LADARリターン信号257(R)としてLADARトランシーバ104’の光学系214によって受け取られる。故に、LADARリターン信号257(R)は、繰り返しレーザパルスのコヒーレントトレインである。
【0023】
光学系214は、戻りレーザビーム255(R)を、戻りレーザビーム255(R)の焦点を制御し得るものである指向・ビーム制御回路212に提供する。指向・ビーム制御回路212は、戻りレーザ信号259(これは、ミラー210及び216として概略的に示されている1つ以上の光学構造によって向け直され得る)を、コヒーレント受信器218に向け、又はその他の方法で提供する。
【0024】
レーザ発振器206はまた、光基準信号267をローカル発振器208に提供する。光基準信号267に基づいて、ローカル発振器208は、コヒーレント受信器218に提供されるものである基準信号269を生成する。コヒーレント受信器218は、戻りレーザ信号259の少なくとも一部を基準信号269と混合し、例えば、光周波数(例えば、200THz)から、例えばRF周波数(例えば、100MHzの帯域内)といった、より低い周波数にダウンコンバートする。コヒーレント受信器218はまた、戻りレーザ信号259又はダウンコンバートされた信号をフィルタリングするための1つ以上のフィルタ(図示せず)を含んでいてもよい。一部の実施形態において、コヒーレント受信器218は、ガイガーモードアバランシェフォトダイオード(GMAPD)受信器として実装され得る。
【0025】
より低い周波数の出力信号261は、LADARプロセッサ222に提供される。一部の実施形態において、より低い周波数の出力信号261は、基準信号269及び戻りレーザ信号259の相対位相を表し得る。故に、LADARプロセッサ222は、基準信号269と戻りレーザ信号259との間の位相差を処理し得る。一部の実施形態において、LADARプロセッサ222はまた、戻りレーザ信号259の例えば周波数や振幅などの1つ以上のその他の信号属性も処理し得る。一部の実施形態において、より低い周波数の出力信号261は、LADARプロセッサ222によってデジタル化されることができ、より低い周波数の出力信号261に対応するデータが、メモリ220に格納され得る。より低い周波数の出力信号261の格納データは、ターゲット110からのLADARリターン信号257(R)を表すデジタルデータである。
【0026】
一部の実施形態において、LADARプロセッサ222は、LADARリターン信号257(R)を表すデジタルデータを1つ以上のレンジ
ビンにグループ分けする。画像プロセッサ224が、各レンジ
ビンを処理して、(例えば、
図6Dに示すような)各レンジ
ビンについてのレンジ分解された振動フェイゾグラム画像を生成する。また、一部の実施形態において、LADARプロセッサ222は、フェイゾグラム画像及び位相データからスペクトログラム画像及び周波数データを導出し得る。LADARプロセッサ222は、フェイゾグラム画像、及びフェイゾグラム画像に関連付けられた位相データを、LADAR出力信号263として、更なる処理(例えば、ターゲット110を識別するなど)のために提供する。スペクトログラム画像及び周波数データも導出する実施形態では、LADAR出力信号は、スペクトログラム画像及び周波数データも含み得る。
【0027】
図3Aを参照するに、LADAR送信信号257(T)’は、一連のパルス302(1)、302(2)、…、302(N)を含んでいる。ターゲット110によって反射された後、LADARリターン信号257(R)’も、LADAR送信信号257(T)’と実質的に同じパルス間隔を持つ一連のパルスである。図示のように、LADARリターン信号257(R)’は、1つ以上の戻りパルストレイン304(1)−304(N)を含み得る。戻り各パルストレイン304は、レンジ
ビン306(1)−306(3)として示している1つ以上のレンジ
ビンにグループ分けされることができるものである1つ以上の戻りパルス308を含む。
【0028】
レンジ
ビンは、元パルスが送信された後の或る一定の時間内に到着する戻りパルスを表す。例えば、第1のレンジ
ビン306(1)において、戻りパルス308(1)(1)は、パルス302(1)が送信された後に第1の一定時間内に受信されたものであり、戻りパルス308(2)(1)は、パルス302(2)が送信された後に第1の一定時間内に受信されたものであり、等々である。同様に、第2のレンジ
