【実施例】
【0076】
実施例1.CCR5に対するshRNAおよびC46融合阻害物質(sh5/C46二重ベクター)を含む二重ベクターの構築ならびに単一の治療挿入物を有するかもしくは治療挿入物のない対照ベクターの構築
A.ベクタープラスミド構築物
様々な構築物を設計して、プラスミドとしてDNA形態で加工した。構築物を表1に要約し、
図1〜4に図示説明する。これらの構築物はすべてパッケージング細胞系内へトランスフェクション時にレンチウイルスベクターを生じさせる(以下の項目B参照)。
【0077】
(表1)ベクタープラスミド構築物の説明
【0078】
これらのベクターの遺伝子操作は以下のとおりであった。
【0079】
ユビキチンプロモーターにより駆動されたEGFPを含むpFG12主鎖レンチウイルスベクタープラスミド(pFG12−U−EGFP)(
図2において「pFG12」と標識)は、(Qin et al. (2003) Proc. Natl. Acad. Sci., Vol. 100: 183−188)に記載のように先のレンチウイルスベクターFUGW(Lois et al. (2002) Science, Vol. 295: 868−872)から誘導した。主鎖ベクター内へのさらなる挿入を補助するため、複数のクローニング部位をFG12に挿入することにより、pFG11F−U−EGFP産生を可能とさせて、プラスミド主鎖pFG11Fを産生した(
図2において「pG11F」と標識)。
【0080】
レンチウイルスベクター内H1プロモーターの制御下、ヒトケモカイン共受容体5(huCCR5)に対して向けられる小さなヘアピンRNA(shRNA)無作為ライブラリーを、cDNAからのRNAiライブラリーの酵素産生を介して産生した。精製したDNA断片をKlenow断片で平滑末端化したBpmIで消化させ、BamHIで消化させ、ヒトH1 RNAポリメラーゼIIIプロモーターおよび4T決定シグナルを含むpBShH1−5プラスミドDNAにライゲーションした。ライゲーション混合物を大腸菌内に導入し、一晩プレート化した。コロニーを併合して、プラスミドDNAを調製した。H1プロモーター、shRNA配列および4T決定シグナルからなるshRNA発現単位をXbaIおよびXholI消化によりpBShH1−5プラスミドDNAから切除し、pFG12−U−EGFPベクターのXbaI/XholI部位内に挿入して、H1プロモーターにより駆動された、CCR5に対するshRNAを産生した。これらの構築物の最良のものであるsh1005をさらなる実験のために選択した。sh1005およびユビキチンプロモーターにより駆動されたEGFPを含むプラスミド構築物は、pFG12−H1−R5−U−EGFPと称される(
図3;An et al. (2007) Proc. Natl. Acad. Sci., Vol. 104 (32): 13110−13115)。制限酵素を用いてU−EGFPカセットをpFG12−H1−R5−U−EGFPから除去し、pFG12−H1−R5を産生した(
図3)。
【0081】
EGFP遺伝子をpFG11F−U−EGFP(
図4におけるpFG11F)から除去し、C46遺伝子と置換して、pFG11F−U−C46を産生した(
図4)。NdeI/XhoI消化を用いてH1−R5カセットをpFG12−H1−R5−U−EGFPから切除し、pFG11F−U−C46内に挿入し、これもNdeI/XhoIで消化して、pFG11F−H1−R5−U−C46を産生した(
図4)。
【0082】
B.レンチウイルスベクターの産生
水疱性口内炎ウイルス(VSV)−G偽型レンチウイルスベクターストックをすべてHEK−293 T細胞のリン酸カルシウム媒介性一過性トランスフェクションにより産生した。HEK−293 T細胞を日常的にDMEM(GIBCO Invitrogen)内で培養し、トランスフェクションのためにイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)に変更した。すべての培養物は10%FCS(HyClone)、100単位のペニシリン、および100μg/mlストレプトマイシンを含有した。細胞を適量のベクタープラスミド、HIV−1レンチウイルスのパッケージング構築物であるpRSV−RevおよびpMDLg/pRRE、およびVSV−G発現プラスミドであるpCMV−VSV−Gと共トランスフェクトした(表2)。トランスフェクション後2日目および3日目に、ウイルスを培養上清から採取して濃縮した。濃縮ウイルスストックをGFP発現に基づきHEK−293 T細胞上で滴定した。shRNA発現EGFP構築物の力価は親EGFPベクターと比較してわずかにのみ低下した。産生に使用したプラスミドを
図5に図式的に示す。
【0083】
(表2)レンチウイルス産生のためのベクター
【0084】
方法1:非キット試薬を用いた塩化カルシウムトランスフェクションによるレンチウイルス産生
1. トランスフェクション前日、HEK 293T細胞を1.5×10
