特許第6840285号(P6840285)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840285
(24)【登録日】2021年2月18日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】低パッシブ相互変調接続用回転スイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01P 1/12 20060101AFI20210301BHJP
【FI】
   H01P1/12
【請求項の数】17
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2020-502560(P2020-502560)
(86)(22)【出願日】2018年6月29日
(65)【公表番号】特表2020-527313(P2020-527313A)
(43)【公表日】2020年9月3日
(86)【国際出願番号】EP2018067531
(87)【国際公開番号】WO2019015933
(87)【国際公開日】20190124
【審査請求日】2020年1月20日
(31)【優先権主張番号】17182543.3
(32)【優先日】2017年7月21日
(33)【優先権主張国】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514298472
【氏名又は名称】シュピナー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】SPINNER GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マーティン グラースル
(72)【発明者】
【氏名】ゲオアク フプファウアー
【審査官】 岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】 欧州特許出願公開第03048664(EP,A1)
【文献】 実公昭56−026321(JP,Y2)
【文献】 英国特許出願公開第02187599(GB,A)
【文献】 西独国特許出願公開第01916102(DE,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 1/00−11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチであって、
少なくとも1つの第1の固定パッド(151,161)に接続された第1の中心導体(141)と、
少なくとも1つの第2の固定パッド(152,162)に接続された第2の中心導体(142)と、
第1の可動パッドブリッジ(225)によって互いに電気的かつ機械的に接続された少なくとも1つの第1の可動パッド(221)および少なくとも1つの第2の可動パッド(222)であって、前記第1の可動パッドブリッジ(225)が、中心軸線(219)周りに動く駆動手段(211)に機械的にさらに接続されている、前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)および前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)と、を備え、
第1の結合状態では、前記少なくとも1つの第1の固定パッド(151,161)が前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)に近接しかつ前記少なくとも1つの第2の固定パッド(152,162)が前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)に近接することで、前記少なくとも1つの第1の固定パッドと前記少なくとも1つの第1の可動パッドとの間にかつ前記少なくとも1つの第2の固定パッドと前記少なくとも1つの第2の可動パッドとの間に容量結合が達成され、これにより前記第1の中心導体と前記第2の中心導体との間に前記固定パッドおよび前記可動パッドを介してRF信号接続が生成され、
前記可動パッドと前記固定パッドとの間のガルバニック接触を回避するために、前記可動パッドと前記固定パッドはエポキシ材料の特定の非接触塗料でコーティングされているか、前記可動パッドと前記固定パッドは陽極酸化された絶縁層を有するか、または前記可動パッドと前記固定パッドの間に任意のプラスチック材料、例えばPTFEのシートがあり、
少なくとも1つの可動パッド(221,222,223,224)は、前記固定パッドによって規定される平面に平行に変位可能である、低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチにおいて、
