(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記マイクロコンピュータは、前記燃料電池自動車が走行しているときのオフ時間をt3とし、前記燃料電池自動車が駐車しているときのオフ時間をt3より長いt1とする、
請求項4に記載の水素検出装置。
前記マイクロコンピュータは、前記燃料電池自動車が密閉空間で駐車しているときのオフ時間をt3より長いt1bとし、開放空間で駐車しているときのオフ時間をt1bより長いt1aとする、
請求項5に記載の水素検出装置。
前記マイクロコンピュータは、前記燃料電池自動車が走行しているときのオフ時間をt3とし、前記燃料電池自動車が停車しているときのオフ時間をt3より長いt2とする、
請求項4に記載の水素検出装置。
前記マイクロコンピュータは、前記パイプラインにおいて、温度、湿度、振動、圧力のうちの少なくとも1つについて、異常が検出されたときのオフ時間をt5とし、異常が検出されないときのオフ時間をt5より長いt4とする、
請求項8に記載の水素検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見)
水素検出装置の省電力化を図る上で、水素検出装置を間欠動作させることは有効である。しかしながら、水素検出装置を単純に間欠動作させるだけでは、必要な信頼性または省電力性が得られない場合がある。
【0012】
例えば、水素ガスが設備から実際に漏洩する事象の発生確率や、万一水素ガスが漏洩した場合の水素ガスの充満しやすさなど、安全性に影響する要因は、設備の稼働状態や設置環境に応じて大きく異なる。
【0013】
そのため、水素検出装置を一定の頻度で、つまり一定のオフ時間を設けて、間欠動作させた場合、環境によっては、検出の遅れによって安全を十分に担保できないか、反対に、検出の頻度が過剰になり省電力性が損なわれることが考えられる。
【0014】
本発明者らは、このような問題を解消すべく、動作環境に応じて異なるオフ時間を設けて間欠的に水素検出を行う水素検出装置を提案する。
【0015】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
なお、図面において、実質的に同一の構成、動作、および効果を表す要素については、同一の符号を付し、説明を省略する。また、以下において記述される数値、材料、組成、形状、成膜方法、構成要素間の接続関係などは、すべて本開示の実施の形態を具体的に説明するための単なる例示であり、本開示はこれらに限定されない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0017】
(実施の形態1)
[水素検出装置の構成]
図1は、実施の形態1に係る水素検出装置の構成の一例を示す機能ブロック図である。
図1に示されるように、水素検出装置1は、水素センサ100、センサ制御回路200、およびマイクロコンピュータ300を備えている。
【0018】
水素センサ100は、水素ガスの存在に応じて抵抗値が変動するセンサである。水素センサ100は、限定されない一例として、金属酸化物の水素ガスによる還元反応を利用した抵抗変化素子で構成してもよい。そのような抵抗変化素子では、還元反応により金属酸化物が金属化することで生じる抵抗値の低下により、水素ガスを検出することができる。水素センサ100の具体的な構成例については後述する。
【0019】
センサ制御回路200は、水素センサ100を制御するための電気回路であり、電圧パルス発生回路210、スイッチ220、抵抗240、および増幅器250を有している。
【0020】
電圧パルス発生回路210は、制御信号S0に応じて、パルス状のセンス電圧V
SENSEを出力する。センス電圧V
SENSEは、水素センサ100の抵抗値をセンスするために用いられる電圧であり、一例として、0.8V〜1.0V程度の電圧である。
【0021】
スイッチ220は、センス電圧V
SENSEが水素センサ100に印加されるように、制御信号S1に応じて切り替えられる。
【0022】
抵抗240および増幅器250は、センス電圧V
SENSEが水素センサ100に印加されるときに、水素センサ100に流れるセンス電流(すなわち、水素センサ100の抵抗値)を表す検知電圧V
DETを出力する。
【0023】
マイクロコンピュータ300は、水素検出装置1の動作環境に応じて異なるオフ時間を設けてセンサ制御回路200を間欠的に駆動する。マイクロコンピュータ300は、図示していないプロセッサ、メモリ、入出力ポートを有し、メモリにあらかじめ記憶されているプログラムをマイクロコンピュータが実行することにより、センサ制御回路200を間欠的に駆動してもよい。
【0024】
ここで、水素検出装置1の動作環境とは、水素検出を行う対象装置または対象設備(以下、監視対象とも言う)の稼働状態を意味してもよい。限定されない一例として、水素検出装置1が燃料電池自動車に搭載され、燃料電池自動車における水素漏れを監視する場合、当該燃料電池自動車の走行、停車、および駐車の各状態が、水素検出装置1の動作環境に対応する。
【0025】
マイクロコンピュータ300は、水素検出装置1の動作環境を表す状態信号STATUSに応じたタイミングで制御信号S0、S1を発行することによって、センサ制御回路200を間欠的に駆動する。また、センサ制御回路200から取得した検知電圧V
