(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記パイロット燃料噴射孔(2)の前記距離(3)は、前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記バーナ領域(64)の前記エッジ(66)の前記距離(4)の30%以下である、請求項1記載のパイロットバーナアセンブリ(1)。
前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記パイロット燃料噴射孔(2)の前記距離(3)は、前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記バーナ領域(64)の前記エッジ(66)の前記距離(4)の15%以下である、請求項1または2記載のパイロットバーナアセンブリ(1)。
前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記パイロット燃料噴射孔(2)の前記距離(3)は、前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記バーナ領域(64)の前記エッジ(66)の前記距離(4)の5%以上である、請求項1から3までのいずれか1項記載のパイロットバーナアセンブリ(1)。
前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記パイロット燃料噴射孔(2)の前記距離(3)は、前記バーナヘッド面(62)の前記中心(65)からの前記バーナ領域(64)の前記エッジ(66)の前記距離(4)の10%以上である、請求項1から4までのいずれか1項記載のパイロットバーナアセンブリ(1)。
前記半径方向外方(88)は、前記バーナヘッド面(62)に対して30度〜90度、特に30度〜60度の角度(5)を形成している、請求項1から6までのいずれか1項記載のパイロットバーナアセンブリ(1)。
前記複数のパイロット燃料噴射孔(2)は、少なくとも、第1のパイロット燃料噴射孔(6)および第2のパイロット燃料噴射孔(7)を含み、前記各第1のパイロット燃料噴射孔(6)および第2のパイロット燃料噴射孔(7)は、前記パイロット燃料を前記バーナヘッド面(62)に対して異なる角度(58,59)で前記半径方向外方(88)へ提供するように適合されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のパイロットバーナアセンブリ(1)。
請求項1から9までのいずれか1項記載のパイロットバーナアセンブリ(1)を有する少なくとも1つの燃焼器アセンブリ(100)を備える、ガスタービンエンジン(10)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本開示の目的は、エミッション、特にNOxを減らす技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、本技術の請求項1記載のパイロットバーナアセンブリ、請求項11記載のこのようなパイロットバーナアセンブリを具備する燃焼器アセンブリ、および請求項12記載の少なくとも1つのこのような燃焼器アセンブリを有するガスタービンエンジンによって達成される。本技術の有利な実施形態は、従属請求項に提供されている。
【0006】
本技術の第1の態様では、ガスタービンエンジン内の燃焼室用のパイロットバーナアセンブリが提供される。パイロットバーナアセンブリは、パイロットバーナおよびラジアルスワーラを有している。パイロットバーナはバーナヘッド面を有している。バーナヘッド面に、複数のパイロット燃料噴射孔が存在しかつ開放している。以下では孔とも呼ばれるパイロット燃料噴射孔は、燃焼のために燃焼室内へパイロット燃料を提供する。バーナヘッド面は中心を有する。ラジアルスワーラは、燃焼室において主燃料と空気との回転する混合物を生じる。ラジアルスワーラは複数のスワーラベーンを有する。スワーラベーンは、バーナヘッド面の中心に関してバーナヘッド面の周囲に周方向に配置されており、バーナヘッド面の中心の周囲に半径方向に配置されている。スワーラベーンは、半径方向内側の薄い端部を有している。バーナヘッド面の中心の周囲に位置付けられた薄い端部は、集合的にバーナヘッド面におけるバーナ領域を規定している。バーナ領域は、バーナヘッド面の中心と同心状であり、すなわち、バーナヘッド面の中心がバーナ領域の中心でもある。