ビン306(2)において、戻りパルス308(1)(2)は、パルス302(1)が送信された後に第2の一定時間内に受信されたものであり、戻りパルス308(2)(2)は、パルス302(2)が送信された後に第2の一定時間内に受信されたものであり、等々である。故に、レンジ
ビンは、所与のパルス時間隔たりTに関して分解されることが可能な、ターゲットまでのレンジ(例えば、LADARトランシーバ104とターゲット110との間のレンジ)を表す。各レンジ
ビン306に含まれる戻りパルストレイン304の数Nは、LADARトランシーバ104のコヒーレント処理期間(coherent processing interval;CPI)に基づいて決まる。パルス間隔周期でLADARリターン信号257(R)’をサンプリングすることにより、所与のレンジ
ビン306の信号が取得される。
【0029】
CPIは、パルス時間隔たりTに基づいた、LADARトランシーバ104の“低速時間”である一方で、分解されることができるレンジ
ビンの数は、LADARトランシーバ104に関する“高速時間”である。分解されることができるレンジ
ビンの数は、一義的な最大レンジを決めるものであるパルス時間隔たりよりも速いサンプリング時間に基づく。パルス間隔を超えた戻りパルスは、第1の送信パルス302(1)又は第2の送信パルス302(2)の何れにも対応するとして誤って解釈され得る。例えば、パルス間隔が10マイクロ秒であり、分解ビンが1ナノ秒幅である場合、曖昧さなく10,000個のレンジ
ビンを得ることができる。
【0030】
記載される実施形態において、一連のパルス(例えば、304)は、戻り信号(例えば、戻りレーザ信号259)とローカル発振器(例えば、基準信号269)との間のビート周波数をサンプリングする。
図3Aに示すように、LADAR送信信号257(T)’は、ターゲット110に送られるコヒーレント波形(例えば、一連のコヒーレントパルス302)であり、反射又は戻りレーザ信号259はコヒーレント受信器218に戻される。コヒーレント受信器218は、ターゲットリターン信号(例えば、信号259)を基準信号(例えば、ローカル発振器信号269)に混合(ミキシング)する。2つの信号を混合することは、これら2つの信号間の周波数差の“ビート”トーン(うなり)を生成する。ダウンミキシングされた信号の周波数及び位相は、(例えば、信号259の)光周波数及び位相の直接的な翻訳である。決定されたビート周波数は、戻り信号の相対位相を決定するために、期待される信号周波数に対して周波数において近いものであるデジタル作成された基準信号と比較される。
【0031】
図3Bは、ヘテロダイン処理されたリターン信号(例えば、カーブ324)及び内部作成された基準信号(例えば、カーブ322)のパルスを示しており、どちらも50kHzで脈動している。リターン信号と基準信号との相対位相を抽出することには、数多くの取り得る手法が存在する。一部の実施形態は、信号がノイズで損ねられたときにジャンプを有しないようにするため、相互相関技術を使用する。
図3Cは、基準信号及びターゲット信号に基づいてLADARプロセッサ222によって生成された相互相関信号を示している。
【0032】
戻り信号がレンジ
ビンに分けられると、単一のレンジ
ビンが各々選択される。一部の実施形態において、短い時間量(例えば、単一の送信パルス302のサンプリング時間)で収集されたデータを使用するので高速変換として参照される第1のフーリエ変換を実行するために、コヒーレント積分時間T
citにわたって信号が積分される。コヒーレント積分時間T
citに対応する期間にわたってサンプルが収集され、そのデータに対して第2のフーリエ変換が実行される。この第2の変換は、より長い期間で(例えば、複数の送信パルス302にわたって)収集されたデータを使用するので、低速変換(例えば、低速フーリエ変換)として参照される。典型的に、(例えば、LADARトランシーバ104の速度V
Pのために)低速変換のデータに対して何らかの動き補償が行われる。低速フーリエ変換は、スペクトログラムを作成するために使用される周波数スライスのうちの1つになる。このプロセスは、
図4A及び4Bによって例示される。
【0033】
図3Bの検査は、リターン信号259をローカル発振器基準信号269と混合することが、例えば50kHzといった期待される中間周波数(IF)でビートトーンを生成することを明らかにする。記載される実施形態において、信号サンプル期間T