7細胞/T175でフラスコのDMEM+10%FBSおよび抗生剤内に播種する。
2. トランスフェクション日、培地を10%FBS、抗生剤およびクロロキン(10mMの100μl)含有IMDM25mLに変更する。
3. DNAマスター混合物を調製する
a. pMDLg/pRRE 10μg
b. pRSV−Rev 2.5μg
c. pCMV−VSV−G 3.2μg
d. ベクター(例えば
図1〜4の構築物のうちの1つ)10μg
e. 水を添加して総容量980μLに調節する
4. 133μLの2M CaCl
2を添加し、混合して、氷上で10分間インキュベートする。
5. 手で管を撹拌しながら、1110μLの2×HBS(1g Hepes、1.6g NaCl、0.72mlの0.25M Na
2HPO
4、1mlの1M KCl)を滴下する。
6. 氷上で20分間インキュベートする。
7. 細胞のT175フラスコを逆さに傾け、DNA混合物を培地に添加し、フラスコを2〜3回混合し、フラスコを右上方向にフリップする。
8. 培養を6〜8時間インキュベートする
9. 培地を除去して、新規の42mLのIMDM+10%FBSおよび抗生剤と交換する。
10. 形質導入後48時間目、培地を回収して、0.22または0.45μMフィルターを介してろ過し、新規の42mlのIMDM+10%FBSおよび抗生剤と交換する。
11. 形質導入後72時間目、培地を回収して、0.22または0.45μMフィルターを介してろ過する。
12. 両回収物をプールする
13. ウイルス含有培地(VCM)を超遠心分離によりSW28またはSW32管内で濃縮する。
a. 33〜38mLのVCMをショ糖緩衝液と共に管内に負荷する。
b. 管を20,000rpm、4℃で90分間遠心分離する。
c. 上清を除去して、250〜500μLのPBSまたはHBSをペレットに添加する。
d. VCMを4℃で一晩保存する。
e. VCMをピペットで取って混合し、アリコートして、−70℃で保存する。
方法2:Clontech CalPhosキットを用いた塩化カルシウムトランスフェクションによるレンチウイルス産生。
1. トランスフェクションの前日に、HEK 293T細胞を2.1×10
7細胞/T225で30mLのIMDM+10%FBS溶液に播種する。
2. トランスフェクション日、DNAマスター混合物を15mL管内で調製する:
a. pMDLg/pRRE 13μg
b. pRSV−Rev 3.25μg
c. pCMV−VSV−G 4.16μg
d. ベクター(例えば
図1〜4の構築物のうちの1つ)13μg
e. 水を添加して総容量1500μLに調節する
3. 186μLの2M CaCl
2を添加して、混合する。
4. 管をボルテックスしながら、1500μLの2×HBSを滴下する。
5. 室温で20分間インキュベートする。
6. 30mLのIMDM+2%FBSを50mL管に添加する。
7. DNA溶液を50mL管内のIMDMに添加する。
8. 前日回収した細胞から培地を吸引する。
9. 細胞単層をかき乱さないように、フラスコ中にDNA/IMDM溶液を穏やかにそそぐ。
10. フラスコを左右に穏やかに攪拌して細胞を混合物で覆う。
11. 培養を4時間インキュベートする。
12. 培地を除去し、細胞をPBSですすぎ、新規の30mLのIMDM+2%FBSと交換する。
13. 形質導入後24時間目、培地を回収して、新規の30mLのIMDM+2%FBSと交換する。
14. 回収したVCMを0.22μMフィルターを介してろ過し、4℃で一晩保存する。
15. 形質導入後48時間目、培地を回収して、0.22μMフィルターを介してろ過する。
16. 両VCM回収物をプールおよびアリコートして、−70℃で保存する。
17. 必要に応じて、Vivaspin20(Sartorius)カラムを用いてVCMを濃縮する:
a. 10mLの70%エタノールを添加することによりVivaspin20 MWCO 100000を調製する
b. 1000gで10分間回転させる。
c. 残りのエタノールを廃棄して、PBSを15mL添加する。
d. 1000gで10分間回転させる。
e. 残りのPBSを廃棄して、VCMを18mL添加する。
f. 1000gで30分間または全VCMがカラムを通過するまで回転させる。
【0085】
いずれかの方法から得られたVCMを用いて(希釈または濃縮して)、標的細胞(T細胞系、末梢血単核球(PBMC)、CD34+造血前駆幹細胞(HPSC))を形質導入し、形質導入細胞のEGFP発現、(CD195抗体染色を介した)CCR5発現および(2F5抗体染色を介した)C46発現についてフローサイトメトリー分析した。
【0086】
実施例2.sh5/C46二重ベクターによるヒト標的T細胞系の形質導入
実施例1に記載の各種レンチウイルスベクターを用いてCEM.NKR.CCR5およびMolt4/CCR5細胞(NIH AIDS試薬プログラム)細胞に感染させた。10%FBSおよび8μg/mLのポリブレンと共に1mLの未濃縮ウイルス含有培地(VCM)で2×10