DETに基づいて、水素ガスが検出されたことを示す検出信号DETECTを出力する。
【0026】
[水素検出装置の動作]
図2は、マイクロコンピュータ300の制御下で行われる水素検出動作の一例を示すタイミングチャートである。
図2のタイミングチャートは、水素センサ100に印加される電圧の時間波形の一例を示している。
図2に示されるように、間欠的な動作の1サイクルは、長さがオン時間t
onのセンス期間と長さがオフ時間t
offの休止期間とで構成される。
【0027】
センス期間において、水素センサ100にセンス電圧V
SENSEが印加され、水素センサ100の抵抗値が測定される。休止期間において、センサ制御回路200は動作を休止し、水素検出装置1の消費電力は最小限に抑えられる。
【0028】
オン時間t
onは、センス電圧V
SENSEの印加が開始されてから、水素センサ100が水素ガスを検出するために必要とする時間長であり、一例として、1秒から1分程度の範囲にある時間が設定される。オン時間t
onは、固定の時間長であってもよい。オフ時間toffは、安全を担保するために必要な監視頻度が得られる時間長であり、水素検出装置1の動作環境に応じて異なる。
【0029】
マイクロコンピュータ300は、複数の動作環境の各々で用いられるオフ時間t
offを、あらかじめ記録していてもよい。
【0030】
図3は、動作環境ごとのオフ時間を記録したオフ時間テーブルの一例を表す図である。オフ時間テーブル310は、マイクロコンピュータ300のメモリに設けられる。オフ時間テーブル310には、エントリごとに、監視対象の状態Q
1、Q
2、Q
3、…と、当該状態においてオフ時間t
offとして用いられる時間t
1、t
2、t
3、…と、を記録している。
【0031】
水素検出装置1における水素検出動作について、詳細な説明を続ける。
【0032】
図4は、水素検出動作の詳細な一例を示すフローチャートである。
図4では、主として、マイクロコンピュータ300が主体となる動作を詳細に記載している。
【0033】
まず、マイクロコンピュータ300において、オン時間t
onが設定される(S101)。オン時間t
onには、水素センサ100に応じた適宜の固定長が設定されてもよい。
【0034】
次に、マイクロコンピュータ300は、状態信号STATUSを取得する(S102)。オフ時間テーブル310が参照され、状態信号STATUSによって表される状態に対応するオフ時間toffが設定される(S103)。
【0035】
次に、マイクロコンピュータ300は、オン時間t
onの間、制御信号S0、S1を発行し、センサ制御回路200は、制御信号S0、S1に応じて、水素センサ100に対しセンス電圧V
SENSEを印加する(S104、S105)。
【0036】
マイクロコンピュータ300は、センス電圧V
SENSEの印加中に、検知電圧V
DETによって表されるセンス電流があらかじめ定めたしきい値を上回った場合(S106でYES)、水素ガスが検出されたことを示す検出信号DETECTを出力する(S107)。
【0037】
オン時間t
onの経過後、オフ時間t
offが経過するまでの間、マイクロコンピュータ300は制御信号S0を停止し、センサ制御回路200は、制御信号S0の停止に応じて、水素センサ100に対するセンス電圧V
SENSEの印加を停止する(S108、S109)。この間、増幅器250への電力供給や、マイクロコンピュータ300のクロックを停止してもよく、水素検出装置1は、消費電力が最小限に抑えられるとしてもよい。
【0038】
オフ時間t
offの経過後、後続するサイクルの動作がステップS102から繰り返される。
【0039】
以上説明したように、水素検出装置1によれば、動作環境に応じて異なるオフ時間を設けて間欠的に水素検出を行うことができる。これにより、例えば、水素漏洩による危険性が高い環境では水素漏洩による危険性が低い環境と比べてオフ時間を短くして高頻度に水素検出を行うといった動作が可能になるので、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化できる水素検出装置が得られる。
【0040】
(実施の形態2)
[水素センサの構成]
実施の形態2では、実施の形態1で説明した水素検出装置1の水素センサ100として利用可能な気体センサについて説明する。当該気体センサは、本願発明者らによって考案されたものであり、特願2017−169614号(本件出願時において未公開)にて関連特許として出願されている。実施の形態2の説明では、当該関連特許の出願時の明細書の要部を引用する。
【0041】
実施の形態2に係る気体センサは、金属酸化物層の上下に電極層が積層されてなる構造を基本とする気体センサである。当該気体センサは、少なくとも金属酸化物層の上部の電極層の一部を貫通し、金属酸化物層と上部の電極層との界面を露出させるように形成され、ヒータで加熱することなく水素含有ガスを検出することができる。ここで、水素含有ガスとは、水素原子を有する分子からなる気体の総称であり、一例として、水素、メタン、アルコールなどを含み得る。
【0042】
図5Aは、実施の形態2に係る気体センサ100Aの一構成例を示す断面図である。