cは、最大振動周波数周期の1/2である1/(2f
vmax)に一致する。ビートトーンは、レンジ分解波形を使用するときはレンジ
ビンごとに生成され、レンジ分解されないときは全体波形に対して生成される。
【0034】
一部の実施形態において、ドップラー速度のコヒーレントサンプルを使用して、各スペクトログラム列(カラム)を生成するために使用される瞬時速度拡散の測定値が生成される。スペクトログラムは、時間の関数としての、信号の周波数成分の図的表現である。信号は、信号が静止していると仮定される短い時間インターバルであるコヒーレント処理期間(CPI)に分割される。
【0035】
図4Aに示すように、所与の各レンジ
ビンについて一連のフーリエ変換402(1)−402(8)(経時的にシフトする周波数ピークを示す)が生成される。所与のレンジ
ビンについてのこの一連のフーリエ変換に基づいて、
図4Bに示されるように、結果として得られるスペクトログラム404の単一の列が生成される。スペクトログラムの各垂直スライスから、ピークの推定が行われ、それから、ドップラー周波数を時間の関数として表すものであるカーブ406が導き出され得る。故に、スペクトログラム内の個々のフーリエ変換の積分時間によって、ドップラーナイキスト周波数が設定される。
【0036】
図4Cに示すように、ドップラー推定の時系列のパワースペクトル密度(PSD)(これはフーリエ変換の大きさである)を取ることによって、ターゲット振動スペクトルが生成され得る。このようなアプローチは、振動の周波数に対応する1つ以上のピーク424を持つスペクトル422を生み出す。このプロセスは各レンジ
ビンについて行われるので、得られるスペクトログラム及び振動スペクトルはレンジ分解されている。
【0037】
故に、スペクトログラムは、瞬時ターゲット速度(例えば、ドップラーシフト)を時間の関数として追跡する。瞬時ターゲット速度のフーリエ変換を取ることは、ターゲットの振動スペクトルを生成する。振動測定の感度は、振動のノイズ等価速度(Noise Equivalent Velocity of Vibration;NEVV)として参照される測定のノイズフロアによって決定される。様々な効果がNEVVに寄与し、そのうちの1つはスペクトログラム測定のキャリア対ノイズ比(CNR)である。例えば、NEVVはCNRの平方根に比例し、NEVV∝√CNRによって与えられる。記載される実施形態では、NEVVに対する信号CNRの寄与を無視できるように保つために、CNRは有利には約10dB又はそれよりも良好(例えば、より高いCNR値)に制限される。
【0038】
図5Aは、表1のパラメータを用いてシミュレーションしたリターン信号についてのスペクトログラムの一例を示している。
【表1】
瞬時周波数推定は、白色(例えば、ピーク502)で示されるスペクトログラムの各スライスのピークを選択することによって得られる。信号が減衰(フェード)するとき(例えば、スペックルのために)、ピークは中心から外れたノイズピークであり、故に、信号減衰が検出されるとき、緑色のトレース504として示されるように結果が補間される。緑色トレースのフーリエ変換の大きさを取ることで、
図5Bに示されるような信号の振動スペクトルが得られる。
図5Bに示すように、100Hz、500Hz、及び9kHzにあるシミュレーションされた振動周波数は、ピーク552(1)、552(2)及び552(3)に対応する。振動スペクトルのフロア(底)は、達成される感度(例えば、LADARセンサの感度)を表し、それが、NEVV554として示されるノイズ等価振動速度すなわちNEVVとして参照される。
【0039】
スペクトログラムによって達成される感度を改善するために、記載される実施形態は、フェイゾグラムを使用してリターン信号位相を経時的に追跡する。ドップラーシフトを時間の関数として追跡するとともに、ターゲットの振動スペクトルを生成するフーリエ変換を有するスペクトログラムとは対照的に、フェイゾグラムは、リターン信号の位相変化を時間の関数として追跡して、遥かに高感度の振動スペクトルの測定をもたらす。
図3A−3Cに関して説明したように、一連のコヒーレントパルスが送信され、ターゲットによってリターン信号として受信器に反射される。
図3Bに示したように、リターン信号259をローカル発振器基準信号269と混合することにより、例えば50kHzといった期待される中間周波数(IF)でビートトーンが生成される。