少なくとも1つの可動パッド(221,222,223,224)は、前記固定パッドによって規定される平面から傾斜可能であることを特徴とする、低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項2】
少なくとも1つの第3の固定パッド(153,163)に接続された少なくとも第3の中心導体(143)と、
少なくとも1つの第4の固定パッド(154,164)に接続された第4の中心導体(144)と、
第2の可動パッドブリッジ(226)によって互いに電気的かつ機械的に接続された少なくとも1つの第3の可動パッド(223)および少なくとも1つの第4の可動パッド(224)であって、前記第2の可動パッドブリッジ(226)が、中心軸線(219)周りに動く駆動手段(211)に機械的にさらに接続されている、前記少なくとも1つの第3の可動パッド(223)および前記少なくとも1つの第4の可動パッド(224)と、を備え、
前記少なくとも1つの第3の固定パッド(153,163)が前記少なくとも1つの第3の可動パッド(223)に近接しかつ前記少なくとも1つの第4の固定パッド(154,164)が前記少なくとも1つの第4の可動パッド(224)に近接することで、前記少なくとも1つの第3の固定パッドと前記少なくとも1つの第3の可動パッドとの間にかつ前記少なくとも1つの第4の固定パッドと前記少なくとも1つの第4の可動パッドとの間に容量結合が達成され、これにより前記第3の中心導体と前記第4の中心導体との間に前記固定パッドおよび前記可動パッドを介してRF信号接続が生成され、
前記可動パッドと前記固定パッドとの間のガルバニック接触を回避するために、前記可動パッドと前記固定パッドはエポキシ材料の特定の非接触塗料でコーティングされているか、前記可動パッドと前記固定パッドは陽極酸化された絶縁層を有するか、または前記可動パッドと前記固定パッドの間に任意のプラスチック材料、例えばPTFEのシートがある、請求項1記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項3】
第2の結合状態において、前記少なくとも1つの第2の固定パッド(152,162)は前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)に近接しかつ前記少なくとも1つの第3の固定パッド(153,163)は前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)に近接することで、前記少なくとも1つの第2の固定パッドと前記少なくとも1つの第1の可動パッドとの間にかつ前記少なくとも1つの第3の固定パッドと前記少なくとも1つの第2の可動パッドとの間に容量結合が達成され、これにより前記第2の中心導体と前記第3の中心導体との間に前記固定パッドおよび前記可動パッドを介してRF信号接続が生成され、
前記少なくとも1つの第4の固定パッド(154,164)は前記少なくとも1つの第3の可動パッド(223)に近接しかつ前記少なくとも1つの第1の固定パッド(151,161)は前記少なくとも1つの第4の可動パッド(224)に近接することで、前記少なくとも1つの第4の固定パッドと前記少なくとも1つの第3の可動パッドとの間にかつ前記少なくとも1つの第1の固定パッドと前記少なくとも1つの第4の可動パッドとの間に容量結合が達成され、これにより前記第4の中心導体と前記第1の中心導体との間に前記固定パッドおよび前記可動パッドを介してRF信号接続が生成されることを特徴とする、請求項2記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項4】
前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)および前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)は回転可能パッドであることを特徴とする、請求項1記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)、前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)、前記少なくとも1つの第3の可動パッド(223)および前記少なくとも1つの第4の可動パッド(224)は回転可能パッドであることを特徴とする、請求項2または3記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項6】