【0007】
本技術のパイロットバーナアセンブリでは、バーナヘッド面における各パイロット燃料噴射孔は、バーナヘッド面の中心からのパイロット燃料噴射孔の距離が、バーナヘッド面の中心をバーナ領域のエッジと結びかつパイロット燃料噴射孔を通過する直線に沿って測定したとき、バーナヘッド面の中心からのバーナ領域のエッジの距離の50%以下であるように、バーナヘッド面上で、バーナ領域内に位置付けられている。中心からのパイロット燃料噴射孔の距離は、孔の幾何学的中心からまたはバーナヘッド面の中心から最も遠いパイロット燃料噴射孔境界のエッジ上の1つの点から測定されてもよい。
【0008】
中央領域内におけるまたはバーナヘッド面の中心の近くへのパイロット燃料噴射孔の配置の結果、すなわち、このアセンブリにおける孔が中央に位置付けられているので、パイロット燃料は、主にガスタービンエンジンの作動の部分負荷条件において、燃焼室内のバーナヘッド面の近くの再循環された高温生成ガス内へ噴射され、これにより、エミッションの低減、主に再燃焼されたNOxの低減(炭化水素ラジカルとの相互作用によるNOxの破壊)が生じる。パイロット燃料が低酸素領域へ噴射され、これによりパイロット燃料がより低温で燃焼するので、さらなる改善が生じる。燃焼プロセスのさらに後で、このパイロットバーナアセンブリを使用して、ガスタービンエンジンの作動中に燃焼室の主火炎領域における酸素の高い流入によって、二次燃焼が達成されてもよい。低温の主火炎は、追加の熱と、パイロット燃料の再燃焼からの部分的に燃焼した生成物との存在によって、さらに安定化される。これにより、本技術のパイロットバーナアセンブリは、NOxを減らし、選択的に、主火炎の安定化を促進する。
【0009】
以下ではバーナアセンブリとも呼ばれる、パイロットバーナアセンブリの一実施形態では、バーナヘッド面の中心からのパイロット燃料噴射孔の距離が、バーナヘッド面の中心からのバーナ領域のエッジの距離の30%以下である。これにより、孔は、バーナヘッド面の中心により近くなり、高温生成ガスの再循環が、燃焼室内でバーナヘッド面の近くの燃焼室の長手方向軸線の周囲のより希薄なまたはより小さなスペースに制限されているときでさえも、再循環された高温生成ガス内へパイロット燃料が噴射されることを保証する。
【0010】
バーナアセンブリの別の実施形態では、バーナヘッド面の中心からのパイロット燃料噴射孔の距離が、バーナヘッド面の中心からのバーナ領域のエッジの距離の15%以下である。これにより、孔は、バーナヘッド面の中心にさらに近くなり、高温生成ガスの再循環が、燃焼室内でバーナヘッド面の近くの燃焼室の長手方向軸線の周囲のさらにより小さなスペースに制限されているときでさえも、再循環された高温生成ガス内へパイロット燃料が噴射されることを保証する。
【0011】
バーナアセンブリの別の実施形態では、バーナヘッド面の中心からのパイロット燃料噴射孔の距離は、バーナヘッド面の中心からのバーナ領域のエッジの距離の5%以上である。これにより、孔は、バーナヘッド面において中央に配置されているが、バーナヘッド面の中心には存在せず、再循環された高温生成ガス内への、噴射されたパイロット燃料のより良好な混合および分配を保証する。
【0012】
バーナアセンブリの別の実施形態では、バーナヘッド面の中心からのパイロット燃料噴射孔の距離は、バーナヘッド面の中心からのバーナ領域のエッジの距離の10%以上である。これにより、孔は、バーナヘッド面において中央に配置されているが、バーナヘッド面の中心には存在せず、バーナヘッド面上のより大きな領域に孔が配置されており、これにより、バーナヘッド面における孔のより良好な分配、および再循環された高温生成ガス内への、噴射されたパイロット燃料のより良好な分配および混合を保証する。
【0013】
バーナアセンブリの別の実施形態では、バーナ領域は円形である。これは、スワーラベーンがバーナヘッド面に対称的にかつ円形に配置されているアセンブリの一実施形態を提供する。
【0014】
バーナアセンブリの別の実施形態では、各パイロット燃料噴射孔は、パイロット燃料を半径方向外方へ提供するように適応されている。これは、パイロット燃料が半径方向内方へ提供される現時点で公知のパイロットバーナに対するさらなる改良である。パイロット燃料を半径方向外方へ提供する結果、再循環された高温生成ガス内への、噴射されたパイロット燃料のより良好な分配および混合が保証される。