図5Bは、実施の形態2に係る気体センサ100Aの平面図である。
図5Aの断面は、
図5BのVA−VAの切断線において矢印方向に見た断面に対応する。
【0043】
気体センサ100Aは、基板101、基板101上に形成された絶縁膜102、絶縁膜102の上方に形成された第1電極103、第2電極105、第1電極103と第2電極105とで挟まれた金属酸化物層104、絶縁膜106、ビア107、および配線導体108を備えている。
【0044】
金属酸化物層104は、第1電極103と第2電極105との間に配置されている。金属酸化物層104は、第1電極103と第2電極105との間に印加される電圧および第2電極105が接触する気体中の水素含有ガスの有無に応じて、高抵抗状態と低抵抗状態との間を可逆的に遷移する。
【0045】
絶縁膜106は、第2電極105の上面を覆っている部分において、ビア107が絶縁膜106を貫通して第2電極105に接続されている。ビア107の上に配線導体108が配置されている。
【0046】
さらに、絶縁膜106および少なくとも第2電極105の一部を貫通するように開口部110が設けられている。
図5Bに示すように、開口部110は、平面視したときに気体センサ100Aの中央を含む位置に矩形状に設けられた凹状の窪みである。開口部110の周囲には、
図5Aに示すように絶縁膜106が配置されている。なお、開口部110は、平面視した時に気体センサ100Aの中心を含まない位置に設けられてもよいし、矩形状でなくてもよい。第2電極105と金属酸化物層104とが接する界面109が、検査対象である水素含有ガスに接触するよう露出している。界面109は、第1界面である。
【0047】
第2電極105を触媒作用のある金属(例えばPt)で構成すると、
図5Cで示すように、開口部110の側面において露出した第2電極105の表面で、水素含有ガスの気体分子112は水素原子113に解離する。また、開口部110によって第2電極105および金属酸化物層104の側面が露出しているため、第2電極105の側面で解離した水素原子113は、第2電極105の表面から金属酸化物層104の側面へと拡散しやすくなっており、第2電極105の側面での新たな解離反応が起こりやすくなり、より多くの水素原子113が発生する。この水素原子113は、第2電極105あるいは金属酸化物層104の表面から内部へと拡散し、金属酸化物層104内で還元反応する。
【0048】
金属酸化物層104が酸素不足型の金属酸化物である場合、金属酸化物層104は、化学的に不安定であるため水素原子などと反応しやすく、水素原子との反応が促進されることが期待できる。
【0049】
なお、本開示において、金属酸化物の「酸素不足度」とは、当該金属酸化物と同じ元素から構成される化学量論的組成の酸化物における酸素の量に対する、当該金属酸化物における酸素の不足量の割合をいう。なお、酸素の不足量とは、化学量論的組成の金属酸化物における酸素の量から当該金属酸化物における酸素の量を引いた値である。もし、当該金属酸化物と同じ元素から構成される化学量論的組成の金属酸化物が複数存在しうる場合、当該金属酸化物の酸素不足度は、それらの化学量論的組成の金属酸化物のうち最も高い抵抗値を有する1つに基づいて定義される。化学量論的組成の金属酸化物は、他の組成の金属酸化物と比べて、より安定でありかつより高い抵抗値を有している。
【0050】
例えば、金属がタンタル(Ta)の場合、上述の定義による化学量論的組成の酸化物はTa
2O
5であるので、TaO
2.5と表現できる。TaO
2.5の酸素不足度は0%であり、TaO
1.5の酸素不足度は、酸素不足度=(2.5−1.5)/2.5=40%となる。また、酸素過剰の金属酸化物は、酸素不足度が負の値となる。なお、本明細書中では、特に断りのない限り、酸素不足度は正の値、0、負の値も含むものとして説明する。
【0051】
酸素不足度の小さい金属酸化物は化学量論的組成の金属酸化物により近いため抵抗値が高く、酸素不足度の大きい金属酸化物は金属酸化物の構成要素である金属により近いため抵抗値が低い。また、水素原子への解離反応は、第2電極105で生じることから、第2電極105と金属酸化物層104との界面109付近での反応が最も起こりやすいと言える。
【0052】
ここで、気体センサ100Aは、金属酸化物層104の内部に、第2電極105と接するように酸素欠損領域111aを備えていても良い。酸素欠損領域111aは、例えば、開口部110を形成するためのエッチングの際または第2電極105を形成する際などに、金属酸化物層104が受けるエッチングダメージにより発生する酸素欠損領域である。酸素欠損領域111aは、第2電極105と金属酸化物層104との界面付近で第2電極105と金属酸化物層104とが混ざってアモルファス化していても良い。酸素欠損領域111aは、水素含有ガスに接触するよう露出している部分、または、第2電極105と金属酸化物層104との界面109付近に形成されている。
【0053】
また、気体センサ100Aは、金属酸化物層104の内部に、局所領域111bを備えていてもよい。局所領域111bは、第1電極103と第2電極105との間に電圧を印加することによって、金属酸化物層104の一部を絶縁破壊することにより形成される。絶縁破壊された部分の金属酸化物層104は、局所的に酸素が欠損し、電流が流れやすい状態となっている。つまり、局所領域111bは、絶縁破壊による酸素欠損により構成される微小な導電パス(フィラメント)を含む領域である。局所領域111bにおける酸素不足度は、局所領域111bの周囲(すなわち金属酸化物層104のバルク領域)の酸素不足度よりも大きい。