各もしくは少なくとも1つの前記第2の可動パッドまたは第4の可動パッドまたは各もしくは少なくとも1つの前記第2の可動パッドまたは第4の可動パッド部は、回転軸線に直交する平面内にあることを特徴とする、請求項4または5記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項7】
前記第1の可動パッドブリッジ(225)は、前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)および前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)よりも狭いことを特徴とする、請求項1から6までのいずれか1項記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項8】
前記第2の可動パッドブリッジ(226)は、前記少なくとも1つの第3の可動パッド(223)および前記少なくとも1つの第4の可動パッド(224)よりも狭いことを特徴とする、請求項2,3,5または6のいずれか1項記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項9】
少なくとも1つの一次固定パッド部(151,152,153,154)および少なくとも1つの二次固定パッド部(161,162,163,164)が少なくとも1つの中心導体(141,142,143,144)に接続されて、少なくとも1つの可動パッド(221,222,223,224)のためのギャップが形成されていることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項10】
少なくとも2つの可動パッド(221,222,223,224)は、少なくとも1つの固定パッド(151,152,153,154,161,162,163,164)のためのギャップを形成することを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項11】
前記可動パッドは、前記固定パッドの内側輪郭に適合する弧状の外側輪郭を有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項12】
少なくとも1つの隆起が2つの固定パッド間でハウジングに設けられていることを特徴とする、請求項1記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項13】
前記駆動手段(211)を回転駆動するために駆動ユニット(300)が設けられていることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項14】
前記駆動ユニット(300)は、モータ、ステッピングモータまたはソレノイドのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする、請求項13記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項15】
前記駆動ユニット(300)は、特定の分離した結合位置の領域を示すためにかつ/またはどの結合位置に到達したかを示すために位置センサを含むことを特徴とする、請求項13または14記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項16】
前記駆動ユニット(300)は、前記スイッチの個々の位置および/または前記スイッチのスイッチング状態のいずれかを示す位置インジケータ(311)を含むことを特徴とする、請求項13,14または15記載の低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【請求項17】
低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチであって、
少なくとも1つの第1の固定パッド(151,161)に接続された第1の中心導体(141)と、
少なくとも1つの第2の固定パッド(152,162)に接続された第2の中心導体(142)と、
第1の可動パッドブリッジ(225)によって互いに電気的かつ機械的に接続された少なくとも1つの第1の可動パッド(221)および少なくとも1つの第2の可動パッド(222)であって、前記第1の可動パッドブリッジ(225)が、中心軸線(219)周りに動く駆動手段(211)に機械的にさらに接続されている、前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)および前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)と、を備え、