5細胞を再懸濁した。培養物を37℃で1時間半インキュベートして、さらに1mLの増殖培地を添加した(RPMI+10%FBS)。形質導入後4日目、細胞のC46発現(2F5抗体染色による)、CCR5ノックダウン(CD195抗体染色による)、およびGFP発現についてFACS分析により分析した。細胞を連続培養させ続け、週2回最大8週間継代させた。
【0087】
形質導入CEM.NKR.CCR5およびMolt4/CCR5細胞内のshRNA(CCR5ノックダウンにより検出した)とC46の同時発現を、それぞれ
図6および
図7に示す。GFP発現はEGFPを含む構築物に観察された(左から右の順でパネル1、3);CCR5発現低下(例えばCCR5の下方制御は、shRNA発現を示す)はsh5を含む構築物に観察され(左から右の順でパネル2、3、5)、C46発現(2F5抗体により測定した)はC46を含む構築物に観察された(左から右の順でパネル4、5)。培養中4週目と8週目、示されるレンチウイルスベクターでの形質導入細胞の各群における陽性細胞率を、4分割した各フローサイトメトリー(Q1〜Q4)に示す。4週目と8週目で類似した発現レベルが見られた。
図6の平均蛍光強度(MFI)値を下表3に示し、
図7のMFI値を下表4に示す。
【0088】
(表3)各種構築物を発現するCEM.NKR.CCR5細胞の平均蛍光強度値
【0089】
(表4)各種構築物を発現するMolt4/CCR5細胞の平均蛍光強度値
【0090】
導入遺伝子により細胞の増殖変数に何らかの相違が生じたかどうかを決定するため、それぞれ遺伝子導入構築物の100%発現を示したCEM.NKR.CCR5細胞を2×10
4細胞/mL播種し、4日間培養して計数した。次いでこの集団から1または2×10
5/mLの細胞を4つの別々の状況で3週間かけて播種し、4〜7日後に計数した。異なる構築物での形質導入細胞間に増殖速度差は観察されなかった(
図8)。
【0091】
これらの実験結果は、CCR5を標的とするshRNAとC46タンパク質の両方がヒトT細胞系における同じベクターから十分に発現でき、CCR5 shRNA発現とC46発現は細胞の増殖速度に対して影響がないことを示す。
【0092】
実施例3.sh5/C46二重ベクターによるヒト末梢血単核球(PBMC)の形質導入
実施例1に記載の各種レンチウイルスベクターを用いて、オーストラリア赤十字輸血施設から得たヒト末梢血単核球(PBMC)を感染させた。Ficoll−plaque PLUS(GE Healthcare)を用いてPBMCを軟膜から単離してから、CD8+マイクロビーズ(Miltenyi Biotec)およびVarioMACS磁気単位を用いてCD8を枯渇させた。CD8+枯渇PBMCを20%FBSおよび5μg/mLのフィトヘマグルチニン(PHA)(Sigma)で補充したRPMI 1640培地内で2×10
6細胞/mLで48時間培養した。PHAで2日間刺激後、懸濁液中の細胞を回収し、200gで5分間遠心分離して、形質導入前、2×10
6細胞/mLでRPMI+20%FBS+10U/mLの組換えヒトインターロイキン−2(rhIL−2;Roche)で4時間再懸濁した。
【0093】
好ましい形質導入方法を確認するため、PBMCを以下の様々な条件を用いてsh5/EGFPレンチウイルス構築物で形質導入した:VCMでの1×形質導入、VCMでの2×形質導入、VCM前負荷での1×形質導入(前負荷1)、VCM前負荷での2×形質導入(前負荷2)、約20倍(濃縮した)濃縮VCM(実施例1、項目B参照)。
図9に示すとおり、濃縮ウイルスでの形質導入が最も効果的であった。VCM前負荷での単回形質導入(前負荷1)をさらなる実験に好ましい方法として選択した。
図9のMFI値を下表5に示す。
【0094】
(表5)sh5/EGFP構築物を発現するPBMCの平均蛍光強度値
【0095】
PBMCを形質導入しないままか、または以下の手順に従いsh5/GFP、C46、sh5/C46、GFP対照もしくはsh5レンチウイルス構築物のうちの1つで形質導入した(1×前負荷)。未濃縮VCM250μLを(6時間)前負荷したレトロネクチン被覆24ウェルプレート(5μg/cm
2)上に1mLのPBMCを移して、一晩培養した。翌日、細胞を3mLのRPMI+20%FBS+10U/mLのrhIL−2内で6ウェルプレートに移した。形質導入後4日目、細胞のEGFP、CCR5およびC46発現について分析した。結果を
図10〜13に示す。
【0096】
図10に示すとおり、形質導入後4日目の異なる構築物におけるPBMC内でのEGFP、CCR5、およびC46発現は、予測したとおりであった。EGFP発現はEGFPを含む構築物に観察された(GFP対照およびsh5/GFP;パネル1、2);(CCR5 shRNAの発現を例証する)CCR5発現低下はsh5を含む構築物に見られ(sh5/EGFPおよびsh5/C46、パネル2および4)、C46発現(2F5抗体により測定した)はC46を含む構築物に観察された(C46およびsh5/C46;パネル3、4)。MFI値は