【0054】
局所領域111bを備える気体センサ100Aでは、第1電極103と第2電極105との間に電圧を印加した際、金属酸化物層104内の電流は局所領域111bに集中的に流れる。この構成によれば、気体センサ100Aでは、局所領域111bにおける発熱によって第2電極105が加熱され、水素原子への解離および局所領域111bでの金属酸化物の還元反応が効率よく行われる。
【0055】
局所領域111bを構成するフィラメントは、気体センサ100Aの1つの金属酸化物層104に1ケ所のみ形成されてもよいし、金属酸化物層104に複数点在していてもよい。フィラメントの数は、例えば、EBAC(Electron Beam Absorbed Current)解析によって確認することができる。
【0056】
このようにして、気体センサ100Aは、第2電極105が水素含有ガスに接すると第1電極103と第2電極105との間の抵抗値が変化する特性を有する。当該特性により、検査対象である気体が気体センサ100Aに接したとき、第1電極103と第2電極105との間の抵抗値の低下を検出することによって、気体に含まれる水素含有ガスを検出することができる。
【0057】
以下では、安定な水素への反応特性を得るための気体センサ100Aの構成の詳細について説明する。
【0058】
金属酸化物層104は、遷移金属を始めとする複数の酸化状態をとることができる金属と、錫と、アルミニウムとからなる群から選択される1つの金属を含有する酸化物から構成される。当該金属の酸化物の母体金属は、タンタル(Ta)、ハフニウム(Hf)、チタニウム(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、マンガン(Mn)、バナジウム(V)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの遷移金属と、錫(Sn)、アルミニウム(Al)とから少なくとも1つ選択されてもよい。
【0059】
金属酸化物層104は、化学量論的組成の酸化物よりも酸素組成比が少ない酸素不足型の酸化物であってもよい。化学量論的組成の金属酸化物が典型的に絶縁体であるのに対し、酸素不足型の金属酸化物は、酸素欠損を含み半導体的な特性を有する。金属酸化物層104中の酸素欠損は酸素還元反応の活性点となりやすい。つまり水素との反応がしやすくなる。したがって、気体センサ100Aは、安定な水素への反応特性を実現できる。
【0060】
第1電極103および第2電極105の材料としては、例えば、Pt(白金)、Ir(イリジウム)、Pd(パラジウム)、Ag(銀)、Ni(ニッケル)、W(タングステン)、Cu(銅)、Al(アルミニウム)、Ta(タンタル)、Ti(チタン)、TiN(窒化チタン)、TaN(窒化タンタル)およびTiAlN(窒化チタンアルミニウム)などから選択される。
【0061】
具体的に、第2電極105は、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、またはパラジウム(Pd)、若しくは、これらのうちの少なくとも1つを含む合金など、水素原子を有する気体分子から水素原子を解離する触媒作用を有する材料で構成する。
【0062】
また、第1電極103は、例えば、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)など、金属酸化物を構成する金属と比べて標準電極電位が低い材料で構成してもよい。標準電極電位は、その値が高いほど酸化しにくい特性を表す。
【0063】
あるいは第1電極103は、第2電極105と同様に、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、またはパラジウム(Pd)、若しくは、これらのうちの少なくとも1つを含む合金など、水素原子を有する気体分子から水素原子を解離する触媒作用を有する材料で構成してもよい。
【0064】
また、基板101としては、例えば、シリコン単結晶基板または半導体基板を用いることができるが、これらに限定されるわけではない。金属酸化物層104は比較的低い基板温度で形成することが可能であるため、例えば、樹脂材料などの上に形成することもできる。
【0065】
(実施の形態3)
実施の形態3では、水素検出装置の燃料電池自動車への適用について説明する。実施の形態3に係る水素検出装置は、燃料電池自動車に搭載され、燃料電池自動車における水素漏れを監視する。
【0066】
[燃料電池自動車の構成]
図6は、実施の形態3に係る燃料電池自動車800の構成の一例を示す模式図である。
【0067】
燃料電池自動車800は、客室810、荷室820、ガスタンク室830、燃料タンク831、水素検出装置832、配管840、燃料電池室850、燃料電池851、水素検出装置852、モータ室860、モータ861、および電子制御ユニット870を備える。
【0068】
燃料タンク831は、ガスタンク室830内に設けられており、燃料ガスとして、水素ガスを保持している。水素検出装置832は、ガスタンク室830での燃料ガス漏れを検出する。