【0015】
バーナアセンブリの別の実施形態では、半径方向外方は、バーナヘッド面に対して30度〜90度、好適には30度〜60度の角度を形成している。これにより、ガスタービンエンジンの作動中に、再循環された高温生成ガスがバーナヘッド面との直接的な物理的接触を確立しないときでさえも、パイロット燃料は、再循環された高温生成ガス内へ、分配された形式で噴射される。噴射されたパイロット燃料の混合および分配が増大する。
【0016】
バーナアセンブリの別の実施形態では、複数のパイロット燃料噴射孔は、少なくとも、第1のパイロット燃料噴射孔および第2のパイロット燃料噴射孔を有している。第1および第2のパイロット燃料噴射孔のそれぞれは、バーナヘッド面に対して異なる角度でパイロット燃料を半径方向外方へ提供する。これにより、パイロット燃料を異なる角度で燃焼室内へ、ひいては再循環された高温生成ガス内へ噴射するために、異なる孔が使用され、これは、再循環された高温生成ガス内での、パイロット燃料の散らばった分配および混合を提供する。
【0017】
バーナアセンブリの別の実施形態では、パイロット燃料噴射孔は、二次元配列で、例えば、バーナヘッド面の中心の周囲に1つの円形の配列でまたは異なる半径を有する2つの同心状の円形の配列で配置されている。噴射されたパイロット燃料の混合および分配が増大する。
【0018】
本技術の第2の態様では、ガスタービンエンジン用の燃焼器アセンブリが提供される。燃焼器アセンブリは、長手方向軸線を有する燃焼室と、本技術の第1の態様によるパイロットバーナアセンブリとを有している。パイロットバーナアセンブリは、燃焼室の長手方向軸線がバーナヘッド面の中心と一致するように配置されている。パイロットバーナ、ラジアルスワーラおよび燃焼室は、長手方向軸線に沿って直列に配置されている。ラジアルスワーラを通じて燃焼室内へ主燃料を提供する主バーナが存在してもよい。これにより、本技術の燃焼器アセンブリは、本技術の上記態様と同じ利点を有する。
【0019】
本技術の第3の態様では、ガスタービンエンジンが提供される。ガスタービンエンジンは、少なくとも1つの燃焼器アセンブリを備え、燃焼器アセンブリ自体は、本技術の第1の態様によるパイロットバーナアセンブリを有する。
【0020】
これまで説明した全ての構成は、気体燃料または液体燃料で作動するまたはデュアル燃料で作動するパイロットバーナおよび燃焼器アセンブリに適用されてもよい。さらに、パイロットバーナは、本開示のパイロット燃料噴射孔に加えて、異なって位置付けられた1つまたは複数の燃料噴射開口を有していてもよい。
【0021】
本技術の上述の属性およびその他の特徴および利点ならびにそれらを達成する形式がより明らかになるであろう。本技術それ自体は、添付の図面に関連してなされる本技術の実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より良く理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本技術の上述の特徴およびその他の特徴が詳細に説明される。様々な実施形態が図面に関連して説明され、図面において、全体を通じて同じ要素を示すために、同じ符号が用いられる。以下の記述では、説明のために、1つまたは複数の実施形態の十分な理解を提供するために多数の特定の詳細事項が示される。例示される実施形態は、本発明を説明することを意図したものであり、本発明を限定することを意図したものではないことに留意されてもよい。このような実施形態は、これらの特定の詳細事項なしに実施可能であることが明らかであってもよい。
【0024】
図1は、ガスタービンエンジン10の一例を断面図で示している。ガスタービンエンジン10は、流れ順で、入口12と、圧縮機または圧縮機セクション14と、燃焼器セクション16と、タービンセクション18とを有しており、これらは、ほぼ流れ順で、ほぼ回転軸線20を中心にかつ回転軸線20の方向に配置されている。ガスタービンエンジン10は、さらに、回転軸線20を中心に回転可能であり、ガスタービンエンジン10を通って長手方向に延びているシャフト22を有している。シャフト22は、タービンセクション18を圧縮機セクション14に駆動接続している。
【0025】