【0040】
戻って
図3Cを参照するに、一部の実施形態は、各リターンパルストレインの相互相関によって、リターン信号と基準信号との相対位相を決定する。
図3Cに示すように、相互相関を取られた信号332は各々、ピーク振幅334を持つ。一部の実施形態において、各サンプル(50μsのコヒーレンス積分時間T
cit)について、所与のレンジ
ビンにおける各相互相関のピークを見つけることによって、リターン信号の位相が追跡される。一部の例において、1つ以上のその他の、第2のピーク338は、オフセット336として示されるように、ピーク334から2πの位相オフセットを有し得る。
【0041】
例えば、
図6Aに示すように、所与の各レンジ
ビンについて、一連の相互相関602(1)−602(8)(経時的にシフトする相対位相ピークを示す)が生成される。所与のレンジ
ビンについてのこの一連の相互相関602(1)−602(8)に基づいて、結果として得られるフェイゾグラムの単一の列が生成され、
図6Bに示されるように、時間の関数としてプロットされる。フェイゾグラムの各垂直スライスから、ピークの推定が行われ、604として示されるように、時間の関数として導き出された位相信号が生成される。
【0042】
図6Cに示すように、アンラップ位相信号の導関数を取って周波数履歴を決定し、次いで、該導関数のフーリエ変換(例えば、FFT)の大きさを決定することにより振動スペクトルを決定することによって、ターゲット振動スペクトルが生成される。振動スペクトルは、振動の周波数を示す1つ以上のピーク612(この例では、表1からの100Hz、500Hz、及び9kHzにある試験振動周波数に対応する3つのピーク612a、612b及び612c)を持つカーブ614として示されている。このプロセスは各レンジ
ビンについて行われるので、得られるフェイゾグラム及び振動スペクトルはレンジ分解されている。
【0043】
図6Bに示すように、位相プロットのピークは、位相がドリフトするにつれて2πだけジャンプし得る(位相ジャンプ606として示されている)。位相ジャンプを抑制する、又は理想的に排除するために、記載される実施形態は、決定された相互相関位相ピークを“アンラップ”する(巻き付きを解く)。“ラップ”(巻き付いた)位相信号は、2πのインターバル(例えば、−πからπ、又は0から2πなど)を超えて変化するが、各2πインターバルの終わりで信号不連続(例えば、ジャンプ)を有し得る。位相アンラッピングとは、立て続けの位相値間に(例えば、各2πインターバルの終わりに)大きいジャンプが存在するときにラップ位相信号に2πの倍数を加算(又は減算)する信号処理技術である。“アンラップ”位相信号は、故に、例えば
図6Dにアンラップ位相信号642として示すように、2πインターバルでの不連続(例えば、ジャンプ)のない連続した信号である。
【0044】
また、記載される実施形態は、リターン信号の信号強度を追跡する。リターン信号強度が、(例えば、フェーディングのスペックルのために)ノイズ閾値を下回るとき、信号値が、1つ以上の周辺値(例えば、1つ以上の以前のサンプル)に基づいて(例えば、LADARプロセッサ222によって)補間され得る。
【0045】
位相信号の導関数を取り、次いで、該導関数のフーリエ変換の大きさを見ることによって、
図6Cに示すように、ターゲットの振動スペクトルが決定される。
図6Dに示すように、プロット644はラップ位相信号を示し、カーブ642は、如何なる2π位相ジャンプもないアンラップ位相信号である。ピーク信号646として白色で示されるフェイゾグラムの各スライスのピークを選択することによって、瞬時位相推定が得られる。次に、曖昧な2πジャンプを除去するために位相をアンラップするとともに、例えばスペックルに起因して信号が減衰するときに補間を行うことによって、アンラップ位相信号642がもたらされる。アンラップ位相信号642のフーリエ変換の大きさを取ることで、
図6Cに示されるターゲットの振動スペクトルが与えられる。
【0046】
スペクトログラムに関してと同様に、振動測定の感度は、振動のノイズ等価速度すなわちNEVVとして参照される測定のノイズフロアによって決定される。
図7A及び7Bは、表1の試験条件(例えば、100Hz、500Hz、及び9kHzにおける試験振動トーン)について、スペクトログラム700を介して得られた振動スペクトル(