【0069】
燃料電池851は、燃料極、空気極および電解質を有する基本単位となるセルが複数個積み重なった燃料電池スタックを備えている。燃料電池851は、燃料電池室850内に設けられている。燃料タンク831内の水素ガスは、配管840を通して燃料電池室850内の燃料電池851へ送り込まれる。この水素ガスと大気中の酸素ガスとを燃料電池851内で反応させることにより発電する。水素検出装置852は、燃料電池室850での水素ガス漏れを検出する。
【0070】
モータ861は、モータ室860内に設けられている。燃料電池851が発電した電力でモータ861が回転することにより、燃料電池自動車800を走行させる。
【0071】
電子制御ユニット870は、燃料電池851での発電の制御、モータ861のトルク制御、ドライバによるハンドル、アクセル、ブレーキ、ギアシフトなどの各種操作の検知、燃料電池自動車800の速度、加速度の検知など、燃料電池自動車800の総合的な制御を行う。
【0072】
[燃料電池自動車での水素検出動作]
燃料電池自動車800における水素検出装置832、852には、例えば、実施の形態1で説明した水素検出装置1が用いられる。水素検出装置832、852よる水素検出は、次のように行われる。
【0073】
電子制御ユニット870は、検知したドライバの操作や燃料電池自動車800の速度などに基づいて、燃料電池自動車800の駐車、停車、走行の各状態を示す状態信号を、水素検出装置832、852へ供給する。ここで、燃料電池自動車800の駐車、停車、走行の各状態は、水素検出装置832、852の動作環境の一例である。
【0074】
水素検出装置832、852は、電子制御ユニット870から供給された状態信号によって示される燃料電池自動車800の状態に応じて異なるオフ時間を設けて、間欠的に水素検出動作を行う。
【0075】
図7Aは、水素検出装置832、852で用いられるオフ時間テーブルの一例を表す図である。
【0076】
図7Aの例では、燃料電池自動車800が走行しているときのオフ時間をt
3とし、燃料電池自動車800が駐車しているときのオフ時間をt
3より長いt
1としている。また、前記燃料電池自動車が停車しているときのオフ時間をt
3より長いt
2としている。
【0077】
これにより、水素ガスが燃料電池自動車800内で実際に移送され消費される走行状態では、短いオフ時間t
3を用いて水素漏れを高頻度に監視することで、安全をより確実に担保することができる。また、水素ガスの移送および消費が完全に止まっている駐車状態およびほぼ止まっている停車状態では、長いオフ時間t
1およびt
2を用いて水素漏れの監視頻度を下げることで、安全を担保しながら消費電力を低減し、水素検出装置832、852の省電力性を高めることができる。
【0078】
図7Bは、水素検出装置832、852で用いられるオフ時間テーブルの他の一例を表す図である。
図7Bのオフ時間テーブルは、
図7Aのオフ時間テーブルと比べて、燃料電池自動車800が密閉空間で駐車しているか開放空間で駐車しているかで、オフ時間を区別する点で相違する。
【0079】
ここで、密閉空間とは、水素ガスが充満しやすい空間を意味し、例えば、住宅のビルトインガレージや、公共施設の屋内駐車場およびタワー式の駐車設備が含まれてもよい。開放空間とは、水素ガスが充満しにくい空間を意味し、例えば、住宅のカーポートや公共施設における屋外駐車場および屋上駐車場が含まれてもよい。駐車場所が密閉空間および開放空間のうちのいずれであるかは、駐車設備側から無線信号によって通知されるとしてもよい。
【0080】
図7Bの例では、燃料電池自動車800が密閉空間で駐車しているときのオフ時間を走行状態でのオフ時間t
3より長いt
1bとし、開放空間で駐車しているときのオフ時間をt
1bより長いt
1aとしている。
【0081】
これにより、駐車状態での水素漏れの監視頻度を、駐車場所において水素漏れが発生した場合の水素の充満のしやすさに応じて設定することにより、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化することができる。
【0082】
(実施の形態4)
実施の形態4では、水素検出装置の、水素ガスを輸送するパイプライン(以下では短く、水素パイプラインと言う)への適用について説明する。実施の形態4に係る水素検出装置は、水素パイプラインに設置され、水素パイプラインにおける水素漏れを監視する。
【0083】
[水素漏洩監視システムの構成]
図8は、実施の形態4に係る水素漏洩監視システム900の構成の一例を示す模式図である。
【0084】
水素漏洩監視システム900は、複合センサモジュール910、通信モジュール920、ゲートウェイ930、クラウドシステム940、およびユーザ端末950を備える。
【0085】
複合センサモジュール910は、例えば、実施の形態1で説明した水素検出装置1とともに、監視対象(ここでは、水素パイプライン)の温度、湿度、振動、圧力、および水没のうち少なくとも1つを検出するセンサを含んでいる。複合センサモジュール910(特には、複合センサモジュール910に含まれる水素センサ)は、水素ガス903を輸送する水素輸送管902の上方に配置されている。
【0086】