ガスタービンエンジン10の作動時、空気入口12を通じて取り込まれた空気24は、圧縮機セクション14によって圧縮され、燃焼セクションまたはバーナセクション16へ供給される。バーナセクション16は、バーナプレナム26と、長手方向軸線35に沿って延びる1つまたは複数の燃焼室28と、各燃焼室28に固定された少なくとも1つのバーナ30とを含む。一般に、バーナ30は、主バーナ(図示せず)およびパイロットバーナ(
図1には示されていない)を有している。長手方向軸線35はバーナ30の中心を通っている。燃焼室28およびバーナ30は、バーナプレナム26内に配置されている。圧縮機14を通過した圧縮空気は、ディフューザ32に進入し、ディフューザ32からバーナプレナム26内へ排出され、バーナプレナム26から、空気の一部がバーナ30に入り、気体燃料または液体燃料と混合される。次いで、空気/燃料混合物が燃焼し、燃焼による燃焼ガス34または作動ガスが、トランジションダクト17を介してタービンセクション18へ燃焼室28を通って送られる。
【0026】
この典型的なガスタービンエンジン10は、カニュラ型燃焼器セクション配列16を有している。カニュラ型燃焼器セクション配列16は、各燃焼器缶19がバーナ30および燃焼室28を有している、燃焼器缶19の環状配列によって構成されている。トランジションダクト17は、燃焼室28と接続された略円形の入口と、環セグメントの形式の出口とを有している。トランジションダクト出口の環状配列は、燃焼ガスをタービン18へ送るための環を形成している。
【0027】
タービンセクション18は、シャフト22に取り付けられた複数のブレード支持ディスク36を有している。この実施例では、2つのディスク36はそれぞれ、タービンブレード38の環状配列を支持している。しかしながら、ブレード支持ディスクの数は異なっていてもよく、すなわち、1つのディスクのみまたは3つ以上のディスクであってもよい。加えて、ガスタービンエンジン10のステータ42に固定されたガイドベーン40は、タービンブレード38の環状配列の段の間に配置されている。燃焼室28の出口と、最初のタービンブレード38との間に、入口案内ベーン44が設けられており、入口案内ベーン44は、作動ガスの流れをタービンブレード38へ方向転換させる。
【0028】
燃焼室28からの燃焼ガス34はタービンセクション18に入り、タービンブレード38を駆動し、タービンブレード38自体はシャフト22を回転させる。ガイドベーン40,44は、タービンブレード38への燃焼ガスまたは作動ガス34の角度を最適化するように機能する。
【0029】
タービンセクション18は圧縮機セクション14を駆動する。圧縮機セクション14は、ベーン段46とロータブレード段48の軸方向連続を含む。ロータブレード段48は、ブレードの環状配列を支持するロータディスクを有する。圧縮機セクション14は、ロータ段を包囲しかつベーン段48を支持するケーシング50も有する。ガイドベーン段は、ケーシング50に取り付けられた、半径方向に延びるベーンの環状配列を有する。ベーンは、任意のエンジン作動時点におけるブレードのための最適角度でガス流を提供するために設けられている。ガイドベーン段のうちの幾つかは、可変ベーンを有しており、ベーンの角度は、ベーン自体の長手方向軸線を中心に、様々なエンジン作動条件において生じる可能性がある空気流れ特性に従う角度のために調節することができる。
【0030】
ケーシング50は、圧縮機14の通路56の半径方向外面52を画成している。通路56の半径方向内面54は、少なくとも部分的にロータのロータドラム53によって画成されている。ロータドラム53は、部分的にロータブレード段48の環状配列によって画成されている
【0031】
本技術は、単一の多段圧縮機と単一の一段または複数段タービンとを接続する単一の軸またはスプールを有する上記の典型的なタービンエンジンに関して説明される。しかしながら、本技術は、工業用途、航空機用途または船舶用途のために使用することができる2軸または3軸エンジンに等しく適用可能であることが認識されるべきである。さらに、カニュラ型燃焼器セクション配列16は、典型的な目的のためにも使用され、本技術は、アニュラ型およびカン型燃焼室に等しく適用可能であることが認識されるべきである。
【0032】
上で使用されているように軸方向、半径方向および周方向という用語は、別段の定めがないかぎり、エンジンの回転軸線20に関して用いられる。以下で使用されるように軸方向、半径方向および周方向という用語は、別段の定めがないかぎり、燃焼室28および燃焼室28に関連したバーナ30の長手方向軸線35に関して用いられる。