図10の左から右の順で16.2、8.4、16.8、9.4であった。
【0097】
図11は、形質導入PBMC(4日目)および形質導入CEM.NKR.CCR5T細胞系(8週目)における遺伝子発現の比較を示す。EGFP発現はEGFPを含む構築物での形質導入細胞に観察された(GFP対照およびsh5/GFP;パネル1および2);CCR5下方制御はsh5を含む構築物での形質導入細胞に見られ(sh5/EGFPおよびsh5/C46;パネル2および4)、C46発現(2F5抗体により測定した)はC46を含む構築物での形質導入細胞に観察された(C46およびsh5/C46;パネル3および4)。両細胞タイプにおいてレンチウイルス構築物から十分な発現レベルが観察されたが、T細胞内でPBMCと比較してより高い発現レベルが観察された。
図11のMFI値を下表6に示す。
【0098】
(表6)各種構築物を発現するPBMCまたはCEM.NKR.CCR5T細胞の平均蛍光強度値
【0099】
加えて、1、4、8および12日目、遺伝子形質導入(sh5、sh5/EGFP、C46、sh5/C46)PBMCと非形質導入PBMC間で増殖速度を比較した。各群の2つの複製播種を用いた。すべての形質導入PBMCは互いに、および非形質導入細胞と比較して類似した総細胞/ウェルおよび生存細胞率を示した(
図12)。
【0100】
PBMC内の導入遺伝子発現の安定性も試験した。
図13は、4、7および12日目、示される構築物で形質導入した細胞内のEGFP、CCR5、およびC46の発現(2F5抗体により測定した)を示す。12日目の細胞生存能は不明であったため、4日目と7日目間のみ比較した。
図13に示すとおり、両時点の各種導入遺伝子の発現は経時的に明らかに低下した。これは、おそらく経時的な増殖低下および生存能低下に関連する(
図12参照)。
図13のMFI値を下表7に示す。
【0101】
(表7)各種構築物を発現するPBMCの平均蛍光強度値
【0102】
これらの結果は、CCR5を標的とするshRNAとC46タンパク質の両方がヒトPBMCにおける同じベクターから十分に発現できることを示す。
【0103】
実施例4.sh5/C46二重ベクターによるヒト造血前駆/幹細胞(HPSC)の形質導入
sh5/C46レンチウイルスベクター(LV)を用いて、大量ドナー末梢血単核球から得たCD34+造血前駆/幹細胞(HPSC)を形質導入した。ドナーに顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)を注射してHPSCおよび末梢血単核球を動員した。G−CSF注射後、アフェレーシスにより細胞を回収し、動員したHPSCを含む大量単核球集団を凍結した。この実施例に用いた単核球試料は、これらの凍結ストックから得た。凍結時点で推定3.7×10
7 CD34+HPSCを含んだ50mL幹細胞回収バッグを融解した。融解時、総33.6×10
8生存細胞(73%生存能)を含むことが分かり、MACS(磁気抗体細胞分離)を用いて単離されたCD34+HPSC数は約3.3×10
7、すなわち約1%総単核球数(98%CD34陽性)であり、これは予測範囲内であった(
図14の上パネルの分離分析前後を参照されたい)。
【0104】
次いでこれらの細胞を以下の実験プロトコルに用いた:
1. 幹細胞因子(SCF)、トロンボポエチン(TPO)およびFlt3リガンド(Flt3L)(各50ng/mL)を含むXビボ血清非含有培地内で6×10
6細胞を24時間、前刺激した。
2. 次いでウイルス含有培地(VCM)で6時間、前負荷した12ウェルプレートに4×10
5細胞のアリコートを移した。細胞を一晩(GFP対照、sh5、sh5/EGFP、C46、またはsh5/C46と)形質導入するかまたは形質導入しないままにしてから新規培地に72時間移した。
3. 形質導入後72時間目に実施したFACS分析により、GFPによる25〜30%形質導入が示された(
図14、下パネル)。この実施例において、C46は2F5染色により検出不能であった。これは明らかにこれらの細胞がフローサイトメトリー感受性を欠くためである。残りの細胞をCAMEO−4(Hemogenix)メチルセルロース培養に入れ、複製で100細胞/ウェルでプレート化した。コロニーをスコア時、11日目の培養間に有意差は見られなかった(表8)。
【0105】
(表8)各種レンチウイルス構築物で形質導入したCD34+HPSCのコロニー率(%)
【0106】
実施例5.sh5/C46二重ベクター形質導入T細胞系はHIV複製を阻害する
sh5/C46二重レンチウイルス構築物で形質導入したT細胞系(Molt4/CCR5)(実施例1のベクター説明を参照されたい)をHIVの各種株:HIV
Bal(CCR5向性)、HIV
IIIB(CXCR4向性)、およびHIV
SF2(CCR5およびCXCR4向性)に曝露させた。曝露アッセイにおいて、1×10