通信モジュール920は、複合センサモジュール910による水素検出結果を示す検出信号を送信する。
【0087】
ゲートウェイ930は、通信モジュール920から検出信号を受信し、受信した検出信号をクラウドシステム940へ転送する。
【0088】
クラウドシステム940は、サーバ装置をネットワークで接続してなるネットワークコンピュータシステムであり、ネットワークを介してサーバ装置で検出信号を受信し、サーバ装置にて複合センサモジュール910による水素検出結果を集計する。
【0089】
ユーザ端末950は、水素漏洩監視システム900のユーザインターフェースを提供する。具体的には、複合センサモジュール910によって水素が検出されたことを示す警報を、音、光、振動などによってオペレータに通知する。
【0090】
図8の例では、水素輸送管902は地面901下に埋設され、複合センサモジュール910および通信モジュール920は地面901に設けられたハンドホール904内に設置されているが、この例には限られない。例えば、水素輸送管902は、水素関連施設の建屋内に引き回されたものであってもよい。複合センサモジュール910は、例えば、水素輸送管902の継ぎ目(図示せず)ごとに配置されてもよい。
【0091】
[複合センサモジュールの構成]
次に、複合センサモジュール910の構成について説明する。
【0092】
図9は、複合センサモジュール910の構成の一例を示す模式図である。
図9に示されるように、複合センサモジュール910は、水素センサを含む環境センサ911、制御回路913、および電源914を、鋲型の筐体915に格納してなる。複合センサモジュール910は、環境センサ911の一部として水没センサ912をさらに備えていてもよい。
【0093】
筐体915は、防水性および防塵性を有するフィルタ916によって第1室917と第2室918とに分けられている。第1室917には、制御回路913および電源914が配置される。第1室917の内部は、筐体915の表面に施されたコート材919とフィルタ916とで、水および埃から保護される。第2室918には、環境センサ911が配置される。第2室918の内部は、少なくとも水素ガスが進入できるように筐体915の外部と連通している。複合センサモジュール910が水没センサ912を備える場合、水没センサ912は、第2室918の内部で、環境センサ911の下方に配置される。
【0094】
環境センサ911は、少なくとも水素センサを含み、さらに、設置環境(ここでは、水素パイプライン)の温度、湿度、振動、圧力、および水没のうち少なくとも1つを検出するセンサを含んでもよい。環境センサ911に含まれる水素センサは、実施の形態1で説明した水素検出装置1の水素センサ100であってもよい。水没センサ912は、複合センサモジュール910の水没を検出する環境センサ911の一例である。
【0095】
制御回路913は、環境センサ911(水素センサを含む)を間欠的に駆動する回路であり、実施の形態1で説明した水素検出装置1のセンサ制御回路200とマイクロコンピュータ300とを含んでもよい。
【0096】
電源914は、図示しないバッテリーおよび電源回路を含み、複合センサモジュール910の全体に動作電力を供給する。
【0097】
[水素漏洩監視システムでの水素検出動作]
水素漏洩監視システム900における複合センサモジュール910による水素検出は、次のように行われる。
【0098】
複合センサモジュール910における制御回路913は、環境センサ911を用いて、温度、湿度、振動、および圧力のうち少なくとも1つを測定し、測定値があらかじめ定められた管理範囲内にあれば正常状態、測定値が当該管理範囲を逸脱していれば注意状態と判定する。水没センサ912が設けられていて、かつ水没が検出されていれば、正しい水素検出を行うことができない故障状態と判定してもよい。
【0099】
制御回路913は、判定した状態に応じて異なるオフ時間を設けて、間欠的に水素検出動作を行う。
【0100】
図10は、複合センサモジュール910で用いられるオフ時間テーブルの一例を表す図である。
【0101】
図10の例では、注意状態でのオフ時間をt
5とし、正常状態でのオフ時間をt
5より長いt
4としている。
【0102】
これにより、水素パイプラインの温度、湿度、振動、圧力のうち少なくとも1つについて異常値が検出された注意状態では、水素漏洩の危険度が増したと考えて水素漏洩の監視頻度を上げることで、安全をより確実に担保することができる。また、異常値が検出されない正常状態では、水素漏洩の監視頻度を下げることで、安全を担保しながら消費電力を低減し、複合センサモジュール910の省電力性を高めることができる。
【0103】
また、水没が検出された故障状態では、オフ時間を無限大として、水素検出を停止している。
【0104】
これにより、正しい水素検出を継続して行うことができない場合に、残っている電力を、例えば、故障状態の通報に振り向けることにより、信頼性を高めることができる。
【0105】
(その他の変形例)