第1の結合状態では、前記少なくとも1つの第1の固定パッド(151,161)が前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)に近接しかつ前記少なくとも1つの第2の固定パッド(152,162)が前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)に近接することで、前記少なくとも1つの第1の固定パッドと前記少なくとも1つの第1の可動パッドとの間にかつ前記少なくとも1つの第2の固定パッドと前記少なくとも1つの第2の可動パッドとの間に容量結合が達成され、これにより前記第1の中心導体と前記第2の中心導体との間に前記固定パッドおよび前記可動パッドを介してRF信号接続が生成され、
前記可動パッドと前記固定パッドとの間のガルバニック接触を回避するために、前記可動パッドと前記固定パッドはエポキシ材料の特定の非接触塗料でコーティングされているか、前記可動パッドと前記固定パッドは陽極酸化された絶縁層を有するか、または前記可動パッドと前記固定パッドの間に任意のプラスチック材料、例えばPTFEのシートがあり、
少なくとも1つの可動パッド(221,222,223,224)は、前記固定パッドによって規定される平面に平行に変位可能である、低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチにおいて、
少なくとも1つの可動パッド(221,222,223,224)は、前記固定パッドによって規定される平面から傾斜可能であり、
前記第1の可動パッドブリッジ(225)は、前記少なくとも1つの第1の可動パッド(221)および前記少なくとも1つの第2の可動パッド(222)よりも狭いことを特徴とする、低パッシブ相互変調(PIM)RFスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ラインをスイッチングするための低パッシブ相互変調無線周波数回転スイッチに関する。このようなスイッチは、テスト機器で、好ましくは相互変調測定のために使用されるテスト機器で使用されることがある。
【0002】
関連技術の説明
RF(無線周波数)機器においてテストおよび測定を実行するには、多くの場合、個々の同軸ラインをスイッチングする必要がある。
【0003】
米国特許第4967174号明細書は、回転同軸スイッチを開示している。このスイッチは、回転する前にスイッチング回路を持ち上げる。これにより、スイッチングが実行された後、接触力を増加させることができる。そのようなスイッチでは、接触力の増加とともにパッシブ相互変調が減少する。残念なことに、接触力には機械的な限界があるため、パッシブ相互変調の低減には制限がある。さらには、接点の摩耗によって相互変調が増加する。したがって、このスイッチの寿命は限られている。
【0004】
欧州特許出願公開第3048664号明細書は、低パッシブ相互変調接続のための容量結合接点を有する同軸回転スイッチを開示している。
【0005】
発明の概要
本発明によって解決すべき問題は、非常に低いパッシブ相互変調(PIM)を提供する、同軸スイッチング用のRFスイッチを提供することである。さらに、スイッチは少ないメンテナンスしか必要とせず、また寿命が長い必要がある。
【0006】
問題の解決策は独立請求項に記載されている。従属請求項は、本発明のさらなる改善に関する。
【0007】
第1の実施形態では、低パッシブ相互変調(PIM)スイッチは、スイッチング要素によって所定の方法で接続されてよい4つのポートを備える。該スイッチング要素は回転軸線周りに回転させられるとともに固定結合要素と相互作用して、容量結合スイッチを形成する。容量結合スイッチにはいかなる機械的接触またはガルバニック接触もないため、いかなるRF信号のパッシブ相互変調も発生しない。代替実施形態では、スイッチング要素は、好ましくは直線運動によって、交互の位置間で移動させられてよい。基本的なスイッチング機能は特定の運動に依存しない。したがって、スイッチは、パッドの直線変位または他の任意の種類の変位に基づいていてよい。そのような実施形態では、回転または回転可能な、に関連するすべての用語は、運動または可動を意味するべきである。
【0008】