図7A)と、フェイゾグラム702を介して得られた振動スペクトル(
図7B)とを比較している。
図7A及び7Bは、10なるCNR(例えば、低いリターン信号強度)で達成される振動スペクトルを例示している。示されているように、フェイゾグラムは、スペクトログラムよりも高い感度を達成する(例えば、
図7BのNEVV724の方が、
図7Aの平均NEVV714よりも遥かに低い)。10なるCNRの場合、振動シグネチャは、スペクトログラム処理では、
図7Aに示されるようにノイズフロア(例えば、712又は722)の中に完全に消失するが、フェイゾグラム処理では、
図7Bに示されるように容易に決定される(例えば、ピーク726a、726b及び726cはノイズフロアよりも十分上にある)。
【0047】
図8は、スペクトログラム処理の平均NEVV(カーブ802)及びフェイゾグラム処理の平均NEVV(カーブ804)の信号CNRに対するプロット800を示している。
図8は、表1に与えられているような例示的な100Hzのスペックル周波数に対して導出されている。
図8に示すように、低いCNRレベル(例えば、10以下)でフェイゾグラムを使用するLADARシステムの達成感度は、スペクトログラムを使用するLADARシステムの達成感度よりも100倍近く良好となり得る。
【0048】
例えば、
図9A及び9Bは、3なるCNR(
図9A)及び1なるCNR(
図9B)の場合に、表1の試験条件(例えば、100Hz、500Hz及び9kHzおける試験振動トーン)でフェイゾグラムを介して得られた振動スペクトルを示している。
図9Aに示されるように、3dBのCNRでは、9kHz信号はもはや検出されないが、フェイゾグラムは依然としてピーク726a及び726bを検出することができる。
図9Bに示されるように、1なるCNRでは、ピーク726a及び726bはNEVVノイズフロアのほんの僅か上にある。
【0049】
スペクトログラム及びフェイゾグラムの双方の計算を同じリターン信号に対して実行することができるので、一部の実施形態において、粗い速度時間履歴を生成するためにスペクトログラムも使用してもよく、そして、位相オフセットを参照するために、その粗い速度時間履歴をフェイゾグラムによって使用することができる。フェイゾグラムのサンプリングレートは、位相の曖昧さが誤ったオフセットを生じさせるのを避けるために、サンプル当たり2πよりも大きく位相がシフトしないように選定される。
【0050】
図10を参照するに、
図4のLADARトランシーバ104によって実行され得るLADARフェイゾグラムプロセス1000のフロー図が示されている。ブロック1002にて、プロセス1000が開始する。ブロック1004にて、LADARトランシーバ104が、LADAR送信信号(例えば、
図2のLADAR送信信号257(T))を生成して送信する。ブロック1006にて、LADARトランシーバ104が、ターゲットによって反射されたリターン信号(例えば、
図2のLADARリターン信号257(R))を受信する。ブロック1008にて、LADARプロセッサ222が、リターン信号を1つ以上のレンジ
ビン(例えば、
図3のレンジ
ビン306)にグループ分けする。ブロック1010にて、一部の実施形態において、オプションで、例えば、LADARトランシーバ104の動きを補正するため、又はその他の信号フィルタリング及び補正のため、リターン信号に対して信号補正が実行される。ブロック1012にて、LADARプロセッサ222が、
図11に関して説明するように、各レンジ
ビンについてフェイゾグラムを生成する。ブロック1014にて、一部の実施形態において、各レンジ
ビンについてスペクトログラムも導出され得る。ブロック1016にて、例えばブロック1012で生成されたフェイゾグラムに基づいて、ターゲット振動スペクトルがLADARプロセッサ222によって生成される。一部の実施形態において、ブロック1016にて、LADARプロセッサ222は、ブロック1014で生成されたスペクトログラムに基づいて粗(コース)振動スペクトルを導出し、次いで、ブロック1012で生成されたフェイゾグラムに基づいて微(ファイン)振動スペクトルを導出し得る。生成された振動スペクトル(又は複数のスペクトル)は、更なる処理のためにLADAR出力263として提供され得る。ブロック1018にて、プロセス1000が完了する。
【0051】