以上、本開示のいくつかの態様に係る水素検出装置、燃料電池自動車、水素漏洩監視システム、複合センサモジュール、水素検出方法、およびプログラムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、この実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、各々の実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態が、本開示の範囲内に含まれてもよい。
【0106】
(実施形態の概要)
1つの態様に係る水素検出装置は、水素ガスの存在に応じて抵抗値が変動する水素センサと、前記水素センサの抵抗値をセンスするセンサ制御回路と、動作環境に応じて異なるオフ時間を設けて前記センサ制御回路を間欠的に駆動するマイクロコンピュータと、を備え
、前記水素センサは、第1電極と、前記第1電極上に形成され、水素原子に接することにより抵抗値が変化する金属酸化物層と、前記金属酸化物層上に形成された第2電極と、前記第1電極、前記金属酸化物層および前記第2電極の側面の少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を備え、前記金属酸化物層において、前記第1電極と前記金属酸化物層との第1界面もしくは前記第2電極と前記金属酸化物層との第2界面のうちの少なくとも一方の一部は、前記絶縁膜に覆われることなく検出空間に露出している。
【0107】
このような構成によれば、
金属酸化物層の水素原子による還元反応によって生じる抵抗変化に基づいて水素ガスを検出する水素センサが用いられる。金属酸化物層を還元する水素原子は、検出空間内の水素ガスから解離されたものであり、水素原子への解離は第1界面および第2界面において優勢に生じる。そのため、第1界面および第2界面のうちの少なくとも一方の一部が検出空間に露出している上記の構成によれば、水素原子が効率よく解離され、金属酸化物層の還元反応が進むので、水素ガスの検出特性に優れた水素検出装置が得られる。
また動作環境に応じて異なるオフ時間を設けて間欠的に水素検出を行うこと、つまり、動作環境に応じて異なる頻度で水素検出を行うことができる。これにより、例えば、水素漏洩による危険性が高い環境では水素漏洩による危険性が低い環境と比べてオフ時間を短くして高頻度に水素検出を行うといった動作が可能になるので、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化できる水素検出装置が得られる。
【0110】
また、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも前記金属酸化物層との界面が前記検出空間に露出している一方は、前記水素原子を
有する気体分子から
前記水素原子を解離させる触媒作用を有する材料を含んでもよい。
【0111】
このような構成によれば、前記触媒作用によって気体分子から水素原子が解離され、解離された水素原子が、前記金属酸化物層内の酸素原子と結合することにより、前記第1の電極と前記第2の電極との間の抵抗値が効率よく低下する。これにより、水素ガスの検出特性に優れた水素センサが得られる。
【0112】
また、前記第1電極および前記第2電極のうちの少なくとも前記一方は、白金を含み、前記金属酸化物層は、タンタル酸化物を含んでもよい。
【0113】
このような構成によれば、白金による触媒作用により水素原子を効率的に解離させることができ、かつ、前記金属酸化物層として抵抗変化特性に優れたタンタル酸化物を用いるので、水素含有ガスの検出特性に優れた水素センサが得られる。
【0114】
また、前記水素検出装置は、燃料電池自動車に搭載され、前記マイクロコンピュータは、前記燃料電池自動車の状態に応じて異なるオフ時間を設けて前記センサ制御回路を間欠的に駆動してもよい。
【0115】
このような構成によれば、水素検出装置を燃料電池自動車での水素漏れの監視に利用するに際して、燃料電池自動車の状態に応じた水素漏洩の危険性に基づいて、最適な頻度で水素検出を行うことができるので、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化できる水素検出装置が得られる。
【0116】
また、前記マイクロコンピュータは、前記燃料電池自動車が走行しているときのオフ時間をt3とし、前記燃料電池自動車が駐車しているときのオフ時間をt3より長いt1としてもよい。
【0117】
また、前記マイクロコンピュータは、前記燃料電池自動車が密閉空間で駐車しているときのオフ時間をt3より長いt1bとし、開放空間で駐車しているときのオフ時間をt1bより長いt1aとしてもよい。
【0118】
また、前記マイクロコンピュータは、前記燃料電池自動車が走行しているときのオフ時間をt3とし、前記燃料電池自動車が停車しているときのオフ時間をt3より長いt2としてもよい。
【0119】
これらの構成によれば、燃料電池自動車の状態に応じて想定される水素漏洩の具体的な危険性に基づいた頻度で水素検出を行うことができるので、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化することができる。
【0120】
また、前記水素検出装置は、水素ガスを輸送するパイプラインに設置され、前記マイクロコンピュータは、前記パイプラインの状態に応じて異なるオフ時間を設けて前記センサ制御回路を間欠的に駆動してもよい。
【0121】