好ましい実施形態では、スイッチは、4つのポートを交互に接続するための回転可能なスイッチである。ポートは、ネットワークアナライザ、負荷、または他の任意のデバイスなど、あらゆる種類のテスト機器に接続されるのが好ましいRFコネクタを有する。同軸コネクタも低PIMコネクタであるとさらに好ましい。同軸コネクタは、同軸中心導体を介して、RF信号を容量結合するための少なくとも1つの固定パッドに接続されている。好ましくは、中心導体は、中実または中空の金属管またはロッドを備えていてよい。別の実施形態では、中心導体は、プリント回路基板のような誘電体キャリア上のストリップラインのような構造であってもよい。好ましくは、各中心導体に接続された2つのパッドがある。回転可能なパーツには、少なくとも1つの固定パッドと相互作用する少なくとも1つの回転可能パッドがある。2つの固定パッド、最も好ましくは、回転可能パッドの上方の1つの固定パッドと、回転可能パッドの下方の第2の固定パッドとを有することがさらに好ましい。2つの回転可能パッドがブリッジによって接続されているとより好ましい。ブリッジは、好ましくは、パッド間に電気的かつ機械的接続を提供し、最も好ましくは、ブリッジは、パッドと一緒にブリッジを導きまたは回転させるためのシャフトに機械的に接続される。第1の同軸コネクタから来るRF信号は、第1の中心導体を介して少なくとも1つの第1の固定パッドに結合される。該固定パッドからその信号は、回転可能パッドに結合され、該信号は、該回転可能パッドからブリッジによって第2の回転可能パッドに導かれて少なくとも1つの第2の固定パッドに結合され、そして該信号は、第2の中心導体を介して第2の同軸コネクタに結合される。第1の実施形態では、4つのポートがあり、各ポートは、同軸コネクタ、中心導体、および少なくとも1つ、好ましくは2つの固定パッドを有する。ロータは2組の回転可能パッドを有し、第1の回転可能パッドは第1のブリッジを介して第2の回転可能パッドに結合され、第3の回転可能パッドは第2のブリッジを介して第4の回転可能パッドに結合されている。
【0009】
回転可能パッドは連続的に回転してもよいが、少なくとも1つの回転可能パッドが少なくとも1つの固定パッドと重なる特定の位置があり、好ましくは、少なくとも1つの回転可能パッドが少なくとも1つの固定パッドと、その重なり表面が最大になるようにセンタリングされて重なる特定の位置がある。最大の重なりでは、最大の結合容量が得られるため、固定パッドと回転可能パッドとの間の最良な結合が得られる。4つの固定パッドおよび4つの回転可能パッドをもつ4つのポートを有する上記の実施形態では、パッドの重なりが最大となる4つの分離した位置がある。好ましい実施形態では、固定パッドおよび回転可能パッドは、ロータの回転軸線を中心とする90°の角度下に配置されている。したがって、最大結合のための4つの分離した位置は、互いに90°離れている。
【0010】
さらに好ましい実施形態では、少なくとも1つの可動パッドおよび/または少なくとも1つのパッドブリッジは、可動かつ/または変位可能である。最も好ましくは、少なくとも1つの可動パッドおよび/または少なくとも1つのパッドブリッジは、パッドによって規定される平面に平行に変位可能であるか、またはパッドによって規定される平面から傾斜可能である。好ましくは、パッドブリッジは2つの端を有し、各端は可動パッドを保持している。
【0011】
変位および/または傾斜によって固定パッドの機械的公差が補償されてよい。これにより、固定パッドは、パッド部を形成する剛性(弾性またはばね材料ではない)材料から構築することができる。所定の距離離れた固定パッド部を有する剛性材料は、回転可能パッドと固定パッドとの間に正確に規定された結合容量をもたらし、さらには、より再現性が高く改善された結合特性をもたらす。その上、固定パッド部間のギャップ(距離)を、その間に可動パーツが正確に収まるように最小化でき、その結果、結合容量が大幅に改善される。2つの固定パッド部とその間の可動パッドとの間の残存ギャップは、0.5mm〜0.005の範囲、最も好ましくは0.05mm〜0.1mmの範囲であってよい。
【0012】
対称配置された固定パッドを有するとともに対称配置された2組の回転可能パッドを有することがさらに好ましく、なぜならば各組がブリッジによって接続された2つのパッドを有するからである。この実施形態のスイッチは、以下の状態を有する:
【表1】
【0013】
文字Xは、第1の組の回転可能パッドによるポートの接続を示し、文字Yは、第2の組の回転可能パッドによるポートの接続を示している。
【0014】
好ましい実施形態では、隣接する固定パッド間に導電性材料の少なくとも1つの隆起がある。このような隆起は、ハウジングの底部および/または頂部にあってよい。隆起は、固定パッド間、ひいてはポート間の絶縁性を増大させる。
【0015】
好ましくは、可動パッドは、すべての可動パッドに共通する円によって制限されてよい弧状の外側輪郭を有する。この方法により、可動パッドは、固定パッドの内側輪郭(直線状または弧状であってよい)に近接して回転する可能性があり、これにより結合容量がさらに増加する。