【0033】
図2は、本技術のパイロットバーナアセンブリ1の典型的な実施形態を有する燃焼器アセンブリ100の典型的な実施形態の分解図を概略的に示している。アセンブリ1および/または100は一般により多くの部材を含んでもよく、
図2には、本技術の理解のために重要な部材または構成部材のみが示されていることに留意されてもよい。
【0034】
以下ではアセンブリ100と呼ばれる燃焼器アセンブリ100は、バーナヘッド面62を有するパイロットバーナ60と、燃料と空気との回転する混合物を形成するためにバーナヘッド面62の周囲に沿って環状ベースプレート71に配置された、略くさび形またはパイスライス形のスワーラベーン72を有するラジアルスワーラ70と、スワーラ70のスワーラベーン72が取り付けられている環状クロージングプレート92と、燃焼ケーシング98によって画成された燃焼室28と、選択的に、スワーラ70と燃焼ケーシング98との間に配置されたプレチャンバ96と呼ばれるトランジションピースと、を備える。燃焼室28は、プレチャンバ96の直径よりも大きな直径を有している。燃焼室28は、ドームプレート(図示せず)を含むドーム部分(図示せず)を介してプレチャンバ96に接続されている。一般に、トランジションピース96またはプレチャンバ96は、パイロットバーナ60に向かって燃焼ケーシング98の一部分の連続体としてまたはパイロットバーナ60と燃焼ケーシング98との間の別個の部分として実装することができる。パイロットバーナ60および燃焼室28は、実質的に、長手方向軸線35を中心とする回転対称性を示している。一般に、長手方向軸線35は、燃焼器アセンブリ100、およびパイロットバーナアセンブリ1を含むその構成部材のための対称軸である。
図5に示すように、長手方向軸線35は、バーナヘッド面62の中心65(
図2に示されていない)を通過する。
【0035】
スワーラ70において、複数、例えば12個のスワーラベーン72が、隣接するスワーラベーン72の間にスロット75を形成するように、環状ベースプレート71の周囲に沿って周方向に間隔を置いて配置されている。環状ベースプレート71は、各スロット75の半径方向外側端部にベース噴射孔77を有しており、これらのベース噴射孔77によって主燃料がスワーラ70へ供給される。各スワーラベーン72は、加えて、その側面73の半径方向外側端部に、1つまたは複数の側面噴射孔76を有しており、これらの側面噴射孔76によっても主燃料がスワーラ70へ供給される。複数の固定孔78が、スワーラベーン72およびベースプレート71を貫通して延びており、これらの固定孔78を通して、
図2に示されているようにスワーラベーン72がベースプレート71に固定される。これに代えて、スワーラベーン72は、ベースプレート71と一体に、すなわち、一部分の延長体として形成されてもよい。ベースプレート71は、バーナヘッド面62の周囲に沿って環状に配置されたアダプタプレート(図示せず)に固定されているが、スワーラベーン72を含むスワーラ70は、スワーラ70を他の構成部材(図示せず)に支持することによってパイロットバーナアセンブリ1のために配置されてもよい。
【0036】
図3に示すように、各スワーラベーン72は、半径方向内側の位置を有する薄い端部74を有している。スワーラベーン72の半径方向内側の薄い端部74は、環状ベースプレート71の半径方向内側エッジ79よりも後退しているので、これにより、エッジ79の半径方向ですぐ外側に環状レッジ80(
図3および
図4に示されている)を形成している。
【0037】
プレチャンバ96は、円筒状であり、環状クロージングプレート92と一体的に形成されてもよいし、または中間構成部材(図示せず)を通して環状クロージングプレート92に取り付けられてもよい。すなわち、環状クロージングプレート92の一方の面に、スワーラベーン72が、ナットおよびボルト(図示せず)を使用することによって、スワーラベーン72の固定孔78と整列した、環状クロージングプレート92に設けられた複数の固定孔94を通して取り付けられており、環状クロージングプレート92の他方の面に、プレチャンバ96が、一体的に形成されているかまたは中間部品(図示せず)を通して取り付けられている。本開示の図面に示された、スワーラ70、スワーラベーン72、環状クロージングプレート92およびプレチャンバ96のアセンブリは、例示のみを目的としており、1つの構成部材を別の構成部材に接続するその他の環状プレート(図示せず)などのその他の部品または構成部材が存在してもよい。例えば、スワーラベーン72は、トッププレート(図示せず)に接続されていてもよいし、またはトッププレート(図示せず)と一体に形成されていてもよく、トッププレート自体は、環状クロージングプレート92に接続されていてもよい。