このような構成によれば、水素検出装置をパイプラインでの水素漏れの監視に利用するに際して、パイプラインの状態に応じた水素漏洩の危険性に基づいて、最適な頻度で水素検出を行うことができるので、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化できる水素検出装置が得られる。
【0122】
また、前記マイクロコンピュータは、前記パイプラインにおいて、温度、湿度、振動、圧力のうちの少なくとも1つについて、異常が検出されたときのオフ時間をt5とし、異常が検出されないときのオフ時間をt5より長いt4としてもよい。
【0123】
この構成によれば、パイプラインの状態に応じて想定される水素漏洩の具体的な危険性に基づいた頻度で水素検出を行うことができるので、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化することができる。
【0124】
また、開示される一態様に係る燃料電池自動車は、客室と、水素ガスのタンクが配置されたガスタンク室と、燃料電池が配置された燃料電池室と、前記水素検出装置と、を備え、前記水素検出装置の水素センサが、前記ガスタンク室および前記燃料電池室のうちの少なくとも一方に配置されている。
【0125】
このような構成によれば、燃料電池自動車において水素漏洩を監視するにあたって、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化することができる。
【0126】
また、開示される一態様に係る水素漏洩監視システムは、前記水素検出装置と、前記水素検出装置に接続され、前記水素検出装置による水素検出結果を示す信号を送信する無線モジュールと、前記信号を取得し、前
記信号で示される水素検出結果をユーザに提示するユーザ端末と、を備え、前記水素検出装置の水素センサが、水素輸送管の上方に配置されている。
【0127】
このような構成によれば、水素ガスを輸送するパイプラインにおいて水素漏洩を監視するにあたって、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化することができる。
【0128】
また、開示される一態様に係る複合センサモジュールは、前記水素検出装置と、温度、湿度、振動、圧力、水没のうちの少なくとも1つを検出する環境センサと、前記水素検出装置および前記環境センサに動作電力を供給する電源と、を備え、前記マイクロコンピュータは、前記環境センサの検出結果に応じて前記水素検出装置でのオフ時間を変更する。
【0129】
このような構成によれば、水素漏洩の危険性にかかわる環境要因を自ら検出して、水素漏洩を間欠的に監視するためのオフ時間を決定することができる、利便性に優れた複合モジュールが得られる。
【0130】
また、開示される一態様に係る水素検出方法は、水素ガスの存在に応じて抵抗値が変動する水素センサを用いた水素検出方法であって、
前記水素センサは、第1電極と、前記第1電極上に形成され、水素原子に接することにより抵抗値が変化する金属酸化物層と、前記金属酸化物層上に形成された第2電極と、前記第1電極、前記金属酸化物層および前記第2電極の側面の少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を備え、前記金属酸化物層において、前記第1電極と前記金属酸化物層との第1界面もしくは前記第2電極と前記金属酸化物層との第2界面のうちの少なくとも一方の一部は、前記絶縁膜に覆われることなく検出空間に露出しており、前記水素検出方法は、動作環境に応じて異なるオフ時間を設定し、前記水素センサの抵抗値をセンスするセンサ制御回路を、設定された前記オフ時間を設けて間欠的に駆動する。
【0131】
このような方法によれば、動作環境に応じて異なるオフ時間を設けて間欠的に水素検出を行うこと、つまり、動作環境に応じて異なる頻度で水素検出を行うことができる。これにより、例えば、水素漏洩による危険性が高い環境では水素漏洩による危険性が低い環境と比べてオフ時間を短くして高頻度に水素検出を行うといった動作が可能になるので、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化できる水素検出方法が得られる。
【0132】
また、開示される一態様に係るプログラムは、水素ガスの存在に応じて抵抗値が変動する水素センサを用いて水素検出を行うためのプログラムであって、
前記水素センサは、第1電極と、前記第1電極上に形成され、水素原子に接することにより抵抗値が変化する金属酸化物層と、前記金属酸化物層上に形成された第2電極と、前記第1電極、前記金属酸化物層および前記第2電極の側面の少なくとも一部を覆う絶縁膜と、を備え、前記金属酸化物層において、前記第1電極と前記金属酸化物層との第1界面もしくは前記第2電極と前記金属酸化物層との第2界面のうちの少なくとも一方の一部は、前記絶縁膜に覆われることなく検出空間に露出しており、前記プログラムは、動作環境に応じて異なるオフ時間を設定するステップと、前記水素センサの抵抗値をセンスするセンサ制御回路を、設定された前記オフ時間を設けて間欠的に駆動するステップと、をマイクロコンピュータに実行させる。
【0133】
このような構成によれば、安全の担保と省電力性とのトレードオフを最適化できる水素検出方法を実行するためのコンピュータプログラムが得られる。