【0016】
さらなる実施形態では、第1および/または第2のパッドブリッジであってよい少なくとも1つの可動パッドブリッジは、少なくとも1つの可動パッドよりも狭い。これにより、隆起が側壁よりもブリッジに近くなるため、グランドへの静電容量が低くなる可能性がある。
【0017】
上記の実施形態が好ましいが、他の任意の数のポートおよび/または回転可能なパーツにおける他の任意の数のパッドがあってもよいことは明らかである。
【0018】
モータであってよい、好ましくはステッピングモータまたはソレノイドであってよい駆動手段を有することがさらに好ましく、該駆動手段はギアによって回転可能パーツにさらに結合されてよい。特定の分離した結合位置の領域を示すためにかつ/またはどの結合位置に到達したかを示すために位置センサを有することがさらに好ましい。スイッチの個々の位置および/またはスイッチのスイッチング状態のいずれかを示す位置インジケータもあってよい。基本的に、4つのポートを有する上述のスイッチは、上記表に示すように状態1と3、および状態2と4が同じポートを接続するので、2つのスイッチング状態を有する。
【0019】
さらに好ましい実施形態では、シャフトはプラスチック材料で作られているが、他の任意の非導電性材料、例えばセラミックで作られていてもよい。最大の結合容量を得るために複数の固定パッド間に回転可能パッドが非常に小さいエアギャップを有して収まるように、該複数の固定パッドがギャップを形成するとさらに好ましい。代替実施形態では、複数の回転可能パッドが、その間に固定パッドが収まるようにギャップを形成する。別の実施形態では、互いに噛み合う任意の数の回転可能パッドまたは固定パッドがあってもよい。回転可能パッドと固定パッドとの間のガルバニック接触を回避するために、パッドは、たとえばエポキシ材料などの特定の非接触塗料でコーティングされているのが好ましい。さらに、パッドは陽極酸化された絶縁層を有するか、またはパッドの間に任意のプラスチック材料、例えばPTFEのシートがあってもよい。
【0020】
好ましい実施形態では、各パッドまたは少なくとも1つのパッドは、回転軸線に直交する平面内にある。異なるパッドの平面は、パッドを本明細書で説明されるように移動可能とするために互いに変位させられてもよい。別の実施形態では、各パッドは、回転軸線を中心とする円筒表面上にあってよい。
【0021】
以下では、本発明が、一般的発明概念を制限することなく、図面を参照する実施形態の例に基づき例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】好ましい実施形態の斜視図である。
図2】上面図である。
図3】上方から見た断面図である。
図4】断面側面図である。
図5】電気部品の詳細図である。
図6】電気部品のさらなる詳細図である。
図7】接続された回転可能パッドの詳細図である。
図8】接続された回転可能パッドのさらなる詳細図である。
図9】好ましい実施形態の完全なアセンブリを示す図である。
図10】傾斜可能なパッドを有する実施形態を示す図である。
図11】傾斜させられたパッドを有する実施形態を示す図である。
図12】傾斜可能なパッドを有する実施形態を示す上面図である。
図13】パッドの断面図である。
【0023】
図1には、回転スイッチの好ましい実施形態の斜視図が示されている。基本的なスイッチング機能は特定の運動に依存しない。したがって、スイッチは、パッドの直線変位または他の任意の種類の変位にも基づいていてよい。回転スイッチ100は、電気部品を保持するとともに囲い込むためのハウジング110を備える。ハウジングには、第1の同軸コネクタ121、第2の同軸コネクタ122、第3の同軸コネクタ123、および第4の同軸コネクタ124がある。接触のために、同軸コネクタは中心導体を有する。第1の同軸コネクタは中心導体131(後に図示される)を有し、第2の同軸コネクタは中心導体132を有し、第3の同軸コネクタは中心導体133を有し、第4の同軸コネクタは中心導体134(後に図示される)を有する。同軸コネクタの中心導体は、スイッチのそれぞれの中心導体(141,142,143,144)に接続されている。スイッチの中心導体の端には固定パッドがあるが、常に1つの一次固定パッド部が二次固定パッド部と組み合わされて接点フォークを形成している。第1の一次固定パッド部151および第1の二次固定パッド部161は、第1の中心導体141に接続されている。他の固定パッド(152,162;153,163;154,164)も同様に、それぞれの中心導体141,142,143,144に接続されている。スイッチングに際して、後で詳しく図示される回転可能パッドが固定パッドの間に設けられることによって、固定パッドと回転可能パッドとの間に結合容量が形成される。ロータの詳細は、以下の図で示されるとともに説明される。