6形質導入Molt4/CCR5細胞を15mL管に添加し、遠心分離した。上清を廃棄した。HIVウイルス含有培地(VCM)を添加して各管の最終濃度を感染効率(MOI)0.2〜0.002にした。次いでポリブレンを添加して最終濃度を8μg/mLにし、各管を穏やかに軽く叩いた。細胞およびウイルスを37℃で2時間インキュベートし、30分毎に穏やかに撹拌した。2時間インキュベーション後、培地(RPMI+10%FBS)内で細胞を洗浄し、T25フラスコ内培地3〜4mLで再懸濁した。細胞試料を採取して、11日目までに3〜4日毎に供給した。上清150μlを2回反復除去し、4℃で保存した。製造業者のプロトコルに従い、一般に値が標準曲線上に乗ることを確実にするために1/10
5〜1/10
6希釈を用いてP24タンパク質レベル(HIV感染の測定値)をアッセイした。
【0107】
図15は、二重向性HIV株SF2(CCR5およびCXCR4向性)で曝露から13日後、非形質導入細胞または二重sh5/C46レンチウイルス構築物での形質導入細胞のp24タンパク質レベルを示す。結果は、sh5/C46構築物での形質導入細胞は、2つの独立した試料採取のそれぞれにおいて全3つのMOI(0.2、0.02、0.002)で非形質導入細胞と比較して約2対数の阻害を示したことを示す。
図16は、二重向性HIV株SF2曝露から11日後、非形質導入細胞またはsh5/C46もしくはC46レンチウイルス構築物のいずれかでの形質導入細胞のp24タンパク質レベルを示す。データは、2つの独立した試料採取のそれぞれにおいて、試験した2つのMOIでsh5/C46構築物による約2対数の阻害およびC46による3対数の阻害(明らかにこの特定の構築物内のC46高発現のため)を示す。
図16の下パネルは、フローサイトメトリーによる発現を示す。平均蛍光強度値を下表9に示す。
【0108】
(表9)C46またはsh5/C46レンチウイルス構築物を発現するMolt4/CCR5細胞の平均蛍光強度値
【0109】
別の実験において、Molt4/CCR5細胞を形質導入しないかまたはC46(遺伝子2)もしくはsh5/C46(G2R5)レンチウイルス構築物で形質導入してからHIV−SF2二重向性(CCR5およびCXCR4)、Bal(CCR5向性)もしくはNL4−3(CXCR4向性)ウイルスにMOI0.2で曝露させた。HIV感染の測定値としてウイルス曝露から11日後にP24タンパク質レベルを評価した。
図17に示すとおり、両レンチウイルス構築物を発現する細胞は全3つのHIV株への感染を効果的に低減した。
図18は、CCR5向性HIV株BalをMOI0.2で曝露してから7日後および10日後の、非形質導入細胞(Molt4)または4つのレンチウイルス構築物[(1)sh5(R5);(2)C46(G2);(3)sh5/C46(R5−G2);(4)sh5/EGFP(R5−GFP)]のうちの1つでの形質導入細胞のp24タンパク質レベルを示す。「混合」群は、非形質導入、sh5、C46、sh5/C46をすべて均等に(すなわち各25%ずつ)混合した混合物である。結果は、単一のレンチウイルス構築物(二重構築物)からのCCR5に対するshRNAおよびC46遺伝子を発現する細胞では、ウイルス曝露から7日後と10日後の両日でCCR5向性HIV株への感染に対する保護が高まったことを示す。
【0110】
この一連の実験の結果は、二重sh5/C46レンチウイルス構築物で形質導入したT細胞は、CCR5、CXCR4、ならびに二重向性CCR5およびCXCR4 HIV株への感染に対して保護されることを示す。
【0111】
実施例6.sh5/C46二重ベクター形質導入PBMCはHIV複製を阻害する
フィトヘマグルチニン(PHA)/IL2刺激末梢血単核球(PBMC)を実施例3に記載のレンチウイルスベクターで形質導入した。CCR5に対するshRNAとC46タンパク質を発現する二重構築物(LVsh5C46)の図式を
図19Aに示す。形質導入後4日目、適切なモノクローナル抗体(例えば、CD195または2F5抗体)で細胞を着色し、CCR5、C46、およびGFP発現をフローサイトメトリーにより分析した(
図19B)。レンチウイルス(LV)形質導入後16日目、LV形質導入PBMCをR5向性HIV株またはX4向性HIV株に曝露させた。HIV感染後4日目、培養上清を回収してp24タンパク質をELISAによりアッセイした(
図19C)。
【0112】
図19Cに示すとおり、sh5/C46レンチウイルスベクターで形質導入したPBMCは、p24タンパク質レベルにより評価したR5向性株とX4向性株の両方に誘発されたHIV感染が低下したことを示す。sh5/GFP構築物で形質導入したPBMCは、R5向性HIVに誘発される感染に対して耐性であるが、X4向性HIVに誘発される感染に対しては耐性ではない。これらの結果は、sh5/C46二重ベクターは、R5向性株またはX4向性株のいずれかの誘発されるHIV感染に対しても保護できることを示す。
【0113】
実施例7.sh5ベクターは、リンパ器官内のCCR5発現を下方制御し、エクスビボで形質導入CD4+Tリンパ球の優先的生存をもたらす