【0038】
図2〜
図4に示すように、空気は、スワーラ70のスロット75の半径方向外側端部に供給され、スロット75に沿って略半径方向内方へ移動する。スロット75は、側面上の2つの隣接するスワーラベーン72と、底側のベースプレート71と、スワーラベーン72に面した環状クロージングプレート92の面との間に画成されている。主燃料は、スロット75に進入し、スロット75に沿って移動する空気と混合されるように、ベース噴射孔77と、選択的に、スロット75内に開口する側面噴射孔76とに供給される。すなわち、スワーラ70は、スロット75の半径方向内側端部の半径方向ですぐ内側の環状領域において、燃料と空気との回転する混合物を生じる。この回転する混合物は、環状クロージングプレート92とプレチャンバ96とを通過して、燃焼室28までアセンブリ100に沿って軸方向に移動する。
【0039】
パイロット燃料は、パイロットバーナ60に一体化された、
図2に概略的に示した1つまたは複数のパイロット燃料供給ライン61を通って、燃焼室28へ供給される。パイロット燃料は、本技術の態様に従って
図5、
図6および
図8〜
図12に示されたパイロット燃料噴射孔2を通って、パイロットバーナ60、特にバーナヘッド面62から出る。パイロット燃料はガスである。
【0040】
ここで、パイロット燃料噴射孔2の従来公知の配置を提供するために、
図3〜
図6が説明される。これは、本技術のパイロット燃料噴射孔2の本発明の配置を説明するために、
図7〜
図12に関連して、後で使用される。
【0041】
従来公知のパイロット燃料バーナでは、以下では孔2とも呼ばれるパイロット燃料噴射孔2は、通常はベースプレート71のエッジ79(
図2に示されている)の半径方向ですぐ内側に配置されたバーナヘッド面62の周縁部に存在する。従来の配置では、孔2は、
図3、
図4および
図6に示すようなリップ8によってほぼカバーされている。
図4、
図5および
図6に示すように、パイロット燃料は、リップ8の下側から、すなわちリップ8の下側に存在する孔2から、中心65に向かって、すなわち
図5および
図6に示す軸線35に向けて半径方向内方86へ噴射される。
図5において、点線によって形成された三角形は、バーナヘッド面62上の孔2に関するスワーラベーン72の相対的な位置を表している。
【0042】
図6は、主燃料/空気の流れの方向84と、従来の配置の孔2からのパイロット燃料の流れの方向86とに対する、再循環された高温ガス82によって形成される中央の再循環ゾーン95を示している。
【0043】
図7〜
図12は、パイロットバーナ面62におけるパイロット燃料噴射孔2の配置を説明するために、以下で説明される。
図1〜
図6に関して提供された、パイロットバーナアセンブリ1と、燃焼器アセンブリ100と、ガスタービンエンジン1との形式および構成部材の説明は、
図3〜
図6に関して説明された孔2の従来の配置を除き、
図7〜
図12にも依然として当てはまる。
【0044】
図7、
図8および
図9は、このパイロットバーナアセンブリ1のパイロットバーナ面62におけるパイロット燃料噴射孔2の本発明の配置と、燃焼器アセンブリ100と、ガスタービンエンジン1とを説明している。
図7は、以下では本技術のバーナアセンブリ1とも呼ばれる、パイロットバーナアセンブリ1の典型的な実施形態の平面図を示している。
図7は、スワーラ70と、以下ではバーナ60とも呼ばれるパイロットバーナ60とを示している。パイロットバーナ60は、以下では面62とも呼ばれるパイロットバーナ面62と、以下では孔2とも呼ばれるパイロット燃料噴射孔2の配置の典型的な実施形態とを、本技術の態様に従って有している。
図8は、面62における孔2の配置をより明確に示すためにスワーラ70が取り除かれた、
図7のバーナアセンブリ1を概略的に示しているのに対し、
図9は、バーナアセンブリ1の別の典型的な実施形態を概略的に示している。
【0045】
図7〜