【0024】
図2には、第1の実施形態の上面図が示されている。基本的に、ここでは前の図で示された部品と同じ部品を見ることができる。異なる視野角によって、第1の支持体111、第2の支持体112、第3の支持体113および第4の支持体114が示され、第1の支持体111、第2の支持体112、第3の支持体113および第4の支持体114はすべて、回転可能パッドを駆動するためのシャフト211を支持する。カバーおよび駆動モータをユニットに保持および固定するための凹部118およびねじ穴119があってもよい。
【0025】
図3には、第1の実施形態の断面図が示されている。図3は、回転可能パッドによって規定される平面を通る切断面を示している。したがって、回転可能パッド221,222,223,224を明確に見ることができる。第1の回転可能パッド221および第2の回転可能パッド222は、第1の回転可能パッドブリッジ225によって電気的かつ機械的に接続されている。第3の回転可能パッド223および第4の回転可能パッド224は、第2の回転可能パッドブリッジ226によって電気的かつ機械的に接続されている。この図は、前述したスイッチの同軸コネクタおよび中心導体のさらなる詳細を示している。中心導体は、絶縁体171,172,173,174によって保持され、該絶縁体171,172,173,174は、プラスチック材料のような誘電材料、最も好ましくはPTFEまたはポリエチレンのような誘電材料を備えるのが好ましい。
【0026】
図4には、第1の中心導体および第3の中心導体の中心を通る平面での断面側面図が示されている。ここで、一次固定パッド部および二次固定パッド部のフォーク状配置は、第1の回転可能パッド221を囲む一次固定パッド部151および第1の二次固定パッド部161の例によって見ることができる。回転可能なパーツは、第1のブリッジホルダ212および第2のブリッジホルダ213が取り付けられている駆動シャフト211によって駆動される。少なくとも1つの軸受があってよく、好ましくは、駆動シャフトの底部にある第1の軸受215および駆動シャフトの頂部にある第2の軸受216があってよい。ユニットを簡単に分解できるようにするため、駆動シャフトはいくつかのパーツを備えていてよい。たとえば、駆動シャフトの下部を備える駆動シャフト受容部214があってよく、該駆動シャフト受容部214はブリッジホルダを保持しており、また駆動シャフト受容部214には、駆動シャフトの上部が差し込まれるかまたは接続されてよい。さらに、駆動シャフトは、駆動レバー217によって操作されてよい。
【0027】
図5には、電気部品の詳細が示されている。ここでは、固定パッドおよび回転可能パッドを詳細に見ることができる。回転可能パッドは、矢印218で示すように、駆動シャフト211を回転させることにより移動させられてもよい。駆動シャフト211は、回転可能パッドと一緒に約360°連続して回転させられてもよいが、回転が停止する分離した位置があることが好ましい。このような位置はこの図に示されており、この位置では回転可能パッドが固定パッドと完全にまたはほぼ完全に重なり、これは、回転可能パッドと固定パッドとの間に最大結合容量をもたらす。駆動シャフトは、回転軸線219を規定する。ここに図示された駆動シャフトおよび回転可能パッドの位置は、第1のスイッチング位置である。この第1のスイッチング位置では、第1の中心導体141は、第1の回転可能パッド221に結合された第1の固定パッド151,161を介して第2の中心導体142に接続され、該第1の中心導体141はさらに、第1のブリッジホルダ212を介して第2の回転可能パッド222に接続され、該第2の回転可能パッド222はさらに、第2の一次固定パッド部152および第2の二次固定パッド部162に容量結合されている。さらに、第3の中心導体143は、同様の方法で第4の中心導体144に接続されている。駆動シャフト211をたとえば時計回りに90°回転させると、第2の中心導体142は第3の中心導体143に接続され、第4の中心導体144は第の1中心導体141に接続される。駆動シャフトおよび回転可能パッドを90°だけさらに回転させると、再び第1の位置として、第1の中心導体141が第2の中心導体142に接続されるとともに、第3の中心導体143が第4の中心導体144に接続される。ここでは、回転可能パッドおよび対応するブリッジのみが交替させられるが、機能は基本的に同じである。駆動シャフトがさらに90°回転した場合も同じことが適用され、これによりこの第4の位置の接続スキームがもたらされ、該第4の位置は第2の位置と同じである。駆動シャフトをさらに90°だけ回転させると、第1の位置になる。