マトリゲルと胸腺切片との組み合わせで固化したsh5レンチウイルス形質導入CD34+造血前駆/幹細胞(HPSC)をヒト化骨髄/肝臓/胸腺(BLT)マウスモデルの腎臓莢膜下で移植した(Melkus et al. (2006) Nat Med, Vol. 12:1316−1322; Shimizu et al. (2010) Blood, Vol. 115:1534−1544を参照されたい)。NOD/SCID−hu BLTヒト化マウスでは、ヒト胸腺様小器官(thy/liv)における形質導入ヒトHPSC分化、およびHIV複製の主要部位である腸関連リンパ組織を含む全身性リンパ器官内の分化したヒトTリンパ球移動の評価が可能である。
【0114】
このヒト化マウスモデルにおいてsh1005(CCR5を標的とするshRNA)を評価するため、マトリゲルと胸腺切片で固化したベクター形質導入胎児肝由来CD34+細胞およびCD34−細胞を腎臓莢膜下で移植して、ベクター形質導入thy/liv組織を生成した。3週間後、ベクター形質導入自家CD34+HPSC(1×10
6細胞)を亜致死照射したマウス尾に静脈内注射した。動物内のCCR5低下の影響を評価するため、sh1005ベクター(EGFP+)と非shRNA対照ベクター(mCherry+)で形質導入したCD34+HPSC(5×10
5細胞)の等量混合を共移植した。この実験設計は、CCR5低下の安定性および特異性レベルに関してsh1005ベクター形質導入細胞が非shRNAベクター形質導入細胞と異なるかどうかの評価を可能にする;マウス間の変動を制御するために、両ベクターは同じ動物に存在する。EGFPまたはmCherry単独のいずれも再集団動態またはCCR5発現に対していかなる影響も与えなかった(データは示さず)。
【0115】
CD34+注射後11週からヒト細胞移植を評価した。フローサイトメトリー分析により、移植したマウス由来の末梢血のゲートされたリンパ球集団でヒトCD45+リンパ細胞を検出した(平均44%、標準偏差±28、n=19)。EGFPおよびmCherry発現がこの移植マウス内のヒトCD45+集団に見出された(平均EGFP22%、標準偏差±19、平均mCherry22%、標準偏差±13、n=16)。CD34+HPSC移植後14〜20週目、再構成動物の各種リンパ組織内のヒトCD4+およびCD45+T−リンパ球内のCCR5−ノックダウンを評価した(
図20A)。分析した全組織内でEGFP+ヒトCD4+およびCD45+T−リンパ球内のCCR5発現は効果的に低下した。注目すべきことに、腸から単離されたCCR5高発現粘膜固有層リンパ球内でさえCCR5低下は効果的であった。CCR5は、同じ動物のmCherry+ヒトCD4+/CD45+T−リンパ球では低下しなかった。これらの結果は、CCR5−shRNA発現はヒトT−リンパ球の分化および移動に影響を与えず、インビボ全身性リンパ器官内のCCR5下方制御を効果的に誘発したことを示す。
【0116】
CCR5下方制御した細胞内のHIV感受性を評価するため、EGFP+およびmCherry+脾細胞を細胞分取により動物から単離した。分取した細胞をR5向性HIV−1
NFNSXSL9またはX4向性HIV−1
NL4−3のいずれかに感染させた(感染効率2.5で三つ組)。12日間の培養期間にわたり、EGFP+脾細胞の培養上清内でp24HIVgag殻タンパク質産生は増加しなかった(
図20B)。一方、mCherry+脾細胞はR5向性HIV−1
NFNSXSL9の影響を受けやすく、7日目および12日目に培養上清中で約4倍高いレベルのp24を産生し(P値=0.003)、これは、CCR5下方制御がR5向性HIV−1感染を効果的に阻害したことを示す。R5向性HIV−1感染とは異なり、X4向性HIV−1
NL4−3感染により、EGFP+脾細胞培養上清とmCherry+脾細胞培養上清の両方で同等量のp24が産生され、阻害の特異性が確認された(P値=0.23)。これらの結果により、sh1005によるCCR5下方制御は、エクスビボ刺激した細胞をR5向性HIV−1曝露から保護する上で十分であったが、X4向性HIV−1曝露からは保護しなかったことが示された。
【0117】
CCR5下方制御したCD4+T細胞のインビボHIV感受性ならびに選択的保護および生存を評価するため、HPSC移植後9週目、R5向性HIV−1
NFNSXSL9を再構成マウスに静脈内注射した(p24=200ng)。HIV注射後8週目、PHA/IL2活性化ヒトPBMCで共培養したマウス末梢血上清中のp24の存在によりマウスがHIVに感染したことを確認した。EGFPおよびmCherry発現CD4+T細胞の末梢血中動態を評価した(
図20C)。この動物へのHIV注射後8週目までに、末梢血中のCD4+T細胞内のEGFP+集団%は20%から40%に増加した。一方、この動物内のCD4+T細胞内のmCherry+集団は40%から3%に低下した。HIV誘発性CD4 T細胞損失を示すCD4/CD8比率の反転を評価した。末梢血中のHIV曝露後8週目までに、EGFP+リンパ球内のCD4/CD8比率は1超に維持された(