図11は、サブプロセス1012’として示されたブロック1012のフェイゾグラム生成プロセスの更なる詳細を示しており、これが各レンジ
ビンに対して繰り返される。ブロック1102にて、サブプロセス1012’が開始する。ブロック1104にて、相互相関位相信号が生成されて、ターゲットで反射されたリターン信号と基準信号(例えば、ローカル発振器信号269)との間の相対位相が決定される。一部の実施形態において、相互相関位相信号はデジタル化される(例えば、サンプリングされる)。ブロック1106にて、例えば
図6Aに示したように、一連の相互相関が、所与の各レンジ
ビンについて生成される。所与のレンジ
ビンについてのこの一連の相互相関に基づいて、結果として得られるフェイゾグラムの単一の列が生成され、
図6Bに示すように、時間の関数としてプロットされる。フェイゾグラムの各垂直スライスから、ピークの推定が行われ、時間の関数として導き出された位相信号が生成される(例えば、
図6Bの604)。所定の観測時間ほどの長さにわたってスペクトログラムに垂直な線が付加される。
【0052】
ブロック1108にて、位相がアンラップされて(例えば、各2πインターバルの終わりでの位相ジャンプが除去されて)、例えば
図6Dに示したものなどのアンラップ位相信号が生成される。一部の実施形態において、ブロック1110及び1112がオプションで実行され得る。ブロック1110でリターン信号が閾値未満である場合に、ブロック1112にて、例えばスペックル及びフェーディングの影響を低減するために、信号レベルが、1つ以上の周囲の信号サンプル値に基づいて補間され得る。もし、ブロック1110でリターン信号が閾値以上であった場合には、サブプロセス1012’はブロック1114に進む。ブロック1110及び1112が実行されない実施形態では、サブプロセス1012’は、ブロック1108からブロック1114に進む。
【0053】
ブロック1114にて、リターン信号の周波数履歴が決定される。記載される実施形態において、周波数履歴は、ブロック1108で生成されたアンラップ位相信号の導関数を導出することによって決定される。ブロック1116にて、ブロック1114で導出された導関数のフーリエ変換(例えば、高速フーリエ変換すなわちFFT)を実行することによって、例えば
図6Cに示した振動スペクトルなどの振動スペクトルが決定される。ブロック1118にて、サブプロセス1012’が完了する。
【0054】
図12を参照するに、一部の実施形態において、LADARプロセッサ222は、1つ以上のコンピュータとして実装され得る。コンピュータ1200は、プロセッサ1202、揮発性メモリ1204(例えば、RAM)、不揮発性メモリ1206(例えば、ハードディスクドライブ、フラッシュドライブなどのソリッドステートドライブ、ハイブリッド型磁気及びソリッドステートドライブなど)、グラフィカルユーザインタフェース(GUI)1208(例えば、ディスプレイ又はタッチスクリーンなど)、及び入力/出力(I/O)装置1220(例えば、マウス、キーボード、タッチスクリーンなど)を含み得る。不揮発性メモリ1206は、コンピュータ命令1212、オペレーティングシステム1216、及びデータ1218を格納し、それにより、例えば、プロセス1000及び1012’(例えば、
図10及び11)の少なくとも一部を実行するよう、コンピュータ命令1212が揮発性メモリ1204からプロセッサ1202によって実行される。プログラムコードは、GUI1208の入力装置を使用して入力されたデータ又はI/O装置1220から受信されたデータに適用されてもよい。
【0055】
プロセス1000及び1012’(例えば、
図10及び11)は、
図12のハードウェア及びソフトウェアとの使用に限定されるものではなく、任意のコンピューティング環境又はプロセッシング環境での並びにコンピュータプログラムを走らせることができる任意のタイプのマシン又はマシンセットでの適用性を見出し得る。プロセス1000及び1012’(例えば、
図10及び11)は、ハードウェア、ソフトウェア、又はこれら2つの組み合わせにて実装され得る。
【0056】
ここに記載されるプロセスは、記載される特定の実施形態に限定されるものではない。例えば、プロセス1000及び1012’は、
図10及び11に示された特定の処理順序に限定されるものではない。むしろ、プロセス1000及び1012’のブロックのうち何れも、ここに記載された結果を達成するよう、必要に応じて並べ替えられ、結合若しくは除去され、並列若しくは直列に実行され得る。