【0028】
図6では、電気部品のさらなる詳細を見ることができ、この図では固定パッド151および152のような固定パーツが取り外されている。
【0029】
図7では、接続された回転可能パッドの詳細が示されている。パッド同士は、第2の回転可能パッドブリッジ226によって接続されており、該第2の回転可能パッドブリッジ226は、該ブリッジ226を第2のブリッジホルダ213に固定するためのいくつかの穴を有していてよい。
【0030】
図8には、接続された回転可能パッドのさらなる詳細が示されている。
【0031】
図9には、好ましい実施形態の完全なアセンブリが示されている。先に示されたスイッチ部品に加えて、駆動ユニット300がスイッチの頂部に取り付けられている。駆動ユニット300はモータハウジング310を有し、該モータハウジング310は、第1の位置マーク312または第2の位置マーク313のいずれかにあるスイッチの基本位置を示す位置インジケータ311を有することが好ましい。スイッチハウジングにさらに取り付けられる底部シェル319と、駆動ユニットへのかつ駆動ユニットからの駆動制御信号および位置フィードバック信号を提供してよい駆動制御コネクタ320とがあってよい。
【0032】
図10には、傾斜可能なパッドを有する実施形態が示されている。ブリッジホルダは、頂部232および底部231を備え、該頂部232および底部231は駆動シャフト受容部214にさらに接続されているのが好ましい。両部はパッドブリッジ226を保持し、該パッドブリッジ226は、第3のパッド223および第4のパッド224をさらに保持しかつ接続する。頂部と底部とのギャップは、パッドブリッジの厚さよりも大きいため、パッドブリッジは変位しかつ/または傾斜する可能性がある。
【0033】
図11は、傾斜した状態(破線)の上記と同じ実施形態を示している。頂部とパッドブリッジとの間およびパッドブリッジと底部との間に弾性スペーサ235があってよい。好ましくは、変位および/または傾斜角は制限される。変位の好ましい範囲は、どちらの方向でも0.05mm〜0.5mmの範囲であり、最も好ましくは0.15mmである。好ましい傾斜角は、0.5°〜5°の範囲であり、最も好ましくは1.5°である。
【0034】
図12には基準図が示されている。示された断面A−Aは図10および図11に示されている。
【0035】
図13には、パッドの断面図が示されている。可動パッド221は、固定パッド191の内側輪郭191(直線状または弧状であってよい)に適合する弧状の外側輪郭291を有する。好ましくは、可動パッドと固定パッドとの間に小さなギャップのみがあり、その結果、結合容量が増加する。可動パッド221の下方にほとんど隠れているのは、固定パッド161である。
【符号の説明】
【0036】
100 回転スイッチ
110 ハウジング
111 第1の支持体
112 第2の支持体
113 第3の支持体
114 第4の支持体
118 凹部
119 ねじ穴
121 第1の同軸コネクタ
122 第2の同軸コネクタ
123 第3の同軸コネクタ
124 第4の同軸コネクタ
131 第1の同軸コネクタの中心導体
132 第2の同軸コネクタの中心導体
133 第3の同軸コネクタの中心導体
134 第4の同軸コネクタの中心導体
141 第1の中心導体
142 第2の中心導体
143 第3の中心導体
144 第4の中心導体
151 第1の一次固定パッド部
152 第2の一次固定パッド部
153 第3の一次固定パッド部
154 第4の一次固定パッド部
161 第1の二次固定パッド部
162 第2の二次固定パッド部
163 第3の二次固定パッド部
164 第4の二次固定パッド部
171 第1の絶縁体
172 第2の絶縁体
173 第3の絶縁体
174 第4の絶縁体
211 駆動シャフト
212 第1のブリッジホルダ
213 第2のブリッジホルダ
214 駆動シャフト受容部
215 第1の軸受
216 第2の軸受
217 駆動レバー
218 駆動シャフトの回転
219 回転、中心軸線
221 第1の回転可能パッド
222 第2の回転可能パッド
223 第3の回転可能パッド
224 第4の回転可能パッド
225 第1の回転可能パッドブリッジ
226 第2の回転可能パッドブリッジ
231 ブリッジホルダの底部
232 ブリッジホルダの頂部
235 スペーサ
300 駆動ユニット
310 モータハウジング
311 位置インジケータ
312 第1の位置マーク
313 第2の位置マーク
319 底部シェル
320 駆動制御コネクタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13