図20D)。一方、mCherry+CD45+細胞内のCD4/CD8比率は0.1に反転した。これらの結果は、sh1005による安定したCCR5の下方制御は、R5向性HIVインビボ曝露後にCD4+T細胞を選択的に増加させるのに十分であったことを示す。
【0118】
実施例8.ヒト化マウスモデルにおけるsh5/C46二重ベクターの試験
sh5ベクター(Shimizu et al. (2010) Blood, Vol. 115: 1534−1544)について実施例7に記載のように、ヒト化BLTマウスモデルにおいてsh5/C46二重レンチウイルスベクターを試験する。このヒト化マウスモデルにおいてsh5/C46二重ベクターを評価するため、マトリゲルと胸腺切片で固化したベクター形質導入胎児肝由来のCD34+細胞およびCD34−細胞を腎臓莢膜下で移植してベクター形質導入thy/liv組織を生成する。3週間後、ベクター形質導入自家CD34+HPSC(1×10
6細胞)を亜致死照射したマウス尾に静脈内注射する。動物内のCCR5低下およびC46発現の影響を評価するため、二重sh5/C46ベクター(EGFP+)と対照(空レンチウイルス)ベクター(mCherry+)形質導入した等量混合のCD34+HPSC(5×10
5細胞)を共移植する。他の対照、例えば別の蛍光タンパク質(例えばYFP)を含むsh5単独ベクター、およびさらに別の蛍光タンパク質(例えばCFP)を含むC46単独ベクターがCD34+HPSCを形質導入するために使用され、移植のための混合物に存在する。この実験設計は、各種構築物の形質導入細胞間におけるCCR5低下およびC46発現の安定性および特異性レベルに関する相違を評価することを可能にする;マウス間の変動を制御するために、ベクターはすべて同じ動物に存在する。
【0119】
フローサイトメトリーおよびRT−PCRを用いて、対照(mCherry+)および活性sh5/C46(EGFP+)形質導入細胞を経時的に比較する。sh5/C46形質導入細胞と、単一ベクター(sh5またはC46)の1つで形質導入した細胞を比較する。HPSC移植後、再構成動物にR5、X4、または二重向性HIV株を静脈内注射することによりHIV感染に対する感受性を評価する。各ベクター形質導入集団のCD4+T細胞%およびCD4/CD8 T細胞比率を評価して、CD4+T細胞生存に対するCCR5ノックダウンおよびC46発現効果を確認する。
【0120】
実施例9.ヒトHIV患者における二重構築物の使用
sh5/C46二重ベクター、sh5/TRIM5α二重ベクター、またはsh5/TRIM5α−シクロフィリン二重ベクターを含む二重レンチウイルス構築物を自家ヒト細胞内に導入し、続いて患者に投与する。二重レンチウイルス構築物を再移植予定の患者から単離されたCD34+HPSC細胞、CD4+T細胞、CD8+T細胞、単球/マクロファージ(例えば自家細胞)の1つまたは複数内に導入する。あるいは、別の個人由来の(同種異系間の)細胞を使用する。あるいは、本明細書に記載の三重ベクターを使用する。
【0121】
HIV向性に関して、多くの患者はR5ウイルスを有し、少ない比率の患者がX4ウイルスを有し、中程度数の患者が混合集団を有する。本明細書に記載の二重構築物はR5ウイルスとX4ウイルスの両方を標的とする能力を有し、混合した細胞集団を有する患者に有益であり得、単独の集団を有する患者における耐性を予防もし得る。構築物は、HAART耐性ウイルスを有する患者においても有益であり得る。
【0122】
形質導入のための細胞は、HPSCおよび他の細胞を動員するサイトカインを1つまたは複数注射することにより患者から得られ、関連細胞集団がレンチウイルス形質導入のために分離される。形質導入細胞は、同じ患者または別の患者の静脈内に導入してHIV感染を治療または予防する。形質導入細胞の1回もしくは複数回投与または注入は本明細書に記載のように使用する。
【0123】
臨床試験は、患者の臨床状態、先行治療および/または治療耐性などの考慮に基づき設計する。様々な患者群を試験対象とする。例えば、1つの小集団の患者は、高活性抗レトロウイルス剤療法未施行(すなわちHAART未施行)である。通常、これらの患者は、(HIV感染という背景にも関わらず)非常に健康であり、二重レンチウイルス形質導入造血細胞を受ける選択基準は、比較的急速なCD4低下、高いウイルス負荷、および/または早期症状の既往歴を有する患者を含み得る。
図21は、かかる患者群において予測される反応を示す。二重レンチウイルスベクター形質導入細胞は、0時点で患者に導入する。