【0057】
プロセッサ1202は、システムの機能を実行するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能プロセッサによって実装され得る。ここで使用されるとき、用語“プロセッサ”は、関数、演算、又は一連の演算を実行する電子回路を記述するために使用される。関数、演算、又は一連の演算は、電子回路にハードコードされることができ、又はメモリデバイスに保持された命令によってソフトコードされることができる。“プロセッサ”は、デジタル値又はアナログ信号を使用して、関数、演算、又は一連の演算を実行することができる。一部の実施形態において、“プロセッサ”は、特定用途向け集積回路(ASIC)にて具体化されることができる。一部の実施形態において、“プロセッサ”は、付随するプログラムメモリを備えたマイクロプロセッサにて具現化されることができる。一部の実施形態において、“プロセッサ”は、ディスクリート電子回路にて具現化されることができる。“プロセッサ”は、アナログ、デジタル、又はミックストシグナルとすることができる。
【0058】
回路のプロセスに関して例示的な実施形態を記載してきたが、記載された実施形態は、単一の集積回路、マルチチップモジュール、単一のカード、又はマルチカード回路パックとして実装されてもよい。また、当業者に明らかなように、回路要素の様々な機能はまた、ソフトウェアプログラム内の処理ブロックとして実装されてもよい。そのようなソフトウェアは、例えば、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、又は汎用コンピュータにて使用され得る。故に、記載された実施形態は、ハードウェア、ハードウェアとソフトウェアの組み合わせ、ソフトウェア、又は1つ以上のプロセッサによる実行中のソフトウェアにて実施されてもよい。
【0059】
一部の実施形態は、方法及びそれらの方法を実施する装置の形態で実装され得る。記載された実施形態はまた、例えば、記憶媒体に格納される、マシンにロードされ且つ/或いはそれによって実行される、あるいは、電気配線若しくはケーブル上で、光ファイバを通して、又は電磁放射線を介してなど何らかの伝送媒体又はキャリア上で伝送される、プログラムコードの形態で実装されてもよい。非一時的な機械読み取り可能媒体は、以下に限られないが、例えば、ハードドライブ、フロッピーディスク(登録商標)及び磁気テープ媒体を含む磁気記録媒体、コンパクトディスク(CD)及びデジタル多用途ディスク(DVD)を含む光記録媒体、フラッシュメモリなどのソリッドステートメモリ、ハイブリッド磁気及びソリッドステートメモリ、不揮発性メモリ、揮発性メモリなどの、有形媒体を含み得るが、一時的な信号それ自体は含まない。非一時的な機械読み取り可能媒体にて具現化され、プログラムコードが例えばコンピュータなどのマシンにロードされてそれによって実行されるとき、そのマシンはその方法を実施する装置となる。
【0060】
プロセッシングデバイス上に実装されるとき、プログラムコードセグメントがプロセッサと組み合わさって、特定の論理回路と同様に動作する特有のデバイス装置を提供する。そのようなプロセッシングデバイスは、例えば、汎用マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、複合命令セットコンピュータ(CISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラマブルロジックアレイ(PLA)、マイクロコントローラ、組込コントローラ、マルチコアプロセッサ、及び/又は以上のものの組み合わせを含めてその他のものを含み得る。記載される実施形態はまた、媒体を介して電気的又は光学的に伝送され、磁気記録媒体における磁場変化などとして記憶され、請求項に記載の方法及び/又は装置を用いて生成されるビットストリーム又はその他の信号値シーケンスの形態で実装されてもよい。
【0061】
単一の実施形態の文脈で説明される様々な要素は、別個に設けられてもよいし、好適なサブコンビネーションで設けられてもよい。更に理解されることには、ここに記載及び図示されてきた部分の詳細、材料、及び配置における様々な変更が、以下の請求項の範囲を逸脱することなく、当業者によって為され得る。