図9に示すように、バーナアセンブリ1は、面62を備えるバーナ60を有している。面62は、燃焼のためのパイロット燃料を提供するための孔2を有する。面62は中心65を有している。孔2の数は複数であり、例えば、バーナアセンブリ1の一実施形態では、例えば中心65の周りに円形の配置で、対称的に配置された12個の孔2が設けられていてもよい。孔2は、二次元の配列を形成するその他の形状で配置されてもよく、例えば、孔2の配置は、孔2が、中心65の周りに2つの同心円形状(図示せず)を形成するようになっていてもよい。
【0046】
面62は、略円形であり、実質的にスワーラ70の環状ベースプレート71の開口に嵌合する。中心65、すなわち長手方向軸線35に関して周方向に配置された、
図7に示したスワーラベーン72は、中心65の周囲に半径方向に配置されている。以下ではベーン72とも呼ばれるスワーラベーン72は、パイスライス形状またはテーパした形状またはくさび形を有しており、したがって、半径方向内方、すなわち中心65に向かって配置された薄い端部74を有している。薄い端部74の先端は、
図7に示されているように、バーナ領域64と呼ばれる領域を規定するように、接続されることが想定されてもよい。言い換えれば、バーナ領域64は、薄い端部74の先端に内接する形状から生じてもよい。薄い端部74の先端の接続は、好適には、ベーン72の全体的な対称性を維持することによって行われ、例えば、ベーン72は周方向に配置されているので、規定されるバーナ領域64は円形であってもよい。同様に、接続は、面62の形状および対称性を維持することによって行われてもよい。バーナ領域64は、面62より大きくてもよく、レッジ80および面62を有していてもよい。面62の平面の軸方向距離と薄い端部74の先端との差が十分である場合、バーナ領域64は、面62の平面への、形状の軸線35に沿った投影、すなわち、
図7における点線で形成された円として理解されてもよい。
【0047】
ベーン72の薄い端部74の一部の先端が、他のベーン72のうちの1つまたは複数に関して半径方向にずれるように整列している場合(図示せず)、バーナ領域64は、ベーン72の先端のうち最も内側を接続することによって規定され、スワーラ70の全体的な対称性を維持する。例えば、ベーン72のうちの幾つかの薄い端部74の先端が、形状または領域、つまり、第1の円形領域を形成するように配置されているのに対し、他のベーン72の薄い端部74の先端が、別の形状または領域、つまり、第2の円形領域を形成するようにベーン72が配置されている場合、2つの円形領域のうちの半径方向内側のものがバーナ領域64であると考えられる。
【0048】
バーナ領域64は、面62の中心65と同心状であり、または言い換えれば、バーナ領域64は、中心65を通過する軸線35上の点である中心を有している。
【0049】
バーナアセンブリ1における孔2の本発明の配置において、面62における各孔2はバーナ領域64内に配置されており、中心65からの孔2の距離3が、中心65からのバーナ領域64のエッジ66の距離4の50%以下である。孔2の距離3は、リップ8の周縁によって規定されてもよく、リップ8の下側に、孔2が、
図7に示されているように配置されている。距離3および距離4は、直線99に沿って測定される。直線99は、
図8および
図9に示されているように、中心65を、バーナ領域64のエッジ66、すなわち、バーナ領域64の幾何学的形状の境界に接続しかつパイロット孔2をも通過する
【0050】
図8および
図9は、距離3を測定する2つの方法を提供している。
図8に示されているように、距離3は、中心65から、中心65から最も遠い、孔境界(図示せず)のエッジ(図示せず)上および直線99上の点まで測定されてもよい。つまり、距離3は、孔2の直径を含み、言い換えれば、孔2を含む。代替的に、
図9に示されているように、距離3は、中心65から、孔2の幾何学的中心(図示せず)まで測定されてもよい。
【0051】
バーナアセンブリ1の別の実施形態では、距離3は、距離4の30%以下である。バーナアセンブリ1のさらに別の実施形態では、距離3は、距離4の15%以下である。
【0052】
図7〜
図9に示されているように、孔2が面62の中心65に配置されなくてもよいことに留意してもよい。孔2は、中心65ではないが、バーナ領域64のエッジ66と比較して中心65の近くに配置されてもよい。バーナアセンブリ1の一実施形態では、距離3は、距離4の5%以上である。バーナアセンブリ1の別の実施形態では、距離3は、距離4の10%以上である。
【0053】