図21Aおよび21Bは、形質導入細胞の1回注入で治療した患者(星印)と二重レンチウイルスベクター形質導入細胞を受けていない患者(三角)で比較した予測されるウイルス負荷およびCD4数を示す。未治療患者は高いウイルス負荷、および経時的なCD4数の継続的低下を維持することが予測される。一方、二重レンチウイルスベクター形質導入細胞で治療した患者は、経時的なウイルス負荷の低下および(アフェレーシスに起因する潜在的な初期のわずかな低下後の)CD4数の増加を示すことが予測される。したがって治療は、HAARTの必要性を遅らせ得るおよび/またはHAARTを開始後のHAARTの必要条件を低減し得る。
【0124】
第2の小集団患者はHIV陽性であり、現在良好に管理されているHAART治療中である。
図22に、かかる患者群における二重レンチウイルスベクター形質導入細胞の単回注入に対して予測される反応を詳述する。形質導入細胞の1回投与で治療した患者(星印)と未治療患者(三角)で比較した予測されるウイルス負荷を示す。二重レンチウイルスベクター形質導入細胞は、0時点で患者に導入する。2つのHAART治療を各種時点(ATI)、例えば24〜28週間および40〜48週間に中断し、ウイルス負荷が事前に設定した安全性限界値(例えば、100Kの複製/mL)未満にとどまる場合に患者のHAARTを中断する。HAART中断は、二重レンチウイルス構築物により保護されたこれらの細胞のHIV誘発性優先的生存およびその結果のウイルス負荷低下期間を設けるためである。主要エンドポイントは48週目であるが、40〜48週目および40〜100週目のウイルス負荷曲線下領域も測定できる。(必要に応じて)患者がHAARTを再開時、ウイルス負荷は治療患者と未治療患者の両方で(ただし、二重レンチウイルス形質導入細胞を注入しない患者ではよりゆっくりと)長期間低下することが予測される。治療は、HAARTの必要性およびHAART関連合併症を低減し得る。
【0125】
第3の患者群は、HAART薬剤耐性、非コンプライアンス、または他のいくつかの理由のためにHAARTが奏効していない個人を含む。
図23はかかる患者において予測されるウイルス負荷(
図23A)および予測されるCD4数(
図23B)を示す。二重レンチウイルス形質導入細胞の注入後の0日目、ウイルス負荷は同じままかまたは増加すると予測されてCD4数は経時的に減少すると予測される未治療患者(三角)と比較して、ウイルス負荷は低減してCD4数は増加すると予測される(星印)。
【0126】
すべての患者群におけるエンドポイントは、ウイルス負荷、CD4数、HAARTの再開/開始までの時間、形質導入細胞率(%)、およびT細胞受容体切除サークル(最近の胸腺移出の測定値)およびHAARTのための必要条件の低減を含む。
【0127】
実施例10.CCR5およびTRIM5αに対するshRNAを含む二重ベクター(sh5/TRIM5α二重ベクター)の構築
H1プロモーターの管理下でCCR5を標的とするshRNA、およびユビキチンプロモーターの管理下でTRIM5αタンパク質をコードする核酸を含む二重レンチウイルスベクターを、実施例1に記載の主鎖ベクターを用いて構築する。例えば、U−EGFPカセットは、制限酵素を用いてsh1005およびユビキチンプロモーターにより駆動されたEGFPを含むプラスミド構築物であるpFG12−H1−R5−U−EGFP(
図3参照)から除去してpFG12−H1−R5を産生する。
【0128】
EGFP遺伝子をpFG11F−U−EGFP(
図4のpFG11F)から除去し、TRIM5α遺伝子(配列番号5)と置換してpFG11F−U−TRIM5αを産生する。H1−R5カセットは、NdeI/XhoI消化を用いてpFG12−H1−R5−U−EGFPから切除してpFG11F−U−TRIM5α内に挿入し、これもNdeI/XhoIで消化させて、pFG11F−H1−R5−U−TRIM5αを産生する(
図24A)。この構築物を用いて実施例1の項目Bに記載のレンチウイルスを作製する。
【0129】
実施例11.CCR5に対するshRNA、C46、およびTRIM5αを含む三重ベクター(sh5/C46/TRIM5α三重ベクター)の構築
図24Bに示すとおり、βアクチンプロモーター−TRIM5αを多クローニング部位へクローニングすることにより二重ベクターpFG11F−H1−R5−U−C46から三重ベクターを産生する。
【0130】
本明細書において論じ、引用した刊行物、特許および特許出願はすべて、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。開示した発明は、記載の特定の方法、プロトコルおよび材料は変わり得るので、それらに限定されないことが理解される。本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明するのみの目的で記載され、本発明の範囲を制限することを意図せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることも理解される。
【0131】
当業者は、通例の実験のみを用いて、本明細書に記載の本発明の具体的な実施形態の等価物を多く認識するか、または確認できるであろう。かかる等価物は、以下の特許請求の範囲に含まれることが意図される。