図10と組み合わせて
図7〜
図9に示されているように、本技術のバーナアセンブリ1の孔2は、従来技術のバーナアセンブリの孔2と比較して、半径方向外方88へ、すなわち中心65または軸線35から離れるように方向付けられたパイロット燃料を提供する。従来技術のバーナアセンブリにおいては、
図4〜
図6に示されているように、孔2は、半径方向内方86へ、すなわち中心65または軸線35に向かって方向付けられたパイロット燃料を提供する。
図10に示されているように、半径方向外方88は、面62に対して角度5を形成している。角度5は、30度〜90度であり、好適には30度〜60度である。全ての孔2は、角度5が、全ての孔2において等しいかまたは実質的に等しくなるように、パイロット燃料を提供してもよい。バーナアセンブリ1の孔2の中心線が半径方向外方88へ向けられており、孔2から出た燃料がすぐに方向88へ向けられることが認められるべきである。さらに、燃料は、孔から出た後、略円錐形に広がる傾向がある。しかしながら、燃料の大部分の方向は、少なくとも最初は方向88に向けられている。方向88は、方向88に、広がる円錐角を加えたものを示すことは意図されていない。
【0054】
代替的に、
図10に示されているように、バーナアセンブリ1の一実施形態では、複数の孔2は、複数の孔2から排出されるパイロット燃料によって形成される角度5に応じて2つ以上のタイプの孔2を含んでもよく、例えば、複数の孔2は、1つまたは複数の第1のパイロット燃料噴射孔6と、1つまたは複数の第2のパイロット燃料噴射孔7とを含んでもよい。第1のパイロット燃料噴射孔6および第2のパイロット燃料噴射孔7は両方とも、パイロット燃料を半径方向外方88へ、ただしそれぞれ異なる角度58,59で提供し、例えば、角度58は60度であってもよいのに対し、角度59は45度であってもよい。
【0055】
図11および
図12は、ガスタービンエンジン10の作動中の燃焼室28に関するバーナアセンブリ1の2つの典型的な実施形態を示しており、
図6と比較されてもよい。
図6は、燃焼室28へのパイロット燃料噴射に関する従来技術のパイロットバーナの作動を示している。
図11および
図12に示されているように、軸線35の周囲に形成された中央再循環ゾーン95は、面62と連続的であるかまたは面62に極めて近いが、面62の全面積にわたって延びていない。この条件におけるパイロット燃料は、本技術のバーナアセンブリ1における孔2の位置付けにより、中央再循環ゾーン95へ直接に噴射される。すなわち、従来技術のパイロットバーナの孔2と比較して、本技術のバーナアセンブリ1においては、孔2が中心65により近いからである。
図12に示されているように、孔2は、パイロット燃料の噴射が角度5を成すように面62に対して角度を成して形成されてもよいし、またはパイロット燃料がサブストラクチャから出たときに角度5を生じるように、面62と一体的なサブストラクチャ(図示せず)の下側にカバーまたは配置されていてもよい。
【0056】
図7〜
図12に関して上述した面62における孔2の配置を有するこのバーナアセンブリ1は、パイロットバーナ60の面62の中心65が軸線35と一致するように、すなわち、軸線35が中心65を通過するように、バーナアセンブリ1を燃焼器アセンブリ100内で整列させることによって、
図2の燃焼器アセンブリ100に設けられてもよい。バーナアセンブリ1を有する燃焼器アセンブリ100は、
図1のガスタービンエンジン10に設けられてもよい。本開示における孔2の形状は、例示のみを目的として円形として示されているが、孔2のその他の形状、例えば、孔2の長円形は、本技術の範囲に十分に含まれる。
【0057】
本技術について幾つかの実施形態に関して詳細に説明してきたが、本技術はこれらの実施形態そのものに限定されないことが認識されるべきである。「第1」、「第2」などの用語の使用は、いかなる重要性の順序も示さず、むしろ、「第1」、「第2」などの用語は、1つの要素を別の要素から区別するために使用されていることが留意されてもよい。むしろ、発明を実施するための典型的な態様を説明した本開示を考慮して、多くの変更および変化態様が、本発明の範囲および思想から逸脱することなく当業者に提示される。したがって、本発明の範囲は、上記説明によってではなく、以下の請求項によって示される。請求項の均等物の意味および範囲に含まれる全ての変更、改良および変化態様は、それらの範囲にあると考えられるべきである。